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ボルボ V50 2.4i新車試乗記(第319回)

Volvo V50 2.4i

(2.4L直5・5AT・414万7500円)

2004年05月29日

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キャラクター&開発コンセプト

40から90まで

従来のS40とV40に代わるボルボの新しいエントリークラスが、新型S40とそのエステート(ステーションワゴン)のV50だ。7年振りにフルモデルチェンジされたコンパクト・ボルボは、欧州に続いて日本では2004年5月に受注が開始された。最近のボルボはセダンをS、エステートをV、SUV系をXCと呼び、さらにエステートにセダンより大きな数字を与えている。この新型の登場によって、同社のラインナップはS40、V50、S60、V70、XC70、C70カブリオレ、S80、XC90と、40から90までの数字が揃った。

フォーカス、アクセラとシャシーを共有

先代S40&V40は三菱カリスマとシャシーを共有し、オランダにある三菱、ボルボ、オランダ政府の合弁会社「ネッドカー」工場で生産された。しかしそれらの生産終了と同時に、ネッドカーでのボルボ自身の操業は終了。1999年からの米国フォード傘下で開発された新型S40とV50は、シャシーを欧州フォードの次期フォーカスおよびマツダ・アクセラと共有している。ただしエンジンはボルボ独自の直列5気筒を搭載。衝突安全性も、独自の特許技術で同社の最上級サルーン「S80」並みだという。

販売拡大の切り札

新型S40&V50の生産は、2003年末からベルギーのゲント工場でスタートした。同工場は拡張工事が終了すると年間27万台の生産が可能となり、ボルボ最大の生産拠点になる予定だ。S40のグローバルでの目標販売台数は年間7万台で、そのうち2万台が最大市場の米国に渡るという。V50は同じく年間7万4000台で、そのうち1万5000台がドイツで販売される見込み。日本での初年度の目標は計4000台だ。

価格帯&グレード展開

S60&V70の廉価版ではない

S40とV50、いずれもグレードは3種類。「2.4」(直5NA、140ps)、「2.4i」(同、170ps)、「T-5」(直5ターボ、220ps)と、それぞれエンジンの仕様が異なる。価格はS40が346万5000円~430万5000円、V50が372万7500円~467万2500円。先代より50~100万円ほど高くなり、中間グレード「2.4i」(414万7500円)がV70の一番安いグレード(420万円)とほぼ同じ価格となっている。

パッケージング&スタイル

5ドア並みにコンパクト

今回試乗したV50のサイズは全長4515mm×全幅1770mm×全高1450mm。先代に比べて幅が50mmワイドになり、ホイールベースが80mm伸びている。リアオーバーハングはセダンより45mm長いが、依然5ドアハッチバックと言えるくらいコンパクトだ。実際、マツダ・アクセラの5ドア(2.3リッター)とほぼ同サイズで、2640mmのホイールベースもまったく同じだ。

小さなV70

メーカーが「ボート・シェイプ」と呼ぶボディ前後の強い絞り込み、短いボンネット、張り出したフェンダーやウエストライン、小さな窓、後方にスラントするルーフなどが、まさにスポーツ・エステートという雰囲気でもあり、「小さなV70」という感じでもある。

センターコンソールも薄型時代

室内の見所は、バング&オルフセンのオーディオを思わせる、センターコンソールの「フリーフローティング・センタースタック」だ。空調やオーディオの操作パネル(厚さ25mm)の裏が空洞になっており、そこの小物スペースを薄いグリーンの照明が常時照らしている。NAモデルに標準で付くのは平凡なウッド調だが、オプションでアルミパネル(ターボに標準)や青っぽい半透明樹脂も選べる。

パネル上の4つのダイアルは形状が同じことから、どれがどのダイアルか慣れはいるが、操作はアナログ的でやりやすい。試乗車はパッケージオプションの本革シートだったが、標準装備の「T-Tec」という新しいファブリック素材も売りという。

スウェディッシュデザインのキー

イグニッションキーはセンターコンソール上部に差し込む。事故時の怪我を防ぐためだが、デザイン的にも面白い。短い試乗では、何度かステアリングの右側を探してしまったが。

