Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スズキ スイフト レンジ・エクステンダー

スズキ スイフト レンジ・エクステンダー新車試乗記(第625回)

Suzuki Swift Range Extender

(モーター+発電用0.66リッター直3・-円)

プラグインで充電!
エンジンで発電!
「レンジ・エクステンダー」って
ドウナッテンダー?

2011年03月05日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

発電用エンジン付EVの実証実験車


スズキ本社前で充電中の「スイフト レンジ・エクステンダー」

「スイフト レンジ・エクステンダー」は、発電用エンジンを搭載したEV(電気自動車)、いわゆるシリーズ式プラグインハイブリッドの実証実験車。昨年まで「スイフト プラグインハイブリッド」と名乗っていたモデルだ。

基本的には先代スイフト(2004~2010年)ベースのEVであり、リチウムイオン電池の電力で約15km走行ができる。さらにスズキの軽自動車用エンジン(660cc 直列3気筒の「K6A」型がベース)を発電用に搭載。バッテリー残量が少なくなると、エンジンを稼動し、航続距離(レンジ)を延長(エクステンド)する、というものだ。

 

特徴は言うまでもなく、EV最大の弱点である航続距離の心配がないこと。また駆動用バッテリーを大量に積む必要がないので低コストで軽量。またバッテリー容量が小さいので外部充電による充電時間が短く、急速充電器も不要となる。バッテリー容量はi-MiEVの6分の1程度で、家庭用の100V電源(約1.5時間)や200V電源(約1時間)で充電できる。

2010年秋から実証実験


2009年の東京モーターショーに出展された時の「スイフト プラグインハイブリッド」

開発プロジェクトは2008年秋にスタートし、2009年10月の東京モーターショーで一般に公開された。当時のプレスリリースには「日常の必要最小限の距離を電気自動車として走ることを基本コンセプト」とした「生活密着型のシリーズ式ハイブリッド車」とある。

2010年5月には国土交通省の型式指定を取得。一般の市販車と同じ手続きでナンバープレートの交付が可能になった。この頃から名称を「レンジ・エクステンダー」に変更。スズキでは同モデルを約60台生産し、2010年秋から地元の「はままつ次世代環境車社会実験協議会」(スズキ、ヤマハ、VWなどの企業、地元自治体、大学などが参加)をはじめ、日本各地のスズキ販売店に貸与し、各地の交通事情に沿った走行データを収集している。

昨今“シリーズ・ハイブリッド”事情


昨年末から米国でデリバリーが始まったシボレー ボルト
(photo:GM)

■GM シボレー ボルト

2011年現在、シリーズ式プラグインハイブリッドで話題のクルマと言えば、GMの「シボレー・ボルト」だ。米国では2010年12月から段階的に販売が始まった。

ボルトは111kW(150ps)のメインモーターと54kW(73ps)のサブモーター(主な役割は発電だが、駆動も行う)を搭載。リチウムイオン電池の容量はi-MiEV並みの16kWhで、電気だけで64km走行可能だ。発電には1.4リッター直4エンジンを使用する。なおGMが明言していないため混乱を招いているが、走行モードによってはエンジンも駆動に関与するため、この点ではプリウスと同じシリーズ・パラレル式ハイブリッドだ。

■アウディ A1 eトロン

スイフト レンジ・エクステンダーと同じ実証実験車としては、アウディの「A1 eトロン(e-tron)」がある。これはA1ベースのEVで、75kW(102ps)のモーターで前輪を駆動し、0-100km/h加速:10.2秒、最高速:約130km/h、航続距離:約50kmを確保。さらに車体後部に発電用のロータリーエンジン(排気量254ccの1ローター)を搭載し、12リッターのガソリンで航続距離をさらに200km伸ばす(計250kmになる)。実証実験はドイツで2011年から始まる。

■三菱ふそうの路線バス

 

名古屋市内を走るシリーズ式HVバス、三菱ふそうの「エアロスター エコ ハイブリッド」

身近な例では、三菱ふそう製の路線バスに、ディーゼルエンジンを発電機とするシリーズ式HV車がある。名古屋近辺では、2005年の愛知万博の頃から導入され、市内の「基幹バス」路線を走る名鉄バスでは、かなりポピュラーな存在。発電用エンジンは通常のバス同様、車両後部に搭載されるが、リチウムイオン電池は低床化を優先して天井に積む、というバスながらのユニークなレイアウトとなっている。大人初乗りは市バスと同じ200円。

 

※外部リンク
■スズキ株式会社>プレスリリース>スイフト プラグインハイブリッド」、型式指定を取得 (2010年5月)
■スズキ株式会社>プレスリリース>東京モーターショー2009への出品概要 (2009年10月)

価格帯&グレード展開

とりあえずは実験車。市販するならベースは新型スイフトか?

