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スバル インプレッサ WRX STI Aライン 4ドア新車試乗記(第613回)

Subaru Impreza WRX STI A-Line 4door

(2.5 水平対向4気筒ターボ・5AT・315万円)

待望の?4ドア復活!
5AT仕様「Aライン」は
大人のためのWRXだった!

2010年11月06日

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キャラクター&開発コンセプト

3年ぶりに4ドアセダンが復活


今回追加された4ドアのWRX STI。「Aライン」(5AT仕様)は、リアウイングレスとなる

2007年10月に発売された現行型「インプレッサ WRX STI」がマイナーチェンジし、2010年7月1日にあらためて発売された。マイナーチェンジの内容は、内外装デザインの小変更やシャシー関係の改良などだが、最も大きな話題は4ドアセダンが追加されたことだ。

初代インプレッサと共に1992年に登場したWRXシリーズは、もともとWRC(世界ラリー選手権)を頂点とする国内外ラリーのベース車両として開発されたもの。市販車には5ドアのWRXもあったが、ラリーには専ら4ドアセダンが使われてきた。

 

先代インプレッサ WRX STI WRC
(photo:富士重工業)

しかし「WRX STI」を名乗る現在の第3世代では、初めて5ドアボディに一本化。そのデビューが世界同時不況のタイミングと重なったため、WRCのトップカテゴリーとなるWRカー(ワールドラリーカー)に、この「5ドアのWRX STI」が投入されたのは2008年の一年限りとなってしまったが、市販車ベースに近いいわゆるグループN車両で戦われるP-WRCや全日本ラリーには、5ドアボディの「WRX STI」が投入されている。

ただ、その一方では、かつてのWRXと同じ4ドアセダンを求める声も大きく、ついに今回3年ぶりの復活となったようだ。もちろんそこには2008年10月に登場した4ドアセダンの「インプレッサ アネシス」がベース車として存在することや、4ドアセダンの人気が圧倒的に高い北米市場やインプレッサの人気が高いUK市場から強い要望があった、といった事情もあるだろう。

正式名称は「WRX STI」

今回新たに掲げられた「WRX STI」シリーズの国内目標販売台数は月間300台。ちなみに5ドア、4ドアセダンの「アネシス」、クロスオーバーの「XV」の計3タイプで展開する「インプレッサ」シリーズの目標販売台数は、月間1400台だ。。

なお、実は今回のマイナーチェンジから、正式名称は単に「WRX STI」となり、カタログにもインプレッサの文字は見あたらなくなっている。ただしプレスリリースにはインプレッサ 「WRX STI」と表記されていたので、当試乗記では、従来通りの表記とした。

※過去の参考記事
■新車試乗記>スバル インプレッサ WRX STI (2007年12月)
■新車試乗記>スバル インプレッサ WRX STi (2003年4月)
■新車試乗記>スバル インプレッサ WRX STi (2000年12月)

価格帯&グレード展開

「Aライン」は315万円


ボディカラーは5ドアと4ドアセダン共通の全5色(オブシディアンブラック・パール、サテンホワイト・パール、スパークシルバー・メタリック、ダークグレー・メタリック、WRブルー・マイカ、新色のプラズマブルー・シリカ)
(photo:富士重工業)

今回4ドアセダンが追加されたことで、「WRX STI」シリーズは、5ドアの6MTと5AT、そして4ドアセダンの6MTと5ATと、計4グレードになった。なお5ドアも4ドアセダンも、5AT仕様は「Aライン(A-Line)」と呼ばれる。

エンジンはいずれも水平対向4気筒のシングルターボだが、6MTは2リッターのツインスクロール式ターボ(308ps)、「Aライン」は2.5リッターのシングルスクロール式ターボ(300ps)を搭載する。その価格差は55万円前後と小さくないが、そこにはパワートレインや駆動系(4WDシステムやLSDの装備など)の違いのほか、ブレンボ製ブレーキやレカロ製アルカンターラ/本革シートの有無といった違いがある。ただしブレンボ製ブレーキに関しては、Aラインでも21万円のメーカーオプションで追加可能だ。

 

