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ボルボ V50 2.0e パワーシフト新車試乗記(第551回)

Volvo V50 2.0e Powershift

(2.0リッター直4・6速DCT・299万円)

6速DCTを引っさげて
2リッター直4のボルボが
200万円台で登場!

2009年03月27日

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キャラクター&開発コンセプト

久々の2リッター直4、ボルボ初の6速DCT


ゲトラグ社と共同開発された6速DCT「パワーシフト」
(photo:Volvo Car Corporation)

2004年発売のS40/V50シリーズと2007年発売のC30シリーズの3モデルに2009年3月1日、低燃費と300万円を切る低価格が話題の新グレード「2.0e」が追加された。

エンジンは先代S40/V40の販売終了以来、日本向けボルボ車では久々の直4ユニットで、排気量は2リッター。ボルボ・カーズ・ジャパンのリリースによれば「日本の輸入車市場の52%が2.0リッターまたはそれ以下のモデルで占められている市場現状をふまえ、新たに導入」されたもの。変速機は「パワーシフト」と呼ばれる新開発の6速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)で、ゲトラグ社とボルボが共同開発したもの。すでに同じフォード傘下のフォーカスに採用されているものだ。

新グレードはC30、S40、V50の各モデルに設定されたが、いずれも最も安いグレードは300万円未満に収まっている。「エコロジカルでエコノミー」とは先週のアウディA3でも使ったフレーズだが、このボルボについても同じことが言える。

ゲトラグ社 http://www.getrag.com (英語)

価格帯&グレード展開

パワーシフトは279万円(C30)から

v50ps_02_C30_S40_V50_2.0e_ps.jpg
2リッターエンジンとパワーシフトが搭載された3モデル。左からC30、V50、S40
(photo:ボルボ・カーズ・ジャパン)

今回からC30、S40、V50の全モデルにベースグレードの「2.0e パワーシフト」と上級グレード(バイキセノンなどを標準装備)の「2.0e Aktiv」を追加設定。グレード名では分かりにくいが、後者もパワーシフト(6速DCT)になる。

【今回追加されたパワーシフト車】
■C30 2.0e Powershift   279万円
■C30 2.0e Aktiv      314万円

■S40 2.0e Powershift   289万円
■S40 2.0e Aktiv      324万円

V50 2.0e Powershift   299万円 ★今週の試乗車
■V50 2.0e Aktiv      339万円

なお、従来の2.4リッター直5+5AT車はエントリーグレードのみ廃止され、上級グレードは装備などを見直して継続される。

パッケージング&スタイル

内外装は基本的には従来通り

今回試乗したのはV50だが、C30やS40も含めてパッケージングやデザインは従来とほぼ同じ。V50の場合、ボディサイズは全長4520mm×全幅1770mm×全高1450mm。ワゴンにしてはコンパクトだが、先週とりあげたアウディA3 スポーツバックと比べると、ホイールベースで+65mm、全長で+230mmも長いから、やはりボルボらしく「エステート」と呼びたいところ。

なおC30/S40/V50シリーズはマツダ・アクセラ、フォード・フォーカス系とプラットフォームを共有する。なのでボルボに直4が載っても不思議ではない。

 

インテリア&ラゲッジスペース

これ見よがしの高級感ではなく

インパネも今までのC30/S40/V50シリーズと共通のもの。これ見よがしの高級感や色気はないが、スイッチのデザインや樹脂の質感に北欧デザインたるボルボらしさが感じられる。

 

センターパネルはボルボ車共通の、曲げ木細工のような「フリーフローティング センタースタック」。これのおかげでDIN規格のオーディオやナビの装着は難しくなっているが、ここはデザイン性の高さを買いたいところ。パワーシフト車の2グレードはいずれも「ボーキサイトグレー」と呼ばれる塗装処理で少々素っ気ないが、これは販売店オプションでアルミパネルや北欧らしいオークのウッドパネルにも変更できる。

ひと味違うボルボのシート

試乗した「2.0e パワーシフト」の場合、シートはフル手動。ただしザックリしたシート地、ボリューム感のあるクッション、座面高に加えて座面前方の高さ(=角度)も調整できる点など機能は万全。巷に「いいシート」はいろいろあるが、ボルボのものはまたひと味違う。

