Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スバル ステラ カスタム R

スバル ステラ カスタム R新車試乗記(第425回)

Subaru Stella CUSTUM R

(0.66L・CVT・119万7000円)



2006年07月28日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

スバル初となる軽のトールワゴン

2006年6月14日に発売されたステラは「たのしい関係空間」を謳うトールワゴンタイプの新型軽自動車。シャシーはもちろんR2がベースで、660cc直4のNAもしくはスーパーチャージャーにCVTを組み合わせたパワートレインも基本は同じ。一方でステラは室内の広さや使い勝手を重視し、リアシートが左右別々で前後スライドするなど様々な工夫が凝らされている。

車名のステラ(Stella)はイタリア語で「星」。いかにもスバル(昴)らしい車名だが、ベット・ミドラー主演の映画「ステラ」(1990年)を思い出す女性も多いのでは? 販売目標は月間5000台だ。

価格帯&グレード展開

「ステラ」と「ステラカスタム」の2本立て

ラインナップは普通の「ステラ」が2車種、スポーティな「ステラカスタム」が2車種。具体的には以下の4グレードだ。

ステラ L (98万7000円~)
ステラLX (110万7750円~)
ステラカスタムR (119万7000円~)★今回の試乗車
ステラカスタムRS (139万6500円~)
「L」「LX」「カスタムR」の3モデルは自然吸気の直4エンジンで、「RS」だけスーパーチャージャー付となる。変速機は全車CVT。FFのほかにビスカス式のAWD(All-Wheel-Drive=4WD)が10万9200高で選べる。

標準の「L」でも困らないが、ABSや快適装備のいくつかがオプションか非装着。一方でパワフルな「カスタムRS」は、HIDやアルミホイールがオプションの割に高価だ。当面の販売主力は「LX」か、デザイン違いの「カスタムR」だろう。

パッケージング&スタイル

ワゴンRやムーヴに肩を並べた

全長、全幅はいつもの軽サイズ(全長3395mm×全幅1475mm)で、全高は1645mmだ。背はR2(1520mm)はもちろん、プレオ(1575mm)よりずっと高く、ワゴンRやムーヴとほぼ同じ。背の高さに関しては、売れ筋に肩を並べたと言える。

R1/R2でやり尽くした?

試乗車はステラ「カスタムR」(NAエンジンの方)で、カスタム専用のプロジェクターヘッドライトや大径フォグランプを埋め込んだバンパーを装備する。それにしても「スプレッドウイング・グリル」はいいとして、R1やR2みたいなイタリアンな雰囲気は一体どこへ行ってしまったのか? デザイン面で萎縮してしまったとすれば残念だ。

インパネも基本的にR2と同じ

R2と同じと思しきダッシュボード一式。ボディ形状はかなり違うが、バルクヘッドやインパネ骨格に大きな変更はないようだ。操作系もR2と大差なし。助手席を前に倒すとテーブルになる(パッケージオプション)のもR2と同じだ。試乗車にはお弁当を食べる時などに便利な深めのトレーが付いていたが、これは1万6800円の販売店オプション。コンビニフック、ドリンクホルダー、ドアポケットのティッシュボックス入れなど、便利な工夫がいろいろある。

「カスタム」はiPodのケーブルをインパネに直接つなげる外部入力端子を装備。アームレスト小物入れにiPodを入れて使うという想定のようだ。「カスタム」ではダッシュ奥(12cm径)と前ドア(16cm径)の4スピーカーで、音はこのクラスとしてはまずまず。

接近でロック解除する「スバルスマートパス」
試乗車はキーを持ってドア周辺に近づくだけでドアのロックが解除される「スバルスマートパス」(パッケージオプションで4万9350円)を装備。これはR2の「スマートキーレス」とは違って、運転席周辺だけでなく、助手席ドアや後席ドア、荷室ドアの近くでも反応する新型だ。Aピラー内側の青色LEDがロック解除時に点灯するので作動状況も分かりやすいが、エンジン始動にはキーを差し込まなければいけない。携帯するだけでエンジン始動まで出来る他社のスマートキー(インテリジェントキー)から乗り換えると、最初は中途半端な印象を受ける。オプション価格の安さを優先したのだろうか。

前後スライドするリアシート

ホイールベースはR2と同じだが、室内長はR2(1690mm)より115mm増えて1805mm。ヒップポイントが上がり、天井の高さ(座面⇔天井)も100mm弱増えて、R2では若干あった窮屈さがなくなった。要するに平均的な軽トールワゴンの広さと言える。リアシートの座り心地自体はまずまず。写真は「ステラカスタム」の黒内装だが、普通の「ステラ」なら明るいベージュ内装になる。

もう一つステラならではの機能は、運転席から手を伸ばしてリアシートを左右別々に前後に200mmスライドさせられる点。これによって運転席のお母さんと後席チャイルドシートの子供との距離を縮められる。リアドアはダイハツ車のように約90度まで開く。

