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ホンダ ストリーム X新車試乗記(第428回)

Honda Stream X

(1.8L・5AT・180万6000円)


2006年08月25日

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キャラクター&開発コンセプト

全高を低めながら正常進化

2000 年登場の初代ストリームは、5ナンバー枠のスタイリッシュなボディで7人乗りというパッケージングで、オデッセイ、ステップワゴンに次ぐ、ホンダ第3の人気ミニバンに成長。後にトヨタ・ウィッシュ(2003年)といったフォロアーを生むなど、ミニバンの新ジャンルを開拓した功績は大きい。

2006年7月14日に6年振りのフルモデルチェンジで登場した2代目も、5ナンバー枠のボディや7人乗りといった特徴を踏襲。さらに全高を45mm低めつつ、ホンダ得意の低床化で居住性もキープした。目指したのは「毎日の生活で積極的に使いたくなる7人乗り乗用車」。広告キャッチコピーは「FORM CLIMAX」(究極の形、ほどの意味か)。販売目標は月間5000台とされた。

価格帯&グレード展開

1.8と2.0リッターで180万6000円~

エンジンはシビック譲りの1.8リッター(140ps)とそれをストロークアップした2.0リッター(150ps)の2種類。1.8のFF車および4WD全車に5AT、2.0のFF車にCVT(無段変速)を組み合わせる。グレードは以下の4種類。

  • 「1.8 X」(180万6000円)★試乗車
  • 「1.8 RSZ」(206万8500円)
  • 「2.0 G」(203万7000円)
  • 「2.0 RSZ」(227万8500円)

4WDは26万2500円高。「RSZ」は専用外装のほか、2インチアップの17インチタイヤ、専用サスペンション、パドルシフトを備える。

HDDインターナビは検討の価値あり

販売主力はおそらくベーシックな「1.8 X」(今回の試乗車)だ。オーディオは全車オプションだが、となると装着したいのが入会金/年会費不要で各種サービスが受けられるHDDインターナビ(26万2500円)。プローブカー機能(他のクルマからの情報をリアルタイムで収集)で、より正確な渋滞情報を得るほか、駐車場案内、新車購入2年後の地図データ無料更新など、サービスはかなり充実している。24時間365日、電話サービスが受けられる「QQコール」(こちらは有料)もあり。

インターナビ・プレミアムクラブ

パッケージング&スタイル

45mm低くなった

全長4570mm×全幅1695mmは先代とほぼ同じ。モデルチェンジで大型化するのが当たり前の昨今、これはちょっと新鮮だ。当然パッケージングは全体に見直されているが、ホイールベースは20mmしか伸びていない。一方、全高は45mm低くなって1545mm。これで立体駐車場もほとんどOKになったが、それ以上にスタイリングへのこだわりが背を低くした一番の理由だろう。

シビックハッチバックの再来?

「シルバーウルフ」をイメージしたという精悍な顔やキャラクターラインのおかげで、もはやミニバンらしさはほとんどなく、かつてのシビックのようなスポーティさがある。初代シビックの高性能モデル「RS」に似た「RSZ」(いずれも「RS」の部分が赤文字)というグレード名も、その辺りを匂わせるものだ。

ドラポジ、見晴らしとも良好

現行シビックセダンほどではないが、インパネ回りのデザインはモダンでスポーティだ。夜間はブルーの照明で、計器類やセンターコンソールのドリンクホルダーが浮かび上がる。インパネシフトやステアリングのオーディオ用スイッチ(オプションのオーディオ/ナビとセット)の操作性も良好。面白いのはナビモニターを助手席側にオフセットさせつつ、運転席側に傾けて置いたところ。面白いレイアウトだ。

ステアリングのチルト&テレスコピック機構も装備。レバー式シートハイトアジャスターを合わせて、ドライビングポジション選択の自由は大きい。何より、Aピラーが邪魔にならず、見晴らしの良いところがいい。

基本は2+2+2

7人乗りではあるが、コンセプトでは6人乗り(2+2+2)のストリームゆえ、2列目は2人掛け優先でデザインされている。中央席にヘッドレストはなく、どちらかと言うとアームレストとして倒した方がしっくりくる。この割り切りのおかげでサードシートの見晴らしがいいのだが、これは初代から続くストリームの良さだ。先代にあったフロアトンネルを廃止したおかげで、足元も広々している。

