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スバル レガシィ アウトバック新車試乗記(第750回)

Subaru Legacy Outback

(2.5L 水平対向4気筒・CVT・AWD・313万2000円~)

雨ニモマケズ
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丈夫ナボディヲ持ツ
ソンナスバルニ私ハ乗リタイ

2014年12月26日

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キャラクター&開発コンセプト

6代目レガシィは、アウトバックとB4


新型レガシィ アウトバック

富士重工業が2014年10月24日に発売した新型レガシィ アウトバックとB4は、レガシィとしては6代目、アウトバックとしては(日本名グランドワゴン、ランカスターも含めて)5代目、B4としては4代目となるモデル。レガシィ自体はレオーネの後継として1989年に登場しているので、今年は生誕25周年だった。

そのレガシィも今や生産台数の7割以上を北米で販売しており、ボディサイズも先の5代目(2009~2014年)からアメリカンなものに変身。一方、日本市場では従来のレガシィユーザーから支持されにくいサイズになってしまい、それをカバーするため今年6月にレヴォーグが国内に投入された、というのが目下の状況だ。

 

新型レガシィ B4

その上で、スバルのフラッグシップとして世界市場で販売されるのが、今回の新型アウトバック(BS9型)と新型B4(BN9型)。なお、北米市場でも新型はアウトバックと4ドアセダンのみで、ツーリングワゴンの設定はない。

スバルが新型アウトバックとB4の特徴として挙げるのは、「スバルらしいスポーティな走行性能」や「EyeSight(ver.3)をはじめとする安全性能」、そしてデザインや質感からくる「情緒的価値」だという。

月販目標はアウトバックが800台、B4が400台の計1200台


トヨタ博物館(愛知県長久手町)では11月下旬、有力販社の一つである名古屋スバル主催で新型レガシィ発表会&試乗会が行われた

月販目標は1200台で、そのうちアウトバックは800台、B4は400台。発売から約1ヶ月の受注台数は、その約3.6倍の4308台(アウトバックが2898台、B4が1410台)だったとのこと。

なお、初期受注における購入者の世代別構成比は、アウトバックでは40代(30%)が最も多く、次が50代(24%)だが、B4では60代以上(33%)が最も多く、次が50代(31%)になる。つまりそれぞれの主力ユーザー層は、二世代ほど離れている。

また、参考までに他の現行スバル車の月販目標は、レヴォーグが3200台、インプレッサが2150台、フォレスターが2000台、XV(ハイブリッドを含む)が1550台、新型WRXが650台(いずれも発表時点もしくはマイナーチェンジ時の計画台数)。

 

■参考記事
新車試乗記>5代目スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT DIT (2012年6月掲載)
新車試乗記>5代目スバル レガシィ B4 2.5GT アイサイト (2010年6月掲載)
新車試乗記>5代目スバル レガシィ アウトバック 3.6R (2009年9月掲載)
新車試乗記>5代目スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i Sパッケージ (2009年6月掲載)
新車試乗記>4代目スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT (2006年6月掲載)
新車試乗記>4代目スバル アウトバック 3.0R (2003年12月掲載)
新車試乗記>4代目スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec. B (2003年6月掲載)

■外部リンク
富士重工業>プレスリリース>新型レガシィ アウトバック/B4を発売 (2014年10月24日)
スバル オブ アメリカHP

 

価格帯&グレード展開

アウトバックが313万2000円~、B4が286万2000円~


ボディカラーはアウトバックが写真の「タングステン・メタリック」(アウトバック専用色)など全9色。B4は全7色
(photo:富士重工業)

北米向けには3.6L水平対向6気筒、中国向けには2.0L DITもあるようだが、日本向けのアウトバックとB4は共に全て自然吸気2.5L 水平対向4気筒エンジン(FB25型)+リニアトロニックCVT+シンメトリカルAWDという組み合わせ。

価格(消費税8%込)は、アウトバックの標準グレードが313万2000円、上級グレードのリミテッドが340万2000円(今回の試乗車)、B4の標準グレードが286万2000円、同リミテッドが307万8000円。

