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新車試乗記 第746回 トヨタ プロボックス F Toyota Probox F

(1.5L 直4・CVT・158万3673円)

パワートレインを刷新。
そしてインパネを革新。
機能を突き詰めた
新型プロボックスに試乗!

2014年11月14日

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キャラクター&開発コンセプト

12年ぶりの超ビッグマイナーチェンジ


新型トヨタ プロボックス
(photo:トヨタ自動車)

プロボックス / サクシードは、2002年7月にデビューした商用バン。当時は商用バン(=ライトバン)と言えば乗用車ベースが主流だったが、プロ / サクでは「ビジネスカーの革新」を謳って、商用バン専用にボディやプラットフォームを新設計し、それまでのカローラバン / カルディナバンの後継として登場した。今では当たり前の存在だが、画期的な商品だった。

以来12年間コンスタントに売れ続け、商用バン市場でのシェアはモデル末期でも63%を維持(2014年上半期、トヨタ調べ)。今やライバル車は日産のADバン(AD / ADエキスパート)や、そのOEM車のマツダ ファミリアバン、三菱ランサーカーゴくらいという状況になっている。

そのプロボックス / サクシードが2014年8月6日、12年ぶりにモデルチェンジして2代目となった。トヨタではこれを“マイナーチェンジ”と称しているが、内容的にはかなり大掛かり。プラットフォーム前半、パワートレイン、フロントデザイン、インパネなどが刷新されている。

CVTを採用し、2015年燃費規制を先取りクリア


Aピラーから後ろのアッパーボディはほぼ従来のまま
(photo:トヨタ自動車)

今回モデルチェンジに踏み切った最大の要因は、来年から施行される2015年燃費規制。基準をクリアするには、パワートレインの刷新が必要になり、具体的には1.3リッターエンジンを従来の2NZ-FE型から新世代の1NR-FE型に換装。変速機については1.5リッターエンジン(1NZ-FE型)搭載車も含めて、従来の4ATと5MTを廃止し、全車にCVT(無段変速機)を採用した。併せてパワーステアリングを油圧式から、燃費に有利な電動式に変更している。

これによりJC08モード燃費は、1.3リッター車で従来の15.4km/Lから17.6km/Lへと約14%向上。1.5リッター車は従来の15.4km/Lから18.2km/Lへ、1.5リッターの4WD車は従来の13.4km/Lから15.8km/Lへと、共に約18%向上した。これにより全車エコカー減税対象車となったほか、モード燃費でライバルの日産AD(1.5リッター・FF車が17.4km/L、1.6リッター・4WD車は13.0km/L)を上回った。

プラットフォーム前半、フロントデザイン、インパネを刷新


ステアリング右、そして左にドリンクホルダーを新設。引き出し式テーブルも大型化された
(photo:トヨタ自動車)

パワートレインをアップデートするため、ボディ前半からキャビンフロアまでは現行ヴィッツやカローラ等と同じ新世代プラットフォームを採用。これに伴い、フロントデザインは“ツール感覚”を重視したグリルレス風に変更され、最新の歩行者保護基準にも対応した。

また、インパネデザインも刷新。インパネシフトを廃止し、代わりに1リッター紙パック飲料を置けるようにしたほか、従来からあった引き出し式テーブルを大型化するなど、使い勝手を徹底的に追求。新型の画期的な特徴になっている。

一方でボディ後半、つまりAピラーから後ろのアッパーボディや、荷室フロア、リアサスペンション周辺はキャリーオーバー。よってボディ前半は新しく、後半は変わらないという異例のモデルチェンジになっている。

月販目標は4200台


パッケージングで定評のあるアッパーボディは継承。また、操縦安定性に優れたリアサスペンションもキャリーオーバーされた
(photo:トヨタ自動車)

販売チャンネルはこれまでと変わらず、プロボックスがカローラ店、サクシードがトヨタ店とトヨペット店。生産もこれまで通りダイハツの京都工場(京都府乙訓郡大山崎町)で行われる。輸出はなく、国内専用車。

月販目標はプロボックスが2600台、サクシードが1600台の計4200台。先代(2002年デビュー時)はそれぞれ5000台、2000台の計7000台だったので、4割減となる。

