{ data:[ { title:"アウディ A4 1.8 TFSI" ,link:"http://www.motordays.com/newcar/articles/a4_audi_18_tfsi_imp_20080510/" ,body:"キャラクター&開発コンセプト\n\nアウディコンパクトクラスの第8世代\n\n\n\n4月4日に名古屋で行われた新型A4特別内覧会にて。左はアウディ ジャパンのドミニク・ベッシュ社長\n\n\n\n2008年3月18日に日本で発売された新型A4は、従来通りエンジン縦置のFFないしフルタイム4WD「クワトロ」となるアウディの高級コンパクトセダン。新型の特徴はエンジンの搭載位置はそのままに、前輪車軸の位置を154mm前進させたこと。これにより重量配分が改善されたほか、スタイリング面でもフロントオーバーハングが短くなるといった変化が生じている。\n\n\n \n\n\n\n2代目アウディ80(1978~86年)と新型A4\n (photo:アウディ ジャパン)\n\n\n\nなお、新型A4は初代アウディ80(1972年)から数えれば8代目、初代A4(1994年)から数えると4代目にあたる。アウディにとっては過去7世代の合計で累計850万台を販売したという最重要モデルだ。\n\n\n価格帯&グレード展開\n\n1.8が419万円、3.2が645万円\n\n\nとりあえず導入当初の日本向けラインナップは以下の2グレード。いずれも右ハンドルのみで、ナビゲーションシステムは標準装備だ。\n\n\n\n■「A4 1.8TFSI」 419万円 ※今週の試乗車\n1.8L 直4・直噴ターボ(160ps)・CVT(無段変速機)・FF\n\n\n\n■「A4 3.2FSI quattro」 (645万円)\n3.2L V6・直噴NA(265ps)・6AT・フルタイム4WD \n\n\nLEDの「まゆ」は1.8だとオプション\n\n\nオプション関係は、エントリーグレードの「1.8TFSI」の場合、デザイン的な特徴となるLEDポジションランプとバイキセノンヘッドライトのセット(10万円)、リアビューカメラ付きのバックセンサー「APS」(22万円、3.2FSI quattroは14万円)、本革シートや17インチホイールを含む「SEパッケージ」(40万円)、スポーツシートや18インチホイール、パドルシフト、スポーツサスペンション等を含む「スポーツパッケージ」(35万円)など。フルオプションなら総額500万円余だ。\n\n\n\n装備が充実している「3.2FSIクワトロ」では、受注オプションとしてダイナミックステアリングと連続可変ダンパーシステムがセットの「アウディ ドライブ セレクト」(42万円)、いわゆるレーダークルーズである「アダプティブクルーズコントロール」(22万円)など。この上級グレードでもパドルシフトを付けるには「スポーツパッケージ」(25万円)が必要だ。\n\n\n\nなお、今回試乗しなかった3.2FSIのクワトロ(フルタイム4WD)は、従来通りトルク感応式センターデフを用いたもので(商標の関係で今回は「トルセン」とは呼ばれない)、通常時は前40:後60で配分し、状況に応じて65:35から15:85まで変化するもの。 \n\n\nパッケージング&スタイル\n\nフロントオーバーハングは短かく、ホイールベースは長く\n\n\nボディサイズはミドルクラス並みの全長4705mm×全幅1825mm×全高1440mmと、いわばクラウンあたりと同程度。アウディらしいグラスエリアの小ぶりなスタイルで、Cd.値は0.27と優秀だ。\n\n\n\n新型の特徴は先に触れたように前軸の位置が154mm前進したこと。ホイールベースは先代(2645mm)より165mm長い2810mmとなったが、要するにこれも前輪の移動によるものだ。\n\n\n \n\n\n\n(photo:アウディ ジャパン)\n\n\n\nこうした大改修の目的は重量配分の改善のほかスタイリングで、その点では直列5気筒・縦置フロントミッドシップという特異なレイアウトを採用した、かつてのホンダ・インスパイア(1989年)を思い起こさせる。機構はそれぞれ独自だが、動力がいったん後方のトランスミッションに伝わった後、再び前の車軸(デフ部分)に戻るという点に関しては同じだ。ただしホンダがエンジンを車軸のほぼ真上に置き、横に寝かせたのに対して(直列ゆえに可能だった)、アウディのエンジンはオーバーハング上にある。\n\n\nA6かと見まごうインテリア\n\n\n試乗した「1.8TFSI」は、レザー内装やウッドパネルを含む「SEパッケージ」装着車。内装色はブラック、ブラウン、ベージュとあり、試乗車は明るいベージュ。化粧パネルはアルミ、ウォールナットなど5種類あるが、試乗車はべージュ内装とセットの「ファイン・グレイン・アッシュ・アーモンド・ベージュ」と長ったらしい名前の本木パネルだった。実際には無難にブラックの内装が多いと思われる。\n\n\n\nいずれにしても内外装の品質に定評のあるアウディ。従来のA4でも質感は高かったが、新型はA6風のインパネデザインのせいもあって、もはやどのクラスかさえ分からない。つまり極端な話、クルマに多少詳しい人でも、500万円くらいか800万円くらいかも見当がつかないのではないか、と思われる。もちろんアウディ各車で差別化は行われているのだろうが、少なくとも「あからさま」ではない。\n\n\nDVDでも最新式。「停まると映る」地デジに驚く\n\n\nA6同様、センター最上段に置かれたディスプレイは、トヨタ車のように蛇角に応じて予想線を表示するバックモニター連動で、しかもバックソナーによる警告音付きだ。車両設定やナビゲーションシステムは例のMMI(マルチメディアインターフェイス)で操作する。\n\n\n\nなおナビシステムはHDDではなくDVD方式だが、最新型でもあり動作スピードも十分に速い。アウディ ジャパン広報の話でも「CPUは最新スペックで、ルート検索の速度もHDDに遜色はない」とのことで、実際にもそれを裏付ける印象だった。音楽のダウンロードに関しては、iPodなどのシリアルオーディオで対応すればいい、という考え方だ。\n\n\n\n今回試乗して気付いたのは、標準装備の地デジ対応テレビの映像が「D」レンジのまま、停止するだけで画面に映ること。