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三菱 トッポ M新車試乗記(第529回)

Mitsubishi Toppo M

(0.66L・4AT・105万円)

復活(復刻?)した軽トールワゴン、
「やっぱこれだね~、三菱のトッポ」に試乗!

2008年10月10日

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キャラクター&開発コンセプト

「eKワゴン+先代トッポBJ」ベースで約4年ぶりに復活

2008年9月17日に発売された三菱の「トッポ」は、室内の広さを売りとした新型軽乗用車。軽でダントツの売れ筋であるトール系のモデルであり、スズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴがライバル車となる。

メカニズム的には、パワートレインとプラットフォームがeKワゴン譲り、ボディ後半は先代トッポBJ(1998年)譲りとなる。トッポBJの販売は2004年頃に終了しており、今回は車名ともどもボディ自体も約4年ぶりに復活したわけだ。

なお、トッポは1990年に「ミニカトッポ」として登場。これはその名の通り普通のミニカをベースに、天井だけを高くしたモデルだった。1998年には新軽規格で「トッポBJ」が登場したが、これも基本的には当時の新型ミニカがベースだ。ちなみにロッテのチョコレート菓子「トッポ」シリーズは、1994年の登場である。

販売目標台数は月間2000台。これは三菱軽の大黒柱であるeKシリーズ(月間目標6000台)の1/3に相当する。

■ロッテ>商品情報>トッポシリーズ

価格帯&グレード展開

販売主力は105万円の「M」

エンジンは直列3気筒NA(50ps。6.3kgm)とターボ版(64ps、9.5kgm)の2種類。グレードは基本的に4段階で、一番安価な「S」のみが3AT。中間の「M」と「G」、最上級のターボ車「T」が4ATとなる。4WDは12万6000円高だ。

「S」は見た目も装備もあまりに簡素なので、販売主力はこの「M」、もしくは14万7000円高でディスチャージドヘッドライトとABSが標準装備される「G」だろう。

さらに上位グレードの「G」と「T」には、メッキグリルやエアロパーツ等で武装される「ローデスト(Roadest)」の設定がある。ダイハツでいうところの「カスタム」だが、トッポローデストの場合は架装後の持ち込み検査による登録となる。

■トッポ S     3AT  93万4500円
トッポ M    4AT  105万円 ※今週の試乗車
■トッポ G     4AT  119万7000円 ※ディスチャージドヘッドライト、ABS
■トッポ T     4AT  132万3000円 ※上記+ターボエンジン

■トッポ G Roadest  4AT  133万8750円 ※ディスチャージドヘッドライト、ABS
■トッポ T Roadest  4AT  144万3750円 ※上記+ターボエンジン

三菱の現行ラインナップをおさらい

三菱における軽の現行ラインナップは、「eKワゴン/eKスポーツ」、「トッポ」、「 i 」、「パジェロミニ」、「タウンボックス」、そして4ナンバーの商用車として存続する「ミニカ」、「ミニキャブトラック/ミニキャブバン」と多種多様である。また、日産向けにeKワゴンを「オッティ」、パジェロミニを「キックス」、タウンボックスを「クリッパーリオ」、ミニキャブ系を「クリッパー」としてOEM供給している。

パッケージング&スタイル

背の高さはワゴンR以上、パレット未満

ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1680mm。全高を競合車と比較してみると、ダイハツ・ムーヴ(1630mm)<ダイハツ・ムーヴコンテ(1645mm)<新型スズキ・ワゴンR(1660mm)<三菱トッポ(1680mm)<スズキ・パレット(1735mm)<ダイハツ・タント(1750mm)という順番になる。つまりトッポとしては、ワゴンRやムーヴに加えて、自社に直接の対抗車がないタントやパレットも相手にしなくてはいけない。この広い守備範囲のど真ん中が1680mmというわけだ。

設計年次が表れるホイールベースの短さ

先に書いたように、Aピラーから後ろのキャビン部分は先代トッポBJそのもの。ボディ外板やドアパネル、テールゲート、ウインドウ類はほぼそのままの流用だ。プラットフォームはeKワゴンベースだが、ミニカ/トッポBJ時代からホイールベース値は同じ2340mmなので、親和性は高いのもしれない。

