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スズキ スイフト XS新車試乗記(第610回)

Suzuki Swift XS

(1,2リッター直4・CVT・147万5250円)

世界市場に王手を打つ!
新型スイフトの走りに
日本のハコネで驚愕する!

2010年09月24日

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キャラクター&開発コンセプト

3代目は「よりスイフトらしく」


2代目スズキ・スイフト(2004~2010年) ※写真は2007年のマイナーチェンジで登場した「1.2 XG」

2010年8月26日に発表、9月18日に発売された新型「スイフト」は、2000年にデビューした初代スイフト(※注)から数えて3代目となるモデル。特に2004年に発売された2代目は、欧州市場を強く意識した本格派となり、生産拠点も日本、ハンガリー、インド、中国など世界4ヶ国に拡大。世界124ヶ国における累計販売台数は、2010年7月末時点で約180万台を達成。また国内でも過去5年間にわたって年間5万台前後をコンスタントに販売する会心のヒット作となった。


※注 : 海外では前身となる2代目カルタス(1988年~)で主にスイフトを名乗ったが、日本における初代スイフト(2000年~)の海外名はイグニスとなり、2代目スイフトで初めて日本・海外ともスイフトに統一されている。

「イメージ」は踏襲するも、デザインやシャシーは一新


新型スズキ・スイフト(写真はXS)

今回の3代目は、外観イメージこそ先代を踏襲するものの、デザインやプラットフォームはオールニュー。ボディやサスペンションの高剛性化、ホイールベース(+40mm)やトレッドの拡大などによって、シャシー性能の大幅な底上げを図っている。商品コンセプトは「More Swift」、もっとスイフトらしく、だ。

1.2リッター1種類に絞られたエンジンは、従来ユニットをベースに排気側にもVVT(可変バルブタイミング機構)を追加したもの。またCVT(無段変速機)は従来のアイシン製から、副変速機付のジヤトコ製に変更され、10・15モード燃費:23.0km/Lを達成している。

国内の販売目標は、年間4万3000台。国内向けの生産は、従来の湖西工場(静岡県湖西市)から、2008年7月に稼動を始めた相良工場(牧之原市)に移管されている。同工場では主にSX4やキザシなどの輸出向け車両の生産を行っている。

またハンガリーのマジャールスズキでも、2010年6月から欧州向け新型スイフトの生産を開始しており、欧州各国でも9月から順次発売される。

■過去の新車試乗記>スズキ スイフト XG / スイフト スポーツ (2007年6月)
■過去の新車試乗記>スズキ スイフト スポーツ (2005年10月)
■過去の新車試乗記>スズキ スイフト 1.5XS (2004年12月)
■過去の新車試乗記>スズキ スイフト スポーツ (2003年8月)
■過去の新車試乗記>スズキ スイフト (2000年3月)

価格帯&グレード展開

全車1.2リッターで、124万4250円からスタート


ボディカラーは赤、青、白、黒、そして写真にない銀、薄緑(スモーキーグリーン)、の全6色

先代には途中から追加された1.2リッター(CVT)の他、1.3リッター(4AT/5MT)や1.5リッター(4AT)、スポーツの1.6リッター(4AT/5MT)があったが、新型は設計年次の新しい1.2リッターのみでスタート。変速機は前述のジヤトコ製CVTのほか、1.2リッターに5MTを新設定している。

グレードは3段階で、15インチタイヤ+ホイールキャップ仕様の「XG」(124万4250円)、16インチアルミホイール、本革ステアリング付の「XL」(131万7750円)、さらに6エアバッグ、ESP、パドルシフト付の最上級「XS」(147万5250円、試乗車)。

4WD(CVTのみ)はそれぞれ17万8500円高で、オーディオヘッドユニットは全車オプション(工場装着のAM/FM・CDプレーヤーは2万1000円)、ディスチャージヘッドライト(6万3000円高)は上位2グレードにオプションとなる。

なお、発売時期は未発表だが、いずれ新型スイフトスポーツが追加される。先代では約1年遅れだったので、おそらくは来年あたりか。


【1.2リッター直4(91ps、12.0kgm)+CVT/5MT】
10・15モード燃費:23.0km/L(FF・CVT)/21.0km/L(FF・5MT)/20.0km/L(4WD・CVT)