すべてが安全を見据えた作り

広々とは言えないリアシートだが、もちろん大人4人+1という用途であれば特に不足はない。サイドウインドウが半分ほどしか降りないのは従来通りだが、ボルボだけにひょっとするとこれも何かの安全対策か?と勘ぐりたくなる。

 

エアバッグは計6つ。後席乗員はカーテンエアバッグと「SIPS」と呼ばれる側面衝撃吸収構造がカバーする。ボルボの場合、こういった個別の装備ではなく、会社全体の姿勢として安全第一である点がすごい。V50のカタログを見ても、全65ページのうち10ページが安全について割かれている。

シングルでもダブルでもお好み次第


上は両方ともダブルフォールディングで倒した状態。ヘッドレストを差しておく場所もある

荷室で面白いのは後席の折り畳み方法で、背もたれを前に倒すだけのシングルフォールディングでもいいし、あるいはヘッドレストを外して座面を跳ね上げてから背もたれを倒すダブルフォールディングでもいい。

 

手前をシングル、奧をダブルフォールディングで倒した状態

手間の多いダブルフォールディングの方がよりフラットにはなるが、右の写真のように片方をシングル、もう片方をダブルで畳んだ状態を比べても、大きな差はない。こんな風にシングル(北米で好まれる)でもダブル(欧州車に多い)でもどちらでもいい、というタイプは珍しいが、使い分けができて便利だと思う。

 

床下にはスペアタイヤが収まりそうなスペースに、ポツンとパンク修理キットが備わる。

基本性能&ドライブフィール

トルコン並みに頼れるクリープ

試乗したのはV50の「2.0e パワーシフト」(299万円)。この2リッターエンジン(145ps、18.9kgm)は、フォード傘下で基本設計を共有するユニットで、例えばマツダ・アクセラやアテンザの2リッターとボア×ストローク値も同じだ。ただしボルボの方が圧縮比は高めで、指定燃料はプレミアムになる。

ゲトラグ社とボルボが共同開発した6速DCTは、クリープがけっこう強めなのが印象的だ。DCTは普通、クリープを電子制御による半クラッチで擬似的に発生させるが、その力はトルコンほど強くなく、坂道発進でブレーキを離すとヒルホルダーがない限りは落ちてしまう。一方、パワーシフトの疑似クリープは、アクセルを離した後に一瞬遅れてクリープが発生する点を除けば、かなりトルコンっぽい。多少の坂ならジワジワ上ってゆけそうなほど力もある。クルマに詳しくない人なら普通のATだと思うはず。

意外にローギアリング

2リッター直4エンジンは、正直なところ「全域でもうちょっとトルクがあったら・・・・・・」と思わないわけではないが、このクルマはそこをローギアリングと変速プログラムで補っている。VW・アウディ系だと60km/hくらいで6速ないし7速トップに入り、1200回転くらいで巡航、なんてことがよくあるが、ボルボの場合は平地でも6速トップに入るのは70km/hくらいで、その時点で1800回転くらい回っている。街中で常用されるのは2000回転前後で、100km/h巡航も2600回転とけっこう高め。

走行中の変速は十分に素早いが、DCTにしてはゆったり感がある。ある意味ボルボらしいとも言えるが、この印象はエンジン自体の特性(回転落ちの遅さなど)にもよるのかもしれない。

もともとスポーティなハンドリングがより軽快に

アクセルを深く踏み込めば、きっちり上まで、と言っても6000回転くらいまでだが、引っ張って走る。スポーツモードはないので、高回転をキープする際はマニュアルモード(自動シフトアップ付)を使用。相変わらずちょっとレバーの操作力が重く、あまり多用する気にはならない。

C30/S40/V50シリーズのハンドリングは、ボルボ車としてはもともとスポーティな方だが、直4エンジンと6速DCTへの換装で鼻先が40kgも軽くなったため、軽快感はさらに増している。もちろん基本的には安定サイドで、前ストラット、後マルチリンクの足まわりは硬めながら路面をよく捉えてくれる。操縦性自体は先日乗ったアウディA3 スポーツバック 1.4 TFSIと似たような感じ。

