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ボルボ V70 3.2 SE新車試乗記(第489回)

Volvo V70 3.2 SE

(3.2L・6AT・575万円)

PV445から約半世紀。
850から数えて3世代目となった
ボルボエステートの印象は?

2007年12月01日

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キャラクター&開発コンセプト

850/初代V70から数えて3世代目


新型ボルボ V70。東京モーターショー2007にて

2007年10月24日に日本で正式に発表された新型「V70」は、850エステート(1992~97年)のビッグマイナーチェンジ版である初代V70(97~00年)と、全面変更された2代目(00~07年)に続く3代目。ボルボの主力ステーションワゴンであり、販売面でも最重要モデルだ。同時にV70がベースのクロスカントリーモデル「XC70」も新型となった。

 

東京モーターショーのボルボブース中央には、ボルボ初のエステート「PV445 Duett」(1953年)も展示された

新型V70はボルボの最高級セダンである現行(2代目)「S80」(06年11月に日本発売)をベースに開発されており、その点では「S80のステーションワゴン版」とも言える。そのためボディは一回り大きく、従来モデルで直5だったエンジンも、今回から3.2リッター直6(もちろん横置き)が主力となっている。

価格帯&グレード展開

直6は575万円から。直6ターボは750万円


新型XC70

日本仕様のラインナップは以下の通り。直6が主力だが、日本仕様には直5ターボも追加される予定。変速機は全車アイシンAW製の6ATだ。

■V70 2.5T LE :08年発売予定  ※2.5L直5 ライトプレッシャーターボ(200ps)
V70 3.2 SE :575万円  ※3.2L直6 NA(238ps) ★今回の試乗車
■V70 3.2 SE AWD :08年発売予定  ※3.2L直6 NA(238ps)
■V70 T-6 TE AWD :750万円  ※3.0L直6 ツインスクロール式ターボ(285ps)

■XC70 3.2 SE AWD :625万円   ※3.2L直6 NA(238ps)

パッケージング&スタイル

フラッグシップ並みのサイズ

ボディサイズ(先代比)は全長4825(+105)×全幅1890(+85)×全高1545(+55)mm。ホイールベースは2815(+60)mm。1.9メートルに迫る全幅、1.5メートル台に達した全高は、欧州製ワゴンとしてはクラス破りの大きさ。最高級セダンであるS80と比べても全長:-25mm、全幅:+30mm、全高:+50mm、ホイールベース:-20mmとほとんど同じだ。ルックスが上品なので威圧感はないが、ボディサイズ的にはまさに「S80ワゴン」と言える。

「箱型」と決別

メーカーの資料に「ボルボ・エステートの特徴である箱型の外観と決別」とあるが、先代V70がすでに箱形とは決別していたので、デザインに大きな驚きはない。細かいところで面白いのは、リアゲートの「VOLVO」ロゴが、1950年代のボルボ車のような文字間隔の空いた意匠となっている点。ボルボエステートの歴史の長さを効果的にアピールしている。

 

S80と同様のインテリア

現行S40&V50に遅れること約3年。ついにV70のインテリアも新世代ボルボの、つまり例の「フリーフローティング・センタースタック」付きになった。雰囲気はS80とほぼ同じで新鮮味はないが、むしろモデルごとにコロコロとデザインや操作系を変えることの方がおかしいのかも。このあたりもボルボらしいと言えば、らしい。ステアリング右にある駐車ブレーキの操作レバーは、電子式の全自動だ。

 

オプションのベンチレーション機能(試乗車ではデラックスパッケージ:23万5000円に含まれる)付フロントシートに収まれば、「全幅はせいぜい旧モデルと同じくらいかな」という感じ(実際には+85mmだが)。オプションのキーレススタートを選ばないと、ブロック型キーを左手に持ち替え、ステアリング左に差さなくてはいけない、という最近の輸入車に多い煩わしさはあるものの、それを除けば特に戸惑う部分はない。純正ナビは事実上、後付けになる。

フットルームを拳一つ分拡大

先代の後席は決して広いとは言えなかったが、新型ではホイールベースを60mm延長し、フットルームを約50mm拡大。試乗車には付いていないが、「インテグレーテッド・チャイルド・クッション」(内蔵式ブースター)が全車にオプションで用意される。今回から子供の体格に合わせて、高さを2段階で調整可能になった。

 

リアシートに関するニュースは、新開発の3分割(40:20:40)式になったこと。先代XC70やXC90で好評だったもので、4名乗車時でも大物のトランクスルーがやりやすくなった。