スタブレックス・ライドや18インチタイヤ標準の「リミテッド」を用意


リミテッドに装備される「スタブレックス・ライド」ダンパー

上級グレードのリミテッドは、アウトバックの場合、タイヤが17インチ(225/65R17)から18インチ(225/60R18)になるほか、カヤバと共同開発した可変ダンパー「スタブレックス・ライド(Stablex Ride)」、アルミパッド付ペダル、本革シート、ピアノブラック調加飾パネル、ドアハンドル照明、パワーリヤゲートなどが標準装備になる。標準グレードとの価格差は27万円。

B4の場合、リミテッドはタイヤが17インチ(225/55R17)から18インチ(225/50R18)になり、やはりスタブレックスライド等が付く。標準グレードとの価格差は21万6000円。

オーディオ&ナビは、新開発のメーカーOPと販売店OPがある


試乗車は販売店オプションのパナソニック製SDナビ付

オーディオやナビは全車オプション。メーカーオプションには、スバル初となるスマートフォンとの連携機能「STARLINK」を備えた7インチディスプレイ付のSDナビ(富士通テン製)と、スバルでは国内初採用の「ハーマンカードン(harman/kardon)サウンドシステム」(576W DSPアンプ、12スピーカー等で構成)をセットで用意(30万2400円高)。これはリヤビューモニターや車両情報表示機能を備えるなど、車両との一体性が高いタイプになる。ハーマンカードンについては、従来のマッキントッシュに代わるものだ。

一方、試乗車には販売店オプションの8インチディスプレイ付SDナビ(パナソニック製)が装着されていた(26万1792円)。こちらはメーカーOPよりディスプレイが1インチ大きいが、車両との一体性は強くなく、ステアリングスイッチ(1万4580円)やリアビューカメラ(3万4560円)は別途になる。試乗車は同じく販売店オプションのダイアトーン製スピーカーが装着されていたようだが、DSPでいろいろ変えられる音質は独特。音にこだわるならハーマンカードンと聴き比べてみるのがいいと思う。

 

パッケージング&スタイル

オーバーフェンダーなしでも20mmワイドに

アウトバックのボディサイズ(先代比)は、全長4815mm(+40)×全幅1840mm(+20)×全高1605mm(同)、ホイールベース2745mm(同)。下の表にもあるように、ライバル車にはボルボ XC70やアウディ A6 オールロードクワトロがある。北米市場での売れ線を見れば、スバルがレガシィの大型化を断行した理由がよく分かる。

 

中でも先代と大きく違うのは全幅。新型B4は先代の1780mmから一気に60mm増えて1840mmになり、アウトバックの全幅も同じく1840mmになった。また、先代アウトバックは専用フロントフェンダーと樹脂製リアオーバーフェンダーを装着していたが、今回はボディ自体が十分にワイドになったため、オーバーフェンダーを廃止。それでも全幅は先代より20mm増えている。

ただ、それでも「もうちょっとSUVっぽいワイルド感が欲しいなぁ」という場合には、販売店アクセサリーで樹脂製の「ホイールアーチトリム」(6万4800円)を装着することができる。

最低地上高は200mmを確保


リミテッドはボディ下部にメッキ加飾付サイドクラッディング等を備える

最低地上高はB4より50mm多く、先代同様にSUV並みの200mmを確保。最低地上高の嵩上げは、足回りのほか、タイヤサイズの変更でも行われており、例えば17インチ仕様ならB4の225/55に対して225/65、18インチ仕様ならB4の225/50に対して225/60になる。

 

フロントオーバーハングは長めだが、アゴを擦る心配はほとんどない

全長はレヴォーグより125mm長く、全高は115mmも高い
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
スバル レヴォーグ (2014~) 4690 1780 1485~1490 2650 5.4~5.5
(BP型)スバル アウトバック (2003~2009) 4730 1770 1545 2670 5.4
(BR型)スバル レガシィ アウトバック (2009~2014) 4775 1820 1605 2745 5.5
VW パサート オールトラック TSI 4MOTION (2012~) 4785 1820 1560 2710 5.3
新型(BS型)スバル レガシィ アウトバック (2014~) 4815 1840 1605 2745 5.5
現行ボルボ XC70 (2007~) 4840 1890 1605 2815 5.7
現行アウディ A6 オールロードクワトロ (2012~) 4940 1900 1500 2905 5.7
 

