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VW ゴルフヴァリアント TSIコンフォートライン新車試乗記(第716回)

Volkswagen Golf Variant TSI Comfortline

(1.2L 直4ターボ・7速DCT・269万5000円)

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真ベスト・イン・クラスから
生まれたワゴンは、
ベスト・オブ・ワゴンだったか?

2014年01月31日

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ゴルフヴァリアント キャラクター&開発コンセプト

ゴルフ7ベースのステーションワゴン

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント TSIコンフォートラインの写真

欧州では2013年夏、日本では2014年1月6日に発売された新型ゴルフ ヴァリアントは、ゴルフ7こと7代目ゴルフのステーションワゴン版。ゴルフベースのワゴンが登場したのはゴルフ3からで(当初の車名はゴルフワゴンで、ヴァリアントと名乗るのは3代目から)、今回の新型はワゴンとしては5代目に当たる。

新型ゴルフ ヴァリアントはゴルフ7同様、VWグループの新モジュール戦略「MQB」に則ったモデルで、クラスを越えた内外装品質、新世代の1.2/1.4リッター直噴ターボ、軽量化、先進安全装備、優れた燃費性能といったセリングポイントもゴルフ7と共通。JC08モード燃費も1.2リッターで21.0km/L、1.4リッターで19.5km/Lと、ゴルフに遜色ない。

■過去の新車試乗記
VW ゴルフ7 TSI ハイライン (2013年8月)

 

価格帯&グレード展開

自動ブレーキは全車標準で、269万5000円から

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの透視図
ゴルフ7 ハッチバック同様、9エアバッグを標準装備

今回日本に導入されたのは、1.2リッターの「TSI コンフォートライン」と、気筒休止機能付1.4リッターの「TSI ハイライン」の2グレード。先代にあった1.4リッター“ツインチャージャー”(ターボとスーパーチャージャー)はドロップした。

ハッチバックとは装備内容が異なるので、単純に比較できないが、価格はヴァリアントの方が20万~23万円ほど高い。ただし、ヴァリアントでは1.2リッター車のエアコンをマニュアルにするなどして価格をハッチバック並みに抑えている。ミリ波レーダーを使った「フロント アシスト プラス」ことプリクラッシュブレーキシステムは全車標準。

コンフォートラインとハイラインの差

レーンアシストシステムの図解
ハイラインには、ACCやレーンアシストシステムを標準装備
(photo:VGJ)

コンフォートラインとハイラインの価格差は53万円あり、主な違いは以下の通り。

■エンジン(1.2ターボか、1.4ターボか)
■LEDポジションランプ付バイキセノンヘッドランプの有無(7万3500円のオプションか、標準装備か)
■ACC(アダプティブクルーズコントロール)、レーンキープアシスト、パドルシフト等の有無(15万7500円のオプションか、標準装備か)
■前後パークディスタンスコントロールの有無
■タイヤサイズ(205/55R16か、225/45R17か)
■エアコン(マニュアルか、フルオートか)
■シート(ファブリックか、アルカンターラのスポーツシートか)
■リアサスペンション形式(半独立式トーションビーム&トレーリングアームか、独立式の4リンクか)

 
純正ナビ「ディスカバー プロ」
新開発の純正ナビ「ディスカバー プロ」はオプション
(photo:VGJ)

オプションは、全車に新開発の純正ナビゲーションシステム “Discover Pro”(17万8500円)を用意。ハイラインには、電動パノラマスライディングルーフ(14万7000円)、電子制御ダンパーのDCCパッケージ(14万7000円)、レザーシートパッケージ(26万2500円)などを用意している。

2014年1月現在、ゴルフシリーズ(先代ゴルフベースのトゥーランとカブリオレを除く)のラインナップは以下の通り。

 
新型ゴルフヴァリアントTSIハイラインの画像
新型ゴルフ ヴァリアント TSI ハイライン

【ゴルフ ヴァリアント】
■ゴルフ ヴァリアント TSI コンフォートライン 269万5000円
1.2L 直4ターボ(105ps、17.8kgm) 
JC08モード燃費 21.0km/L ※今回の試乗車

