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スズキ スイフト スポーツ新車試乗記(第388回)

Suzuki Swift Sport

(1.6リッター・5MT/4AT・156万4500円~)


2005年10月22日

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キャラクター&開発コンセプト

好評スイフトのスポーツモデル

2代目スイフトのスポーツバージョンが、今回の(2代目)スイフトスポーツだ。ノーマルモデルの登場から一年近く遅れて、AT車は2005年9月15日に発売された(MT車の発売は10月28日)。 ノーマルの1.3リッター(91ps)および1.5リッターエンジン(110ps)に対して、スポーツは高性能1.6リッター(125ps)を搭載。さらに専用の足回りや内外装によって、「走り」を強調したモデルとなっている。

ジュニアWRCで高い戦闘力を発揮

スズキは初代スイフト時代の2002年からWRC(世界ラリー選手権)の入門カテゴリーであるJWRC(ジュニアWRC)に参戦し、2005年8月の第5戦「ラリー・フィンランド」からついに2代目ベースの新型マシンを投入。スイフトを駆るガイ・ウィルクスがダニエル・ソルド(シトロエンC2)とドライバーズタイトルを僅差で争っている(10月22日時点)。また、非JWRC戦ながら2005年9月30日~10月2日に開催されたラリージャパンにも出走。自然吸気ならではの甲高いエキゾーストノートを響かせながら、北海道の原野を駆け抜けた。写真は2005年の東京モーターショーに展示されたスイフト・スーパー1600。

スズキ・モータースポーツ

価格帯&グレード展開

MT車なら156万4500円

基本は5MT(156万4500円)と4AT(161万7000円)で、2005年12月からはディスチャージドヘッドライト、レカロシート、サイド&カーテンエアバッグのセットオプション装着車を15万7500円高で追加する。なおスイフトスポーツは全車オーディオ(ヘッドユニット)レス。

ボディカラーは計6色。既存カラーからオレンジと明るいシルバーの2色が落ちて、JWRC直系のチャンピオンイエローが加わった。素のスイフトは101万3250円~で、マニュアル派には1.3XGの5MT車(108万6750円)が気になるところ。

パッケージング&スタイル

専用バンパーや16インチホイールで精悍に

ボディサイズは全長3765mm×全幅1690mm×全高1510mm。専用バンパーでベース車より70mm長くなった。サイドアンダースポイラーも装着し、タイヤは185/60R15から195/50R16へアップ。ホイールは4穴から5穴タイプに、ブレーキは前後ディスクに変更。ヘッドライトはレンズ内のリクフレクター周辺がグレーに着色された(試乗車はハロゲンタイプ)。

リアには小型のルーフスポイラーを装着し、リアコンビランプは専用レンズに。ドアミラーは空気抵抗と風切り音を抑えるため小型化してある。極めつけが、スズキのオートバイ部門が担当したという左右2本出しのマフラー。迫力のリアスタイルは、ちょっとルノースポール風?

メーターは220km/hまで

インパネの眺めはノーマルとほぼ同じだが、オーディオのヘッドユニットはオプションになる。革巻きステアリングとマニュアルシフトブーツには赤のステッチ、220km/hまで目盛ったメーターにはメッキリング、ペダルにはステンレスプレートが付く。

専用バケットシートを採用

室内でノーマルと一番違う点は赤/黒2トーンの専用バケットシート。通気性のよいメッシュ素材を使い、まずまずのサポートを備える。12月に追加されるレカロと共同開発したサイドエアバッグ組み込み式シートは、さらにサイドサポートが張り出したもの。クッション材やその貼り方の違いから座り心地も違うらしいが、基本フレームは今回の非レカロ版と同じという。運転席はシートリフター付き。

スペアタイヤは省略

後席シートは表皮以外、特に変更なし。ボディサイズからすればシートサイズや足元の空間も十分にあるが、フロントのバケットシートのおかげで見晴らしは少々損なわれた。

荷室容量は213L。後席をタンブル(背もたれを折って、座面ごと前に転がす)で畳めば、949Lのフラットな空間が手に入る。すべて片手で操作できるのがポイントだ。ノーマルと違うのは2本出しマフラーのタイコを収めるため、スペアタイヤが省かれた点。代わりにパンク修理キットを積む。

