デイズ ITS DAYS 武将観光ドライブnavi 生き様工房 911DAYS MOTORDAYS

新車試乗記 第186回 トヨタ ウインダム Toyota Windom

photo_s.jpg

日時: 2001年09月01日

 
 

キャラクター&開発コンセプト

国際派層のための高級車。より上質さに磨きをかけて、「レクサス」ブランドを強調

ウィンダムは1991年に誕生して以来、国内はもとより、アメリカを中心に展開される高級車ブランド「レクサス」でも売られる、ラージクラスのFF高級サルーンだ。世界市場でのライバルはBMW3シリーズやメルセデスのCクラスとなり、日本市場も同様だが、価格の落差は大きい。

5年ぶりにフルモデルチェンジを受けた今回の3代目は、「プレステージ性の深化」をテーマにプラットフォームを一新。レクサスブランドに共通する高性能・高品質と洗練されたスタイルに磨きをかけた。

搭載されるエンジンは旧型まであった2.5リッターを廃止し、3リッターV6のみに統一されたのがポイント。ウインダムのあとを追って、ベースを共通とする新型カムリも投入されるが、販売店は両者ともカローラ店。この棲み分けを明確にするため、カムリは2.4リッターのみに統一することで車格と価格レンジのラップを解消、ウインダムの高級イメージを鮮明にする、という戦略がある。むろんレクサスES300には3リッターしかなく、世界統一エンジンとしてレクサスイメージを際だたせる意味も大きい。

組み合わせられるミッションはトヨタのFF車としては初となる5速ATを採用。乗車定員は5名。4WDの設定はない。

価格帯&グレード展開

カローラ店のフラッグシップカー、価格は主力グレードで23万円ダウン

グレードは大きく標準仕様「3.0X(320万円)」と豪華仕様「3.0G(343万円)」の2つが柱となっており、「3.0X」にはブラックセレクション(内装が黒基調となって、価格は2万円アップ)、「3.0G」にはブラックセレクション、リミテッドエディション(VSC&TRC、電動リアサンシェード、助手席パワーシート。木目ステアリングなどの装備が付いて価格は43万円アップ)が用意され、2つのパッケージを組み合わせることも可能としており、都合6グレード構成となっている。

「3.0X」が標準仕様といっても装備は極めて充実しており、「3.0G」との主な差はDVDナビ、H∞TEMSぐらい。価格差は23万円。「3.0G」のほうがお買い得で、トヨタとしても主力グレードとしている。なお、旧型と比べてXで8万円、Gで23万円もプライスダウン。5速AT、サイドエアバッグ、DVDナビの標準装備のことを考えれば、実質的にはもっと安くなっている。試乗車はリミテッドエディションだった。

ターゲットとする購入層は国際的感覚、輸入車志向の30~40歳代。いわゆるヤング・エグゼクティブだ。前述のようにトヨタとしてはメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズをライバルと考えている。しかしビッグなFFセダンという点ではホンダ・インスパイア/セイバー、日産セフィーロもライバルになりうる。また、トヨタにはジーンズが似合う社長さん狙いのブレビス(FRであるが)、誰に売るつもりなのかよく分からない(ジジイ向け?)のプロナード、兄弟車ともいえる大衆路線の次期カムリもある。ライバルは数多くあるが、そのどれより一段とプレミアム性を持たせてあるのがミソ。なお、販売目標は月間1500台と控えめだが、10月より発売開始となる海外(アメリカが中心)では月間5000台を目指す。主力市場は北米だ。

パッケージング&スタイル

乗っている人が知的に見えてくる? 流麗で伸びやかなスタイリングは好印象

ボディサイズは全長4865mm×全幅1810mm×全高1455mm。ホイールベースは2720mm。全長、全幅はともに旧型より+20mm、全高は+60mm。ホイールベース+50mm。この大柄なサイズはクラウンロイヤルよりも一回り以上大きく、プロナードに匹敵する。実に堂々たるアッパーミドルサルーンの風格を感じさせてくれる。

ベースは現行エスティマで初採用された新世代プラットフォーム。もちろんセダン用に徹底的な再構築が図られている。というか、本来ウインダム用として開発されたものだろう。

デザインはトヨタの社内案が採用され、初期案は第2開発グループが担当。フロントは旧型のイメージを残しながらも縦長に切れ上がったヘッドランプで、新型ならではの個性を主張。また流麗なルーフラインと抑揚感を強調したフェンダーラインなどで、クラウンやマークⅡとはひと味もふた味も違う流麗な雰囲気を醸し出している。今回からサッシュ付きになったボディとはいえ、シルエットは実に伸びやかで、これぞ“4ドアハードトップ(もはやそうではないのだけれど)の王道”といった美しいシルエットだ。強いアクがないため、アメリカだけでなく日本でも抵抗なく受け入れられるデザインと言っていいだろう。

