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三菱 トッポBJワイド新車試乗記(第68回)

Mitsubishi Toppo BJ Wide



1999年04月02日

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キャラクター&開発コンセプト

トッポBJの普通車仕様

軽自動車が新規格に移行することにともなって登場したミニバンタイプのトッポBJをベースに開発されたのがこの「トッポBJワイド」。手順は簡単。今は無き、パジェロJr.と同じ手法で、軽自動車ベースに1.1リッターエンジンを搭載し、大型バンパーやオーバーフェンダーを装着し、全長80mm、全幅145mm拡大。結果、5ナンバーとなり5名乗車を可能にしている。(軽のトッポBJは4人乗り)。軽自動車ならではの優れた取り回し性(最小回転半径4.6m。軽は4.4m)を受け継ぎながらも、660ccでは達成できない余裕ある走りを実現させている。なお、想定されるライバルはトヨタ・ヴィッツ、日産・キューブあたりとなる。

価格帯&グレード展開

軽トッポBJのターボ版よりも安い126.7~140.7万円

1.1リッターエンジン搭載車のみで、装備の違いによるグレードもない。選択肢は2WDと4WDのいずれかとなる。価格は2WDが126.7万円、4WDが140.7万円。ちなみに64馬力のターボ仕様トッポBJ「R」(4AT)は2WDが131.6万円、4WDが143.9万円となっており、ワイドの割安感が伺える。とはいえ、はじめからリッターカーとして専用設計されたヴィッツは一番高くても128万円(5ドア・U・4AT)。実質的には値引きの差でトッポがかなり安くはなると思うが、はたして・・・。

パッケージング&スタイル

中身は軽自動車のまま

トッポBJをベースに、前後バンパーを大型化し、オーバーフェンダー、サイドモールディングを装着。結果、全長80mm、全幅は145mm拡大され、全長3450mm×全幅1555mm×全高1710mmの5ナンバーサイズとなっている。当然、ホイールベースは変わらず2340mmのまま。前後トレッドが15mm拡大され、それにともなってタイヤも13インチから14インチに変更されている。

デザイン的には、角のとれたバンパーとオーバルデザインのヘッドライトの採用により、カクカクのオリジナルBJよりも幾分、マイルド。宇宙警備隊が乗るようなマンガチックな顔立ちが特徴だ。なお、新型の三菱車に採用される新・衝突安全強化ボディ「RISE(ライズ)」はオリジナルBJと同じく、継続採用されている(同じボディだから当たり前か)。

好評のガラスハッチは受け継がれず。乗車定員は1名アップ

photo_3.jpgボディ外板をチョコチョコといじっただけだから、室内スペースは軽自動車のまま。室内長1715mm×室内幅1220mm×室内高1425mmとなる。とはいえ法規上、軽自動車の枠からは外れているので、乗車定員が5名になっているのは便利ではあるが、法制度に疑問が残るところ。

インパネやシートもオリジナルBJの流用だが、内装色はグレー&ブルーから落ち行き感のあるベージュに変更し、ダッシュには起毛した生地の布が貼られて差別化を図っている。収納スペースも豊富で、ダッシュ上部のリッド付きセンタートレイ、天井に設けられたオーバーヘッドコンソールなど、オリジナルBJと同じ24個ある。ただ、軽にはあったガラスハッチが採用されていないのは、コストのせいとは思うがちょっと納得できないところ。

天井だけ持ち上げた圧迫感とは全く無縁の広い室内は、頭上空間が無駄すぎると指摘されているようだが、これがトッポBJならではの魅力と解釈したい。確かにシートに腰をおろした場合、何となく心寒い気分? というか、落ち着かない気分になるが、実際には空間はあって悪くはない。確かに広いし、背の高い荷物でも倒すことなく積載できるので、商用目的のユーザーにも満足してもらえるだろう。

