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スズキ ソリオ ハイブリッド新車試乗記(第809回)

Suzuki Solio Hybrid

(1.2L直4ハイブリッド・191万7000円~)

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像この手があったか!?
5速セミオートマで、
「フル」ハイブリッドを実現!

2017年03月03日

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キャラクター&開発コンセプト

新開発のハイブリッドシステムを搭載

2015 東京モーターショーに出展されたスズキのハイブリッドシステムの画像
2015 東京モーターショーに出展されたスズキのハイブリッドシステム

5人乗りコンパクトハイトワゴン「ソリオ」と「ソリオ バンディット」に2016年11月29日、新開発のハイブッドモデルが追加された。

2015年8月に発売された現行ソリオには、これまで「マイルドハイブリッド」(スズキの軽自動車で言うところのSエネチャージ)がラインナップされていたが、今回の「ハイブリッド」は1.2L 直4「デュアルジェット エンジン」はそのままに、変速機をCVT(無段変速機)から5AGS(オートギヤシフト)こと5速セミオートマチック※に変更し、あわせて13.6psと30Nmを発揮する駆動用モーター(MGU=Motor Generator Unit)や100V高電圧リチウムイオン電池(日立オートモティブシステムズ製)を搭載したもの。一定の条件下ではEV走行も可能で、いわゆるパラレル方式のハイブリッドシステムになる。システム自体は2015年秋の東京モーターショーで発表されていた。

※MT(マニュアルトランスミッション)をベースに、クラッチ操作とシフト操作を自動で行う機構を追加したもの。AMT(オートメイテッド MT)、ロボタイズドMT、シングルクラッチ式ATとも呼ばれる。商標としてはAGSのほか、セレスピード(アルファロメオ)、デュアロジック(フィアット)など。

■外部リンク
スズキ>技術紹介>ハイブリッド
スズキ>技術紹介>ハイブリッド

セミATの弱点をモーター駆動力で補う

スズキ ソリオ ハイブリッド、フロントグリルの画像

新しいハイブリッドシステムの特徴は、燃費性能と力強い走りを両立していること。JC08モード燃費は、軽量ボディ(ハイブリッド車でも990kg)も手伝って、5人乗りコンパクトワゴンでトップの32.0km/Lを達成。同時に、セミATやモーターアシストによるダイレクトでリニアな駆動感覚も従来のハイブリッド車にない特徴になっている。

また、セミATの弱点である変速時の「トルク抜け」をMGUの駆動力で補うことでスムーズな走りを実現しているのもユニークな点だ。

【ソリオ】 2016年の実績は月平均4000台以上

スズキ ソリオ ハイブリッド、バッジの画像

月販目標は2015年発売時と変わらず、シリーズ全体で3500台。スズキにとってはまだアウェイ感のある登録車市場だが、現行ソリオの販売は好調で、昨年2016年(1~12月)の実績は平均月販4068台(登録車で18位)。2015年と2016年にはスズキで一番売れた登録車になった(その次に多かったのは2015年はスイフト、2016年はイグニス)。

ちなみに昨年11月にはトヨタから競合車のタンク/ルーミーが発売されており、こちらも12月にはそれぞれ5932台/6100台、1月には5335台/6281台と好調な売れ行きを見せている。

 

■外部リンク
スズキ>ハイブリッドを搭載した新型「ソリオ」「ソリオ バンディット」を発売(2016年11月29日)
日立オートモティブシステムズ>リチウムイオン電池モジュールが新型「ソリオ」ハイブリッド仕様車に採用(2016年11月30日)

■過去の参考記事
新車試乗記>スズキ ソリオ バンディット ハイブリッド(2016年2月掲載)
新車試乗記>トヨタ タンク (2017年1月掲載)

 

