キャラクター&開発コンセプト
原点(初代)に回帰した4代目
初代ステップワゴンは1996年、「5ナンバーサイズの8人乗りFFトールワゴン」という新ジャンルで登場。2001年にはキープコンセプトで2代目となったが、2005年の3代目では低床・低重心パッケージを追求した結果、本来の持ち味だった室内の広々「感」が弱まり、日産セレナといったライバル車にシェアを奪われる結果となっていた。
そこで2009年10月9日に発売された今回の4代目は、大ヒットした初代に回帰。従来の低床・低重心パッケージを基に、全長を50mm、全高を45mm拡大して、室内の広々感や道具感を取り戻している。
テレビCMにウルトラマンを起用
生産は埼玉製作所(狭山市)。販売目標は先代の月間8000台から6000台に減ったが、発売後約1ヵ月の初期受注はその3倍の約1万8000台となっている。ミニバンの王道に戻った新型がどこまで健闘するかは、他メーカーも関心のあるところだろう。
広告には円谷プロの「ウルトラファミリー」を大々的に起用。広告キャッチコピーは、「日本一の家族へ。大きくなった、ステップワゴン新登場」だ。
■過去の新車試乗記>ホンダ ステップワゴン G・Lパッケージ (2005年6月)
■過去の新車試乗記>ホンダ ステップワゴン スパーダ 24T (2003年9月)
■過去の新車試乗記>ホンダ ステップワゴン (2001年4月)
価格帯&グレード展開
売れ筋は250万円前後。全車エコカー減税対象
価格(4WD含む)はステップワゴンが208万8000円~345万8000円。「スパーダ」が245万8000円~359万8000円。乗車定員は全車8人だが、トヨタのヴォクシー/ノアのような2列目中央席が折り畳み式でセンターウォークスルーができるタイプもオプションである。
300万円オーバーの最上級グレードは、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や追突軽減ブレーキ(CMBS)+E-プリテンショナーを標準装備したもの。実際の販売主力はオプション込みで250万円前後だろう。
エンジンは全車2.0リッターSOHC「i-VTEC」(150ps、19.7kgm) で、変速機はFF車にCVT(無段変速機)を採用(4WDは5AT)。全車エコカー減税(取得税・重量税)の対象となり、FF車は75%減税、4WD車は50%減税となる。
【ステップワゴン】 208万8000円~345万8000円
10・15モード燃費:14.0~14.2km/L(FF)/12.6km/L(4WD)
【ステップワゴン スパーダ】 245万8000円~359万8000円
10・15モード燃費:13.8~14.0km/L(FF)/12.6km/L(4WD) ★今週の試乗車
パッケージング&スタイル
ライバル車に真っ向勝負
ボディサイズ(先代比)は全車共通で全長4690mm(+50)×全幅1695mm(同)×全高1815mm(+45 ※4WD車は全高1830mm)。先代に比べて45mm高いだけとは思えないほど、見事に初代のような典型的「トールタイプのミニバン」に戻っている。これでもヴォクシー/ノアやセレナよりまだ数十mm低く、初代ステップワゴンより15mm低い。5ナンバー幅を守りつつ、「ひょっとすると3ナンバー?」みたいなワイド感があるのはデザインの妙だろう。
ホンダ開発陣が明言するライバル車は、ヴォクシー/ノアではなく、完全に日産セレナ。後発のライバル車や自分たちが開拓した市場にも未練なく去ってゆく「開拓者」ホンダにしては、珍しくライバル意識が出たパターンだ。真っ向勝負のスタイリングとパッケージングと言っていいだろう。
スパーダはグリルが光る
普通のステップワゴンと試乗したスパーダとの相違点は、フロントグリル(スパーダはメッキタイプ)、前後バンパー、サイドステップやリアスポイラーの有無、リアコンビランプ(スパーダはクリアタイプ)、アルミホイール(スパーダは全車標準)のデザインなど。撮影し忘れてしまったが、夜間はフロントグリル奧に内蔵されたランプが光る。
メーターレイアウトを変更し、実用性をアップ
先代のインパネはダッシュボード最上段に横長のブラックアウトパネルを設け、そこにデジタルメーターを配置した未来的なデザインだったが、新型はオーソドクスにドライバー正面にメーターを配置する。つまりメーターをステアリングの外側で見るタイプから、内側で見るタイプに戻ったわけだが、やはり新型の方が見やすいと思う。
