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スズキ ワゴンR FXリミテッド/ワゴンR スティングレー TS新車試乗記(第532回)

Suzuki Wagon R FX Limited / Wagon R Stingray TS

(0.66L・118万1250円/0.66Lターボ・155万4000円)

株安も円高も怖くない!
日本一売れてるクルマの4代目、
超完成型ワゴンRに試乗!

2008年11月01日

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キャラクター&開発コンセプト

プラットフォームを一新、CVTを拡大採用

2008年9月25日、「ワゴンR」がフルモデルチェンジして4代目となった。トールワゴンとしての究極はパレット(2008年1月発売)に任せて、今回はより「ワゴンRらしさ」を追求。「快適 スタイリッシュ」を開発コンセプトに、内外装デザインやパッケージングを一新。プラットフォームはボディ前半が新設計で、後半はパレットからの発展版となった。パワートレインに関してはCVTの大々的採用がニュースだ。

販売目標は今回で2代目となった「ワゴンR スティングレー」と合わせて1万8000台。年間に直すと21万6000台となる。

15年間で300万台。間違いなく現代の「国民車」


初代ワゴンR(1993年)
(photo:スズキ)

初代ワゴンRは1993年に登場。当初はアルトをベースに背だけ高くした異形のモデルと見られたが、これがスズキ自身も驚く大ヒットとなり、1995年には早くも軽販売台数ナンバー1を獲得。軽ワゴンブームの先駆けとなった。

 

2代目ワゴンR(1998年)
(photo:スズキ)

2代目は軽規格改訂と同時に1998年に登場。2000年3月には月間3万台を初めて記録するなど、初代を超えるヒット作に成長。

2003年に発売された3代目は、軽ブームの到来もあって販売台数を初代や2代目以上に伸ばし、さらにダイハツの大攻勢を退けて5年連続(2003~2007年)で車名別の軽販売ナンバー1となった。

 

3代目ワゴンR(2003年)
(photo:スズキ)

この15年間での累計販売台数は、300万台を達成。ワゴンRは名実ともに日本で最も売れている「国民車」となっている。

スズキ>プレスリリース>新型「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」を発売(2008年9月25日)

価格帯&グレード展開

主力は110万円前後から140万円台。「4ATかCVTか」が分かれ目

価格帯はおおよそ90万円から160万円弱だが、販売主力はワゴンRなら110万円前後の「FX」や「FXリミテッド」、スティングレーなら120万円台の「X」や140万円台の「T」(ターボ車)あたりだろう。4WDは「FA」のみ14万3850円高で、それ以外は11万7600円高となる。

変速機は下位グレードが4AT、上位グレードがCVT(ターボ車は全てCVT)で、中間の「FXリミテッド」には4ATとCVT(5万7750円高)の両方がある。ただしCVTを選ぶと、4ATでは2万6250円のオプションであるABSがオマケで?付いてくるため、実際の価格差は3万円程度。「FXリミテッド」を買うならCVTがお勧めだ。

【ワゴンR】
■FA       90万8250円(5MT/4AT)
■FX       104万4750円(5MT/4AT)
FXリミテッド  112万3500円(4AT)/118万1250円(CVT) ★今週の試乗車
■FTリミテッド   134万9250円(CVT) ※ターボ車

【ワゴンR スティングレー】
■X        125万4750円(4AT)/128万6250円(CVT)
■T        141万7500円(CVT) ※ターボ車
TS      155万4000円(CVT) ※ターボ車 ★今週の試乗車

パッケージング&スタイル

プラットフォームは新設+パレット譲り

新型ワゴンRのボディサイズ(先代比)は、全長3395(同)mm×全幅1475(同)mm×全高1660(+15)mm、ホイールベース:2400(+40)mm 。プラットフォームはキャビン部分をパレットと共有するが、エンジン周辺は新設で、ワゴンRとしては実質的にオールニューである。全体に低く構えた印象だが、リアのハッチゲートには従来通りの高さがあり、結果的に背は先代より高くなっている。

