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日産 ブルーバード シルフィ 1.8Vi新車試乗記(第146回)

Nissan Bluebird Sylphy 1.8Vi




2000年11月04日

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キャラクター&開発コンセプト

世界一クリーンな小型セダン

昨年10月に発表された「日産リバイバルプラン」による2000年最初の新型車となったブルーバード・シルフィ(以下、シルフィ)は、ブルーバードとパルサー(生産中止)の中間に位置する小型セダン。ブルーバードと名が付くものの、ベースとなったのはサニーだ。

開発コンセプトは「洗練された上質な雰囲気と先進の環境技術を備えたほどよいサイズの小型セダン」。40~50歳の団塊世代の夫婦をメインターゲットに、奥さんにも喜ばれるエレガントなデザインを用いているのが特徴だ。また、環境性能の高さも売りの1つで、世界一クリーンであると謳うガソリンエンジンを搭載する。

なお、現在はブルーバードも生産・販売されているが、車種整理をすすめている日産では今後、シルフィに統合される可能性が高い。となると、シルフィはブルーバードとパルサーの統合という見方もできる。ブルーバードは日産を代表する小型スポーツセダンだっただけに、購入層の中には少なからずガッカリする人も出てくるだろう。

エンジンラインナップは1.5リッター、1.8リッター、2.0リッターの3タイプ。ギアボックスは5MT/4ATの他、2リッターモデルには6速マニュアルモード付きCVTが組み合わせられる。駆動方式はFFが柱で、1.8リッターモデルは4WDも用意される。

価格帯&グレード展開

世界一クリーンでも値段は庶民的

グレードは大きく3タイプ。価格の安い順に「15i」(AT車で159.9万円)、「18Vi」(176.4万円)、「20XJ・Gパッケージ」(206.4万円)で、数字はもちろんエンジン排気量を表す。

「15i」と「18Vi」の装備はほとんど同じで、オーディオとタイヤサイズが異なるぐらい。スポーツサスペンションやハイパーCVT-M6を専用装備する「20XJ・Xパッケージ」は、「18Vi」の装備に、本革巻きステアリング&シフトノブ、ファインビジョンメーター、スーパーサラウンドシステム、オートエアコン、トランクオープナー対応キーレスエントリー、運転席バニティミラー、アルミホイールを追加したもの。これらの装備は、他の4WD車を他の2グレードにも、ほぼ同じ内容で「Gパッケージ」としてセットオプション設定されている。価格はどちらもベースの10万高。「18Vi・Gパッケージ」が量販グレードとなる。

パッケージング&スタイル

サニーの豪華版?オーソドックスなスタイル

ボディサイズは全長4470×全幅1695×全高1445mmと、ブルーバードより短く、サニーより長いというもの。ホイールベースはベースとなったサニーと同じ2535mm。サニーの前後オーバーハングを伸ばしただけ、という寸法だ。

5ナンバーサイズながら見た目にもゆったり伸びやかに感じるのは、大きく弧を描いたラウンドルーフによるところが大きい。日産側としても、この屋根のデザインは、かなりの自信作だとか。グリルなど適度にメッキパーツを配し、全体的に柔らかく、自然で優しい雰囲気は、女性ユーザーも意識していることが見てとれる。存在感は薄いが、必要以上に大きく豪華に見せようとしていないのは好感が持てるところ。

ところで、どうしてまたブルーバードと併売するかであるが、「いかにもセダンチックな四角いスタイルを好む人もいるから」というのが日産の回答。

なんとなくローバー風だが、基本はサニー

“カフェラテ”をテーマとした室内は、淡いベージュの内装色の採用によって上質で明るい雰囲気を醸し出している。薄茶色のメープル木目調パネルのマッチングも良く、同クラスでは珍しい本革シートもオプションで用意される。なんとなくローバー車に近いものがある。

このインテリアはグレードによる差がなく、下から上まで同じ設定というのも嬉しいところ。これまで黒基調ばかりだった従来の日産車とは一線を画すセンスだ。

インパネのレイアウトは、サニーに近いもの。センター部が独立しており、丸みを持たせて立体感あるものとしている。ダッシュ上部にはポップアップ式モニターが装着できるようになっており、非装着車は収納ボックスとして使えるようになっている。目新しいところでは、ルームミラーに高さ調整が加わっていること…それぐらい。

ボディが大きい割に、後席の広さは実感できない

室内はそれほど広くない。特に後席の膝元スペースは新型カローラより明らかに狭い。ホイールベースが共通のサニーと比較しても、室内長は15mmシルフィが短く、室内高が同じくサニーより35mm高いとはいえ、これはあくまで弧を描いたルーフの頂点から測定した数値。後席の頭上空間はいまひとつで、しかも背もたれを寝かし気味にして頭上空間を稼ごうとしている。これって、ひと昔前に流行ったハードトップセダンのやり方では?

