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ホンダ バモス新車試乗記(第83回)

Honda Vamos



1999年07月16日

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キャラクター&開発コンセプト

キーワードは「エンジョイ」

「バモス」。30代以上の自動車ファンにとって懐かしい響きではないだろうか。70年代に登場したバモスはミッドシップオープンピックアップというユニークなクルマだった。しかし、今回登場した新型バモスは、ミッドシップということを除けば、そのコンセプトには何の関連もない。一足先にフルモデルチェンジした新規格軽1BOX商用車である「アクティ」の乗用車版にバモスを名を与えたのだ。

新型バモス(とアクティ)の最大の特徴はエンジンを後席床下に配置するミッドシップレイアウトとしたこと。軽自動車という限られたサイズの中で、可能な限りの室内空間を確保し、世界最高水準の衝突安全性と高い環境性能を実現している。さらに商用車アクティと区別を明確するために、専用外装部品や多彩なシートアレンジなどを採用し、遊びと実用を高次元で両立した。

このところ軽1BOXに新規格となって相次ぎ乗用車(5ナンバー)モデルが登場しているが、この理由は下記のようなことが挙げられる。

・乗用を登場させることによって、一般ユーザーを獲得する。いわば脱商用イメージ。
・荷室空間のサイズ制限がなくなり、リアシートの居住性がアップし、リクライニングも可能となる
・乗り心地重視の足回りの変更
・自動車税は数千円高くなるが、法定点検と車検費用の減額につながる。

価格帯&グレード展開

エンジンは0.66リッターNAのみで、グレードは装備の違いによる「M」「L」が用意される。外観ではフロントグリルとドアハンドルが、ボディ同色のMに対してLはメッキ仕様となり、アルミホイールも標準装備される。内装では、木目調パネル、4スピーカー+オーディオ、助手席シートバックポケットがLの専用装備となる。
 価格帯は109.4~131.4万円。ライバルはスズキ・エブリィワゴン、ダイハツ・アトレーワゴン、三菱・タウンボックス。しかしこれらライバル群は全てターボ車を用意している。

パッケージング&スタイル

デザインはステップワゴンの縮小版といったところ

ベースとなったのはいうまでもなく商用車のアクティ。ミッドシップレイアウトの後輪駆動というのは同社のZと同じだが、プラットフォームは別モノだ。エンジンはZが縦置きに対して、バモスは横置きとなっている。

小さなボンネットを持つエクステリアデザインは、同社のステップワゴンに通じるもの。ルーフパネル、大型バンパー、縦型テールランプを変更し、サイドスカートを専用装備することで、アクティとの差別化を図り、かつ存在感を強調している。

ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1775mm。ライバルと比較すると全高が最も低い。MR方式の恩恵でホイールベースは最も長く2420mmだ(アトレーも2420mm)。ホント、タイヤが4隅にチョコッとくっついている感じだ。限られた軽自動車枠の中で、最大限にスペース効率を追求すると必然的に箱形スタイルとなるわけだが、スクエアな印象はライバルの中でも最も強く、それが個性につながっている。広いオデコのように見えるボンネットがチャーミング。「キャワイー」という女性の声もあった。しかしこれ、そういうキャラクターで売るクルマか?

内装もアクティと差別化、でも先発ライバルを研究し尽くしたというほどではない

長さ1690mm×幅1250mm×高さ1270mmという室内サイズは、スズキ・エブリィ(長さ1730mm×幅1270mm×高さ1330mmでクラス最大級)に一歩及ばないもの。インパネのデザインはオーソドックス。一応、シート表皮や木目調パネル、ドリンクホルダー等が装着され、乗用車チックな印象を与えているが、ナビモニターと助手席エアバッグの配置が取って付けたようで、見栄えは決して良いとはいえない。ATシフトもアクティと同様、フロア式だ。最も大きく変わったリアシートは、ヘッドレスト、カップホルダー付きのセンターアームレスト、リクライニング機構が標準装備となる。2人掛けなので、横方向のゆとりはたっぷりある。膝元スペースも全く前席の背もたれにあたることがない。6:4分割可倒式となっており、ダブルフォールディングすれば広大な荷室にもなる。ただ、スライド機構は付かない。このあたりの商品力は300mmロングスライドを持つアトレーワゴンが勝っている。

なお、両側スライドドアというのはこの手のクルマでは常識装備のひとつ。リアウインドウが転落防止のため一旦停止してから全開になるのは、旧型アクティからの継続採用だ。バックドアを閉める際の取っ手が欲しいところ。

