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ボルボ V40 D4新車試乗記(第769回)

Volvo V40 D4

(2.0L 直4ディーゼルターボ・8速AT・349万円~)

パワートレイン大再編!
新開発ディーゼル「D4」の
実力をチェック!

2015年09月11日

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キャラクター&開発コンセプト

新開発2.0Lディーゼルエンジン「D4」を5車種に導入

2015年7月23日、ボルボ・カー・ジャパンは、販売主力モデルのV40、V40 クロスカントリー、S60、V60、XC60の5車種に、新開発2.0L 4気筒クリーンディーゼルエンジン「D4」を搭載して発売した。日本向けボルボとしては初の“クリーン”ディーゼル車だ。

今回の「D4」エンジン(D4204T)は、中国の吉利(ジーリー)傘下となったボルボが独自に開発したもの。ボルボは現在、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを基本設計が同じ4気筒に統一するというモジュラー戦略を推進中であり、今回のD4はそのディーゼル版の第一弾。例えばD4と新世代の2.0L 直4ガソリンターボ「T5」はほぼ共通のアルミブロックを採用するほか、部品の25%が共通で、50%が類似品、残りの25%が専用品になるという。

デンソー製の直噴システム、アイシンAW製8ATを採用


2.0L 直4ディーゼルターボエンジン「Drive-E D4」。欧州にあるD2、D3はシングルターボだが、これはシーケンシャルツインターボを使う
(photo:Volvo Car Group)

「D4」には、ボルグワーナー製の2ステージターボチャージャー(いわゆるシーケンシャルツインターボ)に加えて、2500bar(気圧)の最高噴射圧と1サイクルあたり2~9回の高精度な燃料噴射を可能にしたデンソー製の高圧インジェクターを備えたコモンレール直噴システム「i-ART (intelligent-Accuracy Refinement Technology)」を採用。クラストップレベルの最高出力190ps、最大トルク400Nm(40.8kgm)を発揮しながら、ユーロ6および日本のポスト新長期排ガス規制をクリアしている。

併せて、D4搭載車やT5搭載車には、アイシンAW製のFF用8速ATも採用された。日本の大手サプライヤーによる最新技術が投入されているのも、今回登場した新世代ボルボで注目すべきポイント。

【外部リンク】
■アイシンAW>製品ラインナップ
■アイシンAW>製品ラインナップ>高容量FF8速オートマチックトランスミッション(AWF8F35)

 
【過去の新車試乗記】
 

価格帯&グレード展開

「T3」は324万円~、「D4」は349万円~


ボルボ V40 (2015年モデル)
(photo:VCJ)

現行V40のパワートレインは今回から完全に新世代に切り替わった。以前は1.6L 直4ガソリンターボの旧「T4」(180ps、240Nm)、2.0L 直5ガソリンターボの旧「T5」(213ps、300Nm)の2種類だったが、昨年の2014年末には2.0L 直4ガソリンターボの新「T5」が導入され、今年7月には「D4」、9月1日には新開発の1.5L 直4ガソリンターボ「T3」が加わり、エンジンは計3種類になった。ちなみにS60/V60には、2.0L直4ガソリンターボの新「T4」(190ps、300Nm)もある。これらの新世代エンジンは全てボアピッチなどが同じアルミブロックを共有する。

同時にトランスミッションも刷新された。V40は従来、全て6速DCT(デュアル クラッチ トランスミッション)だったが、新しいT3はアイシンAW製の6速ATに、D4とT5は同社製の8速ATになった。

装備については、HDDナビや地デジ等は下位グレードでオプション(21万円)、SEやT5では標準になる。他にレザーシート(SEに設定、21万円)、パノラマ・ガラスルーフ(19万円)、歩行者エアバッグ(6万2000円)など。ラインナップは以下の通り。

 

V40 T5 R-Design
(photo:VCC)
■V40
  • T3  324万円  1.5L ガソリン(152ps、250Nm)+6AT
  • T3 SE  374万円  1.5L ガソリン(152ps、250Nm)+6AT
  • D4  349万円   2.0L ディーゼル(190ps、400Nm)+8AT
  • D4 SE  399万円  2.0L ディーゼル(190ps、400Nm)+8AT
  • T5 R-DESIGN  440万円  2.0L ガソリン(245ps、350m)+8AT
 

