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ホンダ バモス ホビオ “マイボックス” ポップアップ新車試乗記(第599回)

Honda Vamos Hobio “My Box”Pop Up

(0.66L 直3 ターボ・4AT・4WD・340万4100円)

人気の軽キャンパー!
ホビオ“マイボックス”で、
青年は荒野を目指す!

2010年06月18日

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キャラクター&開発コンセプト

「バモスホビオ」ベースの軽キャンパー


今回試乗したバモスホビオ「マイボックス」。人気のポップアップルーフを装備した仕様だ

ホンダ「バモス」は、ストリートの後継車として1999年に発売された軽ワンボックス車。商用車であるアクティバンの乗用版だが、そのバモスを+105mmのハイルーフ仕様にしてレジャービークル色を強めたのが「バモスホビオ」。こちらは2003年4月に発売された。

さらにそのバモスホビオをベースに、愛知県に本拠を置く株式会社ホワイトハウス(本社:名古屋市)がキャンパー仕様に仕立てたのが、今回試乗したバモスホビオ「マイボックス」。同社はバモス発売時からその軽キャンパーを製作・販売しており、2007年にはポップアップルーフ仕様を発売するなど、近年盛り上がっている軽キャンパーブームの牽引役となっている。

その特徴はまず、ホンダ・バモスベースであること。軽ワンボックスの中では乗用車色が強く、また唯一エンジンを車体中央に搭載するミッドシップ車となる。それによる快適性や操縦安定性の高さが、そのままマイボックスの特徴だ。

また商用バンベースが多いキャンパーの中で、4人乗車が快適に出来る5ナンバー乗用ワゴンベースであり、普段は使い勝手のいい普通の軽自動車として乗れる点も好評なようだ。さらにメーカー純正と見紛うような仕上げの良さ、完成度の高さ、ポップアップルーフの採用などもユニークな点となっている。

■過去の新車試乗記>ホンダ バモス ホビオ L (2003年5月)

ホワイトハウス キャンパーとは?


「オートプラネット名古屋」(愛知県東郷町)にあるホワイトハウス キャンパーのショールーム

現在、愛知県下でプジョー、フィアット・アルファロメオ、MINIなど輸入車ディーラーを数多く展開するホワイトハウスは、1979年に名古屋で創業。当初はフォルクスワーゲン中古車の専門店としてスタートし、やがてドイツ・ウエストファリア社製を主とするVWキャンパーの輸入販売も行うようになった。現在はいわゆるキャブコンと呼ばれる大型キャンピングカーも手がける同社だが、乗用車ベースの小型キャンピングカーを得意とするのには、このような経緯がある。

近年はグループ内にホンダ・ディーラーを持つことから、ステップワゴンやバモスのキャンパー仕様を積極的に開発・販売している。現在、同社のキャンパー事業部は愛知県東郷町にあるマルチブランド大型ショールーム「オートプラネット名古屋」内にあり、販売もここから全国に行っている。

■外部リンク>ホワイトハウス キャンパー

価格帯&グレード展開

人気のターボ車はおおよそ200万~270万円。ポップアップは+71万4000円


バモスホビオをベースとするため、ボディカラーは6色(ベース車と同じ)と豊富

ベースとなる新車のバモスホビオは2010年6月現在、ノンターボの「ホビオ L」(2WDは5MTか3AT、4WDは5MTか4AT)と「ターボ」(2WDおよび4WD、4ATのみ)の2タイプ。前者をベースにした「マイボックス」は173万4600円から、後者をベースとしたものは192万3600円からスタートする。

ここから「ポップアップルーフ」(全車オプション:71万4000円)のほか、マイボックス独自のグレードである「スモールボックス」、「ミディアムボックス」、「ラージボックス」という具合にキャンパー装備を充実させた仕様を選んでゆくと値段は徐々に上昇。例えば今回試乗したようなターボ・4WDのラージボックス(ほぼフル装備車)は、340万円を超える。とはいえ、ベース車はこのターボ車(全車4AT)が一番人気で、仕様に関してもギャレー(キッチンユニット)やサブバッテリー等を備えた「ミディアムボックス」、あるいはさらにエアヒーターやサイドオーニング等を備えた「ラージボックス」が人気のようだ。

