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トヨタ サクシード ワゴン新車試乗記(第232回)

Toyota Succeed Wagon

 

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2002年08月10日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

カローラ&カルディナバンの後継

2002年7月2日に発売となったプロボックスおよびサクシードは、新設計の専用ボディを持つ商用バン。この平成不況の中、10年以上にわたって頑張ってきたカローラ・バンおよびカルディナ・バンの跡を継ぐ。プロボックスよりサクシードの方が約10cm長いが、基本設計は同じ。どちらにも5ナンバー(乗用)ワゴンが用意される。

キャッチフレーズは「明日が変わるバン」。キーワードは「ビジネスカーの革新」。具体的には、コンパクトながらクラストップの荷室スペース、リアサスの板バネ→コイル化、市場調査を生かした運手席周りの使い勝手、安全性向上など。ちなみに「プロボックス」とは英語の「プロフェッショナル」と「ボックス」を合体させた造語。分かりやすいし、覚えやすい。「サクシード(SUCCEED)」は英語で「成功する」「繁盛する」。

生産はダイハツ。強気の目標台数、好調な受注

月販1万台前後で推移する市場で、2車種合わせて7000台/月(プロボックス5,000台、サクシード2,000台)が目標。生産はダイハツの京都工場が請け負う。

発売後1ヶ月の受注はその約2倍の15,000台(それぞれ8,000台、7,000台)と好調。予想外に健闘するワゴンについてトヨタは「シンプルなデザイン、ラゲージスペースの広さが好評で、若年層、女性をはじめ幅広い層から支持」と分析する。

ライバルは日産・ADバン(ウイングロード)、同エキスパート(アベニール)。もしも世界が相手なら、と考えるとヨーロッパにおけるベストセラー商用バン、ルノー・カングーあたりも候補になるだろう。

価格帯&グレード展開

バンとワゴンの差は約10万円

プロボックスとサクシードの違いは、主にバンパー形状などによる全長の差(105mmサクシードが長い)や荷室容量。基本的には大差なし。

エンジンは1.5リッター(4ATおよび5MT)と1.4リッターディーゼルターボ(5MTのみ)、プロボックスには1.3リッター(4AT/5MT)仕様もある。4WDもあり。

ワゴン版はいずれも1.5(4ATおよび5MT)のみ。175/65R14タイヤ(サクシード・ワゴン)やサイドプロテクションモールを装備し、後席のクッション厚みが増す。

価格はプロボックス・バンが87~146.8万円、ワゴンが118.3~156.8万円。サクシード・バンが122~161.5万円、ワゴンが139.5~167.5万円。きめ細かいグレード設定と無駄のない装備設定は商用バンならでは。

パッケージング&スタイル

まさに「プロの道具箱」

「機能美」「プロの道具」を意識したというスタイルは、今までありそうで無かったデザイン。四角なのに丸みのあるスタイルが、プロフェッショナルかつフレンドリー。ルーフ、ウインドウともbBのように水平基調のサイドは「広告塔として対応しやすい広い面構成」。なるほど。「機能的ながら安っぽくない」というレベルに達した、完成度の高いデザインだ。

このサイズにして、足を伸ばして荷室に寝られる

車両サイズは両車ともコンパクト。全長4,195(プロボックス)/4,300(サクシード)×全幅1,690×全高1,510~30mm。ホイールベースは両車同じく2,550mm。

バンであるからして、何は無くとも荷室である。プロボックスはミカン箱38個、サクシードは39個を積載(2名乗車時)。商用バントップの容量を誇り、カルディナバンに負けない積載性能だ。リアサスの出っ張りがほとんどなく、開口部の広さと低さ、スクエアな形状は、誰が見ても使い易そう。最大荷室長はプロボックスで1,810mm、サクシードで1,830mm。空荷なら、十分に足を伸ばして寝ることができる。バンの荷室床は塩ビ張りだが、ワゴン系はニーパン(ニードルパンチカーペット。低コスト内装材の一種)が敷かれる。

ドリンクホルダーに続くのは、インパネテーブルだ!

「プロの仕事場」として、合理性とくつろぎを追求したという室内デザイン。 圧巻は運転席まわりの小物入れ。ステアリング右のカードホルダー、ペン立て、小銭入れ。サンバイザー裏にズラリと並んだ各種ホルダー。そしてドリンクホルダー、買い物フック、ティッシュペーパーも入るダッシュ下部の巨大な棚、パーキングブレーキレバー横のA4ファイルサイズの冊子入れ、などなど。センターコンソールには貴重品が入れられる鍵付き物入れ(これは便利)があり、その中にはオプションで100V電源(これまた便利)が設置できる。ドアポケットもA4地図対応。まさにプロユース。

目新しいのはセンターコンソールの引き出し式「インパネテーブル」。ノートパソコンを置いたり、伝票記入に使ったり、弁当のテーブルにしたりと利用可能。これ画期的。この単純なプラスチック製テーブルだけで、プロボックス/サクシードは買いだ。そのすぐ下に100V電源もあるわけで、モバイラーにとっては、まさに「こんなのが欲しかった!」。サイズは大きくはないが耐荷重は10kgと、文字通りヘビーデューティ。

シートの座り心地はまずまず

運転席の高さ調節は最大31mmで可能。シート全体が上下する理想的なタイプ。一番下でもまだ高いという感があるが、上方向はお望み通り。小柄な女性には嬉しい。座り心地はややソフト。ホールド性はまあまあで、乗り降りもしやすい。豪華さはないが商用車としては不満がないものだ。

