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スズキ SX4 1.5XG / 2.0S新車試乗記(第424回)

Suzuki SX4 1.5XG / 2.0S

(1.5L・FF・164万8500円)



2006年07月22日

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キャラクター&開発コンセプト

「スポーツコンパクト」+「SUV」のクロスオーバー

2006年7月4日に発売されたSX4は「スポーツコンパクトの走り」と「SUVの機動性」を融合した新型クロスオーバー。車名の由来は「S」port 「X」over hachback 「4」WD。シャシーはスイフト譲りの強化・拡大版で、そこにスイフトの1.5リッター、もしくはエスクード用の2リッター直4を横置きに変えて搭載。FFのほか、電子制御4WDも用意した。

スズキきっての世界戦略車

一般的にクロスオーバー車は既存車種から派生したニッチ向けモデルが多いが、SX4はスイフト、エスクードに続く第3の世界戦略車という位置付け。すでに3月から欧州で発売されているほか、供給先のフィアットからも「セディチ(Sedici=16)」(4×4=16が由来)の名で発売中。目下ハンガリー工場の年産6万台(SX4:4万台、セディチ:2万台)では需要に追いつかない状況だ。

また、2007年途中からWRC(世界ラリー選手権)に投入することも決まっており、目下マシンを鋭意開発中だ。国内向け(日本製)の目標は年間1万5000台だが、主力はもちろん海外。しかもスイフトが輸出されていない北米にも日本から輸出するなど、スズキきってのワールドカーとなりそうだ。

価格帯&グレード展開

全車4ATで149万1000円~203万7000円

エンジンは1.5リッターと2リッターで、それぞれFFと4WD(21万円高)を設定。標準グレードの「1.5E」(149万1000円)、主力の「1.5G」(164万8500円)、トップモデルの「2.0S」(182万7000円)、そしてもうひとつの主力であるSUV風の「1.5XG」(164万8500円)がある。これと同じ外観の「2.0XS」も10月に発売予定。全車4ATだが、当然欧州にはマニュアル仕様がある。国内への投入も将来的には(WRCデビュー時あたりに?)あり得そうだ。

パッケージング&スタイル

手頃なサイズで、頼もしさもある

ボディは全長4135mm×全幅1730mm×全高1570mmとショート&ワイドな欧州サイズ。3ナンバー幅で、立体駐車場には微妙なサイズだが、実物は大きからず小さからず、実に手頃だ。

樹脂製オーバーフェンダーとルーフレールが付いた、写真ではオレンジの1.5XG(および発売予定の2.0XS)は全幅1755mm、全高1605mm。こちらはオフローダー風の専用バンパーのせいもあって、頼もしくも見える。最小回転半径は5.3メートルと小回り性能はまずまずで、取り回しも容易だ。

パンダ4×4の兄貴分?

初期デザインはジウジアーロ率いるイタルデザイン社と共同で行ったというSX4だが、その印象は、オンロードタイプ(写真では薄いブルー)とオフロードタイプ(写真ではオレンジ)とで、かなり異なる。前者は洗練されたスポーツコンパクト風で、2リッター車では17インチホイールも履くが、インパクトがちょっと薄い。どちらかと言えば、オフロードタイプの方が、ワイルドで個性的だ。

外装の一部やディーゼルエンジン仕様の開発に携わったフィアットからはオフロードタイプのセディチが出ているが、こちらはいかにもパンダ4×4の兄貴分という感じで、元からフィアット車のように見えるから面白い。

スイフトとエスクードの中間的眺め

黒基調のダッシュボードに、サテンメッキの縁どりが付いたインテリア。質感はスイフトとエスクードの中間という感じだ。機能的にもスイフト/エスクードに近いもので、ジグザグゲートのATシフトレバーも踏襲する。2リッター車の速度計は220km/hスケールだ。

Aピラーが多少視界を遮るが、その後ろの大きな三角窓やドライバーからは薄く見えるサブピラー、低いウエストライン、高めのヒップポイントなどのおかげで見切りは悪くない。例の補助ミラーも付けずに済んでいる。

スズキ車でお約束?のタンブル式

リアシートはクッションも厚めで、まずまずの座り心地。座面も高めで見晴らしもいい。アームレストも付いているし、ドリンクホルダーも計3個。これと言って不満のない居住性だ。

通常時の荷室は270Lに過ぎないが、後席をタンブル(前に跳ね上げて折り畳む)させれば、ちょうど立方体のような大容量となる。スイフトもエスクードも同じタンブル式で、跳ね上げたシートをストラップで前席ヘッドレストステーに固定するところもスイフトと同じだ。