大胆にウエッジシェイプへ

外観の印象としては「パレットの背が低い版」という感じだが、それも当然。デザインチームもパレットとほぼ同じようだ。しかしパレットとは逆に、ボンネット、フロントウインドウ、ルーフはかなり前下がりで、同時にベルトライン(サイドウィンドウの下端)も大胆に後ろへ行くほど上がるなど、全体にウエッジシェイプ。サイドウインドウもかなり小さい。とにかく全体にスポーティな雰囲気が漂う。

後席の基準位置が後方に移動したことで、リアドアも大きくなった。そのためワゴンR伝統の6ライトウィンドウ(サイドウィンドウが片側3枚ずつ)ではなくなったのも新しい動きだ。

大径タイヤで力強く

タイヤは一気に大径になり、特にスティングレーの最上級グレードでは165/55R15という一昔前の軽では考えられないほどの大径サイズを履く。直径で3センチも大きなタイヤはルックスだけでなく、燃費(転がり抵抗の軽減)にも効くそうだ。マッチ箱のようなボディの4隅に、小さなタイヤを履かせた初代ワゴンRからすると隔世の感がある。

新型ワゴンRのボディカラーは全9色で、試乗車は「日本の空をイメージした」という新色のブリーズブルーメタリック。スティングレーの方は全8色だ。

質感、操作性、居住性・・・・・・全てが進化

先代の面影はあるものの、インパネの質感はダイハツ同様、たった5年にしてここまで上がるか、というくらい劇的に上がっている。新採用のインパネシフト、自発光式のメーター、収納スペース、昔の軽の倍くらいありそうな?大柄なベンチシートなどはもう言うことなし。例の助手席シート下のボックスも継承している。

天地の狭いフロント&サイドウインドウからの視界は、まるでアメリカンSUVやトヨタbB風。要するに「部屋」のような広々感はパレットに任せて、ワゴンRではもう少し「クルマ」らしい空間を目指したということか。

 

こちらはスティングレーのインパネ

車両価格の高いスティングレーは、ある程度コストの制約をまぬがれた装備設定となっている。ブラックを基調とした内装に、ブルーの自発光3連メーター。シートも形状こそ同じだが、成形タイプのワゴンRに対して、質感や触感のいい縫製タイプとなっている。

とはいえ、スティングレーはともかく、ワゴンRには装備面でどうしても気になる点があった。これは後で触れたい。

タンデムディスタンスは驚異の+140mm

後席に関しては、とにかく足下の広さが圧巻だ。ホイールベースは+40mmだが、リアシート位置を後方に移動したことで、室内長は105mmも伸びて1975mmに、タンデムディスタンス(前後乗員の距離)は何と140mmも伸びて985mmになっている。これが出来たのは、パレット譲りのスペアタイヤレス(パンク修理キット搭載)&燃料タンク後方移動のおかげだ。床も完全にフラットになっている。

リアシートはリクライニングのほか、左右別々に160mm(先代比+25mm)の前後スライドも可能。座面は従来通り、背もたれを畳むと連動して沈むタイプだが、クッションの薄さ感はなく、サイズも拡大されたことで座り心地はさらに良くなった。これで背もたれのクッションを厚くすれば、いよいよ普通車のコンパクトカーを超えてしまいそう。サイドウインドウは当然100%全開する。

安全装備に関しては、後席シートベルトのアンカーが今回から自立式になった。サイド&カーテンエアバッグはスティングレーの最上級グレード「TS」のみの装備となっている。

その他、ステップもより低く、広くなってさらに乗り降りしやくなっている。地道ではあるが、こういった細部の改良こそ、ファミリー層の心に響くところだろう。

パレット譲りのスペアタイヤレス。積載性に不足なし

室内長を大幅に伸ばした結果、荷室長はその分短くなったわけだが、どのみち後席がスライドするので、実質的な弊害はない。リアシートをワンタッチで畳み、さらに助手席の背もたれを前倒しにすると、大人が足を伸ばして寝られる荷室長(室内長とほぼ同じ1.9メートルほど)が得られる。

 

