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トヨタ ヴィッツ RS / F新車試乗記(第483回)

Toyota Vitz RS / F

(1.5/1.0L・CVT・163万8000円/117万6000円)

フィット、デミオ、スイフトと
出そろった新鋭機を
マイナーチェンジで迎撃する!

2007年10月20日

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キャラクター&開発コンセプト

2年半目の小改良

2005年2月のデビューからちょうど2年半経った07年8月27日、2代目ヴィッツが初のマイナーチェンジを受けた。主な改良点はフロント回りやライト類の意匠変更、ボディカラーの入れ替え。内装では「快適温熱シート」の運転席への採用(「U」と「 I'll 」)、内装色の変更など。安全装備ではサイド&カーテンシールドエアバッグが全車に標準化された。

スポーティグレード「RS」にはパドルシフトを追加。従来は1.5リッターだけだった「RS」に、今回から1.3リッター車も用意された。エンジンなどメカニカルな部分に変更はないようだ。

前期型は月1万台をキープ

広告コピーは前期型の「水と、空気と、ヴィッツ」(宮沢りえ)から、「ヴィッツは、人が好き」(後藤久美子とリラックマ)に変更。取扱いはネッツ店で、目標台数は2年半前の月間1万台から、8000台へ下方修正。ちなみに2005年の実績は、13万1935台(月平均 約1万1000台)、2006年は11万7641台(同 約9800台)、2007年上半期は6万2565台(同 約1万400台)と当初の目標をおおむね達成していた。

・プレスリリース>ヴィッツをマイナーチェンジ(2007/08/27)
http://www.toyota.co.jp/jp/news/07/Aug/nt07_048.html

価格帯&グレード展開

107万1000円~。主力は130万~140万円台

エンジンは1.5リッター直4、1.3リッター直4(2種類)、1リッター直3の計4つ。グレード数は従来通り5つで、スポーティな「RS」(141万7500円~)、上質感を高めた「I'll 」(147万円~)、上級の「 U 」(134万4000円~)、販売主力の「F」(117万6000円~)、ビジネス用途の「B」(107万1000円~)となる。

「RS」には7速パドルシフト、1.3リッター車を追加

「RS」は新設定の87psの1.3リッター(CVTのみで141万7500円)と110psの1.5リッターCVT:163万8000円 ※今回の試乗車、5MT:162万7500円)がある。1.5・CVTにのみ、今回から新しく7速マニュアルモード&パドルシフトが付いた。1.5・5MTではヘリカルLSD(3万1500円)が選べる。

1.5より21万~22万円ほど安い1.3だが、そこにはパワーの差以外に、パドルシフト、オートエアコン、195/50R16タイヤ、HIDランプ等の有無もある。

上級グレードには「快適温熱シート」

上級グレードの「 I'll 」および「U」は、運転席に新開発の「快適温熱シート」を標準装備。これは肩、腰、足などの部分をヒーターで温めるもので、冷え性の人にはぐぐっとくる装備。温度設定をHi/Loに切り替えることで、夏場の冷房使用時を含めて1年中使用可能という。

燃費優先なら「インテリジェント・パッケージ」

「B」と「F」に設定のある「インテリジェント・パッケージ」(10万5000円高)はアイドリングストップ機構付きモデル。一種の「燃費スペシャル」で、元々の前後スパッツに加えてセンタースパッツ、LEDリアコンビランプも備える。これで10・15モード燃費はベース車の22.0km/Lから24.5km/Lにアップする。

パッケージング&スタイル

「RS」以外は外観を小変更

RS以外は今回の改良で、前後バンパー、フロントグリル、ヘッドランプ、リアコンビランプの意匠が微妙に変更された。RSに関してはドアミラーがウインカー内蔵タイプになったことくらい。ボディサイズ(RS)は従来通り、全長3800×全幅1695×全高1520mm。写真のボディカラーはRS専用色の「ダークグレーマイカメタリック」。

RS(1.5リッター)には待望のパドルシフトを装備

内装デザインもおおむね従来通りで、変更は表面処理やスイッチの意匠、シート表皮くらい。装備面の変更は、RSの場合で主に2つ。一つめは従来6万3000円のオプションだったサイド&カーテンシールドエアバッグが標準装備になったこと。もう一つはCVTにシーケンシャル式7速マニュアルモードとパドルシフトが付いたことだ。ただしこれは1.5 RSのみで、1.3 RSにはない。

グローバルモデルだが、例のスタートボタンは国内専用車のようにステアリング右側にある。もちろん右側の方が使いやすい。ちなみに海外で販売されているヤリスの左ハンドル車もステアリング右配置(つまりセンターコンソール側)にある。

座り心地なら非「スライド&チルトダウン」

室内の広さや前後シートの作りはおおむね従来通りだが、RSでは左右一体式だった背もたれが、今回から左右分割式に改良されている。前にも書いたように、RS(と他の1リッター車)のリヤシート座面は単純な左右一体の完全固定だが、この方が上級グレードのような6:4分割のスライド&チルトダウン格納式より、クッションが分厚くて座り心地がいい。