■ホビオ L マイボックス ※ポップアップ仕様:+71万4000円
・2WD : 5MT/3AT・直3(46ps、6.1kgm)  173万4600円~242万7600円
・4WD : 5MT  ・  直3(   ↑   )  186万0600円~250万1100円)
・4WD : 4AT  ・  直3(53ps、6.2kgm)  192万3600円~256万4100円


■ホビオ ターボ マイボックス ※ポップアップ仕様:+71万4000円
・2WD   4AT ・ 直3ターボ(64ps、9.5kgm)  192万3600円~256万4100円
・4WD  4AT ・ 直3ターボ(   ↑   )  204万9600円~269万0100円
  ★今回の試乗車は269万0100円+71万4000円(ポップアップルーフ)=340万4100円

パッケージング&スタイル

ベース車より100mmアップ。さりげなくキャンパーっぽい

ポップアップ仕様のボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1980mm。ハイルーフのホビオよりも、さらに100mm高いのはポップアップルーフのためで、軽規格の上限である2000mmをほぼ使い切っている。

また試乗車には、左側面にFIAMMA(フィアマ)製のサイドオーニング、リアにはカーゴラックが装着され、よりキャンパーっぽい。もともとホビオは商用車っぽさが払拭されており、その点も他のキャンピングカーとは異なる点だ。

 

他にベース車と異なるのはステッカー類で、ボディの前後、運転席ドア、ポップアップルーフ左右に「My Box」、そしてルーフ前端に「WHITE HOUSE」と付く。また細かいところでは、純正ルーフアンテナがルーフ真上からルーフ側面に移設されている。

インテリア&ラゲッジスペース

ドラポジは違和感なし。座り心地もまずまず

運転席からの風景は、バモスホビオそのもの。ドライビングポジションもこの手の軽ワンボックス車としてはかなり普通で、ほとんど違和感はない。ステアリングの角度もいいし、ペダルのオフセットもなし。シートの座り心地も良く、これなら一日中乗っていても大丈夫かな、と思える。

すでにデビューから11年経つバモスだけに、デザインは一昔前のEK型シビックみたいな感じで懐かしいが、質感自体は決して悪くはない。

 

気になったのはオーディオの2DINスペースがセンターコンソールの最下段にあること。試乗車にはそこにHDDナビが装着されていたが、モニターはかなり見にくく、この位置への装着はまったくおすすめ出来ない。現状ではPNDか、オンダッシュ式のナビがいいだろう。

「4人乗りのミニバン」と言える快適な後席。

5ナンバーだけに後席の居住性は良好。親子4人はもちろん、大人4人でも長時間快適に過ごせそうで、この点では4人乗りのミニバンでもある。特にバモスでいいのはエンジンを床下ミッドシップ(後席座面の下)に搭載するため、足をしっかり伸ばせること。キャブオーバーのFR車ではこうは行かない。

なお、後席スライドドアのサイドウインドウは、手動ながら開けることができる。一人で乗っている時に閉め忘れて走り出すとちょっと面倒だが、ま、このあたりは慣れだろう。

 

背面テーブルを金具で水平にした状態。写真は奧をベッドにしたところで、いわばベッドサイドテーブルになる

なお、後席の背もたれは前に倒れるが、ノーマルのバモスでは水平にはならず、少し傾いてしまう。そこでマイボックスではオリジナルのちょっとした金具で水平にし、背もたれ背面をテーブルとして使えるようにしてある。マイボックスに限らず、ホワイトハウスのキャンパーにはこういった気の利いた工夫が随所に見られる。

まずは“一階”の寝室を紹介

畳んだ後席をリンクを介して足もとに降ろせば、真っ平らな空間が現れる。マイボックスではここに低反発系のマット(3分割で、ファスナーで連結できる)を敷き詰め、ベッドスペースとしている。

床の前後長は1840mm、最大幅は1220mmなので、男性でも足を伸ばして寝られる。キッチンのあるタイプだと足もとが少し狭いが、それでも大人一人と子供一人は十分就寝可能だ。床に段差や傾斜がないので、寝心地もいい。

お次は“二階”へ

ポップアップ仕様なら、さらに“2階”にも寝室がある。固定用のベルトフックを外し、天井を押し上げれば、後はガスダンパーの力で立ち上がり、これで操作は終了。トランクのリアゲートを開けるのと大差ない。

