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ヤマハ SR400新車試乗記(第694回)

Yamaha SR400

(399cc 空冷単気筒・57万7500円)

姿かたちはそのままに
インジェクションで復活した
「日本のスタンダード」で
Back to the 80's!

2013年05月17日

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キャラクター&開発コンセプト

35周年を迎えた超ロングセラー


今回試乗したヤマハ SR400(現行モデル)

ヤマハの単気筒ロードバイク「SR400」は、1978年から35年間、基本デザインや設計を変えずに販売されている超ロングセラーモデル。端正でシンプルなデザイン、軽快な走りが魅力の空冷シングルエンジン、カスタマイズ性の高さなどで多くのファンを得てきた。ヤマハはもちろん、日本を代表するオートバイの一つと言っていいだろう。

 

そのSR400も21世紀に入ると、キャブレターのままでは新しい環境基準をクリアできず、2008年秋に生産をいったん終了。しかし翌2009年12月には、「SRらしさの継承」をコンセプトに、電子制御式燃料噴射装置(フューエルインジェクション)を採用し、SRらしい走りと環境性能を両立したモデルとして復活。2010年モデルとして発売された。

生産はヤマハの磐田工場(静岡県磐田市)。「復活」時に掲げられた販売計画台数は年間1200台。また、東日本大震災を挟んで約2年後の2012年1月に発表された計画台数は年間500台となっている。

なお、キャブレター車の累計販売台数(1978~2009年)は、約12万7千台(SR500を含む)。

 

価格帯&グレード展開

車体色は2色で、57万7500円


現行SR400(ニューパールホワイト)
(photo:ヤマハ発動機)

現行SR400の車両価格は57万7500円。キャブ最終の2008年モデル(48万6150円)に比べて9万円ほど高いが、インジェクター、燃料ポンプ、三元触媒付マフラー等々の追加案件を考えれば仕方ないところか。

ヤマハによると、新型の主な購入層は20~30代のエントリー層や、大型車を乗り継いできたベテランが多いという。

新型の車体色は当初、ヤマハブラック(黒)とディープレッドメタリック(赤)の2色だったが、現在は同ブラックとニューパールホワイト(白)の2色。

■SR400     57万7500円

35周年記念限定車なら53万5500円


SR400 35th Anniversary Edition
(photo:ヤマハ発動機)

今年1月には2013年8月31日までの受注期間限定で、SRの35周年記念車「SR400 35th アニバーサリーエディション」(53万5500円)が発売されている。

専用車体色のダークグレーイッシュリーフグリーンメタリック、ブラウンとベージュの2トーンカラーシート、シルバー塗装のフレーム、専用ロゴ入りブラックメーター&カバーなどが標準装備になる。35周年記念車の勢いもあって、2月以降の実績は前年比200%アップとのこと。

■SR400 35th Anniversary Edition  53万5500円

 

スタイル&ディテイル

見事なくらい、昔と変わらない


シート高は790mm。身長が160センチあれば、両足つま先が着くはず

スリムで、たおやか、気品を感じさせるスタイリングがSRの魅力。英国車を範とした雰囲気はあるが、日本生まれならではの繊細さも感じさせる。カタログに並ぶ「普遍、本質、オーソドックス」といった言葉通り、デザインされ過ぎていないのも好印象の要因。

デザインは1950年代のYA-1から、1980年代のV-MAX、SRX、現代のYZF-R1まで、多くのヤマハ製オートバイを手がけてきたGKダイナミックスによるもの。

 

テールランプも無骨な角型のまま。カスタマイズの余地も従来モデル通り

また、カタログに「変わり続ける中にあって、変わらないもの」とあるように、スタイリングは見事に不変。ティアドロップ型のタンク、数々のクロームメッキパーツ、スチール製フェンダーなどが「合理化」されることなく継承されている。メッツラー製のバイアスタイヤがいまだに標準装着されているのは感涙モノ。

一方で昔と異なるのは、メーター(燃料警告灯を追加)、サイドカバーのデザイン(奥に燃料ポンプを内蔵したサブタンクを配置)、キャブレターに置き換わったインジェクション、エキゾーストパイプのO2センサー、触媒付きマフラーなど。

 