サイドブレーキを引く必要もない。これは市販車では極めて異例の設定で、普通はニュートラルかパーキングに入れないと映像が映らないようになっている(駐車ブレーキと車速センサーに連動する場合も多い)。A4の場合は、車速センサーのみに連動しているようだ。\n\n\n\nなお、試乗車のオーディオは標準の180W・10スピーカーシステムだったが、これでもかなり音はいいと思った。オプションのバング&オルフセン(505W・14スピーカー、15万円)は「未試聴」なので分からないが、オーディオ好きは聞き比べしてみるのをお勧めする。\n\n\n後席の居住性はそこそこ\n\n\nライバルとなる同クラスのFR車に比べれば、余裕のありそうなリアシートだが、気になる点が2つ。1つ目は背もたれの角度が立ち気味なこと。安全面では正しいのかもしれないが、このクラスのセダンでここまできっちりした姿勢を強いられるのは違和感がある。まるでA3かVWゴルフのような姿勢だ。ヘッドレストも固く、上下位置を調整しても頭が落ち着かなかった。\n\n\n\nもう1つ気になったのが、立派なセンターアームレストを備えながら後席用ドリンクホルダーが無いこと。欧州車でも最近ではさすがに珍しく、これはもう、付け忘れたとしか思えない。あるいは「後席を重視するなら、上級のA6をお求めください」ということか。エアバッグは計8個で、後席はサイド&カーテンの計4つがカバーする。\n\n\nトランクは相変わらず大容量\n\n\nトランク容量は480L。このクラスのFR車よりずっと大容量で、ヒンジをダブルリンクにするといった工夫もあえてなし。6:4分割のトランクスルーが備わり、使い勝手も良好。左の収納スペースにはナビゲーション本体等が収まり、床下にはテンパースペアとバッテリーが備わる。\n\n\n基本性能&ドライブフィール\n\n新開発の直噴1.8リッター+CVTの組み合わせ\n\n\n試乗したのは「1.8TFSI」。新開発の1.8リッター直4・直噴ターボエンジン(160ps/4500-6200rpm、25.5kgm/1500-4500rpm )は、先代の旧世代1.8リッターターボ(5バルブ)とは別物で、既存の2リッター直噴ターボから発展してきた小排気量版。直噴ターボで低・中回転のフラットトルクとレスポンスを得つつ、燃費を稼ぐユニットだ。\n\n\n\n変速機は先代A4のエントリーモデル同様、アウディ言うところの「マルチトロニック」、すなわちCVT(無段変速機)となる。6速ATや6速DSGの影に隠れて目立たないこのマルチトロニックだが、燃費を稼ぐにはおなじみの手段。マニュアルモードはいちおう8速となっている。これはもちろん擬似的なもので、段数に大きな意味は無い。\n\n\n\n先代より10%軽量というボディシェルによって得た車重は1510kgで、車重の32%がスチール、31.7%がアルミ(前後サスペンションはほぼアルミ製)およびマグネシウムという。ただしモノコック自体はアルミ混成の2代目TTなどと違い、オールスチール製だ。\n\n\n街中では国産ミドルクラスセダンのように\n\n\n発進時に時々見せるCVTのやや唐突なつながりは気になるが、直噴ターボは1500回転前後で十分なトルクを発揮し、いわゆるターボラグもなく、1.5トンの車体を1.2トンくらいのようにカルーく走らせる。街中ではほとんど2000回転以下で用を足し、一定速度では1200回転くらいまで下げて粛々と走行。100km/h巡航時は1800回転といった感じの抵抗感ない走りは、まるで国産のCVT車のようだ。\n\n\n\n試乗車の足もとは「SEパッケージ」の17インチホイールとBSのポテンザRE050Aの組み合わせで、夜間の静かな路上で乗ると若干硬質なロードノイズが響くが、昼間ならほとんど気にならない。乗り心地もよく、ドイツ車にありがちな小刻みな上下動とは無縁だ。総じて街中ではまったく不満がなく、国産ミドルクラスセダンのように気楽に乗れる。\n\n\n「Sモード」全開ではパワーを持て余す\n\n\n\n(photo:アウディ ジャパン)\n\n\n\n多くの一般ユーザーには関係ない領域だが、郊外によくある舗装の荒れたところを「Sモード」のフルパワーで入ってゆくと、意外にもフロントの足まわりがバタツく。そのターボパワー(あくまでSモード)も少々持て余し気味で、トルクステアもけっこう出る。バネ下を軽くするため、アルミ合金を惜しみなく使った高価で凝った新設計サスペンションだが、直進安定性や凹凸のいなし方、フルブレーキング時の安定性は、例えば今年1月にとり上げたサーブ9-3ほど熟成されていないという印象を受けた。おそらくはノンターボかクワトロであれば丸く収まりそうだが、セットオプションの17インチタイヤ(サスペンションはノーマルのまま)が足を引っ張ったのかもしれない。\n\n\n\n今回は一般道から高速道路まで約190kmを走行。あくまで参考ながら車載燃費計ではトータルで約6.9km/Lとなった。交通の流れにのるだけなら一般道で9km/L程度、高速なら10km/L台を維持できるが、運転の仕方や交通環境によって上下が大きいという印象。10・15モード燃費は12.2km/Lで、もちろんハイオク仕様だ。\n\n\nここがイイ\n\n内外装の品質感、必要十分なパワー、色々な意味で見やすい地デジ\n\n\nシングルフレームグリルがいくぶん小さくなったように見え、控えめな印象となったこと。もちろん主張はしっかりしており、全体的なスタイリングも幅広く、長くなったことでどっしり感が生まれて好ましい。インテリアでは、細めの握りと独特の滑らかな感触の革ステアリング、縁取りのシルバーアクセントが効いた木目パネルなど、触れたり目にとまったりする部分が上質であること。小振りながらシートは電動で調整範囲が広く、小柄な女性でもベストポジションがとれるだろう。\n\n\n\n160psくらいのパワーはエンジンがしっかり回るという実感も得やすく、シフトレバーを前後に動かして8速で遊ぶと、めいっぱいのパワーでFFらしい挙動を十二分に楽しめる。非日常的な速さや限界を求めなければ、まさにこれ以上のパワーは不要といえるだろう\n\n\n\n停車すれば自動的にテレビやDVDの映像が見えるところは、国産車も検討していいのではないか。とてもいい仕掛けに思えた。