現状は完全に実験車両で、少なくともこのままで市販されることはないが、可能性はかなり高い。

もし市販となれば、ベース車は現行の新型スイフトだろう。「発電用エンジンが軽なので、軽ベースでも可能では?」と開発スタッフに聞いたところ、「エンジンルームにスペースがないので、このままでは無理です」とのこと。実際、エンジンルームはエンジンやインバーターなどでギチギチで、とても軽には転用できそうにない。

パッケージング&スタイル

グラフィックを除けば、外観はほぼ同じ

ベースは前述のように先代スイフトで、モデルチェンジ直前に生産されたもの。ボディサイズはベース車とまったく同じで、全長3755mm×全幅1690mm×全高1510mm。外観もリアバンパー左側にフューエルリッドならぬ充電リッドが追加されたくらいで、他はベース車とほぼ同じだ。

 

ただ今回60台ほど生産されたというレンジ・エクステンダーの多くには、ご覧のようなグラフィックが施されており、一目でそれと分かる。浜松以外の地域でも運が良ければ、実証実験中の車両に出会えるはず。

インテリア&ラゲッジスペース

冷房は電動インバーター式、暖房はPTC+通常ヒーター


ダッシュの一番端にはEV走行中に歩行者に接近警告音を出すシステムのスイッチがある

内装もベース車に近いが、メーターまわりは専用品。タコメーターはパワーメーター(チャージ、エコ、パワーの3領域を表示)に、水温計は駆動用バッテリー残量計に変更されている。文字盤もブルー基調の専用意匠で、速度計も140km/hまで。最高速は120km/hなので、これで十分というわけだ。

 

メーターでベース車と同じ部分は燃料計と指針くらい

EVの場合、意外にやっかいなのが空調関係だ。レンジ・エクステンダーの場合、暖房に関しては二通りを併用。EV走行中は、EV車で一般的な電気式ヒーター、すなわちPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターを使う。ただし当然ながらこれは電気を消耗するので、EVによる航続距離は大幅に減ってしまう。

そこでエンジンが稼動すれば、エンジン冷却水による通常のヒーターを使う。この場合は当然ながら廃熱を使うので、燃費は悪化しない(暖房のためだけにエンジンを動かす場合を除く)。この点が「寒冷地には内燃機関が今後も有利」と言われる所以だ。

冷房には、インバーター制御の電動コンプレッサーを採用。プリウスでも先代(2代目)から使っているものだ。

シート地もさりげなく専用


ベース車は先代スイフトの後期型なので、座面クッションは固定

シート地は黄色のパイピングが入ったスポーティなもので、よく見ると背もたれのところには「SWIFT Range Extender」と刺繍が入る。ドアパネルのガーニッシュにも同じように車名が入っていた。開発陣の意気込みと遊び心が感じられて、ちょっと嬉しい。

荷室スペースは現状では皆無


バッテリーを見るためにはボルトを緩めてカバーを外す必要がある。補器用の鉛バッテリーも後部に搭載されているようだ

リアゲートを開けて、オッと息をのんだのは、荷室全体がリチウムイオン電池で埋まっていたから。しかしバッテリー容量はリーフの10分の1、i-MiEVの6分の1しかないので、将来的にはもっとコンパクトに出来るはず。また形式認定を取得している以上、被追突時の強度や漏電対策も入念に行ったと思われる。

 

後席背もたれ裏には、パンク修理キットとジャッキが収まる。また車室内からは駆動用バッテリーの上部にバッテリー冷却用のインテークが見える

なお、リチウムイオン電池は三洋電機製で、容量は2.66kWh。ちなみにプリウス PHVはその2倍の5.2kWh(今のところパナソニック製)、シボレー ボルトは約6倍の16.0kWhを搭載する(GMとLGケムの共同開発)。またピュアEVのi-MiEVも16.0kWhで(三菱とGSユアサの共同開発)、リーフは実に10倍の24.0kWhを積む(日産とNECの共同開発)。