ボルボ V40 Cross Country (2015年モデル)
(photo:VCJ)
■V40 Cross Country
  • T3  339万円  1.5L ガソリン(152ps、250Nm)+6AT
  • D4  364万円  2.0Lディーゼル(190ps、400Nm)+8AT
  • D4 SE  414万円  2.0L ディーゼル(190ps、400Nm)+8AT
  • T5 AWD SE  419万円  2.0L ガソリン(245ps、350m)+8AT
 

パッケージング&スタイル

外観は従来モデルやガソリン車とほぼ同じ

外観については2年前のデビュー時から目立った変更はなく、ガソリン車との違いもほとんどなし。なのでディーゼルかどうかを見極めるには、テールゲートのバッジを見るか、エンジン音を聞くのが手っ取り早い。

ボディサイズは全長4370mm×全幅1800mm×全高1440mで、ゴルフ7より少し大きく、アウディ A3やレクサス CT200hとほぼ同じ、プリウスやアクセラスポーツより少し小さい、というもの。見た目は明らかにハッチバック車だが、ボルボでは「V(versatility=多用途、多機能)」を名乗るモデルに相応しく、「プレミアム・ショートワゴン」と呼んでいる。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
VW ゴルフ 7(2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
マツダ CX-3 XD(2014~) 4275 1765 1550 2570 5.3
アウディ A3(2013~) 4325 1785 1435~1465 2635 5.1
レクサス CT200h(2011~) 4320~4350 1765 1450~1460 2600 5.0~5.2
ボルボ V40(2013~) 4370 1800 1440 2645 5.2~5.7
トヨタ プリウス (2009~2015) 4460 1745 1490 2700 5.3
マツダ アクセラ スポーツ(2013~) 4460 1795 1470 2700 5.3
ボルボ V60 4635 1865 1480 2775 5.5~5.8
 

インテリア&ラゲッジスペース

インテリアも相変わらず


7インチワイドディスプレイは標準装備。SEやT5ならHDDナビ本体も標準装備になる

内装デザインも従来モデルやガソリン車とほぼ同じ。フリーフローティングセンタースタックと呼ばれる板状センターコンソール(裏側が空洞になっている)も今や見慣れたものだ。D4の場合、エンジン回転計が5000rpm台までしか刻まれていないが、アナログ風メーターが実は液晶パネルゆえ、それはイグニッションをオンにしないと分からない。

 

おなじみフリーフローティングセンタースタック

ナビゲーションシステムのほか、3種類あるグラフィックから好みのものを選べる液晶メーター、オーディオ、空調操作パネルなど、ボルボ独自のインターフェイスは、SENSUS(センサス)と呼ばれる。コントローラーやショートカットキー、ステアリングスイッチ、音声操作などを駆使して操作するものだが、ナビの目的地設定はなかなか難しい。慣れればOKなのだろうか。

 

後席は足もとこそ広いが、天井は低め、背もたれは立ち気味で、姿勢を正して座る感じになる

レザー・パッケージ(21万円)装着車の場合、シートヒーターが備わり、助手席も電動になる
 

後方視界を遮る後席ヘッドレストは、レバー操作で90度折り畳むことができる

オプションのパノラマ・ガラスルーフ(19万円)は、完全遮光タイプの電動シェイド付き
 

上げ底状態なら、倒した背もたれと荷室フロアがフラットにつながる

フロアボードを外せば天地が稼げる。床下にはパンク修理キット
 

基本性能&ドライブフィール

ディーゼルの音や振動はあるが


ボルボ独自開発の2.0L「D4」エンジン。部品の25%が2.0Lガソリンエンジンと共通で、50%が類似品、専用パーツは25%だという

試乗したのは、HDDナビ、17インチアルミホイール、デュアルキセノンヘッドライトなどを装備したD4 SE(399万円)。試乗車はガラスルーフなどのオプション付で、車両総額は450万円を超える。

エンジンが掛かったD4は、ゴロゴロゴロという特有の音で、少し離れたところからでもすぐにディーゼルだと分かる。車内にも細かな振動は伝わってくるが、それを言ってもしょうがない。だってディーゼルだもの。もちろん一昔前のディーゼルに比べれば圧倒的に静かだ。

 

「Drive-E D4」ユニットは190psと400Nmを発揮。圧縮比は15.8
(photo:Volvo Car Group)

発進はスムーズで力強く、もたつきなしに加速体制に入る。これにはミッションがステップAT(トルコンAT)であること、8速ATゆえに1速のギア比が低めであるのが効いているはず。1速から間髪を入れず2速、3速にシフトアップ。パワーバンドを外さず、ディーゼルエンジンの美味しい回転域だけを使ってつなぎ、DCTに劣らない素早いシフトアップを行う。

