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ロールス・ロイス レイス新車試乗記(第764回)

Rolls-Royce Wraith

(6.6L V12ターボ・8AT・3333万円)

究極の2ドアクーペにして
史上最速のロールスに試乗!

2015年07月17日

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キャラクター&開発コンセプト

史上最速のロールス・ロイス


ロールス・ロイス レイス
(photo:RRMC)

BMW傘下のブランドとして1998年に“リスタート”した新生ロールス・ロイス。2003年に発売した新型ファントムを皮切りに、ファントム・クーペや同ドロップヘッド・クーペ、ゴーストを送り出した同ブランドが、2013年に発売したのが今回とりあげる「レイス」だ。

 

(photo:RRMC)

ゴーストの2ドアクーペ版とも言えるレイスは、ロールス・ロイスで初めてファストバックスタイルを採用したモデル。エンジンはゴースト譲りの6.6L V12直噴ツインターボに、62psと20Nm上乗せしたもので、ロールス・ロイス史上最高の632psと800Nmを発揮。0-100km/h加速4.6秒、最高速度250km/h(リミッター作動)を誇る。

ロールス・ロイスの歴史


1933年 ロールス・ロイス ファントム II
(photo:RRMC)

ロールス・ロイス(Rolls-Royce)は、1906年にイギリスで創業。1907年に発売した6気筒エンジン搭載車「シルバーゴースト」などの成功で、世界トップクラスの高級車メーカーとなった。1932年には同じ英国の高級車メーカーであるベントレーを買収し、以降は実質的に兄弟車となりながらフォーマルなロールス・ロイス、スポーティなベントレーという2枚看板で、共に英国を代表する高級車として君臨した。

 

ロールス・ロイスのマーリン60エンジン
(photo:RRMC)

第一次大戦が始まった1914年以降は、航空機用エンジン分野でも大きな成功を収めた。代表作であるV型12気筒「マーリン」エンジンは第二次世界大戦中、スピットファイアやP51マスタングなど数多くの名機に搭載された。

1971年には航空機用ジェットエンジン「RB211」の開発が難航して経営破綻し、国有化されたが、自動車部門は1973年に分離独立し、別会社「ロールス・ロイス・モーターズ」になった。

1992年にはBMWと技術提携し、BMW製エンジンを採用。1998年にはBMWとVWの間で買収合戦が行われた結果、ロールス・ロイスのブランドはBMWに、ベントレーはVWグループに移った。

 

手前がレイス、左奥がファントム クーペ、右奥がゴースト シリーズII
(photo:RRMC)

以降、BMW傘下では新たに「ロールス・ロイス・モーター・カーズ」となり、本社をイギリスのグッドウッドに設立。世界販売台数は2007年に1000台を超え、2014年にはロールス・ロイス史上初めて4000台を超えている。

なお、航空機部門は1987年に民営化されて「ロールス・ロイス・ホールディングス」となり、現在は航空宇宙、防衛、艦船、発電を手がけるグループ企業として存続している。

なお、Rolls-Royceの英語読みは、創業者の一人であるチャールズ・ロールズと同じで、本来はロール「ズ」・ロイス。

 

レイスとグッドウッド本社工場スタッフ。2013年
(photo:RRMC)
【外部リンク】 【参考記事】
 

価格帯&グレード展開

ファントム各種、ゴースト、レイスの3シリーズで展開


ファントム EWB
(photo:RRMC)

2015年7月現在のラインナップは以下の通り。

  • ファントム SWB (460ps、720Nm)  5064万円
  • ファントム EWB (460ps、720Nm)  5864万円
  • ファントム ドロップヘッド・クーペ (460ps、720Nm) 5810万円
  • ファントム クーペ (460ps、720Nm)  5490万円
  • ゴースト シリーズII SWB (570ps、780Nm) 3132万円
  • ゴースト シリーズII EWB (570ps、780Nm) 3712万円
  • レイス(632ps、800Nm) 3333万円
 

ファントム ドロップヘッド・クーペ
(photo:RRMC)

旗艦4ドアサルーンの「ファントム」は2003年にデビュー。2005年にはロングホイールベース版のEWB(エクステンディッド・ホイールベース)、2007年には4人乗りコンバーチブルのドロップヘッド・クーペ、2008年にはクーペが加わっている。ファントムのエンジンは全て自然吸気のV12で、排気量はロールズ・ロイス伝統の6.75L。トランスミッションは8ATになる。

