Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > BMW Z4 2.5i

BMW Z4 2.5i新車試乗記(第282回)

BMW Z4 2.5i

(2.5リッター・5AT・450万円)

 

2003年08月29日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

1クラス上で戦う

1989年に発売されたマツダ(ユーノス)・ロードスターの影響は大きく、欧州の各メーカーは直ちに小型ロードスターの開発に乗り出した。BMWが1995年に送り出したZ3は、BMW得意のFRレイアウトを採用した小型オープンスポーツだったが、コストを下げるためシャシーは当時すでに完全に旧型だったE30型・3シリーズ用を復活・流用したもの。生産はアメリカで行われた。

そのZ3の後継となるZ4は、2002年9月のパリサロンでデビュー。3から4へ数字が増えたことが示すように、Z4はZ3よりもやや上級クラスに移行。シャシーは先代3シリーズのE36を飛び越えて、現行のE46ベースを採用している。

Z3にあった4気筒エンジンの用意はなく、直列6気筒モデルのみ。日本仕様はひとまず5速ATもしくはクラッチレス6速シーケンシャルMTの「SMG」仕様のみだ。

トランクスペースの確保と軽量化のため「ランフラットタイヤ」を標準装備。電子制御系デバイスと連動した車速感応式の電動パワステも採用。一見、古典的なスポーツカーだが、最近のBMWらしくハイテクを盛り込んでいる。

生産はZ3やX5と同じアメリカ・サウスカロライナ州のスパータンバーグ(Spartanburg)工場。北米では昨年からすでに発売済み。日本では2003年1月からオーダーが始まり、実際のデリバリーは6月下旬からだ。

価格帯&グレード展開

450~560万円。ライバルはボクスターかTT

グレードは「2.5i」(450万円)と「3.0i」(550万円)の2種類。トランスミションは両車とも5速ATだが、3.0iには「SMG」ことクラッチレスの6速シーケンシャルMT(560万円)が遅れて追加されている。

電動ソフトトップは2.5iでオプション(13万円)、3.0iには標準。ダッシュボード上部にビルトインするDVDナビやレザーパッケージなどオプションは豊富。ほとんど自分だけの仕様のZ4がオーダーできる。

ライバルはポルシェのボクスター2.7(5速ATで610万円)、もしくはアウディTTロードスター(6速ATで409万円)などのドイツ勢だ。

パッケージング&スタイル

走る現代彫刻

ベースは現行3シリーズだが、ホイールベースは230mmも短かい2495mm。全長4091×全幅1781×全高1299mmと、長さと幅でZ3のプラス30~40mmに留まり、むやみに大型化はされていない。ホンダS2000と数字的にほぼ同じだが、Z4の方が抑揚は激しく、全体に引き締まって見える。

キャブフォワード・デザイン(居住空間を前進させてボンネットを短くする)を採用する新型スポーツカーが多い中、Z4は絵に書いたようなロングノーズ&ショートデッキ。このあたりはBMWの高級ロードスター、507(1956年発売)から始まるシルエットだ。

しかしデザイン自体はかなりアバンギャルドだ。強いインパクトのフロント、左から見ると剣で切り裂いたような「Z」の文字が浮き出るサイド、短く切り詰められたダックテール状のリアなど、まるで走る現代彫刻。風景に埋没しないことは確かだ。

タイト感よりも広々感

室内は、左右に伸びるダッシュボードとヘアライン加工のアルミパネル(2.5iはオプション)が印象的。スポーツカーによくある囲まれ感ではなく、広々感を出したところが現代風。操作系もシンプルで分かりやすい。ただしドアにあるパワーウインドウスイッチはドアハンドルが邪魔をするので、少々慣れが必要だ。

 

シートのサイドサポート、特に座面側のそれはあまり出っ張っておらず、ヒップポジションが低い割に乗り降りは楽。トランスミッションがキャビン側に侵入しやすいエンジン縦置きレイアウトだが、足元も広い。基本的に視界もいいが、ノーズの長さはそれなりに意識される。

 

なお全車標準のランフラットタイヤはパンクに気付きにくいため、センターコンソールにタイヤ空気圧基準値のプリセット用ボタンがある。指定数値より空気圧が低下した場合は、ランプとブザーで警告する仕組み。

ランフラットタイヤで容量を確保

ランフラットタイヤの採用により、トランクは外から想像するよりもずっと広い。容量は260リッターと、ボクスターのトランク容量(前130+後130の計260リッター)と同じで、おそらくBMWもその数字を意識したはずだ。幌を降ろすと、若干容量は減るが(20リッター減)、この手の小型スポーツカーではかなり大きめと言える。