■XG   FF:124万4250円(CVT/5MT)/4WD:142万2750円(CVT)
■XL   FF:131万7750円(CVT/5MT)/4WD:149万6250円(CVT)
■XS   FF:147万5250円(CVT)/4WD:165万3750円(CVT) ★今回の試乗車

パッケージング&スタイル

イメージは先代のまま、ただしデザインは100%ニュー


試乗車は最上級の「XS」だが、中間グレードとの外観の差はフォグランプくらい

もし新型のデザインがキープコンセプトだと知らなかったら、十中八九、先代スイフトと思ったはず。それくらいに新型スイフトは、先代とそっくりだ。そのキープコンセプトぶりは、BMW MINIが2007年に行ったモデルチェンジに似ているが、MINIと違って新型スイフトのボディは完全に新設計。ボディサイズ(先代比)も、全長3850mm(+95)×全幅1695mm(+5)×全高1510mm(同)、ホイールベース2430mm(+40)と、わずかだが確実に大きくなっている。フルモデルチェンジで、これほど見た目が変わらないクルマも珍しい。

 

先代(2代目)スイフトの1.2 XG。2007年のマイナーチェンジ時に撮影

そんな風にデザインがキープコンセプトになったのは、現場サイドから「デザインはなるべく変えないで欲しい」という要望があったから。スズキとしても、まだまだスイフトのイメージを「転換する時期ではない」と考えたようだ。会場で話を聞いた開発デザイナーも「今回は先代の印象に近づけるのに苦労しました」と言う。デザインに関しては、自社のデザイナーをイタリア・トリノやフランスに送って、現地でスケッチを行ったという。

 

その一方で、面構成が表情豊かになり、グッとスポーティさが増したのも事実。ヘッドライトが大きくなったのも目立つが、大径タイヤ(先代より約1センチ外径が大きい)を履いて、足もとの踏ん張り感も高めたほか、サイドウインドウの面積自体を小さし、同時にその後端のラインを垂直から斜めに変更して、海外で販売する3ドアと共通のデザインとしている。

なおホイールベースが40mm伸びた分は、キャビンスペースの拡大に・・・・・・と思うところだが、実際にはそのほとんどがノーズ部分(ダッシュボードより前)に当てられたという。目的は直進安定性の向上や補修コストの低減だそうだ。特に後者は、欧米では保険料率に大きく影響するためユーザーの関心が高い。

 

後ろ姿も、大きく変わっている。リアゲートの開口線がハッチバック車としては異例なほど高くなり、バンパーのボリューム感を大幅にアップ。リアコンビランプの下端と開口線が一直線になってデザインもスッキリしたほか、ナンバーの位置もかなり高くなった。もちろん、これによってボディ剛性も上がっている。その反対にリアゲートは小さく、積載性については犠牲になっているが、スタイル自体はなかなかカッコいい。

 

先代(2代目)スイフト

なお、最小回転半径は先代では14インチタイヤ(165/70R14)で4.7メートル、15インチタイヤ(185/60R15)で5.2メートルだったが、新型では15インチ(175/65R15)で4.8メートル、16インチでも5.2メートルに抑えている。同等のタイヤサイズを持つライバル車より、かなり小回りが効く。

インテリア&ラゲッジスペース

スタートボタンは全車標準。細かな改良とシンプルなデザインが好印象

黒基調でシンプルなインパネも、全面変更されたもの。ドアパネルからダッシュボードにかけてシルバー塗装の加飾パネルが細く横切るが、質感に関してはちょっと上がったかな、という程度。むしろ妙に凝らず、シンプルさに徹したところに好感が持てる。

そして何とキーレスプッシュスタートが全車標準!となったのが、新型スイフトの上級移行ぶりを物語るポイント。スタートボタンの場所がグローバルカーにありがちなステアリング左側ではなく、操作しやすい右側であるのも嬉しい。

 

またダッシュボード中央奧にあったマルチインフォメーションディスプレイが、メーターパネル内に移設されたのも、細かい点ながら良くなった部分。従来は位置が遠く、また文字が小さくて見にくかった。代わりにダッシュボード上面には、蓋付きの収納スペースが設けられている。

テレスコ&チルトも全車標準、シートも文句なし

スイフトの本気ぶりが伝わってくるのが、チルト(上下40mm)とテレスコ(伸縮36mm)付のステアリングを全車標準としてきたこと。肝心のシート自体も、座り心地、ホールド性ともに文句なく、当然ながらシートリフター(上下58mm)も付いている。このままスイフトスポーツに使っても良さそうなシートだ。