こちらは従来からある5ドア。マイナーチェンジでグリル、バンパー等のデザインが変更されている
(photo:富士重工業)

Aラインには他に、タン色のレザーシートやBBS製の鍛造アルミホイールをセットにした「プレミアムパッケージ」(26万2500円)や電動サンルーフが用意されている。オーディオは全車オプションだ。

なお、MTの印象が俄然強いWRXシリーズだが、4AT車はその初期から用意されており、現行モデルの5ドアにも2009年2月から5AT仕様の「Aライン」が追加されていた。

【2.5リッター水平対向4気筒 DOHC ターボ(300ps、35.7kgm)+5AT】 10・15モード燃費:10.0km/L
■WRX STI A-Line 5ドア  315万円
■インプレッサ WRX STI A-Line 4ドア  315万円  ★今回の試乗車

【2.0リッター水平対向4気筒 DOHC ターボ(308ps、43.0kgm)+6MT】 10・15モード燃費:10.4km/L
■WRX STI 5ドア  368万5000円
■WRX STI 4ドア  373万8000円

パッケージング&スタイル

WRXには4ドアボディがよく似合う

やけにまとまりが良く、新規追加には全く見えない4ドアバージョン。これを見て一気に購入欲に火が付くスバルファンは少なくないだろう。

それにやはりWRXというクルマ、4ドアボディがよく似合う。また、大きく張り出したフェンダー、ボンネット上のインテークバルジ、オプションのBBS製18インチ鍛造ホイール等で武装したマッチョなボディに、スバルのワークスカラーである「WRブルーマイカ」もマッチ。なお巨大なリアウイングは6MTの専用装備で、試乗した「Aライン」にはオプションでも用意されない。いわゆる「後付け」は可能だろう。

ボディサイズは先代B4に近い

ボディサイズ(カッコ内は5ドア比)は、全長4580mm(+165)×全幅1795mm(同)×全高1470mm(同)。ホイールベースは5ドアと同じ2625mm。ボディ前半のデザインは5ドアとまったく同じで、全長の差は主にリアオーバーハング部分の違いによるものだ。

 

そうは言っても、全長4.6メートル弱というサイズは十分コンパクトで、カローラあたりと体感上の差はない。最小回転半径も5.5メートルと平均的だ。駐車場やガレージでは、1.8メートルの全幅にボリュームを感じるが、この凝縮感のあるスタイルを前にすれば、それも許せるだろう。

ちなみボディサイズは先代WRX STI(4ドアセダン)より一回り大きいわけだが、実は先代レガシィB4とは、けっこう近いところにある。大ざっぱに言って、先代B4を「太く短くした」みたいなプロポーションだ。

 
  
  全長 全幅 全高 ホイールベース
WRX STI 5ドア (GR型) 4415mm 1795mm 1470mm 2625mm
先代インプレッサ WRX STI 4ドア (GDB型) 4475mm 1740mm 1425mm 2540mm
WRX STI 4ドア (GV型) 4580mm 1795mm 1470mm 2625mm
先代レガシィ B4 2.0GT (BL型) 4635mm 1730mm 1425mm 2670mm
現行レガシィ B4 2.5GT (BM型) 4730mm 1780mm 1505mm 2750mm

インテリア&ラゲッジスペース

「Aライン」はパドルシフト標準。オプションでタンレザー仕様もあり


試乗車はオプションのタンレザー仕様で、オーディオ(全車オプション)は未装着の状態

インパネまわりも5ドアとほとんど一緒。マイチェンで変ったのは、加飾パネルの塗装が「ダークキャストメタリック」になったことくらい。5ATの「Aライン」に装備されるコラム固定式のパドルシフトが、上下に長くて、なかなか操作しやすい。

その他、イグニッションオンで針が振り切れるスィープ機能付のメーター、SIドライブのセレクター、キーレスアクセス&プッシュスタート、ダッシュ上部の平均燃費計(トリップAとトリップBに連動)などは、最近のスバル車で定番のものだ。