リモコンキーのドアロックボタンは開と閉で凹凸が付いていて、親切。キーの黄色いボタンを押すと、ドアミラー内蔵の足下照明など、夜間のウエルカムランプが点灯。赤い三角ボタンを一定の方法で押すと、緊急用にハザードとホーンが作動する。

チャイルドシート内蔵も選べる

フロントウインドウが寝ているが、シートの調整範囲が広いので、圧迫感は感じない。後席の広さも十分。後席に乗る人の見晴らしをスポイルしていたボルボ車共通の大振りな背もたれは、このS40&V50ではスリムになっている。リアドアは大きく開かないが、サイズ自体は大きく、乗り降りしやすい。ただし、リアドアのガラスは一番下げても半分近く残る。

ボルボの衝突安全性は、子供の保護を最優先に考えている。従来のボルボ車でおなじみの、3歳以上の子供に使える「インテグレーテッド・チャイルド・クッション」は、パッケージオプションで3万6750円に過ぎず、下手なチャイルドシートより安い。一方、独自の安全哲学からオプション設定だった助手席エアバッグは、今回の新型から全車標準に。代わりに作動カットオフスイッチをオプションで用意する。

容量より使い勝手

5ドアハッチバック並みの全長なので、荷室は広くない。特に、天地が狭く、自転車はホイールを外しても縦に積むのは無理だ。どちらかと言うと買い物など日常の使い勝手を重視した作りで、荷室床に内蔵する「グロサリーバッグ・ホルダー」(買い物袋用のホルダー)もそうした小技の一つだ。

後席の折り畳みはダブルファンクション(座面を跳ね上げて、背もたれを倒す)で少し面倒だが、ヘッドレストが滑らかに抜ける点は助かる。荷室床との段差は、ボードが埋める。

基本性能&ドライブフィール

パワー十分のNA。気持ちよい直5サウンド

試乗したのは、自然吸気の直列5気筒エンジン(170ps、23.5kgm)の中間グレード「2.4i」。これが「低圧ターボだったっけ?」と思うほど、よく走る。V6よりちょっと粒の粗いドゥルルルルというアコースティックな音を響かせて、1480kgのボディを引っ張る。アクセラも軽快に走ったが、多気筒の滑らかさや高級感では、完全にV50に分がある。ボルボ定番のアイシンAW製 5ATとのマッチングも良好だ。

取り回しも良好

5気筒を横に置くことで「ハンドルは切れないんじゃないか」と思いがちだが、小回りもよく効く。最小回転半径は 5.3メートルとクラス平均よりちょっと大きい程度。例えば、マツダ・アクセラやアウディA4アバントは5.2メートルだ。見切りが良いのも、取り回しが良いと感じる理由の一つだ。ちなみにV70はワイドタイヤのT-5を除き、5.5メートルある。エンジンは従来の直5と形式こそ同じながら、レイアウトを見直して上級モデルより200mmスリムに、25mm短くなったという。

乗り心地は固め。試乗車はオプションの17インチタイヤだったが、そのせいばかりではないと思う。荒れた路面では正直にボディを揺すり、ボディ剛性がそれを押さえ込むという感じだ。ボディのねじれ剛性は従来S40比で68%、V40比で34%も向上したという。ロードノイズは多少気になるが、うるさいというほどではない。

穏やかなスポーティ感

前ストラット、後マルチリンクのサスペンションはアクセラと変わらないが、山道での印象はまったく違う。ボルボ車としてはスポーティだが、他車との比較で言えばハンドリングはかなり穏やかで、ステアリングを切るやいなやスパッとノーズが入る、ということはない。しかし、ドライバーがやる気を失うほどでもないところが、「スポーツ・エステート」を名乗るゆえんだろう。一方で、安定感は高く、路面が荒れた場所でもスピードを落とさず突破できるのは、いい点だ。