V12ターボのゴーストとレイス


レイス(左)とゴースト シリーズII
(photo:RRMC)

「ゴースト」はファントムより一回り小さく(と言っても全長は5.4mもあるが)、ドライバーズカー色を強めた4ドアサルーンで、2009年にデビュー。アルミ製スペースフレームのファントムに対して、こちらはスチール製モノコックになる。2014年にはフェイスリフト版のシリーズIIにマイナーチェンジしている。

「レイス」はそのゴーストのクーペ版で、2013年にデビュー。自然吸気V12のファントムファミリーに対して、ゴーストとレイスは6.6L V12直噴ツインターボエンジンを搭載する。

 

ロールス・ロイス レイス(1939年)
(RRMC)

ちなみにファントム、ゴースト、レイスという名は、すべて過去モデルに由来するもので、いずれも幽霊とか精霊といった意味。ただし、2016年発売予定の第4のモデル「ドーン(Dawn)」は「夜明け」という意味で、こちらは往年の名車シルバー・ドーンに由来する。こちらはレイスベースのコンバーチブルとなる模様。

 

パッケージング&スタイル

ロールス初のファストバック

レイスがまとう、ルーフからリアウインドウまでのラインがまっすぐ斜めに下がる“ファストバック”と呼ばれるボディ形状は、ロールス・ロイス初。大柄なボディとあいまって、まさしく豪華グランド・ツーリングカー風だが、どことなくスーパースポーツ風でもある。と書くと、軽々しい表現に思えるほどの存在感がある。

フロントには伝統のパルテノングリルがそびえ立ち、その上では薄いドレスをまとった「スピリット・オブ・エクスタシー」が翼を広げている。ちなみにこの女神、オプションでラリックのようなガラス製(LEDで光る)や純銀製、もしくは純金製にも出来る。

現行ロールスで最小だが……

レイスは現行ロールスで“最もコンパクト”だが、ボディサイズは全長5280mm、全幅1945mm、ホイールベース3110mmと堂々たるもの。2ドアクーペながら、レクサスのLS600hLやメルセデスのSクラス ロングより長い。車重は2.4トン(2430kg)もあり、レンジローバーやカイエンを軽く上回る。

ただし、ベースとなったゴーストと比べれば、全長は120mm短く、ホイールベースは185mm短い。ブランドに相応しい存在感を保ちつつ、ロールス・ロイスで一番のドライバーズカーとしてスポーティに仕立ててある。

 

ドアは後ろヒンジの通称「コーチドア」になる
(photo:RRMC)

(photo:RRMC)
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
ベントレー コンチネンタル GT (2011~) 4820 1945 1410 2745 5.65
レクサス LS600hL (2012~) 5210 1875 1475 3090 5.9
メルセデス・ベンツ S600 ロング (2013~) 5250 1900 1495 3165 5.7
ロールス・ロイス レイス (2014~) 5280 1945 1505 3110 6.4
ベントレー フライングスパー (2013~) 5315 1985 1490 3065 6.05
ロールス・ロイス ゴースト シリーズII SWB/EWB (2014~) 5400/5570 1950 1550 3295/3465
メルセデス・マイバッハ S600 (2015~) 5460 1900 1495 3365 6.0
ベントレー ミュルザンヌ (2010~) 5575 1925 1530 3270 6.3
ロールス・ロイス ファントム クーペ/DHC (2007~) 5605 1985 1600/1580 3320
ロールス・ロイス ファントム SWB/EWB (2003~) 5840/6090 1990 1655 3570/3820
 

インテリア&ラゲッジスペース

ファントムより明らかに現代的


写真は「カナデル・パネリング」と呼ばれるウッドパネル仕様。一般的なラッカー仕上げではなく、木目の質感を活かした仕上げで、ブックマッチと呼ばれる「接(は)ぎ合わせ」工法も使われている
(photo:RRMC)

レイスの内装は英国的な意匠で統一されているが、ファントムほどクラシカルではなく、「職人による手作り」感も控えめ。それは適度に現代的ということでもあって、シートポジションの調整から運転操作に至るまで、“一見さん”でもファントムほど戸惑うことはない。

