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日産 ウイングロード ライダー新車試乗記(第396回)

Nissan Wingroad Rider

(1.5リッター・CVT・199万1850円)


2005年12月17日

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キャラクター&開発コンセプト

機能性と遊びを備えた小型ステーションワゴン

初代ウイングロード(Y10型)は1996年に登場。従来のサニーカリフォルニア/ADワゴンを発展統合させたのが始まりだった。さらに99年の2代目(Y11型)を経て、2005年11月に発売されたのが今回の3代目だ。広い荷室や経済性の高さがもともとの身上だが、新型は「SHIFT_ FUNction」(機能で遊びをシフトする)のテーマを掲げて、より若々しく機能的な小型ステーションワゴンを目指している。

アベニール/プリメーラクラスもカバー

車台はマーチ等が使うBプラットフォームで、メカ的にはティーダが近い。先代で好評だった日産の関連会社オーテックジャパン(神奈川県茅ヶ崎市)の「ライダー」も、最初から用意されている。目標台数は月間3500台。すでに発売から1ヶ月で、月販目標の2倍超(7,650台)を達成しているが、9月に格上のステーションワゴン「アベニール」が、12月にプリメーラ(セダン&ワゴン)が生産終了しているので、これくらいは想定内だろう。

価格帯&グレード展開

1.5と1.8リッターで150万円から

エンジンは1.5 リッター「HR15DE」(変速機はCVTもしくは4AT)と1.8リッター「MR18DE」(同CVT-M6)の2種類。1.5では電動4WD(e・ 4WD)も選べる。価格は149万3100円~189万2100円。販売の中心は1.5リッターCVTの「15RX」(160万8600円)か「15RX エアロ」(169万2600円)となりそうだ。

また、オーテックジャパンの「ライダー」も1.5(CVT)、1.8(CVT-M6)、1.5-e・4WD(4AT)の3種類から選べる。価格は199万1850円~220万1850円。

パッケージング&スタイル

サイズはライバルと同等だが

試乗車はビレットグリルや専用エアロパーツ、16インチメッキホイール、ローダウンサスペンションなどを装着したライダー。全長は4400mm台、全幅は1695mmの5ナンバーサイズで、全高は1500mm前後だ。サイズはカローラフィールダーやホンダ・エアウェイブといったライバル車と同等だが、実物はもっとボリューム感があり、ミニバン風にも見える。

印象的なウェーブド・ドリップライン

平凡なステーションワゴンに見えない一番の理由は、やはり波を打ったようにカーブを描くルーフのおかげだろう。実際のところ、ルーフ自体はほぼ平らで、カーブしているのはサイドウインドウのグラフィックスだが、Bピラーより後ろを全てブラックアウトして日本人好みのピラードハードトップ風?に仕上げてある。このあたりは良い意味で国内専用車っぽいところ。

ユーティリティや機能性に優れたインテリア

内装デザインは冒険のない手堅いもの。シートは平板だが、大きな不満はない。ステアリングコラムの位置と角度の関係から足元の天地が狭いような、日産車共通のドライビングポジションは引き継ぐ。写真のシート表皮や加飾はライダー専用のもの。また、オーテックでライン装着されるHDDナビにはiPodアダプターが付く。

試乗車は1.5リッターモデルで、パドルシフトもシーケンシャルモードも備わらない。燃費は良さそうなのに、燃費計がないのは残念なところ。

畳んだ時になるべくフラットにするため、後席クッションもやや平板だ。120mmの前後スライドやリクライニング(最大40度、10段階)も可能なので、長時間のスキードライブでも窮屈な思いはしないだろう。アームレストはなく、足元センタートンネル付近に収納式のドリンクホルダーが備わる。

使えるラゲッジとちゃんと座れるベンチ

後席を一番前にスライドさせれば、容量412L、奥行き1069mmのラゲッジスペースが現れる。後席を倒せば最大1681mm、助手席を倒せば2653mmなので、ロングボードでも大丈夫そうだ。自転車も入るが、天地(荷室高815mm)が足りないので前輪を外す必要はある。荷室のレバーとボタンでリアシートはもちろん、助手席まで倒すことが可能。さらに床下収納は合計100リッターを確保。思わずスペアタイヤを探してしまうが、ちゃんど床下収納のさらに床下にある。

