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日産 ティアナ 250XV新車試乗記(第522回)

Nissan Teana 250XV

(2.5リッターV6・CVT・326万5500円)

CVTで燃費も向上!
ポストミニバンをお探しのお父さんに
待望のセダンが登場した!

2008年08月23日

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キャラクター&開発コンセプト

日産のFF旗艦セダンが2代目へ

2008年6月2日に発売された新型ティアナは、「モダンリビング」を掲げた初代(2003年2月発売)を5年4ヶ月ぶりに全面改良した2代目。日産で最も大型のFFセダンとなる。

車台には従来の「FF-Lプラットフォーム」に代えて、海外向けの新型アルティマ/マキシマ、2代目ムラーノ等にすでに採用されている新開発の「D-プラットフォーム」を採用。国内向けでは新型ティアナが初となる。

パワートレインに関しては、従来の3.5リッターV6+CVTを改良して続投。2.3リッターV6の方は2.5リッターに排気量アップし、さらに変速機を従来の4ATではなくCVTに変更して燃費性能を向上させている。これによりティアナは全車CVT(エクストロニックCVT)となった。

キャッチフレーズは「SHIFT_hospitality」(おもてなしをシフトする)。メイン市場は中国などのアジアが中心であり、国内の目標販売台数は月間1000台と控えめだが、滑り出しは好調なようだ。

■日産自動車>プレスリリース>新型「ティアナ」を発売 http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2008/_STORY/080602-01-j.html

価格帯&グレード展開

主力の2.5リッターV6は250万~330万円くらい

エンジンは3.5リッターV6「VQ35DE」(252ps、34.2kgm)、2.5リッターV6「VQ25DE」(185ps、23.7kgm)、そして4WD専用に低速トルクを重視した2.5リッター直4「QR25DE」(167ps、24.5kgm)の3種類。VQ35DE以外はレギュラーガソリン仕様となる。主力はやはり排気量アップとCVT化でパワーと燃費を向上させた2.5リッターV6モデルだろう。純正カーウイングスナビは、「250XV」以上に標準装備、それ以下では33万円前後のオプションとなる。

■3.5リッターV6(VQ35DE)<252ps、34.2kgm>
・「350XV」    394万8000円(FF・CVT-M6)

■2.5リッターV6(VQ25DE)<185ps、23.7kgm>
「250XV」    326万5500円(FF・CVT) ※今週の試乗車
・「250XL」    275万1000円(FF・CVT)
・「250XE」    246万7500円(FF・CVT)

■2.5リッター直4(QR25DE)<167ps、24.5kgm>
・「250XL Four」    296万1000円(4WD・CVT)
・「250XE Four」    267万7500円(4WD・CVT)

パッケージング&スタイル

サイズはクラウン並み。先代よりアクが抜けた

全長4850mm×全幅1795mm×全高1475mmという外寸はクラウンと同等。特に全幅はクラウンとまったく同じ1795mmだ。先代より全体にアクが抜けて上品な印象となり、角度によってはスカイライン似のFRスポーツセダン風にも見える。

 

屋根がブラックアウトされているのは「スタイリッシュガラスルーフ」仕様。これは最近流行りの全面ガラスルーフではなく、実はイタリア車(フィアットやランチア)にもよくあるダブルサンルーフだ。前側が電動チルト/アウタースライド式で、後側がはめ殺しとなる。「350XV」に標準装備で、2.5リッター車には12万6000円のオプションだ。

デザインよりは機能性重視で進化。好評の助手席オットマンは継続

艶のない柾目(まさめ)のウッド調パネルが画期的だった先代ティアナだが、新型はむしろ無難に日産セダンモデルに共通のテイストで仕上げられた感あり。シートも「モダンリビング」を謳った先代ティアナのデザイナーズチェア風から、すっかり「自動車的」になった。着座感は日産のセダンらしく低めで、要するに昔ながらの「クルマ」らしいドライビングポジションとなっている。ヒップポイントも先代より少し下がったようだ。