ここがイイ

エクステリアデザインは久々のヒット。どこから見てもボルボというアイデンティティを維持しつつ、エグさをうまく押さえ込んで都会的だ。

一枚板のセンターコンソールパネルは、これ一つで同乗者に対して「ご自慢君」になれる。キー位置も独自だし、スペシャリティ感たっぷり。もちろん内装デザインセンスは定評ある北欧デザインだから、満足度はかなり高い。

また最近のボルボはオーディオの音がいい。試乗車は8スピーカー160Wの中級グレードだったが、これでも十分(最上級は最大13スピーカー305Wの5.1チャンネルサラウンド)。これならインパネのデザインを壊す社外品をつける必要がない。

ここがダメ

ではこのインパネにあうカーナビはどうしたらいいのか。これに対する答えはカタログにはないようだ。さすがにこれだけいいデザインだと、下手なカーナビはつけられない。例え純正があったとしても、今度はその性能が問題。カッコよすぎるインパネはその部分が逆に弱点となる。

ボディ幅は1770㎜もあるのに、本格的な使用には応えられない狭い荷室も、レジャーカーとして考えると弱点となるだろう。

総合評価

コンパクトな輸入車はいわゆるステータス感に若干欠けるため、ワゴンという記号性を加えることでプレミアム感をアップさせることができる。ボルボのワゴンはまさにそうした手法で、メルセデスやBMWとほぼ互角のプレミアム感をこれまで維持してきた。 V50をクルマヒエラルキーで見てみると、Cクラスや3シリーズセダンより格上となり、同クラスの他メーカーワゴンよりも一段上に位置する、と言えるのではないだろうか。生い立ちが生い立ちだった旧V40を思えば、V50の出世ぶりは、最近の新型車の中では出色と言える。

それを実現したのはボルボの伝統に基づいたデザイン力だろう。ボルボらしさをきちんと維持してブレないデザイン力は実に素晴らしい。世間では四角いボルボという一時のコモンセンスはもはや無くなったが、120アマゾンに通じる段付ウエストラインの新しいボルボは粛々と受け入れられていると思う。そしてV50ではインパネの斬新さがますますプレミアム性を高めている。価格を考慮せずに比較するなら、コンパクトクラス輸入車では一番おすすめできるクルマだ。

とはいえ、足回りはかなり固く、その分スポーティーには楽しめるが、人によってはもう少しコンフォート方向に振って欲しいと感じるだろう。荷室のサイズでもわかるとおり、本格的なRVというより、街の中でこそ映えるワゴンだ。マツダアクセラはスポーティ性がウリだからかまわないが、V50はスポーティさより重厚さのエッセンスを多めに加えて欲しかった。それがプレミアム感のヒエラルキー上位に位置するV50の価値を、より一層高めるのではないかと思う。

景気が回復してきたとは思わないが、クルマは生活の必需品で、かつ、自分の社会的地位を確認するツールでもあるため、それなりに高いものが売れ続けている。その意味でV50は、30代でちゃんとまともな仕事をしている独身男性やカップル、小さな子供のいる夫婦などに売れるのではないか、と思う。そしてそれを横目で見ながら「クルマ好き」は古いラテン車や、ヘタった中古スポーツカーに大金をつぎ込む。どちらも人生である。

試乗車スペック
ボルボ V50 2.4i
(2.4リッター直列5気筒・5AT・414万7500円)

●形式:UA-MB5244●全長4515mm×全幅1770mm×全高1450mm●ホイールベース:2640mm●車重(車検証記載値):1480kg(F:880+R:600)●エンジン型式:B5254●2434cc・DOHC・4バルブ直列5気筒・横置●170ps(125kW)/6000rpm、23.5kgm (230Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/62L●10・15モード燃費:9.5km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/50R17(PIRELLI P7)●価格:414万7500円(試乗車:455万1750円 ※オプション:ベーシックパッケージ〈本革シート、助手席パワーシート、バイキセノンヘッドライト、電動サンルーフ、17インチアルミホイール〉 36万7500円、ファミリーパッケージ〈インテグレーテッド・チャイルド・クッション、チャイルドロック〉 3万6750円)●試乗距離:約120km ●車両協力:ボルボ・カーズ千種(株式会社クリエイト)

公式サイトhttp://www.volvocars.co.jp/

 
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