価格帯&グレード展開

マイルドHVとの価格差は約22万円

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像

現行ソリオのエンジンは全車1.2L自然吸気の直4だが、新開発のハイブリッド車が加わったことで、パワートレインは計3種類になった。

今回のハイブリッド車は、グレード名に「S」(ストロングの意)が付く「ハイブリッドSZ」「ハイブリッドSX」「バンディット ハイブリッド SV」(FFのみ)。

一方、従来のマイルドハイブリッド車にはグレード名に「M」が付き、「ハイブリッドMZ」「ハイブリッドMX」「バンディット ハイブリッド MV」(FFと4WD)となる。また、ベースグレードとしてアイドリングストップ機能等がない「G」(FFと4WD)がある。

フルハイブリッドとマイルドハイブリッドとの価格差は約22万円。他社のハイブリッド車と比べると「ハイブリッド代」は約半分だ。

【ソリオ】
・ハイブリッド SZ(FF) 206万2800円~ ※試乗車
・ハイブリッド SX(FF) 191万7000円~

・ハイブリッド MZ(FF/4WD) 184万1400円~
・ハイブリッド MX(FF/4WD) 169万5600円~
・G(FF/4WD)   145万4760円~

【ソリオ バンディット】
・ハイブリッド SV(FF) 204万6000円~
・ハイブリッド MV(FF/4WD) 182万5200円~

デュアルカメラブレーキサポート装着車は5万9400円高

必須装備とも言えるステレオカメラ方式の「デュアルカメラブレーキサポート」装着車(デュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、エマージェンシーストップシグナル、クルーズコントロールシステムのセット)はオプションで5万9400円高(Gには設定なし)。オーディオやナビも全車オプションになる。

 

パッケージング&スタイル

ハイブリッドにはブルーの差し色

スズキ ソリオ ハイブリッド、前73の画像

1年前に試乗したのはソリオ バンディットだったが、今回試乗したのは大人しい外観の「ソリオ」。バンディットとの違いは、フロントグリル、灯火類、前後バンパー、アルミホイールの意匠、ボディカラー(バンディットではブラックルーフの2トーンが選べる)など。

 
スズキ ソリオ ハイブリッド、リア73の画像

マイルドハイブリッド車との違いはわずかで、フロントグリルの一部がブルーメッキ地のスケルトンになること、リアコンビランプのレンズがブルークリアになること、ボディ左右と後ろの「HYBRID」バッジがブルー背景にメッキ文字の専用になること(マイルドハイブリッドはその逆でメッキ背景にブルー文字)くらいだ。

パイオニアならではの完成度

スズキ ソリオ ハイブリッド、真横の画像

ボディサイズはシリーズ共通で、全長3710mm×全幅1625mm×全高1745mm、ホイールベース2480mm。背こそ高いが、全長は軽自動車より30cmほど長いだけで、イグニスやパッソ並みに短く、見た目よりもコンパクト。全幅もルーミー/タンク/トール/ジャスティ4兄弟車の1670mmに対して1625mmしかない。ただし室内や荷室の広さで見劣りすることはなく、総じてパッケージングはこのジャンルのパイオニアらしく練りに練られた感がある。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
スズキ ソリオ (2015~) 3710 1625 1745 2480 4.8
トヨタ タンク/ルーミー(2016~) 3700~3725 1670 1735 2490 4.6~4.7
2代目トヨタ シエンタ(2015~) 4235 1695 1675 2750 5.2~5.8
2代目ホンダ フリード(2016~) 4265~4295 1695 1710~1735 2740 5.2
 

インテリア&ラゲッジスペース

タコメーターの代わりにパワーメーターを新設

スズキ ソリオ ハイブリッド、インパネの画像

内装においてマイルドハイブリッド車と異なるのは、インパネにブルーメタリック塗装のガーニッシュがアクセントで入ることや、MGUの作動状態を表示するモーターパワーメーター付の専用メーターが備わること。なお、タコメーターは右のマルチインフォメーションディスプレイに液晶で表示することができる。