ルーフ内のスペースは、前後長1600~1850mm、全幅1000mm。大人一人なら十分、二人だと少々狭いが、とりあえず寝られる空間になっている。ちなみに壁にあたる部分は一般的なテント生地ではなく、多少の断熱性、遮光性、防水性があるネオプレーン風の素材。両サイドにファスナーで開く窓があり、換気できるほか、モスキートネット越しではあるが、外もうっすら見える。全体にしっかりした作りで、多少雨風があっても不安はない。

 

なお、通常の荷室高は1.2メートルほどで、大人が立つと頭がつかえてしまうが、ポップアップルーフを立てれば吹き抜けになり、身長2メートルでも余裕で立てるようになる。これは車内で着替える時に便利で、アウトドアスポーツのベース基地としてはうってつけ。また荷物を二階に置いて、一階でゆったり食事をしたり、寝ることも出来る。

 

ポップアップルーフの周囲には、フタ付のキャビネットを備える。作りはとてもいい

なお、ポップアップルーフを格納する時は、やはりリアゲートを閉じる時のように、単に引き下げるだけ。取っ手を握って、ぶら下がるようにして体重を掛ければ、女性でも簡単に出来る。パチッと閉まったら、後はベルトで固定するだけだ。

ワンルームより「家」っぽいかも


中央の白いレバーで蛇口をひねる=給水用の電動ポンプ(給水タンクの上に付いている)を動かす

ギャレーはシンク、脱着式の給水タンクと排水タンク(容量は各5リッター)、カセットコンロ等の入った収納、調味料や食器を置くのに便利な棚などを最小限のスペースに凝縮。またシャワーヘッドの付いた蛇口をスルスルと外まで引き出すと、戸外でつかえるシャワーに変身する。

 

またシンクの手前にはDC12V電源(サブバッテリーを使用)とオートキャンプ場などの外部電源につなげてつかえるAC100Vコンセントも付き、棚の奧にはブレーカーも完備。下手なワンルームより「家」っぽいかも。

サイドオーニングの使用方法

オートキャンパーにとっては定番のサイドオーニング。雨や日差しを防ぐのに便利なもので、装備するユーザーが多いようだ。ホワイトハウスがマイボックスに設定しているのは定番のフィアマ製で、2.5メートルのタイプ。一通り使い方を説明しておくと、

1、後席下に差し込まれているクランク棒(ちょうどバモスの室内幅サイズ)を取り出す。
2、オーニング後端の回転部分にクランク棒を入れて、クルクルと回す。パンタグラフ状にオーニングが横に開き始める。
3、アルミ製の足を引き出して、地面に降ろす。
4、さらにクランク棒をクルクルと回し続ける。
5、オーニングが伸びきったら、クランク棒を少し戻して生地にテンションを与える。足にペグを打ち込んで終了。慣れれば一人でも2、3分で出来る。

エアヒーターでエンジン停止時も暖房可


リアゲートポケット等もマイボックスの上級グレードには標準。リアゲートダンパー(写真奧)には固定用金具が付いている

その他、装着率の高い装備の一つが独イーベルスペッヒャー(Eberspacher)社製の「エアヒーター」だ。いわゆるFFヒーターの一種で、エンジン停止時でも通常の燃料タンクにあるガソリンを燃焼させて暖房できる。そのため特別に燃料の補給は要らず、エンジンを掛けて暖房するより断然エコで静かだ。ある意味、キャンパーには必須の装備と言える。マイボックスの場合は、助手席下に本体が設置される。

その他、室内のあちこちに設置できるテーブル、カーゴラックやインナーポケット、リアゲートを開けたまま固定しておく金具など、いわゆる「痒いところの手が届く」配慮が嬉しい。

■外部リンク:
イーベルスペッヒャーHP(英語) http://www.eberspacher.com/

基本性能&ドライブフィール

街乗りはほとんどリッターカー並みに快適・便利

試乗したマイボックスは、ホビオの最上級グレードであるターボ4WD(4AT)がベース。エンジンは直列3気筒「E07Z」のターボ付で、最高出力は64ps、最大トルクは9.5kgmを発揮する。車重はベース車だと1060kgだが、今回のマイボックス ポップアップは1170kgと、約110kg増加する。

それでもターボということで、発進時のパワーは十分。1速ギアの低さやトルコンによるトルク増大効果も手伝って、普通車のリッターカー並みの力強さがある。またターボによる消音効果もあって、エンジン音は静かで、特にアイドリング時は4気筒かと思うほど。このあたりもエンジンが遠くにあるミッドシップならでは、だろう。おかげで街乗りでは、ほとんど初代ヴィッツ並みに快適かつ気楽。買い物や子供の送り迎えに使う場合でも、タント並み?に便利だろう。

ミッドシップ・ターボ4WDはキャンパーでも無敵?

