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VW ポロ TSIコンフォートライン新車試乗記(第739回)

Volkswagen Polo TSI Comfortline

(1.2L 直4ターボ・7速DCT・223万9000円~)

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真マイナーチェンジで
ミリ波レーダーを搭載。
クラス破りのBセグコンパクトに
箱根の山で試乗した!

2014年09月12日

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ポロ キャラクター&開発コンセプト

いわゆる後期型にマイナーチェンジ。新世代エンジンを搭載

たくさんのフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインが並んだ写真

1975年に登場した「ポロ」は、VWのBセグメントコンパクトカー。世界累計販売台数は同社の大黒柱であるゴルフ(累計3000万台以上)のおおよそ半分となる1400万台以上。また、3代目(1996年~)から本格的に導入された日本でも累計販売台数は約22万台で、ゴルフに次ぐ量販モデルになっている。2009年にデビューした現行モデル(6R型)は5代目にあたる。

 
新型ポロの画像
今回の新型ポロ。外観ではヘッドライトやフロントグリル等のデザインが変更された
(photo:VGJ)

そんなポロが2014年8月25日にモデルチェンジした。いわゆる後期型へのマイナーチェンジで、基本設計や全体のスタイリングは従来モデルを踏襲している。

今回の改良ポイントは、まず主力の1.2リッター直噴ターボ「TSI」エンジンを、ゴルフ7と同世代の後方排気・DOHC・4バルブユニットに変更したこと。これに伴いパワーステアリングは従来の電動油圧式から電動式(EPS)になるなど周辺メカニズムもアップデート。JC08モード燃費も約5%向上している。

ミリ波レーダーを全車標準化

前期型5代目ポロTSIハイラインの写真
5代目ポロ前期型(写真はTSI ハイライン)

もう一つのポイントは、ゴルフ7に続いてミリ波レーダーを全車標準としたこと。これにより衝突被害を軽減・回避するプリクラッシュブレーキシステム「フロントアシストプラス」が、Bセグメント車では異例の全車標準になったほか、上級グレードには「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」も標準装備になった。

さらに、事故時の二次衝突被害を軽減・回避するマルチコリジョンブレーキシステムやドライバー疲労検知システムも全車標準とするなど、ゴルフなどの上級モデルに迫る安全装備を備えている。

■過去の新車試乗記
 

価格帯&グレード展開

標準グレードは223万9000円で、ACCもオプションで用意

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの画像
標準グレードのTSI コンフォートライン
(photo:VGJ)

今回日本に導入されたのは、1.2リッター直4ターボの7速DCT仕様のみで、標準グレードの「TSI コンフォートライン」(223万9000円)と上級グレードの「TSI コンフォートライン アップグレードパッケージ」(249万5000円)の2種類。

全車標準となる装備は、プリクラッシュブレーキシステム、マルチコリジョンブレーキシステム(衝突や追突時の衝撃をエアバッグセンサーが検出すると自動で車両を10km/h以下になるまで減速させる)、ドライバー疲労検知システム、新世代のインフォテイメントシステム“Composition Media”(CDプレーヤーやBluetooth対応オーディオなど)、Start/Stopシステム(アイドリングストップ機能)、レザーステアリングなど。また、標準グレードでもACCパッケージ(6万4800円)を選べば、ACCとパドルシフトが付く。

上級グレードは249万5000円で、ACCやアルミホイールが標準

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートライン アップグレードパッケージの画像
上級グレードのTSI コンフォートライン アップグレードパッケージ
(photo:VGJ)

標準グレードより25万6000円高いアップグレードパッケージでは、ACCに加えて、固定式コーナリングライト、オートライト、レインセンサー、オートエアコン、リヤビューカメラ、パドルシフト、アルミホイール、自動防眩ルームミラー等が標準になる。

そしてさらにオプションで、前席をアルカンターラ&レザレット(合成皮革)のスポーツシートに格上げすることもできる(16万2000円)。

 
純正ナビ「714SDCW」の解説パネルの写真
オプションの純正ナビ「714SDCW」は、従来の712SDCRの後継機

ナビは全車オプション。VW純正ナビ「714SDCW」(クラリオン製)は、2DIN型の7インチタッチパネルタイプで、従来の純正ナビにクラウド音声認識、フリック操作、地図更新などの新機能を追加したもの。標準グレードではリヤビューカメラとACCパッケージとセットで29万4300円、上級グレードでは19万9260円で装着できる。

