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ボルボ V40 T4 SE新車試乗記(第687回)

Volvo V40 T4 SE

(1.6リッター直4 ターボ・6速DCT・309万円)

スポーティとスタイリッシュ、
そして先進セーフティで、
新型V40がCセグメントを変える!

2013年03月08日

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キャラクター&開発コンセプト

ボルボ最小の5ドアモデル


新型ボルボ V40

2012年春のジュネーブモータショーでデビューし、日本では2013年2月19日に発売された新型「V40(ブイ・フォーティ)」は、ボルボの最小5ドアモデル。車名は初代V40(1995~2004年)の復活という形になるが、実質的にはC30/S40/V50(2004~2013年)の後継車。いわゆるCセグメントに属し、ライバルはVW ゴルフ、メルセデス・ベンツ Aクラス、BMW 1シリーズ、アルファロメオ ジュリエッタ、レクサス CT200hなどになる。

 

世界初の「歩行者エアバッグ」は6万円のオプション。歩行者との衝突をセンサーで感知すると、エアバッグがアルミニウム製のボンネット(緩衝材になる)を持ち上げ、フロントウインドウに向けて展開し、ガラスやAピラーへの接触を防ぐ

その開発コンセプトは、ボルボの上級モデルが備える機能をコンパクトカーに取り入れる、というもの。中でも安全装備に関しては、世界初を含めた最先端のシステムを採用している。具体的には、作動速度域を従来の30km/h以下から50km/h以下まで高めた自動ブレーキ「シティ・セーフティ」を標準装備するほか、歩行者を検知する「ヒューマン・セーフティ」や世界初の「歩行者エアバッグ」をオプションで用意するなど、クラスレスな内容。

また、269万円からスタートする車両価格も戦略的なところ。ボルボ・カー・ジャパンによれば、日本での累計受注台数は発売1週間で1000台に達したとのこと。国内の年間販売目標は、ボルボ全体のほぼ半分に相当する5000台。

■過去の新車試乗記 【ボルボ Cセグメント関連】
ボルボ V50 2.0e パワーシフト (2009年3月更新)
ボルボ C30 2.4i Aktiv (2007年9月更新)
ボルボ V50 2.4i(2004年5月更新)

 

価格帯&グレード展開

269万円からスタート。セーフティ・パッケージは+20万円


全車速追従機能付ACC、制限速度などの標識を読み取ってメーターに表示する「RSI」、死角にいるクルマや二輪車の存在をドライバーに知らせる「BLIS」等はオプション(セーフティ・パッケージ)

まず、この2月に日本へ導入されたのは、S60/V60等でおなじみの1.6リッター直噴ターボと6速DCT仕様の「T4」。標準グレードの「T4」(269万円)と17インチホイール&タイヤ等を装備する上級グレードの「T4 SE」(309万円)の2グレード構成になる。

シティ・セーフティは前述の通り全車標準。またオプションで、ヒューマン・セーフティや全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)など、安全装備を全部のせにする「セーフティ・パッケージ」(20万円)が用意される。

一方、「RTI」と呼ばれるフルセグ地デジ付HDDナビ(ナビゲーション・パッケージ:20万円)、レザー・パッケージ(20万円)、パノラマ・ガラスルーフ(18万円)は、SEでしか選べない。また歩行者エアバッグ(6万円)、PCC・キーレスドライブ(3万円)は、全車オプションになる。

直5ターボの「クロスカントリー」と「R デザイン」も今春発売


V40 クロスカントリー T5 AWD

さらに、この5月には、V40をクロスオーバーSUVとした「V40 クロスカントリー T5 AWD」が、そして4月には高性能モデルの「V40 T5 Rデザイン」が発売される。いずれもエンジンは、最新の2.0リッター5気筒ターボ(最高出力213ps、最大トルクは30.6kgm)。クロスカントリーには第5世代のハルデックス製電子制御AWDが採用され、一方のRデザインには専用スポーツサスペンションや18インチアルミホイールが装備される。

 