■参考記事
ニュース>トヨタ、プロボックス / サクシードをマイナーチェンジ (2014年8月6日掲載)
新車試乗記>トヨタ サクシード ワゴン (2002年8月掲載)

■外部リンク
トヨタ自動車>プレスリリース>プロボックスならびにサクシードをマイナーチェンジ (2014年8月6日)

 

価格帯&グレード展開

プロボックスが131万7600円~。VSC&TRCは全車標準


左がプロボックスで、右がサクシードだが、見た目の違いはリアのステッカーくらいになった。ボディカラーは商用車では異例に多い全6色で、左はライトグリーンメタリック

プロボックスは1.3リッター(95ps、121Nm)と1.5リッター(FFは109ps、136Nm)で、サクシードは1.5リッターのみ。また、4WD車は1.5リッター(103ps、132Nm)のみになる。前述の通り、トランスミッションは全車CVT。

また、先代サクシードではテールゲート等の形状によって全長が少し長く、積載量もプロボックスより50kg多い450kgだったが、今回はボディが共通になり、積載量も400kgに統一された。よって新型は、リアのステッカーを見ないとプロボックスかサクシードか見分けられなくなった。

価格(消費税8%込)は、プロボックスが131万7600円(1.3リッター・CVT車)からで、1.5リッターのみのサクシードは143万7382円から。先代4AT車より約10万円高くなったが、燃費がアップし、これまで設定が無かったVSC&TRCは全車標準になった。また、全車エコカー減税の対象となったため、実質的な価格アップは5万円ほどだ。

 

パッケージング&スタイル

フロントは道具感を重視

見慣れた先代に対して、今回大きく変ったのがフロントデザイン。話の順序としては新プラットフォームや歩行者保護基準に対応するための変更だが、今回は先代のオーソドクスなフロントグリルを廃止し、“道具感”を追求したグリルレス風になっている。

 

写真はオプションのカラードバンパー(1万6200円)装着車。本来。フロントバンパーのコーナー部とリアバンパーは無塗装になる

開発スタッフによると、もともと先代のデザインテーマも“道具感”であり、フロントデザインもそれに沿ったものを検討していたが、当時は商用車としては斬新すぎるということでボツになったとのこと。しかしこの12年間でトヨタの乗用車系も“キーンルック”を採用するなど大きく変わり、今回はある意味、本来の狙い通りのデザインを採用できたという。

全長は4245mmに統一。全幅、全高は変わらず


ボディサイズは全長4245mm×全幅1690mm×全高1525~1530mm

ボディサイズは先代と大差ないが、新型ではプロ / サクでボディが共通化されたことで、全長は先代プロボックスの4195mmとサクシードの4300mmの中間になる4245mmになった。全幅の1690mmやホイールベースの2550mmは従来通り。全高は1525mm(4WDは1530mm)で、もちろん機械式立体駐車場に問題なく入る。ただし、プラットフォームの関係で最小回転半径は0.1m増え、カローラ(アクシオ / フィールダー)と同じ4.9mになった。

なお、日産AD / ADエキスパートのボディサイズは、全長4395mm×全幅1695mm×全高1500mm(4WDは1545mm)、ホイールベースは2600mm。つまり全長は新型プロサクより150mm長く、ホイールベースは50mm長い。ADの最小回転半径はFFで4.7m、4WDで5.2mだ。

 

インテリア&ラゲッジスペース

インパネデザインを革新。紙パックも置けるドリンクホルダーを設置


シンプルな水平基調のデザインが清々しい。ダッシュ上面も、停車中に物が置けるようにフラットになっている

新型の見どころであり、革命的とも言えるのが、一新されたインパネデザイン。インパネ骨格が刷新されたことで、デザイナーと内装設計者がまったくの白紙から徹底的に機能優先で作り上げたものだ。

最も大胆なのが、インパネシフトを廃止し、昔ながらのフロアシフトを復活させてまで1リットルの紙パック飲料が置けるセンタートレイの新設したこと。運転中に手を伸ばしやすい一等地に、これだけ大型のドリンクホルダーを置くのは、勇気がいったことだと思う。これにより運転席周辺のドリンクホルダーは、ステアリング右側とセンターコンソールの分を合わせて計3つになった。

 

