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スバル XV 2.0i-L アイサイト新車試乗記(第679回)

Subaru XV 2.0i-L EyeSight

(2.0L 水平対向4気筒・CVT・246万7500円)

アイサイトを得た
アーバンSUVは、
アンゼン性能で勝負する!


  

2012年12月01日

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キャラクター&開発コンセプト

4代目インプレッサがベースのクロスオーバーSUV


新型スバル XV 2.0i-L EyeSight
(photo:富士重工業)

スバルの「XV」は、インプレッサがベースのクロスオーバーSUV。3代目インプレッサ(2007~2011年)がベースの初代XVは、2010年6月に登場。今回とりあげる2代目は、2011年末に発売された4代目インプレッサがベースで、2012年9月25日に発表、10月5日に発売された。

海外専用車のトライベッカを除けば、XVはスバルにとって、アウトバック、フォレスターに続く3番目のクロスオーバーSUV。車名「XV」の由来は、X(クロスオーバー)+V(ヴィークル)とストレートで、商品コンセプトは「アーバン・アドベンチャー」。あくまでも都市型クロスオーバーSUVという位置づけになる。

なお、富士重工業のプレスリリース等では「インプレッサ XV」と表記されているが、カタログや広告媒体等では単に「XV」と表記されるため、ここでは後者で統一する。

生産はこれまで通り群馬製作所(群馬県太田市)。販売目標はインプレッサの月間2200台に対して、1000台だが、発表後1ヶ月間の受注台数(10月28日まで)は、その約4倍の4277台となるなど出足は好調。

価格帯&グレード展開

アイサイト装着車は246万7500円


中間グレードの「2.0i-L」。ボディカラーは人気のサテンホワイト・パール
(photo:富士重工業)

全車2リッター自然吸気の水平対向4気筒エンジン、CVT、AWDの組み合わせで、装備・仕様によって、3グレードを設定。初期受注の一番人気はアイサイト(実質、10万5000円)を標準装備する「2.0i-L アイサイト」で、全体の82.3%を占める。オーディオ、ルーフレール(4万2000円)、サイド&カーテンエアバッグ(6万3000円)は全車オプション。

■2.0i        219万4500円
■2.0i-L       236万2500円
■2.0i-L EyeSight  246万7500円 ★今回の試乗車

ボディカラーは全9色と豊富。初期受注の一番人気はサテンホワイト・パール(26.7%)で、2番目が試乗車のタンジェリンオレンジ・パール(16.5%)、3番目がデザートカーキ(13.5%)。日本車では珍しく、個性的な色が上位に入っている。

パッケージング&スタイル

最低地上高をアップし、大径タイヤ&クラッディングを装着

インプレッサ スポーツをベースに、最低地上高を55mm増やして200mmとし、225/55R17の大径タイヤと専用アルミホイールを装着。さらに専用バンパーと黒い樹脂製「クラッディング」を装着した、というのが新型XVの成り立ち。中でもブラック仕上げのアルミホイールが妙にカッコいい。なお、新型インプレッサとXVは、2012年度のグッドデザイン賞を受賞している。

 

ボディサイズは、全長4450mm×全幅1780mm×全高1550mm。最低地上高が200mmもあるのに、機械式立体駐車場に入るのがポイント。ただしオプションのルーフレールを装着すると全高が1595mmになるので、アーバンライフを送る方は要注意。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最低地上高
(mm)
最小回転半径
(m)
MINI クーパーS
クロスオーバー ALL4
4120 1790 1550 2595 5.8
スバル インプレッサ スポーツ 4415 1740 1465 2645 145 5.3
スバル XV 4450 1780 1550 2640 200 5.3
BMW X1 4485 1800 1545 2760 195 5.3
スバル フォレスター(新型) 4595 1795 1695 2640 220 5.3
スバル レガシィ アウトバック 4790 1820 1605 2745 200 5.5
 

インテリア&ラゲッジスペース

質感、空間、装備、特に問題なし


試乗車のHDDナビは販売店オプションで、オーディオ用のステアリングスイッチが無いのが少し不便

インテリアは基本的に現行インプレッサと同じもの。新型フォレスターもそうだが、黒基調のソフトパッド樹脂にメタル調の加飾パネルを組み合わせたインパネは、デザイン的には特に変哲ないが、質感は従来スバル車と比べてグッと高まっている印象。

上級グレードでは、ダッシュボード中央に多機能情報カラーディスプレイのMFD(マルチ ファンクション ディスプレイ)を配置。ここには各種燃費情報の他、アイサイトによる各種警告、AWDシステムやVDCの作動画面、全車速追従機能付クルーズコントロールの設定画面などが表示される。