先に書いたようにパレット同様、新型ワゴンRもスペアタイヤを省き、床下にはパンク修理キット(と念のためかパンタグラフジャッキ)を備える。

なお、スティングレーは全車、タイヤ空気圧警報システムを標準装備する。エアボリュームの少ない偏平タイヤに配慮したのかもしれないが、とにかくスティングレーの装備は全体にいい。

基本性能&ドライブフィール

【ワゴンR】 ベルトノイズなし。間違いなくお勧めできるCVT

試乗した車両は、ワゴンRの訴求グレード「FXリミテッド」(ノンターボ、CVT、車両本体価格118万1250円)とスティングレーの最上級グレード「TS」(ターボ、CVT、同155万4000円)の2台。スズキ本社を起点とした浜松周辺で試乗した。

まずは新型の実力を計るべく「FXリミテッド」でスタート。おなじみ3気筒の「K6A」型(54ps、6.4kgm)エンジンに目新しいところは特にないが(もちろん細々と改良は入っている)、変速機はJATCO製のCVTだ。今までスズキの軽でCVTと言えば、新型セルボの直噴ターボモデル「SR」など一部に限られていたが、スズキもついに大々的に・・・・・・ということになる。

ということで、ついつい比べてしまうのが今まで試乗チャンスが多かったダイハツのCVT車だが、まず「あれっ」と思ったのは、スズキのCVTが静かだということ。要するにCVTのベルトノイズがほとんどしない。セルボSRの時はエンジンが直噴ターボという特殊なケース(非常に高コスト)だったが、今回のようなNAエンジンとの組み合わせでもそれは明らか。遮音対策はかなり頑張ったということだが、軽のCVT車としては最も静かと思われ、もはや最新1.3リッタークラスのCVT車にも匹敵するレベル。加えて、自然な出足(もちろん発進用のトルコン付き)、スリップ感のない中間加速、そしてエンジン回転を抑えた静かな巡航まで、このCVTに死角はない。

【ワゴンR】 ついに完成した操縦安定性。重厚感すらある乗り心地

形式名こそ前がストラット、後ろがI.T.L(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)と同じだが、サスペンションは前後とも新開発。新しいプラットフォームと合わせて、ついに4代目にして、うるさ型からも文句のでない操縦安定性を得た、という感じだ。先代までのワゴンRは、コーナリング中のアクセルオフやブレーキング、といった厳しい場面で、リアの安定感に物足りない感じがあったが、もはや新型にそんなネガはない。控えめに言って、ダイハツ車もウカウカできないレベルだ。重厚感すら出てきた乗り心地は、スイフトの1.2あたりと張りそう。

100km/h巡航時の回転数はタコメーターがないので不明だが、少なくともエンジン音はほとんど聞こえない。風の強い日だったにも関わらず、直進安定性にもまったく不安を覚えなかったが、このボディスタイルと軽量ボディを考えると、これはすごいこと。このノンターボでも最高速は130km/hまで確認したが、そこまで達するのに時間が掛かるため、現実的には120km/hといったところ。

【ワゴンR スティングレー】 ターボ+CVTの低回転トルクに驚く

お次はスティングレーの最上級ターボモデル「TS」。こちらは新開発のターボチャージャーで過給されて、64psと9.7kgmを発揮する。セルボや先代ワゴンRの直噴ターボ「DI」(64ps、10.5kgm)は「あまりに高コスト」ということで今回は見送ることになり、これは従来の低圧ターボをベースに過給圧をアップしたものだ。冷却性能を上げて、従来の低圧ターボ並みの圧縮比(8.9)を維持したのがポイント。変速機は7速パドルシフト付きCVT(スティングレーのターボ車に標準装備)となる。

エンジンを掛けた瞬間、さすがに先ほどのワゴンRに比べて静かで(スティングレー全車で遮音・吸音材が追加されているようだ)、電動パワステの手応えもずっしり。さらに2500回転くらいからリニアに立ち上がるトルクは、感動的ですらある。ターボラグはもちろんまったくない。圧縮比をキープしたのが効いているようだ。