タイヤはA3 1.4 TFSIと同サイズの205/55R16で、銘柄はA3がピレリP7、ボルボはミシュランのプライマシーHPだが、どちらも「スポーティ」「プレミアム」「ハイパフォーマンス」といった肩書きを持つタイヤ。試乗したV50の場合、若干ロードノイズが入ってきたが、そうは気にならなかった。

試乗燃費は約8.5km/L

今回はトータルで190kmを試乗。参考までに、平均燃費は車載燃費計の表示で約8.5km/Lとなった。ちなみに10・15モード燃費は11.6km/L。

その10・15モード燃費は従来の2.4リッター直5+5AT車より20~22%優秀だが、アウディA3 1.4 TFSIが試乗燃費で11km/L台、10・15モード燃費で15.8km/Lだったことを思うと、もうちょっと伸びて欲しかったところ。ボルボの方はノンターボだが、やはり排気量が1.5倍になるハンディは大きいようだ。

ここがイイ

今や貴重な小さな「エステート」。装備の簡略化による手頃な価格

日本車にはもうほとんど存在していない小さな「エステート」であること。そして小さいながらも一目でボルボとわかること。日本車だとカローラフィールダーとかホンダ・エアウェイヴが近いサイズ。これらは確かに100万円も安いけれど、子供っぽかったり、商用車っぽかったりして、上級車からのダウンサイザーには向かない。その点このクルマなら、小さくてもプレミアム感のあるワゴンが欲しいという需要にマッチするはず。

なくてもいいか、と思える装備が省かれて安くなっていること。一つ上級のAktiv(40万円高)との差は、フロントシートの高さ調整とランバーサポートが運転席だけになっていること、シートヒーター、シート地(いずれもファブリックだが、AktivはT-Tecと呼ばれる素材)、オーディオのグレード、ステアリングリモコン、ウレタンのステアリングとシフトノブ(オプションでレザーも選択可)、ラゲッジカバーとラゲッジの12Vソケット、バイキセノンヘッドライト、フォグライト(オプションで選択可)、ルーフレールだ。ステアリングだけはレザーにしたいところだが、あとはどうしても欲しいというものでもなさそうだ。価格差は40万円もある。

ここがダメ

飛ばす時はもう少し力強さが欲しい

トルク感が今ひとつ不足気味。普通に走るには大丈夫だが、ちょっと飛ばすともうちょっと力強さが欲しくなる。ギアが6速のオーバードライブ状態に入っても、粘りが足りないからシフトダウンしがち。燃費が期待より若干低めなのもそのせいだろう。DCTにはメカメカしい感覚があり、シフトチェンジ時には一回アクセルを抜くとよりスムーズな印象。VW・アウディのDCTの方が洗練度は高い。

これで装備は良し、とすれば299万円だが、内装に高級感はあまりないからついオプションをたくさんつけたくなってしまう(ウッドパネルとか)。そうするとけっこう高い物になるのは悩ましい。

総合評価

スウェーデンメーカー同士で合併・独立せよ

2009年秋に開催予定の東京モーターショーが大変なことになっている。乗用車の場合、国産車メーカーでは光岡が、輸入車では大半のメーカーが出展を見合わせてしまった。輸入車はポルシェ、フェラーリ、マセラティ、ロータス、ヒュンダイ、アルピナが出るだけという。こうなるとこれらのメーカーもドタキャンする可能性があるだろうから、いよいよ国産車ショーの体となってきた。その国産メーカーに関しても「今回はコンセプトカー制作の依頼がない」との外注業者からのぼやきが噂で伝わってきている。完全に想定外の厳しさだ。

ボルボももちろん今回は出展しないわけだが、スウェーデンメーカーのもう片方の雄「サーブ」に至っては経営破綻ゆえそれどころではない。そして今のところフォード傘下にあるボルボも、この先どうなっていくかやはり不透明。となれば、可能かどうかはさておき、両社ともに国の支援で合併して、スウェーデンメーカーとしてインディペンデントな存在となる、なんてのが美しいように思えるがいかがだろう。両メーカーのクルマはGMやフォードの傘下にあっても、確かにスウェーデン車らしさを失っていない。生産国の雰囲気が感じられるクルマというのは、とても貴重だと思う。