大人でも快適なサードシート

+20mmのホイールベース延長分を使ったサードシートは外から想像する以上に実用的だ。大人2人で乗ってみたが、つま先から頭まで、窮屈さはほとんど無かった。ルーフは低くなったが、同時にフロア高も下がり、結果として居住性は先代(画像下)より向上。座面クッションは大幅に分厚くなり、背もたれも立派になった。フロアトンネルの廃止はここでもやはり大きい。

photo_8-s.jpg総じて先代が4+2だとすれば、新型は「フル6シーター」。先代の3列目だと荷室側から侵入するノイズが気になったが、新型ではそれがかなり抑えられ、乗り心地も良くなった。

2列目から後ろはフラットに

写真では2列目背もたれが完全に倒れていないが、実際には2列目から荷室までがフラットになる。そのためには、荷室部分を上げ底にする必要があるが、その時に使うボードは表がカーペット、裏が撥水仕様の樹脂というリバーシブルタイプでなかなか便利だ。荷室高そのものは810mm(カタログ値)とステーションワゴン風。自転車を積む際は、前輪を外すか、寝かせる必要がある。

基本性能&ドライブフィール

過不足ない1.8.滑らかな5AT

試乗車は「1.8 X」。シビック譲りの1.8リッター「i-VTEC」は燃費性能を重視したエンジンだが、スペックは140ps、17.7kg-mと十分なもの。先代より軽い1350kgのボディ(ホワイトボディで-10kgという)を苦もなくスムーズに加速させる。この1.8リッターの変速機は5ATだが、変速制御は極めてスムーズ。これが仮に4ATだと、もう少し回転を引っ張る感じになったはずだが、この辺りはさすが5速だ。「1-2-D」とあるシフトゲートを見なければCVTかと思うほど滑らかだ。

昔のホンダB系エンジンのような元気の良さはないが、低回転でもアクセル操作へのツキがいいなど、力不足は感じさせない。確かに2.0リッターエンジン的なトルクはないが、フル乗車や山岳路を走る時以外は、ほとんどこれで十分と思うはずだ。

惜しいのは「RSZ」に備わるパドルシフトが標準グレードには備わらないこと。無くても困らないが「あるといいな」と思わせるレスポンシブなエンジンではある。

ミニバンらしからぬ旋回性能

山道でも弱アンダーステアを維持して、ごくスムーズに走り抜ける。低い重心、ストローク感のある足回りがとてもいい。中でも驚かされるのは、回頭性がやたらいいところだ。ステアリングを切ってもスピードが落ちないという、スポーツカーのような感覚が味わえる。走りの方向性自体はオデッセイと同じだが、ストリームの方が車重が軽い分、軽快感では上かもしれない。分かりやすいシャープさが無いのは、205/55R17タイヤ、リアスタビライザー、専用チューニングのダンパーとスプリングが備わる「RSZ」が上にあるからだろう。

10・15モード燃費:14.8km/L(FF、標準車)を達成したという燃費だが、今回の試乗では高速道路の80~100km/h巡航で13.0km/L前後、撮影を含めた街乗りでは8km/L台というところだった。

ここがイイ

Aピラーの処理がうまくて視界がイイ。サイズが手頃でカッコもイイ。もちろん(設計が新しいから当前だが)ウイッシュよりイイ。価格はお手頃だし、好みの製品がつけられるからオーディオレスなのもイイ。つまりほとんど不満らしい不満がない。

入会金・年会費無料のインターナビは、先端を行くテレマティックス。プローブカーシステムを同一メーカーの車車間で実現させるというコンセプトは独断専行ではあるものの、それくらいしないと普及しないという意味で、ホンダの英断ともいえる。また、車速/車間制御機能IHCC(インテリジェント・ハイウェイ・クルーズコントロール)や追突軽減ブレーキ(CMBS)がいよいよ大衆車クラスに下りてきたことも見逃せない。これらのインテリジェント装備をいろいろ装着すると、車両代金は1.5倍くらいまで跳ね上がってしまうが、「うちのクルマはこんなにハイテクなんだ」と子供たちに見せることは、大きな意義がある。カーナビに向かって「暑い」と言うと温度を下げてくれる、などのデモンストレーションは、クルマに関心のない最近の子供たちにとっても新鮮ではないだろうか。自動車業界にとって今後もっとも必要なのは、一人でも多くの子供たちに「クルマってすごい」と思わせることだろう。