もっとも、そこから先のパワーは割と抑え気味で、全開加速は穏やか。直噴ターボに比べれば、やはり絶対的なトルクは抑えられているほか、CVT全車に電子制御スロットルが採用されているので、おそらくこのあたりの出力特性は実際のスロットル開度やCVTの変速プログラムでセーブされているのでは。なお、このスティングレーの最上級グレードにのみ、ESPがオプション(6万3000円)で用意されている。

【ワゴンR スティングレー】 3000回転未満で100km/h巡航

高速での100km/h巡航はメーター読みで2600~2700回転ほど。CVTなので走行抵抗や負荷によって回転数は敏感に変動してしまうが、変速比自体が超ワイドなのは確かだ。いずれにしても、軽自動車でもって3000回転未満で追い越し車線が走れることを驚異的と言わずして何と言おう。

そこからアクセルを踏み込めば、スルスルと車速を上げてゆき、速やかに140km/hに達する。その領域でも静粛性(風きり音も低い)、快適性、直進安定性には何の問題もない。特に静粛性に関しては、吸音素材の天井、液封エンジンマウントの採用、ウェザーストリップの2重シール化といった対策で念入りに高められているらしいが、それも納得だ。

タイヤは165/55R15という細くて薄いもので、乗り心地も少々固めだが、気になるほどではない。大きめの段差を強行突破する時に、バコッと煽られて意識するくらいだった。

試乗燃費はノンターボが16.6km/L、ターボが11.9km/L

今回は2台とも、ほぼ同じ一般道と高速道路の混じったコースで約100kmずつ試乗。参考までに試乗中の燃費は、撮影のための移動を除いた約60kmの区間で、車載平均燃費計(全車標準装備)で計測。結果はノンターボエンジン+CVTのワゴンR「FXリミテッド」が16.6km/L、ターボ+CVTのスティングレー「TS」が11.9km/Lだった。いつも名古屋近郊で走るコースとは異なるので、若干いい数字になったという感覚はあるが、同じ条件でもスティングレーが11km/Lを切るようなことはないだろう。

なお、10・15モード燃費(FF車)は、ノンターボ+CVT車が軽トップクラスの23.0km/L(JC08モード燃費は22.2km/L)、ターボ車(CVTのみ)は21.5km/L(JC08モード燃費は記載なし)だ。

ここがイイ

スタイリングにも効いた新型シャシー

シャシーの変更で、室内が広くなっただけでなくデザインの自由度が上がり、スタイリッシュになったこと。先代のエクステリアは室内を広げるためのデザインにも見えたが、新型のそれはとてもまとまっている。パレットから始まった「スペアタイヤレス」が、すべてに効いている。スティングレーのデザインも先代は後付け的だったが、今回は最初から作られているのがよくわかる。

先代の良さを引き継ぎつつ、さらに広くなった室内や荷室が素晴らしい。後席はシートの座面長が25mm伸ばされ、背もたれは30mm高くなっているし、当たり前だがヘッドレストもちゃんとある。背もたれは倒したときにカチッとロックし、床板という感じになるので荷物を置くときに違和感がない。

静かなCVT、トルク感あるターボ

CVTはとても静か。この完成度で数万円高い程度なら、断然4ATよりCVTだろう。ターボエンジンのトルク感もいい。コストが高くて、とても量販軽自動車に使えない、と諦めた直噴ターボの代打として開発されたポート噴射のターボエンジンだが、結果として決勝打に値する性能になったところがスズキらしい。こうなると走りや静粛性に関しては、もう不満など出ることはないだろう。軽として、ではなく、クルマとしてほとんど完璧になった。新型、特にスティングレーは先代までのネガを徹底的に潰した結果、下手なリッタカーをはるかに超えるほどのクルマになっている。

全車標準の燃費計

瞬間/平均燃費計を全車に標準装備したこと。細かい話だが、まだまだ普通車でも当たり前になっていない装備だ。満タン法などで燃費を計算する習慣がない人も、ぜひこれを使いこなしてエコドライブに励んでいただきたい。その他、スマートキーのほぼ標準化とか、オプションの舵角センサー対応コーナリングランプ、上級グレードのオートライトといった装備が用意されているのもいい。このあたりも、もう何も不満はない。