基本性能&ドライブフィール

EVならではの力強さ、静かさ、重厚感


左側が「K6A」エンジン、右側がインバーター。その下に発電用モーターと駆動用モーターが収まる。通常のトランスミッションはない

今回はスズキの浜松本社を起点に、浜松市街および浜名湖周辺を試乗。助手席には、レンジ・エクステンダー開発スタッフである「四輪電動車第二設計部」課長の斉藤 弘氏に同乗してもらった。

まずは普通にキーをひねってエンジン始動、ではなくシステム起動。充電されていれば、エンジンは掛からない。そしてベース車と同じシフトレバーをDに入れてアクセルを踏めば、ソロソロ、スルスル、ヒューンと走り出す。このあたりはi-MiEVなど、他のEV車と同じだ。

運転感覚はエンジン音がないことを除けば、まったく普通。というか、むしろ乗り心地は重厚で、静粛性は高く、ロードノイズもベース車より抑えられている。ブレーキは電動サーボ式で、まったく違和感なし。パワステはもとから電動式だ。

車重は先代スイフト(後期型の1.2・CVT)より190kgほど重い1190kg。モーターの最高出力は55kW=75ps(先代スイフト1.2は90ps)だが、最大トルクは18.3kgm(同12.0kgm)もある。試乗中は3名乗車だったが、力強さはまったく問題ない。アクセル全開で、浜名バイパス(制限速度80km/hの自動車専用道路)への合流もスムーズに行えた。

ちなみにEVとしての航続距離は、JC08モードで15km。なお、まだ市販前のプリウス プラグインHVは23.4km、シボレー ボルトは64km(非JC08モード)、ピュアEVの日産リーフは200kmをうたう。

「え? エンジン掛かったんですか?」

そうこうしながら計3名乗車で10kmほど走った頃、助手席の斉藤氏が「今、掛かりました」と一言。思わず「え、何が???」というセリフが口から出かかったのは、エンジンが掛かったとは思えなかったから。

確かに言われてみると、何となく遠くの方で、タービンのようなものが回っている気配があり、アクセルを踏み込めば、エンジン音が「ブォォォン」とCVT車のように高まる。しかし軽の3気筒エンジン独特の音、振動はない。駆動はあくまでモーターなので、走行感覚もEVのまま。文字通り「発電しながら、電気で走っている」感じ。

エンジンを一定の回転で回す方が効率は良く、音振対策もしやすいはずだが、斉藤氏によると、それだと加速時に違和感があるため、あえてアクセル開度が深い時には回転数を高めるようにしたという。使用回転域は最高で4500回転あたりとのことだ。

ちなみにエンジンは、ほぼ「K6A」のままだが、制御系以外も若干モディファイ。オールアルミ製エンジンなので、通常は鋳鉄製シリンダーライナーが入るが、今回はスズキの二輪車(一部の原付からハヤブサまで)に広く使われている「高速めっきシステム」でシリンダー内壁をメッキ。いわゆるメッキシリンダー化によって鋳鉄ライナーを廃止している。これによって約1kg軽くなったそうで、おそらく冷却性も高まっているはずだ。これまでメッキシリンダーは主に二輪車や高級スポーツカーに限られているが、スズキでは一般四輪車での実用化も考えているようだ。これはその実証テストを兼ねたものだろう。

■スズキ株式会社>プレスリリース>高速めっきシステムの開発で「市村産業賞 貢献賞」を受賞 (2009年4月)

これも一種の燃料電池車?

発電しながら走るハイブリッド走行状態でも、もちろん赤信号で止まれば、アイドリングストップする。またSOC(バッテリーの充電状態)に応じて、走行中もエンジンが掛かったり、止まったりを繰り返す。このあたりはプリウスと同じだが、エンジンが掛かった瞬間を見極めるのは、3代目プリウス以上に難しい。なので、斉藤氏とはその後も、「今、掛かりました」。「え? 今ですか!?」みたいな、漫才のようなやりとりを何度も繰り返すことになった。

ちなみに斉藤氏は、これまでSX4-FCVなど燃料電池車の開発に携わってきたという、次世代電動車のスペシャリスト。つまりスイフト レンジ・エクステンダーは、「水素燃料による燃料電池」が「ガソリンエンジンによる発電機」に置き代わったものとも言えるわけで、これも燃料電池車の一種か、と妙に納得した。

JC08モード燃費はインサイトやフィットHVと同等

こんな具合に小一時間ほど試乗。大半は発電しながらのハイブリッド走行になった。試乗燃費は不明だが、資料にある「ハイブリッド燃料消費率」は、JC08モードで25.6km/L。これは現行プリウス(同32.6km/L)には及ばないが、ホンダのインサイトとフィットHV(いずれも26km/L)に匹敵する数値だ。

