新車試乗記 第170回 ホンダ ステップワゴン Honda Stepwgn



日時: 2001年04月27日

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キャラクター&開発コンセプト

FFベースの1BOXミニバンのジャンルを一代で築き上げた大ヒットモデル

数々のお買い得モデルを投入したこともあって、1996年5月の登場からモデル末期までの約5年間、まったく人気の勢いに衰えをみせなかったステップワゴン。フロントエンジンの前輪駆動レイアウトの採用により、フロアを低くフラットにした上、ボディもほとんど「四角いハコ」としたことで5ナンバークラス最大の室内空間を実現。その使い勝手の良さが絶大なる支持を得て、国内の累計販売台数はおよそ47万台。月平均8000台を売った、まさにファミリーカーの革命児といえよう。同時に若者にウケたのも大きい。カスタムベース車になるとはホンダ自身も考えてなかっただろう。

そんな大ヒットモデルでも、少なからず不満点があったのも事実。その不満点をキレイサッパリ解消したのが2代目となる新型ステップワゴンだ。5ナンバーサイズの四角いカタチはそのままに、8人乗りミニバンとしてのシートアレンジを中心とした室内ユーティリティを大幅に向上。「子供を中心とした家族のバンザイ」というコンセプト通り、大人の視線ではなく子供の視線に立って開発を進めたのが大きな特徴だ。パワートレーンは全車、新世代「i」シリーズの2リットルi-VTEC+4ATを搭載。ディーゼルの設定はなく、駆動方式はFFの他、4WDを用意する。なお、新型ステップワゴンへの搭載を考慮した、新型電動アシスト自転車「ステップコンポ」も同時に発表された。

価格帯&グレード展開

納得できるリーズナブルな価格。それでもやっぱり大幅値引きに期待がかかる

基本グレードは、装備の違いによる「K」「I」「D」「Y」の4タイプ。旧型は「W」「G」「N」の3タイプだったが、それぞれに「回転対座シート」と「ポップアップシート」の選択肢が用意されていたため都合6パターン。新型はシートアレンジの選択肢がないため、よりシンプルなグレード構成となった。これはミニバンとしては異例で、実際、ライバルと比べてもディーゼル車の設定がなかったりと、半分以下のグレード数に抑えられている。グレード数の削減は、低コストにつながり、最終的に車両価格は安くなる。これもステップワゴンの安さの秘密だ。

価格帯は185.8~229.8万円で、4WDは25万円高。旧型とほぼ据え置きだ。最も安価なグレードは「Y」で185万8000円。安全装備こそ229万8000円の最上級グレード「K」と全く変わりなく、快適装備、内装、シートアレンジの数で差別化が図られる。あらゆる装備を殺ぎ落とし、実用とはほど遠いという「客寄せパンダ」的なグレードではなく、ベーシックな装備は標準化されており、シートアレンジも1列目の回転機構が省かれているくらい。大きな不満はない。これにプラス10万2000円となる「D」は、エアコンがマニュアルからオートに格上げされ、アームレストやキーレスエントリーなど、使ってみると手放せなくなる装備がアレコレ追加される。日常的な使い方なら、これだけで十分満足できる内容だ。

でもやっぱりミニバンならではの多彩なアメニティ装備や、子供の喜ぶ顔が見たいとなると、最低でも「I」は選択したいところ。1列目シートの回転機構とパワースライドが付いて209万8000円。最上級の「K」はリアカメラ付きカーナビ(6インチモニター)、AC100V電源、アルミホイールが追加される。ちなみに8インチモニターのカーナビを付けると、「I」は25万円、「K」は5万円が必要。8インチモニターをつける人は、「K」が絶対お得。

ライバルはトヨタ・ライトエースノア/タウンエースノア、日産セレナ、三菱ディオン、マツダ・ボンゴフレンディ。旧型ステップワゴンは、絶対的な車両価格の安さに加えて、大幅な値引き攻勢で大人気を博したわけだが、新型はほとんどワンプライスでも納得できる仕上がりとなっている。果たしてディスカウント価格に歯止めがかかるか、も気になるところ。

パッケージング&スタイル

デザイナーの手腕を振るった灰色バンパーも、ユーザーから見れば不満?

