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ホンダ バモス ホビオ L新車試乗記(第269回)

Honda Vamos Hobio L

(660cc・3AT・128.8万円)

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2003年05月24日

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キャラクター&開発コンセプト

ホビー(趣味)のためのバモス、名付けてバモスホビオ

バモスは軽自動車のワンボックス。軽トラックのアクティがベースで、ストリートの後継として1999年6月に発売された。基本構造はストリート同様、アクティバンと大差ない。ホンダの軽でおなじみの直列3気筒エンジンを床下ミッドシップに搭載、基本的には後輪を駆動する。

今回試乗した「バモスホビオ」は2003年4月25日、アクティ/バモスの小変更(装備充実と環境性能アップ)に合わせて追加された新車種。バモスより105mm背が高いハイルーフ仕様で、ユーザーが趣味の道具として使えるように、荷室に多数のフックを設けるなど様々な工夫を凝らしている。

現在、ホンダの軽ワンボックスは4ナンバーのアクティバン、5ナンバーのバモスとバモスホビオという3モデル。仕事にはアクティバン、家庭の一台にはバモス、そして趣味のお供にはホビオを、という感じだ。

商用4ナンバー仕様の「ホビオプロ」も今回から加わり、販売目標はバモス全体で月間4000台。ちなみにアクティトラック/バンは、合計で月間4400台。取扱いはいずれもホンダ・プリモ店となる。

ドアも屋根もなかった初代バモス

photo_4.jpgバモスの名は、軽トラック「TN360」(1967年)をベースに開発された「バモスホンダ」(1970年)の再利用。こちらは屋根から後部まですべて幌、ドアの代わりに鉄パイプという、遊び心に車輪を付けたようなクルマだった。工事現場や林業など、ビジネスユースも意識したらしいが。バモスという言葉はスペイン語で「Let's go!」の意。蛇足ながら、ホンダというメーカーは昔の名前をまったく別車種でよく復活させる。ジャズ(2輪車→SUV)とかトゥデイ(軽自動車→原付)とか、ストリーム(3輪原付→ミニバン)とか。

価格帯&グレード展開

売れ筋は「L」(122.4万円~)

バモスホビオは4グレード展開。標準仕様のM(113.4万円~)、主力のL(122.4万円~)、4速ATが搭載されるターボ(142.8万円~)、そして4ナンバー車の「プロ」(110.4万円~)。ターボ以外はすべて5速MTと3速ATとなる。一体式の後席など装備はシンプルな「プロ」だが、こちらも基本的には乗用寄りのモデルだ。

エアコン、オーディオ、キーレスと一通り装備の揃うホビオだが、ABSは4万円のオプション。上級グレードに設定のセットオプション(3万円)を選ぶと、全車標準の12インチタイヤが13インチに格上げされ、ローダウンサス(フロント-25mm、リア-20mm)が組み込まれる。

愛犬家向けに特装車も

ホビオにはさらに「愛犬との外出に配慮した」という特別仕様車「トラベルドッグバージョン」(127.4万円~)を03年10月31日までの期間限定で用意。これは、愛犬とクルマとの生活のアイディアや情報を提供するホンダのウェブサイト“Travel Dog” での意見を生かしたというモデル。犬の毛や泥汚れなどが付きにくい内装が特長だ。

パッケージング&スタイル

2メートルまであと一息

バモスとホビオの外観上の違いは、フロントグリル&バンパー、バックドア全面。特にバックドアにおいては、バモスの縦型コンビランプが、ホビオではアクティバン風の横型になる。

軽自動車枠で最大限の空間を追求する軽ワンボックス。さらに広さを求めるなら上に伸びるかしか道はないし、使い勝手でも荷室高があるのは助かる。ということでホビオの全高はバモスの105mmアップの1880mmとバスケットボール選手並み。しかし、スズキのエブリイが1885mm、ダイハツ・アトレーが1865mm、スバルのサンバーにいたっては1900mmと、今やこのくらいの高さは当たり前。軽規格の上限は2000mmだが、枠一杯を使い切る日は近い?