また当然ながらフルセグによるテレビ映像は高画質であり、さらにこの場合、番組によっては視覚障害者向けに映像内容を音声でガイド(説明)してくれるため、走行中はそれを聞いていれば画像が見えなくてもストレスが溜まらない。地デジのメリットを感じた瞬間だ。\n\n\nここがダメ\n\n\nテレビやDVD映像モードにしておくと、走り出してもナビ画面に戻らず、どうでもいいオーディオのメニュー画面になってしまうこと。これは不便。早期改善を願いたい。\n\n\n\n1.8TFSIのキーにはインテリジェント機能がなく、エンジン始動の際、ステアリング左のシリンダーに差し、さらにそのキー自体を押してスターターを回すことになるが、これがやりにくい。3.2 FSIクワトロ(こちらはインテリジェントキー)のように、スタートボタンを別に設けるべきだろう。\n\n\n\nフロントの足まわりはおそらくもっと熟成されるはず。またメーターパネルのシルバー塗装が運転席側ドアミラーに反射し、少しうっとおしく感じる。なおアイドリングでブレーキを踏んで止まると微振動があったは、このクラスとしては残念(個体の問題であればいいが)。\n\n\n\nシフトレバー横の電子式パーキングブレーキはなぜか自動解除されず、そのスイッチ操作も重くてやりにくい。またヒルホルダー機能(坂道で自動的にブレーキをかけてずり下がりを防ぐ)も、他メーカーの同種のものと同様、おせっかいに感じることがあった。\n\n\n\nドライバー左足もとのセンターコンソールの張り出しが気になる。何かのユニットが収まっているらしいが、「トランスミッションの張り出しか?」と思えるほど左足の置き場がなくなっている。すぐに慣れるレベルだが、従来のA4には無かったものだ。\n\n\n総合評価\n\nプレミオに足りないものが確かにある\n\n\nシングルフレームの顔つきもすっかり板につき、もはや誰が見ても「プレミアムブランド」たるアウディのアイデンティティは、新型A4の登場をもってすべてのアウディ車で確立されたかに見える。そこでA4を前に「この新しくて大きなクルマは何?」と謎かけしてみても、多くの人はもう答が分からないのではないか。さすがにA8くらいになると誰の目にも1000万円クラスと分かるが、このクルマが420万円ほどの「比較的安い」クルマで、しかも排気量が2リッターもないとは、たぶん多くの人には分からないはず。乗ってみても室内は十分上質だし、しなやかな乗り心地から力強い走りまで、試乗でちょっと気になった「一般の多くのユーザーには関係ない領域」に入らない限り、まあ申し分のない高級車で通るだろう。\n\n\n\n先日、マイナーチェンジしたトヨタのプレミオ(2.0のバルブマチック仕様)に試乗したのだが、これも「一般の多くのユーザーには関係ない領域」を求めない限り、同じCVTでもあるA4と甲乙つけがたい快適なクルマだった。乗っている限りにおいての幸福感は大差ない。ただし、内外装の高級感、ブランド力、イメージ、スタイルのカッコ良さなどには、所有するにおいてみごとに差があり、価格にしてA4の半値近いプレミオは、その点でまさに「それなり」。つまりA4はプレミオの倍近いお金を出してブランド、所有する喜び、何より見栄とかはったりの類を買うということになる。まあ昨今の商品はなんでもそうで、機能よりそうした付加価値こそが肝心だ。プレミオに足りないものはA4には確かにあるわけである。そしてそれこそがA4の価値だろう。\n\n\n月2万円がブランド代\n\n\n家とかクルマといった不動産、あるいは半不動産的なものは毎月値落ちするわけで、その金額差こそがブランド力(というか、見栄とかはったり)と規定できる。420万円ほどのA4は7年で償却するとなると月額5万円。フルオプション250万円くらいのプレミオなら3万円ほどだ。つまり月2万円ほどがブランド代。これを高いとするか安いとするかが個人の価値判断。乗るだけならどちらでも十分幸せなカーライフが送れるはずだから。\n\n\n\nメルセデス・ベンツのCクラスはサイズアップを抑えたが、A4は特にスタイリング重視で大きくなった。クルマは幅広く、背を低くすればカッコよくなる。最近どうも欧州のセダン系は、昔の日本にあった「ハードトップ」路線を踏襲しているように思えてならない。ハードトップみたいといえば、メルセデスのCLSや年内に登場するVWパサートCCあたりがその代表だが、セダン系も一様にそんな感じだ。A4もまさにその路線。全幅1825mmはプレミオより130mmもワイドなわけで、プレミオだってそこまで広げればデザイン的に楽にカッコよくできるだろう。月2万円のプレミアム代金の1万円分くらいは、この幅が担っているのかも。\n\n\nお買い得感のある1.8TFSIがイイ\n\n\n試乗するると相当に良くなった感の強いA4は、販売価格の設定もやはりキモだろう。月2万円のブランド代がのっかった419万円という価格は、お金に余裕が少しあって、ちょっと見栄を張りたい人にはかなり魅力的な価格だ。このあたりは量販を前提とするドイツ車ならでは。平均的給与所得者でも買えそうだし、中古になればさらに手に入れやすい。反面、3.2クワトロはやはり相当割高感があるから、A4を買うなら1.8TFSIがいい。これで十分見栄が張れる。\n\n\n\n以前のアウディはしきりに走りを強調していたが、A4ではそう主張されず、実際、走りよりも乗り心地の良さが気に入った。そしてこの価格。「一般の多くのユーザーには関係ない領域」を走ることのなどないと思われる女性受けもしそうだから、アンチメルセデス、アンチBMWの知的で中流な会社員家庭の、一家に一台のセダンとして申し分ない。見た目も実際も大きいこともあり、このクラスを求める人にとって「お買い得」という感は強い。ただ、そうなるとセダンよりもさらに知的でファミリーな印象が強まるワゴンが欲しくなってしまうのも確か。そういう人は夏以降といわれるワゴンの発売を心待ちしていよう。\n" },{ title:"BMW 135i クーペ" ,link:"http://www.motordays.com/newcar/articles/135i_bmw_imp_20080425/" ,body:"キャラクター&開発コンセプト\n\n1シリーズに加わった2ドアクーペ版\n\n\n\n2007年の東京モーターショーに展示された軽量コンセプトモデル「BMW 1 Seiries tii」\n\n\n\n欧州では2007年6月、日本では2008年2月26日に発売された「1シリーズ・クーペ」は、BMW・1シリーズ(2004年9月に日本発売)の2ドアクーペ版。