本物感はないものの、上質さに磨きをかけたラグジュアリーなインテリア

ボディ拡大にあわせて当然、室内空間も広くなった。具体的な数値を見てみると、シート高が旧型比で+20mm、頭上高が前席で+25mm、後席で+20mm、左右シート距離間が+20mm、後席の膝元空間に関しては+40mm。トランク容量も+45リッターの519リッターとなり、クラス最大級を実現している。開発陣によると、後席はだだっ広いプロナードよりもさらに広いのだと言う。が、実際に乗ってみると、後席の頭上高は思っているほど余裕はない、といった印象を受ける。弧を描いたルーフラインを採用しているためだ。それでも広い空間であることには変わりなく、最近続々と投入されたトヨタのFRセダン(クラウン、マークII、ブレビス、ヴェロッサなど)に対して、差を見せつけている。

単にデカイだけではなく、本国ではセルシオと同じトヨタの高級車チャンネル「レクサス」として販売されるため、インテリアの質感にもこだわっているのがウインダムの魅力だ。上からエアコン吹出口、ナビ&オーディオ、エアコン、灰皿というセンターパネルの配置こそ普通だが、センタークラスター部を頂点に緩やかにラウンドしたインパネの造形は新鮮味あるもの。また、ライティングにも気を配っており、フロアや乗降時の足元を間接照明のようにほんのりと照らす。夜はエロティックなムードすら漂う。メッキパーツが控えめなので、ぎらついた印象はないのも好印象。

灰皿、カップホルダーなどの各種フタにも注目したい。開き始めは速く、その後、全開状態まで一定の減速度でスムーズに開く、というダンパーが内蔵されている。皆同じスピードで開く演出だ。このあたり作りに関しては、セルシオ同等のこだわりが感じられる。サンバイザー裏の鏡の照明が天井からの間接光となっている、といったあたりの芸の細かさもウリだ。ただし、赤味のかかった木目調パネルは、かなりフェイクぽさが強い。セルシオの弟分的なクルマだけに、できればホンモノにこだわって欲しかったところ。

基本性能&ドライブフィール

エンジンは3リッターV6のみ、トヨタ車初の5速ATを搭載

エンジンはレクサスという高級イメージを鮮明にするため、旧型まであった2.5リッターは廃止。世界共通の3リッターV6に一本化された。この1MZ-FE型エンジンは従来に搭載されていたものと基本的に同じで、最高出力215馬力/5800rpm、最大トルク30.5kgm/4400rpmというスペックも不変。しかし、新3段可変吸気システムなどの採用により、実用上の低中速域のトルクを増大し、扱いやすさをより向上。静粛性もより改善されたのがポイントだ。

目玉はトヨタFF車として初となる5速AT。従来の4速ATをベースに、サイズを変えずに“+1速”としたことが自慢。ドライバーの意思に忠実な走りを実現できるものとされ、10・15モード燃費も9.5km/リッターから9.8km/リッターに改善されている。

足回りは形式こそ従来と同じものの、新設計の4輪ストラットを採用。タイヤサイズは21560R16。またトヨタ独自のフラットノイドテクノロジー「スカイフック理論」をさらに発展させた「非線形H∞(インフィニティ)制御理論を採り入れた新TEMSも採用する。

静かなる革命、新防音材の採用で静粛性がより向上

試乗してみるとまず、感心させられるのが静粛性の高さだ。アイドリング時は、エンジンがまるでかかっていないかのよう。旧型もそうとう静かだったが、唯一、気になっていたのが走行時に発生するこもり音。新型はそのこもり音がない“自然な静かさ”になっている。これは防音材の基本的なコンセプトを見直したため。従来の音を隔てる発想から、音を吸収する発想に転換し、長年頭を悩ましつづけてきたこもり音を吸収することに成功したのだ。この技術は今後、トヨタ車すべてに培われていくはず。また、ドアをフレーム付きとしたことで風切り音の低減効果も抜群で、特に高速走行時は助手席とはもちろんのこと、後席との会話もしやすくなった。聞こえてくるのはタイヤから発生するロードノイズだけ、と言っても過言ではない。ジャズピアノのCDを聴きながらオートクルーズ設定限界の約110km/hで高速道路をながしている時など、このクルマを買ってよかったと思える瞬間だろう。長距離クルージングの快適さは本当に素晴らしい。まあ、道路が空いていればの話だが。