適切な着座姿勢、分厚いクッションを備えた後席

リアシートの居住性も、クラスベストと言えるもの。シートアレンジを捨てて、たっぷりと確保されたクッションの厚みとヒール段差(床から膝裏までの高さ)、適度な背もたれ角度(上級グレードでは1段階調整できる)、空間の広さ、乗降性の良さ(欧州Bセグメント車と比較して)など、ほぼ不満のない作りだ。ただし中央席にはヘッドレストが無く、シートベルトも2点式となる。

エアバッグはダブルエアバッグを全車標準とし、最上級の「XS」に前席サイドエアバッグとカーテンエアバッグの6エアバッグを標準装備としている。

荷室は確信犯的に小さい

全長3850mmというコンパクトなボディで、スタイリングと居住性を優先した結果、明らかに割り切られたのが荷室スペース。後席使用時の荷室容量は、BMW MINI(150~160リッター)よりも小さい、というか軽自動車並みの130リッターしかない。

 

床下にはサブトランクがあり、フロアボードを外してしまえば210リッターになるが、この状態でもMINIの3割増し程度。新型VWポロの280リッターと比較してしまうと、かなり小さめだ。

 

後席の背もたれを畳めば、上げ底のフラットモードで455リッター(床下スペースを含まず)に拡大できるが、この数値もライバル車より小さめ。数値はあくまで目安なので、単純にライバル車との比較はできないが、このあたりの割り切り具合は、MINIやフィアット500的と言える。開発スタッフによると、積載性よりカッコいいクルマを、という要望は、欧州市場をはじめ、日本でも強いという。

 

床下には、通常通りテンパー式のスペアタイヤが搭載される

基本性能&ドライブフィール

ダブルVVTと新型CVTで、期待以上に力強い走り

今回は9月中旬に箱根で開催されたメーカーの試乗会に参加した。当日は、晴天続きの2010年夏にしては珍しい土砂降りの一日で、今回のインプレッションはあくまで「箱根の素晴らしいワインディング」と「ヘビーウエット」という特殊な状況での「印象」となる。ま、実は2007年にスイフトのマイナーチェンジ車に試乗した時も、同じく箱根で、同じく雨だったのだが。

試乗したのは最上級の「XS」。さっそく走り出すと、ドイツ車のようなガシッとした操作系やボディの剛性感に、ただならぬ物を感じる。そう言えば、半年前に乗ったばかりの「キザシ」でも同じことを思ったっけ。新型スイフトではねじり剛性の15%向上や約10kgの軽量化が謳われているが、体感的な剛性アップ感はそれ以上。乗り心地は多少ゴツゴツしているが、突き上げやピッチングは一切ない。

エンジンは、予想以上に低回転から力強い。しょせん排気量は従来型と同じ1.2リッターだと高をくくっていたが、新型から排気側にもVVTが付いたせいか、あるいは副変速機付のCVTが加速重視のローレンジを持つせいか、おそらくCVTの要因が大きいと思うが、急な上り坂でもない限り、まったくかったるさを感じさせず走ってくれる。試乗前は「ラインナップが1.2リッターだけ?」と物足りなさを感じていたが、少なくとも力感は先代1.3リッター並みだ。ちなみにメーカーの資料によると、0-100km/h加速は先代1.2リッター・CVTより約7%(約1秒程度か)速く、40-80km/h追い越し加速では約16%速くなったという。

なお記憶のいい方はご存じの通り、このジヤトコ製の副変速機付CVTは2009年からスズキの軽自動車に初めて採用され、小型車では新型マーチが先行採用している。ただしマーチの場合は、同じ1.2リッターでも3気筒エンジンで、またアイドリングストップ機構を持つ点がスイフトと異なる。

スイフトスポーツかと錯覚するシャシー性能


新型ではフロントスタビライザーのねじり剛性を先代比で30%向上。リアはトーションビーム断面を二重構造にしてロール剛性を25%向上させてスタビライザーを廃止し2kg軽量化したほか、ボディ側取付剛性の約50%向上やリアハブのユニット化による軽量化も行われている

