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VW ゴルフ トゥーラン TSI トレンドライン新車試乗記(第462回)

Volkswagen Golf Touran TSI Trendline

(1.4L・SC+ターボ・6速DSG・275万円)

1.4L「ツインチャージャー」と
ツインクラッチ6速DSGを載せた、
走りも燃費もすごいミニバンが登場した!

2007年05月19日

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キャラクター&開発コンセプト

マイナーチェンジでパワートレインを一新

ゴルフトゥーラン(以下トゥーラン)は、ゴルフがベースの7人乗りミニバン。2004年4月に1.6FSIと2.0FSIエンジン(いずれも直噴NA)車が導入されていたが、今回試乗したのは07年4月10日に発売されたマイナーチェンジ版。パワートレインは全車1.4リッターTSI(直噴ターボ+スーパーチャージャー)+DSGとなった。

TSIエンジンは、ゴルフGT TSIと同じ高性能170psバージョンに加えて、トゥーラン用に燃費重視型の140psバージョンも設定。変速機は従来のアイシンAW製トルコン6速ATから、6速DSG(VW/アウディ車でおなじみのツインクラッチ式2ペダルMT)となっている。

さらに燃費重視型のTSIや7速DSGも

話題のTSIエンジンと6速DSGが初めて200万円台で、しかもミニバンで買える、というインパクトのおかげか、マイナーチェンジにも関わらず新型トゥーランの累計受注は発売後4週間で1000台を突破。国産車が強い日本のミニバン市場で健闘している。なお、フォルクスワーゲンはTSIとDSGをパワートレイン戦略のコア技術に据えて、年内にはドイツ市場から燃費重視型の122ps(90kW)バージョンや小型・中型FF車用の7速DSGを導入する予定だ。

価格帯&グレード展開

140ps版は275万円、170ps版は325万円

従来モデルの「E」/「GLi」を引き継ぐ「トレンドライン」(140ps)/「ハイライン」(170ps)の2グレード構成。

ゴルフ トゥーラン TSI トレンドライン ★今回の試乗車
(140ps・22.4kgm、10・15モード燃費:12.6km/L)   275万円

ゴルフ トゥーラン TSI ハイライン
(170ps・24.5kgm、10・15モード燃費:12.4km/L)   325万円

グレード間で異なるのはエンジン性能のほか、キセノンヘッドライト/ゴルフシリーズ初のAFS機能+コーナリングライト/アルミホイールの有無など。いずれのグレードでも、純正HDDナビは30万円前後のオプションになる。

パッケージング&スタイル

ショート&ワイド。顔が変わった

ボディサイズ(従来比)は全長4420(+30)×全幅1795(同)×全高1660mm(同)と、欧州車らしくショート&ワイド。ライバルとなるオペル(2005年に日本では販売終了)の2代目ザフィーラとは、サイズや2×3×2の7人乗りレイアウトがよく似ている。

 

今回のマイナーチェンジでフロントにクロームメッキのワッペングリル(wappen=紋章)が付き、ヘッドライト形状が現行ポロ風に変わった。このクロームは派手過ぎやしないか、と最初は思ったが、駆動系の劇的進化を思えば、外観にもこれぐらいの変化が欲しいところ。以前よりも親しみが持てる顔で、すぐに見慣れてしまう。

完成度の高いインテリア

マイナーチェンジ前と大差ない、ゴルフレベルの質感に満たされたインパネ。目につく変更点は、ステアリング形状、シート地、シフトレバーの「DSG」の文字くらいか。ゴルフのGT TSIに装備されるブースト計はトゥーランにはなく、一般的な水温計が収まる。

 

操作性やメーター視認性は良好。収納スペースは特に多くないが、アメリカンサイズの大型カップホルダーが前席に計4つ(ドア配置を含む)備わる。パワーウインドウスイッチのタッチも日本人が設計したのかと思うくらい絶妙だ。