なお、そのホイールベースも、軽で「自由に決められる」数値の一つだが、こちらは、三菱トッポ(2340mm)<スズキ・ワゴンR/パレット(2400mm)<ダイハツ・ムーヴ/ムーヴコンテ/タント(2490mm)と、最新の軽に大差を付けられてしまっている。特にダイハツとの150mmもの隔たりは、普通車で言えば2クラス分に相当するものだ。長ければイイとは言わないが、パッケージング面で大きなハンディとなるのは否めない。

インパネはeKワゴン。便利な小物入れの数々

センターメーターのインパネは、2006年にビッグマイナーチェンジしたeKワゴンと同じもの。今回の試乗車はベーシックな「M」グレードで質感は今ひとつだが、実用本位の軽自動車として考えれば、こんなところだろう。

メーター視認性やインパネシフトの操作性は良好。運転席の座面と一体化されたドリンクホルダー、ステアリング奧のカードホルダー、足下の「プチごみ箱」、そのほか無数の小物入れも使いやすい。いかにも生活密着型という使い勝手になっている。

なお、新型トッポには不審者等が他のドアから乗り込まないよう、キーレスで開錠できるドアを運転席に限定できる機能が全車に備わる。1回押して運転席ドア、2度押しで全ドアという仕組みだ(通常のモードも可能)。要不要はともかく、この機能はカージャックのリスクが高い米国では常識的なものだ。

Aピラーから始まる空間はトッポBJそのもの

「軽乗用車クラス最大の1430mmの室内高」というのが、新型トッポのキャッチコピーだが、必要十分な広々感と室内寸法のある空間は、むしろ「無駄に広くない」といった印象。ベルトラインが低いせいもあって、大きなサイドウインドウからの眺めはまるで低床バスのようだ。

言うまでもなく、全体のパッケージングは旧トッポBJそのものだが、最新の軽自動車に決定的に劣っている感じはしない。むしろ殺風景な雰囲気や黒っぽい内装色しかないことの方が気になった。

リアシートの座り心地も不満のないもの。スライド機構や背もたれを倒した時の沈み込み機能といったものが座面下にないがゆえに、クッションの厚みはしっかり確保されている。また、上の写真のようにシートをフラットにすることも可能だ。当然、フロントシートを前に出したり、ヘッドレストを外したりといった手間は掛かる。

荷室アレンジもごくオーソドクス

荷室の作りもごく普通で、拡大時にフラットになることを優先したもの。床下収納スペースを設けてフロア地上高を嵩上げし、リアゲート敷居から倒した背もたれまで、高さを揃えている。テールゲートはもちろん先代トッポBJから流用した横開き式だ。

 

ベルクロで固定する床下収納ボックスの下にはテンパータイヤが収まる。もうそろそろ、安上がりで、軽くて、場所も取らないパンク修理キットでいいと思うのだが……。軽ではスズキ・パレットがすでにそうなっている。

基本性能&ドライブフィール

パワーはないが、走りは自然

試乗したのは販売主力と思われる下から2番目の「M」(105万円)。エンジンは三菱の軽でおなじみの自然吸気・直列3気筒「3G83」型(50ps、6.3kgm)で、変速機は4AT。車重はeKワゴンと大差ない840kgだ。

乗った印象は、いかにもスタンダードな軽自動車のもの。4ATのおかげもあって、2001年デビュー当初のeKワゴン(3AT車しかなかった)のような非力感や走りの質感不足はなく、マイナーチェンジ後のeKワゴンと同等の、不満のない走りを見せる。むしろCVTのようなベルトノイズがない分、エンジンを回さずに済む60km/hくらいまでなら静かだ。

もちろん、エンジンはシングルカムの50psに過ぎないから。加速時にせっかちなアクセル操作をすれば、3速から2速、あるいは4速から3速へとキックダウンする。高回転型でないのはむしろ評価できるが、設計にしても各種性能・特性にしても、もはやエンジンの古めかしさはやはり隠せない。