■ゴルフ ヴァリアント TSI ハイライン     322万5000円
1.4L 直4ターボ(140ps、25.5kgm) 
JC08モード燃費 19.5km/L

 
新型ゴルフTSIハイラインの画像
新型ゴルフ TSI ハイライン
(photo:VGJ)

【ゴルフ(ハッチバック)】
■ゴルフ TSI トレンドライン    249万円
■ゴルフ TSI コンフォートライン  269万円
1.2L 直4ターボ(105ps、17.8kgm) 
JC08モード燃費 21.0km/L
■ゴルフ TSI ハイライン      299万円
1.4L 直4ターボ(140ps、25.5kgm) 
JC08モード燃費 19.9km/L
■ゴルフ GTI         369万円
2.0L 直4ターボ(220ps、35.7kgm) 
JC08モード燃費 15.9km/L

 

パッケージング&スタイル

ゴルフと違うのはリアオーバーハング部分

ディープブラックパールエフェクトカラーのフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真
ボディカラーはハッチバックと同じで全8色。試乗車はVWで定番のディープブラック パールエフェクト

リアドアまではゴルフ7とほぼ一緒で、全幅やホイールベースも同じ。4575mmの全長はゴルフより320mm長いが、それは実質的にリアオーバーハングの延長分になる。

また、先代ヴァリアントと比べると、ホイールベースは60mm長いが、全高は逆に45mmも低い。こういったサイズの変化は、ハッチバックがゴルフ7にモデルチェンジした時と同じだ。

歴代ヴァリアントで最もスポーティ

デザイン的には、全高が劇的に低くなったことで、ロー&ワイド感が強まったのが一番の特徴。これによって歴代ゴルフ ヴァリアントにあったズングリ感が払拭され、スタイルが一気にスポーティになった。各部の質感も大幅に上がり、思わず一クラス上のパサート ヴァリアントの立場が心配になってしまう。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
VW ゴルフ 7 (2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
トヨタ プリウス(2009~) 4460 1745 1490 2700 5.3
先代VW ゴルフ ヴァリアント(2009~2013) 4545 1785 1530 2575 5.0
新型VW ゴルフ ヴァリアント(2014~) 4575 1800 1485 2635 5.2
トヨタ プリウスα(2011~) 4615 1775 1575~1600 2780 5.5~5.8
スバル レヴォーグ(2014~) 4690 1780 1485~1490 2650 5.4~5.5
VW パサート ヴァリアント(2012~) 4785 1820 1530 2710 5.3
 

インテリア&ラゲッジスペース

品質感はゴルフ譲り。荷室は先代の20%増

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの前部座席の写真
試乗車はディスカバープロ付き。コンフォートラインではパドルシフトはオプション

インパネや前席まわりは、ほぼゴルフと同じ。ゴルフ同様、近接センサー付5.8インチタッチパネルを持つオーディオ「コンポジション・メディア(Composition Media)」が全車標準で、さらにオプションで8インチタッチパネルと64GB・SSDメモリー式ナビを組み込んだ「ディスカバープロ」が用意されている。後者は、ゴルフにもすでに設定されている。

室内空間はもはやCセグメントのレベルではなく、一部のDセグメントを超えるレベル。荷室容量も増え、荷室側のレバー操作で後席背もたれがワンタッチで畳める機構も新採用された。

少し残念なのは、先代ゴルフ ヴァリアントでは出来たダブルフォールディング(後席の座面を跳ね上げてから背もたれを倒す方式)が廃止され、シングルフォールディングのみになったこと。そのため、拡大時の荷室は完全にフラットにはならない。

 
側面から撮影されたフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの後部座席の写真
後席はルーフ形状やリアクォーターガラスのせいか、ゴルフより広く感じられる
側面から撮影されたフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの運転席の写真
コンフォートラインはファブリックシート(写真)、ハイラインはファブリックとアルカンターラのスポーツシートが標準
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインのマニュアルエアコン
ヴァリアントのコンフォートラインは、エアコンがマニュアルになる。風量調整が6段階と細かい
 
