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スズキ スイフト新車試乗記(第113回)

Suzuki Swift

 

2000年03月03日

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キャラクター&開発コンセプト

Keiのワイド版。女性にジャストフィットのコンパクトSUV

スイフトは軽自動車であるKeiのワイドバージョン。ようするにワゴンRに対するワイドRプラスがあるように、Keiのコンセプトを活かしながら、幅を広げて小型車に仕上げたクルマだ。ワゴンRプラスのプラットフォームを活用した5ドアハッチバックに、厳しくなる排ガス規制に対応するために、新開発の1.3リッターエンジンを搭載。車高が高く、RV色の強いコンパクトカーだ。

また、今後は輸出も考えられており、GMとの提携関係を強めたスズキにとっての世界展開の一翼を担うクルマでもある。

パワートレーンは1.3Lエンジン+4速ATのみで、FFのほか、4WDもある。乗車定員は5名。

価格帯&グレード展開

価格帯は101.8~145.8万円。Keiの約10万円高

全車、1.3リッター+4ATの組み合わせで、グレードは装備の違いによって「SE」、「SG」、「SX」の3タイプを用意する。4WDの選択は全グレードに設定。

デュアルエアバッグ、ABS、エアコンは廉価版の「SE」でも標準とするが、それなりの見栄えと快適さが欲しいとなれば「SG」となる。「SX」は「SG」にキーレスエントリー、フォグランプ、ルーフエンドスポイラー、アルミホイール、内装随所に装備されるメッキパネルなどが加わった最上級グレードだ。ライバルはヴィッツをはじめとする1~1.5リッターのコンパクトカー。ダイハツ・テリオスも含まれる。

パッケージング&スタイル

ベースはワゴンRプラス。Keiより控え目のフロントフェイス

ワゴンRプラスをベースに5ドアハッチバック風のボディで架装したスイフトは、Keiの特徴でもある大きな14インチタイヤを履き、SUV的なフォルムとなっている。ボディサイズは全長3615mm×全幅1600mm×全高1540mm。ホイールベース2360mm。背はこのクラスの2BOX車よりも高く、ミニバンよりも低いもので、大きな室内空間を確保しながら立体駐車場に問題なく入れられる、使い勝手も考慮したサイズとなっている。

ドアパネルとリアフェンダーはKeiからの流用で、1.3リッターエンジンの搭載により、フロントセクションはオリジナル。もちろん車幅が広くなっているのでバックパネルもオリジナルだ。

スイフトはメインターゲットを女性としているために、フロントマスクはKeiほどアクの強さはなく、アッサリとしたもの。結果的に個性という点では後退してしまったが、SUVっぽいカタチ自体はコンパクトカーとしては他と一線を画すものだし、このほうがアジア諸国では売りやすいのかもしれない。

開放感に質感をアップ。シートポジションの改善に今後期待

photo_3.jpg室内はインパネはじめ大半がオリジナル。随所にしっとりとしたプロテイン塗装を施し、簡素ながら品良くまとめるスズキらしいもの。特に世界戦略をふまえたGM色がうかがえるのがシートのサイズ。Keiで好評の高めの全高を活かしたアップライトのポジションで、かつボリュームあるもの。薄手ながら張りを持たせており、なかなかいい仕上がりだ。リアシートのサイズも同様で、コンパクトカーとして過不足のない広さを確保している。

しかし、肝心なドライビングポジションは煮詰め不足。フロントシートのヒップポイントが沈み込むように後ろに深く傾斜しており、人によっては腰に負担がかかりそう。さらにそのポジションで膝元の余裕を確保するためなのか、ステアリング位置が妙に高くなっている。余裕のある頭上空間をいかしてヒップポイントを上げるか、もしくはステアリングのチルト機構ぐらいは装備して欲しいものだ。

反対に収納スペースは小さいクルマ作りに手慣れたスズキらしいもの。特にスズキ車一連のインパネアンダートレイに用意された500mmペットボトル対応のドリンクホルダーは、若い女性から重宝がられるだろう。荷室はフロアが高いものの、その分ホイールハウスの張り出しがないフラットフロアを確保しており、後席の分割可倒式はヘッドレストを外さなくても可能。女性にありがちなバーゲンシーズンの買い込みでも、十分まかなえる広さといえる。

基本性能&ドライブフィール

世界戦略を担う新開発の1.3リッターエンジン

エンジンは最高出力88ps/6000rpm、最大トルク12.0kgm/3400rpmのオールアルミ製1.3リッター直4DOHCユニットのみ。このユニットは「M型」と呼ばれる全く新しいもので、従来からジムニーなどにも搭載される「G型」の後継となるものだ。VVT機構(可変バルブタイミング)の採用により、パワーを犠牲にすることなく低燃費を図るとともに、J-LEVの基準をクリアするクリーンな排ガス性能も両立。カタログによると1.3リッタークラストップのクリーン性能だそう。なお、4速ATのギアボックスも新開発。パワステは量産初として旧セルボに採用された電動式だ。