ザフィーラ似の2+3+2

1.8メートルの全幅を生かした横3席独立型のセカンドシート。中央席に大人が座ることも可能だが、左右席に比べると明らかにクッションが薄く、ホールド性(特に腿の裏側)も低いので、座り心地は左右席に劣る。かといってアームレストにしておくには立派過ぎるし…、というのが悩みどころ。実はこのパッケージング、オペル・ザフィーラとそっくりだが、ザフィーラの方がアームレストとしての機能を充実させるなど「リムジン風」とするコンセプトは明快だった。折り畳み式のテーブルもザフィーラ似で、そこにあるドリンクホルダー用の穴の位置までそっくりだ。家族構成や考え方によっては、これはこれで使いやすいレイアウトだろう。

セカンドシート中央か、サードシートか

座面は薄いが、とりあえず大人が2人座れるサードシート。足もとの圧迫感を除くには、前の人に多少席を詰めてもらう必要がある。セカンドシート中央を倒せば、見晴らし自体はいいが、それよりそのセカンドシート中央に座った方がいいのではないか、というジレンマがここで生じる。なお欧州車ゆえ、全ての席に3点式シートベルトが付くのは言うまでもない。

セカンドシートはタンブルもしくは取り外す

通常時の荷室容量は121リッター。サードシートを格納し、セカンドシートをタンブル(前に畳んで跳ね上げる)させるか取り外すかすれば、最大1913リッターまで拡大できる。助手席の背もたれを前に倒せば、長尺物を積むことも可能だ。

基本性能&ドライブフィール

140ps仕様でも十分なトルク

試乗したのは、低出力・燃費重視型TSI(140ps)を積んだ「トレンドライン」(275万円)。ターボとスーパーチャージャーで過給するツインチャージャー「TSI」については、2007年2月のゴルフGT TSI試乗記を参照していただき、今回はその「マイルドバージョン」たる140ps仕様に特化して紹介する。出力特性は下の表で比べてもらうのが早道だ。

グレード 最大出力 最大トルク 10・15モード燃費
TSI トレンドライン(1.4 TSI) ★試乗車 140ps(103kW)/5600rpm 22.4kgm (220Nm)/1500-4000rpm 12.6km/L
E(従来型1.6FSI) 116ps(85kW)/5800rpm 15.8kgm(155Nm)/4000rpm 12.2km/L
TSI ハイライン(1.4 TSI) 170ps(125kW)/6000rpm 24.5kgm(240Nm)/1500-4750rpm 12.4km/L
GLi(従来型2.0FSI) 150ps(110kW)/6000rpm 20.4kgm(200Nm)/3500rpm 10.2km/L

今回試乗した140ps版TSIの最大トルクは、従来の直噴1.6リッターNA(自然吸気)エンジンの約4割増で、従来の直噴2.0リッターNAよりも強力だ。さらに高性能TSIの170ps版に比べると、最大出力(馬力)こそ2割弱少ないが、トルクは約1割弱低いだけ。実は性能曲線を見ると、3500回転くらいまではほとんど出力値に差がないことが分かる。

乗ってみても、この低速トルクが印象的だ。動き始め、タコメーターの針が1500回転にも達しないうちからクルマがグッと力強く前に出る。これはDSG独特のダイレクトな伝達感のせいもある。いったん走り出せば数百メートルも行かないうちに「140psで十分じゃん」となるはずだ。

回さない方が楽しい

力強さはゴルフGT TSIの170ps版に遜色ないもの。なぜなら、その一番の魅力が1500回転~2000回転の低回転域にあるからだ。この領域はスーパーチャージャーが主として担当するため、ターボラグが一切ない。ドライバーが雑にアクセルを踏まない限り、低燃費志向の変速プログラムとされた6速DSGは徹底的にエンジン回転を1500回転あたりにキープする。アクセルオフ時のエンブレの効かない空走感はハイブリッド車のようだが、アクセルオン時のダイレクト感は逆で、まるでマニュアル車のようにしっかりレスポンスする。

もちろん、車重1600kg/最大出力140psなのでパワーウエイトレシオは11.4kg/psとごく平凡。高回転域でもパワーは盛り上がらない。しかしむしろこれくらいの方が高回転への誘惑がなく、無駄なアクセルオンが減るというもの。当然、燃費にも有利だ。ちょうどディーゼルターボのような出力特性で、人を運ぶミニバンの役目にも合っている。