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの荷室の写真
荷室容量(後席使用時)は605Lで、先代ヴァリアント(505L)の1.2倍、現行ゴルフ(380L)の1.6倍
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの荷室の最大容量時の写真
最大容量は先代(1495L)の1.08倍となる1620リッター、奥行きは最大1831mm(先代比+131mm)
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインのテンパースペアタイヤの写真
外したトノカバーやラゲッジネットは、床下に収納できる。最近の新型車では珍しく、テンパースペアタイヤを搭載
 

基本性能&ドライブフィール

最高出力105psでも十分

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインのエンジンルームの写真
新開発の1197cc直4・DOHC直噴・ターボは後方排気。排気マニフォールド用の遮熱板がエンジン後方に見える

試乗したのは、エントリーグレードの「TSI コンフォートライン」(269万5000円)。エンジンは、MQBコンセプトと共に登場した新開発の1.2リッター直噴ターボ。先代ゴルフや現行ポロの1.2ターボとは別物で、搭載位置は前後ひっくり返り、後方排気に変更。シリンダーヘッドもSOHC・2バルブから、DOHC・4バルブになり、カムの駆動方式もチェーンからタイミングベルトに変更されている。後方排気化されたのは、欧州で主力のディーゼルターボエンジン(後方排気)との互換性を高めるためだそうで、タイミングベルトの採用は静粛性や駆動ロスの低減を狙ったものだろう。

 
1.2ターボエンジンの性能曲線の図
1.2ターボエンジン(TSI コンフォートライン)の性能曲線
(photo:VGJ)

ただ、ここまでエンジンを刷新しながら、従来1.2ターボと同じ最高出力105ps、最大トルク17.8kgmに留めるのがVWらしいところ。おそらく、排気量、燃費、車体とのバランスを考えると105psで十分、という判断なのだろう。

実際、そのパワーフィーリングは常識的な速度で走る限り、まったく不満なし。1500~2000回転といった常用域のトルク感やレスポンスは1.2リッターとは思えないレベルだし、全開加速時には4000回転から上、レッド手前の6000回転まで目一杯使って全力で加速する。まぁ、パワーウエイトレシオは12.3kg/psに留まるので(同じ105psのポロより車重は200kgも重い)、加速自体はたいしたことないが、アクセルを踏み込むやいなや、エンジンが一生懸命に働き始めるし、7速DCTは打てば響くようなレスポンスでそれをバックアップするので、ドライバーとしては気持ちよさすら感じてしまう。

少なくともコンフォートラインの乗り心地はやや硬め

路上を走るフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真

乗り心地はコンフォートラインの場合、やや硬めな印象。路面のいいところなら素晴らしくスムーズだが、荒れたところだとゴツゴツ感が出る。後席に人を乗せる機会が多い場合は、リアサスがマルチリンクで、電子制御ダンパーの設定もあるハイラインがいいかも、という考えがよぎる。

静粛性はゴルフ7と同等で、全開加速時を除けばハイラインとの差も大きくないように感じた。アイドリング時も非常に静かで、オーディオをオンにしているとアイドリングストップしたかと思うほど。巡航時のロードノイズも静か。

Start/Stopシステムこと、アイドリングストップ機能は、スムーズに始動するが、エンジンが掛かってから、電子制御クラッチがつながるまでのタイムラグは相変わらず。せっかちに発進しようとすると少しもたつく印象があるが、これはトルコンを備えていないDCTの機構上、ある程度はやむをえないと考えたい。慣れれば、特に気にならなくなる。

 
道路を走るフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインを後方から撮影した写真

合わせて、停車中にブレーキを踏んでいなくても停止状態を保つ「オートホールド」機能もある。これは新しく採用された電動パーキングブレーキを使ったもの。アイドリングストップとも連動するので一見便利そうだが、発進しようとしてアクセルを踏んでも、すぐに始動・発進しない感が強まるほか、動き出しに少し唐突感が出るので、早々にオフにしてしまった。これも慣れ次第かもしれないが。