なお、試乗車は「Aライン」にのみ用意された「プレミアムパッケージ」仕様で、シートの他にステアリングの上下もタンカラーのレザーとなり、大人っぽい雰囲気を高めている。BBS製の鍛造ホイールとセットで26万2500円だが、かなりお得なセットではないだろうか。

 

写真のタンレザーの他に、ブラックレザーも単体で選択可能

6MT車にはレカロ製のセミバケットシートもオプションで用意されるが、レザー仕様も含めて標準シートのホールド性も悪くない。シート中央部分は細かい穴の空いたパンチングレザーで滑りにくく、乗り降りもしやすいし、電動でリクライニングや前後スライドはもちろん、座面の高さと角度も調整できる。もちろんステアリングはチルトとテレスコ付だ。大柄になったレガシィよりも、車両感覚がつかみやすく、クルマとの一体感が得られる。

後席スペースは先代B4に見劣りしない

試乗車の場合、当然ながら後席もタンレザー仕様。クッション形状は標準のファブリック/合皮仕様と同じだが、タンレザーの方が座面のラウンド形状がよく目立ち、ラテン車っぽいオシャレさも漂う。

乗降性も問題なく、座ってみれば、「インプレッサってこんなに広かったっけ?」と思ってしまうほど広い。天井は丸く上の方まで膨らみ、つま先を前席下に入れれば、足もそこそこ伸ばせる。おそらく先代B4と比べても、広さは見劣りしないだろう。

荷室は奧に深く、トランクスルーも可


リアサスはマルチリンクで張り出しはないが、フロアの奥側が盛り上がっているトランク

容量は不明だが、5ドアより165mmオーバーハングが長いため、奥行きのあるトランク。さらに背もたれを6:4分割で倒してトランクスルーにすれば、スノーボードみたいな薄めの長物も積める。

なお、ライバル車のランサーエボリューションXは、ボディ剛性の向上や重量配分の改善を狙って、完全にリアバルクヘッドを塞いでしまっているが、WRXの4ドアはそこまで「走り命」ではない。

 

ただし荷室フロアの奥半分は、ガソリンタンクのせいか、背もたれ裏となだらかにつなげるためか、少々盛り上がっており、天地寸法と容量、そしてトランクスルーの開口面積を削いでいるように見える。ただし見方を変えれば、手前側を上げ底にしてごまかしていない、とも言える。

 

床下には発泡スチロール製のボードの下に、17インチの巨大なスペアタイヤが積まれる。

また後席左右の肩口にある背もたれのロックを解除するには、後席側にいちいち回る必要があるほか、「ノブを上げる」方向で解除するのが少々面倒であった。

また防犯のためだろうが、トランクリッドにオープナーはなく、開けるときは運転席足もとのレバーか、スマートキーのボタンを押すしかない。トヨタやレクサスの上級セダンと同じ方式だが、オープナー付のクルマに慣れていると、これも少々不便に思える。

基本性能&ドライブフィール

「Aライン」ではボクサーサウンドが聞こえる

試乗したのは「Aライン」と呼ばれる5AT仕様。スタートボタンを押すと、ボクサーエンジンがちょっと大げさに言うと、「ドッドッドッドッ」とアイドリングを始め、動き出すと「ドドドドド」、上まで回すと「ドーーーー」に変化する。実はこの5AT用の2.5ターボは、現行レガシィの2.5ターボがベース。つまり6MT用2.0ターボのような等長等爆エキマニではなく、非等長のタコ足を使っている。おかげで2.0ターボでは聞こえなくなった独特のボクサーサウンドが、この5AT仕様には残っている、というわけだ。当然、排気効率もろもろは落ちるのであろうが、ボクサーエンジンらしさが「生」で味わえるのは、この2.5ターボの方だ。

 

現行レガシィ用の2.5ターボ(285ps)をベースに、300psまでパワーアップした「Aライン」のエンジン

スペックに関しては、6MT用2.0ターボが最大出力308ps、最大トルク40.8kgmを発揮するのに対し、この2.5ターボの最大出力は300ps、最大トルクは2800回転から6000回転まで、きっちり35.7kgm(350Nm)を発揮し続ける。