燃料タンク容量はベース車と同じ43リッターなので(市販時には縮小されるかもしれない)、これで換算すると、航続距離は普通のスイフトを優に上回る1100km+EV分の15kmで、1115kmに及ぶ。

ここがイイ

ものすごく可能性がある。「EV」なのに航続距離の心配がない

容量に限界がある電池での走行距離を予め短く設定し、そのかわりにエンジンで電気を起こせば、どこまでも走れるという、ある意味、誰もが思いつくことを現実にしたこと。あれもこれもと欲張ることで泥沼にはまる商品が多い中、割り切った潔い商品企画は賞賛すべき。今後、電池の性能が上がれば電気だけで走る距離が伸びるし、シンプルなユニットだけに発電機や制御ユニットの工夫・進化次第で軽自動車に載せるなんてこともできそう。ものすごく可能性がある。

実際に乗ると、運転感覚がEVでありながら、航続距離をまったく気にしないで済む。そしてEVだけに街乗りで力強く、スムーズで、静粛性も高く、乗り心地もいい。現状、荷室スペースこそないが、大人4人が快適に、しかも電池切れにおびえることなく乗れる「EV」だ。

ここが気になる

現状ではトランクスペースの無さ。市販時は価格が課題

市販するなら、何とかトランクスペースは確保したい。もともと走りに重きをおいたスイフトベースの場合だと、電池の置き場所が一番の課題だろう。長距離を走ったあとのトータル燃費性能がフィットHVと同等とすれば、やはりトランクスペースも同等は無理にしても(フィットは燃料タンクがセンターにあるので有利)、そこそこ納得できるものにしないと。できれば専用ボディが欲しいところだ。また価格にしても、やはりフィットHV(159万円~)とせめて同等、できれば下回りたいが、果たしてそれは可能だろうか。

総合評価

利用法に何の制約もないEV

一昨年のモーターショーで一目見た時から、恋の花が咲いてしまっていたのがこのクルマ。レンジ(航続距離)をエクステンドする(伸ばす)わけで、数ある電気自動車の問題点を一気に解決している。何しろ1000km電池切れを気にせずに走れるのだから、実用性は問題なし。ヒーターが効くから極寒の世界で電池切れしても凍死しないし、電池が小さいので車重が軽くなるし、電池が小さい分、価格が安くできるし、電池が小さいから満充電までの時間も短い。試乗では3人乗って10kmほどは電池だけで走れたので、一回にその程度乗るだけであれば、完全にガソリンは要らない。個人的には通勤がほぼ片道10kmなので、会社に着いてすぐ充電しておけば往復EV走行ですませられる。急速充電器も必要なく、普通の100V電源で充電できるのもありがたい。これなら充電スタンドなどない、どんな田舎でも、すぐにEVに乗れる。何よりEVなのにどんな田舎にでも、遠いところへでも行けるのはすばらしい。EVで帰省できます。

 

EVで一番不満に思うのは、実は航続距離より心理的な焦りの問題だ。いつも電気切れを気にしてドキドキしていなくてはならない。クルマは人に自由をもたらすものだったはずだが、EVはその自由を奪う。夜、ふと海を見たくなって高速道路を飛ばした、なんて小説はもう書けない。ネットで24時間営業の充電スタンドを検索して、充電計画を立ててから海に出かけた、なんてストーリーになってしまう(まあ、それはそれで面白そうだが)。クルマは自由に、ある意味ムダに乗れて、初めて意味があるもの。冬のEVの中でカーセックスをしていて、電池切れで動けなくなったら悲惨だ。そんな悪いことはしない前提でできているお行儀のよい乗り物がEVといえる。ある意味、管理社会の象徴みたいな乗り物だ。

それを打ち破るのがレンジ・エクステンダーだ。通勤はいつもEV走行で済ませたい、という環境思いの人だって、時にはカーセックスもしたいだろう。それにだって使えるのがこのクルマ。どこへでも、いつでも移動でき、利用法に何の制約もないという自由を初めて獲得したEVと言ってもいいのではないか。

難しいのは売り方、知らせ方


トヨタ プリウス PHV (2009年 東京モーターショー)

