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スズキ ワゴンR ソリオ 1.3 Well新車試乗記(第226回)

Suzuki Wagon R Solio 1.3 Well

 

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2002年06月28日

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キャラクター&開発コンセプト

「ワゴンR」の普通車版がマイナーチェンジ

簡単に言ってワゴンRの普通車版、それがソリオだ。そもそも初代「ワゴンR ワイド」('97年2月)→2代目「ワゴンR プラス」('99年5月)→マイナーチェンジ版(ターボをNAにした)「ソリオ」('00年11月)と、名前がころころ変わるところに、このクルマの苦悩が見える。いわゆるリッターカークラスは、ヴィッツに始まってフィット、マーチと、今や花形市場。小型車が得意で販売力もあるスズキとしては、一人だけ波に乗り遅れた気分だろう。

2002年6月20日にマイナーチェンジを受けたソリオは、後席にMRワゴンと同じ前後105mmスライド機構を新しく装備。従来は戦闘的な「RR」顔しかなかった1.3リッター車には、1.0リッター車と同じ優しいフロントマスクの「1.3 WELL」が加わった。

そんなわけで、ほのぼの路線の新しいCMとともに仕切り直したい「あったらしいソリオ♪」。実は、ヨーロッパ各国に「ワゴンR プラス」の名で輸出される国際派でもある。

価格帯&グレード展開

グレードはシンプルに4つ。「1.3 WELL」がお勧め

グレードは1.0リッターと1.3リッター、それぞれ2種類ずつ。ベーシックな「1.0E」(99万円)。そしてエアロパーツとアルミホイールが付いた「1.0S」(119万円)。そして1.3リッター・スタンダードモデルの「1.3 Well」(113万円)とマイチェン前の「RR」顔を引き継ぐ「1.3 SWT」(139万円)。全てに4WD仕様(プラス10.7~11.7万円)がある。お勧めは装備充実の「1.3 Well」だ。

パッケージング&スタイル

横から見ると、まんま軽のワゴンR

ソリオ(1.3 WELL)は全長3,545×全幅1,620×全高1,705mm。軽自動車のワゴンRと比べて、長さで150mm、幅で145mm大きい。全長の違いは大型バンパーによるもので、実質的な違いは幅にある。室内幅は軽自動車の1,220mmから一気に125mm拡大して1,345mmだ。

外観デザインは、端的に言って「幅の広いワゴンR」。特にサイドはほとんど同じで、ウインドウガラスやドアパネルも同じパーツに見える(モールの付け方など微妙に違うが)。

一方、前後はワゴンRより明らかに丸みが付けられ、優しい顔つきになっている(「1.3 SWT」を除く)。フロントは1.0リッターモデルと「1.3 WELL」で若干違い、後者の方が大人びたデザインになっている。リアはワゴンRというよりはMRワゴン似。総じて印象が薄く、目立たなくて大人しい子、という感じ。

軽のネガ(幅の狭さ)を潰した空間。座り心地の良いシート

前席は広々。コラムシフトやフロアコンソールレスによる足元の広々感、ドアまでの余裕、切り立ったドアガラスが貢献する。左右乗員間の距離も十分にあり、2名乗車でも息苦しくない。

グレー系インテリアは、目新しいデザインや表面処理はないが、それゆえ落ち着きはある。今回のマイナーチェンジでは、ダッシュ中央最上段にオーディオ用1DINスペースが付いた。インダッシュ式ナビを付けるのにうってつけの位置であり、簡単なことで最大効果を発揮するスズキらしい改良だ。また、ステアリング下の棚やドリンクホルダー、オーバーヘッドコンソール、助手席前面の棚、助手席シート下のボックスなど、豊富な収納スペースもいい。こういった実用的な小技もスズキが得意とするところだ。

控えめなサイドサポートを持つベンチシート風前席の座り心地はなかなか良い。何の変哲もないグレーの表皮こそパッとしないが、サイズ、形状とも申し分ない。ずっと座っていたいと思わせる。

スライド機構で余裕の足元スペースを確保

今回から、後席にはMRワゴン譲りの前後スライド機構(105mmの調節幅も同じ)が付いた。これにより従来モデルで大きな不満材料だった後席足元スペースの問題を解消している。例えば、ホンダ・フィットのホイールベース(2,450mm)はソリオに比べて90mmも長いが、ソリオでは後席を一番後ろまで下げるとフィットに負けない足元スペースが出現する。

シートの出来の良さは後席も同じ。座面長、クッションの厚み、スペースとも十分で、座った時にホッとする。シートアレンジ優先で妥協された形跡がなく、ソリオの良心的な部分の一つだ。

ワゴンR譲りの簡単シートアレンジ

もう一つのウリは、ワゴンRやMRワゴン譲りのリアシート折り畳み機構。室内・荷室のどちらからも、レバー1つでリアシートが倒れ、それに連動して座面も沈みこみフラットな荷室を作る。これを見ると輸入車によくあるダブル・ファンクションが、途端にひどく古くさく思える。ただしこの機構、フィットも採用しており、しかもフィットの方が座面の沈み込み量が大きくてアピール度が高い。今やホンダの営業マンにとっては来店客の心をつかむ強力な「一発芸」である。