後席を畳んでも完全にフラットにはならないが、試乗車ではオプションのラゲッジリッド(1万500円)で高さを揃えている。荷室にはベビーカーが立てて固定できるストラップが備わり(廉価グレードを除く)、助手席まで全て畳めば長物も入る。

基本性能&ドライブフィール

4気筒ならではの低振動

試乗したのは自然吸気エンジン(54ps、6.4kg-m)の「ステラカスタムR」(FF)。スバルがこだわる4気筒のメリットは、3気筒に対して圧倒的に回転が滑らかなところ。実際、アイドリング時でもステラのステアリングはほとんど振動せず、そもそもエンジンそのものが揺れていない。3気筒エンジンがマッサージ器みたいにブルブル頭を振っているのとは大違いだ。回転上昇の滑らかさもエンジン形式が同じリッターカーと遜色ない。長時間乗った時の疲労度という点では、3気筒に差をつけそうな部分だ。

やはり自然吸気ではトルク感不足

一方のデメリットはトルク感不足だ。他メーカーが軽の4気筒エンジンに消極的になった理由はコストの問題(単純に考えて3気筒の約1.3倍)や低燃費の狙いにくさもあると思うが、やはり最大の理由がトルク感の薄さだろう。発進自体はトルコンのクリープがあってスムーズだが、その後のアクセルひと踏み目にそれを痛感する。車重はR2より50kgほど重い870kgで、その分非力な印象が増した感じだ。

ややスリップ感のあるCVTがその印象に拍車をかけるが、これは低燃費狙いの低回転から、パワーバンドまでの差がどうしても生じるからだろう。アクセルを全開にすると6000回転辺りに針を釘付けにして、ウヮーンと粒の揃ったメカニカルノイズを発するが、加速そのものはジワジワ、という感じだ。

巡航時の快適性は素晴らしい

それでも、しばらく走ってアンダーパワー感に慣れてくると、巡航時の快適性や、走りの質感の高さも分
かってくる。定速走行時はCVTだけあって低回転を維持。静粛性も高く、しかも4気筒だけあって振動レベルは上質と言っていい部類だ。高回転型エンジンのように、回すことを迫られている感じもなく、のんびり走ることができる。まあ、頑張ってもそう速くはないのだが。

ロールはそれなりに大きいが、おそらく重心自体はR2と大差ないのだろう、不安定な感じはない。特にスバルならではの独立懸架に吊られた後輪が粘着テープで張り付いたように路面から離れないので、山道でも不安なく走ることができる。基本的にはアンダーステアかつアンダーパワーなので、コーナーで頑張っても走行抵抗がナチュラルESP?となって、それ以上何も起きない。

また、まっすぐ淡々と高速道路の走行車線を走るだけなら、素晴らしく快適だ。空いた高速道路でひたすらアクセル全開が許されるなら140km/h近くまで出そうだが、そこまでたどり着くには相当な時間を要する。追い越し加速も厳しいから、やはりおとなしく走るしかないだろう。

ここがイイ

リアシートを前後スライドさせると運転席と後席の距離がさらに縮められる。これは上級車には真似できない小さなクルマならではのメリット。また、よく考えられたユーティリティ類。特にドアポケットに立てておけるティッシュボックスはその置き方ガイドが表示されていて、気が利いている。後席背もたれにあるストラップも、ベビーカーならずとも固定に便利。これはいろんなクルマがつけるべき装備だ。

青く光るAピラーのLEDウェルカムライトは、左右に一個ずつあるだけだが、なかなかいい雰囲気を演出してくれる。ドアを開けたときに後方への警告にもなるようだが、そうした実用面よりもやはり雰囲気のものだろう。これも今後各社が採用しそうな装備だ。

コストを削減した方が偉いと思われるこのご時世で、四輪独立懸架を頑なに守り通しているところはさすが。足回りをこれだけソフトに設定して、ちゃんと接地性を確保できているのはこれがあってのこと。グリップのいいタイヤ→足を固めて→ボディ剛性アップ、ではなく、基本性能を高めるならこっちこそ王道だろう。

離れるとロック、近づくとアンロックというスマートキーは、キーとリモコンが一体ではなく昨今の流れからはズレている。しかし「リモコンはバッグに入れっぱなし」という使い方をすると、これが逆に便利。キーの方は今までどおりキーとして持ち運んで使えばいいわけだ。リモコンを手に持っていなければ、始動のためにキーをキー穴に差し込むのも当たり前で違和感がない。今までどおりキーの存在を意識できる(つまり無くさない)という意味では悪くないと思う。

ここがダメ

高価なスーパーチャージャー車(レギュラーガソリン仕様とはなったが)を諦めると、トルクのないNAエンジンしか選べないこと。加速時を除けばなかなか快適なのだが、やはり絶対的にトルクが不足している。もちろんスバルにはこの4気筒路線を貫いて欲しいが・・・。また、CVTもなかなか大きなCVT音を聞かせてくれる。それなりに室内騒音が引き下げられているだけに、より気になるところだ。