ダッシュボード中段には棚も設けられ、実用的な雰囲気も高まった。その他こまごまと変更されているが、インパネシフトや大きめの三角窓などは先代のイメージを残している。
ダッシュ右端にはインサイトでおなじみの「ECON(イーコン)」ボタンを配置。これをオンにしておけば、意識せずに燃費にいい運転が出来る。トリップAとトリップBにそれぞれ連動して計測する平均燃費計も使いやすい。
アイディア賞ものの補助ミラー。ただし勘違いに注意
面白いのが左Aピラーの根元に設けられた「サイドビューサポートミラー」だ。左前方の死角を映し出すものだが、この手の補助ミラーの中では妙に見やすい。
実はこのミラー、ドアミラーカバーの一部を鏡面仕上げとし、そこに映った像を再び室内の鏡に映すという仕組み。つまり潜望鏡のような構造だ。ステップワゴンの場合、法的な装着義務はないとのことだが、どんなクルマでも左フロントタイヤの周辺は死角となるもの。これはなかなかのアイディア装備だ。
ただし注意したいのは、ついつい通常のドアミラーのようにミラーの反対側(つまり後ろの方)が映っていると勘違いしがちだが、実際にはあくまで左「前方」を映すということ。言ってみれば、ミラーの「奧」が映っている、というイメージだ。これは慣れるまでちょっと時間が掛かるかもしれない。
室内高は1395mm。完成したパッケージング
セカンドシートは広々としているだけでなく、今やシートも立派で、センターアームレストまで付いている。室内高は初代より60mm、先代より45mm高い1395mm。小学3年生(平均身長130センチくらい)なら楽々、小学校4、5年生でも普通にウォークスルーできる高さになっている。国産ミニバンでは、ほぼ最大級の高さだ。
もちろん床も低いし、スライドドアの開口面積も広がったため、乗降性は抜群。ガラスエリアも全周で拡大されており、垂直に切り立ったサイドウインドウはかつてのモビリオみたいだ。2列目のパワーウインドウも8割ほど開くなど(3代目は窓が小さい分、6割くらいだった)、もう何も言うことはない。完全に完成したパッケージング、完成した商品だ。
ガラス関係で言えば、先代で売りの一つだった障子みたいな半透明の「トップライトルーフ」は廃止されたが、代わりに世界最大級をうたうガラスルーフ(電動シェード付)が用意された。また先代ほどアピールされていないが、フローリング風のフロアも引き続き用意されている。
新型で唯一の冒険? サードシートを床下収納に変更
歴代ステップワゴンと大きく違うのが、サードシートを従来のサイド跳ね上げ式から、この手のトールタイプでは珍しい床下収納に変更したことだ。
床下収納式の場合(特に3人掛けシート)、シートのサイズや形状に制約が生じがちだが、着座姿勢はまずまず不満なしで、リクライニングもできる。もちろん空間の広さや見晴らしも問題ない。ただしクッション(特に背もたれ)の薄さは少々気になるところ。ここが新型ステップワゴンで数少ないチャレンジングな点というか、ユーザーに評価を委ねた部分だ。
絶対的に広くなった荷室
サードシートを床下に収納するスペースを確保するため、新型はリアオーバーハング部分を延長するなど、サスペンションも含めて完全に新設計。スペアタイヤもパンク修理キットに変更された。
これによりサードシート使用時は、床下に掘りごたつ状の凹みがあり、ここが有効な積載スペースとなる。必要とあらば、9インチのゴルフバッグを4個立てて積むことも出来るようだ。
収納操作も跳ね上げ式に比べて、はるかに簡単だ。まず6:4左右分割式の背もたれを前に倒す。次にレバーでロックを解除しながら、ストラップを引っ張ってサードシートを手前に反転。その後、サードシートをフックで固定し、左右のカバーで床のすき間を埋めれば終了だ。力に自信のない女性でも、楽に操作できるはず。
また戻す場合も簡単だ。フックを外せば、サードシートはスプリングの力で軽く起き上がる。磁石でくっついていた左右のカバーも外れ、こちらもスプリングの力で自然に折り畳まれる。
またサードシートを床下収納にしたことで、荷室幅が損なわれず、自転車のような大きな物も積みやすくなった。左後方の視界も良いし、見た目がすっきりしていることなどもメリットだ。