舞台裏のメカニズムは主にBMWの手になるはずだが、例えばiDriveコントローラーはロールス・ロイス専用デザインの「スピリット・オブ・エクスタシー・ロータリー・コントローラー」となるし、10.25インチの超ワイドナビ画面(日本製ミニバンのようにバードビューも表示できる)は、電動ウッドパネルカバーで隠しておくことができる。試乗車にはナイトビジョンやヘッドアップディスプレイといったハイテク装備もついていたが、表向きは古きよき英国車だ。

後ろヒンジの「コーチドア」を採用。閉める時はボタン

ドアは、ファントムの2ドアモデルと同じように、あるいはファントムやゴーストの4ドアサルーンにあるリアドアのように、後ろヒンジの前開き、ロールス・ロイス言うところの「コーチドア」になる。最初はドアハンドルをドアの後ろ側でつい探してしまう。

乗りこんだ本人がドアを閉めようと思っても手が届かないが、Aピラーの根元にはボタンがあり、それを押し続ければ電動で閉まる。最後はクローザーが引き込むので、ほぼ無音で閉めることができる。

 

後席は大型セダンのように快適で、クーペであることを忘れてしまう
(photo:RRMC)

ファントム同様、「スターライトヘッドライナー」をオプションで用意。天井のレザーに1430本の光ファイバーを手作業で編みこみ、夜空のように星がまたたく。142万6000円もする
 

トランク容量は大型セダン並みの470L。トランクリッドは当然ながら電動

トランク床下にはロールス・ロイスのロゴが入ったファーストエイドキットが収まる
 

基本性能&ドライブフィール

【レイス】 圧倒的な滑らかさが命

今回は名古屋市内で行われたロールス・ロイス・モーター・カーズ主催のメディア向け試乗会で、レイスとファントムの2台に試乗した。試乗時間はごく短時間で、コースは混みあった名古屋駅周辺、そしてそれぞれのクルマにお付のドライバー(本業はレーシングドライバーとのこと)も同乗という条件下での、チョイ乗りインプレであることを最初にお断りしておく。

最初に試乗したのはレイス。車両価格は3333万円で、オプション込だと3932万7000円。

コーチドアを電動でウィーーンと閉めた後、コラム式ドライブセレクターの使い方や電動パーキングブレーキボタンの位置をお付の方に教えてもらう。スタートボタンを押すと、6.6L(6591cc)のV型12気筒、直噴ツインターボエンジンが目を覚ます、のだが、その音はほとんど全く聞こえない。ドライバーズカーであるレイスでも、エンジンの唸りは完璧にシャットアウトされている。

価格のことを忘れそうになる

乗る前は、最高出力632ps、最大トルク800Nm (81.6kgm)だから、馬力もトルクも軽ターボ車の10台分か、などとつまらないことを考えていたが、街中を走る限り、そんな桁外れのパワーを感じるチャンスは皆無。レイスは英国紳士のごとく、炎天下の名古屋市内を汗一つ見せず、穏やかに、滑るように走る。そのうちエンジンのことは意識にのぼらなくなり、ツインターボとか、600psとか、どうでもよくなる。一つだけ意識したのは、12気筒だからこんなに滑らかなんだろうなぁ、ということ。

ちなみにゴーストやレイスのV12ターボは、BMW 760iの6.0L V12ターボがベースと思われるが、それはロールス・ロイスを語る上で、無粋かつ蛇足な話であろう。

 

レイスの全幅は1945mmもあるが、試乗車は右ハンドルだったせいもあり(左も選べる)、意外に運転はしやすかった。というか、視点が高くて見晴らしがいいので、7シリーズやSクラスより乗りやすいかも。そしてステアリングは、632psの高性能車とは思えないほど軽い。あまりの運転しやすさに、4000万円もすることを忘れそうになる。

変速機はファントムやゴーストと同じZF製8AT。変速はコトリと音もなく、シームレスに行われる。コラムシフトの先端にある「Low」というボタンを押すと、踏みはじめのレスポンスが鋭くなり、滑らかさがほんのわずか失われる。スポーツモードは、そんなものは要らないと言わんばかりに、ない。

ただしレイスにはゴースト シリーズ同様に、GPS情報を加味して変速制御を適切に行う「サテライト・エイディッド・トランスミッション(SAT)」が採用されている。コーナーの手前などでギアをホールドしたりするのだろう。