インテリア&ラゲッジスペース

インパネデザインもシンメトリカル


Aピラーの前出しや、ドアミラーのショルダーマウント化などにより死角を減らし、前方視認性を高めている

内装のテーマは「コンフォート&スポーティ」。具体的には広々感を出すためだろう、センターコンソールの存在感は控えめにし、水平基調のインパネデザインを採用。さらに左右対称デザインで、スバル自慢のシンメトリカルAWDを表現している。また、ダッシュボードやドアトリムをソフトパッド化し、リミテッドではピアノブラック調パネルを採用するなど、高級とまではいかないが、質感にも注力されている。

メーターはオーソドクスな2眼タイプで、その真ん中にEyeSightやSI-DRIVEの作動状況などを表示する「マルチインフォメーションディスプレイ」を配置している。意外だったのは、レヴォーグやインプレッサ等にあるダッシュ中央の大型マルチインフォメーションディスプレイが省かれていること。メーター間の小型ディスプレイだけで十分という判断だろうか。

 

電動パーキングブレーキはセンターコンソールに移動。この方が明らかに操作しやすい

SI-DRIVEで「S♯」モードを選択した状態。メーターリングは通常はブルーだが、リミテッドでは「S」モード選択時やEyeSightによる警告時などに赤に変化する
 

居住性は文句なし。積載性も先代よりアップ


運転席&助手席は全車パワーシートで、シートヒーターも標準装備

ホイールベースがレヴォーグより95mm長いこともあり、室内空間は不満なし。その点は先代レガシィでも言えたことだが、新型では左右シート間が拡がったほか、前後席間距離(タンデムディスタンス)も増えて、ゆったりした空間になった。それでいて、だだっ広いという感じにもならないように、シート形状は立体的になっている。クラウンから乗り換えても、特に不満はないのでは。

 

後席は広さ、座り心地、乗降性など全て不満なし。後席シートヒーターも全車標準

アウトバックの荷室容量(後席使用時)は先代比39L増の559L。ちなみにB4は先代比45増の525Lと、やはり大容量で、いずれも9インチのゴルフバッグが4つ積めるとのこと。また、それとは別に床下収納もあり(アウトバックは47L、B4は18L)、スペアタイヤの代わりにパンク修理キットを搭載する。

また、パワーリヤゲートも採用。標準車はオプションだが、リミテッドは標準装備になる。

 

アウトバックの荷室容量は559L+床下47L

荷室側のレバーを引くと背もたれが倒れるのはレヴォーグと同じ。最大荷室長は約2メートル
 

基本性能&ドライブフィール

穏やかで、従順


全車、直噴ターボ「DIT」のレヴォーグと異なり、自然吸気エンジンを搭載する新型レガシィ。エンジンカバーがないため、水平対向エンジン本体が比較的よく見える

試乗したのはアウトバックで、新開発の「スタブレックス・ライド」ダンパー、18インチタイヤ、レザーシート等を装備した上級グレード「リミテッド」(340万2000円)。最初からお金の話で恐縮だが、先回試乗したレヴォーグの最上級グレード「2.0GT-S EyeSight」より16万円ほど安い。

そのボクサーエンジンは、レヴォーグのような直噴ターボではなく、先代の途中から採用されているポート噴射の自然吸気2.5L(2498cc)、FB25型。とはいえ、単純なキャリーオーバーではなく、静粛性の向上(チェーンの駆動音、ピストン、オルタネーターなどの作動音を低減)や、吸気音のチューニングによる心地よいエンジンサウンド、燃費性能の向上などを狙って約8割の部品を新設計したもの。先代とほぼ同等の最高出力175ps、最大トルク235Nm (24.0kgm)を発揮しながら、JC08モード燃費は先代2.5Lの13.6km/Lから14.6km/Lにアップしている。

 