ワインディングでもそつなく。100km/h巡航は約2100回転

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインのタイヤの写真
コンフォートライン(試乗車)のタイヤは205/55R16。ミシュランのエコタイヤ、エナジー セーバーだが、グリップ感はまずまず。指定空気圧は意外に低めで、標準は前後とも2.0kg

ワインディングで意外だったのは、ステアリングを切り込む時の手応えが重めなこと。そのせいかハッチバックより身のこなしも心なしか重々しい感じがした。トーションビームとなるリアサスはTSI ハイラインやアウディ A3の「なんなんだこれは」という足と比べると普通っぽいが、もちろんこれでも性能的にはクラストップレベルだ。

高速道路で特に感心したのは風切り音の小ささ。ある程度の速度域でも、ゴーゴーザワザワ言わない。このクラスだと風切り音はある程度仕方ないと思っていたが、認識を改めねば、と思う。

100km/h巡航時の回転数は約2100回転で、ハイラインより高めだが、まったく気にならない。ちなみ最高速(UK仕様)は同型エンジンのゴルフ7(192km/h)と同等の193km/hとあった。

ただし追越加速など「ここぞ」という時には、パワーがちょっと物足りなくなる。パワーウエイトレシオ12.3kg/psのクルマにしては速いが、加速性能では現行ポロの1.2 TSI の方が明らかに速い。少し余裕を求めるなら、ハイライン(最高速は同じくUK仕様で212km/h)が良いかも。

試乗燃費(コンフォートライン)は11.5~15.5km/L。JC08モード燃費は21.0km/L

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの燃費計測の図

今回はトータルで約250kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)で11.5km/L。また、一般道で普通に走った区間(30km×3回)が13.0km/L、14.0km/L、14.1km/Lで、低燃費を心がけて走った区間(約30km)が15.5km/L。撮影など一切合財を含めて、250kmトータルでの燃費は11.8km/Lだった。指定燃料はもちろんハイオク。

JC08モード燃費は21.0km/Lで、先代ヴァリアントの1.2リッター車より11%良い。同じエンジンを積むゴルフ7の1.2リッター車とは同値だ。

なお、1.4リッター車のJC08モードは19.5km/Lで、先代の1.4リッターツインチャージャーより23%良くなっている。

 

ここがイイ

トータルバランスの高さ、スタイリング、ディスカバープロなど

住宅街の中にあるフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真

走り、デザイン、実用性、装備、価格など、すべてが高いレベルでまとまっている。試乗したコンフォートラインは、際立ってパワフルではなく、際立って乗り心地がよくもなかったが、トータルバランスの高さとなると、ライバル車は思い浮かばない。もちろん、よりパワフルで、サスペンションも格上げされるハイラインであれば、メルセデス・ベンツのCクラス ワゴンあたりと比較できる内容を持っている。

Cセグメントのワゴンであること。サイズ感よし、使い勝手よし、燃費バランスよし、むろん走ってよしと、クルマの理想形はこのクラスのワゴンでは、とすら思うのだが、日本車に同ジャンルのクルマはほとんど存在しない。発売前のスバル レヴォーグ(ヴァリアントより115mm長い)の人気が上々であるなど、日本でもワゴンはけしてオワコンではないと思う。国産メーカーはマーケティングにとらわれ過ぎではないか。ゴルフ ヴァリアントには、セグメントを超えた出来の良さがあり、売れるのは当たり前と思う。

もうひとつ売れる理由はスタイリングだろう。本格ワゴンという言い方が正しいかは分からないが、ハッチバックをただ伸ばしただけではない、スタイリッシュなデザインは先代を大きく凌ぐ点。以前のモデルは今ひとつと感じた人も、今回は食指がうごくはず。またゴルフ同様、燃費の向上も大きなメリットだろう。