基本性能&ドライブフィール

力強いが、少々重々しい2リッター4WD

今回は富士山麓で行われた合同試乗会での試乗ゆえ、限られた時間と状況でのインプレッションなのをお断りしておく。最初に試乗したのは「オーシャンライトブルー」の2.0S(4WD)。走り出した瞬間に2リッター(145ps、19.7kg-m)という排気量相応の力強さが感じられる。車重は1310kgだが、トルクフルなので踏み込まずとも十分に速い。同じエンジンのエスクード(あちらの車重は1.5トン超)よりも当然ながら速い。ただ、エンジン特性なのか、回転フィーリングはやや重々しく、軽快感は薄めだ。

ローダウンサスペンションと17インチタイヤもあって、乗り心地はやや固め。しかし荒れた舗装路を遠慮なく走っても振動が残ったり、突き上げたりすることは一切ない。ボディや足回りがヤワな旧世代のクルマだと、とてもこうはいかないだろう。

少し物足りなかったのは、電動パワステを拳ひとつ分くらい切り込んだ時に、スイフトのようにスッと向きを変える感じがなかったこと。切り増していけば別に問題ないのだが、ちょこまか丘を縫って走る時には、これがけっこう気になった。

脱出用の「4WDロックモード」付き

「i-4WDシステム」はリアデフ直前に電子制御クラッチを置いた最近主流のシステム。「2WD」か「4WDオート」が選べるという「パートタイム4WD」風となっているのは、三菱アウトランダーに近い。前輪が滑った時にのみ後輪に駆動力を配分する電子制御式オンデマンド4WDとも言える。なお、2WDモードでも燃費はほとんど良くならないそうだから、普段は4WDオートにしておく方がいいだろう。

一方、本当に「付いてて良かった!」と思えるのは、スタックしかかった時の守護神となる「4WDロック」モード(ほぼ50:50に配分)の方だろう。ESPと電子制御4WDは同じ電気同士で緻密な制御が可能だから、軽い対角線スタックにも有効だ。こちらはスイッチ長押しでON、60km/h以上では自動的に4WDオートに戻る。

1.5は「背の高いスイフト」

後半乗ったFFの1.5XG(110ps、14.6kg-m)は、一言で言うと「ちょっと背の高いスイフト」。試乗車の車重は1190kgとスイフトの160kg増しだが、ギアリングが低いせいだろう、発進加速はけっこう力強い。中間加速や坂道でこそアンダーパワーだが、アクセルを踏み込んでもうるさくないので、コンパクトカーらしい元気な走りが味わえる。

身のこなしの軽さは思わず嬉しくなるほどだが、さっきまで乗っていた2リッター4WDより120kgも軽い(前軸で-90kg、後軸で-30kg)のだから、それも当然か。電動パワステの応答性も、こちらはまったく問題ない。SUVルックのFFだが、それはそれでいいか、と思える好バランスだ。もう少しパワーが欲しいが、走りそのものを楽しみたいなら1.5リッターがいい。本当は欧州向けSX4やセディチにある1.6リッターガソリンや1.9リッターディーゼル(6MT)あたりがベストバランスか。

ここがイイ

どこにもない、ちょっとオフロードなコンパクトカーというコンセプト。欧州のクルマ事情が求めたもので、日本からは出てこなかったものだと思うが、今後東欧や発展途上国などでは、けっこう求められるクルマ像ではないか。「時にはちょっとヘビーな四駆が必要(SX4には四駆ロックモードあり)だが、普段はオンロードの走りを楽しみたい」なんていう声は、日本でもなくはないと思う。ライトクロカンならぬライト・ライトクロカンだ。

オートライト(しかもディスチャージド式)やキーレススタートシステム、さらに前席サイドおよびカーテンエアバッグが、廉価グレード以外の全車に標準装備であること。こういったものは、もうすべてスタンダードになるべき。

ここがダメ

日本市場を考えると、キャラクターの曖昧なオンロード(エアロ)ハッチバック風を作らざるを得なかったのかもしれないが、ここは本来のアウトドアイメージで押して欲しかった。例えばフィアット・セディチは樹脂モールだけでなく、バンパーの一部やサッコプレート部分まで黒い樹脂で覆われていて、より精悍でカッコよく見える。これが本来の姿だろう。テレビCMはいかにも都会派の福山雅治だが、これもミスキャストなのでは。

タンブルフォールディングのリアシートだが、タンブルさせてからベルトで止めるのはちょっと手間。何かロック機構が用意できないだろうか。1.5リッター車にはESPが装着できないというのもどうか。リアはドラムブレーキだし、実用的には文句がないものの、走りを売りにする割には残念に思えるところ。