今後プリウスのプラグインHVが一般に市販されても、電池が大きいから多分ずいぶん高価なクルマになるだろう。その点、このレンジ・エクステンダーならかなり安く作れるはず。EVで15km走るこのクルマと、23.4km走るプリウスプラグインHV(いずれもJC08モード)との価格差が100万円くらいあったら、それはもうこちらを買うべきではないか。さらに今後、スズキが持つ二輪用エンジンの技術を流用するなどしてユニット全体を小型化すれば、長距離を走ることの少ない軽自動車でも作れそうだ。仕組みが簡単だから転用もしやすいはず。モーターデイズが高く評価するスズキの軽に、このユニットが載ったら、かなり革命的な話では。軽自動車の多くがレンジ・エクステンダーになったら、と想像すると、EVの時代は意外に早くやってくるのかもしれない。

しかしながら、小さいとはいえコンパクトカーの荷室を占拠するサイズの電池をどこに置くか、またトータル燃費で考えたら、ヘタをすると効率のいいガソリン車に負けかねない燃費をどう考えるか(すでにEV走行距離+エンジン始動後の燃費といった新たな燃費基準はあるようだが、分かりにくい)、あるいは、例えばスイフト レンジ・エクステンダーだったら実際の販売価格をフィットHV並かそれ以下に抑えることができるのか、最高速は120km/hで大丈夫なのか(最近多くの高速道路は渋滞で流れが遅くなっているので、これで十分かもしれないが)、といった課題は依然残る。

 

スズキ スイフト PHV (2009年 東京モーターショー)

また、それ以上に問題なのは、スペック至上主義で、実際の性能を考えない消費者が受け入れるか、だろう。このクルマのトータルの良さを評価せず、たった15kmしか走れないEVなんて意味が無い、という人の方が多いような気がする。せめて30km走れたらいいのに、なんていう評が出るのは想像できるところだ。その根拠となるのは一ヶ月の平均走行距離が1000km(一日だと30kmほど)といったデータだろう。しかし現実には年間6000km程度しか走らない人だって、そうとういるはず。一日平均だと16kmほどになるから、途中で一回充電すれば、ほぼEV状態(圧倒的に低燃費)でつかえる計算だ。そういう人も、時に一日200kmくらい走ったりすることがあるはずだが、その場合でもこのクルマなら何も躊躇しなくていい。そういう使い方でトータル燃費を出せば、EV走行の時間が長い分、かなりエネルギー効率は高くなるだろう。つまりこのクルマにおける最大の欠点は、こういう面倒な説明をしないと分かってもらえないことで、消費者に一瞬で理解させづらいという難しさがある。

いつになっても登場しない燃料電池車を待つより、一足先にレンジ・エクステンダーを、なんてことを長年クルマに関わってきた我々は思うのだが、一般の人にどう分かってもらうか。商品はその本質より、単純明快な数字を示した方が売れる。このクルマが今後市販化される場合、超えるべきハードルは、電池性能より売り方、知らせ方ということになりそうだ。

試乗車スペック
スズキ スイフト レンジ・エクステンダー
(モーター+発電用0.66リッター直3・-円)

●初年度登録:2010年7月●形式:DLA-ZC41S
●全長3755mm×全幅1690mm×全高1510mm
●ホイールベース:2390mm ●最小回転半径:-m
●車重(車検証記載値):1190kg(660+530) ●乗車定員:5名

●モーター形式:PB41A ●モーター種類:交流同期電動機 ●定格電圧:-V
●75ps(55kW)/-rpm、18.3kgm(180Nm)/-rpm
●バッテリー:リチウムイオン電池 ●バッテリー容量:2.66kWh
●充電所要時間:約1.5時間(100V)、約1時間(200V)

●エンジン型式:K6A
●658cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:68.0×60.4mm ●圧縮比:-
●-ps(-kW)/-rpm、-kgm (-Nm)/-rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/43L

●10・15モード燃費:-km/L
●JC08モード燃費:プラグインハイブリッド時(外部充電によるEV走行および電力消費後のハイブリッド走行を複合して算定した平均値):37.6km/L、ハイブリッド走行時:25.6km/L
●EV走行換算距離(外部充電によるEV走行の航続距離):15km

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(+コイル)/後 トーションビーム(+コイル)
●タイヤ:175/65R15( Bridgestone Ecopia EP150 )
●試乗車価格:非市販 ●ボディカラー:-
●試乗距離:-km ●試乗日:2011年2月
●車両協力:スズキ株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
トライアンフ名古屋イースト

スズキ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