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新車試乗記 第149回 ホンダ ストリーム Honda Stream



日時: 2000年11月24日

 

キャラクター&開発コンセプト

ホンダ久々の色モノ? ミニバン界のクーペ

英語で流れを意味する「ストリーム」という名は過去、同社の3輪スクーターにも用いられていた。バモスに続いて「昔の名前で出てます」となった今回のストリームだが、その内容は斬新。「新価値7シーター」をコンセプトにした、5ナンバーサイズ&7人乗りミニバンだ。

ネーミングどおり、走りを予感させる低重心かつ流麗なフォルムを実現し、従来のミニバンでは成しえなかったスタイル・快適・走りの高次元な融合により、新しい7シーターの潮流を創り出そうとしている。最大の特徴は、全高がこのジャンルの中では異例に全高が低いこと。そして「燃費の向上」「排出ガスのクリーン化」「走り楽しさ」を高次元に進化させたホンダの次世代主力エンジン「i-VTECシリーズ」の第1弾を搭載したことだ。

リアドアは一般的なヒンジ式で、シート配置は2-3-2。バックドアは跳ね上げ式。用意されるパワートレーンは2.0リッターエンジン+5速ATと、1.7リッターエンジン+4ATの2タイプ。ライバルはトヨタ・イプサム&ガイア、日産・リバティ、三菱・ディオン、マツダ・プレマシーといった、飽和気味になりつつある5ナンバー3列シートミニバン。オデッセイなど、常に新たな市場を開拓してきたホンダとしては、珍しく後追いというカタチでの参入となったが、クーペを彷彿とさせる流麗なフォルムは同社らしい冒険とも言えるものだ。

価格帯&グレード展開

価格帯は158.8~227.8万円、シビックの5万円高で3列シートが手に入る

基本グレードは2.0リッター、1.7リッターそれぞれに2タイプの、計4グレード。すべてにFFと4WDが用意される。2.0リッターモデルが量販グレードとなる「iL」(189.8万円)と、スポーティーグレードの「iS」(209.8万円)。「iS」のヘッドライト中央部にはアンバー色が施され、グリルは横基調からハニカムタイプのものに。フォグランプ内蔵の大型バンパーをはじめとするエアロパーツ系、アルミホイール、ルーフアンテナなどが装備され、より重心の低さが強調される。内装も黒基調のスポーティーな演出が図られる。

1.7リッターモデルは装備の簡略を図った廉価グレードの「G」(158.8万円)と、「iL」同様の充実した装備を持つ「L」(169.8万円)の2タイプ。「G」。「G」には黒色のドアミラー、ドアハンドルなどの見栄えの悪さはそのままに「iL」同様の室内装備を追加した「Aパッケージ」が、「L」には「iS」とほぼ同等のスポーティー装備を追加した「Sパッケージ」が、それぞれベース価格の10万円高で用意される。

相当にリーズナブルな価格設定で、さすがにディオンの158.9万円(2リッターで)にはかなわないものの、十分、満足できるコストパフォーマンスの高さだ。気になるは、ライバルの競合より、同社モデルとの価格関係。例えば、1.7リッターのストリームは、同エンジン&装備を持つシビックと比べて5万円ほど高いだけ。室内の広さ、乗車定員の人数を考えれば、ストリームのほうがお買い得なのはいうまでもない。

逆にオデッセイと比べるとやや割高な感じも否めない。オデッセイは2.3リッターの「S」で212.5万円。ストリームは2.0リッターで189.8万円。もちろん装備はほぼ互角で、価格差は22.7万円。知っての通りオデッセイの値引きは、一声20万円、30万円とも言われている。ストリームもそれが見込めれば問題ないけれど、ニューモデルということもあって当面は無理。もしかしてオデッセイのほうが安いというケースも出てくるかも? ま、そんな不安とは裏腹に、ストリームは出足好調で売れているようだ。

パッケージング&スタイル

ヌメッとしたシビックの兄貴分、オデッセイの弟分

ベースとなったのは新世代グローバルプラットフォームを新設計したばかりのシビックだ。ボディサイズは全長4550mm×全幅1695mm×全高1590mm。ホイールベースは2720mm。3列シートを確保するためシビックよりも全長は265mm長く、ホイールベースが40mm長くなっている。

全長、全幅はイプサムから定着した5ナンバー3列シートミニバンのセオリーを踏襲したもの。やはり最大の注目点は低く抑えられた全高だ。イプサムより30mm低く、「イルカ」をコンセプトとしたフォルムは、ミニバンの概念を打ち破る実に流麗なもの。しかし顔つきはほぼシビック。スポーティーグレードになるとヘッドライトの中央にオレンジ色が入り、眠たそうなシビックとなる。