0-100km/h加速は991カレラと互角らしい


2015年のグッドウッド フェスティバル・オブ・スピードでデモ走行するレイス
(photo:RRMC)

メーターパネルにはロールス・ロイス伝統の「パワーリザーブ」メーターが備わる。エンジンの“余力”があとどれくらい残っているかをパーセンテージで表示するもので、使い方がいまいち分からないが、これだけ超フラットトルクだと、タコメーターの方こそ要らないのかもしれない。

そんなわけで、今回はレイスの動力性能の10%も味わえなかったが、メーカーの発表によれば、0-100km/h加速は4.6秒だという。この数字は実に、現行のポルシェ911(991型)カレラ 7速PDK仕様とまったく同じ。ゲルマンのエンジニアがそう言うのだから本当なのだろう。最高速度は250km/h(リミッター作動)とのこと。

 

なお、試乗時間の残り半分は、後席で過ごしてみた。そこはクーペの後席とは思えないほど広く、着座姿勢は自然で、乗り心地は当然よく、下手な高級セダンより明らかに快適だった。降りる時には、思わずそこにないリアドアのハンドルを探してしまったほど。コーチドアの構造上、自分ひとりではドアを開けて乗り降りできないのが困ると言えば困る点だ。

【ファントム】 まさに古き良きイギリス

レイスの後は、ファントムの長い方、ファントム EWB(エクステンデッド・ホイールベース)に試乗した。車両価格は現行ロールスで一番高い5864万円……。こうなると金額がただの数字に見えてくる。

レイスから乗り換えて、まず面食らうのが電動シートの調整。スイッチがセンターコンソールのフタを開けたところにあり、つまり運転中に「あ、もうちょっと前にしよう」と思っても調整しにくいので、最初にちゃんと合わせておく必要がある。

でもって、ステアリングの径は、昔の重ステ車みたいに大きく、そのリムはクラシックカーみたいに細い。操舵力はさっきのレイスよりも軽い。つまり見た目だけでなく、運転感覚もクラシカルであり、中身がBMW製の自然吸気6.75L V12であるとか、ZF製8ATであるとかいったことは微塵も感じさせないのがすごい。そう言えばボディはアルミ製スペースフレームなのだが、試乗中はすっかり忘れていた。

 

ちなみにファントム EWBは、その2770kgのボディを460psと720Nmのパワーでもって、100km/hまで6.1秒で加速させ、240km/hに到達するという。ほんまかいな、と思えるくらい、タウンスピードでの運転感覚はクラシカルだ。

こちらは左ハンドルだったが、運転は意外にイージー。レイス以上に滑らかな走りを味わうという意味で、これはこれで運転していて面白い。全長は6090mm、ホイールベースは3820mmもあるが、レイス以上に視点が高いので、大きさは思ったほど気にならない。まぁ、これをコインパーキングや一般的な立体駐車場に入れる、というわけにはいかないから、駐車には困りそうだが。

基本はやっぱりショーファー・ドリブン

とは言え、ドライバーの方に運転を任せて後席に移ると、やっぱりファントムは誰かに運転してもらうに限る、と思ってしまった。もはやそこはクルマの後席というより、移動する豪華な部屋。ダッシュボードやドアトリムは、最高品質のレザーや工芸品のようなウッドパネルで埋め尽くされ、そこにクロームメッキされたスイッチ類が散りばめられる。あまりに豪華すぎて一般的な尺度では評価しようがない……というのが正直なところ。

 
    エンジン 排気量(cc) 最高出力(ps) 最大トルク(Nm) 車重(kg) 0-100km/h加速(秒) 最高速度(km/h)
ロールス・ロイス ファントム SWB/EWB (2003~) V12 6749 460 720 2660/2770 5.9/6.1 240
ロールス・ロイス ファントム クーペ/DHC (2007~) V12 6749 460 720 2630/2720 5.8 250/240
ベントレー ミュルザンヌ (2010~) V8ツインターボ 6747 512 1020 2710 5.3 296
メルセデス・マイバッハ S600 (2015~) V12ツインターボ 5980 530 830 2350
ロールス・ロイス ゴースト シリーズII SWB/EWB (2014~) V12ツインターボ 6591 570 780 2480/2580 4.9/5.0 250
ベントレー コンチネンタル GT (2011~) W12ツインターボ 5998 575 700 2320 4.5 318
ロールス・ロイス レイス (2014~) V12ツインターボ 6591 632 800 2430 4.6 250
ベントレー コンチネンタル GT スピード (2012~)※諸元は2015 W12ツインターボ 5998 635 820 2320 4.2 331
 