従来の1シリーズは3ドア(日本未導入)と5ドアのハッチバックだったが、クーペはリアウインドウを固定とした完全な2ドアクーペ。遅れて3月26日に発売された4シーターオープン「1シリーズ・カブリオレ」(2リッター直4・6ATから導入)のクーペ版とも言える。\n\n\n\n今回導入された「135i」は、「335i」譲りの3リッター直6・直噴ツインターボ(306ps、40.8kgm)を搭載したもの。駆動方式はもちろんFRとなる。\n\n\nスモールBMWでターボと言えば・・・・・・\n\n\n\nBMW 2002 turbo(1973年)\n(photo:ビー・エム・ダブリュー株式会社)\n\n\n\nBMWの小型2ドア車でターボといえば、初の量産ターボ車となった「2002ターボ」(1973~74年)だろう。2002ti の発展型にKKK製ターボチャージャーを搭載し170psとしたもので、当時としては驚異的な最高速211km/hを誇った。加えて物々しいエアロパーツやオーバーフェンダー、後の「M」につながる青、紺、赤のストライプ、真っ赤に塗られたメーターパネル等の意匠も強烈で、日本車にも大きな影響を与えた。\n\n\n価格帯&グレード展開\n\nクーペはひとまず135iのみ。MTとATの両方あり\n\n\n今回日本に導入されたクーペは「135i」のみで、6ATと6MTの両方を用意する。いずれも右ハンドルのみで、価格は以下の通り。\n\n\n\n■ 135i クーペ (3L直6ターボ・6AT)  549万円\n■ 135i クーペ (3L直6ターボ・6MT)  538万円 ※今週の試乗車\n\n\n\nなお、欧州には3リッターNAの「125i」(218ps)のほか、新開発の可変ツイン・ターボ付き2リッター直4コモンレール式ディーゼルの「123dクーペ」(204ps)、そして同じく2リッター直4ディーゼルの「120dクーペ」(177ps)などもある。\n\n\nカブリオレはNAの2リッター直4を導入\n\n\n\nBMW 120i Cabriolet\n(photo:ビー・エム・ダブリュー株式会社)\n\n\n\n搭載エンジンは異なるが、ほぼ同時期に「1シリーズ・カブリオレ」も発売された。こちらはこのクラスで事実上唯一の4シーター・FRオープンとなるもので、流行のメタルトップではなくソフトトップ(幌)を採用する。もちろんフル電動で開閉し(所要時間は約22秒とのこと)、さらに約40km/hまでなら走行中でも操作可能という。パワートレインは「バルブトロニック」の2リッター直4(156ps、20.4kgm)と6ATとなる。いわば「ミニ3シリーズ・カブリオレ」だ。\n\n\n\n■ 120i カブリオレ(2L直4・6AT)  434万円\n\n\nパッケージング&スタイル\n\n外寸はハッチバックとほぼ同じ\n\n\nボディサイズ(5ドアハッチバックの130i比)は、全長4370(+130)×全幅1750(同)×全高1410(-5)mm、ホイールベースは2660mm(同)。全長はクーペの方がちょっと長いが、ほぼ同寸だ。プラットフォームは構造的に3シリーズ用シャシーのWB短縮・サスペンション改変版と言える1シリーズ系そのもの。Cd.値はハッチバック(0.29)より悪化して0.33となっている。\n\n\n前後重量配分(ほぼ)50:50を今回も死守\n\n\n前後重量配分は車検証数値で52:48(790kg:740kg)で、実際にはこれに、少なくともドライバー1名分の体重が加わるが(燃料の重さは車重に含まれる)、いずれにしてもBMWが理想とする50:50に近い。長大な直列6気筒エンジンと2基のターボチャージャーを積む非トランスアクスルのFR車で、ここまで帳尻が合うのは基本設計が良いからだろう。\n\n\nインパネまわりは従来の1シリーズと共通\n\n\nダッシュボード周辺のデザインも従来の1シリーズとほぼ同じ。135iクーペはさすがに500万円台だけに、電動昇降式のHDDナビ、iDriveコントローラー、電動レザーシートが標準で備わる。ドアはサッシュレスで、開閉時に「カシャッ」と少し下がる機能も備わる。これはBMWがE36型3シリーズクーペの頃から採用していたものだ。\n\n\n\n日本仕様の135iに標準装備される「Mスポーツ・パッケージ」の極太レザー・ステアリングは、「アクティブステアリング」によって低速時(駐車時など)にロック・トゥ・ロックが2回転以下の超クイックレシオになる。つまり直進状態から1回転する前に一番切れた状態になるわけだ。高速域では逆にスローになる。\n\n\nフルバケット要らず?のスポーツシート\n\n\n同じく「Mスポーツ・パッケージ」の本革スポーツシート(シートヒーター付)は、乗降の妨げになるサイサポート(thigh=腿、手動調整可)こそ控えめだが、電動調整式のサイドサポートが後ろから腰を両手でワッシと支え、強いホールド性を発揮する。またBMWらしく座面の長さ、腰の後ろの電動ランバー(オプション)も調整可能。 いわゆるリクライニング機能付きのセミバケットシートとしては最上の部類だろう。\n\n\n\n一方、右ハンドルで、運転席左側にトランスミッションが侵入してくる非トランス・アクスルの小型FR車ゆえに、ペダル類はやや右にオフセットしている。特に左足はフットレストとクラッチペダルの間がタイトで、革靴だとやや踏み替えがしにくい。とはいえ、どうしても気になるほどではない。\n\n\n2+2というよりフル4シーター\n\n\nホイールベースが1シリーズと同じだけに、後席も十分使える。身長170センチくらいだとルーフに頭が触れるが、着座姿勢はクーペの後席としてはまっとうな方だ。クッションの厚み、横方向の空間もまずまず。フットルームも写真では狭そうに見えるが、実際には十分あり、つま先を前席シート下に入れることもできる。乗降時には前席シートを電動で前に動かすことも出来るから、2ドアとしては乗り降りもしやすい。乗車定員の通り、フル4シーターと言っていいだろう。\n\n\nハッチバック譲りの積載性\n\n\n荷室容量は370Lと、ハッチバックを上回る広さ。