このように使い勝手の面では特別際立ったものはない。それより特筆すべきは安全性能だろう。特に衝突安全性に関してはクラスを超えたレベルに仕上がっている。いくら軽自動車の車両重量が軽い(=衝突エネルギーが小さい)といっても、バモスの重量はリッターカーと同じ1トン近くある。それをホンダ独自のGコントロール技術の採用により、わずか30cmばかりの鼻先で、55km/hフルラップ衝突&64km/hオフセット衝突にも対応しているのだから、やはり誉められずにはいられない。

基本性能&ドライブフィール

スペックは控え目、非力なノンターボエンジンのみ

搭載エンジンはLEV対応の0.66リッター直3SOHC(最高出力46PS/5500rpm、最大トルク6.0kgm/5000rpm)のみ。ギアボックスは、MRには5速MTまたは3速AT、4WDは5速MTのみが組み合わせられる。足回りは前がストラット式、後がホンダ独自の板バネを用いるド・ディオン式。パワステの制御は電動式のEPSが採用される。また、最小回転半径は4.5m(2WD)でフロントオーバーハングが短いため、実用回転半径も4.7mと良好だ。

3速はやはりきつい。5ナンバーならぜひ4速を

アイドリング時のエンジンの音・振動はさほど気にならない。走行中のエンジン音は後ろに流れるので、エンジン回転が上がってもドライバーにはさほどウルサイと感じることもない。全体に静かなクルマだ。

photo_3.jpgステアリングはやや寝かし気味で、ペダルも上から踏む感じ。加えて足元にホイールハウスが大きく張り出しているので、ペダルのオフセットが中央寄りとなっており、やや不自然なドライビングポジションと感じられた。ホンダが謳っている”エンジョイ”という気分にはちょっとなれなかった。ホンダの電動パワステは一般に、軽く、フニャフニャした感じを受けるが、バモスも例に漏れず。戻る力も弱く、オットットという場面もあった。

1トン近くの車重に46馬力しかないのだから、当然、非力。急な坂道ともなると、フル全開でもなかなか加速してくれない。エンジンはよく回るのだが…。平坦な市街地をのんびり走らせる分には、不満はなく、チョイ乗り用のクルマと考えれば納得できるだろう。

12インチタイヤに板バネ、非常に頼りない足回りだが、乗り心地自体は決して悪くない。商用車のようなビシバシとした突き上げはなく、幾分ソフトな感じで、コーナリングも低重心によりそれなりに安定している。先代アクティにも乗ってみたが、剛性感をはじめ、加速、走りの質感は飛躍的に向上していることが分かった。

ここがイイ

ミニバンタイプ軽1BOXより、圧倒的なスペース効率。この効率を確保した上で衝突安全性も高いのだから、やればできるものだと感心してしまう。シートの高さも立ち位置からちょうどお尻を滑り込ませやすい高さで、乗り降りしやすい。ゲタ的にちょっとそこまで、と使うには不満なし。

ここがダメ

高速道路はやはり辛かった。80km/hで5000回転、100km/hで6000回転、トップスピードは115km/hといったところで、トラックの流れる夜の東名ではなかなか怖い思いをした。直進性も今一歩。ただ、これだけ回してもホントに室内が静かなのは驚いた。

総合評価

photo_2.jpg大都市圏の人にはわからないかもしれないが、ちょっと郊外に住んでいると、原チャリ感覚の何でもできるクルマは必需品。軽トラや軽バンは通勤から遊びまで、一家に一台あると実に重宝する。ちょっと納屋にあるガラクタを運んだり、近所に釣りに行くときの足にしたり。もちろん、ホームセンターからコンビニまで、何を買っても運べるから安心だし、なにより気軽だ。しかも安全性が今までの軽トラより高くて、リアシートにも人が十分乗れるとなれば、郊外のサードカーにピッタリ。もちろんメインのクルマは他にあるので、あくまでサードカー以下に位置するクルマというわけだ。他の5ナンバー1BOX軽は、妙にワゴンを意識してセカンドカーくらいの地位をねらっているが、バモスは「サードカーでいいや」的いさぎよさが好感。

田舎へ行くとホンダの軽トラの多いこと。その販売網に投入され、さらにワゴン的かっこよさ(後ろから見るとミニステップワゴン)をちょっと持たせて、より拡販をねらうというのがバモスなのだろう。

公式サイト http://www.honda.co.jp/VAMOS/

 
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