ここがダメ

ホンダの5AT車はシフトレバーに「1-2- D」とあり、レバー横のOD(オーバードライブ)オフスイッチを押して3速に入れる。つまり、4速だけはドライバーの意思でどうやっても選ぶことが出来ない。ホンダとしては「高速走行中にエンジンブレーキが必要なら3速に落とした方が有効だし、ちょっとした加速ならキックダウンの方が速い」という考えだろう。確かに実用的にはそうかもしれないが、感覚としては「せっかく5ATなんだから1-2-3-4-5全てをマニュアルで選びたい」ではないだろうか。昔の4ATならともかく、せめて5ATにはパドルシフト(RSZには付く)を全車標準としても良かっただろう。

総合評価

35歳前後で年収700万円くらい、妻と小学生くらいの子供二人の平均的サラリーマンだったらどんなクルマを買うだろうか。その昔スーパーカー小僧だった人なら、妻子を泣かせて古いポルシェを買うかもしれない。元ヤンキーだったら派手にカスタマイズした豪華ミニバン? でも大半の人が購入対象に考えるのは、このストリームあたりだろう。5ナンバーサイズのミニバンらしからぬ3列シートを備え、価格は200万円前後と買いやすい。しかも新型なら立体駐車場にも入り、装備も走りも不満がない。3列シートはファミリーにとって今やマストアイテムだが、普段奥さんが乗るとすればクルマは小さい方がいい。こうした条件をすべて満たすのはストリームやウィッシュというわけだ。クルマにこだわるスーパーカー小僧やヤンキーの遺伝子がない人にとって、ストリームはかつてのシビックに等しい存在だろう。国内向けシビックハッチバック(ただし7人乗り)と言ってもいいかもしれない。

先代はシビックベースだったが、そのシビックが3ナンバーサイズになった今、かつてのシビックが持っていた5ナンバーの国民車的スタンスを引き継げるのはストリームしかない。もはや3列シートであることはメリットでこそあれ価格的にもデメリットではないから、今後の国民車はすべからず背の低いミニバンになっていくだろう。30代サラリーマンだけでなく、シビックの代替えでストリームを買うという熟年層も増えてくるはずだ。

初代ストリームの発表会では、5ナンバー・3列シートというコンセプトの良さに比べて、サイドグラフィックスのデザインワークは素直にかっこいいと思えなかった。誰もがコピーを疑ったトヨタウィッシュの後塵を拝した原因の一つは、おそらくそのデザインがあったと思う。初代はイルカ、今回はシルバーフォックスがイメージとのことだが、明らかに今回の方が精悍でかっこよく、デザイン的に無理がない。いくらクルマにこだわりがない人でも、買うとなればそこそこかっこいいクルマが欲しいもの。その意味では今回こそロングセラーとなることは間違いないだろう。毎日使って便利、レジャーから冠婚葬祭まで平均的なサラリーマン家庭の要求がこの一台で満たされるクルマだ。

さて、このように素晴らしい2代目ストリームだが、上記のような条件に当てはまらないクルマ好き(子供がいないとか、お金がいっぱいあるとか)には、特に心を強く打つものがないのもまた事実。スポーツカーやワンボックスワゴン、新世代コンパクトカーに最新軽まで、おもしろいクルマがいっぱい存在している昨今、あえてストリームを選ぶ必然性を感じないのだ。むろんそれこそが、ストリームが現代の大衆車・国民車であることの証なのだが。

試乗車スペック
ホンダ ストリーム X
(1.8L・5AT・180万6000円)

●形式:DBA-RN6●全長4570mm×全幅1695mm×全高1545mm●ホイールベース:2740mm●車重(車検証記載値):1350kg (F:-+-)●乗車定員:5名●エンジン型式:R18A●1799cc・直列4気筒・SOHC・4バルブ・横置●140ps(103kW) /6300rpm、17.7kg-m (174Nm)/4300rpm●カム駆動:チェーン●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/55L●10・15モード燃費:14.8km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/65R15(-)●試乗車価格:213万1500円(オプション:Honda HDDインターナビ・システム<リアカメラ付> 26万2500円、ディスチャージドヘッドライト 6万3000円)●試乗距離:約180km●試乗日:2006年8月 ●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

公式サイト http://www.honda.co.jp/STREAM/

 
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