先代で好評だったという助手席の電動オットマンを引き続き採用(エントリーグレードの「250XE」を除く)。実際に使ってみると相変わらず体の収まりが良くなく、足の置き場にも困る装備だが、購入時に奥さまの同意を得るのには有効なのだろう。

フカフカの3層構造シート

シートの「ソファ」感は前席よりむしろ後席で味わえる。先代のリアシートはどちらかというと見た目(シート形状のカッコよさ)重視で、座り心地は「?」という感じだったが、今回のものは正反対。シート形状こそ普通だが、3層構造の振動吸収ウレタンを使ったそのクッションは、マシュマロのようにフワフワ。昔の日本車のようなまったくコシのないフワフワではなく、かといって最新のフランス車(たとえばルノーの現行ラグナあたり)のようなグミみたいな座り心地とも異なる。あえて言えば70年代から80年代くらいのフランス車風だ。引き続き採用されたパールスエード表皮の風合いも良く、イタ車のアルカンタラあたりに引けをとらない。セダンのリアシートでも個性で勝負する、という意気込みが伝わってくる。

エアバッグは上級・主力グレードで4エアバッグ(前席フロント×2、サイド×2)が標準となるが、カーテンエアバッグは全車4万7250円のオプション。当然ながら3点式シートベルトは5人分備わる。

トランク容量は最大級

トランク容量はセダンで最大級の506L。マルチリンク式サスの出っ張りは多少あるが、ゴルフバッグなら4つ、スースケースなら2個収まるという。アームレスト貫通式のトランクスルーもあり。ただし後席の背もたれは倒れそうで、倒れない。床下にはテンパースペアタイヤが収まる。

基本性能&ドライブフィール

トルクは細めだが快適至極。街乗りでは何の不満もない

2003年デビュー時に試乗した初代は3.5リッターV6のCVT車だったが、今回試乗ったのは新型の看板モデルとなる新開発2.5リッターV6モデル(185ps、23.7kgm)+CVTの「250XV」。初代ティアナに比べて、エンジンと変速機の両面で大きく進化しているのが特徴だ。

排気量アップのおかげでトルクは増強されているが、走り出した直後の第一印象は「意外と線が細いな」というもの。1シリンダーあたりの排気量が小さめの2.5リッターV6にCVTという組み合わせがそう思わせるのか。とはいえパワーは十分で、CVTの変速制御も臨機応変。操舵感もFR要らずの滑らかさと思ったら、やっぱり油圧パワーステアリングだ。6点式エンジンマウントや入念な制振・遮音対策で静粛性も高く、乗り心地もたいへんいい。

そんな感じで街中では、不満のない(刺激もない)運転感覚に終始する。215/55R17タイヤを履く試乗車の場合、最小回転半径は5.7メートルとやや大きいが、205/65R16の主力グレードなら5.3メートルと小さいし、クラウン同様のボディサイズで狭い裏道でも何とかなる。さらに工場装着オプションのカーウイングスナビ付なら、例のサイドブラインドモニターやバックビューモニターが死角をカバーしてくれる。

穏やかな安定志向が基本。Sモードで激変。

マニュアルモード付きの「CVT-M6」は3.5リッター車のみで、2.5リッター車のシフトレバーは単純なストレートタイプ。ワインディングでペースを上げる時は、シフトレバー横のボタンを押してスポーツモードにするしかないが、そうするといきなり回転が跳ね上がり、サウンドも期待以上に勇ましくなる。要するに追い越しをかける、あるいはエンジンブレーキが要るといった時にピンポイントで使うモードのようだ。

操縦性は安定志向で、ステアリングもスロー。特に17インチ仕様は挙動らしきものがほとんど出ず、クルマ任せで走るしかない。この250XVの場合、6万3000円のオプションとなるVDC(試乗車には未装着)は、あるに越したことはない装備だが、よほどの状況に陥らないと作動することはないように思えた。

100km/h巡航は1800~1900回転といったところ。淡々と流すだけならどうということもないが、さらにハイスピード域では新型プラットフォームのフラットで滑らかな乗り心地がしっかり味わえる。スカイラインの2.5リッターあたりから乗り換えても、快適性や走りの質感にそう不満はなさそうで、ひょっとすると同乗者にはこちらの方が快適かもしれない。