バモスホビオにはすでに7年前、ノンターボの2WDに試乗していたので、そのミッドシップによる操縦安定性の良さは体験済みだったが、今回ターボ4WDに乗って、あらためてその良さを認識した。前後重量配分(車検証数値)はこのキャンパー仕様でも前軸530kg、後軸640kg(45:55)と、まさにミッドシップらしいもの。ポップアップルーフがあるので頭は重そうだが、運転している限りはほとんどワゴンRとかムーブのような感じで自然に運転できてしまう。これもエンジンなど重い物が床下中央に集中しているからだろう。

ちなみにバモスの場合、ノンターボの2WDはエンジン横置だが、4WDとターボ車(2WDを含む)はエンジン縦置となる変則的なパターン。ちなみに過給器付エンジンを縦置ミッドシップで搭載し、ビスカスカップリングで4WD化したと言えば、グループB時代の最強WRCマシンであるランチア・デルタS4と同じ。ま、同時に初代エスティマのスーパーチャージャー4WD仕様とも近いが。

 

標準タイヤはベース車と同じヨコハマ「スーパーバン」。サイズは145R12-6PR LT

そんな話はおいといて、あまりにちゃんと走るので、過酷さでデイズ社内では知られる?某ワインディングでも走ってみたが、基本的には徹頭徹尾アンダーステアで安定したまま。ターボパワーでさらに追い込むと、前輪の145R12バンタイヤが負け始めるが、4WDと重量バランスの良さが何とかカバーして、破綻なく走ってくれる。なお、試乗車は登録から約1年、走行距離は1万kmを超えていたが、キャビネットやポップアップ等からのキシミ音はほとんどなく、思わずキャンパー仕様に乗ってることを忘れてしまうくらいしっかりしていた。

ただ静粛性に関してはバンタイヤが足を引っ張っており、スタッドレスかと思うほどロードノイズは大きい。1.2トンの車重に対して、コーナリング中の横剛性も少々不足気味だ。その点では、ホビオにローダウンサスとセットで用意されている13インチ仕様(155/70R13、3万円高)が気になるところ。

さすがターボ。100km/h巡航は余裕

高速道路での100km/h巡航はちょうど5000回転。エンジン音も風切り音も思いのほか静かで、左車線の流れに乗って80~100km/h程度で走るだけなら、登坂路でも大きな不満はないと思う。

さらに追い越し車線に出て、アクセルをベタ踏みするとホンダパワーが炸裂。パワーウエイトレシオ:18kg/psにも関わらず、ジワジワ加速しながら140km/h弱、レッドゾーン手前の7000回転付近まで伸びる。とはいえ、加速にはそうとう時間が掛かり、実はこの時、思わずエアコンの「AC」ボタンを切ってしまった。フル乗車+フル積載時や登坂路では120km/hが一杯一杯かと思うが、全開時でもエンジン音自体は割と静かだ。

ちなみに7年前試乗したホビオのノンターボ車(2WD・3AT)は、100km/h巡航が約5800回転、最高速はACオンで約115km/h、オフで120km/hだった。数字だけ見ると大差ないが、余裕は断然ターボの方があり、家族との長距離ドライブを考えると、やはりターボだろう。ちなみにこのターボエンジン、近々生産終了すると言われているので、注文するなら今のうちだ。

なお、2WDの時は電動パワステが軽すぎて、やや高速時の直進安定性に不安を覚えたが(今は改善されたかも)、今回試乗したターボ4WDではまったく問題なかった。ちなみに7年前に乗ったノンターボ2WDも、今回のターボ4WDも、タイヤは同じヨコハマの145R12「スーパーバン」。

10・15モード燃費は、ターボ4WDで14.2km/L

試乗燃費は今回測れなかったが、ベース車の10・15モード燃費は、最もいいノンターボの2WD(5MT)が18.0km/L、ノンターボの4WD(4AT)が14.6km/L、ターボの2WD(4AT)が14.8km/L、試乗したターボの4WD(4AT)が14.2km/Lだ。マイボックスでは車重が1割ほど重くなるので、これよりもう少し悪いはず。実燃費は8km/L台くらいだろうか。燃料タンク容量は36リッターだ。