V40 T5 R-DESIGN

■V40 T4     269万円
■V40 T4 SE   309万円 ※今回の試乗車

■V40 Cross Country T5 AWD   359万円
■V40 T5 R-DESIGN        399万円

 

パッケージング&スタイル

かなりスポーティ。P1800へのオマージュも


ボディカラーは全13色。写真はイメージカラーのビアリッツブルー

スタリングはここ最近のボルボと共通のスポーティでスタイリッシュなもの。一時期のボルボに多かったスクエアなフォルムではないが、往年のアマゾンのように優美なラインもボルボの伝統。サイドウインドウは後方で強く絞りこまれ、ルーフもスラント。また240シリーズ(1974年-)あたりから始まる棚状のショルダーラインもはっきり見える。加えてリアドアの上部には、かつてのP1800や1800ESへのオマージュである「フックライン」が。3ドアであるC30のクーペスタイルを5ドアで再現したという感じでもある。

大きさはCセグメントのど真ん中

ボディサイズは全長4370mm×全幅1785mm×全高1440mm(キーレスドライブ装着車はドアハンドルの形状が異るため、全幅1800mm)。プラットフォームは、フォード傘下で開発された現行C30/先代S40/V50系の改良版なので、ホイールベースはそれらとほぼ同じになっている。

下の表を見ても分かるように、大きさはおおむねCセグメントの平均。ただし、最小回転半径は16インチタイヤの標準グレード(T4)だと5.2メートルに収まるが、17インチを履くT4 SEだと5.7メートルまで大きくなる。

 

ボンネットはアルミ製

リアは1800ESやC30のモチーフを継承

Cd値は0.31とのこと
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
VW ゴルフ 7
(2013- ※欧州仕様)
4255 1799 1452 2637
メルセデス・ベンツ Aクラス(2013-) 4290-4355 1780 1420-1435 2700 5.1
レクサス CT200h(2011-) 4320 1765 1460 2600 5.2
BMW 1シリーズ(2011-) 4335 1765 1440 2690 5.1
アルファロメオ ジュリエッタ(2012-) 4350 1800 1460 2635 5.5
新型ボルボ V40(2013-) 4370 1785(1800) 1440 2645 5.2-5.7
トヨタ プリウス(2009-) 4460 1745 1490 2700 5.3
先代ボルボ V50 2.0e(2004-2013) 4520 1770 1450 2640 5.3
 

インテリア&ラゲッジスペース

伝統と斬新さの合わせ技


試乗車はナビ・パッケージやレザー・パッケージなどフルオプション仕様。北欧風のウッドパネルも装着できる

室内もスポーティさを重視しているが、室内幅やヘッドルームは十分。角度の寝たCピラーが少し気になるが、慣れると思う。助手席の足もとは狭めだが、運転席側はそうではなく、ドライビングポジションはバッチリ決まる。

質感に関しては、上級グレードのSEでフルオプション仕様だと、確かに額面通り400万円くらいのクルマかなぁという雰囲気。ライバルとなるドイツ車にはない、ボルボ独自の雰囲気と意匠が嬉しい。

視覚効果でスポーツモード?


写真は「パフォーマンス」を選んだところ。中央は回転計になり、速度はデジタルに。右にパワーメーターが表示される

目を引くのは、ボルボ初のカラー液晶メーターパネル(8インチTFT)。フル液晶のメリットを活かして、「エレガンス」「エコ」「パフォーマンス」の3種類のテーマからデザインを選べる。実のところ、これによって変わるのは、メーターのグラフィックデザインだけで、制御プログラムが変わるわけではないが、パフォーマンスを選んでメーターが真っ赤に染まると、心なしかスポーツモードになったような気がする。

 