おかげでリアシートを畳んだ時に大きな段差が残ってしまうが、後席の座り心地を考えればここは納得できる範囲。通常時の荷室容量は274Lとこのクラスの平均だ。

基本性能&ドライブフィール

基本性能は前期型と大差ない

メインで試乗したのは2年半前と同じグレードの「RS」(1.5リッター・CVT)。カタログスペックで見る限り、車両形式、エンジン諸元、車重、10・15モード燃費に至るまで前期型とまったく同じで、乗った印象も当たり前というか予想以上にというか大差はない。CVTの制御が多少改良されているかも、と思うくらいで、車格以上のどっしりした運転感覚は相変わらずだ。

待望のマニュアルモード&パドルシフト

とはいえ1.5のRS後期型に新採用された7速マニュアルモード&パドルシフトの恩恵は大きい。前期型RSにはなぜかマニュルモードすらなく、高回転を保つ「S(スポーツ)」モードしかなかったが、これのおかげでついに走りはRSの名にふさわしいものになった。変速スピードは速く、ロックアップ感のあるスロットルレスポンスも悪くない。スポーティな走りには不可欠の装備と思う。パドルシフトはレクサスISなどと同様、ステアリング連動型だ。

パドル操作のロジックについて

気になったのは、従来のトヨタ車(やマツダ車など)で共通の特徴だが、シフトレバーを「M(マニュアル」モードに入れないと、パドルが有効にならない点だ。しかし今やほとんどのメーカーのパドルシフトが「パドル操作で即マニュアルモードに移行。しばらくして通常のDモードに復帰」というロジックで動くし、もちろんこの方が断然使いやすい。この点をトヨタのある開発スタッフに聞いたところ、すでに現場ではそういう認識があったようで、ブレイドマスター(ブレイドの3.5リッター版)ではこのロジックになっているという。既存モデルへの適用はこれから徐々に、ということのようだ。

まさに「スーパー」ヴィッツ

車重1070kgに110psと、特別に加速が速くはないヴィッツRSだが、「普通のヴィッツ」に比べると総合的な運動能力は格段に上。ワインディングや高速道路では「スーパーヴィッツ」と言いたくなる高性能感がある。CVTゆえ100km/h巡航を2000回転で粛々とこなすのはもちろん、アクセルを踏み込めばメーターを振り切ったまま余裕で巡航が可能。豪雨の中を高速走行する機会があったが、そんな悪条件下でも直進安定性は抜群。事実上、日本の道路では「これ以上の性能は要らない」と思える。

今回はRSで約310kmを試乗。撮影や全開加速、雨中の高速走行など燃費に不利な条件でレギュラーガソリンを約30リッター消費し、参考燃費は10.3km/Lとなった。10・15モード燃費は18.6km/L。

素のヴィッツ「F」にも試乗

RSだけでは何なので、後日「素のヴィッツ」とも言うべき販売主力の「F」(1リッター直3・CVT)にも試乗してみた。

驚くことにボディの剛性感や重厚な乗り味はこの1リッターヴィッツでも同じように味わえる。動力性能も、こと交通の流れに乗る程度ならまったく不満はない。回転計がないのでエンジン回転は不明だが(1リッターは他のエンジンより低めの最終減速比になっている)、100km/h巡航はまったく何の問題もなく、シャシー性能もクラスレスの高さ。71psしかないので追い抜き加速はさすがに効かないが、最高速自体はメーター読みで160km/h近くまで伸びる。この速度域でも直進安定性はまったく損なわれない。動力性能は初代ヴィッツの1リッター直4と同等という感じだが、快適性を含めたシャシー性能は完全に1ランク上だ。

気になったのはアイドリング中に出る3気筒ユニット独特の振動で、この点は今時の軽自動車と大差ないレベル。価格的にも軽自動車と近い1リッターヴィッツだが、少なくとも停止中の音振レベルもそれと同等と言える。こちらの10・15モード燃費は22.0km/L。

ここがイイ

フィットRSの登場を知って急遽対応が計られたのかもしれないが、いずれにしてもマニュアルモードとパドルシフトが搭載されたことは素晴らしい。これで本当にRSとして楽しめる。

快適性の高さ。CVTゆえ、流れにのって走る限り低回転をキープするからエンジン音は静かだし、CVTノイズもそう気にならない。RSは195/50R16という偏平タイヤでスポーツサスペンションだから多少ゴツゴツした感じになるが、ボディ剛性が高いから不快感はないし、ロードノイズも低く、なかなか静かだ。実はタイヤは従来からブリヂストンのレグノ。これがどれくらい効いているか不明だが、通(つう)な選択と思う。

RSのリアシートはシートバック分割可倒式となってさらに利便性が増している。

ここがダメ

相変わらず「RS」のステアリング調整はチルト(上下)のみで、テレスコ(前後)が出来ない。一般向け上級グレードの「U」と「 I'll 」ならテレスコ付なのだから、ここは単にコストダウンだけでは。テレスコが無くても大きな支障はないが、「RS」のユーザーこそドライビングポジションには敏感なはず。ここはメーカー側にこだわって欲しい部分だ。

