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いすゞ ウィザード タイプ X新車試乗記(第29回)

Isuzu Wizard type X

 



1998年06月19日

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カーデータ

●カテゴリー:SUV
●クラス(排気量):2999cc
●キャラクター:89年登場のミューから始まったトラックベースのライトSUVが根本的にモデルチェンジ。より乗用車ライクな、快適SUVに生まれ変わった。ロングホイールベース4ドアボディをウィザード、ショートホイールベース2ドアボディをミューと呼ぶのは先代同様。主なマーケットは米国で、米国SIA(スバル・イスズ・オートモーティブ)が製造し、日本へ輸入される。しかしウィザードは日本で設計されており、やがてOEMでホンダからも発売されるため、開発にはホンダも関わっているという。インターナショナルな成り立ちのSUVだ。
●コンセプト:「いつでも、どこへでも、いつまでも」が開発コンセプト。フレーム付きボディで本格的な四駆性能を持ち、現代の基準にあわせた衝突安全性を確保。ビッグホーンで好評のコモンレール式高圧燃料噴射システム採用の直噴DOHCディーゼルエンジン「Dd」を載せ、低燃費(100kg近い軽量化も大きな要因)と排ガスのクリーン化を実現し、気軽に乗れる快適なSUVを目指している。
●注目度:米国は好景気を背景に、SUVは、まだガンガン売れているようだが、不景気の日本では、SUV自体にもはやかつての勢いはない。今年いすゞはビッグホーン、ウィザードと相次いでフルチェンジしているが、残念ながらあまりに時期が悪いと言える。ターゲットとされる30代前後の若者にこの手のクルマへの関心は薄い。かえって年輩の釣り愛好者などが手頃な四駆として気にしてるようだ。
●特筆装備:ウィザードでなくミューの方だが、大型のサンルーフと取り外せるキャンバスのリアクォーター部分でオープン気分が味わえる、オープントップが設定されている。最も西海岸ぽいムードが味わえるクルマで、今手に入れれば、ここ数ヶ月は楽しく過ごせるはずだ。
●燃費:Ddの60km/h定地燃費はクラストップレベルの20km/リットル。現在はガソリン価格が激安のためありがたみがないが、今後はこの数字がものをいうようになるだろう。
●価格・販売:ウィザードはタイプXとタイプSの2タイプ。タイプXには215馬力の3.2リットルV6ガソリン車もある(ATのみ)。ディーゼル・X・5MTでジャスト250万円。下は225万4000円から、上はガソリン・サンルーフ付の269万2000円。ライバル車と比べて比較的リーズナブル。また、ミューは197万2000円~251万円(オープントップ・4AT)。

スタイル

奇をてらわない、典型的なSUVスタイル。リアドアの窓の形状が特徴的で、Cピラーの力強さが印象に残るが、全体にはごくシンプル。良くも悪くもアメリカ的だ。ミューやハリアーといった新しい形態の四駆に比べれば保守的で面白味に欠けるが、この方がセールスとしては安全パイだろう。2ドアのミューはワイド感が強調されいい雰囲気。格子型グリル、リアのブリスターフェンダーの張り出し具合、プラスチックのオーバーフェンダーなどなかなかかっこいいのでは。

パッケージング

ユーティリティスペースは拡大している。フロントシートヘッドクリアランスが+8mm、レッグルームは+27mm拡大。ラゲッジは+が50リットルの935リットル、リアシートをたたむと2273リットル。いずれにしろ、十分な広さがあり、不満はない。なおリアハッチは2分割で、ガラス部分が跳ね上げ、下半分は横開きだが、下半分は下開きの方が使いやすいと思う。

内装(質感)

先代までのチープさは消え、ごく一般的な質感を確保している。とはいえもちろん豪華ではない。タイプXは革巻きステアリングで、オーディオまわりには控えめにウッド調パネルもあったが、ごくごく当たり前の質感。もちろんレジャーカーとしてはこれで十分。カップホルダー、12Vソケット、ミラーに仕込まれたマップランプ、プッシュ式空調など、装備にも特に不満はない。