ミッドシップで優れた重量配分

パッケージング面での特長は、エンジン床下配置のミッドシップであること。おかげで前後重量配分は46:54(F:450kg、R:530kg)とほぼ50:50。この自然吸気の3AT仕様の場合、横置の直列3気筒エンジンは前方に大きく寝かされており、重心は相当低い。シャシーはまったく異なるが、2人乗りオープンカーのビートと、エンジンの載っかり方はほぼ同じと言える。ただしターボの4AT仕様(2WDと4WD)、および自然吸気の4AT仕様(4WDのみ)は、同じミッドシップでも縦置きになっている。

ちなみに、軽ワンボックスはメーカーによって駆動方式がバラバラなのが特徴。スズキとダイハツはキャブオーバー型FR、スバルは直列4気筒エンジンをリアに搭載するRR。そしてホンダがミッドシップ。同じクラスでこれだけ方法論が違う状況は、他クラスではあまり見られない。

計44ヵ所以上のフック

ホビオのウリは、ほぼ床がフラットに出来る広大な荷室。そしてユーザーが自分なりにその荷室を使いこなせるように工夫をこらした点。φ6mmボルトが取り付けられる「ユーティリティナット」が28ヶ所、大小2種類のフックが計12個、小型オートバイや自転車を固定するのに便利な(というか必須の)「タイダウンフック」を4ヶ所装備する。また荷室の床はビニール製の「ワイパブルマット」に変更出来る(1.5万円のオプション)。

ハイルーフは捨て難い

また、立て膝で作業ができる荷室高1180mmはとても便利。自転車やバイクなど、意外に高さがあるものを積み下ろしする時もこれくらいあるとストレスがない。トヨタのハイエースでもそうだが、一度使ったことがあるとハイルーフの良さはなかなか捨て難いものだ。

良い点をほかに挙げると、バモスと共通のまずまずの質感のインテリア、水温計はないがタコメーターがあること、汚れがつきにくいシート表皮の撥水処理、リアのサイドウインドウガラスが手動ながらちゃんと下まで降りる点、後席天井にチャイルドシートを固定するための「テザー(tether:鎖)アンカー」が備わること、などなど。

基本性能&ドライブフィール

抜群の運転しやすさ

試乗車は、中間グレードのLタイプ(2WD、3速AT、128.8万円)。この上のグレードとなるターボは一挙に14万円ほど高くなる。外観に、ほとんど差はない。

すぐ気付くのが電動パワステの軽さ。この「クルクル感」はホンダ(だけではないが)の現行軽自動車共通のものだが、アップライトなポジションのせいか少なくとも低速では気にならない。小回りが効くので、混んだ街中でも運転しやすさは抜群。最小回転半径4.5メートルは平均的だが、乗車位置が車両前端なのと短いノーズのせいもあり、普通の軽自動車と同じ感覚でステアリングを切ると予想以上に小回り出来て、ちょっと嬉しい。

カタログの数字は忘れよう

低速重視のエンジンとギア比で、ストップ&ゴーも意外にストレスがない。車重980kgに対して、エンジンはたった46ps。パワーウエイトレシオは21.3kg/psとそうとう非力で、数字だけ見るとちょっと心配になるが、実際にはまったく問題なく、幹線道路の流れについてゆける。それどころかエンジン音と振動の低さは一般的なフロントエンジンの軽自動車のレベルを明らかに上回る。おそらく遮音材の配置やエンジンマウントまわりの剛性に加えて、エンジンが前席から遠いところにあるのが理由だろう。

板バネとは思えない

ということで音・振動面では快適性の高いホビオ。乗り心地についても上下動が気になると言えば気になるが、ピッチング(前後のシーソー的な上下動)や露骨な突き上げはあまりなく、少なくとも前席ならロングドライブもOKだろう。後輪は伝統の?板バネだが、ゴツゴツしたいわゆる「固い乗り心地」ではない。リアサスペンションは両輪のハブを太いアームで結合したド・ディオン式リジッド。オーソドクスなリジッドと違ってデフが車体側にある分、バネ下が軽いのが特徴のようだ。

100km/h(までの)巡航は意外とOK

郊外での動力性能に話を移すと、2速ホールドのアクセルベタ踏みでレッド7500回転まで回して、約85km/h。そこからトップ3速に入ると(3速ATなのだ)、100km/h=約5800回転となる。とんでもない高回転だが、先に書いたように意外に静かではある。ここまでの加速はそんなに悪くない。

ただしそこからは伸びない。最高速はエアコンオンで115km/hくらい、オフで120km/hくらい。ホンダらしく高回転まできれいに回るが、46psで1トンだからこのあたりだろうか。

ミッドシップの長所と短所

ハンドリングに関しては、なにしろパワーがないので山道など飛ばしようがない。基本的には徹底的にアンダーステアだが、プッシュアンダー(アクセルを踏んでフロントタイヤがコーナー外側に押し出される状態)を出すほどのパワーもない。リアのスタビリティはたいへん高く、2速で走る速度域ならタックインも起きそうにない。エンジン搭載位置のおかげで、重心の低さがはっきり感じられる。

