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VW トゥアレグ V6新車試乗記(第283回)

Volkswagen Touareg V6

(3.2L・6AT・495万円) V6

 

2003年09月06日

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キャラクター&開発コンセプト

シャシーと駆動系はポルシェ・カイエンと共有

現在、米国市場で成功するための一番手堅い商品が、高級SUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)。ブランドイメージを高めるべく、高級化とフルライン路線を推し進めるVWにとって、同セグメントへの進出はマーケティング上の必然。ゴルフやニュービートルといった人気モデルに、魅力的な上級車種が加わった時の相乗効果を予想するのは難しくない。

トゥアレグはそうした事情から開発された5人乗りSUV。日本では2003年7月7日に発表、9月2日に発売された。プラットフォームと駆動系はポルシェ・カイエンと共有。ともに多板クラッチ式・電子制御フルタイム4WDとアイシンAW製・6速ATを搭載する。エンジンはそれぞれが自社開発。トゥアレグの名は、サハラ砂漠の遊牧民(トゥアレグ族)に因む。

一粒で3度おいしい 「3 cars in 1」

カイエン同様、高いオンロード性能とオフロード性能、高級車並みの快適性がセールスポイント。VWはこれを 「3 cars in 1」 と呼ぶ。トゥアレグの場合は、ポルシェよりはるかにリーズナブルな価格、そして日本全国に245店舗あるフォルクスワーゲン・ディーラーで買えることも大きなメリットだ。さらにディーラーでは「トゥアレグ・ビジネス・スキーム」なる特別な顧客サービスを導入。3年間・5万kmまでの無償メンテナスなどを行う。

初年度の販売目標は800台。欧州に続いて5月から発売された北米(米国・カナダ)では好調なスタートを切り、2003年中に2万台以上を販売する見込みという。世界全体としては年間6万5000台という量産車だ。その半数が北米向けとなる。

価格帯&グレード展開

V6(495万円)とV8(645万円)

グレードはV6(495万円)とV8(645万円)の2種類。カーテンエアバッグ、キセノンヘッドランプ(ハイ&ロー)などを両グレードに標準装備。860~1250万円もするカイエンはもちろん、ライバル車と比べてもかなりリーズナブルな価格だ。

V6では電動レザーシートやウッドパネルがオプション(36.5万円)になるが、150万円高のV8では、約3~4割増しのパワーに加えてそれらを標準装備。予算に余裕があればV8を選びたくなる。エアサスはV8のみのオプション(28万円)。電動サンルーフは両グレードにオプション(12万円)となる。

V型10気筒ターボディーゼルが看板

海外では驚異的なトルクを誇るターボディーゼル・5.0リッターV型10気筒「TDI」エンジン(313ps、76.5kgm!)と2.5リッター直列5気筒TDIも用意される。アメリカでの販売価格はV6で3万4900ドル~、V8で4万700ドル~(それぞれ1ドル:120円として、約420万円と約490万円)。この価格はそうとう競争力があるはずで、現地の日本製SUVにとっても脅威だ。

パッケージング&スタイル

迫力はトゥアレグの勝ち

ボディサイズは全長4755mm×全幅1930mm×全高1730mmで、ポルシェ・カイエンSより45mm短く、20mm狭く、30mm高い。ホイールベースはカイエンと同じ2855mm。つまり大差ないが、見る角度によって印象は大きく異なる。特に前から見た時の迫力は間違いなくトゥアレグに分がある。911譲りの顔を持つカイエンは、これに比べると押し出しに欠けるとさえ言える。総じてトゥアレグは、寸法にモノを言わせた存在感とフォルクスワーゲンらしい地味なデザインがうまくバランスしていると思う。このあたりは、実物を前にするとよく分かるところだ。

 

一方、横からのスタイルは2車が双子であることを如実に表す。よく見ると前後ドアは共通。クロームのモールの入れ方もよく似ており、このあたりはトゥアレグ・オーナーにとってはひそかに嬉しく、カイエン・オーナーにとっては複雑なところか。

VWクオリティ

横幅が1930mmもあるので、前席の広さは十分。印象はカイエンと大きく異なる。最近のポルシェに共通する上質感を重視したカイエンに対して、トゥアレグは緻密な仕上げとメカニカルなスイッチで「機械感」を訴える。

各部の造りはまさにフォルクスワーゲン/アウディのものだ。試乗車はV6標準の布シートだったが、革シート/ウッドパネル(V6はオプション、V8に標準)が付くと、また違う雰囲気だろう。細かいことだが、天井のサングラスホルダーの「ねじりバネ」は、カイエン同様にやっぱり露出する。