基本性能&ドライブフィール

1.1リッターで、理想的な走りに

エンジンはパジェロJr.に搭載されていたものと基本的に同じで、最高出力78PS/6000rpm、最大トルク10.5kgm/4000rpmを発生する1.1リッター直4SOHCを搭載している。足回りの基本設計はオリジナルBJと同じ。トランスミッションも同じ4速ATで、ギア比も同じもの(ただしファイナルは違う)。

以前、50馬力仕様のトッポBJに乗ったことがあるが、トルクの出方は上々で非常に扱いやすかったということを覚えている。でもそれはあくまでも「軽自動車としては」という前提のもとでのハナシ。ワイドはこのオリジナルBJの最大トルクを倍近くに太らせているだけに、余裕のある加速をみせ、軽快に走らせることができる。64馬力仕様のハイパー軽のようなかっとび感はなく、低回転重視の扱いやすい特性に仕上げているのも好感が持てる。10・15モード燃費は64馬力仕様BJの18.2km/lに対し、16.0km/lと劣っているが、実走燃費は逆転とまではいかないまでも、かなり差は縮まるだろう。

タイヤのせいか意外にしっかりした足回り

ステアリングの操舵感は非常に軽い。これはオリジナルBJもそうだったが、中立付近の反応ももちろん鋭くはない。コーナーではロールは大きめで、いうまでもなくワインディング向きではないが、かなり安定感は向上している。165/65R14という太いタイヤが功を奏していると思う。軽は155/70R13だが、軽もこのタイヤならかなり走りの印象が違うだろう。また乗り味も全体的に落ち着いたものになっているが、どこまでも軽自動車っぽい感じがしてしまうのは否めない。特にヴィッツなどと比較するとその差は歴然だ。それに高回転域まで回さなくてもエンジン音がちょっと大きい。やはりもとが軽自動車では、遮音対策は難しいのだろうか。

軽と違った大きなメリットが高速巡航だ。最高速は150km/h以上出るので、全く引け目を感じることなく流れに乗って高速道路が走れる。軽ターボは140km/hも出ないのでここ一番の時にどうしても頼りないが、これなら文句なし。直進性も悪くない。ただ、風切り音はかなり大きいので、100km/h以上あまり出そうと思わないが。もちろん合法的に100km/hで走れるのもうれしいところ。まあ、軽の速度引き上げは来年にも実施されそうではあるが。

ここがイイ

シート高が前後とも実に乗り降りしやすい高さ。視点もミニバンほどでないにしろやや高めで、街乗り車としてはマル。リアの足元はそう広くないが、頭の上が前席までがらんどうなので、軽のリアシートとは思えない広々感がある。シフトのスケジュールもいい。三菱車は、特に小型車ではキビキビ感を出そうと、ショックをともなって頻繁にシフトダウンすることがあるが、このクルマは穏やかでトルクフルな走りだ。

ここがダメ

前述のようにいくつかウィークポイントはあるが、こういうクルマなのでダメときつくいうべきところはない。これで軽だったら100点なんだけど、と思ってしまうのがダメな点かも。

総合評価

photo_2.jpg新規格軽がやれなかった唯一のポイント「エンジン」を理想的なものとしたクルマなので、もし軽として売れるのならカーオブザイヤーを与えてもいい。しかし、悲しいかな小型車であり、強力ライバルがひしめく中ではやや色を失いがち。特にこのクルマをファーストカーにする人は多くないはずで、セカンドカーであれば軽の優位は揺るがない。軽と小型車を廃車までのランニングコストでシビアに比較すると、あまり大差ないと思うが、実際に軽をセカンドカーとして持つと、保険や自動車税の支払い時には、体感的にはその差を大きく感じてしまうものだ(自動車税はファーストカー約4万円+BJワイド約3万円の7万円だが、軽なら5万円もかからない)。また純粋に小型車としてみると、やはり専用開発車より弱い点も多く、室内も横方向の余裕がもう少し欲しくなってしまう。

とはいえ経済性をシビアに考えないのなら、軽ターボを買うより断然オススメ。ある種、理想のシティコミューターであり、独身者ならこれ一台で何でもできる(ロングドライブを含め)。

公式サイト http://www.mitsubishi-motors.co.jp/

 
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