試乗燃費は約7.8km/L

今回はトータルで214kmを試乗。車載平均燃費計による試乗燃費は7.8km/L~8.0km/Lあたりで推移し、最終的に7.8km/Lとなった。落ち込みが少ない一方、アクセルの踏み込みに気を使ってもあまり伸びず、走行パターンによるブレは少ないという印象。2.5リッター車の指定燃料はレギュラーであり、タンク容量も70Lあるから航続距離は長そうだ。10・15モード燃費(車重1520km未満の標準仕様)は12.0km/Lとある。

ここがイイ

体に触れる部分の気持ちよさ、相変わらずカーウイングス、内装、快適性

ステアリングは革とウッド調のコンビだが、どちらの素材も滑り具合が同じで、キャスターアクションで戻るときに手を滑らせても違和感がない。こういう2素材のステアリングの多くは、革の方が滑りがよく、ウッド部分は手に張り付くような感触となるのだが、同じ滑り方なのでとても扱いやすい。ウッド調パネルも触れるとしっとりとした感触で、これまた気持ちいい。

シートの当たりの柔らかさも絶品。包み込むような感触だが、おしりはちゃんと落ち着くし、柔らかいのに乗っていても疲れなかった。ついにルノーのシート作りが日産に引き継がれたか、のように思える。そしてリアシートがさらに気持ちいい。体に触れる部分の感触が気持ちいいことこそ、このクルマ最大の利点だ。

相変わらずカーウイングスナビの操作感がなかなか快適。操作パネルに45度程度の角度がついているのが日産車のいいところ。むろんタッチパネルにもなるが、やはり操作は固定ボタン(あるいはリモコン)の方が押し間違いも少なく、使いやすいと思う。もちろんディスプレイはインパネ最上部(メーターより微妙に上方の位置)にあるのが素晴らしいし、サイドビューモニターも用意されている。オーディオ操作部はセンターコンソール中段にあって、ナビから独立しているのも使いやすい。

300万円前後のセダンとして説得力のある内装の雰囲気と居心地のよさ。快適性や静粛性はファミリカーとしては最高レベルだろう。ドライバーにとっては滑らかな操舵感も嬉しい部分だ。燃費も飛び抜けて良いわけではないが、1.5トンクラスのV6エンジン車としては納得できるレベルにある。幅が1.8mを切るのも見識だ。

いきなり2000回転ほど跳ね上がるSモードは変速の楽しみこそないが、ちょっとしたワインディングを走る場合は、それまでのおとなしい走りとは全く違って、気分を高揚させてくれる。回転が落ちないので力強くスポーティな感覚が持続するのだ。あくまで感覚であって実際に速いわけではないのだが。

ここがダメ

メーターの質感、MTモードの不備(2.5)など

運転席から白基調の内装とつや消しウッド調のパネルを見ているとなかなかリッチな気分なのだが、メーターだけはかなり安っぽく見える。トヨタのオプティトロンなどと比べたら10年前の物という感じ。メーター外周のリング部分が妙にプラスチッキーなのが原因だと思う。また、素晴らしいシートだが、座面前部がもうちょっと下がると小柄な人が好みのポジションを取りやすいはず。

今時、2.5リッター車にマニュアルモードがないのはやはり残念。スポーツセダンではないし、ユーザーの要望もないから不要と言われればそれまでだが、大人しく淡々と走るか、いきなりSモードでギンギンに走るかの両極端しかないのは、やはりどうかと。せめてノーマルとスポーツモードの中間くらいの設定がもう一つあればと思った。

オーディオが今時CF(コンパクトフラッシュ)カード対応であること。最低SDカード対応でないと。またUSBスロットもない。音楽データ供給用とまでは言わないが、携帯電話の充電にも便利なUSBスロットは今や必需品。せめて別に12Vソケットでもあればいいのだが、蓋付きのシガーライターしかない。

