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スズキ ワゴンR ソリオ新車試乗記(第156回)

Suzuki Wagon R Solio

 

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2001年01月20日

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キャラクター&開発コンセプト

これからはソリオと呼んで下さい! 改名で日本市場に再度挑戦

ワゴンRプラスのマイナーチェンジを機に改名した、軽自動車ワゴンRの小型車版がソリオだ。ソリオとは「玉座・王権」を意味するスペイン語。軽より上級という意味が込められているという。スタイリングや優れたユーティリティーはワゴンRから継承するが、プラットフォームはそれと全くの別物。最大のトピックスは従来の1リッターターボに代わって1.3リッターNAが新設定されたことだ。

それにしても初代が「ワイド」、フルモデルチェンジで「プラス」、で今回が「ソリオ」とサブネームがコロコロと変わるこのクルマ。まるで売れない芸能人。CMを見ても分かるが、今回からはワゴンRではなく「ソリオ」の名を前面に押し出すようになった。実力はあっても人気が伸び悩んでいるだけに、スズキとしてはイメージをガラリと変えて、新型車として打ち出し、拡販を狙おうというところだろう。

価格帯&グレード展開

軽もビックリ! 大幅プライスダウンで破格の安さ

1リッターモデルのグレードは「X」と「21世紀記念スペシャル」の2タイプ。「X」の装備は従来の「XV」にほぼ準じており、外装パーツを簡略化することで117.8万から107.8万円と大幅にプライスダウン。107万8000円といえば、軽カーであるワゴンRの主軸グレード「FM」とほぼ同じ。ヴィッツの主力グレード「F-Dパッケージ(1リッター・5ドア・)」と比較しても4万7000円も安い。いくらGMへのOEMで大量生産が見込まれるとはいえ、この安さは驚きだ。

一方、「21世紀記念スペシャル」は言葉の大仰さとは裏腹に、装備をちょっとだけ充実させただけの、従来でいう「XV Sパッケージ」にあたるモデル。「X」の装備に加えハイマウントストップランプ、MD/CD付きオーディオ、電動格納式ドアミラー、カラードドアハンドル、専用エンブレムなどを採用し、価格は121万3000円となる。こちらもお買い得だが、それにしても「21世紀スペシャル」とは。スズキは他のモデルでもこのネーミングを投入している。確かに今年の間は、わかりやすくて売りやすいだろう。来年も21世紀には違いないので、やっぱりこのまま売るのだろうか。

1.3リッターの「1.3」も格安で、ワゴンR RRとバッティングするほど。室内の装備はほぼ「X」に準じており、エンジンと専用パーツの関係で価格は134万8000円となる。4WDモデルは約10万円高で全車に用意される。

なお、従来のイメージキャラクターであったレオナルド・ディカプリオは今回は起用されていない。これで広告費はそうとう節約できたはずだ。

パッケージング&スタイル

アイドル路線からストリート路線に変更! スタイリングはRR

デザイン面で大きく変わったのがフロントマスクだ。バカッと口を大きく開けたような大型グリルがやたらと目立つ。その他、上下2段式のヘッドライト、10mmのローダウン、各種エアロパーツの採用など、はやい話が、エアロ仕様のワゴンR RR路線。アメリカンミニバン路線だ。

その一方で、1リッターモデルとなる「21世紀記念スペシャル」「X」グレードは、従来と全く変わっておらずワゴンR同様の落ち着いたデザインが継承される。つまり、ソリオにも軽と同様、大きく違う2つのキャラクターが与えられたわけだ。

長年親しまれてきたエンブレム、通称「Sマーク」の変更にも注目したい。ソリオで初めて採用されたこのエンブレム、スズキの頭文字「S」をモチーフに、楕円基調とすることで、見る角度によって変化する光の反射が、エンブレムに豊かな表情を与えている。この新デザインは国内登録専用エンブレムとして、今後発売されるスズキの新型車に順次採用される。ソリオに対するスズキの意気込みが最も感じられる部分といってもいいだろう。

ボディサイズは3580mm×1600mm×1690mmと、MC前と比べと全長が+70mmとなるのが大きな違い。この差は大型バンパーの採用によるもので、リッターモデルは3510mmと従来と同じだ。一方で全幅は全車-20mmとなる。これはドアプロテクションモールディングがなくなったためであり、サイドビューはややスッキリとした印象となった。同時にルーフレール、バックドアハンドルの設定も取り払われ、コスト削減を図っている。

衝突安全性が向上したことも見逃せないポイントだ。従来の前突、後突、側突に加え64kmオフセット前面衝突に対応する、スズキ独自の軽量衝突安全ボディTECT(テクト)が採用された。

大がかりな変更はないが、アイデア装備の充実で使い勝手は向上

コラムシフト、足踏み式パーキングブレーキ、アームレスト付きベンチシートの組み合わせによる室内に基本的な変更はない。しかし、細部の改良で品質感や使い勝手は一段と向上している。

まず内装色の変更。インパネは従来のグレーからブラックに変更され、視覚的な品質感アップが図られている。シートは全面布張りとなり、4WD車には運転席シートヒーターが“標準”で装備された。キーレスエントリーは、これまで一点に向けないと作動しなかった赤外線式から、四方八方どこからでも作動する電波式にようやく変更された。これは重要な改良点のひとつ。また、センターパネル下端には助手席の乗員のための引き出し式カップホルダーが付いた。100円グッズみたいなシロモノだが、これが運転席からも非常に便利だったりする。コストをかけないアイデア商品の開発は、スズキが最も得意するところだ。