 
スズキ ソリオ ハイブリッド、メーターの画像

室内の広さは申し分なく、使い勝手もいい。運転席・助手席間の左右および前後ウォークスルーはやりやすく、室内高も小学校低学年の子供が立てる1360mmを確保。4人家族なら、これで十分と思わせる余裕がある。

また、大容量リチウムイオン電池は荷室の床下に搭載されたため、今回のハイブリッド車でもキャビン(乗員空間)の広さはまったく犠牲になっていない。

 
スズキ ソリオ ハイブリッド、助手席シートアンダーボックスの画像

そしてスズキ車でおなじみの助手席シートアンダーボックス、今やミニバンに必須の後席ロールサンシェードなども手堅く装備。ソリオが売れている理由は、インテリアを見るだけでも分かる。

 
スズキ ソリオ ハイブリッド、前席の画像
スズキ ソリオ ハイブリッド、後席の画像
 

荷室の床下にリチウムイオン電池を搭載

スズキ ソリオ ハイブリッド、荷室の画像

マイルドハイブリッド車の荷室床下にはパンク修理キットのほかに、FF車で100L、4WD車で26Lの収納スペースがあったが、今回のハイブリッド車では「パワーパック」こと駆動用100Vリチウムイオン電池(容量4.4Ah)とインバーター、そして電池の冷却システム(電動ファンおよびダクト)等が収まっている。電池はかなり深いところにあるので、普段は存在を忘れてしまうだろう。

ちなみに助手席の下にはマイルドハイブリッド車と同じ12Vのリチウムイオン電池(容量3Ah)もあり、エンジンルームには普通の鉛電池もある。つまり電池を3つも積んでいることになる。

 
スズキ ソリオ ハイブリッド、荷室の画像
スズキ ソリオ ハイブリッド、リチウムイオン電池の画像
 

基本性能&ドライブフィール

標準モードでは「キビキビ」、エコモードでは積極的にEV走行

スズキ ソリオ ハイブリッドのエンジンの画像

試乗したのは「ハイブリッド SZ」(206万2800円)に、デュアルカメラブレーキサポート(5万9400円高)やナビゲーションシステム(12万7440円)を装着したもの。

パワートレインは冒頭で紹介したように、スズキ普通車でおなじみの1.2L自然吸気 直4「デュアルジェット エンジン」(91ps、118Nm)に、アルトやエブリイなどスズキの軽でおなじみの5速セミAT「5AGS」(もちろんミッション自体は軽とは異なる)、そして駆動用モーター「MGU」(13.6ps、30Nm)を組み込んだもの。

走行モードには「標準モード」と「エコモード」の2種類がある。標準モードは、基本的にエンジンで走行し、モーターは主にアシストを行うもの。「キビキビとした発進・加速が可能」とカタログにあるように、5速セミATならでは、リニアな加速感を味わえるのが特徴だ。

 
スズキ ソリオ ハイブリッドのエコモードスイッチの画像

また、低中速(約60km/h以下)で一定速度で走る場合には、エンジンが停止し、駆動用モーター「MGU」でEV走行することもできる。また80km/h以下でアクセルを離した時にもエンジンは停止し、その場合にはクラッチを切って効率よく電力回生を行う、とある。

さらにエコモードでは、駆動用モーターのみで発進と加速も可能になる。モーターの力でクリープ(アクセルを踏まなくてもクルマを動かそうとする力)も発生するので、普通のAT車のような自然な感覚で運転できるし、セミAT車が苦手とする坂道発進も問題ない。カタログには標準モードより「ゆるやかに発進・加速します」とあるが、それほどかったるさはなく、十分に常用可能だ。

セミATのネガをモーターで消す

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像

ちなみにマイルドハイブリッド車のISG(モーター機能付発電機、3.1ps、50Nm)は、ベルトで駆動力をエンジンに伝える構造になっており、アシストも約100km/h以下でしか行わない。一方、MGUの駆動力は、減速機(10:1)とチェーンを介して、駆動軸に直接伝達される。つまりISGとMGUは同じモーターながら主な役割が異なり、搭載位置も違うのがポイント。ハイブリッド車にもISGは残されており、エンジンの再始動はISGが行う(MGUはエンジンとつながっていないのでエンジン始動には使えない)。