アイドリングストップは外気温が約30度C以下なら積極的に作動。停止中にいったんブレーキを緩めて始動してしまっても、ブレーキを踏み直せば再びアイドリングストップする(1km/h以上出た場合)。再始動も「ククッ」と小気味よく、まったく気にならない。

最大トルク400Nmと8速AT

いったんタイヤが転がり始めれば、後は最新クリーンディーゼルの面目躍如。最高出力190ps/4250rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/1750~2500rpmの大パワーで、ボディをグイグイ加速させる。直噴ガソリンターボのようなシャープな吹け上がり感はないが、低回転のまま速度だけズンズン上昇させる感覚は、それはそれで気持ちがいい。数値的には0-100km/h加速7.2秒(8AT、発表値)の俊足を誇る。

車重は意外に重くて、1540kg(ガラスルーフ付は1550kg)もある。ちなみにアクセラスポーツ XD(2.2Lディーゼルターボ、175ps)はそれより100kgほど軽い1450kgで、パワーウエイトレシオはほぼ互角だ(V40 D4が8.2kg/ps、アクセラ XDが8.3kg/ps)。ただし、6速ATのアクセラ XDより、8速ATのV40 D4はやはり出足がよく、ギア比のつながりもいい。ディーゼルエンジン(意外にパワーバンドが狭い)と多段ATの組み合わせは実に相性がいい。

ワインディングはやや苦手


タイヤはおなじみピレリのP7。他銘柄のタイヤも試してみたい

デビュー時に乗ったV40 T4は、乗り心地はハード、ハンドリングは妙にシャープという印象だったが、今回のD4に関しては、その延長線上ではあるものの、ずいぶんと丸くなった。

苦手なのはワインディングで、トルクフルなエンジン、パワーバンドを外さないミッション、クイックな電動パワステ、ガッチリしたボディと、いかにもハンドリングは良さそうだが、実際にはペースを上げようとするとフロントの接地感が薄まり、アンダーステア「感」が強くなってくる。

この感覚は以前乗ったT4や従来T5、新T5にはなかったもので、やはりD4エンジンの重量(重心高、前後重量配分の変化など)や強力な駆動力による影響かなと思われる。そんなにフロントヘビーという感じはしないのだが。ちなみに前後重量配分は62:38(試乗車の場合、前軸960kg、後軸590kg)で、車重は2.0LガソリンターボのT5より30kg重いだけ。まぁ、そこは安全第一のボルボゆえ、山道ではそんなに飛ばすなよ、ということかもしれない。

実用的で、操作性もいいACC


100km/h巡航時。「パフォーマンス」を選ぶと、メーター中央が回転計になる(エンジン設定とかは変わらない)

他のクリーンディーゼル車同様、真骨頂はやはり高速道路。100km/h巡航時のエンジン回転数はわずか1500rpmで、その領域でもトルクの充実感あり。許容上限の5000rpmまで軽々と回るが、マツダの2.2Lディーゼルほど上まで回したくなるタイプではない。最高速は230km/h(発表値)とかなり速い。数値的にはガソリンターボのT3とT4の間くらいの速さ。

ミリ波レーダー、単眼カメラ、赤外線レーザーを使ったACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の使い勝手は相変わらず良好。ACC操作用のステアリングスイッチはサイズが大きめで押しやすい上に、子供でも分かりそうな絵文字で機能が表示されていて、直感的に使える。このあたりはさすがボルボ。

また、65km/h以上で走行中、車線内にとどまるようにステアリングを自動補正するLKA(レーン・キーピング・エイド)が強力に作動し、ステアリングをグイグイ操舵してくる。気分はすでに半自動運転で、クルマも徐々にロボットになりつつあるなぁと思った。

 

ちなみにACCの全車速追従機能は、一般的には電動パーキングブレーキ付の車両に備わるのが普通だが、V40のパーキングブレーキは手動(サイドブレーキ)。つまり停止中のブレーキ油圧は、ABSのアクチュエーターでまかなうタイプ。これだと長時間の保持は難しいようだが、今回試した限りで気になったのは、他の全車速追従機能付ACCのように再発進時にアクセルを「きっかけ」風に踏むと、ギクシャクと発進してしまうこと。しかし普通に発進するようにペダルを踏むとスムーズに動き出す。まぁ、普通はそんなことせずに、足でブレーキを踏んで停止し、発進後にまたACCをセットするのが自然だろう。