実際、例のSIドライブを「 i 」にしたままでも、低中回転でアクセル操作に過不足なく反応するため、運転はとてもしやすい。ターボラグもまったくなく、のんびり走る限りは、思わず自然吸気かと思ってしまう。例のボクサーサウンドと相まって、この辺りで大半のスバリストは「なかなかいいじゃないか」と思ってしまうのでは。ちなみに5ドアのWRX STIにAラインが加わって以来、MTとATの販売比率はほぼ半々だという。

 

今やスバル車には欠かせない「SI-Drive」

一方、WRXらしい速さを味わうべく、「S」ないし「S♯」モードで走ってみると、確かにエンジン回転は高めに維持され、レスポンスも鋭くなるが、過激というほどにはならない。スペック上は300psだが、体感的には250psくらいかな、という感じだ。

意外に高回転型。ブリッパーで回転合わせもしてくれる

それでも、ワインディング等で全開を与え続けると、さすが300psという感じで、これがやっぱりやたらと速い。どうやらこのエンジン、トルク特性こそフラットだが、本領は高回転で発揮するタイプ。4000回転から上、出来れば5000回転からレッドゾーンが始まる6700回転の手前までがパワーバンドで、そこをキープすれば胸の空く走りが味わえる。

ところがそこに水を差すのが、コーナー侵入時にパドルを引いても、「ピー」と警告音が鳴るだけで、シフトダウンが拒まれてしまうこと。ブリッパー付なので、シフトダウンが決まった時は最高なのだが、いかんせん各ギア比が離れ気味の5ATということで、エンジン回転が相当下がってからでないと、3速→2速、2速→1速のシフトダウンが決まらない。100km/h巡航時のエンジン回転数は5速トップで2400回転ほどだから、決してハイギアードというわけではないのだが。

 

なお、Aラインの場合、そのパワーは「VTD-AWD」(不等&可変トルク配分電子制御AWD)と呼ばれるフルタイム4WDで4輪に分配されるのだが、細かいことを言えば、それは6MT用のDCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)方式AWDとは異なり、フロントにヘリカルLSDは備わらず、リアのLSDもトルセンタイプから、よりマイルドなビスカス式となる。さらに「DCCD」でセンターデフの差動制限をドライバーの好みに合わせて変える、みたいなマニアックなことも出来ない。そのため厳密に言えば、6MT車にような「4輪で路面を掻く」みたいな感覚は薄めだ。

ハンドリングは超クイック。全体に「軽い」感じ


今回のマイナーチェンジで全車に採用された前輪のアルミ鍛造製ロアアームとピロボールブッシュ(写真手前側)
(photo:富士重工業)

実は今回のマイナーチェンジでは、シャシー面にもかなり改良の手が入っている。従来からある5ドアでは車高が5mm下がったほか、Aラインを含む全車にアルミ鍛造製のフロントロアアームを採用。さらにそのロアアームのリヤ側にあるブッシュをピロボール化したり、リヤサスペンションのサブフレームに大型ブッシュを採用したりといった具合だ。そのせいかどうか、ステアリングを切れば、クルマはフロントヘビーの4WD車とは思えないほど超クイックに動く。

ただしそれは少々クイック過ぎでもあり、路面と速度域によっては、少々緊張感が生じる。また荒れた舗装では245/40R18のポテンザRE050Aがバタバタするほか、接地感も少なめ。少なくとも3年前に乗った(5ドアの)6MT車は、いかにもニュルブルクリンクやアウトバーンに合わせました、といった風に重厚だったが、「Aライン」は全体に何となく「軽い」感じだ。

 

「Aライン」の場合、タンレザー内装とセットオプションのBBS製鍛造ホイール。さらにブレンボ製ブレーキも選択可能

乗り心地が硬いか柔らかいか、と言えば、硬い方だが、乗り心地そのものはぜんぜん悪くない。足を無闇に固めたクルマにありがちな小刻みなピッチングもなく、ファミリカーとして十分に使えると思う。