 

パッケージング&スタイル

全長4メートル未満、全幅1.7メートル未満をキープ

右前方から撮影されたフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真
ヘッドライトは全車マルチリフレクター式のハロゲン

ボディサイズは前期型とほぼ同じで、全長3995mm×全幅1685mm×全高1460mm(純正ナビ装着車は全高1470mm)、ホイールベースは2470mm。今どきの欧州Bセグでは珍しく、日本市場のことを考えたかのように全長4メートル未満、全幅1.7メートル未満に収まっている。

ちなみにゴルフ7は、全長4265mm×全幅1800mm×全高1460mm、ホイールベース2635mmだから、ポロの方が一回り以上小さく、最小回転半径もゴルフの5.2メートルに対して4.9メートルに収まっている。狭い場所に駐車する時は、当然ながらポロの方が気楽だ。

フロントを中心にデザイン変更。ボディカラーも充実

右後方から撮影されたフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真
リアは、リアコンビランプ(内部のレンズ形状)、バンパー形状(リフレクターも追加された)などが変更された程度

ボディパネルのいわゆる板金部分はほぼ従来のままで、意匠変更されたのは上下フロントグリル、前後バンパー、ヘッドライト、テールランプ、アルミホイールもしくはホイールキャップの意匠といったところ。特に印象が変わったのはフロント部分で、ヘッドライトユニット内部のリフレクターが丸型からシャープな形状になったほか、ロアーグリルにはウイング形状のメッキモールが入った。要するに、ゴルフ7に似たデザインになった。

そして新型で嬉しいのは、ボディカラーがカラフルになったこと。従来モデルはVW定番のソリッド色が中心で、いまいち選択肢に乏しかったが、今回はポロ専用色ではないものの、サンセットレッドメタリック(ゴルフカブリオレにあった)、高級感のあるトフィーブラウンメタリック(現行ビートルの色と同じ)、コーンフラワーブルー(up!の色と同じ)など、全8色が用意されている。

 
トフィーブラウンメタリックカラーのフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真
シックなトフィーブラウンメタリックは前期型ポロにはなかったタイプの色
コーンフラワーブルーカラーのフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真
写真はコーンフラワーブルーの車両に、オプションのサイドスカートや16インチアルミ、ドアサイドモール等を装着したもの
サンセットレッドメタリックカラーのフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真
テーマカラーのサンセットレッドメタリック
 

インテリア&ラゲッジスペース

ステアリングやメーターを、ゴルフ7と同タイプに変更

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの前部座席の写真
写真は純正ナビ&ACCパッケージ装着車

内装でまず気づくのは、ステアリングホイールがゴルフと同タイプになったこと。具体的にはスポーク部が光沢のあるブラックになり、リム形状は6時部分が少しフラットなDシェイプになった。また、ACC装着車には、ACC、オーディオ、情報ディスプレイを操作するためのスイッチがスポーク部に装着される。

 
フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインのメーターの写真
中央の液晶パネルが拡大された新型メーター。左にはアナログの水温計、右には燃料計が新設された

そしてメーターパネルもゴルフと同タイプに変更された。メーター中央の液晶パネルにACCの動作状態が表示できるようになり、代わりに今まで液晶表示だった燃料計が右の速度計内に移設され、アナログ式に変更された。

その他の変更点は、DSGのシフトレバーがゴルフ7と同タイプになったり、ドアトリムにクローム調モールが入ったり、シートファブリックの生地が変わったり、といったところ。質感は確かに上がったが、空間自体は従来通り。

 
側面から撮影されたフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの後部座席の写真
後席も従来通り。欧州Bセグ車としては広い方だが、ゴルフと比べると足元やヘッドルームはタイト
側面から撮影されたフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの運転席の写真
シートはファブリックが変更された。全体に小ぶりだが、座り心地は良く、疲れにくい
リヤビューカメラRear Assistの写真
純正ナビ装着車にはリヤビューカメラ“Rear Assist”が備わる。ポロでは意外にも初採用
(photo:VGJ)
 
フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの荷室の写真
荷室容量は引き続き280L(後席使用時)~952L(拡大時)。床は上下2段階で調整可(写真は上げ底)
フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの床下収納の写真
床下も従来と同じで、パンク修理キットと小物収納スペースが備わる
新世代インフォテイメントシステムComposition Mediaの写真
新型ポロに全車標準の新世代インフォテイメントシステム “Composition Media”。6.5インチタッチスクリーンで、オーディオを操作できる
(photo:VGJ)
 

基本性能&ドライブフィール

ピークパワーは一割ダウン。実用域のレスポンスは文句なし

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインのエンジンルームの写真
エンジンは従来と同じ1.2リッター直4ターボながら、搭載方向が前後180度反転し、DOHC・4バルブ化。エンジン型式は従来のCBZから、新しくCJZになった。

今回は、御殿場で行われたプレス向け試乗会に参加した。

基本的にはマイナーチェンジなので、走り出した時の第一印象は、前期型の1.2 TSIエンジン搭載車とよく似ている。エンジンは排気量1197cc、直4・直噴ターボ(ボア71.0mm×ストローク75.6mm)という点こそ変わっていないが、従来のSOHC・2バルブからDOHC・4バルブになり、しかも前方排気からゴルフ7と同じ後方排気に変更。圧縮比は10.0から10.5にアップされている。

しかし最高出力は従来の105ps/5000rpmから、90ps/4400-5400rpmに、最大トルクは175Nm (17.8kgm)/1550-4100rpmから、160Nm (16.3kgm)/1400-3500rpmへと、つまりそれぞれ1割ほどダウンしている。これはおそらく、日本市場には欧州にある同型エンジンの110ps仕様ではなく、(燃費のいい?)90ps仕様が導入されたからだろう。発生回転域を見ると、要するにピーク域を富士山の頂上のように削り、フラットにしたという感じ。

 
フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの運転席の写真
パドルシフトは標準グレードではACCとセットでオプション、上級グレードでは標準装備だが、まぁ無くてもいいかな、という感じ

実際のところ、常用回転域でのパワーダウン感はまったくなく、むしろ改めてポロ 1.2 TSIエンジン搭載車の走りっぷりの良さに感心してしまう。車重は前期型より30kg重いが(装備増加が主な要因とのこと)、それでも1130kgしかない。これは1.2リッターエンジン(105ps、17.8kgm)を搭載するゴルフ7より110kg軽く、ザ・ビートルより170kg、同カブリオレより250kgも軽い。

確かに105psの前期型ポロと比べると、エンジンをブン回した時の速さは目減りした気もするが、依然として動力性能はまったくもって十分。特に今回のように2速、3速を使うタイトなワインディングでは、コーナーを立ち上がる度に絶妙なトルク感とレスポンスが楽しめる。

そして、おなじみ7速DSGの変速レスポンスは、相変わらず文句の付けようがない。ギア比は前期型と全く同じで、箱根の山道にほぼドンピシャに思えたが、このあたりの印象にも全域で鋭いレスポンスを見せるエンジン特性が効いている。

パワートレインの良さが、ハンドリングの印象を引き上げる

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインのタイヤの写真
タイヤは全車185/60R15が標準で、試乗会場にあった車両はスチールホイール車も含めてコンチプレミアムコンタクト2だった

足回りに関しては、特に改良されたというアナウンスはなし。それでも乗り心地については、前期型の途中(2012年)で追加された低燃費モデル(アイドリングストップ等を装着)のTSI コンフォートライン BMT(ブルーモーションテクノロジー)と比べると、ポンポンと跳ねるような動きがなく、ロードノイズも明らかに静か。ただし、この印象は試乗車のタイヤがいわゆるエコタイヤではなく、コンチネンタルのプレミアムコンタクト2だったおかげかも。ちなみにモーターデイズで4年前に試乗した前期型TSI ハイラインも同じプレミアムコンタクト2だったので、それと比べると大きな差はないかもしれない。