荷物に加えて、工夫も満載


よく見ると荷室開口部の形状はコンパクトカーのC30と同じヘキサゴン(6角形)になっている

最大荷室容量はV70シリーズ最高の1600L(先代比+60L)。感心するのはそこに様々な工夫が施されていることで、レールに沿って自由に移動できるアルミ製フック、S80のトランクにもあった荷室フロアの一部を引き起こして使うディバイダー(仕切り板)、フロアボード全体をダンパーストラットの力で引き起こすと現れる床下収納(テールゲートが閉まると自動施錠する)、日本車みたいな電動リアゲートなど、「いろいろ工夫してます」感あり。荷物さえも「ファーストクラス並み」というメーカー資料の言葉が憎い。

 

基本性能&ドライブフィール

スポーティな直6。ゆったりした乗り心地

2007年内にデリバリーが始まったのは3.2リッター直6(238ps)・FFの「3.2 SE」(575万円)と3リッター直6ターボ(285ps)・4WDの「T-6 TE AWD」(750万円)の2車種だが、今回は販売主力であろう「3.2 SE」に試乗した。

第一印象は現行(2代目)S80やC70といった最新ボルボ上級モデルとほぼ共通。パワー感は穏やかで、7.4kg/psという馬力荷重相応のもの。直6ユニット自体は直5より1気筒増えた分だけ滑らかさを増し、ボルボらしからぬ高回転指向という印象。つまり回した分だけパワーを稼ぐもので、アイシンAW製6速ATとの相性もいい。高回転域でも不快なノイズや振動はなく、走行中も上質感がキープされる。とはいえ、少なくともエンジン音は特に静かではなく、アイドリング時の音振も日本製高級車より大きめとなる。

足回りもボルボらしくゆったりソフトな設定で、乗り心地はもちろんいい。先代の曖昧なステアリングフィールを一掃しつつ、荒れた路面でのゴロゴロ感は減っている。先代と同じ方向性のまま、1世代分洗練させたという感じだ。最小回転半径は5.5メートルと小さく、直6・横置きFF車とは思えないほど小回りが効く。

スタビリティ重視ならAWDか

印象的だったのは、最近のFF車のような感覚で中速コーナーに入ってゆくと、予想以上にノーズがインに入ってしまうこと。印象としては「切れ込む」という感じで少々違和感があった。また足回りの意図的な設定のせいか225/50R17タイヤのグリップも低く、割と簡単にESPが介入するところまで達してしまう。挙動が不安定になるという感じではないが、ドイツ車的なスタビリティ重視であれば「AWD」が本命かも。

ハイスピード域での直進安定性は良好。100km/h巡航は1900回転で、その気になればストレート6をフルに回し、追い越し車線を余裕で走り続けられる。ちなみに「3.2」UK仕様の最高速は235km/hで、0-100km/h加速は8.4秒。「T-6 AWD」は245km/hと7.2秒、08年日本導入予定の「2.5T」は約209km/hと8.5秒だ。

今回は高速を中心として約200kmほどを試乗。参考までに車載燃費計による試乗燃費は6.9km/Lだった。10・15モード燃費は8.0km/L。

ここがイイ

「クラスでもっとも安全な車を目指して開発」と主張できる、相変わらず徹底した安全第一主義。衝突安全に関しては昔から有名だが、最近のモデルでは事故を未然に防ぐ先端装備(多くはオプションだが)が充実している。レーダークルーズ(フォード系は「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」と呼ぶ)、車間警告機能、追突警告機能、車線逸脱警告(レーン・デパーチャー・ウォーニング)、走行中の死角に入ってくるクルマやバイクの存在をドライバーに警告する「BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)」、駐車時の車内を監視する「PCC(心拍センサー付きパーソナル・カー・コミュニケーター)」などなど、レクサスLSもびっくりのハイテクぶり。

防犯面でも前述のようにラゲッジフロア下のロック機能付き収納があるし、エステートとしては世界で初めてすべてのウインドウに割られにくいラミネートガラスを採用している(オプション)。日本もどんどん物騒になってきているので、ありがたいところ。ボルボらしい「安全」の先取りだ。

相変わらずオーディオの音。試乗車の「プレミアム・サウンド・システム」はデンマークDYNAUDIO社製12スピーカー、ドルビーサラウンド・プロロジック・システム、650Wデジタルアンプを組み合わせたもの。スペックはともかく、また最終的には好みなのだろうが、純正オーディオとして珍しいほど「自然な」音。