なお、試乗車のブレーキは、標準の片押し2ポッドタイプだったが、この「Aライン」でも21万円の追加料金で、6MTに標準装備されるブレンボ製対向4ポッド(前)・対向2ポッド(後)にグレードアップできる。サーキットやワインディングで酷使するには後者が心強いところだろうが、一般的な状況であれば標準ブレーキでも効きは問題ないと感じた。なおこの標準ブレーキ、200km走った後でも、ブレーキダストがほとんど出ず、ホイールはきれいなままだった。ブレンボではこうはいかないだろう。

試乗燃費は7.4km/L


Cd値は不明だが、4ドアセダンの方が空気抵抗は5ドアより低いという。今回のマイナーチェンジでボディ底にアンダーカバーも追加された

今回は3日間にわたって約210kmを試乗。試乗燃費はいつもの一般道・高速道路の混ざった区間(約90km)で7.4km/Lだった。また他の移動区間で最も良かったのは、空いた一般道で記録した9.0km/L前後で、最も悪かったのはワインディングを飛ばした時の4.6km/Lと、かなり幅が出てしまった。感覚的には何も考えずに走って7km/L台、アクセル操作に気づかって8km/L台というところか。

なお10・15モード燃費はボディタイプに関係なく、6MTが10.4km/L、5ATのAラインが10.0km/L。いずれもハイオク指定で、タンク容量は60リッターと余裕がある。

ここがイイ

スタイリング、大人が乗れる走り、サイズ、価格

まずそのスタイリングだろう。やはり4ドアがインプレッサらしい、ということではなく、コンパクトな高性能セダンのデザインとして、とてもよく出来ている。ボディ自体のベースであるアネシスも悪くないが、やはり巨大なオーバーフェンダーや18インチタイヤを備えることで、古典的な高性能セダンのスタイリングとなっており、見事にカッコいい。ユーザーの琴線に触れるクルマになっている。

もう一点、重要なのは、フロントまわりの造型が変わったこと。グリル周辺のデザインがあまりうまくないスバルだが、角張った印象でたくましさと渋さが加わった新デザインは文句なし。

なおかつ、いい大人でも乗れる落ち着きがある。特にAラインはウイングもないから、いわゆる子供っぽさとは無縁。タン内装を含めて、完全に30代後半以降のためのクルマだ。若者を切り捨てたマーケティングは、大量販売を目論むクルマではできない。わずか月300台が目標だからこそ成り立つ潔さだ。Aラインの方は日常的な快適性を重視して、走りはそこそこ(と言っても、むろんWRX STIとしてはだが)、というコンセプト。いい大人には、このくらいの走りで十分。「 i 」モードでトロトロ走っていても、乗り心地が全く気にならないほど良いし、サイズ的にも取り回しやすい。ブランド面も含めて、輸入車のハイパフォーマンスセダンと十分にタメを張れる。で、「安い」。

ここがダメ

クイック過ぎるハンドリングなど

6MT車と基本構成が同じ足回りと5AT用の別エンジンや駆動系との組み合わせには、まだ詰める余地はありそう。ちょっとクイックすぎるハンドリングや、接地感の少なさといったあたり。また6速AT、あるいはDCTといった無いものねだりもしたくなってしまう。燃費ももう少し伸びて欲しいとか。それとやはりこれで「アイサイト」が付けば文句なしだった・・・・・・。

今回から正式な車名が「インプレッサ WRX STI」ではなく、「WRX STI」となったようだが、スバル車はどうも車名やサブネームの変更が多すぎるきらいがある。ユーザーも販売側も混乱するし、結局はブランドも育たないので、もうちょっと名前は大事にして欲しい。Aラインも加わるから長すぎるのを嫌ったのか。B4のパターンに持ち込もうとしているとは思うけれど、B4は今でも「レガシィ B4」だ。

総合評価

買ってもいいかも、と思った

いつだったかのWRX試乗では、思わずかっ飛ばしすぎてしまって、ヤバイめに遭いそうになったものだ。でも今回のWRXは「あれ?」という感じ。走りはおとなしいし、ルックスも派手すぎないし、乗り心地までいい。子どもっぽいリアウイングもない。インテリアもいい雰囲気。B4のボディが大きくなってしまって、ちょっと欲しいラインから外れていたが、このサイズならコンパクト感があって日常使いにも便利そうだし、これ買ってもいいかも、なんてそんなことを初めて思ったWRXが今回のAラインであった。