さらにこのハイブリッドシステムの面白いところは、セミATに付きものである変速時の「トルクの谷」をモーターの駆動力で補なう、という点だろう。実際のところ、変速時の失速感は皆無ではないが、ほとんど気にならないレベルになっている。スズキ車に限らず、他社のセミAT車にも欲しい機能だ。

車重は驚きの990kg(ロードスター並み)

スズキ ソリオ ハイブリッドのタイヤ画像

ソリオのカタログや車検証を見て驚くのは、この両側電動スライドドアを備えたモデルでさえ、車重が990kgしかないこと。なんと先週試乗したヴィッツ ハイブリッドより130kgも軽く、現行マツダ ロードスター(1.5Lソフトトップ車)の最軽量グレードと同じだ。

ちなみにハイブリッドではないが、出力スペックが近いトヨタのタンク カスタム GT(1.0L 3気筒ターボ。98ps、140Nm)と比べても、ソリオ ハイブリッドは110kgも軽い。スズキの軽量化フェチは今に始まった話ではないが、最近の新型車における劇的な軽量化はまるでマジックみたいだ。

高速域でも意外に速い

スズキ ソリオ ハイブリッドのメーター画像

約60km/h以下での一定速走行時にはEVモードに入るが、それ以上は主としてエンジンで走行。100km/h巡行時の回転数は約2500rpmだ。

そして追越加速では3速、4速でエンジンをぶん回し、「なかなか速いぞ」と思わせる加速を見せる。体感的にはヴィッツハイブリッドより明らかに速い。特に高回転域の伸びの良さは、このクラスの国産車で今どき珍しいレベルで、これは間違いなくセミATのおかげだろう。

ハンドリングはちゃんと試す機会がなかったが、基本的にはマイルドハイブリッド車と同等か、安定感が増したかな、という感じ(車重は前軸、後軸共に20kg増し)。直進安定性、乗り心地、静粛性も特に問題ないと思った。オプションのDCBSを装備すると、クルーズコントロール(ACCではない)もセットで付いてくるので、高速ロングドライブも楽にできる。

試乗燃費は17.0km/L、JC08モードは32.0km/L

スズキ ソリオ ハイブリッドのマルチインフォメーションディスプレイの画像

今回は浜松での日帰り取材ということで、撮影を含めて約100kmを試乗。試乗燃費は参考ながら一般道と高速道路を走った区間(約60km)で17.0km/Lだった。

JC08モードは32.0km/Lで、先週試乗したヴィッツハイブリッド(34.4km/L)に少し負けているが、ボディ形状を考えると驚くべき僅差では。ちなみにタンク/ルーミーのノンターボFFは24.6km/L、ターボ(FFのみ)は21.8km/Lで、ソリオが圧勝する。

ちなみに昨年ソリオのマイルドハイブリッド車に浜松で試乗した時の燃費(約100km走行)は14.6km/L、JC08モード燃費はFF車で27.8km/L。なので、燃費向上幅はメーカーの主張通り15%くらいであろう。約22万円のハイブリッド代を取り戻すには10万kmくらい走る必要がある。

燃料タンク容量は32Lで、マイルドハイブリッド車のFFと同じだ。

ここがイイ

走りよし、パッケージングよし、装備よし、燃費よし。セミATの弱点をモーターで消すアイディア

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像

あらためて現行ソリオ自体の良さを挙げたい。コンパクトで小回りが効くサイズ、乗りやすさ、よく出来たパッケージング、デュアルカメラブレーキサポートなどの安全装備など、理想がほぼすべて実現されている。販売好調も納得。今やスズキで一番売れているクルマに「隠れた名車」と言うのも失礼だが、まだまだその良さが広く知られていないクルマの代表格では。