ハンドリングもなかなかいい。もちろんゴルフ7ほどのしなやかさはないし、腰高な印象も依然としてある。また、例えばスイフトスポーツのように、リアを絶妙に滑らせて曲がっていくようなスポーティさも持ち合わせていない。しかしそこはFF車のハンドリングで定評のあるVW。ステアリングを切ればちゃんとグイグイ曲がってくれるし、リアも落ち着き払ってそれに付いていく。そしてアクセルを踏めばすぐに脱出加速に移るので、フラストレーションを感じるスキがない。その点ではパワートレインの出来の良さがハンドリングの印象を引き上げている。プレミアムコンタクト2のグリップ感も十分で、走行後タイヤを触ったら、けっこう粘着感があった。

なお、パワーステアリングはこれまでの電動油圧式(電動ポンプで油圧を起こすタイプ)から、モーターで直接アシストする電動パワステ(EPS)になった。すでに成熟技術であるEPSゆえ、操舵感はごくごく自然で、もちろん燃費性能の底上げにも貢献しているはず。また、従来型は車外にいると、ステアリング据え切り時などに電動ポンプがウィーンウィーン言ってたが、その音が消えた。

高速道路は常用域で不満なし。高い速度域はやや不得手

レーダーアシストの画像
(photo:VGJ)

2区間だけながら、高速道路も走ってみた。約2000回転でこなす100km/h巡航では当然ながら、直進安定性、乗り心地、静粛性はまったく問題なし。正直なところ、これくらいの速度域なら、この日、名古屋から御殿場までの往復で乗ったレクサス NX200tに遜色ないとさえ思ってしまった。

ただしポロの方は速度域が高くなるに連れて上下動、いわゆるバウンシングが大きくなる傾向があり、接地感も薄まってくる。この点ではフラット感や接地感がどこまでも持続するゴルフ7と明らかに差がある。もちろん、日本の高速道路ならポロの性能でも十分だが。そして今回の目玉であるACCは、ポロの場合だと最高160km/hまでセット可能なようで(設定画面で確認)、新東名など流れが速い場所でも活用しやすい。

ちなみにUK仕様の最高速は183km/hで、0-100km/h加速性能は10.8秒。前期型TSI ハイラインは(105ps)は190km/hと9.7秒だったからパワー相応にダウンしたわけだが、新型の動力性能もまったくもって十分。トルク重視の直噴ターボとパワーバンドを外さない7速DCTのおかげで、いつでも胸のすく加速が味わえる。とても1.2リッターとは思えない。

UK仕様にはこの他に、自然吸気1.0リッター3気筒ガソリンの60ps版(最高速161km/h)、その75ps版(同174km/h)、そしてターボディーゼルの1.4 TDI 90ps版(同183km/h)もあるが、これらは5速MTのみ。しかし1.2 TSIの110ps版(196km/h)や、150psの1.4 TSIを積むブルーGT(220km/h)には7速DCTがあるので、特に後者は日本にも導入されるかもしれない。

JC08モード燃費は約5%向上して22.2km/L

最後にJC08モード燃費を見てみると、前期型TSI ハイライン(アイドリングストップ未装備)が19.4km/L、前期型TSI コンフォートライン BMT(アイドリングストップ標準装備)が21.2km/Lだったのに対して、新型は22.2km/Lを達成。アイドリングストップ装着車同士で比べると、伸び代は約5%だ。

実用燃費は、前期型TSI ハイラインやBMTモデルに試乗した時の実燃費を目安にすれば、11~17km/L台といったところか。「踏むか踏まないか」で、けっこう差が出るタイプ。従来通り指定燃料はプレミアムで、タンク容量は45リッターになる。

 

ここがイイ:クルマとしての完成度

たくさんのフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインが並んだ写真

全長4メートル、全幅1.7メートル未満に収まるコンパクトカーながら、完璧とも思えるパワートレインとシャシー性能を併せ持つポロに、ついにプリクラッシュブレーキシステムやACCが装備され、日本においては必要十分かつ理想的なコンパクトカーになったこと。もはやゴルフは贅沢品である。