基本性能&ドライブフィール

一緒にいて疲れない相手

試乗したのはワゴンRソリオの1.3リッター、外観控えめタイプの「1.3 Well」(2WD、113万円)。座り心地の良い椅子に腰掛けて走り出すと、穏やかな発進加速。踏み込んでもあまりキックダウンせず、おっとり。いちおう排気量が1.3リッター(88ps/6,000rpm、12.0kgm/3,400rpm。車重:970kg)あるので、普通に走るのに困ることはない。と言うか、すぐにこの「ゆったり、のんびり」したペースにドライバーが順応する。

例えるなら、少しぬるめの露天風呂に浸かっている感じ。心地よいシートもあって、心身共に癒されていく気がする。視界、空間、操作系、乗り心地、パワー感。どれをとっても気に障るところがない。一方で小型車らしいキビキビ感もほどほどにある。狭い道でもストレスフリーだ。

立派になって乗っていても疲労感が少なくなった最近の軽自動車だが、ソリオの場合は、一日中乗っていても疲れない気がする。ソリオは毎日着られるスウェットスーツとかジャージのような「ゆるい」クルマだ。

パワーはないが、快適な高速巡航が可能

市街地を離れて高速道路も試したが、合流車線での全開加速は必要十分の域を出ない。それでも優れた遮音、スムーズなエンジン、のんびりした吹け上がりが相まって、こういう時でも慌ただしさがない。

100km/h巡航は4速で2,800rpm。120km/h程度のスピード域なら静粛性は十分に高い。さらに飛ばすと風切り音はそれなりになるが、クルマの形状と性格を考えれば文句を言うレベルではない。ただし電動パワステの設定が軽く、座りがいまいち良くないように感じたのは以前の試乗のとおり。もう少しステアリングにどっしり感が欲しい。高速道路ではメーター読みで150km/hオーバーを確認(2名乗車)。ただし140km/hからの加速には、かなり時間がかかった。

ここがイイ

以前のソリオで不満な点が完全に解消された。まず1.3に普通の顔バージョンが出たこと。おすすめはこれ。またリアシートスライド機構の追加で後席が十分実用的な広さになったのもうれしい。さらにはインパネのデザインが変わって、一番上に1DINのスペースができたこと。これでカーナビが後付けしやすくなった。実に実質的なマイチェンだ。

ここがダメ

ちょっと残念なのは、その変わった顔がちょっとゴチャゴチャしていること。ライトは上下2段だし、グリルもメッキとボディ同色の桟がけっこうウルサイ。1.0のシンプルなルックスの方がいいと思う。

総合評価

ヴィッツやフィットが出る前からこのクルマにはたいへん高評価を与えていたモーターデイズだが、3度目の登場にしてついに完成の域に達したと、さらに高評価を与えたい。不満点はことごとく解消され(電動パワステのフィーリングだけはまだ今ひとつだが)、フィットを買いたい人なら十分対抗車種として検討に値すると思う。フィットはシャープなイメージで、実際、走りも乗り心地もシャープなのだが、ソリオは新しいCMのとおり(このCMなかなかいいです)、マイルドなイメージ。もちろん走りも乗り心地も実にマイルド。和み系の毎日使える実用的な小型車だ。

ベースが軽のワゴンRゆえのキャラクター的な弱さ、作りがどことなく軽のイメージを引きずっているという事実はあるものの、軽自動車としては完成型とも言うべきワゴンRの弱点がことごとく解消されているという点で、小型車としては合理性の権化とも言うべき仕上がりとなっている。ドイツあたりでも結構人気があるというのは象徴的な話だろう。日本でも、もっと売れていいクルマだ。

ただ、日本では税制面などであまりに優遇されている軽自動車があるがゆえ、ソリオは苦しい。「似たようなものだからワゴンRでもいいか」となってしまうからだ。フィットももしライフベースだったらあそこまで売れないだろう。その点ではスズキには新たなベーシック小型車の開発が望まれるところだ。

以前、軽が優遇されている、小型車と軽との間の税制面での落差がありすぎると書いたが、スズキからは「軽が優遇されているのでなく、小型車の優遇が少ないのでは」と指摘された。なるほど、デフレの昨今、小型車と軽との落差は小型車の経費が安くなることの方が理にかなっている。日本で一番売れているクルマ「ワゴンR」と、それよりよくできているにもかかわらず売れない部類に入ってしまっている「ソリオ」の差は、こうした制度の差に他ならない。地球のためにもっと小型車を(ソリオは優-低排出ガス車で試乗車の燃費は10・15モードで18km/h)と考えるなら、そしてさらに新車を売って経済を上向きにしようとするのなら、まずは制度を変えなくてはならないだろう。小泉改革も尻すぼみの昨今、何とかならないものか。

 

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/lineup/solio/index.html

 
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