さらにシングルフォールディングでトランクスルー出来るのが大きな売りだ。なにしろベースは1シリーズハッチバックだから、スルー部分の開口部は広く、段差も小さい。クーペ化したことで剛性確保もしやすかったはずだ。\n\n\n \n\n\nランフラット標準なのでスペアタイヤはなく、床下には1シリーズ・ハッチバック同様にバッテリーが右側に「埋まって」いる。マフラー・サイレンサーは左側のもう一段下に配置され、後方に2本出しされる。\n\n\n基本性能&ドライブフィール\n\nエンジンは335iクーペと一緒\n\n\n今回試乗したのは6MT。エンジンは先にも触れた通り、335iの3リッター直6・直噴ツインターボの「N54B30A」(306ps、40.8kgm)そのもの。車重は1530kgで、例えば日産フェアレディZやポルシェ911(997型)と大差なく、335iクーペより約100kg軽い。パワーウエイトレシオはジャスト5kg/psだが、それより特徴的なのは1300回転から5000回転までの全域で、40.8kgmの超フラット極太トルクを生み出すところだろう。\n\n\nターボだと分からないほどリニア\n\n\nその特性はクラッチをつないだ瞬間から明白で、大排気量車のようなリニアなパワー感で走り出す。ターボラグは事実上皆無で、予備知識なしだとターボだと気付かないだろう。0-100km/h加速は5.3秒をうたうが、暴力的な感じは皆無。これは過給圧とスロットルの電子制御で、最大トルクの上限をきっちり「400Nm(40.8kgm)」にならしていることが大きい。出力特性が回転数に応じて変化してしまうNAユニットでは、こうはいかない。\n\n\n大人しいサウンド、ランフラットの弱点を克服した乗り心地\n\n\n全開加速時にクォーーーンと響くクセのない音はV6でもV8でもなく、直6特有のもの。ただし音量や刺激はかなり控えめで、自然吸気・直6の旧M3(E36やE46系)の弾けるようなレスポンスとサウンド、高回転でのドラマチックな盛り上がりを期待すると、完全に拍子抜けする。\n\n\n\n標準装備の「Mスポーツ・サスペンション」のスプリングレートはいかにも高そうで、ツギハギだらけの道ではボディが律儀に揺すられるが、上下動や振動は残らないので気にはならない。フロントは215/40R18(幅と扁平率の関係に注目)、対してリアは極端に太い245/35R18だが、乗り心地に関してはランフラットタイヤの弱点をほぼ克服したといっていいだろう。要するに快適性の高さが、この135iクーペの意外な一面だ。\n\n\n思うがままに加減速し、思った以上に曲がる\n\n\n\n(photo:ビー・エム・ダブリュー株式会社)\n\n\n\nいつものワインディングも走ってみたが、ちょっとやそっとで限界はまったく見えず。感覚的にはドライバーが思うように加速し、思うように減速し、そして「思った以上に」よく曲がる。コーナーリングに関しては例のアクティブステアリングが相変わらず曲者(くせもの)で、慣れるまでは切り過ぎないように注意が必要だ。サーキットではいざ知らず、少なくともフルパワーをかけきれない一般のワインディングでは、コーナー侵入時の回頭性の高さが目立った。いずれにしても、135iの操縦性を存分に味わうには、1周あたり1分未満で回れるようなミニサーキットに行きたいところ。出力特性がフラットでシャシー性能が高いので、例えばかつてのMクーペ(Z3ベースのクーペにM3のエンジンを載せたもの)などより、安心して振り回せるかもしれない。\n\n\n\nセンターコンソールの「DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)」ボタンをオンにすれば、多少のホイールスピンを許し、後輪を流すことも出来る。このモードは、低ミュー路や不整路で、TC(トラクションコントロール)の介入が激しい時や、サーキットでタイムを狙う場合に有効だ。\n\n\n最高速は250km/hで制限。10・15モード燃費は6MTで9.4km/L\n\n\n高速道路では交通量が多く、満足に走れなかったが、高速域ではステアリングの敏感さが気になり、またFR独特の特性もあって安心感は少なかった。最高速はリミッターで制限される250km/hとなる(欧州仕様と共通)。\n\n\n\n今回は120kmを試乗。最後に車載燃費計は5.6km/Lを指していたが、たびたびの全開加速と別件の撮影を含む数値なので、実際にはもっといいはず。特に直噴ターボユニットが得意とする高速巡航燃費はいいと思われる。10・15モード燃費は9.4km/Lだ。\n\n\nここがイイ\n\n自由自在の運動性能、6MTの設定や装備など\n\n\nかつてのランエボやインプレッサのように、5ナンバー並みのサイズ感で(全幅は1750mmあるが)、自由自在の運動性能を味わえる。正直、強烈な印象はないが、これだけ小型のFR車で40.8kgmのターボパワーをしっかり受け止めている点はすごい。\n\n\n\nBMWらしい高い質感と6MTの存在、さらに右ハンドルを用意していること。反転して高い位置に出てくるナビ画面は、1シリーズ系ダッシュデザインのいいところだ。またオプションだが、サーモグラフみたいな「パーク・ディスタンス・コントロール」画面も分かりやすかった。車両前後にある障害物への距離を、色分布表示とアラームで知らせてくれる。\n\n\nここがダメ\n\n\n未だ使いやすいとはいえないi Drive(特にナビの操作)、小柄な人にとっては遠いシートベルトアンカー、空調をかけても足下にこもる熱、ちょっと太すぎのステアリング、ペダルレイアウトなど、今ひとつしっくりこないコクピット。右コーナーではピラーがかなり視界を妨げる。\n\n\n\nせっかくのクーペなのだが、スタイリングは中途半端な感じ。惚れ惚れするような、一般的なカッコ良さこそ、この手のクルマにとって大きな価値になると思うのだが、残念ながらそれはない。北米の女性向けスタイリングといわれているが、その通りだと思う。\n\n\n総合評価\n\n予想とは違った\n\n\n小さめのクーペで、300ps超えで、FRで、とくれば、これはもう乗ってすぐ面白い! となるはず。ところが実際に走り出してみると、パワー感は思いのほかジェントルで、乗り心地もきわめて良く、意外や普通のクルマという印象だ。