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ダイハツ ストーリア CXリミテッド新車試乗記(第13回)

Daihatsu Storia CX Limited

 

1998年02月27日

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カーデータ

●カテゴリー:コンパクトカー
●クラス(排気量):1000cc
●キャラクター:今、クルマ社会に求められる社会・環境に優しいシティコミューターがストーリアだ。どこかから見てもひと目でわかる個性的なフォルムに、快適な室内そしてクラストップレベルの安全性を持った次世代リッターカー。欧州車と比べても見劣りのしない上質感も兼ね備えているあたりが、今までのスモールカーになかった魅力となっている。
●コンセプト:小型車を得意とするダイハツが新スローガン「We do COMPACT」のもと、世に送り出した第1弾。「新1000ccスタイル」と謳っている割には、ごく普通のベーシックカーにまとめられている。ダイハツは最近イメージを変えようと試行錯誤のようだが、このストーリアには相当気合いが入っているのは確か。ダイハツの運命はストーリアが鍵を握っているといっても過言ではないだろう。
●注目度:コンパクトカーといえばマーチやロゴ、スターレットぐらいしか知らない人たちにとっては「どこの国のクルマ?」と、輸入車と勘違いしてしまうの ではなかろうか。
 ガソリン大喰いのビッグカーよりも無駄を排したストーリアの方が賢く見えるのは確かではある。しかし、排ガス規制の10分の1のクリーン排気を達成しており、燃費もいいが、いくらそれを強調してもイメージとしてプリウスにはかなわないのがつらいところ。
●特筆装備:回転半径がクラス最小の4.3メートルと軽自動車と同等以上の小回り性を確保している。
 新開発の1.0リットル3気筒エンジンは、トヨタの世界戦略車ファンタイムにも搭載されるという立派なユニット。今さら何故3気筒かって? それは1気筒当たり300~350ccが理論上最もバランスが優れているから。メリットとしては中低速でのトルクが確保しやすい、CO2排出量が低減できる、燃費が良くなるといったところだが、最も重要なのは部品点数の削減によるコンパクト&軽量化、そしてコストを抑えることができるということ。トヨタにも供給するという量産体制も見据えているから、さらに低コストになるはず。
 もちろん4気筒に比べて3気筒のデメリットもある。それは振動と騒音です。これはエンジン本体を液体封入マウントで支持する二重防振車構造を採用することで解決している。
●燃費:資料によると、10・15モード燃費は21Km/リットル(2WDの5MT)とクラストップレベル。「クラストップレベル」という抽象的な表現を使っているものの、実際には軽自動車を除くガソリン車の中ではプリウスに継いで第2位の記録。調べてみるとスターレット・ルフレ(5MT)も同率2位。85馬力の1.3リットルエンジンを搭載しているスターレットの凄さを、この時初めて知ったのだった。
●価格・販売:エンジンは1.0リットルのみ。グレードはCXとCL、そして本革シートまで備えた豪華仕様のCLリミテッドの3グレードで、それぞれに2WDと4WDが用意される。価格は89万8000円から142万8000円と軽自動車並の価格帯となっている。万全な安全装備ながらも、この低価格を実現できたのはやはり低コストの3気筒エンジンを搭載したからか。買い得感はかなり高いのでは。  

スタイル

未来的なフォルムと上質感を融合させた曲面基調のデザイン。特にアーモンド状につり上がったヘッドライトとパカッと大きく開いたフロント開口部は特徴的で、テレビCMでお馴染みの宇宙人顔。メッキのバンパーやサイドモールが強烈なアクセントとなっていて、ストーリアの個性をより一層引き出している。とはいえどちらかといえば、女性向きのデザイン。ホンダ・ロゴよりもひと回り小さいボディサイズは、資料によると「クラス(1.0~1.3リットルクラスの2ボックスセダン)最小」と記されている。ということは軽自動車を除く普通車の中では世界最小か? いや、世界にはローバー・ミニが存在するから世界最小とまではいかないまでも、国内最小乗用車ということは間違いなさそう。

パッケージング

一見デザイン重視のスタイルに見えてしまうが、実はサイドから眺めるとノーズが短く、Aピラーやサイドウインドウが切り立っていて広い室内空間を確保するのに寄与しているのがわかる。荷室容量も235リットルとクラストップレベルで、優秀なパッケージングといえる。
 クラス最小のコンパクトカーだから室内は広大とはいえないものの、ライバルとなるマーチ、ロゴ、スターレットよりも20mmも長い室内長を持ち、大人4人だったらスッポリと収めてしまう。一応、乗車定員は5名となっているが…。

内装(質感)

今回試乗した最上級グレードCLリミテッドには、本革シートや木目調パネル&ウッドステアリングが標準装備され、まさに小さな小さな高級車。「木目調パネル(他のグレードはメタル調となる)はチープな手法に過ぎない」という声も聞こえてきそう。しかし品質感に乏しい内装は何をやってもだめなモノはダメ。その点ストーリアはこれまでのダイハツのイメージを覆すような上質感溢れる仕上がりとなっているのだ。えっ、コンパクトカーに豪華さは必要ない? でも大人をこのクラスへよびこむためにはあってもいいのでは。運転席にはアームレスト、助手席の背部には買い物袋をつり下げるフック、フロントドアウインドウの開閉が遠隔操作できるキーレスエントリーなど気を利かした装備も充実している