ここがダメ

先端装備も満載してるし、オーディオもいいのに、肝心のナビは事実上の後付け。まあ社外品の方が機能もいいし、付け替えも可能だからいい、と考えることもできるが、せっかくのインテリアデザインがそれで多少なりとも損なわれるのは避けられない。

これに関してはディーラーも対策を考えており、ボルボ・カーズ 尾張一宮がオリジナルのナビモニター電動昇降装置を発売している。 http://volvo.ne.jp/car_navi/

最近は性能のいいPND(簡易タイプのポータブル型カーナビ)も続々と発売されているので、高価なナビを最初から取り付けてしまわず、PNDを最新型に買い換えていくというのも手かもしれない。その場合ならナビがないのはかえっていいことかも。

総合評価

あと50万円でXC70が買える

最も売らなくてはならないボルボであるにもかかわらず、印象が薄いのは否めない。一つ一つの機能をチェックし、乗り心地を確かめ、いいクルマだなあと思いつつ、575万円という価格とその存在感のギャップにため息をつく人は多いはず。あと50万円出すとXC70が買えるので、そちらに目がいってしまう人もまた多いだろう。XC70の分かりやすい記号性にくらべて、V70は何となく漠としている。走りも乗り心地も大きな不満はないし、6気筒になってさらに滑らかになったにもかかわらず。

エクステリアはよく見れば確かにずいぶん変わっているのだが、初見の印象では誰もが大きな変化を感じないだろう。グリルも最近の欧州車らしからぬ控えめな印象。インテリアも同様だ。フローティングセンタースタッグはさすがに見慣れてしまったし、家具に通じるセンスのいいスカンジナビアンデザインも重厚さが抑えつけてしまった感じ。使い勝手のよくなった荷室に関しても、実際に使ってみて初めてその良さを実感できるというものだ。

重要なのは最上級ワゴンであること

つまり、それらをすべて逆手にとって、それこそが新型V70の良さ、と感じられるかが、このクルマに心動かされるかどうかの分かれ道。派手さがないのは「控えめながら本当に良いもの」を選ぶという人にとってはありがたいことだし、目立ちたくないという人が選べる数少ない輸入車でもある。ベンツやBMWは派手、アウディも最近の顔は好きになれない、オペルはもうなくなってしまったし、ジャガーはジャガーだし、ラテン車はもちろん論外。地味めなクルマで高級で、センスが良くて性能も良く、しかも安全とくれば、「いや、もうこれこそが欲しいクルマ」という人は一定数、確実にいるだろう。

 

ボルボ PV445 Duett

それに重要なのは最上級ワゴンであることだ。事実上のS80ワゴンでもあり、ワゴンとしては大きさも地位も最高位にある。当然日本車にそんなクルマは今や存在せず、実質的にはEクラスステーションワゴン、5シリーズツーリング、A6アバント、そしてこのクルマしか選択肢はない。ワゴンがライフスタイルとなっている人にとっては、今や貴重なクルマといえるだろう。こうなるとV8モデル待ちという買い控えこそが、このクルマの当面の敵かもしれない。しかしまあ、性能的にはもうこれで十分だと思うし、今時貴重な新型直6というのも蘊蓄(うんちく)として楽しむことができそうだ。やはりボルボの場合は「エステートであること」が命。この優位だけは揺るがない。

試乗車スペック
ボルボ V70 3.2 SE
(3.2L・6AT・575万円)

●初年度登録:2007年10月●形式:CBA-BB6324W ●全長4825mm×全幅1890mm×全高1545mm ●ホイールベース:2815mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1770kg( 1050+720 ) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:B6324 ● 3192cc・直列6気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 238ps(175kW)/6200rpm、32.6kgm (320Nm)/3200rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L ●10・15モード燃費:8.0km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前ストラット/後マルチリンク ●タイヤ:225/50R17( Michelin Primacy HP )

●試乗車価格:618万0800円( 含むオプション:デラックス・パッケージ<パーフォレーテッド・レザーシート+プレミアムサウンドオーディオシステム【650W、DYNAUDIO社製12スピーカー】+ヘッドフォンソケット> 23万5000円、レジャー・パッケージ<ルーフレール+ダークティンテッドガラス+ハンバーガーテーブル> 5万円、カーゴコンパートメント・パッケージ(ロードディバイダー+ネットポケット+ロードフック> 3万7800円、メタリックペイント 10万8000円 )●試乗距離:約200km ●試乗日:2007年11月 ●車両協力:ボルボ・カー 尾張一宮

ボルボ・カーズ・ジャパンhttp://www.volvocars.co.jp/

 
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