硬めの足と低重心で、操安は割としっかり

当然サスペンションもeKワゴン譲り。セッティングははっきり硬めで、舗装の荒れた路面では、けっこう揺すられるが、重心の低さも手伝ってか、この手のトール型軽にありがちなグラグラ感がまったくないのはトッポの意外な長所だ。タイヤは155/65R13としっかりしたサイズで、コーナーにブレーキを残しながら入ってゆく、なんてことも不安なく出来る。これでABSが全車標準なら良かったが、試乗した「M」は未装着(3万6750円のオプション)。試乗した日は大雨にたたられ、久々に新型車でブレーキングアンダーを経験した。そんな状況でもリアはけっこう安定している。

最高速は先日のムーヴコンテ同様、120km/hまではすぐに到達。さらにアクセルを床まで踏み続ければ130km/hくらいまでじわじわ伸びるが、50psゆえに本当にじわじわ。この領域でもけっこう安定していて、巡航に徹すればそれほどうるさくはない。

4ATでも実燃費はCVTに遜色ない?

今回は約170kmを試乗。いつもの試乗区間(約84km)では約7リッターを消費し、試乗燃費は12km/Lとなった。区間距離が短いのであくまで参考値ではあるが、これ以外に計測した区間でも正直なところ、他メーカーのCVT車に遜色ない印象を受けた。10・15モード燃費はCVTなら20km/Lオーバーが普通で、トッポの4AT車は18.8km/Lと特に優れてはいないが、こうなるとカタログの10・15モードだけ見て一喜一憂するのも、消費者としては考えものだ。当然、エンジン回転を低く抑えた走りができる高速巡航やエコランといった状況では、CVTの方が有利なわけだが。

ここがイイ

昔の良さが残っています

背の高さを感じさせない、しっかりした走り。4ATの自然で静かな走り。グラグラしないし、アンダーステアで安定している。そのほか、良い見晴らし、大きめのシート、乗り降りのしやすさ、などなど、昔の良さが残っている。言ってみれば昔のクルマの復活劇だが、日本のクルマ業界初の快挙とも言える。こういう作り方って今後はあっていいと思う。

ここがダメ

黒一色の内装

殺風景な内装。結局、売れるのは黒内装なのだろうが、もう少し明るめの内装色が欲しいところ。あるいは色気やワンポイントの華が欲しい。これでは、ぬいぐるみで埋め尽くしたくなる人の気持ちも分かるというもの。

他社のクルマでも毎回書いているので今回も書くが、とにかく今どき必要なのは何はなくとも平均燃費計だ。実燃費とかけ離れた10・15モード燃費の向上に血道を上げるより、単価数百円の平均燃費計を全ての新型車に付けるべき。またABSに関しても下位2グレードはオプションだが、やはり全車標準が望ましい。事故を未然に防ぐという点ではエアバッグよりも重要であり、実際にウエットで旋回ブレーキを踏めば簡単に前輪はロックする(トッポに限らず、ABS未装着の軽自動車はほぼ全部)。

細かいことだが、エンジンの掛かりが悪かったこと。スターターを少し長めに回してやるだけだが、もうちょっと始動性を良くしたいところ。

総合評価

草分けはトッポだった

タントの大成功以降、軽自動車には大容量トールワゴンとでも呼ぶべき新しいジャンルが登場した。ワンボックスとトールワゴンの中間という画期的に広いパッケージングは、寸法が限られる軽ゆえに生み出されたもの。これだとどうしてもちょっとユニークな外観デザインになってしまうが、それもファンシーさがある意味許されてしまう、軽というクルマゆえに成立してしまった。

しかし今のところそれを実現しているのは、力のあるダイハツとスズキだけで、他社はそこまで開発費をかけられないというのが実情だ。そんなおり三菱は、かつて生産していたトッポが実はこの分野の草分けともいえる存在だったことに気がついた。それが今回のトッポ復活の経緯だろう。

新しいトッポでも、ドライバーの頭まわりの開放感(というかスカスカ感)は、最新トールワゴンほどではないにしろ、確かにかなり確保されている。シートが低い分、人によっては乗り降りしやすいだろうし、走行安定性もなかなか。タントやパレットには走行安定性を確保するための苦労が忍ばれる部分もあるが、ベースが1998年登場のミニカにまでさかのぼれる新型トッポの場合、ほとんど問題はなかったはず。開発費をそうかけなくてもできてしまう、大容量トールワゴンというわけだ。