先代S40/V50で始まったフリーフローティング・センタースタックを継承

これはエコを選んだ状態。中央は速度計になり、全体に淡いトーンになる
 

LED照明を内蔵する「イルミネーテッド・シフトノブ」。透明感のある造形が北欧デザインらしい

オプションのRTI(HDDナビゲーションシステム)はリモコン付き。フルセグ地デジは停止するだけでテレビ画面が表示されて便利
 

乗る時には頭が、降りる時は足が引っ掛かりやすいなど後席の乗降性は今ひとつ。しかしシート、着座姿勢、前方視界は良く、居住性は良好

写真は上級グレード「TE」のレザー・パッケージ装着車。今も昔もヘッドレストの作りがしっかりしている
 

荷室容量は335リッター(拡大時は最大1032リッター)。リアゲートが寝ていて開閉しやすい

床下には収納スペースがあり、そのまた下にパンク修理キットが備わる    

「パノラマ・ガラスルーフ」(18万円)はSEのみ。後席の開放感に貢献
 

基本性能&ドライブフィール

期待以上にパワフルで速い


1.6リッター4気筒・直噴ターボエンジン「T4」。最高出力は132kW(180ps)、最大トルクは240Nm(24.5kgm)

試乗したのは、「T4 SE」のフルオプション仕様。「T4」こと1.6リッター直噴ターボエンジン(基本的にはフォードグループの1.6 “エコブースト”がベース)と、「パワーシフト」ことゲトラグ製6速DCTとの組み合わせは、すでにS60やV60で採用されているもの。

直噴ターボとDCTという組み合わせは、VWが先行して採用してきたものだが、フォード/ボルボの1.6ターボは、微妙に印象が異なるのが面白い。例えば、VWの1.4リッターTSIエンジンと比べると、低速トルクはそれほどガツンと来ないが、アクセルを踏み込むと「コォォォン!」とボルボらしからぬ?元気なサウンドで一気に吹け上がる。実際、最高出力は180ps/5700rpm、最大トルクは24.5kgm/1600-5000rpmとけっこうハイチューン。ボルボと言えば、ゆったり穏やか、と思って乗ると、意外な速さに驚くことになる。

それでも、出力特性は初期のS60/V60の1.6ターボより洗練され、電動パワステや電子制御デバイスのおかげか、トルクステアも穏やか。過激の2歩くらい手前で留まっている。

ちなみにこの「T4」エンジンには、ボルボから純正チューニングプログラム「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」(20万円)が発売されている。このプログラムをインストールすると、燃費性能と快適さは損なわず、最高出力は200ps/5750rpm(+20ps)、最大トルクは29.1kgm/2000-4250rpm(+4.6kgm)となり、実用域のパフォーマンスも向上するとのこと。

シャシーもかなりスポーティ方向

もちろん、ボルボらしく、ゆったり走らせても悪くない。というか、こちらの方が本来の姿かも。2000回転以下でも十分に力があり、6速DCTが小まめに適切なギアを選んでくれる。

サスペンションは、ボルボとしてはかなり硬め。プラットフォームは先代C30/S40/V50の改良型だが、フィーリング自体は現行のS60/V60的。もう少しユッタリ感が欲しいと思うボルボユーザーもいると思うが、エンジンがパワフルなので、これくらい引き締まった感じもありか。もちろんアタリが付いてくれば、もう少しマイルドになりそう。

一つ気になったのはロードノイズが少々うるさいこと。これはタイヤ(試乗車は225/45R17のピレリ チントゥラート P7)の特性もあると思うが、もう少し静かな方がいいと思えた。また、アイドリング時のエンジン音と振動も、ちょっと目立つところ。もちろんボルボ初採用のアイドリングストップが作動すれば、それも問題はないのだが。

 

ロードノイズは目立つが、フェンダー内は前後とも丁寧にフェルトで覆われている。スプラッシュ音などは小さそう

ワインディングでは、ガチッとしたボディや足まわりが印象的。その気になればかなりのハイペースが可能。従来ボルボのヒタヒタ、ユルユルではなく、シャープな方向に行った分、場合によっては少し緊張感があるが、これもスポーティのうちか。

ただ、スポーツモードやエコモードといった走行モードの選択が出来ないのは、今のクルマらしくないところ。カラー液晶メーターのデザイン「テーマ」を、エコにしても、盤面が真っ赤に染まるパフォーマンスにしても、走行モードは全く変化なし。しかし、心理面の効果は大きく、演出だけのモード変更?もありだなぁと思った。