ルーフラインの処理もこれまでミニバンとしては御法度とされてきたもの。後方へなるにつれて低くなっており、それにともないウインドウグラフィックスも絞り込まれている。望遠レンズを使っても、広角レンズで撮ったようなスタイリング。サードシートの開放感は大丈夫なのか、と心配になってしまう。この既成概念にとらわれない姿勢は、実にホンダらしい。

リアもこれまた目を奪われる。ダミーを含めた赤色のライトがリアウインドウをぐるりと囲み、横一文字に貫くメッキガーニッシュと相まって低重心を強調している。

全高は低くても、室内高はオデッセイを凌ぐ余裕を確保する

室内寸法は長さ2610mm×幅1440mm×高さ1310mm。ここでも注目は1310mmという高さだ。外から眺める限りではマイナスイメージがあるが、心配は無用。いや、逆に驚かされる。なんと、ボディがふた回りも大きいオデッセイと比べて95mmも余裕がある。これはいうまでもなく低床フラット化を図った効果である。

photo_3.jpgウォークスルーを可能とするインパネシフトが採用されたインパネデザインは、シビックのそれに近いもの。黒基調で各部にディンプル処理を施すなどで、質感は若干シビックよりも良く見える。前席にバケットタイプを採用するあたりは、走りに関しての自信がうかがえるもの。シートアレンジは「頻度の高い機構を厳選した」という感じで、レパートリー自体は決して多い方ではない。その中で独自となるのが、「リバーシブルサードシート」と名付けられた3列目シートの収納だ。

「シートが消える」という点ではオデッセイと同じだが、フロアが低いストリームでは構造まではマネできない。そこで考えられたのが、座面と背もたれを前方にそれぞれ180度、90度回転させるという方法。使い勝手の点ではオデッセイにやや劣るものの、シートはフロアと一体化し、広くフラットな荷室が作れるのは、やはりありがたい。

ライバルの中では着座位置が恐らく最も低いと感じさせるシートは、硬めのクッションと相まって、ミニバンとしてはスポーティーなドライビングポジションを演出する。気になる2列目と3列目はどうか。これが意外にも、ライバルに劣らない空間を確保する。確かに3列目は頭上空間膝元空間ともにギリギリ、補助席的レベルに止まるものの、よく考えればライバルだって大同小異。

ただ、格納式ヘッドレストがかなりお粗末(おかげで後方視界は良好だけど…)。最上部にしても頭にとどかないし、極細のステーは衝撃に耐えられるのか? 一応、シートベルトが3点式になっているが、やはりこのクラスでは3列目はあくまでプラス2。ライバル車のようにセカンドシートを倒してテーブルにすることが考えられていないことを見ても、3列目は折り畳んでおくのが原則だろう。もちろん7人乗りでは荷室は実用に耐えない。

基本性能&ドライブフィール

ホンダの次代主力エンジンi-VTECの実力は、直噴をも凌ぐ

1.7リッターエンジンはシビック/フェリオで初搭載となったもの。最高出力は130馬力、最大トルクは15.8kgm。もちろんVTEC。極端なロングストローク型で、基本的には実用トルクを重視したものだ。

一方、2.0リッターエンジンは全くの新設計で、クランクシャフトがS2000に続き正回転となる。最大の見どころは「i-VTEC」(iはインテリジェントの略)を採用したこと。実績のあるVTEC機構に、連続可変バルブタイミング機構(VTC)をプラス。より高度で緻密な燃焼制御が可能となった。その他、フリクションの低減などで、燃費はクラストップ。直噴を採用するディオンの13.0km/lをはじめライバルが軒並み11.0km/lを平均としているのに対して、ストリームはぶっりぎりの14.2km/lを実現する。

さらには1.7リッター、2.0リッターともに排出ガス低減レベルは★2つを取得。特に2.0リッターは後方排気で触媒の置き場所が自然になったため。今後さらに低公害化が進みそう。パワースペックも特筆もので、ライバルの平均が135馬力なのに対して154馬力。最大トルクは19.0kgmを発揮する。パワーウエイトレシオは9.2kg/ps(is)。ちなみにオデッセイの一番軽いグレードでも10.6kg/ps。スペックだけでもストリームの動力性能の凄さが伺える。

なお、この「i-VTEC」は、今後登場するホンダの2l直4エンジン車すべてに搭載されるはず。いまのことろi-VTECは吸気側にしか採用されていないが、その気になればいつでも排気側に採用することも可能だという。となると、現状のままでも凄いi-VTECの性能は、さらに上がるという展開。恐らく、それが噂されているインテおよびシビックのタイプRに搭載されるのだろう。