ここがイイ

センスの良さ。キャンパーとしての充実した機能。ベース車のホビオ

今売られている多くの日本製キャンピングカーには伝統的な作りがある。それは40年前のバニング(ベースはライトエースバンなどが多かった)の時代から続く木目パネルの多用や、昭和の香りがする妙な柄のソファーのような布地を使った、シャンデリアでもぶら下げるのかと言いたくなるような、今となっては実にダサいとしか言えない「ヤンキーな」インテリアのセンスだ。様々なキャンピングカーを見ていると、今もそんな内装のクルマは少なくない。

しかしホワイトハウスが作るキャンパーには見事にそのダサさがない。ドイツ・ウエストファリアキャンパーがルーツにあるその欧州車的なインテリアづくり、あるいは純正パーツのようなセンスのいい仕上がりは、ホワイトハウスのキャンパーにしかないものと言える。

手軽なキャンパー仕様として完璧ともいえる作り。架装グレードを選び、豊富なオプションから必要なものを選べば、欲しいものは完璧に、かつセンスよく揃う。得意としているエアヒーター、あるいはサブバッテリーと走行充電システムなどは、長年にわたるキャンパー作りのノウハウが生きている部分だ。遮光カーテンやモスキートネットも、キャンパーとしては必ず欲しくなるもの。

またベース車のホビオ、特に今回乗ったターボの4WD車は、流行りのエコ性能こそ今一つだが、それも許せるくらい走りがいいし、5ナンバーゆえ4人がゆったり乗れ、奥さんの日常の足としても完璧。もちろん軽自動車なので維持費も安い。外観もオトナっぽいと思う。

ここがダメ

145R12のバンタイヤ。ターボ生産終了の噂

ミッドシップ4WDによる操縦性は素晴らしいが、商用バン用の145R12タイヤはいかにも頼りない。13インチタイヤ仕様はローダウンサスとセットになるが、悪くない選択だと思う。ロードノイズも減るだろうし、スタイルも良くなるから、おすすめしたい。

本文で触れた通り、2DINのオーディオ位置は低すぎる。ナビを装着するなら、モニターはオンダッシュとしたいところ。

ターボの生産が終わるという噂。6月にバモスのターボをベースにした特別仕様車が発売されたばかりなので、いますぐに、という話では無さそうだが、そのリッターカーに匹敵するトルク感が失われるとすれば残念。また今はノンターボの2WDだと3ATか5MTになるが、全車で4ATが選べるようになればベターだ。今回のターボ(4AT)ですら、高速巡航時にはもう一速高いギアがほしいと思ってしまった。

夏に向かって、エンジンを切っても使える電動クーラーの開発はできないものだろうか。せめて冷風機でもいい。難しいのは重々承知で、ちょっとだけ希望してみたい。

総合評価

軽の性能向上が軽キャンパーブームを支えている

人生では二度、キャンピングカーが欲しくなる時がある。一度目は子育ての時。二度目は熟年となったとき。子育ての時、子供と一緒にアウトドアライフを楽しむというのは、実に楽しいもの。日々成長する子供との、まさに二度とない時間を有意義に共有するには最高のツールとなる。もちろんセダンやハッチバックにテントを積んでもそれは可能だが、やはりミニバンやキャンピングカーによる非日常感がより気分を盛り上げ、思い出を作ってくれる。日産セレナのCM、「モノより思い出」はまさにそのとおり、だと思う。

そしてアウトドアライフもテントを張ったりするのが楽しいのは最初のうちだけ。やがて寝る場所はさっさと確保して、他の様々な遊びに時間を費やしたくなる。その意味で、しばらくアウトドアライフを楽しむと、だんだんとキャンピングカーが欲しくなってくるのだが、それがかつては高額すぎた。そして大きすぎた。子育て時期はお金もかかるし、若い人が多いから収入もよくはないだろう。さらに大きなキャンピングカー一台では通常の生活ができないから二台所有も必至。これではお金が続かない。

しかし快適に移動できて、簡単に寝られて、しかもコストパフォーマンスの高いキャンピングカーであれば、アウトドア好きな子育て世代には、欲しい物リストの上位に入るのではないか。最近の軽キャンパーの好調さは、こうした需要に支えられていると思う。軽キャンパーなら奥さんの日常の足にだってできるし、なんといっても維持費が安いから、二台所有もできるだろう。