基本性能&ドライブフィール

最速のトップ開閉スピード

試乗したのは2.5i(450万円)。それに電動トップやレザーパッケージ、18インチアルミホイールが付いた仕様。

まずは幌をオープン。スイッチを押し続けるだけのフルオート(手動によるロック解除は不要)だが、その開閉スピードは「えっ、もう?」っていうくらい速い。試しに測ると、開けるのに9秒、閉めるのに10秒弱だ。ホンダ・S2000は6秒を謳うが、あちらはロック解除が手動。実質的にはZ4が現時点で最速と言えるだろう。

しかもZ4では、ギアをDに入れたままブレーキを踏んでいるだけで操作できるので、数字的には9秒でも、感覚的には「一瞬」と言えるレベル。オープンカーにとって「開けるか開けないか」は、開閉の容易さに密接に関係するが、これだけ簡単で速ければサンルーフと同じくらいの気安さでオープンに出来そうだ。

直接比べていないので断言できないが、風の巻き込みはマツダのロードスターやZ3より少ないと感じた。巻き込みが非常に少ないウインド・ディフレクター付きのボクスターと比べると分からないが、サイドウインドウを下げた状態でも「ビュービュー」ということはなく、適度に風の流れがコントロールされている印象。巻き込みを排除し過ぎると開放感がなくなってしまうので、このあたりはバランスと好みの問題だ。

豪快なパワーなら3.0iだが…

右ハンドル・ATということで、運転に特別な配慮は必要ない。2.5リッター・直列6気筒DOHCエンジン(192ps、25.0kgm)は、他のBMWに搭載されるものと基本的に同じで、4気筒や8気筒で採用されているバルブトロニックではない。率直に言って、豪快な加速感はこの2.5リッターにはなく、ボクスターの2.7のような切れのある走りを求めるなら、231psの3.0iが良さそうだ。

しかし、過剰なパワーは必要ないということであれば、2.5iも悪くない。一般道をスポーティに走るだけなら十分なパワーだし、落ち着いた走りが楽しめる。ちなみに欧州仕様の2.5i(5AT)の最高速は227km/h。一方、3.0i(5AT)は245km/hだ。

「SPORT」ボタンで切り替え

通常モードの5速ATは、高めのギアを積極的に選ぶ性格。なので燃費重視や人を乗せてゆったり走る時は良いが、テキパキ走りたい時はシフトレバー横の「SPORT」ボタンを押すのがいい。新開発の「DDC」(ドライビング・ダイナミック・コントロール)が、電動パワステの応答性やシフトプログラム、アクセル開度を変更し、混んだ街中でもここぞという時のダッシュがそこそこ効くようになる。試乗中はほぼ、このスポーツモードに入れっぱなしだった。

もちろんシフトレバーを前後させるマニュアルモードもある。BMWの流儀に従い、シフトレバーを引くとアップ、奧に押すとダウンという具合に、多くの市販車で一般的なパターンとは逆方向となる。

シャープの三乗

操縦性は抜群にシャープだ。ボディの剛性感も「オープンカーとして」という但し書きなしに、恐ろしく高い。ここまでガッシリしたオープンボディはS2000を除くとちょっと思いつかないくらいだ。さらに、試乗車は18インチのアルミホイール(前輪:8J、後輪:8.5J)に、225/40・255/35R18という大径・極太・超扁平タイヤを装着しており、これがシャープ感に輪をかけている。

さらにさらに、「DDC」連動の電動パワステのレスポンスもかなり鋭い。パッツンパッツンに引っ張った薄いタイヤのため、キャッツアイを踏むのは厳禁だが、それを除けば分かりやすいシャープさがあって楽しい。ただし、もう少し穏やかでもいいのではないか、とも言える。

ちなみにBMWの電動パワステは国産小型車が燃費向上のために採用するのと違い、目的はレスポンスとアシスト量の制御にあるようだ。高速走行では重く、ワインディングでは鋭く、低速&停車時にはアシストを強めて結果的に小回りが効くようにする。ただしZ4の電動パワステは、新型5シリーズの「アクティブ・フロント・ステアリング」やS2000の「VGS」(車速応動可変ギアレシオステアリング)のようにステアリングギア比を変更するものではない。

ランフラットでも乗り心地は良好

18インチのワイドタイヤ、しかも乗り心地に不利なランフラットタイヤのバタツキを指摘する意見もあるが、今回の試乗では乗り心地はそう悪くないと感じた。もちろん標準の225/50R16(前後共通。これもランフラット)なら、もう少し穏やかな感じになるだろうが、あえてスポーツカーを選ぶ人なら、18インチでも許容範囲だと思う。