加速は特にトルクフルという感じはないものの、ゆったりまとめられた乗り心地の良さは十分納得できるもの。パワステは適度な重さで、5速ATとのマッチングも新採用ながら完成度は高い。「スーパーインテリジェント」と謳うだけに頭が良く、ドライバーの意思、路面状況を瞬時に読み取り、すばやいシフトをしてくれる。特に高速直進時の安定性はなかなかのもので、リミッターの効く速度域でも「片手でOK」…かも? という安心感がある。

ただ、大きな段差を乗り越えた際、その振動の減衰力はちょっと鈍い印象を受けるのも確か。舗装の悪い路面が続くと、不快な上下動が収まりきれず不安な気持ちになる場合があった。硬め仕様のスポーツモードから柔らか仕様のコンフォート仕様までの4段階の乗り心地を、ドライバーが任意で選べるのは確かに有難い。しかしどれを選んでも結局はどうもしまりがない。マークII、イプサムもそうだが、「H∞TEMS」を採用しているクルマは、共通でこのような乗り心地を感じてしまう。これが味なのかもしれないが、好きにはなれなかった。特に我々はやや固めのスポーツサスが好みなので、よりそう感じるのかもしれないが。

同様にエンジンのフィーリングも気になるところで、V6としては回転フィールが雑というか、ガサさついた印象を受ける。まだアルテッツァジータ(こちらもレクサスブランド)の2JZ-GE型の3リッター直6エンジンのほうが滑らかで繊細のように感じた。

と、まあ、後半、気になったことを少し述べてみたものの、いずれも重箱の隅をつつくにといったところ。見た目、走りともにラグジュアリーという雰囲気はよく出てるし、安楽志向の快適性は群を抜いている。セルシオの重厚さはないが、高級車、ラグジュアリーカーとしての資質は十分備わっており、乗っていてリッチな気分にさせてくれるクルマだ。

ここがイイ

静粛性、内装の作り込みの良さ、見やすい位置のDVDカーナビ。パワーシートは細かい調整がきくため、好みのポジションにできるのがいい。特にシート全部を下げるポジション好むものとしては、楽な姿勢がきめられる。シート位置も20ミリほど高くなっており、確かに乗り降りはしやすくなっている。

またスピードメーター下の情報窓には平均時速や瞬間燃費の他、トータル燃費が表示される。このトータル燃費の表示は大変便利だ。エコ優先の昨今、いずれ全てのクルマに標準装備すべき装置だろう。とにかく、不満をつけるところは特にない、というあたりがこのクルマの「ここがイイ」というところ。完成度は高い。

ここがダメ

せっかく5速もあるので、ゲート式のシフトを積極的に動かしてみた。5→4は右へ倒すだけ、4→3は下へ下げるだけでなかなかよいが、ワインディングなどで多用する3→2は左下へ押し込まなくてはならず、また2→3は4まで上がってしまうことも多いため、残念ながら使いにくい。4速ATだと3と2の間が使いやすかったのだが、ちょっと残念。

またDVDナビはタッチパネルのため、リモコンと違って画面を見てながら操作する必要があり、素早く動かしにくい。地図のスクロールも画面を触れなくてはならず、操作性には? がつく。リモコンだと慣れてくればブラインド操作ができるが、これはできない。その点が不満に感じられた。

総合評価

セダンボディになったウィンダムだが、スタイリングにスタイリッシュなHTイメージを残しているのはうれしいところ。4ドアHTが好きだったオジさん層にはビビッとくるものがあるはず(表現が古くて申し訳ない)。またクルマ好きなら新型を見てウィンダムだとすぐ分かるはずだ。モデルチェンジをしてもウィンダムらしさを残していくという、BMW的な、スタイリングにアイデンティティを残したフルチェンジがうまくいっているのは素晴らしい。

3リッターに統一してレクサスらしさを出したのなら、そして広告でわざわざ「レクサス ES300」と連呼するなら、いっそレクサスとして出したらと、発表会の雑談の中でトヨタにぶつけてみたら、まんざらでもない返事が返ってきた。国内市場で3シリーズやCクラスとぶつけるなら、ウィンダムより、レクサス ES300の方が絶対にブランド力がある。Cクラスよりずっといいクルマに思えたし、価格も安いのだからレクサスブランドであれば正面切って戦えるはずだ。バカ売れも夢じゃないと思う。日本以外の世界中の人々にとって憧れのクルマであるレクサス ES300も、日本だとトヨタのウィンダムであり、一気に憧れのクルマではなくなってしまう。いつも同じことを言って申し訳ないが、レクサスブランドを国内で発売すれば、トヨタのシェアはさらに上がるだろう。次期ウィンダムは出るだろうか。ES300に名を変える可能性は高いと思う。

公式サイトhttp://toyota.jp

 
 
 
Google

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.motordays.com/days/adm_tools/mt/mt-tb.cgi/731

 

 

現在の位置:ホーム > 新車試乗記 > トヨタ ウインダム