これがまさに今のクルマ作りの作法なのだろう。それゆえに、右ハンドル化によるクラッチペダルの踏みにくさ(足の引っかかり)とか、サポートの強いシートの窮屈さとか、本来なら「走りのクルマ」にとって良さとなるべき部分が妙に気になってしまう。こんな尖った性能のクルマの割には、街中を快適に走ることができるのだが、といってタウンカーとしてはなんだか乗りにくいのだ。\n\n\n\nところが、高速道路からワインディングという非日常的な空間(これが日常という人もいるが)に持ち出すと、確かに生き生きとしてくる。存分にストレートシックスのパワー感を味わい、どんなコーナーも軽々とクリアし、大パワーながら危なげない走りでどこまでも楽しめる。挙動はまさに今や貴重な、軽量FR車そのものだ。\n\n\n\nとはいえ、さすがに超高速域では直進性が厳しくなるし、素晴らしくよく曲がるこの回頭性とあり余るパワーを存分に発揮できる道など、そうはない。ワインディングで軽く汗をかくなら、ここまでのパワーはいらないし、ここまで曲がらなくてもいい。どんなコーナーも軽々と回ってしまい、かえって面白みがないのだ。その意味では、相当なウデを持つドライバーが相応な場所でタイムを狙ってこそ、意義のあるクルマといえるのではないか。\n\n\nキャラクターと性能との乖離(かいり)\n\n\n元々この1シリーズのクーペはカブリオレも含めて北米で、洒落た女性の足として売られるもの。しかし女性にはハッチバックが売れる日本のような市場でとなると、BMWとしてはこれを「走りの」クルマとして男性向けに仕立てる方を選んだのだろう。\n\n\n\nしかし昨今のこと、暴れん坊にはできない。全域でトルクを出して大パワーのピーキーさを押さえ、様々なスタビリティ・コントロールで安全性を確保し、街中でも乗りやすさを出して、それでもFRらしさをきちんと残す、となるのは当然。その意味では1.5トンの車体を1.2トンくらいに感じさせる、ものすごくよくできたFR車だが、パワーがありながら制御されすぎ、限界も高すぎ、乗り心地も良すぎ。その意味で、クルマ好きにとってスパルタンな印象の強い「2002ターボの再来」といわれても今ひとつピンとは来ない (もちろんBMWはそうは言っていないが)。\n\n\n\nつまりはクルマのキャラクターと走りの性能がアンバランスなのだ。あるいは「そこが面白い」といっておおよそ550万円を出せる人向けのニッチなクルマといえる。フルタイム4WD+DSGのアウディTT、ミッドシップ+水平対向6気筒のケイマンといった同価格帯のニッチな車群の中にまたひとつ、新たな個性が投入されたことは大いに歓迎したい。性能から考えると結構割安な価格だと思うし、日本のメーカーではとても作れない類のクルマゆえ、クルマ好きとして諸手はあげないまでも片手はあげて歓迎したいところだ。\n" },{ title:"キャデラック CTS 3.6" ,link:"http://www.motordays.com/newcar/articles/cts_36_cadillac_imp_20080419/" ,body:"キャラクター&開発コンセプト\n\n基本を踏襲しつつ劇的に進化した2代目\n\n\n\n2007年の東京モーターショーにて\n\n\n\n米国では2007年に発売、日本では同年10月22日に発表、2008年1月に発売された2代目CTS(2008年モデル)は、初代(2002年米国発売、2003年日本導入)をベースに、「パースート(Pursuit、追求)」と題してシャシー性能の向上、3.6リッターエンジンの直噴化、ATの全車6速化(従来は5速AT)、内外装デザインの一新を図ったモデルだ。\n\n\n\n従来通り生産はミシガン州のランシング・グランドリバー工場(Lansing Grand River Assembly)で行われている。同拠点は2002年から稼動するキャデラック専用の最新鋭工場で、CTSと同じ「シグマ」プラットフォームの「STS」および「SRX」も生産している。\n\n\n価格帯&グレード展開\n\n日本向けは「3.6」と「2.8」\n\n\n今回日本に導入されたのは、先代・後期型の3.6リッターV6を直噴化した「3.6」および先代・後期型の2.8リッターV6を継承する「2.8」の2グレード。「2.8」は日本など米国以外の海外市場向け専用となる。\n\n\n\n■ CTS 3.6 (311ps・6AT)  620万円 ※今週の試乗車\n■ CTS 2.8 (214ps・6AT)  495万円\n\n\n\nいずれのグレードでも快適装備に差はなく、新開発のHDDナビ(Bose製オーディオシステムを含む)、ベンチレーション機能付・電動レザーシートなどを標準装備する。オプションは大型電動サンルーフ(20万円高)くらいだ。\n\n\n\n今のところ左ハンドルのみだが、今夏以降に英国など右ハンドル圏でも発売予定のため、遅かれ早かれ日本にも右ハンドルの導入があると予想される。なお、日本仕様は6ATのみだが、米国仕様は6MTが標準、6ATがオプションとなる。\n\n\n「CTS-V」も導入されそう\n\n\n初代CTS同様、2代目CTSの高性能バージョンたる「CTS-V」(2009年モデル)も2008年後半には米国で発売予定だ。初代CTS-V(2004~2007年)は前期型が5.7リッターV8・OHV(LS6 、400hp)、後期型が6リッターV8・OHV(LS2、400hp)といずれもコルベット譲りのエンジンを搭載し、変速機は6MTのみだったが、2代目CTS-Vは段違いに強力な6.2リッター・V8スーパーチャージャー(LSA、推定発表値 558ps)を積む予定。変速機は6MTないし新型6AT(パドルシフト付)という。初代CTS-Vの販売は北米に限定されていたが、新型は輸出も積極的に行う模様。日本への導入や発売時期は未発表だ。\n\n\nパッケージング&スタイル\n\nパッケージングは先代を踏襲するも、スタイルは激変\n\n\nボディサイズ(先代比)は全長4870(+20)×全幅1850(+55)×全高1470(+10)mm。ホイールベースは2880mmと先代のままだが、フェンダーがバンッと膨らみ、トレッドも「2インチ(約5センチ)」拡がって、全幅がぐっとワイドになった。