アイドリングストップ機能は標準装備。エンジン再始動が素早く、クランキングノイズも静かなので、作動してもほとんど気にならない。

スバル独特の、さざ波のようなエンジンサウンドを耳にしながら走り始めると、レヴォーグの1.6GTや2.0GTとは異なる、淡白だが、自然なトルク感とレスポンスに癒やされる。アクセルを踏み込めば、特に表情を変えず、かすかな鼓動感を伴いながら「ただ穏やかに加速していく」癒し系。車重は1580kg(試乗車)で、パワーウエイトレシオは9.0kg/psだから、際立って速くはないが、遅くもない。10期待すれば、きっちり10返してくる律儀で従順なパワートレインという印象。

なお、「リニアトロニック」CVTも改良されており、通常走行時は滑らかな無段変速としつつ、アクセルを深く踏み込んだ時には、有段ATのように段付きで変速しながら加速する「オートステップ変速制御」が採用されている。おかげで、従来のリニアトロニックで不満だったリニアリティのなさが、少なくともこの自然吸気2.5Lエンジンとの組み合わせでは、かなり解消されている。

また、パドルシフト使用時には6速マニュアルモードに移行。高回転まであまり回りたがらず、また回してもあまり旨味はないが、エンジンブレーキを使いたい時などにはそれなりに有効だった。

振り回すのは難しいが、淡々と安心して走れる

乗り心地については、水平対向6気筒エンジンの先々代アウトバック 3.0Rや、先代アウトバック 3.6Rの印象が強かったせいか、思ったよりちょっと硬め、という印象。最低地上高はB4より50mm高いが、ロール感は少なく、ワインディングでも軽快に走れる一方で、こちらが期待していたアウトバック的なゆったり感や鷹揚さは薄め。ちなみに先代アウトバック 3.6Rの車重は1600kgと意外に軽量で、新型と大差ないが、最高出力は260ps、 最大トルクは335Nm(34.2kgm)もあった。

「STABLEX-Ride(スタブレックス・ライド)」ダンパーについては、ノーマルダンパー装着車に乗っていないので違いがよく分からない、というのが正直なところ。別の日に試乗したB4もスタブレックス・ライド仕様だった。

この新型ダンパーは新開発のバルブにより、ダンパーのピストン速度域に応じて減衰特性をメカニカルに変えるというもの。基本的にゴツゴツ感はほとんどなく、コーナリング時の姿勢変化をしっかり抑えこむタイプという感じ。

また、アウトバックのタイヤは従来ずっとオールシーズンだったが、新型はついにサマーになり、特に試乗車はかなりオンロード寄りのBS デューラー H/P スポーツを履いていた。グリップ性能が高い割に、それを打ち負かすほどのパワーはないので、先々代アウトバック 3.0R(センターデフで後輪寄りにトルク配分するVTD-AWDを採用)みたいなワイルドな走りは難しいが、高速道路からワインディング、雪道まで、淡々と安心して走るのに不足はない。

EyeSight(ver.3)は全車標準


写真は別の日に新型B4に試乗中のもの。ステアリングの右スポークにある全車速追従クルーズコントロール用の操作スイッチは、スバル車では定番のもので使いやすい

全車標準のEyeSight(ver.3)は、レヴォーグでも触れたように、より広角かつ遠方まで前方を監視し(視野角と視認距離は約40%アップ)、ブレーキランプなどのカラー認識も可能な改良型ステレオカメラと画像解析エンジンを搭載したもの。さらに車線をカメラで読み取って逸脱を警告するだけでなく、操舵アシストまで行う「アクティブレーンキープ」も備えている。

なお、一つだけレヴォーグのEyeSight(ver.3)と異なるのは、全車速追従機能付クルーズコントロールを使って約65km/h以上で走行中に作動する「車線中央維持」機能が、新型レガシィには未採用であること。これは国内向けのレヴォーグと異なり、レガシィは海外の交通事情や路面状況、車線表示(鮮明度など)にも対応しなくてはいけないからのようだ。

雪道では200mmの最低地上高が心強い

今回は試乗後半に、名古屋では9年ぶりという積雪23cmの天候に見舞われ、図らずして雪上走行も少し試すことになった。とはいえタイヤはサマーだったので無理はできず、結果として走破性はまったくもって十分なのが分かった程度ではあるが。