ここがダメ

ワゴンRでチルトステアリング&シートリフターを省いたこと

ここまですごいクルマゆえ、逆に「なぜ?」と思えたのが、スティングレー全車に標準装備されるステアリングのチルト(上下調節)と運転席のシートリフター(座面高調整)が、なぜか普通のワゴンRにはオプションですら用意されないこと。おまけにワゴンRのコラムカバーはスティングレーと共通パーツらしく、チルト調整用のレバーを設置する穴だけが空いている。おかげでしばらくの間、手探りでレバーを探索することに・・・・・・。特に小柄な女性が利用することの多いクルマゆえ、これはまずい。クルマの基本はまず運転姿勢だったはず。150センチ台の人なら絶対にシートを持ち上げたくなるはずだ。

また大柄なシートはゆったり座れるが、やはり小柄な人だと座面の前側をもう少し下げたくなる。シートリフターがあるスティングレーでも、座面の角度は調整できない。同様にチルトだけでなくテレスコもあるに越したことはない。他の装備をケチってもいいから、ポジション調節は徹底的に自由度を持たせて欲しい。例えば、あるクルマに大柄な人が座ったあと、小柄な人がシート高を好みに調整して座ってみると、ルームミラーは調整しなくていいことが多い。つまり好みのアイポイントは体のサイズにかかわらずかなり一定なものなのだ。その意味で、最低でもシートリフターだけはぜひ欲しい。

総合評価

理想的な4人乗りスモールカー

いや、まいった。素晴らしい、このクルマ。日本で一番売れているクルマの出来がこれか、と驚嘆するしかない。特にスティングレーの方は、もはや完璧と言えるのでは。ただ広ければそれでいいのか、とクルマ好きとしては突っ込みたくなるタントやパレットで開発された手法がこのワゴンRに活かされたとき、ワゴンRは乗用軽自動車として完全なパッケージングとなったわけだ。

そしてターボによる実に適度な、不足のないパワー感。かつて、軽がもう少し広くて、800ccくらいのエンジンが載ったら「理想的なスモールカー」になるのに、と何度も書いてきたが、そうした不満がついに完全に払拭されている。これはもう「理想的な4人乗りスモールカー」だ。

660ccという排気量を感じさせない力強さにもかかわらず、CVTやマネージメントプログラムにより燃費も不満ない。100km/h巡航で3000回転を下回りながらも力強く走る軽など、軽が生まれた昭和の時代に誰が想像できただろうか。動力性能と燃費の両立。小さなボディサイズと広い居住空間の両立。これらが実にバランスよく仕上がっている。しかも静かで快適で・・・・・・、誇張でなく、本当にもう一部リッターカーをしのいだと言っていいだろう。

軽の場合、リッターカーとの自動車税の差は2万2300円ゆえ、10年乗れば20万円以上の恩恵がある。つまりリッターカーであるヴィッツU(134万4000円)とスティングレーTS(155万4000円)は、実質的には同じ価格といってもいい。軽の車両価格が高いという感覚も、この計算で払拭できるのではないか。さらに任意保険なども安くなるから、さらに軽は安く乗れる。性能的にはスティングレーが優れる部分も多いくらいなのだから、ウーン。

ワゴンRの価格、スティングレーの走り

死角はないか。あるとすれば豪華すぎることだろう。素晴らしいインテリアの質感は乗用車としては必要なものではあるが、今後は実用本位の「乗り物」として、豪華さより機能的な部分を引き上げたインテリアを作って欲しいと思う。シンプルで便利で無印商品的な。そして価格をいくらかでも引き下げて欲しい。上記では高くないと書いたが、やはりこのご時世、安ければ安いほどいいのだから。

その意味ではスティングレーではなくワゴンRがいいのだが、そうすると走りも装備もちょっと不満がある。装備をシンプルにして低価格化し、ターボこそデフォルトにすべきだろう。また4ATが残されているが、これももう全車CVTにしてしまうべき。現在はCVTの生産・供給問題がそれを妨げているようだが、環境面から考えても早く全車CVTにしてもらいたいものだ。