スタイリングもいい。ゴルフは現行の7で明らかにスタイリッシュ感が増したが、この5代目ポロのスタイリングは4年前に当時のゴルフ6よりいいと書いたくらいで、今のゴルフ7と並べても、まるで古さを感じさせない。新しいボディカラーにも魅力的な色が揃っている。

そして何より、若い女性だけに乗らせておくにはもったいないほど、走りが素晴らしい。クルマ好きの男性も「しょせんポロ」などと思わず、一度試乗してみるべき。特に1.2リッターTSIエンジン搭載車はベストバランス。現行ポロが登場してから早5年経つが、走りに関しては今でもBセグメント車のベンチマークだと言い切れる。

 
フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの純正ナビの写真

オプションの純正ナビについては、ひと世代前のものを別のVW車で個人的に使用しているが、オーディオからナビまで過不足ない性能と、変に凝っておらず実に使いやすい操作性を備えていて、スマホナビではなく車載専用ナビがあるべきところに収まっていることの便利さを実感している。むろんバックカメラの利便性は言うまでもなく、コンパクトカーと言えども日常使いのクルマにはやはりあるべき装備だ。そして従来型ナビで課題だった地図更新も今回から可能になった。純正ナビは車両価格からするとやや高価ではあるが、満足度は高いと思われる。

ここがダメ:使いにくいハンドル周り

フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインのステアリングスイッチの写真

気になったのはゴルフ7同様、ステアリングスイッチの使いにくさ。ACC(オン/オフ、速度調整、車間距離調整)、オーディオ(音量、選局など)、情報ディスプレイ(燃費表示など)などを操作するスイッチが小さく、しかも直感的に分からない感じで配置されている。例えば、オーディオの音量スイッチはステアリングの左スポークにあるが、選局スイッチは右スポークにあるところや、ACCが左側のスポークにあり、つまり面倒な速度設定などを左手でやることになる点など。また、老眼だとステアリングスイッチの小さな絵文字は、かなり読みにくいはず。機械に弱い人の場合、ACCはちょっと使いこなせないかもしれない。

マーケティング的に、コンパクトカー=女子のクルマという呪縛に囚われ、今も抜け出せていないこと。今までの購入者の半数は女性ということで、今回も30代女性をメインターゲットにしているが、一方でポロのコンパクトカーとしての本質的な良さに気づいている男性は購入しづらいように思える。ポロを検討したけど、結局up!を買ってしまったという実例を知るだけにちょっと残念だ。

総合評価:末恐ろしいクルマが現実に

明確に抜いたと言えるクルマはおそらくない

Poloの文字が印字されたパンの写真

ポロは2009年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤー、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しており、モーターデイズでもイヤーカーとして絶賛して早5年。その間にたくさんのコンパクトカーが登場したけれど、ポロを明確に抜いたと言えるクルマはおそらくないのでは。それはVWも分かっているようで、まだ十分通用するとばかりに今回、ビッグマイナーで登場させてきた。最も大きなトピックはプリクラッシュセーフティやACCといった部分。ボディの衝突安全性などはすでに十分だったが、プリクラッシュセーフティの方は、日進月歩で進化や普及が進んでいる。このシャシーのまま、あと数年売るためには、ここはどうしても手を付けざるをえないところだ。

で、そのプリクラッシュセーフティ装備は、試せていないのでよくは分からない。でも試せる部分であるACCの性能は、やっぱり素晴らしいと思った。いつも書くことで恐縮だが、欧州車は100km/h超の速度域(ポロの場合は160km/hまで)でもちゃんとACCが機能するが、日本車の場合はだいたい115km/h程度までしか設定できない。別に速度違反を推奨するつもりもないし、欧州のような高速道路の流れを望んでいるわけでもないが、日本の高速道路で流れに乗ってACC(トヨタなどではレーダークルーズと呼ぶ)を使うとなると、115km/hまででは何かと「不便」なことが多いのは、おそらくもう多くの人が体験済みだろう。