足回りなどオールニューの部分もあるが、ベースは基本的に初代のものを流用している。ボディサイズは全長4670mm×全幅1695mm×全高1845mm。旧型比で全長+60mm、全高+15mmの拡大となったものの、5ナンバーサイズはキープ。ホイールベースは+5mmの2805mmとなった。リアドアはライバルに迎合せず、片側スライド式を採用。その最大の理由は、エアコンユニットが納まったことだが、他に室内レイアウトの自由度が高まるからという理由も大きい。その他に、軽量化や低コストに有利。右側(運転席側)にドアがあると、交通量の多い道沿いで子供が飛び出す危険性があるなど、片側ドアのメリットはイロイロ挙げられる。せめてウインドウの昇降機能ぐらいは欲しかったところだが、このクラスで遠隔操作による自動スライド機能を標準装備(「K」「I」のみ)としたのは大歓迎。また、スライドドアと給油口の干渉避けるため、燃料タンクの配置を変更し、給油口を助手席側から運転席側に変更した点も見逃せないポイントだ。

シンプルで「四角いハコ」というデザインモチーフは旧型と同じ。というか室内の広さを徹底的に追求すれば必然的に「四角いハコ」になるわけで、新型ではさらにAピラーを前進させ、サイドウインドウを立たせてあるので、実際は一段と「ハコ」に近づいている。それでも思ったほどヒョロッと見えないのは、細部に視覚効果をいかしたデザイン手法を盛り込んでいるから。リアの四隅の角を落とし、ルーフからリアバンパーにかけて灰色のガーニッシュで囲むことにより、車高は低く、全長は短く見えるという寸法だ。これは旧型もやっていたが、新型では使用範囲をフロントバンパー下の横方向にも及んでおり、ワイド感も強調されている。ただ、ユーザーにとっては「灰色バンパー=チープ」とイメージもあるだけに、イジリたくなるデザインとも言える。アフターパーツで儲ける、という戦略は旧型同様。早くも新型の発表と同時にカスタムバージョンがホンダ系列の「モデューロ」から発売されている。

すべては子供のためのパッケージング

室内寸法は、長さ2800mm、幅(頭上部)1240mm、高さ1350mm。ボディサイズの拡大に合わせてそれぞれ+70mm、+40mm、15mmの拡大を実現している。また前席左右シート間は30mm拡大しており、アームレストの付いた状態では後席へのウオークスルーがしづらかった旧型の不満が解消された。2列目左側は旧型同様、観光バスのような補助シートを採用。3列目へのアクセスを考えると、これがベストの選択といえよう。

新型ならではの特徴は、「子供の視線」を取り入れたユニークなパッケージングだ。その好例が乗降性。ステップ地上高は旧型よりもさらに45mm低い420mm。同時にスライドドアに通常よりも低い位置にアシストグリップを設けて、幼児でも楽に乗降できるように改善してある。子供に優しければ、高齢者にも優しいはず。言い換えれば、バリアフリー的発想のパッケージングともいえよう。また、アメニティ装備も充実しており、なかでも子供達が喜びそうなのがビデオ端子とAC100V電源だ。これにテレビゲームを接続すれば、行楽名物の大渋滞だって子供達は退屈せずにすむはず。

なんでもできる、どんなリクエストにも応える日本一? 多彩なシートアレンジ

ステップワゴンはこれまで数少ない不満として、内装の安っぽさと制約のあったシートアレンジの2つが主に挙げられていた。新型ではその問題をキッチリと解消。まずシートアレンジ。先代は2列目シートが回転する「回転対座シート」か、2/3列目シートが収納できる「ポップアップシート」かの二者択一を迫られたが、新型はそれを見事に両立し、ユーザーの迷いを一掃。さらに前席対座や3列目シートスライドなど新しい魅力を盛り込み、どんなワガママなリクエストにも対応する。また、定評のあったフルフラットモードは、旧型が2、3列目でしかできなかったのに対して、新型は全列シートで実現。その長さ約3m…、我が家のベッドよりも大きいではないか。操作方法もどれもこれもイージー。とにかくアッパレ。

子供のためのパッケージングというが、シートサイズも子供用なのは不満が残る

インパネは絶壁&直線基調だったものからソフトで上質なイメージになった。コラムシフトはインパネシフトに変更され、最上部に設置されるカーナビは6インチもしくは8インチのサイズに拡大され、視認性、操作性を向上させている。質感も飛躍的に向上しており、内装色は先代で主流だったグレー、ブラックといった事務的イメージを完全に払拭。ベージュ、イエロー、ブルーとお洒落なリビングルームを思わせる仕上がりとなっている。ただ、これだけ明るい色調だと、子供の乗る機会が多い性格のクルマだけに、ドロや飲み物による汚れが気になるところ。また、あまりにも多種多芸なシート作りを追求したあまり、シート本来の役割、座り心地が犠牲にされているのも不満が残る。両脇に追いやられた1列目シートに座ると腕がドアに当たるし、2/3列目シートはクッションが厚くなるなど、フィット感自体は先代よりも改善されているものの、シートサイズは依然小さいまま。3列目シートは仕方ないとしても、2列目シートでさえシートバックの高さが足りず、ヘッドレストが全然役になっていない。現状は「お子さま用」。3点式シートベルトが右側のみというのも安全性を考えると疑問が残る点だ。