操縦性で気になったのは、軽い電動パワステのせいか、100km/h以上で直進性が少しおぼつかないこと。問題とするほどではないが、小刻みに修正は必要だった。もう一つは、前輪荷重が少ないせいか、フロントタイヤがロックしやすいこと。ABSは4万円のオプションだが、雨の日を考えると個人的には装着をお勧めする。ただしミッドシップだけあって急ブレーキをかけてもノーズダイブは最小限で、安定感は高い。

ここがイイ

スペックから想像されるより、よく走ること。非力ながら市街地から高速まで動力性能としては(軽バンとしてなら)十分。静かなエンジン音ゆえ室内騒音も低い。145R12のライトトラックタイヤながら、コーナーでもちゃんと踏ん張るし、乗り心地もいいといえるレベル。

4人乗っても快適な室内の広さ。個性的なフロントフェイス。デザインされたスチールホイールとホイールキャップ(オプション)。そして何より圧倒的な荷室の広さ(といっても日本的な広さだが)と荷室の使い勝手(これこそがホビオの真髄)の良さ。プッシュボタンを押すと外れてビス穴が出てくるユーティリティナットはいいアイデア。ミニバン系にはすべてのクルマに用意して欲しい装備だ。オプションで後ろのサイドウインドウをメタルパネルに替えられるのもうれしいところ(リアクォーターメタルパネル)。

ここがダメ

MDまで聞ける立派な純正オーディオだが、音はいまいち。運転席の座り心地もいまいち。なんといっても価格が高いこと。いろいろつけると、150万円コース。またターボは4ATだが、NAには3ATしかないのも残念至極。4ATなら高速移動が楽になって、この手のクルマとしては完璧に近いものになるのに。

総合評価

荷室は奥行き最大1940mm、幅1220mm、高さ1180mm。荷室にはタイヤハウスの張り出しがなく、後席は2アクションで床下に落としこめ、ほぼフラットになる。このクルマを買う意味はこの荷室空間だ。大きなサイズのミニバンと異なり、いかにも日本的、箱庭的なサイズゆえ、かえって楽しさへの想像力をかき立てられるというもの。ホームセンターに行けば様々なパイプ類が売られているが、これをうまく利用して、自分の趣味にあった思い通りの空間を作るという提案をしたクルマは、思い出す限りではトヨタのファンカーゴ以来だ。

そのファンカーゴの場合はユーザーに若者が多かったため、あまりうまくいかなかったが、ホビオは見栄より実用性を重視する50代、60代の熟年層がユーザーとなるはず。この層のちょっとヒマで、手先の器用な人たちが、日々の足として、またおもちゃとして使うには最適のクルマだろう。若者が新車で買うにはやや高価で、同じ予算があるなら別の普通車ミニバンを買うことになると思う。走りの不満も当然出るだろうから。つまり日本のシルバーカーとして最適のクルマということになる。

しかし考えてみれば、このクルマこそ、かつての名車、ステップバンにかなり近いといってもいいのではないだろうか。昭和50年のある雑誌にあったステップバンの紹介を引用してみよう。

「何しろ安い(スタンダードで46万3400円、デラックスで49万2400円)のが一番の魅力だけれど、それだけではない。燃費が極端に良く、何しろ経済的でもある。日本の車を機能的にしぼりこんでいくと、このようなカタチになるのかもしれない。使い方によっていくらでも魅力を引き出すことができる。速く走るばかりが車ではないのだ。」

この文章はホビオにかなり当てはまる。ステップバンの生産終了から四半世紀がたつが、この記事を書いた人にこのクルマを見せれば、ステップバンのコンセプトを理想的に引き継いだクルマとして、きっと評価してくれるはずだ。

となると、「何しろ安い」という仕様が、ホビオにも欲しい。オーディオを含め、様々なものをそぎ落としてATで100万円を切るのが理想。リアウインドウもメタルパネル標準でいい。それを自分で好きにいじっていける、そんなクルマであったら、真のステップバンの再来と讃えることができるだろう。

試乗車スペック
ホンダ バモス ホビオ L

●形式:LA-HM3●全長3395mm×全幅1475mm×全高1880mm●ホイールベース:2420mm●車重(車検証記載値):980kg(F:450+R:530)●エンジン型式:E07Z●660cc・SOHC・4バルブ・直列3気筒・横置● 46ps(34kW)/5500rpm、6.1kgm (60Nm)/5000rpm●10・15モード燃費:15.8km/L●駆動方式:後輪駆動(ミッドシップ)●タイヤ:145R12(ヨコハマ SUPER VAN 355)●価格:128.8万円(試乗車:130.3万円 ※オプション:ワイパブルマット 1.5万円) ●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

公式サイト http://www.honda.co.jp/Hobio/

 
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