総合評価

海外市場の恩恵で

セダンには分かりやすいヒエラルキーがある。大きくて立派であるほど、乗る人のステイタス、というよりお金の有り無しを示すわけだ。日本でも高度成長期には、みな競い合ってステイタスの象徴であるセダンを買い求めたもの。「となりのクルマが小さく見えます」というCMが人々の心を捉えたように、高級車への上昇志向が日本の成長を支えてきたことは間違いないだろう。しかしここ10年ほどで、クルマがステイタスを象徴するという考え方は日本ではどんどん衰退し、それに伴って日本の社会自体もなんだか弱くなってしまったように感じられる。

その点、オリンピックに湧く中国は今まさに高度成長期にあり、人々の感性もかつての日本のようだ。お金があれば高級セダンに乗れるという分かりやすい図式は、市場経済の活力の元だろう。それゆえティアナのようなちょっとした高級車が彼の地ではよく売れるわけで、そうなると小さな日本市場などマーケティング的には今後も振り返られることなどなくなってしまう。そして中国用のクルマのおこぼれが日本市場に投入されるわけだ。今回のティアナはまさにそういうクルマ。月1000台ほどしか売れないクルマが独自開発されるわけはないので、日本人は海外市場の恩恵でしか今後もこういうセダンに乗れない、という現実となっていく。ホンダのインスパイアあたりもそういうクルマだ。

立ち位置はもはや輸入車

また日本ではセダンにスポーティさを求める人が多い(とされている)から、こういう快適さを前面に押し出すセダンは、特に日本市場のためだけには作られにくい。実際ティアナのシートの心地よさといったら、まるでかつてのフランス車。その昔、シートのよさを求めてフランス車を買っていた好事家は多かったが、そういう人は今、へたなフランス車よりティアナを買うべきだ。日本で売られているクルマの中で(フランス車を含めても)間違いなく一番かつてのフランス車っぽいのだから。ライバルの多い中国で個性を打ち出すにはこれくらいしないといけない、というのが、結果としてよい方向に出ていると思う。

つまりはこのクルマ、その立ち位置はもはや輸入車ではないだろうか。しかし日本製ゆえ価格は純粋な輸入車よりも、うんと安い。つまり日本でセダンヒエラルキーにとらわれることなく、真に快適な高級セダンが欲しいと思ったときには、とてもいい選択肢だと思う。その意味でティアナは、「スポーティな」日本製高級セダンというレクサスの対極にある選択肢と言える。ティアナは「快適な」日本製高級セダンなのだから。

昨今、セダン購入を検討するだろう中高年には、まだセダンヒエラルキーの意識が残っていると思うので、当然2リッター以下のクラスでは満足できないはず。とはいえ、そこでレクサスを買う人ばかりではないだろうから、つい「売れ筋のクラウン」「無難なマークX」「走りのスカイライン」あたりにいってしまうのだが、ここは変なヒエラルキー意識はすっぱり棄てて、この超快適側へ振られた「ティアナ」を選びたい。どのクルマを買ったって今の日本で誉めてくれる人などいない。それより個人的な幸せを噛みしめるカーライフを選択した方がいいのではないか。

試乗車スペック
日産 ティアナ 250XV
(2.5リッターV6・CVT・326万5500円)

●初年度登録:2008年6月●形式:CBA-J32 ●全長4850mm×全幅1795mm×全高1475mm ●ホイールベース:2775mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):1540kg( 960+580 )●乗車定員:5名●エンジン型式:VQ25DE ● 2495cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:85.0×73.3mm ●圧縮比:9.8 ● 185ps(136kW)/ 6000rpm、23.7kgm (232Nm)/ 4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/70L ●10・15モード燃費:11.4km/L ※オプション装着により車重1520kg以上の場合。標準仕様(1510kg)の場合は12.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 マルチリンク ●タイヤ:215/55R17 ( Dunlop SP Sport 270 ) ●試乗車価格:345万4500円( 含むオプション:バイキセノンヘッドランプ+アクティブAFS 3万1500円、プライバシーガラス 3万1500円、スタイリッシュガラスルーフ 12万6000円 )●試乗距離:220km ●試乗日:2008年7月 ●車両協力:日産プリンス名古屋販売会社 http://www.nissan-prince-nagoya.co.jp/

 
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