面白いのが荷室の後端を引き上げて使うラゲッジベンチだ。座面高が低く、小さな背もたれもあって、これがなかなか座りやすい。多くのステーションワゴンでここが座りにくいのはルーフに頭が当たってしまうからでもあるが、ウイングロードはそうならないように開口部を大きくしてある。靴やズボンの履き替え、ちょっとした休憩などに便利なはずだ。ひさしになるリアゲート裏側には、ご丁寧にもスポットランプが 2個付く。

基本性能&ドライブフィール

完成形のパワートレイン

試乗したライダーの1.5リッターは、通常の15RX(160万8600円)相当のベース車に、専用の内外装、および16インチタイヤ、専用スポーティサスペンションを与えたものだ。変速機はCVTで、18.0km/L(ベース車)という優れた10・15モード燃費(エアウェイブと同等)が光る。

運転感覚は日産のHR15DEエンジン+CVT車に共通する自然なもの。低負荷でのパワー感は1.8リッターかと思うほどあるし、加速する時以外は低回転を徹底的に使うので静粛性も高い。回転フィーリングも滑らかだ。のんびり走る分には、なかなか具合がいい。

スポーティな走りは不得手

アクセル全開では、5000~6000回転くらいをキープしてCVT的に加速感なく加速する。フル乗車で高速上り坂、といった状況では力不足を感じるだろうが、ほとんどの状況ではまったく不足ない動力性能だろう。

不満は、1.5リッターにパドルシフトどころかマニュアルモードも備わらない点だ。まあそういう意味でもエンジンを回さず走らせるのが自然なクルマだ。いちおうスポーツモードはあるが、ノイズは高まるので常時使うには適さない。

100km/h巡航は2000回転

ライダーに限った話だが、乗り心地は荒れたところで上下に揺すられるローダウン車特有のもの。揺れが止まるまで少し時間がかかる。ダンパーの減衰力が、バネレートに対して不足しているのは明らかだ。通常のモデルはリップルコントロールを使ったサスなので、快適性を重視するならそちらが間違いないだろう。シャシー自体の基本性能は高く、山道でもしっかり走る。

100km/h巡航時のエンジン回転数は約2000回転と低く、燃費はかなり良さそう。アクセルを踏み込めば150km/hあたりまで出るが、そうすると諸々のノイズがうるさいし、ライダーに関しては足回りが覚束なくなる。翼が生えたのようにカッ飛ぶよりも、海や山まで淡々と走るのが気持ちいいクルマだ。

ここがイイ

独自のデザイン。かなり奇をてらった感すらあるが、若者に売るなら今後はこれくらいの個性が必要だろう。これによってマーチ、キューブ、ティーダ、ノートでカバーできない層のクルマになっている。そして大きすぎず、小さすぎず、使う上では必要十分なサイズ。頭上空間は広いがミニバンやSUVが入らない立体駐車場にも難なく入ったし、4人乗っても室内の広さにはまあ不満なし。

遊びクルマとして不満のない燃費性能と快適性、1.5とは思えない軽快な動力性能。160万円という価格もいいところをつく。18才で免許を取ってまず中古車を買い、代替え用「初めての新車」として若者が買うには、程よいところだ。

イージーラゲッジベンチに座って、海を眺めるというシチュエーションは、若者ならではの特権。ハッチが庇(ひさし)になるし、カップ置きやスポットランプもあるから、暗くなっても楽しみはありそう。このベンチが良くて買ったというオーナーも出てくるだろう。ラゲッジボードやラゲッジアンダーボックスがウォッシャブルなのもよい。

CVTのスポーツモードは、巡航時でも切り替えると2000回転以上アップする。このためいわゆるエンブレとして積極的に使える。スポーツモードのように徐々に落とさなくてもボタン一つでエンブレが効くのは悪くない。

ここがダメ

後席の広さ、快適性をウリとするのであればセンターアームレスト&カップホルダーはぜひ欲しいところ。足下のカップホルダーはボトルキャップホルダー付と凝ってはいるが、位置的には使いにくい。リアシート中央の3点式シートベルトもやはり必要だろう。同時に前席背もたれに折り畳みテーブルをつけるといった小技も効かせてほしいところだ。また、最近はなぜかまったく流行らなくなってしまったが、リアハッチのガラス部分だけが開く仕掛けもあると便利だ。揺れ始めたら止まらないライダーのサスペンションはちょっと問題。シャコタン車の典型的乗り味。