三角窓(のピラー)により斜め前方の死角が大きい。運転席からの視点だと、ピラーが相当太く見えてしまうのが原因。他社では最近うまく角度をつけて、実際の太さが気にならないように配慮されているのだが。

総合評価

昔、といっても20年ほど前のことだが、軽自動車を何台も営業車として使っていたことがある。とは、先週と同じ書き出しだが、今日はスバルの話。何故かダイハツはなくて、スズキ、スバル、三菱、ホンダがあり、どのクルマも過酷に使われていたが、一番丈夫で10万㎞以上元気に走ったのはスバルだった。当時の軽自動車レックスは2気筒も、そのあとに出た4気筒も15万㎞ほどを元気に走り、実に丈夫で、いいクルマだった記憶がある。当時は軽ならやっぱりスバル、と多くの人が認めていたものだ。今でも赤帽など業務車両はスバル車が多い。

ただ、デザインだけは今ひとつ、という声は当時からあった。質実剛健、丈夫で長持ち、それがスバルのいいところで、ホンダやスズキのカッコ良さにはかなわなかった。ここ10年ほども、新規格車として登場したプレオが中途半端なデザインで、インパクトに乏しかったのが辛い。セダンタイプとミニバンタイプの需要を一台で満たすというのは、やはり無理があったと思う。満を持して出したR2やR1にも、ショーカーのインパクトはなかった。ステラも正直言ってデザイン的には凡庸だろう。

スバルも一時は軽市場でのシェアが30%を超えていたわけで、現在の5%前後といわれる数字には何とも寂しいものがあるが、何故売れ筋であるミニバン型軽の新型車が出せなかったのかが、どうにもわからないところだ。プレオは98年の10月発売。モデルライフの長いスバルとしては8年でのモデルチェンジは致し方ないのかもしれないが、市場の求めるクルマを何とかして出せば、ここまでシェアを落とす事もなかったのでは、と思う。発売当時のプレオ試乗記でもわかるように、ハードウェアとしては当時すでにそう不満はなかったが、デザインというソフトウェアの部分をフォローできなかったことが辛い。もちろん会社の経済的な事情はわかるが。

そこでついにミニバン型軽ステラの登場となるわけで、スバルとしてはこのステラでシェア10%を目指すという。となればかなりの期待が高まるのだが、ステラは心躍るほどの躍進ぶりを見せてはくれなかった。様々な機能は、なるほどよく考えられているが、すべてが今までどこかで見たもの。もちろん、これまでスバルにはなかったミニバン型軽だから、特に子育て世代の女性にはウケるはず。使えば満足がいくはずのクルマだとは思う。試乗車がNAだったこともあるが、走りの面でも女性向きという感じだ。CMやカタログの編集どおり、若いママ向けのクルマとして完全に絞り込まれている。

これでスバルは3台の軽自動車を持つことになったが、女性向きのミニバンタイプ、2ドアクーペ、4ドアスペシャリティという不思議なラインアップだ。加えてプレオが当面併売されるが、いわゆる普通のセダンタイプがない。10年ちょっと前にヒットしたネオクラシックセダンのヴィヴィオ(最近でもまだよく見かける)に乗っていたような中年男女は、やはり今も選ぶべきクルマがないわけだ。また、安い営業車になるクルマもない。若いママ以外のスバル軽好きはR2ということになるのだが…。そこがちょっとわからないところだ。

スバルが最近、ボルボの販売から撤退したのは、株主となったトヨタの意向が大きいという噂がある。今後トヨタはスバルをどうしていくのだろうか。トヨタ系列にはダイハツがあり、トヨタにとって「スバルの軽」は必要性がないようにも思える。例えばスバルの軽シェアがそのままダイハツに移行すれば、ダイハツはスズキを抜いてトップとなれる。そんな大局も見据えてステラには、ダイハツと同じネーミングのグレード「ノーマル」と「カスタム」がつけられたのでは、というのはかなりうがった見方だろうか。

試乗車スペック
スバル ステラカスタム R
(0.66L・CVT・119万7000円)

●形式:DBA-RN1●全長3395mm×全幅1475mm×全高1645mm●ホイールベース:2360mm●車重(車検証記載値):870kg(F:530+340)●乗車定員:4名●エンジン型式:EN07●658cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置●54ps(40kW)/6400rpm、6.3kg-m (63Nm)/4400rpm●カム駆動:タイミングベルト●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L●10・15モード燃費:22.5km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:155/65R14(FALKEN SINCERA)●試乗車価格:-円(含むオプション:HIDロービームランプ -円、ユーティリティパッケージ<スバルスマートパス、助手席マルチユーティリティシート、撥水シート> 4万9350円 、アルミホイール、-円、パッセンジャートレー 1万6800円、ラゲッジリッド 1万500円)●試乗距離:約200km●試乗日:2006年7月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

公式サイト http://www.subaru.co.jp/stella/

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

最近の試乗記一覧