なお、新型アウトバックには悪路走破用の走行モード「X-MODE」が採用されている。これは40km/h以下で走行中に限り、4輪の駆動力やブレーキを悪路や雪道に合わせて最適に統合制御するもの。ヒルディセントコントロールもオン状態になる。いちおう雪道で試してみたが、通常モードでも普通に走ってしまうので、その威力を実感するには至らず。それでもタイヤが空転してスタックしそうな状況では、頼りになると思われる。なお、40km/h以上になるとX-MODEは自動的にOFFになる。

それより今回、非常にありがたいと思ったのは、200mmの最低地上高。除雪されていない裏道や駐車場、あるいは雪で深い轍ができているところでも、これのおかげで安心して走ることができた。雪道や悪路でこの安心感を味わうと、最低地上高の低いクルマには戻れなくなりそうだ。

試乗燃費は8.8~11.5km/L。JC08モード燃費は14.6km/L

今回はトータルで約230kmを試乗。車載燃費計による試乗燃費は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約80km)が8.8km/L、それとは別に一般道を走った区間(30km)が11.5km/L、一般道を大人しく走った区間(30km)が12.5km/Lだった。指定燃料は嬉しいことにレギュラーガソリン。

JC08モード燃費は14.6km/Lで、直噴ターボのレヴォーグ 1.6GT(16.0~17.4km/L)には及ばないが、同2.0GT(13.2km/L)を少しだけ上回る。実際の試乗燃費も、先回試乗したレヴォーグ 2.0GT(試乗燃費は8.5~10.8km/L)より、わずかながら良かった。タンク容量はレヴォーグと同じ60リッター。

 

ここがイイ

道具としての完成度、いろんな意味での安心感

自然吸気2.5Lということで、文字通り「自然」なレスポンスやパワー感があること。WRXのようにパワー&トルクはガツンと来ないが、このスムーズで穏やかなパワー感もまたスバルらしいところ。レギュラーガソリン仕様だし、CVTにも違和感はなく、とても実用的なパワートレインだと感じた。雨の日も雪の日も安心安全に、そして疲れず倦まず長距離が走れる道具になっている。

都市部でも歩道との段差や車止めなど、下回りをぶつけてしまう可能性はそこら中にあるわけで、最低地上高の高さはアウトバックの大きな魅力。まぁSUVとはみなそういうものだが、それでいてアウトバックはあまりSUVっぽく見えないのがいいところ。

 

内外装の質感も高くなり、この点におけるスバルの注力ぶりが実感できるモデルになっている。スバルのフラッグシップ車としては、もう少し高級感が欲しい気はするが、スバルらしい実直さを備えつつ、とりあえずこのクラスで求められる質感レベルはクリアしている。

快適装備もかなり充実しているが、中でもイイのが全車標準の後席シートヒーター。特に上級グレードは革シートなので、シートヒーターがありがたい。ただしこの背景には、(高効率エンジンゆえ?)ヒーターが効いてくるのがいまいち遅い、という事情もありそうだが。一方で、標準グレードはシートヒーター付ファブリックシートなので、革シートが苦手な人には嬉しいところ。

ここがダメ

ステアリングヒーターの不備

今回は12月下旬の、大雪が降った日の試乗したので余計に気になったが、ステアリングヒーターの用意がないこと。これだけ雪国に強そうな仕様で、しかも前席と後席にシートヒーターを完備しているのに、ステアリングを操作しなくてはいけないドライバーは手先の冷えが気になってしまう。ちなみに先日発売されたホンダの軽自動車「N-BOX スラッシュ」の上級グレードは、前席(運転席&助手席)シートヒーターとステアリングヒーターを標準装備する。恐るべし軽自動車。

あと、細かいところでは時計が、ナビ画面を除くと、センターコンソールに小さくデジタル表示されるだけなのが気になった。走行中はまず読めない。安全のためにも、もう少し見やすい場所に時計を常時表示すべきだと思う。

希望としてはアウトバックの他に、普通のステーションワゴン(レガシィで言うところのツーリングワゴン)もあればと思う。レヴォーグがあるだろ、と言われそうだが、こういう落ち着いた雰囲気のワゴンは他にないので。