なお、V40のみならず、現行の全ボルボ車には「歩行者・サイクリスト検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキ」など、10種類の先進安全装備・運転支援機能「インテリセーフ 10」が標準装備されている。今も昔も先進的な安全哲学を抜きにしてボルボは語れない。

試乗燃費は12.6~13.7km/L。JC08モードは20.0km/L

今回はトータルで約300kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、いつものように一般道と高速道路を走った区間(約80km)が12.6km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km×2回)が13.7km/L(昼間)、16.5km/L(夜間)。高速道路を80~100km/hで走った区間(約60km)が21.4km/Lだった。高速道路でACCを駆使して法定速度内で走った場合、20km/Lを割ることはまずあり得ない。

ちなみに、燃費モードの「ECO+」スイッチを押すと、高速走行時のアクセルオフでクラッチを切って「コースティング」もするそうだが、今回は一度も使用せず。実はスイッチが空調操作パネルのところにあったので、エアコンのエコモードだと勘違いしていた。

JC08モード燃費は20.0km/L。燃料タンクはガソリン車と同じ62Lで、車格の割に大容量。実用燃費を12km/Lと低めに見積もっても、航続可能距離は744kmに及ぶ。高速道路なら無給油1000kmも可能だろう。

ちなみに1.6Lガソリン車「T3」のJC08モード燃費は16.5km/L。今回給油したガソリンスタンドの軽油は102円/L、ハイオクは134円/Lだった。

 

ここがイイ

日本発の最新技術。数々の先進安全装備

言うまでもなく最新ディーゼルターボエンジンによるトルクフルな走りが一番の特徴だが、その走りを実現しているデンソー製の燃料噴射システム、そしてアイシンAW製の8速ATを評価しなくてはと思う。

本文と重なるが、インテリセーフ10と称される、10種類の先進安全・運転支援装備。中でも設定速度に制限のある日本車のものより実用的なACC、ステアリング操作を自動補正するLKA、そして万一の際の「歩行者・サイクリスト検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキ」は、買う気にさせる装備。ちなみにボルボは、2020年までに新しいボルボ車において交通事故による死傷者・重傷者をゼロにするという目標「ビジョン2020」を掲げている。

ここがダメ

タイトコーナーでのアンダーステア感。ガソリン車の存在など

本文にもある通り、このクルマでワインディングを飛ばす必要があるかと言えば、ないわけわけだが、やはり走行性能のポテンシャルを思うと、タイトなコーナーでのアンダーステア感は気になるところ。V40の場合、ハンドリングを求めるなら、ガソリン車のT3やT5の方がいいかもしれない。

また、エンジンは最新クリーンディーゼルらしくパワフルかつスムーズだが、やはり吹け上がりの爽快感、スムーズさ、振動特性、静粛性などの点では、最近のガソリンターボには及ばない。少なくとも受ける印象は違う。ディーゼルの大トルク、低燃費、燃料費の安さをとるか、慣れ親しんだ特性のガソリンエンジンをとるか。ここは一つ考えどころではある。

SENSUSと呼ばれる操作インターフェイスは、デザイン的にはいかにも北欧的にシンプルでクールだが、使い勝手はいまいち。いっそマツダ コネクトのように、ディスプレイをタブレットPCのようなタッチパネル式にして、それをコントローラーやステアリングスイッチでも操作できるという方式なら、とも思う。

総合評価

経済性だけで乗ってみるのも悪くない

ディーゼルエンジン車の時代がいよいよやってくる!? 20世紀末の1999年、当時の石原都知事によるパフォーマンスが大きなきっかけとなって、国内市場から消えてしまったディーゼル乗用車。マスコミ報道などで一気に一定方向へ流れてしまいやすい日本人の習性なのか、ここ15年ほどですっかり「ないもの」とされてきた。しかしここに来て、まさに劇的な復活を遂げようとしている。「欧州はディーゼルが主流なんだよね」という欧州かぶれのクルマ好きは、それ見たことかと言いたくなるところだが、実際には排ガス規制の後進エリアだった欧州が、さすがにまずいとユーロ6を導入するなど基準を厳しくしたため、結果として日本の排ガス規制でもクリアするようになり、それゆえ日本市場にも投入され始めた、というのが現実だ。

今回のV40 D4は、ボディサイズに似合わない超トルクフルなパワー感や、抜群の燃費などで、確かに「今までとは違う乗り物」感があって、これは悪くないなあと思った。ただ、じっと感覚を研ぎ澄ましてみると、それなりに微振動やエンジン音も伝わってきて、ディーゼルエンジンのネガを感じさせる部分もなくはない。そのあたりを気にする、気にしないの差は人によってかなりあるだろう。