200万円台というキーワードは不可欠

そんなボルボは、日本での販売も低迷気味で、この1月、2月で、輸入車の平均が前年比64.7%のところ、ボルボは46.1%とさらに厳しい数字となっている。それでもブランド的には国産メーカーの輸入車を除くと、VW、メルセデス、BMW、アウディ、MINIに次ぐ位置を確保してはいる。ブランドイメージは十分に確立しており、車種も大型から小型までそろい、ディーラーもしっかりしている。これで売れないのはなぜか、というと、ちょっと高いから、だったからではないだろうか。

そこで値頃感を出すべく、3月に投入されたのが4気筒エンジンの低価格シリーズということになる。特にC30、S40、V50といったコンパクトモデルには「200万円台」というキーワードは不可欠。今回試乗したV50も、乗ってみると確かに高級な感じはないが、手軽に乗り回すクラスゆえに、これくらいがかえって適当かも、とも思える。装備的にも不足はないし、燃費も悪くない。そしてボルボのエステートに期待される道具感も十分ある。ただ残念なのはエステートらしさを演出するルーフレールがオプションであること。これが込みで299万円だとなおよかった。

トヨタがインサイトに対抗して新型プリウスを当初より安く売り出すという。何でもかんでも安くすればいいというものではないが、クルマがここまで売れない以上、様々な企業努力によって価格を引き下げざるを得ないだろう。生活の道具でもあるクルマを売るための一番いい方法は国が行う減税(あるいは補助金)であることは、すでにドイツなど世界各地で証明されているが、政治が混乱する日本ではそれはしばらく難しそう。特に日本での輸入車価格には北米などよりやや割高感があるので、メーカー、インポーターには何とか価格引き下げの自助努力をしてもらいたいものだ。

業界には旭山動物園的な発想が必要

最近の国内における販売台数の急降下は著しいが、それより問題なのはここ数年、輸入車がじりじりと販売台数を減らしていること。クルマ全体が売れなくなってきた昨今だが、クルマの魅力は個性的な輸入車の方が消費者に訴求しやすい。その意味で輸入車こそ積極的に様々な販促を行うべきだろう。生産だけでなく、流通やその他の周辺分野でも様々な工夫を行うことでコストを下げ、その分を値下げや宣伝広報に使って欲しい。

東京モーターショーの出展見送りは、ますます市場を萎縮させるだけ。売れないからコストのかかるショーをキャンセルする、市場規模の大きな中国でならやるというのでなく、コストをかけないでショーを行うという工夫があってもよかったのでは。華美な装飾や演出は要らないから、入場料や出展料を引き下げ、クルマをじっくり見せるというショーにできなかったものだろうか。クルマも世の不人気商品の仲間入りをしてしまったのだから、旭山動物園的発想が必要になっていると思うのだ。

試乗車スペック
ボルボ V50 2.0e パワーシフト
(2.0リッター直4・6速DCT・299万円)

●初年度登録:2009年3月●形式:CBA-MB4204S ●全長4520mm×全幅1770mm×全高1450mm ●ホイールベース:2640mm ●最小回転半径:5.3m ●車重(車検証記載値):1430kg( -+- )●乗車定員:5名

●エンジン型式:B4204S ● 1998cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:87.5×83.1mm ●圧縮比:10.8 ● 145ps(107kW)/ 6000rpm、18.9kgm (185Nm)/ 4500rpm ●カム駆動:- ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/55L ●10・15モード燃費:11.6km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 マルチリンク ●タイヤ:205/55R16( Michelin Primacy HP )

●試乗車価格:299万円( 含むオプション:本革巻ステアリングホイール&シフトノブ -万円、フロントフォグランプ -円、キセノンヘッドライト ※キセノンヘッドライトは先行予約車のみに設定 )●試乗距離:200km ●試乗日:2009年3月 ●車両協力:ボルボ・カーズ千種 (株式会社クリエイト)/a>

 
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