居住性は前席に限って言えばヴィッツ以上に開放感あるもの。しかし、ホイールベースがワゴンRと同じで、室内長はワゴンRよりも+15mmに止まるため、後席の膝元はさすがにツライ。マイナーチェンジだけにパッケージングの変更はさすがに無理だろうが、スライド機構を付ければ問題は解消されたはず。せめて後席のリクライニング機構の操作部(現状は背もたれに付く)は改善して欲しかった。あと細かな部分になるが、喫煙者としては灰皿照明も欲しいところだろう。

基本性能&ドライブフィール

1.3リッターエンジンを新たにラインナップ。従来ターボよりパワーダウンだが燃費性能は向上

従来の1リッター直4ターボに代えて投入されたのが1.3リッター直4エンジンだ。すでにジムニーワイドに採用されている新世代エンジンで、オールアルミ製、VVT(バリアブル・バルブ・タイミング)付きだ。

最高出力は88ps/6000rpm、最大トルクは12.0kg-m/3400rpmと、1リッターターボの100ps/6500rpm、12.4kg-m/3000rpmよりもダウンした。しかし、10・15モード燃費は15.4km/Lから18.0km/Lに改善されたと同時に「優-低排出ガス(★2つ)」を取得している。

一方、従来から搭載される1リッター直4エンジンに関しては何もアナウンスされておらず、最高出力、最大トルクに変更はない。しかし、燃費は18.6km/Lから19.6km/Lに改善されている。これは4速ATのファイナル比がややハイギアードに変更されたためだ。もちろん1.3リッターのほうも、1リッターターボとは違う最適なギア比/ファイナル比に設定されている。

非力さナシ、従来ターボモデルよりも扱いやすさが格段に向上

試乗したのは1.3リッターの2WDモデル「1.3」。スペック上のパワーダウンで懸念されていた加速は、ほとんど問題ないといっていい。パワーとトルクの出方がターボのように一時に集中しているのではなく、全回転域で幅広く出ている感じがあって、フラットな加速が得られる。フィーリングに雑なところもなく軽快で、、耳障りなエンジン音も抑えられている。どうしても2段階加速の悪癖がでるターボよりもむしろ扱いやすく、好ましい。

市街地から高速巡航まで穏やかな走り

乗り心地は若干、路面からの突き上げが気になるが、60km/hあたり以上になると突き上げもスパッと上手く吸収するようになり、乗り心地も良くなる。4000回転あたりからエンジン音が大きくなるものの、100km/h巡航での回転数は3000回転と低めなので、高速巡航も快適に走らせることができる。

ソリオは電動パワステを採用しており、市街地では非常に軽めの味付け。個人的にはもっと手応えがあるヴィッツのほうが好きだが、狭い曲がり角の多い道や、縦列駐車、車庫入れの際に、ソリオのハンドルの軽さが楽なのも確か。それにスピードが上がるにつれて重くなるから、高速巡航でも不安になることはない。電動パワステはそのようなセッティングが非常に難しいとされてきたが、ソリオはかなり熟成されてきている。

背が高いがハンドリングは悪くない。ワイドタイヤを履いている分踏ん張り感があり、ミニバンらしからぬ安定感のある走りとなる。アンダーステアは強めで、スポーティーとか、楽しいとはいいがたいが、エンジンパワーにマッチしたそこそこ速い走りが楽しめる。高速巡航は120km/hが快適、150km/hまで行くとかなりきついというところ。エンジン音も高まる。

ここがイイ

小さいサイズで最も効率のいいパッケージングを行えば、おのずとこの形になるはずだ。人を乗せても、荷物を載せてもこの空間なら不満がない。そして毎日足代わりにするにも、休日に少し遠出するにも不満がない動力性能を得て、これぞマルチパーパスカー、理想の小型車だ。スタイリングも素晴らしい。

フロントシートもベンチ型だがホールドが良く、ゆったりと座れる。ノーマルヴィッツよりずっといい。

ここがダメ

とにかくCMがひどすぎる。ソリオだから頭を剃った坊さん? 何それ? 誰に何を売ろうとしているのか。こんなにハードウェアの出来がいいのに、あのCMでは売れるものも売れなくなる。小型車らしい正統派のおシャレなCMを打てばもっと売れるのに、と残念でならない。以前のディカプリオもちょっと違うでしょ、という感じ。ワイド、プラスというこれまでのネーミングも失敗だった。このクルマに関してはイメージ作りの下手さが最大の問題だ。

総合評価

GMブランドではシボレーMWとして日本でも売られるこのクルマ。ルックスはすっかりミニアストロになってしまったが、本来は軽自動車ワゴンRの不足点、不満点を補った、理想的な小型車として作られている。デザインが良くて、室内が広く、質感が高くて走りは不足なしと、はっきりいてヴィッツより上。唯一リアの足下が狭いのがヴィッツに負けている点だが、総合的なハードの出来はヴィッツに勝っている。価格も下がったから競争力はさらに高まった。

しかし現実にはこれまでのところ、圧倒的にヴィッツの勝ち。軽のワゴンRが月2万台も売れるところから考えても、このクルマの印象が悪いという人は少ないはずだが、現実の販売目標は月わずか2000台。月1万台以上のヴィッツよりどうにも少なすぎる。クルマはもはやブランド商品だと先週書いたが、ここにもその典型的な例がある。

願わくば1リッターの控えめなルックスに1.3リッターのエンジンを載せたモデルも投入してもらいたい。そうすればもう少し拡販できると思うのだが。

 

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/lineup/solio/index.htm

 
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