ヘッドランプは今どきの樹脂製マルチリフレクターではなくガラス製

サイドスタンドは新設計で、以前より操作力が軽くなったようだ。コツをつかめば、力はほとんど要らない
 

タンクは新設計だが、従来通りスリムで、コーナリング時にニーグリップしやすい。ハンドルクランプ上にあるのはオプションのETC用ボックス

前後18インチタイヤと高めのシート高が「しゅんとした」スタイリングの素
 

メーターには燃料残量警告ランプを新設。夜間は赤い透過照明でレタリングが浮き出る。距離計がアナログなのは今や珍しい

スリムな燃料タンクを継承するため、燃料ポンプはサイドカバー内側のサブタンクに内蔵する
 

新設計のスロットルボディと12孔インジェクターを採用

オイル潤滑方式はドライサンプ。メインフレームがエンジンオイルタンク(容量2.4リッター)を兼ねる
 

基本性能&ドライブフィール

まずは始動の儀式からスタート


ハンドル左にはデコンプレバーを装備。握ると排気バルブが開いて圧縮時の圧力が逃げるため、キックが軽くなり、ピストンを最適な位置に合わせやすい

インジェクション化されたとはいえ、新型SRの始動方法は昔と同じ。セルフスターターなんていう軟弱な?ものはなく、今でもキックスタートのみになる。新型SRの場合、その方法は以下の通り。

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1 イグニッションをオンにする。燃料ポンプが作動し、燃料を加圧するジーという音がする。

2 ステップの上に立ち、シリンダーヘッド右上のキックインジケーターを見ながら、ハンドル左のデコンプレバーを握ってキックレバーをゆっくり押し下げ、ピストンの位置を合わせる。インジケーターに白っぽいチェックマークが出たらOKなので、デコンプレバーを離す。

3 キックレバーを躊躇なく、一気に踏み降ろす。

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シリンダーヘッド右上には最適なピストン位置を知るキックインジケーターが備わる(写真はチェックマークが出た状態)

手順は以上だが、キックインジケーターを見ずに感覚と勘で合わせるだけでキックしてもOK。とはいえ、手順通りに操作すれば、うまくいけば一回目、悪くても二回目で「ドゥルン」とあっけなくエンジンに火が入る。

キック自体に力は不要で、特に新型はキックレバーが少し長くなってもいるので踏みやすい。また、いわゆるケッチン(キックレバーが跳ね返ってくる現象)は、インジェクション車に限らず、近年のSRでは対策が行われているので、まずない。

 

今回は比較のため、排ガス規制前の1997年式キャブレター車(写真奥)も一緒に試乗した

今回のように5月の温暖な季節なら、キャブ車でも始動性はいいが、インジェクションであれば冬場やエンジン冷間時でもチョークを引く必要がない分だけ、手間は少なくなる。また、長期保管した後の始動性もインジェクションならいい。そして気温や気圧に関係なく、最適な燃料噴射を行なってくれるのも心強い。点火系は従来のCDIから、エンジンやインジェクションとのマッチングを考慮してだろう、「スパークを良好に制御できる」としてフルトランジスタに変更されている。

出足はマイルド。クラッチは格段に軽くなった

キャブのSRはクラッチをつないだ瞬間から、タタタッと飛び出るような元気の良さがあったが、現行モデルの出足はマイルド。これは新旧SRで最も印象が異なる部分の一つだが、おかげで新型ではアクセル操作に気を使わず、誰でもスムーズに発進できるようになった。

また、クラッチは格段に軽くなった。資料には「クラッチスプリングの仕様変更により、クラッチ操作荷重を約30%低減」とあるが、感覚的には50%減という感じ。握力に自信のない人や女性の場合、キャブ車のSRでストップ&ゴーの多い市街地や渋滞路を走るのはけっこう辛いものがあったはずだが、新型なら大丈夫。これなら丸一日、一般道でツーリングできると思う。

2000~3000回転が美味しい

エンジン音は、音量も含めてキャブ車とほとんど同じ、という印象。低回転域でアクセルをガバっと開けた時に限れば、キャブ車のエンジン音は「バッバッバッバッ」と快活だが、そこは双方とも純正マフラー。取り立てて言うほどの差はないと感じた。

新旧いずれも、美味しい回転域は2000回転から3000回転。3000回転まで回してシフトアップすれば、2000回転にポトッと落ちる。で、気持よく走っている時に、メーターにふと目を落とすと、5速トップで2500回転くらい、速度で言えば50~60km/hということが多い。一般道やワインディングを走るのにちょうどいいので、制限速度を自然に守れてしまう。

 