なお、パワートレインの良さに気を取られがちなトゥーランだが、ハンドリング性能も素晴らしい。背が高いため苦手そうに見えるコーナリングも、まったく不安がなくスムーズにこなす。電動パワステ、前後スタビライザー、リア4リンクサスペンションは基本的に従来通りだ。

トータルで10km/L台に乗った

高速道路での100km/h巡航は2200回転ほど。この時、アクセルの踏み方一つで微妙なスピードコントロールが出来るのがいい。巡航に必要なパワーは十分にあり、フル乗車、高速道路、上り坂といった条件でもない限り、非力を嘆くことはまずないと思う。

なお、UK仕様(同じTSI・140ps・DSG)のメーカー発表値を参考にすれば、0-100km/h加速は9.7秒、最高速は198km/h。ついでにUK仕様のトップモデルである2.0 TDI 170ps(ターボディーゼル)の0-100km/h加速は9.1秒、最高速は212km/hとなかなかの駿足だ(いずれもDSG仕様)。

参考までに、約200kmを試乗(撮影等を含む)した今回の燃費は、車載燃費計の表示で10.2km/Lとなった。車重1600kgの7人乗りミニバンとしては、抜群に優秀な数字と思う。特に一般道で普通に走った区間では、11.5~12.0km/L前後を「我慢せずに」普通にキープできた。高速巡航なら10・15モード燃費の12.6km/Lなど十分に現実的だ。高回転域までつい回してしまい、実燃費が8.0km/L台まで落ちてしまったゴルフGT TSI試乗時とは好対照の結果となった。

ここがイイ

飛ばさず、ユルユル走るのが気持ちいいこと。TSI+DSGはついSレンジでとばしてしまい、結局燃費を悪くしてしまいがちだが、ちょうどいいパワー感のこのクルマなら、Dレンジのままで、時にマニュアルモードに入れて走るといったエコ走行で満足できる。むろんマニュアル信奉者でも乗れるオートマのミニバンという点では、まさにこれしかない。

世界中の賞を取りまくっているのも納得のTSIエンジン。特にこの140psユニットは素晴らしい。フツーに走って燃費もいいから、170psの方ではなく、こっちが本命といってもいい。ゴルフにもぜひこのユニットが欲しいところだ。

後述するが、シートアレンジは小さい子供のいるファミリー向け。クルマ好きが納得できるメカとユーティリティのバランスがとれたミニバンがついに登場した。

ここがダメ

ヘッドレストの抜き差しや高さ調節が重い。か弱い日本人女性は、これでは引き抜けないのでは。昔のドイツ車では当たり前のことで、おそらくは単に滑りが悪いだけなのだが。また、セカンドシートのタンブル操作はいいが、取り外すのは男でもたいへん。よくもわるくも屈強なドイツ人向けの作りだ。キセノンヘッドライト/AFS機能+コーナリングライトが上級グレードでしか選べないのも残念。

ダメというほどではないが、DSG共通の特徴としてクリープがやや弱く、また伝達の立ち上がりに少しラグがある。ブレーキを離しても、一瞬クルマが前に出ない特性はトルコンAT車にはないものだ。また、DSG車に限った問題ではないが、最近欧州車に増えてきたヒルホルダー(坂道発進時に車両が落ちないよう、自動的にブレーキをかける仕組み)もかえって煩わしい時があり、傾斜のついたガレージなどでは少し慣れが必要だ。完成度が高いDSGゆえ、今回は細かいところまで書いておく。

総合評価

皆さんご存知の通り、日本で一番売れている登録車の1つはトヨタの「ノア/ヴォクシー」連合。また、売れ行きランキング上位には、ミニバンが多数存在する。つまり今もミニバンが天下を取っているわけだ。何故そこまで売れるかは簡単。子供を1人、2人持ってみればすぐわかるが、普段はチャイルドシートにシートをいくつか占拠され、3世代乗車の機会も増えるからだ。子育て世代=「最もクルマを必要とし、かつクルマに興味を失っていない世代」であり、つまり30代、40代にとってミニバンは生活必需品といってもいい。手ごろな価格のトヨタ製ミニバンはそれゆえ売れる。

