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ヒュンダイ ソナタ 2.4 GLS新車試乗記(第384回)

Hyundai Sonata 2.4 GLS

(2.4リッター・4AT・236万2500円)



2005年09月24日

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キャラクター&開発コンセプト

世界を舞台に5代目

ソナタという車名は1985年に中型セダン「ステラ」の最上級車として韓国で使われたのが最初。独立モデルとしては88年のソナタが初代で、93年に2代目、96年に3代目、98年に4代目と矢継ぎ早にモデルチェンジしてきた。今回の5代目は2004年に登場、すでに本国や欧米で発売されている。

韓流ブームにのれるか

日本への投入はこれが初で、2005年9月に発売。開発コンセプトには「ウェルバランスの追求」「真のバリューフォーマネー」を掲げ、コストパフォーマンスの高さを訴える。昨今の韓流ブームの中、人気ドラマの邦題「冬のソナタ」と車名がたまたま同じだったことを利用しない手はなく、広告には俳優のペ・ヨンジュンを大々的に起用する。

日本での年間目標は1500台。従来のヒュンダイ全体の販売台数が年間2500台ほどだから、期待は大きい。生産台数で世界7位をホンダと争うヒュンダイは、米国での顧客満足度も高めてきた。進出から5年目の日本でも、そろそろ存在感を示したいところだ。

価格帯&グレード展開

208万9500円~267万7500円

海外には3.3リッターV6+5AT搭載車もあるが、当面の日本仕様はパワートレイン1種類(2.4リッター直4+4AT)。受注生産の標準グレード「2.4GL」(208万9500円)、主力の「2.4GLS」(236万2500円)、その本革シート付き(246万7500円)、17インチホイールや豪華装備のLパッケージ付き(267万7500円)という設定。

一方、ターゲットのトヨタカムリ(2.4G)は237万3000円~、ホンダアコード(20A)は203万7000円~と、こちらも似たような価格帯。装備に優れる点はあるが、ソナタが破格に安いというわけではない。

パッケージング&スタイル

USアコードやカムリと同サイズ

見た目の大きさは「プレミオかアコードくらいかな」。実際は全長4800mm×全幅1830mm×全高1475mmとかなり大きい。カムリかUSアコードと同じくらいだ。最小回転半径は5.46m(カムリ:5.3m、アコード:5.4m)とライバルより少し大きいが、切り返しと駐車時以外はあまり大きさを感じなかった。


アコードの影響を受けたのは明らかで、個性が弱いのも残念。シンプルなヨーロッパデザインを目指したのは伝わってくるが、欧・米・亜を1車種でカバーしながら少し米国寄りに、という事情が伝わってくる。その点は一部の日本車も同じだが。

主力グレードは6エアバッグ標準

SUVのJMやコンパクトカーのTBと雰囲気がよく似たインテリア。高級感より道具感で、肩ひじ張らずに寛げる。カムリのようにだだっ広くなく、適度にタイトなのは欧州も意識したからか。GLSのステアリングとシフトノブは本革巻き。小物入れやグラブボックスの内側は植毛加工され、天井のサングラスホルダー内には柔らかい生地を貼る。ドリンクホルダーや電動シート(GLS)なども実用本位。GLSにはインダッシュ6連奏CDチェンジャーも付く(カーナビに換装しやすい場所・スペースであるのに注目)。日本向けのヒュンダイ車のウインカーレバーは日本車と同じ右側にある。

国産車に対して優れるのが安全装備だ。GLSではダブルエアバッグに加えて、フロントサイドとカーテンエアバッグが標準だし、前席のロードリミッター付きシートベルトプリテンショナーや5人分の3点式シートベルトが全車に付く。ここは確かに世界水準だ。

細かいところが気になる

細かいことばかりだが、気になったのは以下の点。まず、標準のオーディオのボリュームつまみが欧州車のように助手席側で、何度も間違えてラジオの周波数を変えてしまった。さらに、ステアリングスイッチのSEEKボタン(ブラインドタッチできるように出っ張っている)に手が当たって2回もSEEKさせてしまった(またもラジオの周波数が変わる)。グラブボックスのダンパーの動きがスムーズさに欠ける。ハンドブレーキの質感やタッチ(妙にストロークが長い)など。米国では問題にならないことだろうが、日本では厳しい部分だ。

タクシーに使えそうな後席

広く、しっかりしたシートの後席は、個人タクシーにも使えそう。サイドウインドウも大きくて角度も立っている。しっかりした3人分のヘッドレストと3点式シートベルトが備わり、アームレストのカップホルダーも安定感がある。リアサンシェイド(手動式)はLパッケージのみの装備。


後席の背もたれは左右分割でパタンと倒してトランクスルーになり、ある程度大きな物も積める。この辺りの機能はアコードやカムリもほぼ同様だ。

基本性能&ドライブフィール

トヨタ車もしくはアメ車風

試乗したのは2.4GLS。新開発の2.4リッター直4エンジン(164ps、23.1kg-m)で、1500kgのボディを引っ張る。アコード(2.4)は同じ排気量・圧縮比ながら、ハイオク仕様で200ps、23.7kg-m、しかも全車5ATとハイスペック。カムリは4ATでレギュラー仕様、パワーも159ps、22.4kg-mと大人しく、重量もソナタと同じくらい。スペック的に近いのはカムリだ。

実際、ドライビングフィールはトヨタ車に近い。現行カムリやプレミオ/アリオンといったところか。乗り味は柔らかいブッシュで突き上げ感を遮断したもの。アクセルを少し踏むだけでぐっと前に出るトルク感は4気筒のアメ車的。TBやヒュンダイクーペのような欧州車風とは対照的だ。タイヤはダンロップの一般的なタイプ(SP SPORT 270)で、快適志向のクルマの性格に合っている。