 

ステアリングのスポーク部にはアイサイトの操作スイッチが備わる。情報ディスプレイ操作ボタンはステアリング左下

室内空間は、後席を含めて全く不足なし。乗降性に関しては、最低地上高が高まった分、シート座面も高まったため、降りる時には少し地面が遠くなった印象だが、これは無意識に一般的なハッチバック車のような感覚で降りようとするせいかも。サイドシル自体は低いので、ほとんど人は自然に乗り降りできると思う。

 

パーキングブレーキは手動式。シフトレバー後方にS(スポーツ)ボタンが備わる

マルチファンクションディスプレイは全車標準
 

後席の座り心地はよく、足元は広々。アームレストにドリンクホルダーを配置

「2.0i-L」グレードは運転席のみ8ウエイの電動。チルト/テレスコも可
 

荷室は380リッターの大容量。背もたれを畳んだ時の奥行きは約1.7メートルで、大人でも斜めになれば横になれる

スペアタイヤはなく、床下にはパンク修理キット、ジャッキ等の工具、小物収納スペース
 

基本性能&ドライブフィール

動力性能は「必要十分」というレベル


エンジンは現行インプレッサと同じ新世代FB20エンジン

試乗したのは売れ筋のアイサイト装着グレード「2.0i-L EyeSight」(246万7500円)。水平対向4気筒エンジンの「ザザザザザザ……」というさざ波のような音は、特に官能的ではないが、やはり一般的な直4とは明らかに異なるもの。スバリストなら、まずここで安心感を覚えるはず。

変速機は全車「リニアトロニック」と呼ばれるチェーン式の(つまり金属ベルト式ではない)CVT。以前は今ひとつリニアじゃない感もあった同CVTだが、XVでは心なしか前よりも回転に応じてクルマが前に出る印象。街乗りレベルでは2000回転前後を使い、実直に加速してくれる。車重1400kgに対して、最高出力150ps、最大トルク20.0kgmというスペックは平凡だが、とりあえず必要十分というレベル。

 

アイドリングストップ作動中。停止時間や節約したガソリン量などが表示される

信号待ちで気になったのは、アイドリングストップ(全車標準)がなかなか作動しないこと。おかしいなぁと思っていたら、30分ほど走った後にアイドリングストップするようになった。他社の最新アイドリングストップには、走り始めてすぐに作動するものもあるが、XVのものは充電状態や各種温度(外気温、エアコン設定温度、水温など)に敏感なのかも。長めの赤信号では、途中でエンジンが掛かってしまうことも何度かあった。

ただ、坂道発進時にはヒルスタートアシスト機能がしっかり働き、後ろにまったく落ちないのは自慢できる点。トルコンAT車しか乗ったことがない女性でも、安心して乗れるアイドリングストップだと言える。

乗り心地は硬め。よく曲がるが、減速はやや苦手

高まった重心に対応するため、足回りは硬め。スムーズな路面なら特に気にならないが、凹凸や轍だらけの路面だと、けっこう首が揺すられる。乗り心地に配慮して、スプリングレートはあまり上げず、ブッシュ、スタビライザー、ダンパー減衰力の強化などで対応したようだが、半年ほど前に乗ったインプレッサ(2.0i-S アイサイト)よりハードなのは確か。

 

とはいえ、ワインディングに行くと、これくらい硬くてもいいか、という気もしてくる。重心が高いわりに姿勢変化は小さく、ステアリングを切った時の反応遅れも最小限。切れば素直に曲がるという感じ。少し特異に感じられたのは、タイトコーナーでちょっとアンダー気味と思った瞬間、信地旋回?するようにフロントがインに入り、グイッと曲がること。これはタイヤがエコタイヤ(ヨコハマのブルーアース)のせいもあるかも。

また、最初のコーナーでオオッと思ったのは、全車標準の4輪ディスクブレーキが思ったほど効かないこと。擬似マニュアルモードを選択し、パドル操作でシフトダウンをしても、エンブレが弱いせいもあるが、何となく制動力の立ち上がりが、意図的に控えめにされている印象。これ以上、飛ばすなというメッセージ?