ゴルフ7の試乗時には、搭載が間に合っていなかった純正ナビ・インフォテイメントシステムの「Discover Pro」。8インチの大型ディスプレイは、ダッシュボードの最上部でないのは残念だが、まあまあ見やすい位置にあり、近接センサ付きのフリック操作でスマホのように動く。燃費や空気圧など車両情報を表示できるのは純正オプションならでは。64GBのSSDをミュージックサーバーにできるし、ブルートゥース、SD、DVD、もちろん地デジなど、ひと通りなんでもありなので、エンタメ系はまずまず不満はない。ITSスポットで使えるDSRC(狭域通信)は便利かどうかは微妙だが、とりあえず対応している。3年保証も付いて17万8500円なら、まあ許せる価格だ。これはひとまずつけておくべきだろう。

ここがダメ

好みが分かれるシート、拡大時に完全フラットにならない荷室など

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインのフロントシートの写真

執拗に指摘して申し訳ないが、フロントシート(標準の手動タイプ)の座面角度はどうにも好感が持てない。小柄な日本人の場合、もう少し前側を下げるか、座面長さを調整できないと、膝裏が当たって落ち着かない。リアシートのシートバック角度もやや立ち気味で、きちんと座ることを強いられるタイプ。数多くの市販車の中で、肝心要のシートが好みではないモデルはごくわずか。クルマ全体の出来がいいだけに、シートだけがそういう印象になったのは残念。

本文でも触れたが、後席をフラットに格納できなくなったのも残念。ゴルフのハッチバックも含めて、欧州車でもどんどんシングルフォールディングで済ますクルマが増えているが、せっかく大人が足を伸ばして横になれるスペースがあるのだから、やはりフラットに出来るようにして欲しかった。

取り回しは悪くないが、ゴルフより30センチほど後ろが長いので、バックする時は要注意。試乗車には装備されていなかったが、バックカメラはあった方がいいだろう。販売店オプションでエンブレムに内蔵するタイプが用意されているようだ。

また、慣れるとは思うのだが、アイドリングストップから始動してスタートするときの一瞬の遅れ、これも気になる人は気になるだろう。

 
東京モーターショー2013に出展されたゴルフヴァリアントRラインの写真
写真は東京モーターショー2013に出展されたゴルフ ヴァリアント Rライン(参考出品)

コンフォートラインに乗ると、ハイラインもいいなと思えてくるし(エアコンもオートになる)、純正ナビのディスカバープロも欲しいし、DCCも付けたい、などと言っていると、350万円オーバー。それでもまだコストパフォーマンスは高いが、おそらく先代レガシィ ツーリングワゴンに乗っている潜在ユーザーからすれば、2リッターターボと、出来ればフルタイム4WD(VW風に言えばシンクロ)が欲しいところだろう。昨年末の東京モーターショーには、参考出品としてスポーティ版のゴルフ ヴァリアント Rライン(欧州仕様)が出展されていたが、日本向けがどんな仕様になるかは未定のようだ。

総合評価

ハンコを押したくなるのは当然

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真

今年(2014年)は4月の消費増税以降、景気の悪化は避けられないとの見方が根強い。自工会(日本自動車工業会)も、国内新車販売は9.8%悪くなる見通しを出した(年間485万台)。逆に3月までの駆け込み登録は凄まじいようで、ただですら毎年この時期に大混雑する陸運事務所は、いったいどうなることか、と部外者ながら心配になってしまう。

ゴルフ ヴァリアントも、どうせ買うなら3月までに登録したいところだが、今から契約しても絶対無理のよう。それでも注文は殺到しているようで、納車のめどははっきり言ってわからない現状のようだ。人気輸入車の新型登場時には、いつもあることなのだが、日本国内では確実にタマ不足になる。ヴァリアントどころかゴルフ7ですらが、なかなか入らない状況のようだ。