やっぱりリアゲートに手が届かない

後席の広さも十分だが、シート形状は平板。サイズの割にゆったり感は少ない気がした。中央のヘッドレストは左右と同じ大きさのもので、後方視界を大きく遮る。普段は外しておくことになるだろう。

 

荷室容量は555~1570リッター(コイルサス仕様)。後席はゴルフと同じダブルファンクションで畳む。カイエンほどではないが、全面跳ね上げ式リアゲートを閉めるときは、小柄な人では手が届かない。ガラスだけの開閉も可能だが、こちらもやっぱり手が届かない。ラゲッジの使い勝手の悪さは残念な部分。欧米にも小柄な人はたくさんいるはずだが…。

基本性能&ドライブフィール

3.2リッター・狭角V6

試乗したのは495万円のV6。3.2リッターV型6気筒(220ps、31.1kgm)は、ゴルフの高性能バージョン「R32」に積まれたバンク角15度の狭角V6エンジン。それをDOHC化しながら、少しデチューンしたものだ。

「バンク角15度のV6」というと想像できない人も多いと思うが、直列6気筒の各気筒を少しずつずらしたもの、と考えると分かりやすい。もちろん、直6よりコンパクトに出来る。トゥアレグへの搭載にあたってはオイルパンの形状変更と耐水性の向上が施されたという。ちなみに5バルブ・4.2リッター・90度のV8(310ps)は、アウディA8に採用済みのもの。カイエンのV8(340ps)と直接の繋がりはない。

V6でもよく走る

車重は2240kg。カイエンの記憶が残ることもあって「V6では力不足かな」と思いながらステアリングを握ると、これが予想以上によく走る。V8の後に乗ると物足りないと思うが、V6だけの試乗なら不足は感じないはず。少なくとも旧来のクロカン四駆系より軽快に走るし、静粛性も高い。発表されている最高速は197km/h。カイエンSの242km/hからすると見劣りするが、実用上は十分な性能だ。設計速度が270km/hというシャシーは、高速走行時に余裕を感じさせるはず。とは言え、しゃかりきになって飛ばすタイプではない。走りのキャラクター的には、カイエンとボルボ・XC90の中間あたりの感じを受けた。

アイシンAW製の6速ATの変速マナーはほとんど完璧。マニュアルモードでパドルシフトした時の変速も素晴らしく速い。ただし右側アップ、左側ダウンの固定式パドルは寸法のせいか形状のせいか、やや操作しにくかった。

カイエンの足が欲しい?

操縦性はカイエンとはかなり印象が違った。「シャープ」という言葉が使えるカイエンに対して、トゥアレグの動きはもっと常識的。割にロールするタイプで、ステアリングを切った時の反応もおっとり。パワステの設定も軽めで、接地感も少ない。タイヤはカイエンSと同じブリヂストン製のオンロード用18インチ(Turanza ER30)で、プラットフォームもサスペンション形式も同じ。つまり、スプリング/ダンパー、ブッシュ、ステアリング系、そして4WDと電子制御デバイスのセッティングがこの差を生み出しているわけだ。カイエンのスポーティなハンドリングを知ってしまうと、多少乗り心地を犠牲にしてもカイエンS仕様の足にしたいと思う人は出てくるだろう。

乗り心地はスポーティなカイエンでも良かったから、トゥアレグでも悪いはずはない・・・のだが、カイエンでは「ポルシェ製」という意識が足の固さを許す方向に働いたせいか、トゥアレグでは逆に乗り心地の固さを何となく感じてしまった。とは言え、これはゴルフでおなじみの「定評ある固さ」と言えるかもしれない。

オフロードを試す機会はなかったが、トゥアレグのフルタイム4WDシステム「4XMOTION(フォー・エックス・モーション)」は、名前こそ違えどカイエンの「PTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント)」とほぼ同じもの。違いは通常走行時の駆動配分がカイエンの前後38:62に対して、前後50:50になることや、細かい制御プログラム。いずれにしても配分は0:100~100:0で状況により変化する。本格オフロード走行に備えてローギアモードも持つ点も同じだ。非エアサス仕様でも水深500mm、エアサス仕様なら580mmの渡河性能を持つ。