復活というより復刻だが、このご時世ならそれもあり

しかしこのトッポ、名前やコンセプトの復活などという概念的なものではなく、実際にトッポBJの復刻というか、再生産といえるのではないか。eKワゴンをベースに新型トッポを作ったということだが、外板パネルを見る限り、これはトッポBJそのもの。グリルやノーズ部分こそ新しいが、それ以外の外観はほぼ同じにしか見えないし、実際に流用されている。内装はむろんインパネやシートは変わっているものの、これらはeKワゴンのものだ。他はドア内張りのデザインまで、ほぼ昔のまま。走っても新味は感じられないが、それもさもありなんというところ。

日常的な移動体としては性能的に行き着いてしまった感のあるクルマ(特に軽自動車)ゆえ、ついにこういう新型?が登場したということなのだろう。いったんライン落ちしたクルマを、少しだけリメイクして復活させるという手法は、イケイケだった時代の日本車ではあり得ないことだと思うが、このご時世なら、それもありか。このトッポだって乗ってみて特に大きな不満はないのだから、このやり方は他でもやって欲しいくらい。そもそも日本のクルマはライフサイクルが短すぎたとも言える。一つのモデルを小改良しながら、ずっと売っていく、あるいは惜しまれつつ消えていった人気車を復活させるというやり方は、今後の一つの方法論だろう。それなら価格も引き下げることができるはずだ。

足りなかったのは初代トッポのインパクト?

トッポは価格も安い。軽は日々の足だから、もちろん安い方がいいのでこれは素晴らしい。性能にも、パッケージにも大きな不満はない。日々の足だからこれで十分。人が生きていくためのツール(田舎での軽はまさにそういうもの)としては、ものすごくOKなクルマだ。

しかし価格が安いとはいえ、100万円というお金はこのご時世、大金であるし、人によってはかなり清水の舞台モノのお金だろう。となると、どうせ買うならもうちょっと……とか、ヒットしてる人気車が……、なんて思うのが人の性。しかし残念ながらトッポは、そんな消費者心理を逆転させるほどの「イイモノ感」が演出できていない。ハードウエアの開発費は相当抑えられているはずだから、デザインとか内装の素材とかソフトウエアの部分を、なんとかがんばって欲しかったと思えるのだ。

例えば初代のミニカトッポ、あのクルマには強烈なインパクトがあった。座面からアイポイントまでの空間が、アイポイントから天井までにもう一階分ある、という感じで、今回の新型トッポよりさらに空間は広かった気がする。何なの、この無駄な空間は?と笑わずにいられなかったのだが、実はこの天井には、様々な物入れが用意されていた。当時のルノー・エクスプレスとかの欧州ハイルーフ商用車にもそうした天井収納があり、それに似ている(似せた)ということで、その頃は結構オシャレに見えた記憶がある。

新型トッポには、ぜひこういうあたりも復活(復刻?)させて欲しかった。機能的なオシャレさを演出できれば、軽自動車はまた別の商品性を持つのではないか。極論を言えば軽の場合、もう走りの性能なんかどうでもいい。すでにそういえるくらいの性能になっている。機能的に行き着いた商品を、演出だけで上手に売る「無印良品」的な展開ができれば、クルマにはまだ可能性が残されている。「復活」という禁じ手を解禁したトッポであるが、そんな無印良品的な潔さには、まだ至っていないのが、ちょっと残念なところだ。


試乗車スペック
三菱 トッポ M
(0.66L・4AT・105万円)

●初年度登録:2008年9月●形式:DBA-H82A ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1680mm ●ホイールベース:2340mm ●最小回転半径:4.4m ●車重(車検証記載値):840kg( 520+320 ) ●乗車定員:4名●エンジン型式:3G83 ● 657cc・直列3気筒・SOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:65.0×66.0mm ●圧縮比:10.2 ● 50ps(37kW)/ 6500rpm、6.3kgm (62Nm)/ 4000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L ●10・15モード燃費:18.8km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トルクアーム式3リンク ●タイヤ:155/65R13( Yokohama S-217F )●試乗車価格:-円( 含むオプション:- -円)●試乗距離:約170km ●試乗日:2008年10月 ●車両協力:中部三菱自動車販売株式会社

 
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