このブリヂストン製ランフラットは、サイドウォールを強化したことでパンクしても最高80km/h、最長150kmまで走行可能という。長所は、スペアタイヤ分だけ軽くなるほか(20kgくらいか)、トランクスペースが増えること。また高速道路や夜間の道路上、治安に不安のある地域でタイヤ交換しなくていいのも大きなメリットとなる。逆にデメリットは、タイヤ重量(つまりバネ下重量)が増えることや、リプレイス時に銘柄の選択が限られることだろう。

ここがイイ

楽しくて、快適で、カッコ良く、気軽にオープンにできるパーソナルなお遊びカーであること。2.5の試乗だったこともあって、スポーツモードがアンダーパワー感を補い、低速でもおいしい回転域をキープしてくれ、そこらのコーナーを走り回ったり、常識的な速度域で高速道路を加速したり減速したりしながら流すのは、とにかく楽しい。冷や汗をかきながら大パワー車をねじ伏せたり、機械任せのハイテクスポーツに乗せて頂いているよりも実に健康的。「いつもより余分に乗ってしまいました」。

しかも、ここまでオープンに簡単に出来て、しかもクローズド時の快適性が高いとなると(当然リアはガラス窓)、もう文句なし。開閉も大げさじゃないので、路上でやってもあまり恥ずかしくない。動作が速いので、注目を集める間もなく開閉できるのが肝だ。ちょっとそこまで、という時や天候が不安定な時も気軽にオープンに出来るのは、日本のような天候・交通環境でこそ望まれるもの。「ユーノス」で開けなかった人も、これなら開ける気になる。

ここがダメ

正直、高級感が足りないというか、マツダロードスタークラスというか、かなりカジュアルな感じで、ライバルであるボクスターの最新モデルのようなムードには負ける。標準装備のオーディオの音もいまいち。

これまでのBMW流の「端正なカッコ良さ」の無いところが、日本で受け入れられるかどうか。カタチは編集部でも好き嫌いが真っ二つに分かれた。

総合評価

(ながめて)うーん、変なカタチ→(乗って)あれトルク無いな→(しばらく乗って)乗り心地もいいぞ→マニュアルシフトの+-も他のクルマの逆!?→何だかな~→このボタン(SPORT)は何だろう→ポチッ(押した音)→おお、これは!!→トルクバンドの3000回転あたりから上をうまくキープするなぁ→こりゃおもしろいじゃん→ハンドリングもクイックだ→パワーをかけても見事にニュートラルなステア特性。ガンガン行けます→無言(アドレナリン放出中)。

(気を取り直して)ブレーキ踏んでるだけで屋根が開いちゃうのは新鮮!→シートポジションが前の方でも解放感あるな→80km/h出すとさすがに髪が舞うなあ→100km/h巡航2200回転が、スポーツボタンで3000回転に→このクルマもオープンにすれば非日常へトリップできる!→(緑の中に置いてみると)このサイズでこの存在感はやっぱりすごい→かなりいい感じのカタチに思えてきた→でも女の子にはウケませんでした(涙)。


と、実況風?に書いてみたが、まさにこんな感じだった。ウケなかった女の子はごく少数(実は一人)なので、デザインにケチをつけるつもりはないが、アウディTTとは異なって、男の子のクルマということは間違いなさそう。とはいえ、ボクスターやS2000ほどの硬派な走り屋向けでもない。ハード的にもソフト的にも実用性の高いBMWブランドが好きな人、BMWの直6が好きな人の選択肢といえそうだ。

試乗車スペック
BMW Z4 2.5i
(2.5L・5AT・450万円)

●形式:GH-BT25●全長4091mm×全幅1781mm×全高1299mm●ホイールベース:2495mm●車重(車検証記載値):1380kg(F:710+R:670)●エンジン型式:25 6S●2494cc・DOHC・4バルブ・直列6気筒・縦置●192ps(141kW)/6000rpm、25.0kgm (245Nm)/3500rpm●使用燃料:プレミアムガソリン●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:後輪駆動●タイヤ:225/50R16(試乗車=F:225/40、R:255/35R18・Bridgestone Potenza RE050A RFT)●価格:450万円(試乗車:ー万円 オプション:レザーパッケージ&18インチアルミホイール&タイヤ<アルミ製トリム含む> 25万円、電動ソフトトップ 13万円、メタリック塗装 7万円など) ●車両協力:Nagoya-Minami BMW

公式サイトhttp://www.bmw.co.jp/Product/Automobiles/z4/

 
 
 
 
 

BMW 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