発売当初はフロントディスクブレーキだったが、途中でドラムになり(1985-2000年)、2001年から再びディスクに戻った

そしてSRの大きな魅力である軽快な操縦性は、もちろん新型でも健在。むしろインジェクション化によってスムーズさを増したエンジン、操作感のいいクラッチやシフト、動力性能に対して十分な効きのディスクブレーキなどのおかげで、キャブ車より乗りやすくなっている気もする。

軽い車体と前後18インチのバイアスタイヤに合わせて、コーナーではリーンウィズもしくはリーンイン(体を内側に入れる)気味に、そして内側の足でしっかりタンクをニーグリップして走ると、軽量シングルならではの絶妙な一体感が得られる。上手な人が乗ればかなり速いが、ゆっくり走っても(それこそ50km/hでも)十分に楽しい。

高回転もいけるが、高速巡航は80km/hが快適

それ以上スピードを出すと、エンジン音がつながり始めて鼓動感が薄れるが、インジェクションSRは高速道路でも意外によく走ってくれる。80km/hなら十分に快適で、気持よく巡航可能。この速度域だと、鼓動感というよりはビート感になるが、シングルらしく軽快に走ることができる。

90km/h以上ではステップにビリビリとした振動が出始めるが、それを気にしなければ5速トップで4500回転、100km/h巡航も無理なく可能。インジェクション化で高回転域のスムーズさも増した印象で、キャブ車のSRほど振動は大きくならない。6000回転を超えると回転が軽くなり、レッドゾーン手前の7000回転まできれいに回り切る。参考までに、実質的なトップスピードは、最高出力26psを発揮する6500回転で145km/hといったところか。

ただ、実際には80km/h、約3600回転でのんびり走る方が楽しいし、車両キャラクターやシャシー性能にも合っている。追越車線に出ようとは、ほとんど思わない。

試乗燃費は27.3km/L。燃料容量は12リッター

今回は3日間で256kmを試乗。撮影のための移動を含めて、一般道から、高速道路、ワインディングまで走って、9.38Lを消費。試乗燃費は満タン法で、27.3km/Lだった。もちろん、SRらしくトコトコ走れば、30km/Lは確実に走るはず。ちなみに60km/h定地燃費は41.0km/Lだ。

燃料タンク容量は12リッターで、そのうち予備容量は2.2リッター(ただし約9リッターを消費したところで燃料警告灯が点灯したので実際には3リッターくらいか)。航続距離は実質、約300kmといったところ。

 

ここがイイ

いまだに新車で買えること。クラッチが軽くなり、始動性も良くなった

いまだに新車で存在していること。登場した35年前、1978年(昭和53年)といえば、クルマの世界では昭和53年排ガス規制がなされ、初代RX7やプレリュードが登場した年で、この頃から日本でも1960年代末にピークを迎えた古典的スポーツカーではなく、快適性や豪華さを競うモータリゼーションがスタートした。とはいえ、もう遥か大昔の話にしか思えない。この時代に発表されたクルマが今、新品で手に入ることなどありえないが、SRはいまだに新車で買える。イイどころか、すごいとしか言いようがない。

そして不変の、そして普遍のスタイル。ハーレー・ダビッドソンのスポーツスター 883に匹敵する名作、と言ったら言い過ぎか。また、インジェクションの採用によって、多少乗りやすくはなったが、やはりほとんど30年前から不変と言える乗り味。カタログには「オートバイの本質」「オートバイの原器」といった言葉が並ぶが、まさにそんな存在。バイクの基本を思い出させてくれる。

クラッチが軽くなったこと。SRのキャブ車はクラッチがかなり重めで、だからこそボアアップやキャブ交換といった、ある程度のエンジンチューンにも耐えられたのだと思うが、長時間乗るのは辛かったと思う。いくらのんびり走れても、苦痛であっては楽しめないし、クラッチが軽くなったことで乗り味自体も軽快になった。

35年前に比べると、足つき性が若干良くなったようだし、キックも軽く、インジェクションで始動性も良くなった。依然としてプリミティブな乗り物だが、それでもずいぶん楽になっているのは、いいことだろう。

ここがダメ

セルがあっても良かった

SRファンには怒られるかもしれないが、やっぱりセルは欲しかった、という気も。セルの便利さに慣れた今、キックレバーを残したままセルがあれば、と思わずにはいられない。確かに今回はキックによる始動が面白かったが、足として気軽に乗るにはちょっと、という面も否定できないと思う。同時にエンストも心配で、何となく最後まで気を許せなかった。