総合評価

90年頃には全くステーションワゴン市場に興味を示さなかった日本のメーカーが、95年頃には四駆ブームの後釜として妙に力を入れ、一大ステーションワゴンラインナップが出そろった。日産でもプリメーラワゴンやらアベニールやらステージアやらと花開いたのは、20世紀末のことだったか。商用車派生のADワゴンがウィングロードとして登場したのも96年。しかし9年後の現在はほとんどの車種が消え、ウィングロード一車種がその跡を(もしかすると商用車をも)引き継ぐことになりそうですらある。

元来、ステーションワゴンはセダンのプレミアムな一形態だったはず。日本では商用車に見られるといって毛嫌いされたが、ブームの時代を経て、さすがに商用車に見られることはなくなった。とは言うものの、結局プレミアム性といった部分は根付くことなく終わってしまった。もはやほとんどの国産セダンで、ワゴンボディの登場は考慮されていない。例えばレクサスのようなプレミアムブランドならワゴンがあっても良さそうなものだが、今後しばらく登場することはないだろう。ステーションワゴンは15年前の状況に戻ったわけだ。

一方、輸入車の世界では、まだワゴンがプレミアム性を保っている。メルセデスEクラスワゴンに匹敵する、あるいは対抗できる日本車は結局できなかったわけで、日本車はおいしい市場を逃がしてしまった気がしてならない。さらに積載性や悪路走破性に加えて、下手なセダン以上の走りを身につけたミニバンやSUVの存在もある。ステーションワゴンがそれらと張り合うにはプレミアム性しかないのだが、それが持てなかった以上、消え去るしかないのか。

ただ、手ごろな価格、手頃なサイズの「生活や遊びの足」としてのワゴンは、捨てたものではない。セダンに乗るくらいならワゴン、多人数乗車が必要ないならワゴン、SUVを買う金がないならワゴンである。ウイングロードの販売が好調なのは、こうした需用・市場が確かにあるからで、それには見事に応えた作りとなっている。全てにバランスが良い。視界も良いし、シートリフター、簡単な助手席背もたれ折り畳み機構も便利。オプションでは日産お得意のサイドブラインドモニター、アクティブAFS、もちろんカーウィングスも付けられる。

ウイングロードにしても、エアウェイブにしても、もちろんフィールダーにしても、そのキーワードは、安くて使いやすい若者の足。まさにウイングロードもそこにピンスポットが当てられており、ひたすら過不足なく、空気のような存在として野に山に飛び立てる存在だ。しかしこれ、ユーザーは若者に限らないのでは。今までセダンに乗り続けてきた団塊の世代がリタイアしたとき、案外ウィングロードのようなクルマに買い替えたくなると思う。ただ、ウィングロードのエクステリアは少し個性が強すぎる感じで、おじさん達には厳しいか。リアゲートを開けて海を眺めたいのは若者に限らないと思うので、まもなく登場する新型ブルーバードシルフィにこそ、イージーラゲッジベンチを持つワゴンがあれば、と期待したいのだが…。

試乗車スペック
日産 ウイングロード ライダー
(1.5リッター・CVT・199万1850円)

●形式:DBA-Y12●全長4475mm×全幅1695mm×全高1495mm●ホイールベース:2600mm●車重(車検証記載値):1210kg (F:700+R:510)●エンジン型式:HR15DE●1498cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●109ps(80kW) /6000rpm、15.1kg-m (148Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/45L●10・15モード燃費:18.0km/L(ベース車)●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:195/55R16(TOYO PROXES T1R)●試乗車価格:249万1850円(含むオプション:インテリジェントキー 5万7750円、フロアカーペット 2万3100円、HDDナビゲーション 31万5900円、後方モニター 3万5000円、ラゲッジシステムカーペット 1万500円、大型ルーフスポイラー 5万7750円)●試乗距離:180km ●試乗日:2005年12月

公式サイト http://www2.nissan.co.jp/WINGROAD/Y12/0511/CONCEPT/main2.html

 
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