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ホンダ ストリーム アブソルート新車試乗記(第302回)

Honda Stream Absolute

(2.0L直噴・CVT・222万円)

2004年01月24日

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キャラクター&開発コンセプト

元祖「5ナンバー7人乗りスポーティミニバン」

2000年10月に発売されたストリームは、シビックのシャシーを使った5ナンバーサイズの3列シートミニバン。「新価値7シーター」をコンセプトに、ミニバンらしからぬクーペみたいなスタイルで登場、これが国内で不振のシビックを横目に大ヒットした。新しいジャンルを作るのが得意な、ホンダらしいクルマだ。

翌年に年間販売台数3位(1位カローラ、2位ヴィッツ)を記録したストリームだが、2003年1月にトヨタがコンセプトをそっくり真似たウィッシュを発売した後は、月間2000~3000台ペースに激減。特別仕様車を追加しながら時間を稼ぎ、2003年9月にビッグマイナーチェンジを果たした。フロントのデザインを変更したほか、オデッセイで好評のスポーティグレード「アブソルート」(1.7リッター)を追加した。これは外観をスポーティにしただけでなく、専用高剛性ボディ、専用チューンドサスを与えた気合いの入ったスペシャルグレードだ。

ホンダ初の直噴「i-VTEC-I」

今回試乗したアブソルートの2.0リッターは、遅れて12月に追加されたトップグレード。ホンダ初となるガソリン直噴エンジン(筒内直接噴射式エンジン)「i-VTEC-I」を搭載。2.4リッターの新型オデッセイに続き、2.0リッターで同社初のCVTと組み合わせるなど、技術的に注目のモデルだ。

販売目標は発売時当初の月間6000台を4000台に変更。デビューから時間が経つことや強力なライバル車の登場もあるが、背が一気に低くなった新型オデッセイとの兼ね合いもあるだろう。

価格帯&グレード展開

ウィッシュとほぼ同価格

排気量別に見ると、1.7リッター(160万円~)と2.0リッター(190万円~)の2種類。アブソルートの1.7リッターは190万円、2.0リッター直噴モデルは222万円と、2駆モデルでは飛びぬけて高い。CVTが付くのは2.0リッター直噴だけで、他は4ATか5AT。

ライバルのトヨタ・ウィッシュも1.8リッター(155.8万円~)と2.0リッター(188.8万円~)で、価格もほぼ同じ。アブソルートと直接ぶつかるのは、2.0リッター・6MTモード付きCVT車「2.0Z」(219.8万円)だ。

パッケージング&スタイル

「5ナンバー」の安心感

サイズは全長4555mm×全幅1695mm×全高1590mm。ウィッシュ発売時にはボディサイズがミリ単位でストリームと同じであることが話題になったが、アブソルートの仮想敵であるウィッシュ「2.0Z」は、全幅1745mmのワイドボディを持つ。ストリームにしてみれば、幅を広げるとオデッセイになってしまう? わけで、ここは迷わず5ナンバーをキープしている。

ホイールベースはシビックより40mm長い2720mm。ウィッシュはプレミオ/アリオン/カルディナを50mm延長した2750mm。ウィッシュがストリームをよく研究しているため、両車のパッケージングに大差はない。「ホンダ車」「トヨタ車」という雰囲気の差も一昔前に比べて大きくない気がする。

基本的に室内は変わらない

マイナーチェンジ後も室内デザインは基本的に変わらない。アブソルートのインパネは文字や指針が真っ赤に光るが、オデッセイ・アブソルートのド派手なものを見た後では控え目にすら見える。シフトレバーがステアリングのすぐ横にあるのは、ストリームの良い点だ(ウィッシュも同じだが…)。総じて操作系はシンプルで使いやすい。

意外に余裕のある3列目

2列目シートは5:5分割で、最大240mmの前後スライドが可能。これはウィッシュにはないメリットだ。一番後ろにしなくても十分な足元スペースがある。シート形状も立体的で、アームレストが大きく、リラックスできる。