いろいろと頼りになるアイサイト

アイサイトは相変わらず素晴らしい。いろいろある機能の中で一番よく作動するのは、車線逸脱警告。最初は母親の小言のようで煩わしく思えるが、そのうち慣れる。

感謝の念が湧いてくるのは、信号待ちや渋滞中に、よそ見をしている時、先行車が発進したことを「ピポッ」と警告音で教えてくれること。さすがに信号が青になったことまでは教えてくれないが、今回の短い試乗の間にも、この機能には何度かお世話になった。

追突しそうな時(ノーブレーキで先行車に接近した場合)にも警報が鳴るが、これは意図的にブレーキを遅らせない限り、普通は作動しない。しかしこれで万一の追突が防げると思えば、こんな心強いものはない。また、止まりきれるかどうかは条件次第だが、最終的には衝突直前に自動ブレーキがガツンと効くはず。

 

また、アイサイトを使った全車速追従機能付クルーズコントロールも、相変わらず感動的。100km/h+αから完全停止まで車速制御してくれる。なお、インプレッサ/XV/フォレスターでは、電動パーキングブレーキが採用されていないため、停止後しばらくすると自動ブレーキが解除され、クリープで動き出してしまう。そしてここでフットブレーキを掛けるとクルーズコントロールがいったん解除される。一方、電動パーキングブレーキ付のレガシィは停止し続けるため、アクセルをチョンと踏めば再び追従走行を再開する。とはいえ、機能としてはインプレッサ系のもので十分だろう。

100km/h巡航時のエンジン回転数は、負荷によって微妙に上下するが、1800回転くらい。高速巡航時の直進安定性は問題ないが、ややドッシリ感には欠けるところ。また、突出して目立つノイズがあるわけではないが、高速走行時にサーーーという風切り音のようなものが高まるため、特に静かという印象は受けなかった。

試乗燃費は9.7~12.2km/L


エコ運転で12.2km/Lを出した時の燃費グラフ

今回はトータルで約200kmを試乗。参考までに試乗燃費は、いつものように一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が9.7km/L。一般道で、無駄な加速を控えて走った区間(約60km)が12.2km/L。撮影のための移動やワインディング走行を含めたトータル(約200km)は9.5km/Lだった。

JC08モード燃費は15.8km/L(全グレード共通)。実用燃費も含めて、排気量2リッターの4WD車としては十分に良い数値では。指定燃料はレギュラーで、タンク容量は60リッター。

ここがイイ

アイサイト、乗りやすさ、価格、内装質感、デザイン

言うまでもなくアイサイト。さらに、日本の都市部でも使いやすいサイズ。コンビニとかの段差やクルマ止めで気を使わなくていい最低地上高。そして価格も、アイサイト込みとすれば抜群にお買い得感あり。売れているのも納得で、ひょっとすると日本ではフォレスター(月販目標はXVの2倍となる2000台だが)より売れるかも。いずれにしてもアイサイトは必須だと思う。

インテリアの質感が高くなっている。これは今年の初めに乗ったインプレッサでも言ったことだが、スバルの伝統的な弱点だった内装は、ここに来てずいぶん良くなっている。発表会で見たフォレスターも良かった。またインパネの造形も変に凝ってなくて不満がない。フロントグリルまわりもかっこ良くはないが、少なくとも、もはや変ではない。オプションのメッシュグリルの方がシンプルでいいかも。

ここがダメ

乗り心地は若干硬め

インプレッサより乗り心地が若干悪いこと。都市部や高速道路のスムーズな路面ならいいが、田舎の「酷道」では、上体がけっこう揺すられる。クラスは違うが、アウトバックの乗り心地はもっと鷹揚。

すごく些細なことを言うと、トリップメーターA/Bの切り替え(平均燃費計A/Bの切り替えでもある)が、メーター部分の小さな棒を押す、昔ながらのタイプだが、これはそろそろ廃止して欲しい。ステアリングのリム内に腕を入れて操作するため、走行中は運転操作の妨げになるし、そもそも停止時でも操作しにくい。他メーカー(VWや日産など)のように運転中に操作できるタイプにして欲しいところ。

総合評価

この本物感はスバルゆえ

この手のクルマがカッコイイという感覚は、世界共通のようだが、それはなぜだろう。オフロード車っぽくて、逞しく見えるからだろうか。クルマという機械は本来的に、そういう男性的なワイルドさを本質とするものかもしれない。007の50作目が公開されているが、それを見ても基本的には強く逞しいものは商品になる。SUVは全般的に女性に人気があるが、それもまた逞しさを感じるからなのだろう。

ということで、けして諸手を上げてカッコイイとまで言えなかったインプレッサがXVで一変。派手でカッコいい都会派SUVとなった(試乗車のようなカラーの場合は特に)。WRXがない現行インプレッサにも、これで華が出た。コンパクトカーとしてベーシックな立ち位置にあるインプレッサだが、XVではセレクトショップに並ぶようなおしゃれな商品となり、男女問わず好まれるようになったわけだ。この手法、他の国産メーカーももっと真似すべきだろう。本格的なSUVの開発は大変だが、これならある程度、お手軽にできるのだし。