シート・ステアリング・シフト感触

本革シートは体に触れないサイド部にはビニールをうまく使っている。ふれる部分の本革はしっとりいいムード。ステアリングはウッドと革のコンビ。見てくれは豪華だし、エアバッグ部も小さくていい。

動力性能(加速・高速巡航)

1リットルエンジンでは最もバランスに優れている3気筒と言われているが、軽ターボより低い最高出力60馬力の3気筒ユニットというのは不安があった。エンジンをかけてDレンジにいれると、「ブルルル」といきなり強い振動が伝わってくる。今の時代、いくらリッターカーといえどもこの振動は頂けない。しかし走り出してみると中低速重視トルクのエンジンと850kgという軽い車重が功を奏して、全く不満のない加速をしてくれる。シフトショックもまったく気にならない。街中での取りまわしは抜群で、この感覚に慣れてしまったらビッグカーに乗るのが辛くなるかも。ステアリングに伝わってくる振動も薄れてきて、エンジンはキビキビと回る。ただ、高速巡航は時速100Kmで3400回転ほどまわり、風切り音も結構あるので、大排気量の快適さは望めない。直進性は悪くないが。

ハンドリング・フットワーク

今回はいつものワインディングは試乗せず。普通の道では感覚的にごく普通の足と言った感じ。当然、コーナーを攻めたり楽しんだりするクルマではない。

乗り心地

リアシートにも乗ってみたがトルクフルなエンジンのため、軽自動車のように無理して高回転までエンジンを回さないことと、軽自動車とは全く比べモノにはならない剛性感によって、乗り味は小ささを感じさせない、ゆったりしたものもの。リアにも座ってみたが、それなりにくつろげる乗り心地だ。ただあくまでもリッターカーなので、間違ってもミドルクラスセダンの快適さは求めてはいけない。リアのヘッドレストが短いのもちょっと気になった。

騒音

高級サルーンじゃないから、それなりの騒音ははいってくる。エンジン音は耳障りなモノではないので気にならないだろう。

安全性

トヨタGOAボディと同レベルの新衝突安全ボディTAF(タフ)、デュアルエアバッグ、ABSといった基本的な安全装備は全車(ABSはCXのみオプション扱い)に標準設定される。このクラスでは初となるサイドエアバッグの設定も注目すべきところ。

環境対策

自慢の1リットル3気筒エンジンは、国内自動車排出ガス規定値の10分の1をクリア。また7都県市/6府県市の指定低公害車基準もクリアしている。

ここがイイ

軽自動車と同じ価格帯でありながら、リッターカーの枠を超えたあらゆる性能を得ているところ。欧州車にも引けをとらない上質感を備えた未来的なフォルムだけでも購入する価値がありそうだが、かなり特殊なカタチなので、一般の人に受けいられるかはちょっと心配。

ここがダメ

現時点ではクラストップレベルの安全性や燃費性を備えたクルマではあるが、今後さらに優れたライバル車が登場するのは明らか。その時までにコンパクトカー=ストーリアというビッグブランドになれば別だが、それはちょっと期待できそうもない。そうするとこのままカルトカーの仲間入り? それはそれでクルマ好きには嬉しいが、ダイハツは困るだろう。RV的な要素を持たないストーリアが、このご時世でどう売れるかが心配だ。いいクルマなんだけど。

総合評価

絶対的に重くなりがちなミニバンスタイルとせずに、あくまでも2ボックスセダンにこだわったダイハツの企業姿勢は潔い。思い入れが強く感じられ、特に安全性の高さにおいては文句なし。走りや静粛性においては少々荒々しい面が残り熟成の余地はあるものの、「ここが悪い」と指摘するレベルではない。
 メインターゲットは「小さいクルマは欲しいけど、軽自動車はイヤ」という若い女性や主婦になると思うが、このクラスはミニバン型の参入で競争が激しく、ストーリアは苦戦しそう。むしろ、小さな上質車を望んでいた一部のオジさん(お兄さん)達に支持されそうで、ローバー100などの小型欧州車のライバルになるかも。

お勧め度(バリューフォーマネー)

ネームブランドが確立しそうもないので下取り価格は期待薄。でも庶民のクルマに対する価値観が変化しつつ状況の中で、ストーリアの価値が認められれば大バケする可能性もある。いづれにせよ乗りつぶす気持ちで購入を考えた方がいい。といっても車両価格自体が安いので、値落ちを気にするほどではないが。5年乗ればそう悪い買い物ではない。
 セカンドカーとしては最適。軽自動車とリッターカーの間に生ずる年間諸税を考慮しても、現行軽自動車よりもストーリアを勧めたい。でもワゴンRやカプチーノといった魅力的な軽自動車を除いてだが。

 

 

 
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