おかげで見た目は格段にスポーティに変身。質感も非常に高くなり、もはやどのライバル車と比べても見劣りしない。\n\n\n\nなお、日本が誇る高級車、新型クラウン(2008年2月発売)との比較では、全長は同値、全幅は+55mm、全高は同値、ホイールベースは+30mmと、まるで兄弟車のように似ている。違うのはクラウンが国内市場を重視して全幅を1.8メートル未満に収めている点だけだ。共に「V6エンジンのFR」という点でも、両者のパッケージングはかなり近いと考えていいだろう。\n\n\n\n\nCadillac Sixteen (2003年)\n(photo:GM・アジア・パシフィック・ジャパン)\n\n\n\nちなみにフロントフェンダー上部のサイドエアベントは、放熱効果がどれほどかは不明だが、いちおうダミーではなく穴が空いている。全体のデザインはV型16気筒エンジン搭載のコンセプトカー「キャデラック・シックスティーン(Sixteen)」から受け継いだと言われるが、確かにこうして見るとそのテイストは2代目CTSによく反映されている。\n\n\nレクサスに迫る内装クオリティ\n\n\n2代目CTSの本気度が分かるのは、インテリアを覗いた時だろう。初代CTSの内装品質は米国でもさんざんで、2003年当時の当モーターデイズ試乗記でも「安物のパソコンみたい」とあるが、新型のインテリアはレクサス並みというのが言いすぎなら、少なくともクラウンあたりに遜色ない水準まで「カイゼン」されている。先代から受け継いだ「サペリウッド」(もちろん本物の木)も美しく、手作業で「カット・アンド・ソー」(裁断と縫製)したというダッシュボードやドアトリム表皮の質感も悪くない。ドアのインナーハンドルが白色LEDでライトアップされるところなど、まさにレクサスみたいだ。\n\n\n\n装備もたいへん充実している。シートヒーターとベンチレーション機能付の電動レザーシートも全車標準装備。ステアリングのチルト/テレスコも電動だし、AFS(光軸可変ヘッドライト)機能付のHIDも標準装備する。\n\n\n\nイグニッションオンと同時に目を引くのが、電動で上昇し、オープニングでキャデラックのエンブレムをあしらった3D動画を表示する8インチ液晶モニター。アルパインと共同開発の40GB・HDDナビゲーションは、主にタッチパネルと音声で操作するもので、多少慣れが必要だ。\n\n\nインテリジェントキーで、エンジン始動も可能\n\n\n薄型の新型インテリジェントキーである「EZ-Keyシステム」も新たに採用されている。従来通り接近感知式のドアロック/アンロック機能を備えるほか、車外からエンジンをかけられるリモコンエンジンスターター機能も付いている。後者は日本でもかつて後付けで流行ったものだが、インテリジェントキーと一体化して標準装備とした例は珍しい。乗り込む前に、空調を動かして適温に出来るのがメリットで、マイマス数十度の厳寒地から灼熱の砂漠地域まで、気候風土の過酷な地域ではありがたい装備だろう。\n\n\nボーズ製サラウンドシステムを標準装備\n\n\nBose社製の5.1チャンネルサラウンドオーディオも売りの一つ。300Wアンプと10スピーカーを備えたもので、iPodにも完全に対応しているほか、USB端子(充電用)を備えている。面白いのはハードディスクにラジオを60分間「バッファ録音」(タイムシフト機能)できることで、放送中の番組を停止したり、後で巻き戻して番組を聞くことが可能という。いずれにしても、得意とするのはやはり最新映画DVDのようなサラウンド対応ソフトの再生で、文字通り映画館にいるような立体感のある音響が味わえる。ただし映像は少なくともシフトレバーを「P」位置に入れないと見ることが出来ない(TVも含む)。同乗者なら、走行中でも見れるといいのだが……。\n\n\nクラウンレベルの後席。気になるのは背もたれ角度\n\n\nリアシートの広さや高級感は、クラウンの上級グレード(レザー仕様)あたりを想像してもらえば遠からず。当然ながらセンタートンネルの出っ張りがあり、実質2人掛けなのは言うまでもない。唯一気になったのは背もたれがやや立ち気味で、角度調整も出来ないこと。ルーズに「社長座り」するには適してない。\n\n\n\nエアバッグは計6個で、前席フロント×2、前席サイド×2、ヘッドカーテンサイド×2を装備する。\n\n\nトランクを見れば、ますます本気度が分かる\n\n\nトランク容量の正確な数値は手元にないが、見たところは現行クラウン(524L)と大差なく、形状もよく似ている。さらにCTSでは、後席の背もたれを倒してトランクスルーも可能な点がアメ車らしいところ(クラウンは出来ない)。開口部は広く、ヒンジもダブルリンク式にして荷室への侵入を防ぐなど、やるべことは全てやってある。このあたりの作りは、下手な「実用セダン」より実用的だ。\n\n\n\n床下には、テンパータイヤおよびテンパー専用の軽量アルミホイールを装備。さらにバッテリーはトランク右壁に配置するなど、BMW並みに前後重量配分には気を使っている。\n\n\n基本性能&ドライブフィール\n\nレギュラー仕様の直噴3.6リッター\n\n\n\n銀色に輝くのはもちろんストラットタワーバー\n\n\n\n試乗した「3.6」(311ps、38.1kgm)のエンジンは、先代・後期型の3.6リッターV6を直噴化したGMの最新鋭V6ユニット。先日試乗したクラウン・3.5アスリートの直噴・ポート噴射併用の3.5リッターV6(315ps、38.4kgm)にパワーで匹敵しながら、2.8リッター共々レギュラーガソリン仕様なのが驚きだ(最初の給油では、うっかりハイオクを入れてしまった)。3.5アスリートはもちろんハイオク仕様。ちなみに両者のエンジンはGMなら「VVT」、トヨタなら「VVT-i」と呼ぶ吸・排気の連続可変バルブタイミング機構を共に備えており、偶然だろうがボア(シリンダー内径)も同じ94.0mmとなっている。\n\n\n街中ではクラウンのようにそつなく走る\n\n\n\n(photo:GM・アジア・パシフィック・ジャパン)\n\n\n\nアイドリング中のエンジン音は、低音を強調してV8っぽくサウンドチューニングされたもの。車外では直噴ユニットに特有で、先代ゼロクラウンにもあった「チチチチチ」という音が聞こえるが、車内は十分に静かだ。