つまりスティングレーのような豪華さはいらないから、ごくごくシンプルな、例えばかつてあったダイハツ・ネイキッドみたいな道具感があって、それでいてスティングレー並みの性能という軽が欲しい。もうこれ以上やることはない、というところまで進化してしまったのだから、それこそが性能的に行き着いた軽自動車の、今後は進むべき道ではないか。軽の枠がある以上、これ以上の性能、パッケージングはもう無理だと思う。今後は不要な部分をはぎ取っていく方向への進化を望みたい。

「軽」のマイクロミニこそが究極のエコカーだ

そして、ここまでいいものになった以上、このクルマをベースとして全長3メートル未満のマイクロミニを作り、世界に打って出て欲しいと思う。最近は国際的にも旧スマート並(やスズキ・ツイン並)の2.7メートルまでは求められず、トヨタの「iQ」で話題となった3メートルを切るサイズで許される。軽ゆえ、全幅はどのマイクロミニより狭いのだし。2シーターで左右のシートを前後にずらすというスマートのような手法を採れば、車幅はこのままでも大丈夫だ。あるいは運転席をセンターシートにして後席2座というレイアウトを取れば3人乗りにもできるだろう。全長3メートルを切るために切り詰めるべき全長は、わずか40センチだが、今回伸びた後席足下のスペースは14センチ。十分に広かった先代ワゴンRの後席足下の広さに戻すだけで、すでにこれだけ全長を切り詰められる。となれば、あと26センチは不可能な数字ではないはずだ。画像ソフトでワゴンRの写真をちょっと切り詰めてみたら、これが結構様になっている。このまま出せるのではないか、と思うほど。

かつて売り出されたスズキ・ツインはデザインや性能で今ひとつ難しい部分があったが、スティングレー並みの性能を持つ「軽」のマイクロミニが出たなら、なおかつそれが100万円未満なら、たぶんそれこそが究極のエコカー、マイクロベーシックカー、現代の国民車になるはず。そしてそれは世界にも通用するはず。日本が誇る、この素晴らしい軽自動車をベースにして、世界に誇れるマイクロカーを出して欲しいものだ。

試乗車スペック
スズキ ワゴンR FXリミテッド
(0.66L・CVT・118万1250円)

●初年度登録:2008年10月●形式:DBA-MH23S ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1660mm ●ホイールベース:2400mm ●最小回転半径:4.4m ●車重(車検証記載値):850kg( 520+330 ) ●乗車定員:4名●エンジン型式:K6A ● 658cc・直列3気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:68.0×60.4mm ●圧縮比:10.5 ● 54ps(40kW)/ 6500rpm、6.4kgm (63Nm)/ 3500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L ●10・15モード燃費:23.0km/L ●JC08モード燃費:22.2km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク) ●タイヤ:155/65R14( Falken SN831 )●試乗車価格:120万833円( 含むオプション:フロアマット 1万9583円 )●試乗距離:約100km ●試乗日:2008年10月 ●車両協力:スズキ株式会社

試乗車スペック
スズキ ワゴンR スティングレー TS
(0.66Lターボ・CVT・155万4000円)

●初年度登録:2008年10月●形式:CBA-MH23S ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1675mm ●ホイールベース:2400mm ●最小回転半径:4.6m ●車重(車検証記載値):880kg( 550+330 ) ●乗車定員:4名●エンジン型式:K6A ● 658cc・直列3気筒・DOHC・4バルブ・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:68.0×60.4mm ●圧縮比:8.9 ● 64ps(47kW)/ 6000rpm、9.7kgm (95Nm)/ 3000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L ●10・15モード燃費:21.5km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク) ●タイヤ:165/55R15( Bridgestone B250 )●試乗車価格:163万6583円( 含むオプション:ESP 6万3000円、フロアマット 1万9583円 )●試乗距離:約100km ●試乗日:2008年10月 ●車両協力:スズキ株式会社

 
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