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新車試乗記 第756回 フォルクスワーゲン e-up! Volkswagen e-up!

(モーター+リチウムイオン電池・366万9000円)

クルマ好きは
電気up!の夢を見るか?


2015年04月10日

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キャラクター&開発コンセプト

“e-drive for everyone.”(みんなのための電気自動車)


VW e-up!
(photo:VGJ)

欧州では2013年秋に販売開始、日本では2014年10月に導入を発表、2015年2月1日から受注が始まった「e-up!(イー・アップ!)」は、VWの最小コンパクトカー「up!」(欧州では2011年、日本では2012年発売)がベースの電気自動車(EV)。追って日本でも導入予定のe-ゴルフと共に、VWにとっては「化石燃料に依存しない次世代モビリティへのひとつの回答」となるモデルだ。

VWによれば、EVは「価格や航続距離などの課題はあるものの、排気ガスを出さず、クリーンかつ静粛性に優れた電気自動車は、一定のお客様のニーズを満たし、新しいモビリティとして受け入れられる可能性があると判断」したという。VW自身は2020年に総生産台数の3%前後がEVやPHEVになると予測している。VWグループの年間生産台数は現在でも約1000万台なので、3%は年間30万台以上になる。

航続可能距離は185km(JC08モード)


2014年10月に日本導入が発表されたe-ゴルフとe-up!
(photo:VGJ)

もともとup!は、当初からEV化を想定して開発されており、e-up!でも外観は大きく変わらない。その床下にはエネルギー容量18.7kWh、重量230kgのリチウムイオン電池が、ボンネットの下には最高出力60kW(82ps)、最大トルク210Nmの駆動用モーターが搭載される。トランスミッションは多くのEV同様に1段のみ。

車重はガソリンup!(920kg)より240kg増えて1160kgだが、0-100km/h加速は12.4秒を誇り、最高速は130km/hに達する。航続可能距離はJC08モードで185kmだ。

生産はガソリンup!と同じスロバキアのブラチスラバ工場で、リチウムイオン電池パック、モーター、制御ユニット等はVWの自社製になる。ただしバッテリー「セル」はパナソニック製のようだ。

200V普通充電に加えて、急速充電“CHAdeMO”にも対応


200V普通充電はボンネット下のポートで行う。
(photo:VGJ)

充電に関しては、200Vの普通充電ポートをボンネット下に装備(e-ゴルフはフロントエンブレム内にある)。空の状態から約8時間で満充電にできる。なお、この場合の「普通」充電とは、急速充電ではないという意味になる。

また、ガソリンup!で給油リッドがある部分には、400V急速充電用のポートを標準装備。日本仕様は日本の急速充電規格“CHAdeMO(チャデモ)”になる。こちらは約30分で約80%まで充電可能。今回試乗した試乗車(デモカー専用の初期導入車)はCHAdeMO未対応だったが、実際に販売される車両は対応済みのものになる。

■外部リンク
・レスポンス>庄司社長「CHAdeMO対応に万全を期す」(2014年10月14日)

 

急速充電用ポートは右リアフェンダーのリッド内にある
(photo:VGJ)

■参考記事
・新車試乗記>VW high up! (2012年11月掲載)
・新車試乗記>日産 リーフ (2011年7月掲載)
・新車試乗記>三菱 i-MiEV (2009年12月掲載)

 

価格帯&グレード展開

価格は366万9000円


VWディーラーのEV専用スペースで普通充電中
車両協力:フォルクスワーゲン小牧

e-up!は4ドアのみの単一グレードで、ボディカラーはピュアホワイトのみ。価格は366万9000円。

レーザーレーダーを使用したシティエマージェンシーブレーキ(低速域追突回避・軽減ブレーキ)、ESP、4エアバッグ、シートヒーターが標準装備になる。

ガソリンup!は現在、2ドアが154万8000円、4ドアが175万6000円~179万9000円なので、e-up!の値段はおおむねガソリン車の2倍近い。ただしEVには購入補助金があり、それを利用すれば実質的な購入費用はもう少し安くなると思われる(ただ保有期間の義務など様々な条件が付く)。

参考までに日産リーフの価格は266万3280円~347万0040円。そしてi-MiEVは、47kW(64ps)版が283万8240円、30kW(41ps)版が226万1520円。

また、EVと併せて購入したいのが自宅用の200V普通充電器。e-up!のカタログ巻末には、トヨタホーム製(19万円~、補助金を受ければ2014年時点では実質13万円~)、パナソニック製(23万5000円~、同実質15万5000円~)、簡易タイプ(車両に搭載される充電ケーブルを使用する。9万5000円~)などが掲載されている。

なお、電池の保証期間は、8年間・16万kmとかなり長め(ただし使用できる容量が70%以上の場合は保証の対象にならない)。

e-Golfも導入予定


VW e-Golf
(photo:VGJ)