基本性能&ドライブフィール

全域パワーアップで乗りやすい

今回は4AT車と5MT車の2台に試乗した。いずれもエンジンは鍛造ピストン、電子制御スロットル、アルミ製インテークマニホールド(ノーマルは樹脂製)、ピストンの裏側にオイルを吹き付けるピストンクーリングジェット、水冷式オイルクーラーなどを備えた1.6リッター「M16A」(125ps、15.1kg-m)だ。圧縮比も11.1と高く、ハイオク指定となる。ノーマルスイフトの「M15A」は110ps、14.6kg-mで、圧縮比は9.5だ。

確かにスポーツは全域でノーマルより余裕が増して、乗りやすくなっている。特に回転でパワーを稼ぐ感じの1.3のMTに比べると、スポーツの余裕は段違い。ただ、MTとATいずれもホットハッチというほどの過激なパワー感はない。

外見は過激でも、性格はスイフトのまま

操縦性も安定しっとり方向のもので、パキパキのセッティングではない。ボディの補強も特にやっていないという。ダンパーはモンロー(MONROE)、ホイールは16インチの5穴タイプと物々しいが、実際にはかなり乗り心地を重視したものだ。ストローク感のあるスイフトの足回りをベースに、ロールを適度に抑えて減衰力を少々強めた、という感じだ。他の媒体の試乗記事を読むと「足が固い」「ゴツゴツしている」などとあるが、それは当たりがついてなかっただけでは、と思える。今回の試乗車はすでにそれらの試乗で酷使され、1500kmほど走行した広報車両だ。また、LSDも入っておらず、ドライバーを驚かせるような挙動は一切出ない。前後15インチの4輪ディスクブレーキもいい感じで効いた。

2リッター並みの安定性

高速走行はノーマルスイフト同様に快適だ。100km/h巡航は4ATで2600回転、2~5速までクロスレシオの5MTではちょっと高めの3200回転くらい。いずれも160km/hくらいまでならスーと加速してゆく。直進安定性は抜群で、2リッタークラス並みと言っていい。

ここがイイ

そもそもベース車がいい(詳細は試乗記スズキ・スイフト 1.5XS)。これがハイパワーとなって、しかもカリカリのチューンではなくマイルドな乗り味を残してあるのだから文句なし。一般道でのパワー感に関しては何ら不満がないだろう。高速巡航も150㎞/hオーバーでいけてしまう。小さいながら不満がないゆえ、もうクルマはこれでいい、と言いたくなってしまった。

スタイルもさらに良くなった。コンパクトなボディとワイドトレッドの組み合わせは国産コンパクトクラスの白眉。ホイールが大きくなったのでホイールハウスの隙間も気にならないし、素直にかっこいいと思う。各社がグラマラスな曲線を売りとする小型車を出す中、すっきりしたラインがいいところだ。

多くのメーカーが止めつつあるジグザグゲート式の4ATがいい。マニュアル操作をしても変速ラグが小さいし、ギアポジションが目とブラインドタッチで確認できるのがいい。スイフトのものはタッチ、ストロークともによく考えられていて、4ATとしては満点の出来だ。こいつがあればマニュアルモードは要らない。

ここがダメ

といいつつ、マニュアルモードは要らないから、もう一速が欲しいと思う。つまり出来れば5AT、欲張れば6ATだっていい(6速となるとさすがにステアリングシフトやパドルが必要になりそうだが)。それではと乗った5速マニュアルだが、さほど大きな魅力を感じなかったのが残念。

せっかくなら、「スポーツ」の名に相応しい更なるパワー感が欲しかった。見た目はルーテシアRSやメガーヌRS、ゴルフGTIなんかの影響が感じられて、欧州ホットハッチ好きの興味を引くのは間違いないが、パッと乗った時の刺激度では大きく差が付いてしまう。走りのポテンシャルでは決して負けていないが、ことドライビングの「スポーツ度の演出」に関してはまだまだ。スズキの走りのフラッグシップというのであれば、もう少し刺激が欲しい。このあとにスイフトRSでも控えているなら話は別だが。また、妙に踏力が軽く、剛性感が無くてミートポイントが分かりづらいクラッチペダルも改善ポイントだろう。