1リッター車の場合、直3のエンジン振動がやはり少々気になる。軽自動車レベルでOKならいいが、普通車らしい静粛性や低振動を求める人には不満だろう。「F」と「B」グレードで選べるアイドリング停止機構付の「インテリジェント・パッケージ」車(10万5000円高)なら、この問題から解放されるかも。

総合評価

等身大のスポーツカー

2年前のヴィッツRSの試乗では、マニュアルモードがないCVTがダメ、と書いたが、さすがに改良は進んでいるようで、今回のパドル付CVTは非の打ちようがない出来になっていた(上に書いた操作ロジックの点はともかく)。前回のヴィッツ試乗記でも書いたようにこのクラス出色のスポーティーカーであるヴィッツRSに、マニュアルモードが搭載されたのだから何を言わんや。優等生的と言われようと、乗っていて楽しいのだからかまわない。

好みはあると思うが、ステアリングコラムと連動して回るパドルは操作しやすく、変速スピードもクイック。エンジンをブン回しながらワインディングを走ると「等身大のスポーツカー」という言葉が浮かんできた。例えば、まだ乗っていないレクサスIS-Fは想像するにたぶんそうとう「凄い」はずだが、我々が向かうようなワインディングではたぶんオーバースペック。その点、ヴィッツRSは運転している実感と、イージーなシフト操作(5MTの方が奥は深いはずだが、CVTならそこまで極めなくてもギアチェンジの妙を楽しめる)で、久々に挙動を出す楽しさが堪能できる(VSCもほどよい効き味)。

ヴィッツのカップカー(ワンメイクレース用に作られたナンバー付市販車)はデイズの「911DAYS」編集部によると、ショートサーキットではノーマルのポルシェを追い回すらしい。トヨタはリアルスポーツカーを持っていないが、それはヴィッツRSあたりの性能が、多くの人がスポーツカーとして楽しめる限界なのでは、という意見を持っているからかもしれない(そんなことはもちろん表だって言えはしないが)。スポーツカーはやはり事故が多いから(保険料率を見てもそれは分かる)メーカーとしては社会的責任を問われかねない、というビビリもあるだろう。世間では食品表示のごまかしが叩かれているが、いつ何どきスポーツカーが「動く凶器」として叩かれないとも限らない。違法性という点ではギリギリの商品だからだ。

実際、ヴィッツRSくらいの性能と価格なら本当に楽しんで乗れる。かつてのスポーツカーと比べれば、現代のスポーツカーの性能はあまりに進化してしまった。手に余るほどの性能を電子制御して速いのと、めいっぱいでこの程度の性能をフルに引き出す走りとではどっちが楽しいかは容易に想像できる。もちろん腕のある人はこれではつらいが、そういう人がもっと高みを目指せるクルマはいくらでもある。でも多くのドライバーはこれで十分スポーツ走行を楽しめると思うのだ。

1リッターのベーシックグレード「F」も、なんだかすごく良くなっているように思えた。ディーラーで聞いてみたが、特にトヨタから改良のアナウンスはないという。しかし質感を含め、製品としての仕上がりがこの2年でかなり改良されているように思えた。いずれにせよヴィッツはプリウス、ゼロクラウン、アルファードなどと並ぶトヨタブランドお勧め車の一つといえるだろう。

試乗車スペック
トヨタ ヴィッツ RS
(1.5L・CVT・163万8000円)

●初年度登録:2007年8月●形式:DBA-NCP91(-AHXVK)●全長3800mm×全幅1695mm×全高1520mm ●ホイールベース:2460mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1080kg( 680+400 )※標準仕様:1070kg ●乗車定員:5名●エンジン型式:1NZ-FE ● 1496cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 110ps(81kW)/ 6000rpm、14.4kgm (141Nm)/ 4400rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/42L ●10・15モード燃費:18.6km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前ストラット/後トーションビーム ●タイヤ:195/50R16( Bridgestone Regno ER33 ) ●試乗車価格:201万6000円( 含むオプション:HDDナビゲーションシステム+ステアリングスイッチ 25万9350円、VSC&TRC+スマートエントリー&スタートシステム+電気式バックドアオープナー+盗難防止システム 10万3950円、ETCユニット 1万4700円 )●試乗距離:310km ●試乗日:2007年9月

試乗車スペック
トヨタ ヴィッツ F
(1.0L・CVT・117万6000円)

●初年度登録:2007年9月●形式:DBA-KSP90(-AHXNK)●全長3785mm×全幅1695mm×全高1520mm ●ホイールベース:2460mm ●最小回転半径:4.4m ●車重(車検証記載値):990kg( 610+380 ) ●乗車定員:5名●エンジン型式:1KR-FE ● 996cc・直列3気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 71ps(52kW)/ 6000rpm、9.6kgm (94Nm)/ 3600rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/42L ●10・15モード燃費:22.0km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前ストラット/後トーションビーム ●タイヤ:165/70R14 ●試乗車価格:-円( 含むオプション:- )●試乗距離:-km ●試乗日:2007年10月

トヨタ>ヴィッツhttp://toyota.jp/vitz/index.html

 
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