100km/h巡航時のエンジン回転数は、約2200回転とちょっと高め。この速度域でも一番気になったのはロードノイズ。一度、標準グレードの16インチ仕様を試してみたいところ。

ACC、RSI、BLIS、AHB……先進安全装備が山盛り


フロントウインドウ上部にあるのはフォトダイオード(左上)、近赤外線レーザー(左下)、CCDカメラ(右下)

安全装備は非常に盛りだくさんだが、まず前方のクルマや障害物に反応する「シティ・セーフティ」は、かなり頻繁に作動する。ノーブレーキもしくは急速に前方の障害物に接近した場合には、赤いランプがフロントガラスの下部でぼんやり点灯。さらに警告音が鳴り、それでもドライバーがブレーキ・回避操作をしない場合は、自動ブレーキが作動する(はず)。

またオプションの「セーフティ・パッケージ」を選べば、全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や、歩行者を検知して自動ブレーキを掛けるヒューマン・セーフティも付いてくる。なお、以上の機能は、システムこそまったく異なるが、ステレオカメラを使ったスバルのアイサイト(ver.2)に近い。ACC使用時に停止まで行い、アクセルをちょんと踏むと再び追従を始めるところも一緒。

 

フロントグリル内には高性能デュアルモード・ミリ波レーダーを配置。最大150メートル前方まで監視する

一方、今回初めて体験したのは、他のボルボ車でも2013年モデルから採用されているRSI(ロード・サイン・インフォメーション)。これはデジタルカメラで道路標識を認識し、制限速度や追い越し禁止などの情報をメーター内に表示するもの。最初はナビ情報かと思ったが、確かに道路標識が出た後にメーターに表示される(逆に標識がないところでは表示されない)。日本みたいに、やたら標識が多いところには向いているかも。高速道路は意外に標識が少なく(速度が速いため読み取るのが難しいせいかも)、ほとんど表示されなかった。

 

「ヒューマン・セーフティ」(歩行者検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキ・システム)。ミリ波レーダーとデジタルカメラを使って、前方の歩行者や車両を検知し、衝突を回避もしくは被害を軽減する

もう一つ、初めて体験したのは、ボルボでは初のCTA(クロス・トラフィック・アラート)。ガレージなどからバックで道路に出る時、左右から近づいてくるクルマの存在を知らせるもので、これが作動した時にはちょっとした感動を覚えた。このCTAを含めて、最初は何を警告されているか分からないこともあるが、慣れてくるとだんだん作動ロジックが分かってくる。

一方、短い試乗ながら最後まで慣れなかったのが、AHB(アクティブ・ハイビーム)。これはシステム作動時にハイビームを選択しておくと、対向車などの存在を検知した際にロービームに自動的に切り替えてくれるもの。しかし実際のところは、日本の道では相当の田舎道でも街灯や家屋の灯りなどを検知してしまい、ずっとロービームのまま、ということになる。結局システムは切って、手動でハイ・ローを切り替えながら走ることになった。

 

CTA(クロス・トラフィック・アラート)。リアバンパー内蔵のミリ波レーダーセンサーにより、バックで車両を発進させる時に、左右から接近する車両を検知して知らせる。ボルボ初

RSI(ロード・サイン・インフォメーション)。制限速度と追い越し禁止の標識を画像解析で読み取り、メーター内に表示する

AHB(アクティブ・ハイビーム))。対向車などを検知すると、自動的にハイビームからロービームに切り替える
 

試乗燃費は9.2~13.8km/L。JC08モードは16.2km/L


ボルボ初のアイドリングストップ「Start/Stop機能」は、最新の日本車ほどではないが、輸入車としては最もスムーズな部類で、クランキングノイズも静か

今回はトータルで約250kmを試乗。参考までに試乗燃費(車載燃費計による)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が9.2km/L。一般道を大人しく走った区間(約30kmを計3回)が12.1km/(市街地中心)、13.5km/L(郊外、昼間)、13.8km/L(郊外、夜間)だった。

なお、JC08モード燃費は16.2km/L。これは従来のC30、S40、V50の自然吸気2.0リッター直4エンジン・6速DCT車(145ps、18.9kgm)の11.6km/Lより、約40%も優れる。いわゆるダウンサイジング効果。