ゴルフ ヴァリアントの人気のわけは、本文で書いてきた通り。日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したことでも分かるように、このクラスとしては破格に出来の良いゴルフ7が、輸入車好きには特に多いワゴン好きでも納得のスタイリングで登場したのだから、欲しい人が殺到するのもよく分かる。むろん、ちょいと試乗してみれば、その出来の良さは誰にだってビンビン伝わってくるし、試乗したコンフォートラインなら国産車なみの300万円前半で買えるのだから、契約書にハンコを押したくなるのは当然だろう。

 
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真

先日カーセンサーに、クルマ(新車)の保有期間に関する読者アンケートが掲載されていた。それによれば、日本では平均して1台を8年ちょっと所有する人が多いらしい。さすがに10年越えは多くないようだが、それでも中高年は保有期間が長くなる傾向という。ゴルフ ヴァリアント コンフォートラインにACCと純正ナビをつけて300万円強。アンケートのように9年(108ヶ月)所有するとしたら、月額2万8000円ほどといったところ。まあ9年後でも、そこそこの下取値はつくだろうから、それで諸費用分はまかなえてしまうはず。月3万円以下で、このクルマに乗れるのだから、サザン桑田世代のみならず、若い人にもぜひ、とすすめたい。

また、このクルマの生涯燃費が12km/Lだったとすると、ちょっと前の似たようなクラス感、パワー感を持つクルマは8km/Lくらいだから、ハイオクがリッター160円で月1000km走るのであれば6000円ほど安くつく計算。ちょっと前の燃費が悪いクルマと比べたら、月2万8000円でなく2万2000円で乗ってるのと同じことになる。やはり昨今の燃費改善は、実質的にクルマを安くしているとも言えるわけだ。

商品の良さを知らしめるべき

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真

というように、日々進化するクルマのことをもっと多くの人が知れば、8年を待たずしてクルマの買い替えは進むだろうし、たとえ消費増税しても、販売の落ち込みはいくぶん緩和できるはず。大手メディアも、日本の景気を何とか保たせたいなら、メディアスクラムを組んで新型車のいいところを一般に広く伝え、買い替えを促進すべきではないか。

とはいえ、意識的に買い替えをせず、長期間クルマを保有する人に関しては、逆に優遇措置をとるべきだろう。「物を大切にする」という、美しき日本の道徳を守っているのだから、増税するより減税してしかるべき。日本を支えるトヨタだって、昔のクルマには敬意をはらっているのだから。

 
フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインの写真

新車効果で売れているうちはいいが、今後はメーカーやディーラーも、もっとクルマを知らしめて売る努力をすべきではないだろうか。テレビCMを流し、大きなショールームを作るばかりでなく、積極的に商品の良さを伝える工夫をすべきだと思う。既存メディアを使うのか、ネットを使うのか、真逆に訪問販売に力を入れるのか、費用対効果が最も高い方法が何かは、まだ誰にも分からないが、せっかく良い商品(クルマ)がこうして次々に出ているのだから、それを真剣に考えるべき時だと思う。

 

試乗車スペック
フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TSI コンフォートライン
(1.2L 直4ターボ・7速DCT・269万5000円)

●初年度登録:2013年12月●形式:DBA-AUCJZ ●全長4575mm×全幅1800mm×全高1485mm ●ホイールベース:2635mm ●最小回転半径:5.2m ●車重(車検証記載値):1300kg(760+540) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:CJZ ●排気量・エンジン種類:1197cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:71.0×75.6mm ●圧縮比:10.5 ●最高出力:77kW(105ps)/4500-5500rpm ●最大トルク:175Nm (17.8kgm)/1400-4000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L ●JC08モード燃費:21.0km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイルスプリング/後 トーションビーム+トレーリングアーム+コイルスプリング ●タイヤ:205/55R16(Michelin Energy Saver)

●試乗車価格(概算):294万7000円 ※オプション:純正ナビシステム “Discover Pro” 17万8500円、バイキセノンパッケージ 7万3500円 ●ボディカラー:ディープブラック パールエフェクト ●試乗距離:約250km

●試乗日:2014年1月 ●車両協力:フォルクスワーゲン本山(名古屋市千種区)

 
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フォルクスワーゲン 本山

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