総合評価

カスタムベースとして最も手頃な単車だった

今回は一人称で書かせてもらいたいと思う。私は30年ほど前にSRに乗っていたのだが、当時のそれはかなり特殊なSR趣味だったことをまず説明しておきたい。

中学生の頃に映画「イージーライダー」を見て、チョッパーに憧れた。高校時代はマッハIIIとかの現役時代だが、すでに教習所へ通わないと大型には乗れなかった。そこまでの根性がなかったので(むろん学校にバレれば停学だったし)、中古で手に入れたのは原付のスズキ バーディー。高校生がバイトで買えたのは、これくらいがやっと。原付でもホンダのCB50とかに乗りたかったけど、当時はギターもバイトをして買わなくてはならなかった。そのためスポーツバイクは自分では買わず、友だちのを借りることが多かった。そのうちヤマハ AT125を借りて乗ったりして、無免許で捕まったり。まあよくいるおバカな高校生だったわけだ。とにかく欲しかったのはマッハではなく、アメリカンバイクだった。しかしそれは残念ながら日本にはなかった。ハーレーは当時高嶺の花で、そこらで売っているものでもなかったし、買うこと自体が考えられることではなかった。

 

18歳になってクルマの免許を取ってからは、バイクからすっかり離れていたのだが、1980年代初頭のバイクブームと、カワサキからZ400LTDという和製アメリカンが出たこともあって、再びバイクに乗ることに。いよいよチョッパー(らしきもの)が買える時代がやってきたのだ。とはいえ車検があって、改造(この時代、改造は違法だった)が何かと面倒な400はやめて、Z250LTDの単気筒の方を購入(Z250は並列ツインもあって、そちらは大柄ゆえ人気があった)。むろんこの選択はシングルというところに価値を見出したことが大きい。アメリカンならVツインであり、せめてそれに近い鼓動感のあるシングルでしょうということだ。スリムなシングルチョッパーを目指して色々改造し、友人のSR250(これもシングルのアメリカン)とツーリング。妄想としてはイージーライダーだった(苦笑)。

 

しかしヤマハのRD250からRZ350へ乗り継いだ2サイクルかっとびバイク乗りには「遅すぎ」とバカにされ、むろんハーレーとは比較にならず、そんなモヤモヤの中、ついホンダの初代VT250を購入してしまう。しかしVツインながら、これはあまりに私のバイク観と異なるもので、すぐに売り払い、結局SR400購入ということに。SRはビッグシングルであったことも重要だが、私にはこのバイクがずいぶんアメリカン(に改造できるもの)に見えたのだ。当時、SRの改造と言えば、BSA風にするのが主流で、タンクを変え、セパハンにし、シングルシートやバックステップを組んで、クラシックなブリティッシュレーサー風にしたものが、皆のあこがれだった。

しかし私はSRをチョッパーにしたかった。エンジン形式こそ異なるが、883の雰囲気にできないものかと考えたのだ。当時はそんなことをやろうとする人はあまりいなかったので、専用部品もなく、やっと見つけたショートサスや、無理やり取り付けたチョッパーシートなどで、なんとかそれらしくはなった(足つき性は大幅に改善された)。とにかくこの時代からSRは、かっ飛ぶものというより、いじるためのものであった。当時もカスタムベースとして、最も手頃な単車だったわけだ。

役立たずの、ろくでなし

最近の何度目だかのSRブーム?を見ると、あまりに何も変わっていないことに愕然としてしまう。いまだにブリティッシュレーサー風にするSRが多いようだし。変わったことと言えば、昔は恐る恐るだった改造が、今や大っぴらにできることだろうか。最近はSRベースのチョッパー風改造もあるようで、まさに当時私がやりたかった改造が施されて、コンプリート状態で売られている。それはこの30年がムダでなかった、ということなのかもしれない。様々な試行錯誤の結果、カスタム文化が日本に定着したことは素晴らしい。SRは変わっていないが、環境はずいぶん「良い方向」へ変わったのだ。

さて、やがて出版の仕事が忙しくなった私は、いつしかバイクに乗らなくなってしまったが、アメリカンバイクのホンダ レブルが出た頃、「バイクガイド」という名古屋のバイク雑誌(現在の「バイクタイム」の前身)を創刊したりしてみた。だが、雑誌は作ったものの、もはや自分で乗ろうとは思わなかった。レブルは250の並列ツインだったし、当時の改造チョッパーといえば、ロングフォークのバンザイチョッパーのような品のないものが多かったこともその理由の一つだったのかもしれない。