もっとも、購入層(50代の夫婦)を考えれば、ほとんど前席しか使わないわけだから、後席の空間はそれほど重要じゃないのかも。しかし、ドラポジにも大きな問題があるのだから困る。ペダルに合わせるとステアリングが遠くなり、逆にステアリングに合わせるとアクセルが遠くなる。フロアに対して座面高が低いのか? せめてステアリングにテレスコピック(前後調整)が欲しいところ。パッケージングに新しさはない。

基本性能&ドライブフィール

「世界一クリーン」は触媒技術の力

エンジンは3タイプ。 1. 新開発2リッター直4(150ps、20.4kgm)は、「NEO Di」を名乗る直噴ガソリンエンジン。高パワーと低燃費に加えて、バランサーシステムの改良などによって静粛性も向上させたという。ギアボックスはお得意の6速シーケンシャルモード付き無段変速機「ハイパーCVT-M6」だ。

世界一クリーンなエンジンと謳われる 2. 新開発1.8リッター直4(120ps、16.6kgm)は、世界一環境にうるさい米国カリフォルニア州で、初めて「ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル。ゼロ排出ガス車)」の適用を受けた「セントラCA」と基本的に同じもの。これと高度な触媒技術によって、日本の最も厳しい排ガス基準値「超-低排出ガス(★3つ)」を50%下回るクリーン性能を実現している(2WD車)。で、理論上では都市部の大気よりも排ガスのほうがキレイだという。汚い空気を吸って、キレイなガスを出す、言うなれば「走る空気清浄機」か。燃費のほうもまずまずで10・15モードは16.0km/L(AT車)だ。

3. 1.5リッター直4(105ps、13.8kgm)も見逃せない存在で、トップクラスの低燃費16.0km/L(AT車)と★1つを取得する。

質感さえ求めなければ、十分な出来

試乗したのは世界一クリーンを謳う「1.8Vi」というグレード。パワー自体は、クリーンエンジンとは特に意識させない、必要十分なもの。急勾配の上り坂では多少力不足を感じるが、クリーン性能の高さを思えば、それも気になるものではない。何も聞かされていなければ、ごくフツーの1.8リッター車と同じ感覚で走らせることができる。ATとの相性も良く、キックダウン時のシフトショックは限りなく小さく、それでいてトルコンのスリップ感もない。また、コーナーでも安定して素直に旋回してくれる。ゆったり、安心感のある走りは、主な購入層である熟年世代に喜ばれるだろう。乗り心地も全体にはソフトな味付けだ。

一方で、荒れた路面では一転して突き上げが多く、加えてエンジンの回り方がザラザラとしているなど、いわゆる走りの質感は不足気味。全体がゆったりしているわりに、パワステの中立付近が重いのも気になるところ。それでいて、大きくステアリングを切ると、いきなり軽くなる。車庫入れ時はそれなりにメリットもあるが、やはりやや不自然な感じは否めない。

なお、最小回転半径は1.5リッター車が4.6m、1.8および2.0リッター車が5.0m。ちなみにカローラはそれぞれ4.9m、5.1m。小回り性はシルフィのほうが優れている。もっともシルフィのホイールベースはカローラより65mm短いのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。

ここがイイ

シルフィに載ったクリーンエンジンは、これから日産車に次々と搭載されていくのだろう。そうしてクルマがどんどんクリーンになっていけば、クルマ害悪論も少しは鳴りをひそめるかも。この部分は高く評価したい。

安いクルマの割に、室内は上手く高級感が演出されていると思う。ローバー路線をなぜどこもやらないのか、と思っていたが、ついにやるところが登場したわけで、今後この路線のクルマは増えてくるはずだ。

ここがダメ

4ドアセダンととらえたら、パッケージングはダメ、ということになりそう。ただこれは4ドアのカタチをした2ドア車と思えば問題なし、ということになるのだが。せっかくの内装もステアリングが無骨で損をしている。革とウッドの高級ステアリングを標準装備にしてもいい。いや、すべき。それだけでずいぶん評価が変わるはず。その分が価格に反映してもそうすべきだと思う。

総合評価

リバイバルプランは順調らしい。新型車を出さず、販売も落ちている中で順調というのも変なハナシだが、恐らく様々なコストの見直しが図られているのだろう。一部日産下請けでは、リバイバルプランのせいではないかもしれないが、かなり苦しい状況になっているようだ。

で、期待の新型車だが、コンセプトは悪くないし、クリーンエンジンも悪くない。特に批判するところなどないが、例えばこのクルマのネオクラシック路線は特に新しいものではないし、クリーンエンジンにしてもセントラで先に採用されたもので、2リッターのハイパーCVT-M6もこのクルマには相応しくないものだろう。ちょっとチグハグ。クルマは悪くないのだが、日産のクルマ作りはまだまだ混乱しているように思えてしまう。その意味でシルフィは、新生日産の象徴とはまだいえない。内装も英国風というのは残念。ルノーのあの素晴らしいフレンチインテリアが日産車に生きるのはいつのことだろう。

公式サイトhttp://www.nissan.co.jp/SYLPHY/

 
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