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ボルボ V70新車試乗記(第122回)

VOLVO V70



2000年05月12日

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キャラクター&開発コンセプト

S80のワゴン? S80をベースにワゴン専用開発

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ボルボ初のFFレイアウトで'91年にデビューした850シリーズ。そのエステート(ワゴン)に、1800カ所にも及ぶ大手術を施し、後継モデルとして'97年にデビューしたのが旧V70だ。ボルボの代名詞的な存在であり、今やベンツ、BMWに次いで、ボルボを高級輸入車ブランドの一角を占めるまでに成長させたヒットモデルだ。今やボルボといえば、誰もが10年近くを生き抜いたこのV70のスタイルを思い浮かべるだろう。

今回、フルモデルチェンジされた新型V70のポイントは、フラッグシップとして昨年発表されたS80のプラットフォームを用いている点にある。スタイルもまた共通のイメージでまとめられており、いわば、S80のワゴン版という印象だ。これは従来の安全性の高さだけでなく、デザイン面でも独自路線を打ち出し始めたボルボの新たな挑戦といえるだろう。

日本仕様に搭載されるエンジンは直列5気筒の2.4リッター「ライトプレッシャー」ターボと2.3リッター「ハイプレッシャー」ターボの2種で、組み合わせられるギアボックスは5速ATのみ。ハンドル位置は左/右の選択可。乗車定員は5名の他、オプションでラゲッジにシートを収納した7名仕様も用意される。なお、今回の変更ではセダンは存在しておらず、S70は従来モデルのまま継続され、近い将来S60として登場する予定だ。

価格帯&グレード展開

ちょっぴり安くなったが、それでも本国価格と比較すると日本の価格は高め

グレードは2種類のエンジンに応じて「2.4T」(510万円)と「T-5」(560万円)の2タイプで、後者は500台限定の特別仕様車という位置づけ。どちらもFFで、従来あったAWD(4駆モデル)はない。

「2.4T」は旧型でいうところの「2.5T」で、エンジンも同じコンフォート志向の2.4リッター低圧ターボを搭載する。ボルボの日本での価格は高いというわれているが、今回は一応、20万円ほど値下げされている。

一方、「T-5」はよりハイパワーの2.3リッター高圧ターボを搭載。排気量こそ「2.4T」より小さいがパワーは「T-5」が50馬力も上。装備も本革シート、リアルーフスポイラー、フォグランプ、17インチアルミなど、50万円の価格差以上の装備が奢られる。

ライバルはベンツEクラス、BMW5シリーズ、サーブ9-5などのステーションワゴン。国産ではクラウン・エステートあたりだ。 なお、セダンのS70は従来モデルのまま継続生産&販売されるほか、旧V70も特別仕様車のクラシックなどが当分の間(在庫がなくなるまで)、新V70と併売される。

パッケージング&スタイル

洒落っ気に目覚めたボルボの新しいキーワードは「デザイン」。でも流麗なラインは賛否両論ありそう

S80のプラットフォームをスケールダウンして流用した新型V70のボディサイズは全長4710mm×全幅1815× 全高1470mm、ホイールベース2755mm。旧型と比較して全長、全高はほぼ同じで、全幅がプラス55mm、ホイールベースがプラス90mmとなっている。

全体のデザインは、切り立ったテールゲート以外は、近年のボクシーなボルボを引き継いだというより、モダンなS80のワゴンといった印象。日本人にとっては好みが分かれるところだ(当編集部でも意見は二分した)が、いままで洒落ッ気とは無縁だったボルボとしては、なかなか思い切ったデザインといっていいだろう。しかしドアが分厚く見える張り出したショルダーラインは、ボルボのイメージでもある「頑丈」「安全」を強調するのに一役買っているし、このショルダーラインは60年代の144や164、そして2シリーズでも使われたボルボのアイデンティティラインでもある。若い人には違和感があるかもしれないが、年寄り? には懐かしい、ボルボらしいデザインだったりするのだ。

スカンジナビア臭の薄れたインテリア

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ホイールベースの延長で広くなった室内は最大で1621リッターの荷室容量を確保。ラゲッジに2名分のシートが収納される7人乗り仕様をオプションで設けたのが新しい試みだ。荷室の拡大はリアサスがマルチリンクとなってコンパクト化したことも大きい。

運転席回りのコックピット感覚が強まったことで、全体の雰囲気は高級車というよりもスポーティー車という印象だ。木目パネルは白樺風の独特の淡い色彩のものから、ごく普通の濃茶に変更されており、その使用数も控え目。これまでボルボの美点であった北欧家具にも通じるスカンジナビアン・ムードは明らかに薄くなっている。ここはちょっと残念。

安全性向上のために実験センターへ100億円を投資

世界をリードし続けるボルボの「安全性の追求」は誰もが知るところ。今回はそのアドバンテージをさらに確固たるものにするため、100億円という巨額を投じて世界最先端の衝突安全実験センターを完成させてしまったという。

加えて健康や環境問題、資源活用などへのアプローチも前向きなのが、ボルボ。権威ある独立検査機関による認証をうけた、業界初の「環境宣言書」も作成。乗員保護装置「SIPS」「WHIPS」、チャイルドシート固定の国際規格「ISO FIX」対応、内装地の環境分類表示規格「エコ・テック基準」の対応など、資料には様々なうたい文句が踊る。こうなればもちろん灰皿はオプション。ヘビースモーカーの筆者にはつらい。

基本性能&ドライブフィール

低圧ターボが標準。高圧ターボは打倒レガシー?