ここがイイ

英国クラフトマンシップと独エンジニアリングの融合

レイスに関しては、ファントムよりモダンな運転感覚、メカニズム、スタイルを導入し、価格も多少抑えながら(と言ってもフルオプションでは4000万円もするのだが)、世間一般の量産高級車基準からすれば、やはり古き良き英国車とロールス・ロイスの世界を実現していること。

ファントムについては、見ても乗っても乗せられてもクラシカルというか、古きよき英国車という感じでありながら、中身は最新のBMW製であり、価格への転嫁をまったく恐れないかのように、最上のジャーマンエンジニアリングと英国クラフトマンシップが実を結んでいること。

両車ともにボディが巨大な割に、運転席に座っても妙なスカスカ感がないこと。大きなボディのクルマは大柄な人でないとフィットしないことが多いが、小柄な日本人の我々でも案外タイトな乗車感があった。また、狭いところへ入っていかない限り、路上でそう苦になることはないと実感した。

 

試乗車のファントムは、2014年に発表された「メトロポリタン・コレクション」という世界限定20台のビスポークモデルで、500ピースの木片をはめ込んで都市の景観を表現したウッドパネルを持つピクニックテーブルを後席に搭載していたが、引き出したテーブルの表面を更に引き起こすと大型モニターになり、そこで運転席のナビ同様の情報が見られるのが良かった。例の「スピリット・オブ・エクスタシー・ロータリー・コントローラー」は後席にもあるから、チョイノリばかりの試乗会の燃費を確認したら、約2.5km/Lだった(苦笑)。ふだんは4km/Lくらいのようだが。

ここがダメ

斜め前がちょっと見にくい

上でも触れたように、ボディサイズの割に取り回しはいいが、レイス、ファントム共に、ダッシュボードやウエストラインが高めなせいか、Aピラーがドライバーに近いせいか、右ハンドルなら右斜め前、左ハンドルなら左斜め前の視界がけっこうさえぎられるのは気になった。

レイスのコーチドアはドライバーズカーとして考えると、閉めるときに電動に頼らざるをえないという点でやはりあまり実用的ではないと思う。まあ実用性を云々するクルマではないが。

スターライト・ヘッドライナーはいい雰囲気。これ、国産車でもやれるのでは、と思って価格を見たら142万6000円と国産車が1台買える価格だった。もうちょっと安くて、しかもホントの星座とかにしたら「いいね!」なのだが。

総合評価

本当のお金持ちしか買えない


(photo:RRMC)

さすがロールス・ロイス、数ある自動車ブランドの中でも最も高い価格帯を誇る。サラリーマンの生涯年収は大卒で2億5000万円くらいらしい。新卒から定年まで38年くらいだから、平均年収で730万ほど。けっこう多いな、という気はする。一部高給取りの人々が平均年収を押し上げているのではないか。昨今、年収600万もあれば、まあまあの方なのでは。とすると現実的には生涯年収で2億あるかないか、か。つまりそこそこの給料をもらって、素のファントム4台分。レイスでも年収600万の人の5年分以上というお値段だ。

3000万円台と言えば、サラリーマン家庭が買う不動産の価格に等しい(名古屋圏の場合)。3500万の住宅ローンを毎月11万5000円ずつ、35年かけて返していくわけだ。そんな大金をポンと出して、一台のクルマを買うという贅沢。そんな贅沢は、まあふつうに仕事をしていては絶対に無理なわけで、もともとの資産家か、ビジネスの成功者くらいしか無理。しかも、ちょっとした成功程度ではなかなか買えない金額だ。努力だけで達成できるとは思えないほどの、ビッグビジネスの勝者でないと難しい。本当のお金持ちしか買えない。つまりは持って生まれたものと、運という人智を超えた要素がないと手が届かない。

 

ロールス・ロイスの2014年世界販売台数は、史上最多の4063台。2016年春から名古屋でもディーラーが新設されるということは、中部地方で年間、最低10台程度は売れるというマーケティングがあると考えられるから、そのくらいは本当のお金持ちがいるということ。いわゆる名古屋圏(中京圏)は人口約1000万人の市場だから、全国だとその10倍、年間100台程度は売れるということになる。ちなみに中国では2013年に、その10倍の約1000台を販売したらしいが。