後席はバンの塩ビに対して、ワゴン系は総ファブリック。パタンと背もたれを倒すだけで荷室が拡大できるバンに対して、ワゴンはダブルファンクション、つまり座面を一回起こしてから背もたれを倒すタイプ。ワゴンはクッションの厚みがあり、ヘッドレストも2名分ちゃんと付く。座り心地はまずまずで、ちょっとしたドライブなら十分使えそうな感じ。

基本性能&ドライブフィール

軽快な加速。キビキビとした走り

試乗したのサクシード・ワゴン1.5TX “G パッケージ”。つまりプロボックス/サクシードの2WD車の中で、一番高くて豪華なタイプ。これだと5MTの設定はなく、全て4AT。車両本体は147.5万円。これにオプションでキーレス(1.7万円)、AM/FMチューナー(1.2万円)、AC100V電源(1.1万円)、ハイマウントストップランプ(0.8万円)を追加。合計152.3万円。オーディオがカセットレスだったりして無駄がないのが嬉しい。

エンジンはカローラやbB、イストなどと基本的に同じ1.5リッター「1NZ-FE」(109ps/6,000rpm、14.4kgm/4,200rpm)。試乗車の車重は1060kg。数字的には必要十分で、実際に運転した感じは数字以上に軽快。同じ1.5のイスト(1020kg)で気になった出足のモッサリ感もなく、思ったように加速する。エンジンを回した時はそれなりにうるさいが、まあこんなもんでしょう。

ちなみに某知事には申し訳ないが、新開発の1.4直噴ディーゼルターボ(1ND-TV。72ps/4,000rpm、17.3kgm/2,000~2,800rpm)は要注目エンジン。ディーゼルが敬遠される日本では話題になりにくいが、ヨーロッパ戦略を考える上で小型ディーゼルは重要なユニット。5MTのみながら、低中速の豊かなトルク特性と10・15モード燃費:23.0km/Lの数字は捨てがたい。念のため付け加えると、快適性や環境性能についても大幅に向上しているという。

バンっぽさの無しの乗り心地

サクシード・ワゴンの乗り心地に、商用バンの粗さはない。リジッドながら、リーフからコイルに変更されたリアサスのせいか、1名乗車・空荷でもリアが跳ねる感じは全然ない。固めの足はかえってスポーティに思えるくらいで、街中で交通をリードして走るのは得意だ。ホイールベースが2550mmとかなり長いせいか、ゆったりした動き。高速時も乗り心地はフラットだ。150km/h巡航も無理なくこなすので、長距離出張も余裕。例えて言えば、ヨーロッパ製の小型車に近い乗り味(結果的に)。

ここがイイ

その機能性はすばらしいの一言。運転席周りの便利さは他のクルマにも見習って欲しいほど。特にペン立て。これってどうして他のクルマにはないのだろうか。もちろん数々の難関(要はお上との折衝)を超えてついに装着されたテーブルは絶賛。シフトレバーと干渉するということで走行中は使えない建前だが、ここにノートパソコンが置けることで、パソコンGPSやPHSを用いた常時ネット接続を車内で実現できる。カーナビの通信機能が貧弱な現在、ITSらしきことは、このテーブルひとつで実現が可能だ。今後、ぜひいろいろなクルマに装備してもらいたいもの。

運転席シートだが、商用車としては出色の出来。毎日乗るのだから、体に触れるシートだけはいい物にしてもらいたいもの。さらに夏用のクールダウン機構や、冬用のヒーターなどが装備されることを望みたい。

ここがダメ

そのテーブルだが、ちょっとぐらぐらした感じがあるのは意図的なものか? 一見、10kgの重さに耐えるとは思えないのだが。

これだけの快適装備がありながらゴミ箱がないこと。室内で食べた弁当、飲み終えたペットボトル、書き損じた伝票などがさっと放り込める場所は、この手のクルマには必需品では。

総合評価

パッケージング、機能性、走り、環境性能など、実用車としてはこれ以上はないのでは、というほどの完成度。道具としてのクルマ、働くクルマを追求すればこうなるという見本みたいなものだ。試乗車はワゴン仕様だったので少し割り引いて考える必要はあるとは思うが、しかし、乗り心地、コーナリング性能、パワー感などは、ほとんど何ら不満がないものだった。ここがダメ欄に書くことがないくらい。ただし、いわゆる豪華さとか、ステイタス感は一切ない。今後、街中がこの商用車で埋め尽くされることは間違いなく、そのとき「マイカーはサクシード」と誇れるかは、かなりの踏み絵(何の?)となるだろう。

しかしそもそもクルマとは何か。もとは便利な道具であったはずだが、日本では「憧れ」という付加価値をつけたことで、動く応接間と化したのが'60年代から'70年代のこと。以降、豪華さを競うことはあっても、本質的な便利さを競うことはなかったように思う。実際、ゴミの分別収集がこれだけうるさくなっても、クルマの中には分別用ゴミ箱どころか、ただのゴミ箱すら標準装備されていない。応接間を売るのにゴミ箱などつけられない、ということなのだろうが、これってどこかおかしいのでは。道具としての便利さに豪華さをプラスするのが、本来クルマというものの姿だろう。サクシードの便利さは豪華で快適なクルマには本来付いていて当然のもの。逆に言えば豪華さに便利が加わっても、なんら問題はないとおもうのだが。今後はそんなクルマを開発してもらいたいものだ。

 

公式サイトhttp://toyota.jp

 
 
 
 
 

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