 

今回のV40 D4と、以前試乗した1.6ターボのガソリン車とで、いつもの試乗コースの燃費を比較すると、1.6ターボガソリン車(旧T4)の9.2km/Lに対して、2.0ターボディーゼル車(D4)は12.6km/L。ディーゼルの圧勝だ。燃料代は32円/Lも違うから、実燃費を加味した実質的な燃料代は、半分から7掛け程度で済むだろう。また、車両価格の高さは下取り価格にも反映するから、乗り潰さないのであれば25万円高くても、ほぼ気にならないはず。結果的にはディーゼルの方が財布にやさしいと思う。CO2削減が優先なのか、それ以外の有害物質削減が優先なのか、いまだに議論は尽きないが、経済性だけで流行りのディーゼルに数年乗ってみるのも悪くないのでは。

味付けはメーカー次第

そんなボルボの新型ディーゼルエンジンにおける技術的なキモは、デンソーの燃料噴射システムだ。というか、このエンジンの半分くらいはデンソーが開発したと言えなくもないのでは。もしデンソーが、どこか他のメーカーに技術供給すれば、すぐ同じようなものが出来てしまうと思われる。となると、それをどう味付けするかがメーカーのウデということになる。

また、今回のラインナップ再編で重要なのは、ミッションが従来のDCTから、アイシンAW製の8速AT(一部ガソリンは6速AT)に変更されたこと。すでに数年、VWグループのDCT車に乗っているが、DCTはシャキシャキ走る分にはとてもいいが、ゆったり走ろうとするとギアの動きをかなり意識させられる。その点、V40の8速ATは、ほとんどギアの存在を意識させない。大トルクエンジンと多段ステップATは、ボルボにとって大きな市場である北米大陸、そして中国大陸で好まれそうだ。となると、足まわりも欧州車的なキビキビ感より、おおらかな乗り味を目指しているということか。ワインディングをかっ飛ぶタイプの仕上げではないと感じたのは、そういうことかもしれない。そしてこれは日本でも好まれるものだろう。

 

ディーゼルの大トルクにのって、低回転でゆるゆると、全車速追従機能付ACCで郊外を走っていたりすると、これはかなり未来な気分になれる。手放し運転こそできないが、気分は矢沢永吉のCM(日産だが)。豊富な先進安全装備の標準装備化が、V40をはじめボルボ車の特徴。それによる安全目標「VISION2020」は、「2020年までに新しいボルボ車に関わる交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」というもの。これを達成するには、ドライバーに無謀な走り屋はいないほうがいい。新しいV40に乗っていると、このクルマの特性にはそんな意図が隠されているのではとも思えてくる。それこそがサプライヤーではなく、メーカーがクルマを作る意義だろう。

共にフォード傘下を離れた小メーカーのボルボとマツダは、技術的にも味付け的にも方向性が異なるディーゼル車を打ち出している。今後、大メーカーが続々と日本国内に投入してくるディーゼル車がどういう性格になっていくのか、ちょっと楽しみになってきた。

試乗車スペック
ボルボ V40 D4 SE
(2.0L 直4ディーゼルターボ・8速AT・399万円)

●初年度登録:2015年7月 ●形式:LDA-MD4204T
●全長4370mm×全幅1800mm×全高1440mm
●ホイールベース:2645mm
●最低地上高:135mm ●最小回転半径:5.2m
●車重(車検証記載値):1550kg(960+590)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:D4204T
●排気量:1968cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・ディーゼル・横置
●ボア×ストローク:82.0×93.2mm
●圧縮比:15.8
●カムシャフト駆動:タイミングベルト(交換サイクル24万km)
●最高出力:140kW(190ps)/4250rpm
●最大トルク:400Nm (40.8kgm)/1750-2500rpm
●使用燃料/容量:軽油/62L

●トランスミッション:8速AT
●JC08モード燃費:20.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):マルチリンク+コイルスプリング
●タイヤ:205/50R17(Pirelli Cinturato P7)

●試乗車価格(概算):456万6000円 ※オプション:レザー・パッケージ 21万円、パノラマ・ガラスルーフ 19万円、メタリック・ペイント 8万3000円、歩行者エアバッグ 6万2000円、PCC(パーソナル・カー・コミュニケーター)・キーレスドライブ 3万10000円
●ボディカラー:パワーブルーメタリック

●試乗距離:約300km ●試乗日:2015年9月
●車両協力:ボルボ・カーズ岡崎(株式会社クリエイト)

 
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