今回のハイブリッドについては、5速セミATを使ったことによる走りの良さ、面白さ、効率(燃費)の良さが予想を上回るレベル。燃費の良さは、もちろんフルハイブリッド化もあるが、セミATの採用、そして驚異的な軽量設計がなせる業だろう。マイルドハイブリッド車でも燃費はかなりいいが、20万円高でこの走りと燃費ならハイブリッドを選ぶ価値は十分あり。また、セミATの弱点をモーターで消すというアイディアも秀逸。巷にあふれる「普通のハイブリッド」に飽き飽きしている方はぜひお試しを。

ここがダメ

メーカーオプションのナビ

スズキ ソリオ ハイブリッドのインテリア画像

試乗車にはメーカーオプションの全方位モニター付メモリーナビゲーション(約13万円)が装着されていたが、使い勝手はいまひとつ。Apple CarPlayとAndoroid Autoに対応し、スマートフォンの一部機能をナビ画面で操作できるのが売りだが、トップ(メインメニュー)画面に戻らないとナビゲーション(現在地)画面に戻れないとか(ショートカットボタンにナビ画面を登録すれば解決できるようだが)、地図がいまいちだったりとか、スクロールがスムーズじゃないとか。これではスマホやタブレットはもちろん、量販店の汎用ナビにも負けそう。

総合評価

ますます魅力的になった

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像

「ソリオの魅力はそのままに」フルハイブリッドにしてみた、というのがこのクルマ。ソリオの魅力は昨年のソリオ試乗記でしっかり書いたが、それ以前から歴代ソリオを評価してきたモーターデイズとしては、タンク/ルーミー/トール/ジャスティのようなフォロアーが出てきたことで、やっと時代が追いついてきた感がある。

さて、ソリオがフルハイブリッドになって、どうだったか。結論から言うと、ますます魅力的になったと思う。ジャパンオリジナルのコンセプトから生まれたソリオがさらに唯一無二の存在になった。そして直接のライバルに、まだフルハイブリッドはない。

一般にハイブリッドシステムは構造や仕組みがさまざまで分かりにくいが、今回のソリオ ハイブリッドに関しては、一般にセミATとか、AMTとか呼ばれるミッションに、駆動用モーター(スズキ言うところのMGU)が組み合わされたところが、これまでにない新しさ、ということになる。スズキのセミAT「AGS」に関しては、現行アルトで試乗した限り、構造的にはMTなのでCVTより軽量コンパクトで、伝達ロスも少なく、何と言っても走りにダイレクト感があった。それでも「シフト時の息継ぎ感」は完全に消し去られてはおらず、「なんで今ごろまたセミATなんだろう?」という素朴な疑問が残ったのも確かだ。

しかし今回ソリオ ハイブリッドに乗って、そうか、セミATはこのためにあったのだ、と勝手ながら思い至った。ハイブリッドにしたことで駆動用モーターがセミATの息継ぎ感をうまく消してくれている。ミッションをCVTにしなかったのは、フルハイブリッドにするとサイズ的にCVTが収まらないというのが公式に言われている事情だが、実はそうではなく、ハイブリッド化のためにセミATが開発されたのだ、と思えてしまった。

軽でもやれる?

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像

試乗してみると、標準モードでフル加速すると少し息継ぎ感が出るが、エコモードの場合は緩やかに加速するので、それはほとんど気にならない。セミATはシフトアップ時にアクセルを少し抜いてやるとスムーズに変速するが、ソリオ ハイブリッドでは逆に駆動用モーターで抜けた分のトルクを補っているわけだ。

もちろん、駆動用モーターにはEV走行できるだけのパワーもあるし、エネルギー回生も行う。状況に応じて、いろいろな機能を果たすように制御されているわけだ。細かい点を含めると、けっこう複雑な仕組みだが、それはトヨタのハイブリッドも同じ。走りがスムーズで燃費が良ければ昨今のユーザーは仕組みなどどうでもいいわけで、ソリオ ハイブリッドも違和感なく乗れたのだから、その意味では文句はない。