しかしトヨタのミニバンじゃ嫌というクルマ好きの、その世代にとっては悩みは深かった。輸入車(特にクルマ好きが好む欧州車)には手頃なミニバンがなかなか存在していなかったのだ。何しろクルマ好きは、トヨタのみならずミニバンそのものを嫌うので、妥協点としての欧州ミニバンに需要はあるのだが、対象となるモデルは本当に数少ない。もはやザフィーラもなく、ドイツ車には事実上トゥーラン(旧モデルはVWシャラン=フォード・ギャラクシー)しかなかったのだ。かつて国産ミニバンだけは絶対嫌だと、妥協としてギャラクシーを買った人を知っている。

そんな全国100万人(たぶんそれくらい)の欧州車好きミニバン必要世代に、ついに待望のクルマが登場した。それこそが今回の試乗車だ。旧来のクルマ好きを興奮のるつぼに陥れた(ちょっと大げさか?)TSI+DSGがミニバンで味わえるのだから文句はない。以前のゴルフ試乗記で書いたとおり、メカ好きクルマ好きにはたまらないこのエンジンとミッションを、メカなどどうでもいい奥さんも納得のミニバンで手に入れられるのだから、これはもう買わずにはいられないというもの。しかも試乗グレードなら燃費がすこぶる良く、走りもモデルチェンジ前よりいいのだから、言うことはない。なんだか地味だったフロント回りも、ワッペングリルのおかげでちょっとプレミアム感が出てきた。走りもミニバンらしくなく、ワインディングでけっこう楽しめる。もういいことばっかり。

セカンドシートが取り外せるのも意外に便利だ。端っこの席を一つだけ外しておけば、大人4人とチャイルドシート2つが収まり、どの席も乗り降りしやすい。ジジババ・パパママ・子供2人が日本的スタンダードな家族構成だから、これがベストシートアレンジだろう。独立3座のセカンドシートは大人が3人乗るとなんだかせせこましく狭いが、必要に応じて外すために3座になっているとするなら、日本では発想できない産物だ。折りたたみ式だとどうしてもじゃまだが、外せるなら室内のアレンジはぐっと自由になる。そこまで考えた合理性はドイツ車らしい。と、こういった指摘は3年前のトゥーラン発売時にしておくべきだったが、何故か試乗していなかったので、あらためて記しておきたい。

 

このあたりの良さを見抜いて、従来モデルに乗っているユーザーには敬意を表したいところ。そしてこれから買う人には、加えてTSI+DSGがあるのでさらに言うことなしとお伝えしたい。ザフィーラにもあったセカンドシートのための小さなテーブルなど、日本車より行き届いた装備だと思う。ミニバンに必需品ともいえるリアビューカメラも、純正オプションパナソニック製のカーナビ(地デジ12セグ視聴可能)をつければ装備可能だし、リアビューミラーも用意されているから最低それでも何とかなる。とにかく筆者がもし子育て世代だったら、迷わず買うであろうミニバンだ。

試乗車スペック
フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン TSI トレンドライン
(1.4L・SC+ターボ・6速DSG・275万円)

●形式:ABA-1TBMY ●全長4420mm×全幅1795mm×全高1660mm ●ホイールベース:2675mm●車重(車検証記載値):1600kg(940+660)●乗車定員:7 名●エンジン型式:BMY ● 1389cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・スーパーチャージャー+ターボ・横置 ● 140ps(103kW)/5600rpm、22.4 kg-m (220Nm)/ 1500-4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60 L ●10・15モード燃費:12.6km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/55R16(Michelin Energy) ●試乗車価格:-円( 含むオプション:-) ●試乗距離:約200km ●試乗日:2007年5月  ●車両協力:フォルクスワーゲン本山・小牧

フォルクスワーゲン公式サイトhttp://www.volkswagen.co.jp/

 
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