さらに2015年央には現行ゴルフ7ベースのEV「e-ゴルフ」も導入されると発表されている。

e-ゴルフに搭載されるリチウムイオン電池のエネルギー容量は、e-up!の約1.3倍となる24.2kWh。また、モーターの最高出力は約1.4倍の85kW(116ps)、最大トルクは約1.3倍の270Nmになる。そして車重も約1.3倍の約1.5トン(1530kg)になるが、0-100km/h加速はe-up!より2秒速い10.4秒を誇り(1.2Lターボ・7速DCTのポロに迫る)、最高速はe-up!より10km/h速い140km/hまで伸びる。航続可能距離(JC08モード)は215kmだ。

また、ゴルフ7譲りの先進安全装備も完備し、静粛性や乗り心地もガソリン車のゴルフを上回るはず。VWでは「環境への負荷が最も少ない究極のゴルフ」と謳う。

価格は未定だが、e-up!との関係を考えると、500万円前後が予想される。

 

パッケージング&スタイル

EVになっても違和感がない

ベースはガソリン車のup!(4ドア仕様)だが、EVになっても違和感がないのは、もともとup!がフロントグリルレスのEVっぽいデザインだからだろう。ベース車と明確に異なるのは、前後バンパーの左右にあるC字型の意匠で、フロントのそれはシルバー、リアは赤色リフレクターになっている。

また、前後のVWエンブレムには、EVのイメージカラーであるブルーの差し色が入るほか、フロントドアとリアゲートには「e-up!」のロゴが入る。そして、足もとには空力性能の高い専用デザインの15インチアルミホイールが装着される。

 

ボディサイズはベース車と基本的に同じだが、ルーフアンテナがある分だけ全高が25mm高い

さらに車体の底は、バッテリー保護と空気抵抗の低減を兼ねて、アンダーフロアカバーでフラットボトム化されている。Cd値はガソリンup!より4%優れる0.308とのこと。

しかし多くの人は、よほど注意深くないと、これがEVだとは思わないだろう。そこが見るからに未来的なBMW i3とは違うところだが、それこそがEVを「特別なものには見せない」というVWの狙いでもある。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
三菱 i-MiEV (2009~) 3395 1475 1610 2550 4.5
VW e-up! (2015~) 3545 1650 1520 2420 4.6
VW ポロ (2009~)
※諸元は後期型(2014~)
3995 1685 1460 2470 4.9
VW ゴルフ7 (2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
日産 リーフ (2010~) 4445 1770 1550 2700 5.2~5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

専用メーターや情報ディスプレイを装備

インテリアも一見ガソリンup!と大差ないが、メーターをよく見ると、エンジン回転計に見えるものは、実際にはモーター出力や回生状態を示すパワーインジケーターだし、燃料計はバッテリーの残量計に置き換えられている。こういった本物の指針を使ったアナログメーターの方が、液晶ディスプレイ表示より見やすい。

もう一つ目を引くのは、センターコンソールにある車両情報ディスプレイ「touch+more(タッチアンドモア)」。GARMINと書いてあるのでポータブルナビかと思いきや、(残念ながら)ナビ機能はなく、エネルギーフローメーターなどの車両情報、各種設定、SDカードなどデジタル音源のオーディオ操作機能、携帯電話ハンズフリー機能などのインターフェイスの役割を果たす。

 

左のパワーインジケーターは出力レベルをパーセントで表示(×10)。右はバッテリー残量計

さらに専用アプリをパソコンやスマホにダウンロードすれば、eリモートサービス「Car-Net」(3年間無償)を使用できる。これは、離れた場所から充電残量、外気温、ドアの施錠状態、GPSで駐車位置などをチェックできるほか、エアコンやヒーターのスイッチオンも出来る優れもの。プラグイン状態で車内を適温にしておけば、それだけバッテリー容量をセーブできるというわけ。

 

車両情報ディスプレイ「touch+more(タッチアンドモア)」。写真はエネルギーフローメーター表示中

パソコンやスマホに専用アプリをダウンロードして使うeリモートサービス“Car-Net”
(photo:VGJ)
 

バッテリーの存在を感じさせない


フロントシートはドイツ車っぽくヘッドレスト一体型のハイバックタイプ。テレスコはないが、ポジションは不満なく決まる

最も感心するのは、総重量230kg分のリチウムイオン電池を搭載しながら、キャビンや荷室の広さがガソリンup!と大差なく見えること。バッテリーは主に前後シートの座面下にあり、後席のヒップポジションはやや上昇しているようだが、着座姿勢は自然で、ヘッドルームも十分。足の長い人が後席で足を伸ばさない限り、バッテリーの存在はほとんど意識されない。

あえて弱点を言えば、それはガソリンup!同様に4人乗りであること、そしてリアのサイドウインドウがヒンジ式になることだ。

 

ガソリンup!と大差なく見える荷室まわり(同等とすれば容量は約250L)

電池の存在を感じさせない後席まわり。カチッとした硬めの座り心地だが、なかなか快適
 

後席背もたれは5:5分割。床の高さはフロアボードで2段階で調整可能(写真は下段)

荷室床下にはパンク修理キットと、出先の充電ポイントで使用するための充電ケーブルが備わる
 
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