2リッター・4WDはパワーはあるが、軽快感に乏しいのが残念。またスズキ車にもそろそろマニュアルモード付5ATが欲しい。

総合評価

昔、といっても20年ほど前のことだが、軽自動車を何台も営業車として使っていたことがある。何故かダイハツはなくて、スズキ、スバル、三菱、ホンダがあった。どのクルマも過酷に使われていたが、一番丈夫で10万㎞以上元気に走ったのはスバルだった。スズキのクルマ(アルト)はどの車両も7万㎞を過ぎたあたりで何かしらトラブルが出た(たぶん偶然だとは思うが)。7年殺しならぬ7万㎞殺しなんてのを当時話題にしたものだが、まあ、当時の軽自動車ならそのあたりがターニングポイントであったとしても、そう問題はなかったのだろう。年間5000㎞程度を走るお買い物カーという位置付けだったのだから。

スズキ車は小型車でも、あくまでそんな軽の大型版という印象でしかなかった。実際、ワゴンRプラスなどは軽の拡幅版だ。逆にそれゆえ、小型車というより理想的な軽自動車のあり方としてモーターデイズでも高く評価してきた。中でも昔から評価の高かったのが、オフロード軽のジムニーだろう。本格オフロード車であるがゆえに、乗用車として見た場合の問題点は評価とならず、マイクロ四駆という、世界にも類も見ない存在感を得て、ブランドとして成り立つまでになっている。スタッフの数がそう多くないデイズにもジムニーユーザーが2人もいるほどで、世界中にマニアは多い。軽のスズキは実は四駆(オフロード車)のスズキだったりするのだ。

一方、最近のスズキは軽だけでなく小型車を積極的に高品質化させている。特に新型スイフトは評価の高いクルマで、RJCイヤーカーとして選ばれるにふさわしい出来の良さだと思う。他にもオフローダーの新型エスクードも良くできているし、主力商品の軽の品質も素晴らしく良くなっている。長期で乗っていないから確かなことはいえないが、今や昔のように7万㎞でトラブるようなことはないと思う。

これは、世界市場でスズキが評価を得る必要性が高まったことと無縁ではないだろう。ロングライフの欧州市場では小型車でも高い品質が求められるだろうし、スズキの強いインド市場などでは高級車の範疇に入るともいえるのだから。現在は提携が切れてしまいつつあるが、GMグループとしてこれまでスズキ車はオペルブランドだったり、シボレーブランドだったりもしたわけだ。

SX4もそうした世界戦略小型車の流れで出てきたもので、日本市場を考えたら作られることなどなかったクルマだろう。クロスオーバーというわかりにくい概念が日本で広く受け入れられるとは、スズキ自身も考えていないと思う。それゆえエアロパーツをつけたスポーツハッチルックのグレードが日本市場では主力になると考えているようだ。そのため、本来のクロスオーバールックは1.5XGグレードだけ。遅れて10月になって、やっと2.0XSが投入されるあたりにも、そうした事情がかいまみえる。スポーツハッチの方は、スイフトの兄貴分といった感じのごく普通のハッチバック車に見えるが、逆に黒い樹脂でモールディングされたSUVルックの方は「どこにもない感」が強く、とても個性的で素晴らしい。エスクード、SX4、スイフトと並べると、SX4の立ち位置がわかるのだが、スポーツハッチルックを見ている限り、そこが分かりにくいのが残念だ。

つまりルックスがSUVぽくて、現実に4WDでもあって、走りはスポーツハッチみたいというSX4は、クルマ好きとしてはかなりそそられるものがあるクルマだ。乗った感じでは1.5リッターより、やはり2リッターの力感が欲しいから、10月の2.0XSが一番のねらい目だと思う。スイフトに2リッターはないのだし。内装もチャラチャラしてなくて男らしい。そして何より、このクルマがWRCベースカーというのは大きな付加価値となる。

「もう大型車は要らない。小型車がいい」と思っても、女子供イメージが強すぎる小型車ばかりだ。スイフトはギリギリ女子供ラインの手前で踏みとどまっている感があるが、「ジュニア」WRCカーというのがちょっと弱いところ。その点、WRC参戦車のSX4はまさにクルマ好きが乗れる小型車といえる。フィアットやイタルデザインとの出自も蘊蓄ものだし、GMグループ時代の置き土産的なフィアットとの関係がこういったユニークなクルマを生んだことは歴史的幸運だったと思う。日本では月わずか1200台余りの販売目標にすぎない。ちょっと変わったクルマ好きにはたまらないクルマと言えるだろう。

試乗車スペック
スズキ SX4 1.5XG
(1.5L・FF・164万8500円)

●形式:DBA-YA11S●全長4135mm×全幅1755mm×全高1605mm●ホイールベース:2500mm●車重(車検証記載値):1190kg(F:730+460)●乗車定員:5名●エンジン型式:M15A●1490cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置●110ps(81kW)/6000rpm、14.6kg-m (143Nm)/4000rpm●カム駆動:チェーン●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/50L●10・15モード燃費:16.4km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/60R16(BRIDGESTONE TURANZA ER300)●試乗車価格:164万8500円●試乗日:2006年7月

公式サイト http://www.suzuki.co.jp/dom4/lineup/sx4/

 
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