レイスを買ってタバコ屋へ行こう


(photo:RRMC)

成功の証としてメルセデス・ベンツだとかキャデラックとか、レクサスとかというプレミアムブランドもあるが、それらはちょっとした成功で案外手が届くし、普通の会社員でも手が届くモデルがある。それゆえにロールス・ロイスやベントレーというブランドは、誰もが認める超高級ブランド車として、唯我独尊でもとがめられないだろう。価格が高いクルマは他にもあるが、誰が見てもすぐに別格だと分かる点で、この二つは飛び抜けたブランドだ。

昔、成功してキャデラックで近所のタバコ屋へ行くのが夢、なんてことを言った歌手がいたと思うが、今ならさしずめ乗っていくのはレイスだろう。タバコ屋(今ならコンビニ?)の駐車場に駐めるのはさすがに気を使いそうだが、とはいえ別にそう無茶なサイズでもないな、と試乗して確認した。またレイスは、いい意味で案外ふつうのGTクーペという感じで、その意味でちょっと欲しいかも、と思った。ビッグに成功したクルマ好きなら、レイスやベントレーの走り系モデルを買うのは悪くないとオススメしておきたい。

 

ロールス・ロイスなどすっかり縁がなく、これまで試乗することもなかったが、チョイ乗りしてみたら案外ふつうに欲しいと思えるクルマだった。やっぱりクルマは乗ってみないと分からない。「よし、レイスを買えるように真っ当にがんばるぞ」と誰もが思える「チャンスは平等という社会」が、日本でも、世界でも実現してほしいものだなあ、と願うばかりだ。

 

試乗車スペック
ロールス・ロイス レイス
(6.6L V12ターボ・8AT・3333万円)

●初年度登録:-年-月 ●形式:-
●全長5280mm×全幅1945mm×全高1505mm
●ホイールベース:3110mm
●最低地上高:-mm ●最小回転半径:6.4m
●車重(車検証記載値):2430kg(-+-)
●乗車定員:4名

●エンジン型式:-
●排気量・エンジン種類:6592cc・V型12気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・縦置
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●最高出力:465kW(632ps)/5600rpm
●最大トルク:800Nm (81.6kgm)/1500-5500rpm
●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/-L

●トランスミッション:8AT
●JC08モード燃費:-km/L

●駆動方式:FR(フロントエンジン・後輪駆動)
●サスペンション形式(前):ダブルウィッシュボーン+エアサスペンション
●サスペンション型式(後):マルチリンク+エアサスペンション
●タイヤ:前 255/45R20、後 285/40R20(-)

●試乗車価格(概算):3932万7000円 ※オプション:スターライト・ヘッドライナー、イルミネーテッド・スピリット・オブ・エクスタシー、ツイン・コーチライン、ビスポーク・オーディオ・システム、カスタム・トレッド・プレート、RRヘッドレスト・モノグラム、ヘッドアップ・ディスプレイ、ナイト・ビジョン、レーン・ディパーチャー・ウォーニング、ストップ&ゴー機能付きアクティブ・クルーズ・コントロール、アダプティブ・ヘッドライト、ベンチレーション・シート(前席)
●ボディカラー:サマランカ・ブルー

試乗車スペック
ロールス・ロイス ファントム エクステンデッド・ホイールベース
(6.75L V12・8AT・5864万円)

●初年度登録:-年-月 ●形式:-
●全長6090mm×全幅1990mm×全高1655mm
●ホイールベース:3820mm
●最低地上高:-mm ●最小回転半径:-m
●車重(車検証記載値):2770kg(-+-)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:-
●排気量・エンジン種類:6749cc・V型12気筒DOHC・4バルブ・縦置
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●最高出力:338kW(460ps)/5350rpm
●最大トルク:720Nm (73.4kgm)/3500rpm
●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/-L

●トランスミッション:8AT
●JC08モード燃費:-km/L

●駆動方式:FR(フロントエンジン・後輪駆動)
●タイヤ:前 255/50R21、後 285/45R21(-)

●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:-
●ボディカラー:-

●試乗距離:約-km ●試乗日:2015年7月
●車両協力:ロールス・ロイス・モーター・カーズ、アイモトーレン株式会社

 
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