シート・ステアリング・シフト感触

シートは平板な印象だが、不満はなかった。シートスライド量は+40mm、シート高は-25mm(フロアそのものが下がっている)。リアシートはダブルフォールディングで、荷室はフラット。リアカップホルダーも装備された。シフトはパワーとウインターモードを持つ。NからDへ入れるときに一瞬3速を経由することでシフトショックを低減する仕掛けもある。確かにショックは少ないように感じた。

動力性能(加速・高速巡航)

ビッグホーンより20馬力少ないインタークーラー無しのDdは、鋭いというほどではないものの、1800kgの重さを感じさせない加速をみせる。ディーゼルの鈍重さはなく、ストレスをためることはないだろう。高速巡航も楽で、クロカン4駆を忘れるほど安定してスムーズ。中間加速もストレスがない程度にはこなし、ディーゼルのクロカン四駆であることを考えれば、十分な動力性能だ。

ハンドリング・フットワーク

フロントサスはダブルウィッシュボーンとトーションバー、リアは新設計の5リンク、コイルリジットで、オンとオフとの両立がねらい。ハードなコーナリング、オフロード走行に挑戦してはいないが、オンのコーナーでは腰高感もあまり感じられず、安定した印象。

乗り心地

細かいコツンコツンという路面段差も穏やかにこなし、乗り心地は非常にいい。ホイールベースの長さ、ボディ剛性の高さがいい方向に作用して、しっかりした、それでいてしなやかな乗り心地だ。四駆に乗っていることを忘れるほど。

騒音

室内が妙に静かなのには驚いた。加速時も、高速巡航時もエンジン音はごくわずかしか聞こえない。Ddの低騒音設計に加え、クランクシャフトの2倍で回転する二次バランサーで静粛性が高められている。もちろん遮音材もおごられているようだ。とにかく停止していてもディーゼル特有の振動と騒音がほとんど気にならない。

安全性

新設計高剛性ボディ、左右エアバッグ、ABS、ロードリミッター付シートベルト、フロントまわりの衝撃吸収用にニーボルスター、衝撃吸収リブ構造を採用。

環境対策

CO2の排出量低減にはディーゼル、ということで気張って作られ たDd。燃料を高圧で燃焼室に直接噴出する方式を電子制御でコントロールして 理想的燃焼を実現。DOHC16バルブで吸排気効率を高め、EGRでNOX発生 を低減、酸化触媒でHC(炭化水素)、PM(粒子状物質)を低減。燃費がよく なればCO2総排出量は減るわけで、理論的には理解できる。しかし、マフラー から少し黒煙がでてるのを見ると、どうしてもディーゼルに肩入れができなくな ってしまう。

ここがイイ

すべてを一新し、快適で、機能的なSUVを実現したこと。ディーゼルを感じさせないDdの出来も素晴らしい。

ここがダメ

別にダメなところはないなぁ、と感じさせるところか。つまり、この手のクルマに強い思い入れと関心を持たない限り、いいんじゃない、で終わってしまうのが難しいところだ。

総合評価

「ここがダメ」の続きになるが、筆者はあまりSUVには強い関心を持たない。従ってウィザードに明確な意見を持ちづらいのだ。乗って快適、どこでも便利に使え、信頼感も高く、経済性も悪くない。まさにSUVとして文句ないのだが、ライバルに比べてそれほど大きなアドバンテージを感じるわけではない。
実はこれは一般消費者にとって他の多くのクルマにも言えることで、クルマに関心が薄い場合、事細かなクルマの性能差というのはさほど問題ではなくなっているといえるだろう。クルマの出来よりルックスや流行で選択し、どのクルマも出来はそう悪くないので、さほど不満のないカーライフがおくれている、それが現在の状況ではないだろうか。
ウィザードがそうした消費者心理をぶち壊すようなインパクトを持っているかというと、それはやっぱり否なのだ。

お勧め度(バリューフォーマネー)

トラックライクな先代より乗用車ライクになっているので、この手のクルマが必要な人なら買って不満はないだろう。ライバル車より絶対数が少ない分、個性を主張できるともいえる。日本的豪華四駆のビッグホーンよりゴテゴテしてない分、好感が持てるはず。状況が許すならミューオープントップが一番のお勧めか。

 

 

 
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