何よりベース車両となる軽ワンボックス車の性能向上が著しい。今の性能は、ある程度の長距離移動など全く苦にさせないだけのものがある。軽のキャンピングカーが100km/hで快適に巡航できるなんて、昭和の時代には誰も想像できなかっただろう。スーパーカーブーム(もう30年以上前か)の頃、小型ワンボックス(トヨタのミニエースとか日産チェリーバン)は、トップスピードで120km/hが出せなかった記憶があるが、今や軽キャンパーがこれらの性能を凌ぐ。軽自動車がいかに進化してきたか、思い知らされるところだ。

キャンパーは現代の幌馬車

なぜそんな昔の話をするかといえば、子育て世代以外でキャンピングカーが欲しくなるのは、50歳代以上の熟年層だからだ。こちらは仕事人生で失われた自由を取り戻すべく、キャンピングカーで旅に出るのである。リタイアしてから人生最後の贅沢といって、憧れのスーパーカーを買う人もいるが、そんなお金があるなら、安いキャンパーを買って日本一周旅行に出る資金にした方が楽しい、と思う人の方がよほど多い。またリタイアしても資金が潤沢な人は好きな高級キャンパーを選べるが、大成功者以外のリタイア組はやはり長い老後に備えて、お金を大事に使いたいもの。となると軽キャンパーとなる。特に昔のクルマを知っている熟年層にとって、今の軽キャンパーの走行性能は驚異的なはず。そんなニーズに合っているから最近はブームともいえる様相を示しているのだろう。

熟年層、例えば今の60歳代は、団塊の世代であり、戦後モータリゼーションの落とし子である。同時に、左翼運動からカウンターカルチャーまで、戦前を否定して様々な自由への欲求を実現しようとした世代だ。それゆえ、老人の域に達しても自由への欲求は強い。都会を離れ、田舎暮らしをしたい人も多いようだし、そこまでは無理としても、余裕があればクルマで日本一周をしたいなどということは、たぶん大半の人が思っているのではないか。昔からクルマで自由に遊んできた、そんな世代にとって、クルマは自由の象徴だ。最近は車中泊がテーマの雑誌があるくらいで、移動と休息ができれば、クルマはさらに自由のためのツールになる。となればどこへでも移動できて、さらにどこででも寝られるキャンパーはまさに自由そのもの。現代の幌馬車だ。

この幌馬車に乗って残りの人生をかけた自由な旅に出る、カウンターカルチャーで育った老人なら、さすれば自分がちょっとした映画のヒーローに見えてくるだろう。映画「イージーライダー」では、自由へのツールがチョッパーだったが、さすがにバイクでは雨風がしのげないから、老人にはチョッパーでなくキャンパーだ。しかも軽キャンパーなら、自由のために必要なお金は大型バイク程度。というわけで、高齢社会に向かって軽キャンパーはまだまだ伸びると思う。特にバモスベースならば、なんとなくアメリカンミニバンの形にも似ているから余計気分が盛り上がる(のでは?)。軽キャンパーを駆るとき思わず口ずさむのは「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」(ステッペンウルフ)、いや、「青年は荒野をめざす」(ザ・フォーク・クルセダーズ)か。

試乗車スペック
ホンダ バモス ホビオ ターボ “マイボックス” ポップアップ Large BOX
(0.66L 直3 ターボ・4AT・4WD・340万4100円)

●初年度登録:2009年6月●形式:ABA-HM4
●全長3395mm×全幅1475mm×全高1980mm
●ホイールベース:2420mm ●最小回転半径:4.6m
●車重(車検証記載値):1170kg( 530+640 )●乗車定員:4名
●エンジン型式:E07Z ● 656cc・直列3気筒・SOHC・4バルブ・縦置
●ボア×ストローク:66.0×64.0mm ●圧縮比:8.5
● 64ps(47kW)/ 6000rpm、9.5kgm (93Nm)/ 3700rpm
●カム駆動:- ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/36L
●10・15モード燃費:14.2km/L ※ベース車 ●JC08モード燃費:-km/L
●駆動方式:ミッドシップ・フルタイム4WD
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ド・ディオン リーフスプリング
●タイヤ:145R12-6PR LT ( Yokohama Super Van )
●試乗車価格:340万4100円( 含むオプション:ポップアップルーフ 71万4000円 )
●試乗距離:150km ●試乗日:2010年6月
●車両協力:株式会社ホワイトハウス

 
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