普通のストリームと形状は同じながら黒基調の生地を張ったシートは一見、専用のスポーツシートに見える。座り心地がよく、サポート性もまずまず。ヘッドレストも穴開き式で、後席に座った時に、これが開放感にかなりの効果を発揮する。

今やオデッセイより背が高いストリームだが、その恩恵は3列目で明らか。ストリームの方が圧迫感が少なく、広々している。これは意外な発見だった。前席を少しスライドさせれば、足元にもまずまず余裕が生まれる。収納を前提としたシートは平板といえば平板だが、ちゃんと座れると言えば座れる。2列目の大型アームレストを倒すと、見晴らしが利いて2+2+2の6人乗りが快適に行えそう。隣の人と話が弾めば、ちょっとしたドライブも可能か、と感じる。居住性に関しては、後で触れるが、空間より騒音(主にロードノイズ)の方が気になる。

3列目の操作に時の流れ

3列目は床下にきれいに収納できる。操作は難しくはないものの、荷室に貼付してある説明を読まないと難しい。ウィッシュのワンタッチ式やオデッセイの電動を見てしまうと、ちょっと物足りない。2列目アームレストを倒すと、スノーボードくらいのものなら前に突き出すことができる。

基本性能&ドライブフィール

直噴&CVTのイメージを変える

走り始めた瞬間、加速のあまりのスムーズさに思わず唸ってしまった。直噴「I-VTEC I」エンジンは、2.0リッターの4気筒エンジンとしては驚くほど滑らか。直噴にしては、というか、直噴を忘れるくらい良い。低回転から高回転までのトルク感、パワー感も素晴らしいの一言。カタログに謳われる「これまでの直噴エンジンにない」仕上がりが実感できる。

CVTの出来がまたいい。シビックやフィットは発進を電子制御クラッチで行うが、このアブソルートは新型オデッセイと同じようにトルクコンバーターを採用。メカに関心のない人なら、アクセル全開にしない限りCVTだと思わないだろう。金属ベルトはオランダのバンドーネ社のものではなく、ホンダ自製の新開発という。ベルトの音は皆無ではないが、ほとんど気にならない。

7速MTモードのレスポンス、操作性も文句ない。フィット/モビリオの1.5リッターのそれはお遊びっぽかったが、これはちゃんと使える。横Gセンサーによる制御のせいか、1000回転ほど回転が跳ね上がるSモードはもちろん、Dモードでもけっこう山道をスポーティに走れた。

まさに「5ナンバーのアブソルート」

オデッセイ・アブソルート同様、ストリーム・アブソルートも乗り心地がいい。補強入りのボディが、固めのサスペンションと16インチの「ADVAN」を履きこなす。これだけパワー(156ps)のあるFF車だと避けられないトルクステアは、このタイヤのおかげで気にならないレベルにおさまっている。オデッセイに見劣りしない走りはまさに「5ナンバーのアブソルート」という感じだ。

あえて快適性で気になる点を挙げれば静粛性で、駆動系はわりに静かだが、高速時のロードノイズがやや大きい(と言うか、ノイズ源として一番大きい)。前席では気にならないが、2列目、3列目と後ろに行くとだんだん大きくなる。高級車のような静粛性を求めるわけではないが、もう少し静かだとシートの前後で会話が弾むだろう。

ここがイイ

とにかく、走りは素晴らしいの一言。新開発のエンジンとCVTの驚きの完成度は今までにないもの。特に7速もあるマニュアルモードがタイムラグなくリニアに切り替わり、まさに自由自在。エンジンパワーとの「ちょうどいい力関係」が見事で、こんなに不満なくマニュアルモード付きCVTを使いこなせたのは初めて。CVT大好きのモーターデイズとしては、ベスト・オブ・CVT車と評価したい。