総合評価

衝突安全性と前面衝突予防性能で最高評価

先日、ちょっと大きめの事故を目前で見た。やや急な片側2直線の長い坂で、前を走っていた高齢者マークのフィットが50~60km/hくらいで坂を登っていく。その頂上部分の平坦な路肩に、BMWの1シリーズが路上駐車していた。坂の下から見にくかったのは確かだが、フィットは避けようともせず、そのままぶつかってしまった。見るとフィットは前部を大破して、当然ながらエアバッグが開いていたが、運転者は怪我をしている風でもなかった。まわりのクルマが止まって、何人かが降りてきたし、BMWの運転者らしき人も向かいの店から出てきたので、事故処理は大丈夫だろうと、約束の時間がせまっていたこともあってその場を離れた。

フィットのドライバーは女性のようだったが、回避行動を取らなかったように見えたのは、脇見でもしていたのだろうか。ああした事故ではクルマの衝突安全性能が問われるところだが、BMWが衝突した弾みで前に動いたこともあって、衝撃はかなり緩和されたと思われる。昔だったら死亡事故になりそうな衝突でも、最近はドライバーが無事なことが多い。この事故でもフロントドアから後ろはほとんど変形していなかった。多分ドライバーはたいした怪我をしていないだろう。コンパクトカーのフィットでもそれくらいの衝突安全性能はちゃんと確保されている。

 

Euro NCAP Crash Test of Subaru Outback 2014

ちなみに試乗した新型レガシィ アウトバックは、EuroNCAPの衝突テストで5つ星となっている。テストの模様は右の動画でも分かるように、今回目撃した事故よりそうとう激しい衝突実験だ。これを見ると、スバル車の衝突安全対策は、ほんとうに素晴らしいと思う。

EyeSightによって自動で止まるのは、すでにもう多くの人がディーラーのイベントなどで体験したはずだが、さすがにクラッシュテストは体験する訳にはいかない。こうした動画をたくさん見ることで想像することはできるはずなので、もっと販売現場でも見せていいのではないかとも思うのだが、新車を買うのに縁起でもない、ということか。

 

2015 Subaru Legacy small overlap IIHS crash test

とはいえ、先のような事故でも、いわゆる衝突被害軽減ブレーキ(スバルではプリクラッシュブレーキと呼ぶ)があれば、もっとダメージは少なかったに違いない。

最新のニュースでは、2015年モデルのスバル5車種(レガシィ、アウトバック、フォレスター、インプレッサ、XV)が、米国IIHS(道路安全保険協会)の安全評価テストで、最高評価のトップセーフティピック(TPS)+を獲得したというのがある。このIIHSのテストでは、前面オフセット、前面スモールオーバーラップ、側面、後面の各衝突テスト、ロールオーバー(車両転覆)などに加え、EyeSightのような前面衝突予防性能(Front crash prevention)も評価される。

 

JNCAP(自動車アセスメント)>レガシィ:被害軽減ブレーキ試験 CCRm45km/h

最高評価のTPS+を獲得した2015年モデルは全部で33台だが、過酷な前面スモールオーバーラップで最高評価のGoodを獲得した上で、前面衝突予防性能でも最高評価のSuperiorを獲得したモデルは、スバル以外ではボルボ(S60/V60、XC60、S80)、メルセデス(Eクラス)など数えるほどしかない。

■外部リンク
IIHS>2015 TOP SAFETY PICK and TOP SAFETY PICK+ winners

また日本のJNCAP(自動車アセスメント:Japan New Car Assessment Program)でも、新型レガシィの前面衝突予防性能が最高評価の「先進安全車プラス(ASV+)」に選定されているが、そのテストにおいて対定速走行車両45km/hでアイサイトが作動する興味深い動画もある(右)。

昨今の躍進がまぶしく見える

とにかくEyeSightを含めた世界トップクラスの安全性能は、これまでのスバルの真摯なクルマづくりが今に結実しているからだろう。スバル360の時代から、そんなスバル車を好ましく思って時に乗ってきただけに、とても嬉しい反面、昨今の躍進はちょっとまぶしくも見える。