これがうまくいくなら、このシステムはソリオに限らず、スズキのいろいろなクルマに載せられるだろう。新型スイフトやイグニスは基本的にはソリオと同じエンジンを搭載しているので、あとは100Vリチウムイオン電池の置き場さえ確保すれば、すぐにでも採用できそう。ユニークなイグニスが、ユニークなフルハイブリッド車になったなら、個人的にはものすごく欲しいものになりそうだ。

そしてもしかすると、これなら軽自動車でもやれるのではないか。ソリオの場合、フルハイブリッドの対価は約22万円だが、昨今の立派な軽であれば、これくらいの価格上昇分は付加価値としてなんとかなりそう。むろん燃費で元を引くという発想は少々ムリがあるが、軽自動車初の「フル」ハイブリッド車というのはかなりインパクトがあるはず。

クルマ好きが求めていたハイブリッド

スズキ ソリオ ハイブリッドの画像

ただ、過去の試乗記でも何度か触れたように、軽という規格が今後も維持されるかどうかはかなり疑問だ。軽がなくなれば、その後はリッターカークラス(1000cc未満)が世の主流になるだろう。その時、こうした低価格で軽量コンパクトなフルハイブリッド車があるのは大きな強み。セミATを使ったハイブリッド車は、MTベースゆえ欧州など海外でも受け入れられやすいだろう。そこも重要なのではと思う。

また、日本車では今のところ主流のCVTだが、正直なところ、CVTが好きだというクルマ好きは少ないと言っていい。また、昨今はかなり改善されていると思うが、それでもあの滑り感のあるフィーリングだけはどうしてもダメ、という人も多い。その点ソリオ ハイブリッドの、走行中の直結感やギアの変速感は、まさにMTだ。運転しているとMTはやはりいいなあと実感する。「セミATの魅力はそのままに」ハイブリッドという流行り手法で諸性能を伸ばして、まとめてあるのがこのクルマ。ハイブリッド車は欲しいけど、CVTみたいな走りはどうもね、という人はお試しあれ。あなたの求めていたハイブリッド車はこれなのではないですか?

 

試乗車スペック
スズキ ソリオ ハイブリッド SZ
(1.2L直4ハイブリッド・5速セミAT・206万2800円~)

●初年度登録:2016年11月
●形式:DAA-MA46S
●全長3710mm×全幅1625mm×全高1745mm
●ホイールベース:2515mm
●最低地上高:140mm
●最小回転半径:4.8m
●車重(車検証記載値):990kg(590+400)
●乗車定員:5名

●エンジン形式:K12C
●排気量:1242cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・ガソリン・横置
●ボア×ストローク:73.0×74.2mm
●圧縮比:12.5
●最高出力:67kW(91ps)/6000rpm
●最大トルク:118Nm (12.0kgm)/4400rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:32L

●モーター形式:PB05A
●モーター種類:交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)
●定格電圧:-V
●最高出力:10kW(13.6ps)/3185-8000rpm
●最大トルク:30Nm(3.1kgm)/1000-3185rpm

●バッテリー:リチウムイオン電池
●バッテリー容量:4.4Ah

●トランスミッション:5AGS(5速セミAT)

●システム出力:-kW(-ps)
●JC08モード燃費:32.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:165/65R15(Yokohama BluEarth )

●試乗車価格:227万1240円
※オプション合計:20万8440円
※オプション内訳:デュアルカメラブレーキサポート装着車(デュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、エマージェンシーストップシグナル、クルーズコントロールシステム)5万9400円、全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車(メモリーナビゲーション、TV用ガラスアンテナ、ハンズフリーマイク、外部端子(USB、AUX)、全方位モニター) 12万7440円、ボディカラー(ピュアホワイトパール) 2万1600円

●ボディカラー:ピュアホワイトパール
●試乗距離:約100km

●試乗日:2017年2月
●車両協力:スズキ株式会社

 
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