インパネシフトの跡地は大型センタートレーに変身。オプションでAC100V電源も用意

さらに、ステアリングの左側には、携帯やスマホなどを置けるマルチホルダーを設置。運転中に画面に目が行かないように目隠しカバーがあるのがメーカー純正らしいが、「スマホ置き場」がこういう(立てた)形で標準装備されたのは初では。また、このマルチホルダーの裏側は、プッシュ式で開く秘密の?小物入れにもなっている。

その下にはDC12V(120W)のアクセサリー電源を標準装備するので、充電もスムーズにできる。さらにオプションでAC100V(100W)のコンセントも装備可能。

 

メーターのデザインはまるで軍用時計のようにシンプルで機能的

ステアリング右側のドリンクホルダーは、最近の軽自動車でもよく見かけるもの

引き出し式テーブルを大型化し、幕の内弁当に対応


小さくてイマイチ使えなかった引き出し式テーブルは、新型で大型化。その上にはA4バインダーを横向きに置ける棚も用意。グラブボックスは従来通りラックのように使えるオープンタイプ

先代にも引き出し式テーブルはあったが、サイズが小さくて意外に使い道がなかった。そこで新型ではノートPCやお弁当が置けるように、テーブルの大きさを幅で80mm、奥行きで35mm、面積にして約1.7倍に拡大。標準サイズのiPadと同程度の幅290mm×奥行180mmにした。耐荷重は10kgだ。実際には、タブレットやノートPCを置いても操作しにくいので、停車中のお弁当置き場だろう。走行中は格納して下さい、とある。

また、今回からパーキングブレーキを足踏み式に変更したことで、その跡地となるシート横にはカバンをすっぽり置けるようになった。ビジネスマンにとっては至れり尽くせりだが、日常使いでも便利そうだ。

 

バックモニター内蔵ミラーも全車にオプション設定(4万3200円)された

パーキングブレーキが足踏みになり、その跡地はカバンスペースに変身。格納式ドリンクホルダーもある
 

新開発シートは、休憩時の「寝ごこち」も追求

前席シートも新開発で、耐久性の高さ(へたりの少なさ)はそのままに、クッション形状やウレタンの変更、運転席リフターの調整幅アップ(31mm→60mm)などにより、座り心地を向上させたという。確かに座り心地はカッチリしていて気持ちいい。

また、休息時の快適性にも配慮し、リクライニング角度を水平に近い76度に拡大したほか、背もたれを倒した時に背中や腰に当たる出っ張りも排除したという。高速道路のSA・PAでは熟睡しそう。

 

最上級グレード「F」は、後席が乗用車風になる。ただし背もたれはやや立ち気味

先代の途中で廃止された5ナンバーの乗用ワゴンは新型にもなく、全て4ナンバーの貨物になった。ただし最上級グレード「F」はワゴンの代わりになるグレードで、その後席は下位グレードよりクッションが分厚く、足下が広く、2名分のヘッドレストも備わる。

ただしクッションが厚くなった分だけ、後席を畳むと嵩張るため、ダブルフォールディングで格納可能にしたほか、必要なら座面クッションを取り外すことも可能になっている。

荷室はおおむねこれまで通り


邪魔な張り出しのない荷室。荷室高は935mm、荷室幅は1420mm、荷室長(後席使用時)は1040mm

先代の荷室長と最大積載量は、主にリアゲート周辺の作り替えで、プロボックスが1810mmと400kg、サクシードは1830mmと450kgだったが、新型では1810mmと400kgに統一された。とはいえ新型でも従来プロボックスと同等の積載性を確保し、例えばA4コピー用紙箱なら89個、みかん箱なら38個まで積載可能という。ちなみに最大積載量の400kgは、水の入った一斗缶(約18L)だと約20個に相当する重さ。積み降ろしするだけでも大変だ。

なお、日産AD / ADエキスパートの最大荷室長は1830mm、最大積載量は450kg(4WD車は400kg)で、A4コピー用紙箱なら91個積めるとのこと。つまり積載性はADバンがわずかに上回るが、ボディサイズに対するスペース効率ではプロ / サクが優秀と言える。

 

「F」の後席だけダブルフォールディングになり、さらに座面を取り外すことも出来る

スペアタイヤは吊り下げ式。フル積載に耐えるラテラルロッド付トレーリングリンク車軸式リアサスに注目
 
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