なにしろその昔、スバルといえばダサいクルマの代表だったのに、このレガシィに至ってはノーマル状態でもかなりカッコいい。かつてのスバル車の場合、デザインのどこかにケチを付けたくなったものだが(例えばグリルまわり)、新型レガシィにはぜんぜんそんなところがない。そしてインテリアのデザインや質感についても、特に不満がないのだから、まあ時代は変わるものだ。

レヴォーグの外観はかなりスポーティだが、新型レガシィはジェントルで落ち着いた印象だ。すなわち、いわゆる昔からのステーションワゴンらしい。アウトバックの場合、樹脂製のオーバーフェンダーがなくなったのは少し寂しいが、これはホイールアーチトリムという名のディーラーオプション(6万4800円)を装着するという手があるし、ついでにグリルもメッシュタイプ(4万1000円)に変更すると、より精悍になっていいと思う。アクセサリーカタログの表紙写真をご覧頂きたい。

 

シャシー性能もフラッグシップらしい落ち着きのあるものだし、かつてスバルの弱点と言われた燃費も悪くない。これはいい。ただ、唯一気になるのは日本で使う場合のサイズ感だろう。いかにも大きくなりすぎたという人は少なくなく、それゆえレヴォーグも投入されているわけだ。

しかしこれも考えてみると、かなり良心的なサイズに収まっているのではないか。全長が5mもあるわけではないし、全幅1840mmは今どきのタワーパーキングに十分収まるサイズ。問題は古いタワーパーキングに収まらない1605mmの全高だろうが、昨今は軽自動車ですら全高1600mm以上が普通なだけに、新しめのタワーパーキングでは高さもかなり考慮されている。レガシィは海外向けのクルマになってしまったと言われているが、実は案外日本のことも考えたサイズなのではないか。このあたりのサイズが日本においては日常的に使える上限だと思う。

来年こそ、安全や本質で競い合う時代の幕開けに

一時期のスバル車は、どちらかと言えば元気な走りが売りになっていたが、新型レガシィの場合は、必要十分な走りというところに、かえって好感が持てた。走りそこそこ、燃費もそこそこ、日本でもなんとか日常的に使えるサイズで、今回実感したように、たまに大雪が降っても気にならないオールマイティな「ステーションワゴン」。そして何より、世界最高峰の安全性能を持つ。

2014年の暮れになって、燃費数値を競いあう時代はやっと終わりつつあるのではないかと思う。来年こそ、燃費のわずかな差より、安全や本質で競い合う時代の幕開けとなるのでは、と願って、今年の試乗記はこれで締めとしたい。

 

試乗車スペック
スバル レガシィ アウトバック リミテッド
(2.5L 水平対向4気筒・CVT・AWD・340万2000円)

●初年度登録:2014年10月 ●形式:DBA-BS9 ●全長4815mm×全幅1840mm×全高1605mm ●ホイールベース:2745mm ●最低地上高:200mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1580kg(920+660) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:FB25 ●排気量・エンジン種類:2498cc・水平対向4気筒DOHC・4バルブ(自然吸気)・縦置 ●ボア×ストローク:94.0×90.0mm ●圧縮比:10.3
●最高出力:129kW(175ps)/5800rpm ●最大トルク:235Nm (24.0kgm)/4000rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/60L
●JC08モード燃費:14.6km/L

●駆動方式:電子制御AWD(アクティブトルクスプリットAWD) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイルスプリング/後 ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング ●タイヤ:225/60R18(Bridgestone Dueler H/P Sport)

●試乗車価格:383万9292円(概算) ※オプション:オプション塗装(クリスタルホワイト・パール) 3万2400円、カラードナンバープレートベースセット 1万2960円、ドアバイザー 3万3480円、スプラッシュボード 2万5920円、フロアカーペット 3万6180円、パナソニック製 ビルトインSDナビ 26万1792円、リヤビューカメラ 3万4560円 ●ボディカラー:クリスタルホワイト・パール

●試乗距離:約230km ●試乗日:2014年12月 ●車両協力:名古屋スバル自動車

 
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名古屋スバル自動車

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