 

ここがイイ

各種安全装備、安全哲学、デザイン

世界初の「歩行者エアバッグ」をはじめ、アクティブセーフティの面でも、他メーカーなら高級車にしかない先進装備を標準もしくは現実的な値段でオプション設定していること。詳しくは本文をご覧頂きたいが、細かいところではリアシートのヘッドレスト。これ、ドライバーの後方視界を確保するため、手前に倒れるようになっているのだが、それを立てない限り邪魔になって人は座れない。もし後方に倒れるなら、ヘッドレスト無しで座ることもあるだろう。そんな小さなことに、ちょっと感動してしまった。

デザイン。ゴルフに始まり、Aクラス、1シリーズ、ジュリエッタなど、力作が揃うこのクラスだが、ドイツ車のような硬質なデザインでもなく、イタリア車やフランス車のようなラテン系でもなく、ボルボのような北欧デザインが好き、という人は世界中に一定数いる。サーブなき今、ボルボのようなデザインは貴重。インパネのメーターが全面液晶というのも、今後を示すものだ。

ここがダメ

ナビや安全装備は標準とすべき

標準グレードのT4では、なぜかナビ・パッケージが選べない。オプションで20万円しかしないものだし、当面は便利という意味では、全車標準とすべきだろう。それでも車両価格は289万円からとできるから、価格面でのインパクトは弱まらないのでは。

セーフティ・パッケージも20万円と安いが、これも標準装備だといい。現実には大半の人が装着することになるはずだが、全ての安全装備込みで309万円なら相当にインパクトがある。歩行者用エアバッグもせっかくの世界初なのだから標準装備が良かった。注文時に安全意識の高さを試されるのが、ちょっと辛いかも。

それから機械オンチの人が、各種ハイテク安全装置やIT装備を使いこなせるかどうか、ちょっと心配。こうした装備を搭載するクルマが増える今後は、体験やレクチャーの重要性が高まるのでは。買った人だけでなく、それを運転する可能性のある人にはレクチャーを義務付けるくらいの方がいいかもしれない。

ヒル・スタート・アシストは装備されているが、坂道発進ではなぜか一瞬、落ちることが多かった。

インパネのデザインに隙がないゆえ、スマホのセットには苦労しそう。難しい話だが、スマホ置き場を考えたインパネをそろそろ設計すべき時期なのでは。

総合評価

ボルボはやっぱりボルボだった

中国企業の吉利(ジーリー)が、フォードからボルボを買収して手続きが完了したのは2010年8月。しかしそれから今に至るまで、表向きは大きな動きはないようで、ボルボはスウェーデンで今まで通りのクルマづくりを進めている。今年2月には、Cセグメントの新型プラットフォームを吉利と共同開発をすることが決まったと発表があり、今後は関係が深まっていくようだが、今のところボルボの「クルマづくり」に、中国資本の影響はあまりないように見える。

考えてみればフォード傘下の時代も、同傘下だったジャガーほど親会社の影響を受けたわけではなく、その時代もボルボらしさを生かしたクルマづくりが続いていた。そして今も北欧家具に象徴されるスウェーデン製品らしい「品の良さ」は損なわれることなく、さらにもうひとつの柱である「安全」に関しては、加速度的に強化されている。いまだイメージの良くない中国車とは対局にあるのが今のボルボで、それを思えば、クラッシュテストでひどい結果の吉利など、まだまだ教えを請う立場にある。中国資本との理想的な提携形態ということだろうか。

 

で、今回は新しいV40に乗ったわけだが、このクルマも乗った瞬間に、これはいいな、と思わせる出来だった。まず上級モデルのV60に通じるスタイリングとコンパクトなサイズ感がいい。小さくてもプレミアム感があるのは、残念ながら日本車では真似出来ない芸当。小柄で、品が良くて、ちょっと高級な感じ。その感覚が欲しい人は多いはず。ボルボならではだ。C30の生産は終了したようだから、今後はこれが最小のボルボということになる。