足回りは前がマクファーソンストラット、後ろがITL(アイソレーテッド・トレーリング・リンク式)と同社の定石通り。アルミホイールこそ専用デザインとなるが、165/70R14インチというタイヤはKeiからの流用だ。4WD車には必要な駆動配分を分配させるビスカスカップリング式のフルタイム4WDとなる。

振動、騒音は小さい

試乗したのはFF。2000回転あたりの常用回転域で大きなトルクが集中しているために、予想以上に力強い加速をする。トルクはモーターのようにフラット。キックダウンすればシフトアップポイントの5000回転あたりまでスムーズに回る。基本的に軽快な加速間を狙った味付けで、市街地や郊外を中心とするなら非力と感じることはないはずだ。

乗り心地はどちらかといえば固め。タイヤの空気圧が高いような固さで、細かい段差を乗り越えても、ピョコピョコ跳ねる感じだ。もうひとつに気になったのが、電動パワステのセッティング。中立付近は適度な重みを感じさせるのに、ハンドルを切っていくにつれて軽くなる。女性がチョイ乗りする程度なら、何も問題はないと思うが、やはりそれなりのインフォメーションは必要だろう。また車庫入れの据えきり時に、急に重くなったりするのが気になった。

感心したのはエンジン音が静かなこと。もちろん、1.3リッターとしての相対的なものだが、アイドリング時はもちろんのこと、高回転まで回しても一定のレベルに抑えられており、カン高い音質ではないので、ほとんど耳に障らない。

だから騒音に関しては高速巡航も苦ではない。反面120km/h以上にもなると、さすがにパワー不足に泣かされる。それでも140km/hあたりの巡航が無理ではないのだから、実用的には何ら不満はない。参考までに今回の試乗での燃費はおおよそ11km/L弱だった。

ここがイイ

軽自動車は維持費が安いため、日本では絶対的な存在価値があるクルマなのだが、正直、クルマとしては完全に力不足。ホントにチョイ乗り専用であり、その点ではさらに小さいクルマが望まれるところ。その点、スイフトはワールドスタンダードなコンパクトカーで、これぞ世界のベーシックカーだ。走りも燃費もそこそこだし、クルマとしては何も不足がない。アイポイントが高いので、小さいクルマに乗った時に感じる、交通の中で埋もれてしまう感覚がないのもいい。世の売れないセダンなど全て廃止して、スイフトにシフトさせれば、都内への有料乗り入れなどという暴挙も静止できるような気がする。まあ、売れないセダンを廃止せよというのも、そうとうな暴挙だが。

ここがダメ

日本でのターゲットを女性に絞ったこと。このクルマなら男性でも乗れそうな気がするのだが、あのテレビCMを見ると途端に買う気が失せてしまう。世界戦略小型車というせっかくの崇高な生い立ちを、台無しにするあのCM戦略は暴挙だと思う。同時に、フロントフェイスも女性向けに大人しくしてあるが、コレもなんだかなあ、という感じ。今のクルマは顔が勝負。ちょっとエグイくらいの顔にしたほうが、売れるのは間違いない。東京モーターショーに出品されたYGM-1のあの顔で出たら、すごく個性的で、イケテルクルマになるのだが。

総合評価

世界一の小型車として勝負を

photo_2.jpgワゴンRプラスといい、このスイフトといい、スズキの軽のワイド版は、コンパクトカーの理想型だ。というか、ワイド版が本来の姿で、そのナロー版が軽ということになるのだろう。幅の12cmばかりの差は室内のゆとりを生みこそすれ、取り回しの不便さには一切つながらない。ほぼ軽と同じ感覚で乗り回せるスイフトは、世界を救うワールドコンパクトカーだ(ちょっと大げさか?)。維持費の差さえ気にしないなら、Keiより絶対こちらがいい。

ただ、日本ではどうにもこのクルマ、色気がない。積極的に選ぶ意味が希薄なのだ。同じベースのワゴンRワイドの方が、分かりやすい魅力を持っている。それはメーカーももちろん認識しているはずで、そのために奥さん向けのクルマという売り方を打ち出したのだろう。でも奥さんはきっとKeiを買ってしまう。

ここはグッと辛抱し、GMグループの世界戦略車ということをもっと前面に打ち出して、世界一の小型車という勝負をかけるべきだった。日本の場合、クルマを買うには、自分と世間に対する言い訳が必要。男性がスイフトを買おうと思っても、今の現状では言い訳がしにくい。ハードウエアの出来は悪くないし、その出目もウンチクがあるのだから、あとは強引な色づけ、イメージ作りをすれば、小型車人気を追い風に、ヒット作となることも夢じゃないはず。もはやクルマはハードよりソフトが重要ということを、ワゴンRを生み出したスズキなら分かっているはずだが…。

 

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/lineup/swift/

 
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