基本性能&ドライブフィール

軽量ボディ+クラストップレベルのエンジンパフォーマンスで、ライバルにさらなる差をつける

搭載されるエンジンはK20A型。ホンダの新世代エンジンしてストリームにも搭載された2リッター直4DOHCの「i-VTEC」だ。この「i-VTEC」とは、自慢の可変バルブタイミングリフト機構VTECに加えて、バルブタイミングの位相をエンジン負荷に応じて連続的に制御するVTCを組み合わせた高度なメカ。従来のエンジンとは根本から走りの刷新を図り、全域で高性能、高効率、クリーン化を実現。また旧型より高回転でもパワーが伸びるというホンダならではのスポーティーテイストと、トルクは低中回転域に集中するというミニバンに相応しい特性を両立した。ストリームと違う点はシリンダーヘッド。ストリームのリーンバーン(希薄燃焼)仕様に対して、こちらはストイキ(理想空燃比)仕様になっており、巡航燃費こそ若干劣るもののパワー&トルクはその分、強力。スペックは最高出力160馬力/6500rpm、最大トルク19.5kgm/4000rpm。ストリームより6馬力/0.5kgmアップ。そしてライバルとの比較では、セレナで15馬力、ノアで30馬力引き離している。燃費はクラストップレベルの13.2km/l。旧型よりもおよそ10%向上。かつ排ガス性能は★2つを取得する。

加速性、静粛性、乗り心地など、走りの快適要素は、明らかに5年分の進化を実感できる

加速面での向上は、チョイ乗り程度でも実感できる。最高出力で25馬力、最大トルクで0.7kgmの向上で、車重は旧型とほとんど変わらず。かつトルク重視の特性になったため、ジワリとアクセルを踏むだけで、十分な加速が得られる。そのときの回転数は3000とチョット。旧型に同じような加速を求めれば、少なからず4000回転以上は必要だったはず。しかも、アクセルを底まで踏み込むと、回転だけがレッドゾーン付近まで一気に上がり、そこからじょじょに加速いくという旧型に対して、新型は回転数に応じたリニアな加速となっている。6000回転付近からパワーの伸びこそ鈍くなるものの、ほとんどの加速は4000回転台で事足りるだけに、不満の声は出ないはず。

エンジンで良くなったのは加速だけではない。吹け上がりのフィーリングやノイズレベルもグッと洗練度を増した。擬音語で表せば旧型が「グォーン」なら、新型は「クォーン」。言葉にすると濁点がとれただけだが、実際、耳にするとかなり静かに聞こえる。ただ、こちらも高回転域まで回すと、振動や騒音がやや気になることは否めない。高回転の使用頻度は少なくなったとはいえ、同じエンジンを搭載するストリームには、このような部分は見られなかった。恐らくバランスシャフトが省かれたことが影響しているのだろう。もうひとつ静粛面で気になったことは、旧型では気が付かないような音が目立つようになったこと。例えばタイヤ音やエアコンの音が気になったりするのだから始末が悪い。

見た目はデカイけど、走りは軽快。市街地での小回りも効く

足回りは前がストラット、後ろがウィッシュボーンという型式こそ旧型と同様だが、構成部品のほとんどが新設計。低床実現のためにダンパーを20mm短縮させたそうだが、乗り心地自体は固くなっても、突き上げは逆に旧型よりシットリと抑えられている。ペラペラとした線の細さが消え、骨太な剛性感のある走りになった。一見、奇妙なカタチに見える新開発4速ATのシフトノブの操作性は良好で、なによりシフトチェンジが滑らか。乗り心地の質は明らかに1ランク以上アップしている。それでいてステアリングフィールはスッキリと軽く、旧型の軽快感は損なわれていない。また足回りの剛性アップとボディの低重心は、安定感の向上にも効いており、高速でのワインディングやレーンチェンジにおける挙動のふらつきが解消されている。最小回転半径が5.6mから5.3mに改善されたのも嬉しいポイントだ。

とはいえ、ワインディングではまるでセダンのようというわけにはいかない。低い台の上に高い上物が乗ってコーナリングしているという不安定感がつきまとい、最近のよくできた乗用車タイプのミニバンとはまったく違う、ワンボックスらしいコーナリングを強いられる。ファミリーで普通に走るかぎりは問題ないのだが、責めようなどという気にはなれない。高速巡航は明らかに旧型を上回る。150km/h巡航ですらも快適だ。もはや動力性能的には不満は何もない。