足がしっかりしているのに乗り心地が良く、細かい突き上げも気にならない。これは絶妙のシャシーチューニングのたまものだろう。オデッセイより人馬(車)一体感が強いのはボディサイズが小さいことのメリット。7人乗りであることは、走っているうちにすっかり忘れてしまう。

ここがダメ

3年前この欄で、「発表からしばらくたったが、外観デザインはいつになってもなじめない。クーペ風のサイドシルエットと実際のルーフラインは、やっぱりヘンでしょう。といって、これをルーフラインに合わせたらあまりに当たり前になってしまうのだが…。リアのランプもやりすぎなのでは。」と書いたが、マイチェン後も印象は特に変わりない。さらにフロントまわりは、新ヘッドライトでウィッシュにも似てしまった。

総合評価

2年間、売れまくったストリームは、ウィッシュの登場でいきなりダウン。今や2年もあれば新車開発は可能だから、ウィッシュは確信犯だ。なにせ、発売1年目でいきなりトヨタで一番売れているクルマになってしまったのだから(カローラはご存じのようにいろんなバリエーションの合計台数)。おいしいところを持って行かれてしまったホンダは、さぞ悔しいことだろう。

しかし当初ストリームが売れた要因は手頃な5ナンバーサイズで、価格が安くて、7人乗りミニバンだったから。例えばエスティマなどの大きくて高価なミニバンに乗っていた人が、それを下取りにして買い換えたからだ。ストリームは170万円くらいの価格だから、さらに大幅値引きがあって、下取り車がミニバンで高取りされたら、追い金は100万円くらいですむ。こりゃ、誰でも買い換えたくなるでしょ。

つまり、クルマの出来うんぬん、カッコ良さうんぬんより、そうした市場性や経済性で売れたのだと思われる。こうなると、より新しく、商品力の強いトヨタ車のウィッシュにお株を奪われるのは目に見えている。3年前に指摘したとおり、ストリームのエクステリアは、今見てもやはりちょっと魅力的とはいえないし。

今回のマイナーチェンジはそんなストリームに、新たな魅力を追加するすることが目的だ。その魅力は、ノーマル車の場合はウィッシュ似のお色直しということになるが、ホンダらしくアブソルート(タイプRのミニバン用ネーミング?)という走りのモデルを追加することで、全体のイメージアップをはかっている。ミニバンでここまでやってどうする、という走りのすばらしさは前述のとおりだが、価格の高さを見てもこのクルマ、一般的とはいえないだろう。

しかし、目を見張るほどのこの走りは、次の世代の乗り物を期待させるものだ。きついことを言えば「ストリームでなかったら」。7人乗れるのはあたりまえ、でもミニバンではなく、むろんステーションワゴンでもクーペでもない。デザイン的にもぶっ飛んだもの。そんな新しい乗り物が出て欲しいと思う。新エンジンとCVTの駆動系、足回りなどは、すでに新しい乗り物にふさわしいものになっていると思うから、なおのことだ。ストリームでミニバンの新ジャンルを切り開いたホンダにこそ、かつてあった3輪原付のストリームのような、未来感覚溢れる「新しい乗り物の提案」を期待したいのだ。


試乗車スペック
・ホンダ ストリーム アブソルート
(2.0リッター直噴・CVT・222万円)

●形式:CBA-RN5●全長4555mm×全幅1695mm×全高1590mm●ホイールベース:2720mm●車重(車検証記載値):1480kg(F:860+R:620)●エンジン型式:K20B●1998cc・DOHC・4バルブ直列4気筒・横置●156ps(115kW)/6300rpm、19.2kgm (188Nm)/4600rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/55L●10・15モード燃費:15.0km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/50R16(ヨコハマ ADVAN A460)●価格:222万円(試乗車:254万円 ※オプション:リアカメラ付き音声認識HDDナビ&DVD・MD・CD・TV 32万円)●試乗距離:約240km ●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

公式サイトhttp://www.honda.co.jp/

 
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