期待を2割くらい越えてきた動力性能に対して、5割増くらいなのがシャシー性能だ。ワインディングロードでは、思わずスイフトスポーツかと錯覚する走りっぷりを見せる。

特にアップダウンの少ない尾根伝いの芦ノ湖スカイラインでは、絵に描いたようなオン・ザ・レールで、右に左にコーナーをクリア。車重は試乗車で990kg、5MTなら970kgとエアコン付の初代ユーノス・ロードスター並みに軽く、体感的にもライトウエイトスポーツのような身軽さが味わえる。速度は絶対的に低いが、アクセルのオン・オフとステアリング操作だけで、グイグイとコーナーを曲がってゆくのが気持ちいい。あまりのグリップ感に、思わずヘビーウェットなのを忘れてペースを上げていったら、最終的にはリアがLSD付のFR車のように流れて帳尻を合わせた。「XS」に標準装備のESPが介入したかどうかは定かではないが(従来通り警告音はなく、おそらくアンダーステア制御が働いたと思われる)、いずれにしても限界はかなり高いところにある。

また新型は全車、小舵角ではクイック、大舵角ではスローになる可変ギアレシオステアリングを採用するほか、ステアリングシャフトのジョイント部(2ヶ所)の剛性アップを図るなどして、ヨー応答性(操舵に対する回頭レスポンス)を約25%向上させたという。ステアリング操舵時に伝わってくるシュアな感覚は、VWポロかゴルフ、MINI Oneあたりに遜色ないレベルで、違和感もまったくない。また最上級の「XS」ならブレーキも前後15インチディスクになり、タッチも効きも、先代スイフトスポーツ並みという感じになる。こうなるとまたしても、「普通のスイフトでこれなら、スポーツはどうなるんだ?」という心配が・・・・・・。素のスイフトでもシャシー性能は飛び抜けている。

なお、試乗した「XS」に装備されていた7速マニュアルモード付のパドルシフトは、車速に合わせてエンジンブレーキを使えるという点で、ワインディングではとても便利だった。こんな風に走る人はスイフトオーナーの1%かもしれないが、その1%の人にこのスイフト初のパドルシフトはおすすめ。このシャシー性能を引き出すには必須とも言える。

ここがイイ

スタイリング、シャシー性能、シート

カッコいいスタイリング。というか、スタイリング面でスイフトとしてのアイデンティティ(Aピラーのブラックアウトが利いている)を確立した点は、日本車として凄いことだ。今回は新しいプラットフォームながら、先代の形を再現する方向でデザインしたわけで、こんなことは日本車としては初めてなのでは。

タイヤが大きいということも日本車離れしている。それでいて実用性に関しても、大荷物が積めないこと以外、完璧だ。後席は広くはないが、足元はそう窮屈ではない。立ちぎみのAピラーが視界の前の方にあって、運転席前方空間が広く感じられるのもスイフト独自の良さ。オープンモデルにすると、前席でも開放的だと思うので期待したくなる。

そして何より、「ここがイイ」というより、「ここが良すぎる」というくらいにハイレベルなシャシー性能。直噴ターボ付のポロTSIが相手とは言わないが、自然吸気エンジンの1.4 コンフォートライン あたりと比べたくなるなる。安全性や生産性の問題もあるからだとは思うが、6年で全て一新して、さらに良くなったことは素晴らしいことだ。

シートの作りがしっかりしていて、ホールドもスポーツシートに近い。テレスコピックの追加と10mm刻みのシートスライド、56mmも上下するハイト調整で、どんな体型でもポジションが決まるはず。特にハイト調整は余裕があり150センチ以下という小柄な人でも大丈夫だろう。こういった当たり前のことが出来ないクルマはまだ少なくない。

ここがダメ

下位グレードにESPの装備がないこと

ESPは他車と比較しても割安な最上級グレード「XS」に標準装備だが、下位グレードではオプションどころか、設定すらないというのはどうかと思う。これだけ走るのだから、必需品だと思うのだが。

Aピラーがやや太く、かなり前方にあり(これがいいところなのだが)、ドアミラーも大きめで、やや右前方視界を遮るのは残念。

前席用のドリンクホルダーは、センターコンソール(シフトレバーの前方)に1個、助手席側にプッシュ・展開式が1個、それに左右ドアポケットに各1個づつと、計4個あるが、これだとドライバーは、シフトレバーなどが邪魔で使いにくいセンターコンソール側か、不安定なドアポケット側を使わなくてはいけない。「ドリンク問題」は日常的に気になる部分ゆえ、もう一工夫欲しいところ。