話題はエンジンだけでない。2リッターモデルにはクラス初の5速ATが組み合わせられ、2.0リッターFF車にはシーケンシャルモードも採用される。1.7リッターモデルは4速ATとなるものの、シーケンシャルモードは付く。パワステ型式はシビックの電動式ではなく、一般的な油圧式となる。

7人乗りということを忘れてしまう、軽快、安定、スポーティーな走り

試乗したのは2.0リッターモデルの「iL」。ライバルとは明らかに違うのが、「乗用車感覚」という点だ。確かにホントの乗用車と比べればミニバンなのだが、ライバルが「乗用車感覚」という言葉を使うのに対し、ストリームは「乗用車そのもの」といっても過言ではない。強いてミニバンということを感じるのは、コーナーを高速で抜けるとき。さすがに、それなりのロールは発生する。だが、足腰に粘りがあり、操舵に忠実な回頭性が得られるのは確か。それ以上にアクセルを踏めば、一気に挙動が乱れるのではなく、徐々にテールが流れるので、落ち着いて体制を立て直せる。限界域ははるかにライバルより上といえるもので、十分スポーティといえる走りだ。

エンジンのフィーリングもホンダの自信が伺える。出だしはウルトラスムースで、アクセルを踏んだ瞬間から、実用的なトルクがスッと立ち上がる。トルクの鋭さは低中域だけでなない。全開にしてやればレッドゾーン6800回転近くまで、なんのストレスもなく一気に回る。極めて軽快。このあたりは、S2000とエンジンブロックを共用することを実感させられる。

5速ATも秀逸だ。シフトショックはほぼ皆無なので、ATモードでは5速を気にすることもない。シーケンシャルモードは任意に選択したギアが完全に固定されるタイプ。レッドまでキッチリ回せる。2速から5速までの広範囲でロックアップ制御を用いているので、シフトチェンジのときに「スベル」という印象がなく、積極的に使いたくなる。

いくらドライバーの期待に応えてくれるスポーティーな走りといえども、他の乗員が不快に感じれば、ミニバン失格だ。ストリームはこの点でも高く評価できる。ヒラリとした軽快なフットワークとは逆に、乗り心地はズッシリ。ミニバンにありがちなフワフワした横揺れもほとんど感じられない。反面、コツコツと路面の継ぎ目が伝わってくるので、穏やかな乗り味を好む人にはちょっとハードに感じるケースもありそうだ。

静粛性もかなり好印象だ。2リッタークラスともなれば、静かで当たり前だが、通常走行では不満な騒音はなく、高速巡航でも静かさは変わらない。5速が効いている。巡航速度は150km/hでも全く問題なく、メーター振り切ることも緊張感なく可能。

ここがイイ

走り。これは素晴らしい。もはやミニバンではない。逆にいえば、ミニバンらしい高い視点がないため、個人的にはおもしろくないが。オデッセイのミニバンらしからぬ走りを体験して「何だかな」と思ったのだが、ストリームにそれを感じないのは、一回り小さく、扱いやすいからだろう。この小ささながら、室内の広さはいい。アームレストが小さめで、室内高が高いのでウィークスルーも楽々。シビックも広いが、5人乗りで使うならやはりこちらがベストだ。

インパネシフトのマニュアル操作もたいへん位置がいい。手首の返しでシフトが変えられ、しかもシフトの反応が素早い。マニュアル操作をしながらワインディングを走ると、本当にミニバンであることを忘れる。

ここがダメ

発表からしばらくたったが、外観デザインはいつになってもなじめない。クーペ風のサイドのシルエットと実際のルーフラインは、やっぱりヘンでしょう。といっても、これをルーフラインに合わせたらあまりに当たり前になってしまうのだが・・・。リアのランプもやりすぎなのでは。

総合評価

photo_2.jpgシビックは世界市場用、フェリオは北米市場用、そしてストリームは日本市場用。これでシビックシリーズは真のワールドカーになるわけだ。ホンダはそうして一つのプラットフォームを使い回して、効率的にワールドカーを作っている。規模の小さい会社の展開としては見事。ホンダの単独生き残り策はこういうことなのだろう。そのせいか、価格も安い。お買い得感は相当なものだ。

昨年はアヴァンシアを絶賛したが、そのシビック版ともいえるストリームは、コンセプト的には大正解。走りも文句なく、新しいミニバンの世界を示している。5+2として使えばシビックはいらない。ミニバンというより理想的な日本型5ドアハッチバックだ。

公式サイト http://www.honda.co.jp/STREAM/

 
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