ここがイイ

なんといっても価格の競争力。495万円とリーズナブルな価格は、感覚的にカイエンの半分。BMWのX5は599万円、ボルボのXC90が555万円、ホンダのMDXが485万円なので、装備を細かく見ずにパッと見だけなら「これは安い」となるはず。いずれにしてもカイエンはポルシェというだけにプレミアムな価格だ。性能比ならトゥアレグはお得なクルマと言っていい。

日本市場でもアメリカ市場でも、他車と比べて割安感があり、しかもドイツ的しっかり感をうまく体現している。つまりゴルフを乗用車のベンチマークと考えているような人にとっては、これからの時代の乗用車(SUVなどの新ジャンルのクルマ)のベンチマークとなり得るだろう。

とにかくV6でもけっこう走るので、495万円と絶対的には高価でも、ひとまず満足がゆき、新車購入の幸福感は得られるだろう。

ここがダメ

世の中はゴルフに満足できる人ばかりではない。トゥアレグは良くも悪くも、大きなゴルフといった印象ゆえ、プレミアム性とか、遊び心とか、驚異的な動力性能とか、乗る楽しさといったあたりがやや退屈。しかもゴルフなら乗用車型のスポーティな走りも楽しめるが、トゥアレグはオンロードのスポーツ性ではさすがにゴルフ並みとはいえないため、運転してて何となくつまらない感じはついて回る。V8ならパワフルな分、そうした印象は薄まるのかもしれないが。

標準オーディオの音はちょっと凡庸で、何とかしたいところだが、インパネは作りつけのため、社外品は購入しづらい。ナビも同様で、今のところオプションにも用意されていない。このところの社外ナビの進化を見る限り、これはかえって正解かもしれない。が、いずれにしても、このインパネにナビをスマートに収めるのは至難の業に思える。

本文でも書いたが、ATにはせっかくポルシェ同様のマニュアルモードがあるのだから、ステアリングスイッチが欲しい。パドルは左が└、右が┘という形で、├と┤じゃないから、ステアリングをやや切った状態だと指がかからないことがあって、思うようにシフトできなかった。ポルシェのステアリングスイッチの優秀さを知っていると、このパドルシフトは使いづらい。

総合評価

今回はオンロードでの試乗に終始したが、トゥアレグはカイエンと同様、高いオフロード性能を誇っている。我々は参加していないが、マスコミ向け試乗会では本格オフロードコースを走らせたようで、あちこちの試乗記がそのことを書いているようだ。そうした試乗会でもない限り、こんな高級車をオフロードで試す人はいないだろうし、オーナーとなってもオフロードへ乗り入れることは(少なくとも買ってしばらくは)ためらうに違いない。

しかしX5がオンロードの走りを、XC90がラグジュアリーさを強調するのに対し、トゥアレグはくそまじめにオフロード性能をうたう。アプローチアングル&デパーチャアングルは28~30度、最大傾斜35度、最大登板力45度、走行可能水深580㎜。ほとんどクロカン四駆並みと言っていいだろう。さらにローギアに加えて斜面をゆっくり上り下りできる電子デバイスHDA(ヒル・ディセント・アシスト)、オフロード用ABSにローギアのエンブレによる駆動輪ロックを防ぐEBC(エンジン・ブレーキ・コントロール)など、オフロード用電子デバイスもてんこ盛りで、クルマ任せで信じられないようなオフロードを走りきることができる。最高速200㎞/hが可能な快適オフロード四駆、というのは日本の10年前のオフロード車ブームでの夢だったが、それを現実にしたトゥアレグは、いつも書くことだがオンオフを問わない「夢のスーパーカー」だし、実際には使われない機能だとしてもライバルを凌駕する性能といってもいいだろう。

試乗車スペック
フォルクスワーゲン トゥアレグV6
(3.2L・6AT・495万円)

●形式:GH-7LAZZS●全長4755mm×全幅1930mm×全高1730mm●ホイールベース:2855mm●車重(車検証記載値):2240kg(F:1180+R:1060)●エンジン型式:AZZ●3188cc・DOHC・4バルブ・V型6気筒・縦置●220ps(162kW)/5400-6400rpm、31.1kgm (305Nm)/3200rpm●使用燃料:プレミアムガソリン●10・15モード燃費:6.9km/L●駆動方式:電子制御フルタイム4WD●タイヤ:255/55R18(ブリヂストン製 TURANZA ER30)●価格:495万円(試乗車:495万円) ●車両協力:フォルクスワーゲン本山・小牧

公式サイトhttp://www.volkswagen.co.jp/cars/new/touareg/

 
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