次にパワー感。小さいながらもパワフルで、それでいて過剰ではない。ゆっくり走っても十分な力強さがあり、その気になれば速い。必要十分などという消極的な感想を持たなくていい。いわゆる剛性感なんてのも十分だから、ワインディングでも不満がない。スポーツモードやパドルシフトこそないがDCT任せにすれば、誰でも軽快に楽しめる。そして何より最新安全装備は素晴らしいとしか言えない。新型が出るたびに追加され、進化するハイテク安全装備の数々は、差別化への何よりの武器だろう。それがこのクラスで満載なのだから、ライバルは顔色を失う。

「安全」を誰でも買える時代が理想

ボルボは2020年までに、新しいボルボ車の事故で、死者、重傷者をゼロにするという「ビジョン2020」を打ち立てている。それはわずか7年後の話だ。日産の高級車で、全車速追従クルーズコントロールを体験したのは、もう何年前の話だろう。高級車だけの装備が大衆車にまで広がるのはいったいいつのことか、などと思ったものだが、スバルやボルボは今やそれをCセグメントで実現している。そしてこの2つのメーカーは、現在好調な販売実績を示している。モーターデイズでは昔から、ハイテク安全装備こそが、やがてクルマ購入の選択肢となると言ってきたが、すでに時代はそうなりつつある。輸入車では、その最右翼がボルボだ。凄まじいまでの安全装備群は、もはや他の追随を許さない。それだけでもボルボを選ぶ意味はあるが、それでいてスタイリングがよく、走りもいいのだがら、もう何をいわんや。しかもそこそこ安い。

 

かつてのボルボは、相対的に高額な印象だった。本国や北米ではもっと安いはずなのに、なぜか日本では高いという……。しかし今のV40には、けして高いという感覚はない。戦略的とはいえ、その努力は素晴らしいと思う。これまでの円高がその背景にあるとすると、今後がちょっと心配ではあるが、いずれにしても発売1週間で受注1000台というのは、さすが消費者の皆さんよく分かっているというところ。

ただ、そうはいっても、300万円を超えるクルマを買える人は、ますます進むであろう格差社会では、上級な部類の人々だろう。その意味では、「プレミアムで、よく走って」の部分はなくていいので、願わくば誰でも買える、コンパクトで安全な「安いクルマ」がどんどん発売されてほしいもの。安全は富裕層が金で買うという時代から、誰でも普通に買えるという時代になることが、人類にとっての進化というものだと思う。果たしてアベノミクスは、そこを目指しているのだろうか。また日本にとっては「吉利がボルボの技術を学ぶこと」が脅威かもしれない。安全な中国車が出てきた時、日本車はどこまで安全になっているだろうか。

 

 
 
 

試乗車スペック
ボルボ V40 T4 SE
(1.6リッター直4 ターボ・6速DCT・309万円)

●初年度登録:2013年2月●形式:DBA-MB4164T ●全長4370mm×全幅1800mm×全高1440mm ※キーレスドライブ非装着車は全幅1785mm ●ホイールベース:2645mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):1440kg(860+580)※ガラスルーフ非装着車は車重1430kg ●乗車定員:5名

●エンジン型式:B4164T ●排気量・エンジン種類:1595cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:79.0×81.4mm ●圧縮比:10.0 ●最高出力:132kW(180ps)/5700rpm ●最大トルク:240Nm (24.5kgm)/1600-5000rpm ●カム駆動:- ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/62L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:16.2km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 マルチリンク+コイル ●タイヤ:225/45R17(Pirelli Cinturato P7) ●試乗車価格(概算):404万円  ※オプション:ナビゲーション・パッケージ 20万円、レザー・パッケージ 20万円、セーフティ・パッケージ 20万円、パノラマ・ガラスルーフ 18万円、メタリックペイント 8万円、歩行者用エアバッグ 6万円、PCCキーレスドライブ 3万円 ●ボディカラー:ビアリッツブルーメタリック ●試乗距離:約250km ●試乗日:2013年3月 ●車両協力:ボルボ・カーズ千種(株式会社クリエイト)

 
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