ここがイイ

わかりやすく改良点を述べてみたい。

エンジンはトルクフルで、静かになった。細かい突き上げがなく乗り心地は圧倒的によくなった。ボディ剛性感も飛躍的に高まった。デザイン的にリアのオーバーハングがやや短くなった印象で、リアの腰高感が少なくなった。インパネの小物入れが整理され、質感が上がった。カップホルダーが高い位置になり使いやすくなった。ウレタンステアリングの質感が少し向上した。アームレストが薄くなり、後部座席エアコン吹き出し口が小さくなって、ウォークスルーがしやすくなった。低床化でさらに室内が広くなった。ベージュのインテリアカラーは室内を明るく広く見せる。待望の回転式1列目シートが採用され、しかも動作は簡単。ポップアップと対座ができ、背面がテーブルにもできるセカンドシートはほぼ理想型を達成。左右はね上げ機能を残してのサードシートスライド。リモコン作動の自動スライドドアはやはり便利。スライドドアから乗り込む際の補助ステーの設定。セカンドシートわきのティシューピッタリポケットの設定。たくさんのカップホルダー。座り心地がよくなり、フルフラット感はないが、寝やすさは旧型以上の2,3列目シート。

というわけで、いいところばかりが、目立った。

ここがダメ

エンジンは旧型の方が高回転タイプでいかにもホンダらしかった。新エンジンはまったりとした印象。もちろんこちらの方がミニバンには合っているのだが・・・。また、トルクはあるのだが50~60km/hあたりで負荷により比較的よくシフトダウンするため、気忙しい印象があった。

コーナー部分などはノンカラードバンパーだが、これは間違いなく不評のハズ。一般に傷が付くことを前提にした購入はあまり考えられてはいない。デザイン的にも×。

ホンダのカーナビは地図がたいへん見にくい。今回は期待したが、期待はずれ。2DINスペースを活かして他銘柄製品をつけた方がいい。ただしその場合、バックモニターがなくなるのは辛い。バックモニターを活かして他銘柄カーナビは付けられないものだろうか。

総合評価

旧ステップワゴンの改造車モバイル@ステップワゴンがデイズの社有車なのだが、それと比べると新型はことごとくイイ。ここが不満というところがほぼ完璧に直してある。文句なし、と絶賛しておこう。

ヒット作の2代目はキープコンセプトというホンダのセオリー通りの仕上がりだが、5ナンバーで真四角の高効率室内空間をもったワンボックス型ミニバンは他にあまりないだけに、ステップワゴンは貴重だ。価格が安めをキープしているのもデフレの昨今ゆえ、大正解。

では買い換えるかというと、それはない。モバイルの特装である、サブバッテリー、FFヒータ、折り畳みテーブル、室内照明、遮光カーテンは新型にもないアドバンテージだ。むろん新型にこれらを架装すると、ほぼ完璧な、国内における理想のミニバンが出来あがる。特にサブバッテリーは今後こういうクルマには標準化されるべきでは。エンジンを止めた室内で明かりをつけたり、冷蔵庫を動かし続けたり、パソコンやビデオを見たりするためには、必需品と思うのだが。

追記

折り畳み電動アシスト自転車ステップコンポについて

試乗車にはステップコンポが搭載されていた。リアハッチを開けると専用スライド格納装置があり、引き出すとそこに二つに分割された自転車がキレイに納まっている。これがあってもフラットシートが使えるのがミソだ。組み立ては数分で、簡単だが、二つ折りのボディをつなぐ作業がちょっと手間取る。

この自転車、デザインはカッコイイのだが、短いフラットハンドルのため前傾姿勢で乗ることもあってちょっと乗りづらい。しかし電動サポートはさすがに強力で、急坂もまるで平地のように走れるのには感動。ただせっかくサポートがあるのだから、3速あるギアはもう少しハイギアードな方がいいように感じた。

折り畳んで収納するときはかなりてまどう。慣れればいいのだろうが、最初は入れる順番がわからず苦労した。なお、車体後部の100Vソケットから走行中は充電できるが、これもサブバッテリーがあれば走行中でなくても充電できるだろう。

たいへんよくできた自転車だが、イージーさでは今一歩。ワンタッチで折り畳みができ、ごく小さくまとまる自転車が欲しい。かつてパナソニックブランドからそういうモデルがでていたのだが、さらに電動であれば、そこそこ需要はあるのではないかと思う。

しかしこの自転車をクルマとセットで売るのは辛いだろう。絶対需要がない上、価格的にも高すぎる。発想はすばらしいが、現実は厳しいという典型的な例になりそうだ。

公式サイト http://www.honda.co.jp/STEPWGN/

 
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