総合評価

男が乗ってもサマになる

いつもと違って、箱根という日本でも特殊な場所での試乗ゆえ、ついつい良い評価をしがちになるが、そこをぐっと修正して冷静に見てみても、ポロに並ぶ素晴らしい出来の「欧州車」であることを、乗れば誰でも実感できると思う。作りや走りの良さは前述の通りだが、特にエクステリアデザインで独自性を確立できたことは本当にたいしたものだ。この形で、MINIのように長く生き続けて欲しいもの。

さて、2004年11月に発売された先代スイフトの年間販売ランキング(1~12月、登録車)は、

・2005年:23位(5万403台)
・2006年:19位(5万3702台)
・2007年:17位(5万2937台)
・2008年:12位(5万8950台)
・2009年:18位(4万6159台)
・2010年上半期:21位(2万2960台)

となっており、このように日本でも売れ続けているのは、世のダウンサイジングの流れの中、走りの良さはもとより、男が乗ってもサマになるコンパクトカーという地位を確保したことが大きい。小さくても、こだわりのあるクルマが手頃な価格で欲しい、という場合、スイフトしかないのが現状だ。つまりはクルマ好きが乗れる唯一の国産コンパクトカー。もちろん、スズキというマイナーなメーカーであることも重要な要素かもしれない(クルマ好きはトヨタが嫌いだからね)。燃費だけではなく、クルマとしての質の良さで勝負するクルマがこれだけ売れていることは、まだ日本市場も捨てたものではないと思う。燃費性能だってもう十分だから、アイドリングストップなどいらないと思う。

中小企業魂のおかげ

先代スイフトは、次期スズキ社長になるはずだった故小野浩孝専務(元経済通産省課長で、鈴木修会長の娘婿。2007年12月に52歳で死去)の力作だったという。今回スイフトのスタイルが大きく変わらなかったのは、もちろん先代が売れたこともあったが、小野氏の成功作を活かしてやりたいとの修会長の思いもどこかにあったように感じる。しかしスズキも、もし小野氏ですんなり政権交代が行われていたら、はたしてリーマンショックで今どうなっていただろう。キザシのようなクルマへどんどんシフトし、VWとの提携もなかったかもしれない。スイフトも大きく変わっていたかもしれない。今頃大躍進していたか、あるいは衰退の兆しを見せていたか・・・・・・、歴史は個人の生死で大きく変わるものだとつくづく思う。

民主党の国会議員である有田芳生氏のブログに、ジャカルタで偶然、鈴木修会長兼社長に会い、「民主党を応援していたのに、これではダメだ」と言われたとある。その理由は、日本もぞうきんを絞るように徹底して無駄を省けば、もっともっと財源はあるのに、ということのようだ。スズキは今でもそんな中小企業時代の精神を経営に活かしているという。スイフトはまさにそうした精神が生み出したもの。その精神が先進国のみならず、発展途上国でも競争力のある日本製品を作り出しているのだ。今の日本に欠けているのは、そんな「中小企業魂」ではないかと思う。かつて日本が成長したのは、この中小企業魂のおかげだった。マーケティングにより効率的に作られた「魂」の抜けた商品しか作っていないと、やがて日本は滅びるだろう。日本の生きる道はここにあり、それが今回スイフトに乗っての感動を、さらに大きなものにしたのだった。


試乗車スペック
スズキ スイフト XS
(1,2リッター直4・CVT・147万5250円)

●初年度登録:2010年9月●形式:DBA-ZC72S ●全長3850mm×全幅1695mm×全高1510mm ●ホイールベース:2430mm ●最小回転半径:5.2m ●車重(車検証記載値):990kg( -+- ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:K12B ● 1242cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:73.0×74.2mm ●圧縮比:11.0 ● 91ps(67kW)/6000rpm、12.0kgm (118Nm)/4800rpm ●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/42L ● 10・15モード燃費:23.0km/L ●JC08モード燃費:20.6km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トーションビーム ●タイヤ:185/55R16( Bridgestone Turanza ER300 ) ●試乗車価格:155万9250円 ( 含むオプション:AM/FM・CDプレーヤー 2万1000円、ディスチャージヘッドランプ 6万3000円 )●ボディカラー:アブレイズレッドパール2 ●試乗距離:-km ●試乗日:2010年9月 ●車両協力:スズキ株式会社

 
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