搭載されるエンジンは2タイプ。「2.4T」には2.4リッターライトプレッシャーターボ(最高出力200PS/6000rpm、最大トルク29.1kgm/1800~5000rpm)。

「T-5」には2.3リッターハイプレッシャーターボ(最高出力250PS/5200rpm、最大トルク33.7kgm/2400~5200rpm)。

いずれも横置きの直列5気筒DOHCで、基本的に旧型と同じエンジンだが、スペックは5%ほど向上しており、燃費も車両重量が100kgほど増加しているにも関わらず、良くなっている。

ギアボックスはアイシン製5速AT。5速のギア比は1.018:1と、オーバードライブの設定はない。

足回りはS80と同じで前がマクファーソンストラット式、後ろがマルチリンク式。前こそ旧型と同じ型式だが、後ろは半独立式から完全な独立式に変更されたのが大きな特徴だ。

低圧ターボのマイルドな過給は、国産車にはない独自の滑らかな加速感をもたらす

試乗したのは「2.4T」。1800~5000回転という広範囲で最大トルクを発生し、さらに1速のギア比が一般的な設定よりもかなりローギアード気味に振られているから、出足はかなり俊敏だ。反面、80km/hあたりからの加速は鈍い感じ。

低圧ターボだけに、マナーよくアクセルを踏んでやるかぎりターボラグはほとんど目立たず、日常的な走りでは非常に扱いやすいもの。一回り大きな排気量車に乗っているかのごとき力感がある。逆に、アクセルのオン、オフが激しくなりがちなケース、例えばワンディングではギクシャクしてしまう。また、トルクがフラットなだけに、走りにメリハリはない。いつでも力はあるが、ここ一番では力不足という感じがしてしまうのだ。走りを楽しみたいなら限定車T-5を買え、ということのようだ。

気になったのが乗り心地だ。硬めに味付けされた足回りは、段差などのショックが上手く吸収しきれておらず、結果的に落ち着かないドタバタとした乗り心地となってしまっている。前席では不快なレベルではないが、後席では少なからず気になるだろう。500万円以上もする高級車と考えるとややつらい感じ。しかし、試乗車は全くの新車で、それを差し引いて考えておく必要がある。欧州車の場合、乗り心地は走り込むと大きく変わることがあるからだ。

それでも、それら振動に全く影響されないボディ剛性の高さは大したもの。事実、データ上のねじれ剛性は、旧型よりも60~70%向上している。もちろん、ハンドリングにも良い結果を与えており、手応えあるパワステと程良い過給感の相乗効果で、ワインディングなどではドライビングの楽しさを備えるまでに至っている。これは旧型にはなかったこと。

ここがイイ

多くのユーザーがボルボに対し第一に期待している「安全」が、今回もしっかりと表現できたこと。デザイン面でがんばって冒険していること。他にないスタイルのワゴンであることは誰もが認めるはず。また走りが先代より楽しくなっているので、個人的には買ってもいいと思えるようになった。

ここがダメ

旧V70に人気があったのはやはりブランド力によるもの。でも、そのブランド力って、あの四角いスタイルが維持しているのでは。あの形が好きだからという理由でボルボを支持している人って多い。四角から脱皮したボルボ、人気は果たして? また内装や走りの質は、はたして価格とつり合っているだろうか。

総合評価

ボルボの十八番といえば「安全」。しかし、最近では国産メーカーも安全性が高まってきており、ボルボの立場も危うくなってきた。そこでボルボが次なるキーワードとして注目したのが、S80から始まった新たなデザインワークだ。今のところ日本では、このデザインに関して、ちょっとハズしているように思われているが、要は慣れの問題であって、新型に見慣れると旧型が古めかしく見えてくるにも確か。デザインは○だと思う。

生真面目な姿勢はフォード傘下となっても変わらないようで、フォード系の高級車群とは大きく違う絶対の信頼感を持っている。ジャガーなどはフォードの臭いがそこはかとなくあるが、いまのところボルボにはない。提携後間もなく、まだV70にはフォードの影響力が及んでいないのだろう。その面では生粋のボルボとしては最後のクルマなのかもしれない。

これまでのボルボどおり、特筆すべき「ガイシャっぽい味」こそないが、走行性、遮音性、ボディ剛性など、全ての面で旧型を凌いでいることだけは確か。また走りが楽しいボルボにもなったのだが、ボルボもかつて欧州のレースで240ターボが活躍したことだってあったわけで、走りをないがしろにしていたわけではないのだ。つまり新型V70はボディデザインと同じく、走りの面でも伝統と最新の要素を融合させ、この先また8年程度、陳腐化させずに長く売られるクルマとしての要件がそろえられたわけだ。

つまり今買えば、8年乗ってもさほど古びた感じがしないことになり、これは大きなメリットだろう。ただ足回りなどのセッティングなどは年々どんどん改良されていく。輸入車は新しいものほどよくなっているというのも確かなところなので、輸入車を買う時期というのはなかなか難しい。

公式サイト http://www.volvocars.co.jp/pp/newv70/default.asp

 
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