 

しかし今回、当時とほとんど変わらないSRに乗ってみると、35年もの月日は一体何だったのかと思ってしまう。そして久々にバイクに乗ってみて思ったが、生身の体がガードされることなく100km/h以上に達するわけで、コケればタダでは済まない。こんな危険なものがいまだに売られていること、もっと言えば、その危険の中に身をおいて楽しむ乗り物がいまだに商品であることは、4輪車の価値観から言えば、信じられない話だろう。危険な遊び道具。役立たずの、ろくでなしで危ないヤツ。それがバイクだ。

そんなバイクがここまで生き延びてきたのは、人間が理性だけでは生きられない、矛盾をはらんだ存在だからだろう。そして役立たずの、ろくでなしがバイクの本質だとしたら、それを最もシンプルな形で持っているのがこのSRではないか。30年前と同様に、キックしないとエンジンは掛からず、手は振動でしびれる。いつも4輪で走る試乗コースを今回も走ったが、すっかり疲れてしまった。おそらく最新設計のバイクなら、はるかに速く、もっと快適であり、また安全装置としてABSやトラクションコントロールを装備するものもある。それに対してSRは、基本的には何も進化していない。乗せられるのではなく、乗りこなさないといけない乗り物だ。しかしそれゆえに楽しい。

他に類を見ない奇跡的な日本製品

そして乗って楽しく、自分が思うように改造したくなってしまうそのプリミティブさこそが、メーカーの思惑を超えて、ここまでSRを生き延びさせてきた原因だろう。つまりメーカーではなく、ユーザーが生きながらえさせてきたという稀有な例だ。もう少しと思うから、いじりたくなる。いじれば、ますます楽しくなる。完璧で安全で、いじるところのない乗り物は面白くない。最近のクルマが面白くないと言われるのは、その辺りのこともある。電子化された高性能で安全な乗り物に対して、インジェクション化されたとはいえ35年前のままのSR。安全でなければならないクルマではこんなことは到底無理だが、バイクの場合は大昔の商品が、ある意味「新品で動態保存」されて売られている。それはある意味不思議なことであり、またある意味幸運なことだ。

ハーレーのようにしたくてSRを改造したのだが、30年を経て今やSRはハーレーと並び立つ存在にまでなってしまった。昔のままの味が売りという点で両者の立ち位置は同じだ。そうしていられるのはファンが支持してきたゆえだろう。その点でもまさに他に類を見ない奇跡的な日本製品であり、ここまでくると今や「日本の誇り」でもある。国民栄誉賞というのは、こういうものにも与えていいのではないかと思うのだが、まあ、役立たずの、ろくでなしで危ないやつに、政治的な賞が与えられるはずもないか。インジェクション化されたことだし、45年、55年とこのままずっと作り続けてほしいと切に願う。

 

試乗車スペック
ヤマハ SR400
(399cc 空冷単気筒・57万7500円)

●初年度登録:2011年6月●形式:EBL-RH03J ●全長2085mm×全幅750mm×全高1110mm ●ホイールベース:1410mm ●シート高:790mm ●最小回転半径:2.4m ●乾燥重量/車両重量(前・後):-/174kg(79+95)●乗車定員:2名

●エンジン型式:H329E ●排気量・エンジン種類:399cc・空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ・単気筒 ●ボア×ストローク:87.0×67.2mm ●圧縮比:8.5 ●最高出力:19kW(26ps)/6500rpm ●最大トルク:29Nm (2.9kgm)/5500rpm ●燃料供給装置:電子制御燃料噴射(フューエルインジェクション) ●始動方式:キック式 ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/12L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●60km/h定地燃費:41.0km/L

●トランスミッション:5速リターン式 ●駆動伝達(2次減速):チェーン駆動 ●サスペンション形式:前 テレスコピック/後 スイングアーム ●タイヤ:前:90/100-18M/C 54S /後:110/90-18M/C 61S(Metzeler ME77、チューブタイプ)●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:ETC車載器 -円 ●ボディカラー:ヤマハブラック ●試乗距離:約260km ●試乗日:2013年5月 ●車両協力:YSP天白(名古屋市天白区)

 
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