 
レーダーアシストの解説パネルの写真

昔は使ったことのない人が多くて、この話も伝わりにくかったが、いまなら賛同してもらえるはずなので、くどいと言わずに読んでもらいたい。最近の高速道路の自然な流れは最高で120km/hちょっとあたりまでの速度を上限として、速くなったり遅くなったりする。つまり日本車もあと10km/h高めに設定できれば、レーダークルーズで流れについていける。115km/hという半端な設定によって、せっかくのハイテクが意味のないものとなっていると思うのだが。120km/hという速度は、今の高速道路とクルマの性能を鑑みれば、けして危険とは思えず、それはまた警察もお目こぼししてくれる速度域でもあると思う(自動速度取締機だって光らない)。

制限速度以上は出してはいけないという原理原則に基づくのであれば、上限を100km/hにするのが筋というもの。いっそそれならあきらめもつく。さらに言えば国産車はだめで、なぜ輸入車なら115km/h以上の設定ができるのか。そのあたりも全く一貫性がない。いずれにしても今回、ポロのACCは使い物になるが、試乗会まで乗っていったレクサス NXのレーダークルーズコントロールは今ひとつ活用しにくいことを再確認した。これは日本社会の残念なところを象徴している事例、とまで言いたい。


後方から撮影されたフォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真

ポロに関しては2009年当時、さらに進化したら末恐ろしいクルマになると書いたが、先進安全装備を搭載したことで、ついに末恐ろしいクルマが現実のものとなったわけで、今でも文句なく最高のコンパクトカーと断言できる。例に出して申し訳ないが、ちょっと前に乗った現行ヴィッツ後期型の「ここがダメ」には、プリクラッシュ系装備がないこと、と書いた。そして総合評価では長距離を乗った上で「これは悪くないなあ」としたが、1.2リッターターボと7速DCTのポロに関しては、ちょっと乗っただけで「やっぱりこれはいいなあ」と思ってしまった。その上でプリクラッシュ装備も搭載されているわけだし。

ヴィッツの場合、次のフルチェンジモデルでは当然ながらプリクラッシュ系装備を載せてくるはず。しかし今回のポロは、現行モデルのビッグマイナーで次期モデルの装備を先取りしている。そういったところこそ、日本車がどうしても欧州車の後塵を拝してしまう部分だろう。むろんヴィッツは150万円ほどで、今回のポロはACC付で250万円ほどと値段がすごく違うから仕方ないとも言えるが。欧州であれば、それほど大きな価格差はないだろう。

 
フォルクスワーゲン ポロ TSIコンフォートラインの写真

ポロに追いつけ、追い越せのメーカー各社が、このあと数年でどこまで追い上げるかが、コンパクトカー好きとしては楽しみなところ。まずは昨日受注開始したデミオがポロを超えたか、そこが楽しみだ。レーダークルーズコントロールはどうやら載っていないようだが。

おそらくポロも次のモデルでは全幅が広くなるはずだから、その意味では今回がナローボディのポロを手に入れるラストチャンスかもしれない。女性はもちろん、男性でもコンパクトカー好きなら、買うのは今でしょ(すでに死語かw)と言いたい。

 

試乗車スペック
VW ポロ TSI コンフォートライン
(1.2L 直4ターボ・7速DCT・223万9000円~)
●初年度登録:2014年8月 ●形式:DBA-6RCJZ ●全長3995mm×全幅1685mm×全高1470mm ※714SDCWパッケージ非装着車は全高1460mm ●ホイールベース:2470mm ●最低地上高:130mm ●最小回転半径:4.9m ●車重(車検証記載値):1130kg(720+410) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:CJZ ●排気量・エンジン種類:1197cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:71.0×75.6mm ●圧縮比:10.5 ●最高出力:66kW(90ps)/4400-5400rpm ●最大トルク:160Nm (16.3kgm)/1400-3500rpm ●カムシャフト駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L ●JC08モード燃費:22.2km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイルスプリング/後 トレーリングアーム+コイルスプリング ●タイヤ:185/60R15(Continental PremiumContact2)

●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:- -円 ●ボディカラー:- ●試乗距離:-km

●試乗日:2014年9月 ●車両協力:フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社

 
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