とはいえ、このお手軽さが本物として通用するのは、スバルがAWDをブランドアイデンティティとしてきたからだ。これがスバルだと、一本筋を通してきたからだ。この本物感こそが、このクルマのイメージを強化している。

 

一方、シャシーがいいのはハッチバックの試乗で分かっていたが、CVTがいまいちなのはハッチバックの時にも書いたとおりで、こればかりはCVTである以上、致し方ないところか。今年初めに書いた文章を引用しておきたい。「クルマ好きとしては確かにリニアトロニックにはもう少しリニア感が欲しい。しかし普段乗りにおける燃費やイージードライブを考えれば、これで十分なのかもしれない」。

しかしながら気になったのは、燃費のためだと思うが、「転がりすぎる」こと。擬似マニュアルモードで低いギアを選んでも、思ったように高回転がキープできず、エンブレがあまり効かない。エンジンの特性もあると思うが、このあたりが苦手なのはちょっと惜しいと思った。

これぞ「世界で一番安全なクルマ」

さて最新ニュースによれば、11月28日に2012年度自動車アセスメント評価(前期分)で、カローラとインプレッサが新・安全性能総合評価で「ファイブスター賞」を獲得した。国土交通省とNASVA(自動車事故対策機構)が発表したもので、各種衝突安全性能や歩行者保護性能が最高レベルにあるもの。昨年はレガシィ、エルグランド、レクサスCT200hがとっており、スバルのクラッシュセーフティは国内最高レベルということになる。

■YouTube>自動車アセスメント:スバルインプレッサ:オフセット前面衝突試験

 

最高のクラッシュセーフティボディに、世界最高峰の運転支援システムであるアイサイトが搭載されるとどうなるか。言わずもがな、これぞ「世界で一番安全なクルマ」だろう。でありながら、けして高価なクルマではない。これほど、お金を出す、そして出費に見合う価値のあるクルマはかつてないのでは。

たまたまテレビ東京の番組「WBS」を見ていたら、スバルの北米戦略を取材していた。それによれば、北米でスバルは、AWDモデルとしてスペシャルなイメージがあり、熱狂的な「スバリスト」が多いそうだ。また販売でも、あまりCMを打たずに売上の一部をチャリティに寄付していることを地味にCMで伝え、しかもそのために値引き販売をしないというイメージ戦略が功を奏しているという。スペシャルなクルマを作る小さなメーカーという好印象がビジネスの好回転を生んでいるのだそうだ。

 

XVは、オンロードでの走りはまあこんなものだが、かっこ良くて安全で、燃費もそこそこ、価格もそこそこと、商品力抜群のクルマだ。そして現実に日本でも北米でも、よく売れている。おかげでスバルの地元群馬県は好況だという。日本のモノ作りの、最もよいカタチがここに現れているのではないか。WBSもそこまで突っ込んで報道してもらいたかった。日本カー・オブ・ザ・イヤーではスバルの場合、BRZが対象になってしまったが(ちなみに獲得したのはマツダ CX-5)、モーターデイズとしてはXVこそ日本車のイヤーカーとしたい。

 


試乗車スペック
スバル XV 2.0i-L アイサイト
(2.0L 水平対向4気筒・CVT・246万7500円)

●初年度登録:2012年10月●形式:DBA-GP7 ●全長4450mm×全幅1780mm×全高1595mm ※ルーフレール装着車、標準仕様は全高1550mm ●ホイールベース:2640mm ●最小回転半径:5.3m ●車重(車検証記載値):1400kg(860+540) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:FB20 ●排気量・エンジン種類:1995cc・水平対向4気筒DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:84.0×90.0mm ●圧縮比:10.5 ●最高出力:110kW(150ps)/6200rpm ●最大トルク:196Nm (20.0kgm)/4200rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/60L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:15.8km/L

●駆動方式:電子制御4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイル/後 ダブル ウィッシュボーン+コイル ●タイヤ:225/55R17(Yokohama BluEarth E70) ●試乗車価格(概算):281万8935円  ※オプション:ルーフレール 4万2000円、パナソニックHDDストラーダ 23万0160円、ベースキット(ナンバープレートホルダー、スプラッシュボード、フロアカーペット、カーゴマット、ドアバイザー) 7万9275円 ●ボディカラー:タンジェリンオレンジ・パール ●試乗距離:約200km ●試乗日:2012年11月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

 
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