総合評価

東京モーターショーが始まって、会場には様々なコンパクトカーが並んでいるが、その中でもスイフトのエクステリアデザインは、発売1年ほどを経た今でも出色の出来だと思う。固まり感があり、窓が小さいそのルックスは、けれん味が無く、コンパクトカーの中でも特にかっこいいと言えるものだ。これにハイパワーエンジンと来れば、期待は嫌がおうにも盛り上がるのだが、はたしてその走りは、意外にマイルドなものだった。もう少しパワフルであって欲しいと思う反面、これくらいのパワーを振り回して走る方が楽しいとも思う。乗り心地ももっとハードでもいいかと思う反面、この程度なら街乗りにも問題なく使えていいとも思う。

操縦性にしてもそうだ。さらに軽快なハンドリングを望む反面、この程度がねじ伏せ感が楽しめるいい塩梅でもある。勇ましいエンジン音も、室内で聞けば程良い程度。想像していたより過激ではなかったが、ノーマルの1.5あたりでは物足りない、という人にはうってつけのクルマということになる。

ラリーイメージから来る過激さという点では、先代の方が上。実に程良い新型スポーツは、日常的にスポーツ心を感じながら走るのがふさわしい。ルックスも精悍になったし、レカロでなくてもシートは悪くない。ステアリングの太さ、握り具合も心地よいから替える必要がないし。ノーマルの1.5を下手に自分でいじるより、ずっとお買い得感がある。シートフレームがスズキ、あんこがレカロというコラボシートをオプションでつければ、より良くなるだろう。

ただ、ここまでの動力性能を持ったのなら、ゲート式で使いやすいとはいえ、4ATでなくフォルクスワーゲンのDSGみたいなスポーティな変速機が欲しいところ。さらにVSCといった電子安定デバイスが無いのも残念なところだ。しかしオーディオレスなのはかえってうれしい。というのも、純正で日産のカーウィングス対応AV一体型HDDナビが28万1190円で用意されるからだ。対応ハンズフリーキットは6489円。日産車と違って利用料が月額472円かかるが、カーウイングスが日産車以外でも使えるということは評価できるところ。どうせこうしたサービスをスズキ独自でやることはないのだから、いっそトヨタのG-BOOKやホンダのインターナビとも提携して、どれでも選べるようにしたら、かなり画期的だと思う。スズキ車の付加価値がものすごく高くなると思う。

軽自動車の幅広版でお手軽に小型車を作っていたスズキが、全力を傾けて作った本格的小型車がスイフトで、その出来には絶賛の声が高い。やはりモノづくりは志が製品に出る。ノーマル車もいいクルマだが、やはりもうちょっとパワーやプラスアルファが欲しくなるのも確か。ノーマル車を買ってもきっとそのままでは満足できない、と思う人にはうれしいクルマだ。と同時に、意識的に小型車に乗ろうという老若男女が「今はこういうクルマに乗っている」と誇れるクルマが出来たわけだ。

試乗車スペック
スズキ スイフトスポーツ
(1.6リッター・5MT/4AT・156万4500円~)

●形式:CBA-ZC31S●全長3765mm×全幅1690mm×全高1510mm●ホイールベース:2390mm●車重(車検証記載値):MT車:1060kg(F:650+R:410)、AT車:1070kg(F:660+R:410)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:M16A●1586cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●125ps(92kW)/6800rpm、15.1kgm (148Nm)/4800rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/43L●10・15モード燃費:MT車:14.6km/L、AT車:13.6km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:195/50R16(DUNLOP SP SPORT MAXX)●試乗車価格:5MT車:156万4500円、4AT車:163万8000円(含むオプション:パールホワイト塗装 2万1000円)●試乗距離:-km

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/lineup/swiftsport/

 
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