ESPで操縦性を確保

いつもの山道も少し走ってみた。主力グレードでESPが標準なのは世界戦略車らしいが、ワインディングを走り始めるとESPを設定した意味がよく分かる。操縦性は舵がかなり効くタイプで、ステアリングを切った方向によく曲がる。で、後輪がついていけなくなったところでESPが介入(作動ランプが点灯)、オーバーステアになるのを防ぐ。挙動はゆったりしているので、安定感は失わない。この感じ、何かに似てるなあと考えて思い当たったのが3年くらい前に乗ったVSC(=トヨタのESP)付きのカローラ・ラグゼール(1.8リッター)。しかし、クラスを考えるとソナタはESPに少し頼りすぎという印象。パワステの容量もハードに走るとギリギリだ。

シーケンシャルモードがあるが、レッドまで回すと自動シフトアップする。トルク型のエンジンと大きなステップ比のために、変速の面白さは皆無。

100km/h巡航は2000回転

高速巡航は静かだ。ロードノイズが小さい上に、100km/h巡航はたったの2000回転。これも1シリンダー600ccのトルキーなエンジンゆえか。バランサー入りで振動は小さく、この程度の速度ならエンジン音は聞こえない。踏み込めばすぐに3速に落ちて、グォーと事務的にスピードを上げる。これだけトルクがあれば5ATは不要かなと思う。UK仕様(160ps、4AT)の最高速は203km/h。

ここがイイ

室内は広いし、よく走る。スタイリング中庸、価格安め。6エアバッグなど衝突安全装備も充実。実用セダンとしてはおおよそ不満をつけるところがない。

ここがダメ

個性の弱いルックスと走り、そんなには安くない価格。ESPに頼りすぎのアクティブセーフティ性能。高級感、高品質感はあまり感じられないインテリア。不満がない代わりに、特にいいという部分もないこと。

総合評価

ヨン様を大々的にフューチャーしたCM展開は、これまでヒュンダイ車の存在すら知らなかった日本人を振り向かせ、さらには購入にまで駆り立てている。1年前にJMの試乗記で書いたとおり、韓流ブームに便乗すれば出来のいい現在のヒュンダイ車なら売れる、と言うことが実証されつつあるわけだ。韓流ブームがこんなに継続するということは予測できなかったが、まだブームが潰えていない今のうちにどんどん攻めればいいだろう。JMもTBもクーペも、出来はまったく悪くないのだから、それぞれに韓国のスターをキャラクターとしてつければ(ファンなら誰がどのクルマに合うか、想像すると楽しそうだ)、一気に日本市場を席巻できるはずだ。

そこでソナタだが、一言で言えば10年前のアメリカ向け日本車セダンのよう。USアコードのような、ざっくりとした米国人好みに仕立てられたクルマで、広さが象徴する実用性の高さは買えるものの、日本的な緻密な高級感、高品質感は残念ながら感じられない。出足鋭くやたらよく走るが、しっとりした走りを求めることはできないし、操作系の剛性感(しっかり感)も不足ぎみ。クルマ好きが愛でる対象にはちょっとしづらいと思う。

とはいえ、普通に乗るセダンとしては、何も問題はない。日本でセダンというと高級だったり、スポーティだったりと、ごく普通を売り物にするセダンは少なくなっている(普通では売れないから仕方ないのだが)。ヨン様好みの妙齢の女性達はクルマに特に詳しくはないと思うから、かえって普通のセダンであるソナタは抵抗なく買いやすいカタチということになる。ヨン様の愛車にはもうちょと別のタイプのクルマ(JMとか)がふさわしいような気がするが、購入層を考えると悪くないマッチングだ。

日本においてヒュンダイ車に足りなかったブランド力は、ソナタの場合タレントが補ってくれたわけだが、これを気にブランド力の構築をすすめることが今後のヒュンダイの課題だろう。企業規模やクルマの出来の部分ではすでに日本車に追いつけ追い越せ、一部追い越した、と言う状態なのだから、あとはブランド力をどうつけるかだろう。

クルマは衣料や家電などと違い、結局ノーブランド化は進まなかった。広くて機能的ならどこのクルマでもいい、とはやはり誰も思わない。やはりブランドや乗り味、性能などプラスアルファが必要だったわけだ。こうなるとヒュンダイは性能、機能を向上させることはもちろんだが、ソナタでも少し感じられるノーブランド家電的な質感を改善していくと同時に、メーカーとしての個性、クルマとしての味を付加していくことが課題だと思う。特に日本ではクルマに道具以上の何かであることを求める傾向が強い。ヨン様の次は、そこを強化していくことが最重要課題だろう。


韓流ブームの勢いで買ったソナタは、おそらく数年不満なく乗れるはずだ。しかしブームが去ったあと、あのGMサターンの時のようなちょっと悲しい事態にならないよう、数年先を見据えてのクルマ作り、販売戦略を進めてもらいたいと願う。

試乗車スペック
ヒュンダイ ソナタ 2.4 GLS
(2.4リッター・4AT・236万2500円)

●形式:GH-NF24●全長4800mm×全幅1830mm×全高1475mm●ホイールベース:2730mm●車重(車検証記載値):1500kg (F:910+R:590)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:G4KC●2359cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置●164ps(121kW)/5800rpm、23.1kg-m (227Nm)/4250rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/70L●10・15モード燃費:-km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:215/60R16(DUNLOP SP SPORT 270) ●試乗車価格:236万2500円(オプション:-)●試乗距離:約150km

公式サイトhttp://www.hyundai-motor.co.jp/index.html

 
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