未来のファミリーカーはもちろん未来のクルマそのものを示唆しているかもしれない快作
スパシオは誰にでもお勧めできるクルマではない。というのもこのクルマは小学生くらいまでの子供のいる家庭向きに設計されているからだ。お父さん、お母さん、子供そして、祖父祖母が時々集うという家庭には最も適している。特にセカンドシートは完全に子供向けの設計で、シート座面をチルトアップすれば身長100cmくらいの子供にぴったりのチャイルドシートが出現。視線がかなり高くなって子供は大喜びだ。またこのシートは日本で初めて取り外すことが可能。シートバックを倒すとテーブルになるから、アウトドアでは重宝しそう。欧米のミニバンでは当り前のこの機構も、日本では昨年の規制緩和でやっと可能になった。必要のないときにはシートを外しておく、こんな当り前のことができるようになるのにこんなに長い時間がかかるのが日本の現状。ちなみに助手席も回転するが、これも日本初だ。
ただし、こうした子供のいない家庭にとっては特に魅力的なわけではない。レジャーカーとしては絶対的な大きさがたりないし(サードシートを立てるとトランクスペースはミニマム)、セカンドシートのない4人乗りを買っても、リアのシートは足元がやたら広いばかりで、横方向はそんなに広くない。
こんなようにシートアレンジばかりがクローズアップされるスパシオだが、実際にはカローラベースのスペースユーティリティカーということで、これからのファミリーカーあるいはセダンそのものを示唆している事を忘れてはならない。カローラサイズで最も効率的なスペースを確保。インパネもセンター上部にナビゲーション、ステアリングの前には大きなデジタルスピードメーターと、普通の自動車の概念からはかなり外れた未来的なもの。ナビゲーションは横長二分割画面で地図と拡大図を同時表示できるし、メーター内には水温計や燃料残量計などがデジタル表示される。共にモニター感覚で、未来のクルマはここにパソコンディスプレイがセットされる事になるだろうことを予感させる作りだ。スペース効率の良さを追求した小型車はこれからのクルマづくりの夢。スパシオはベンツのAクラスへの日本的解答という事もできるのでは。簡単に開発されてはいるが、今後、自動車の歴史の中ではエポックメーキングなクルマとして記憶されるはずだ。
乗り心地は結構柔らかめで、走りの性能もまあ、カローラ。不足はないが、高速でもちょっとうるさいし、走りを楽しむクルマではない。もちろんファミリーカーとしては不足ないが。
GOA、ABS、エアバッグに加え衝突時に胸にかかる力をセーブするプリテンショナー&フォースリミッター付のシートベルトも日本初装備され、安全性もバッチリ。「これでもうちょっとカッコよければ文句はないんだが」と思うお父さんは多いはず。そう、せっかくコンセプトは新しいのだから、もうちょっとわかりやすい未来的なカッコ良さが演出できるとよかったかも。