 

では、つまらないかと言われると、むろんそんなことはない。ステアリングにちょいと力を加えると、横っ跳びするように向きを変えるし、べったり路面に張り付いたような4WDの超安定感はなく、ターマックなのにダートにいるような感覚(あくまで感覚であって、実際はしっかり接地している)が楽しい。トルクがたっぷりあるから低速で走っても楽しいし、回せばオオッっと思わせてくれる。むやみやたらなパワー感はないから、エンジンをめいっぱい回して楽しむ感覚を、このハイパワー車で味わえるのだ。

シニアも楽しめる、心温まる高性能車


先代インプレッサ WRX STI WRC
(photo:富士重工業)

たぶん6MTに乗ると、そのスキのない完成度にこそ感動するかもしれない。でもAラインの場合は、なんとなくローテクっぽく、かつ未完成感があって、それが逆になんだか楽しいのだ。最近の、寸分の狂いもないハイテク超高性能車とは異なる、心温まる高性能車といった感がある(ハイテク車であることは間違いないのだが)。スバルは今後、エンジンも変わって、ハイテク化(ミッションだって変わっていくだろう)がもっと進むと思うけど、現時点のAラインなら、従来のフラット4と5速ATで味わいのある速さを楽しむことができる。大人のための、いやシニアも楽しめるWRX STIというところか。

皮肉なことに看板のラリーカーが4ドアじゃなくなったことが、かえって4ドア・AT車にこういった、ある意味ゆとりのスタンスを与えることになったのだろう。しかも正直に言って、現行インプレッサのデザインは4ドアの方がまとまっていると思う。申し訳ないが、普通にカッコいいのは4ドアの方、という意見に賛成の人は多いはずだ。4ドアセダンはリアに厚めのトランクが付いてウェッジシェイプになり、5ドアにあったロングノーズ感が消えて、前後のバランスが取れた。六連星だけが目立つシンプルなグリルもいい。

アイサイトの搭載はあってしかるべき

とまあ、俄然欲しくなってきたのに、それを萎えさせたのは、アイサイトが設定されてないこと。WRXのようなクルマに乗る人がアイサイトを欲するとは思えない、というのは正論だが、WRXのようなクルマにこそ、アイサイトが搭載されてほしいもの。それは素晴らしくエポックメイキングなことだと思う。そんな話題性を演出することができたら、スバル車はもっと売れると思うのだが、昔からの無骨で技術一筋といった社風からは難しいのか・・・・・・。無茶苦茶走るのに、必要に応じて自ら止まるクルマ、それこそがクルマというものに求められる理想の姿なのではないか。Aラインのような大人向けのコンセプトなら、搭載はあってしかるべきだと思う。これでアイサイトが載ってたら、今年の日本車イヤーカーに選んでもいいと思ったほどだ。


試乗車スペック
スバル インプレッサ WRX STI Aライン 4ドア
(2.5 水平対向4気筒ターボ・5AT・315万円)

●初年度登録:2010年7月●形式:CBA-GVF ●全長4580mm×全幅1795mm×全高1470mm ●ホイールベース:2625mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1480kg( -+- ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:EJ25 ● 2457cc・水平対向4気筒DOHC・4バルブ・シングルスクロールターボ・縦置 ●ボア×ストローク:99.5×79.0mm ●圧縮比:8.2 ● 300ps(221kW)/6200rpm、35.7kgm (350Nm)/2800-6000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ● 10・15モード燃費:10.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ダブルウィッシュボーン ●タイヤ:245/40R18( Bridgestone Potenza RE050A ) ●試乗車価格:346万9250円 ( 含むオプション:「プレミアムパッケージ」<本革シート+助手席パワーシート+BBS製鍛造アルミホイール> 26万2500円、ベースキット<ドアバイザー、フロアマット等> 5万6750円 )●ボディカラー:WRブルーマイカ ●試乗距離:210km ●試乗日:2010年11月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

 
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名古屋スバル自動車

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