\n\n\n\n街中を走る限りは、穏やかな運転感覚に終始する。CTSに初搭載の6AT(ハイドラマチック 6L50型)もスムーズだ。車重は3.5アスリート(最上級のGパッケージ)の1670kgに対して1810kgと140kgほど重く、そのせいかどうか、3.5アスリートほどのパワー感はすぐには伝わってこない。とはいえ、そのスムーズな走りや乗り心地は、いわゆる最新の(スポーティな)クラウンに近い洗練されたもの。もちろんCTSは左ハンドルであり、「輸入車」らしさも濃厚なのだが。とりあえずそんな感じで、完成度の高さにひとしきり感心するのが街中での印象だ。\n\n\n「ニュルで開発」が納得できる走り\n\n\n\n(photo:GM・アジア・パシフィック・ジャパン)\n\n\n\n一方、各方面で絶賛されているダイナミックな性能は、郊外のワインディングロードや高速道路へ行って初めて分かるもの。まず驚いたのが舗装の荒れたワインディングロードを突っ走った時の様子で、ガシッとした剛性感を保ったまま、サイドウォールが分厚めのミシュラン・パイロット・スポーツ(ポルシェの認証銘柄でもある)で路面を蹴り、タタタンと軽快に走る。3.6のみに装備された「パフォーマンスサスペンション」やトルク感応式LSDも効いていそうだ。ドイツ製セダン(BMWやアウディ)ほどのシャープさはない代わりに、乗り心地はマイルド。国産FRスポーツセダンよりも重厚感がある。先代でも使われた「ニュルブルクリンクで開発した」というフレーズが今回は確かに納得できる。\n\n\n真価は高速域で分かる\n\n\n高速道路で印象的なのは高回転域でのパワー感だ。基本的には低・中回転域だけで十分に速いのだが、3速あたりで回してゆくと、アクセルを少し戻しそうになるほどグググとパワーが盛り上がってくる。空力バランスがいいせいか重量バランスのせいか、高速域でもFR特有のリフト感はなく、3.5アスリートよりも(電子制御の部分を差し引いた)メカニカルなシャシー性能では、頼りがいがあった。ドアなどは3重にシールされているそうで、静粛性も高い。風切り音もロードノイズも、少なくとも前席では一切気にならなかった。\n\n\n\n今回は高速道路を半分ほど含んで190kmを走行。車載燃費計によれば、いつもの試乗ルート(約100km)で6.2km/L、さらに一般道を30kmほど走って(計150km)約5.8km/L、高速道路(約30km)では7.5~8.0km/Lとなり、あくまで参考ながらトータルではやはり6.2km/Lとなった。ちなみに、3.5アスリートの試乗では870km走って約8.2km/Lだったが、これは高速主体の数値であり、当然ながら190km/hでリミッターが作動している。しかし10・15モード燃費でも3.5アスリートは10.0km/L、CTS 3.6は8.0km/Lで、やはり約2割の差は付いている。ただし先にも書いたように、3.5アスリートはハイオク仕様、CTSはレギュラー仕様だ。\n\n\nここがイイ\n\nカッコいい。装備、質感もいい。しかもレギュラー仕様\n\n\nエクステリアは実にカッコいい。クライスラー300Cのようなアメリカンなカッコ良さではなく、純粋にクルマとしてカッコいいのだ。アメ車のセダンでそう思うのは、初めてのことではないか。巨大グリルや縦目ヘッドライトなども大きく派手になっているのにけしてエグくは感じられない。逆に個性的で、これまたカッコよく見えてくる。こうなると伝統的な縦型テールランプ、横に広くて細いハイマウントストップランプまでがカッコよく見えてきた。コンパクトなのに誰が見ても高級車っぽい雰囲気で、何にも似ていないがゆえ、もうエクステリアには100点をつけたいほど。\n\n\n\n外装に劣らず内装のデザイン・質感もいい。奇をてらわない左右対称ウイング型デザインのインパネに、細めのウッドパネルが上品だ。ナビのディスプレイサイズ、位置、せり出てくる構造なども文句なし。ステッチの効いた表皮で覆われたダッシュ上部はソフトな感触で、質感も問題ない。ステアリングも上部だけがウッドで、下部は革ですべて覆われているから、操作時の違和感は少なくなっている。小柄な人でも無理なく決まるシートポジションの自由度、ホールドが効き過ぎないベンチレーション付シートもいい。ホントにアメ車なのか?と思えるほど、ドイツ車もしくは日本車レベルの出来が素晴らしい。\n\n\n\n動力性能の高さからすれば燃費はこんなところと納得できるが、レギュラーガソリン仕様なのは素晴らしいことだ。ユーザーとしては燃費の1割改善にも等しい。そういえば輸入車はいざ知らず、国産高級車の多くもなぜプレミアムガソリン指定にしなくてはならないのだろう。明確な理由を知りたいものだ。\n\n\nここがダメ\n\n求む右ハンドル、後席の居住性など\n\n\n今のところ左ハンドルしかないこと。これだけクルマがいいのだから、ぜひ先代のように右ハンドル仕様を早く導入して欲しいもの。日本で乗るならやはり右が便利だ。またせっかくの大型ディスプレイでもあり、バックモニターカメラはぜひ欲しいところ。\n\n\n\n後席背もたれの角度は何とかならないだろうか。前席に比べて、後席は何とも居づらい。せっかくの高級4ドアセダンなのだから、もうちょっと後席でもゆったり過ごしたいものだ。\n\n\n\nウインカーの操作音と操作感が、「ガチャッ」と昔ながらのアメ車っぽい。点滅時の音も大きめで、静かな車内ではちょっと目立つ。このあたりはロードノイズが高まりがちな荒れたハイウエイが多い米国で、戻し忘れがないように、という配慮かもしれないが、やや高級車らしくないところ。\n\n\n総合評価\n\nもはや「クルマ」としてイイ\n\n\nこれはどこかで乗ったクルマ…、と思いを巡らせてみれば、そうゼロクラウン(先代クラウン)だ。新型クラウンはゼロクラウンより少し柔らかい印象となったし、高速でもスピード感がちゃんと感じられた。しかしゼロクラウンはびしっと引き締まった足、まるで速度感のない矢のような高速クルージングなど、クルマ好きを惑わす素晴らしく魅力的なセダンだった。先代のCTSはまだアメ車の雰囲気を残していたが、ここに至って新型CTSはまるでゼロクラウン・アスリートのようだ。まさに国籍不明といった雰囲気を持つ正真正銘のスポーツセダンとなった。\n\n\n\nGMは出たばかりのゼロクラウンを買ってアメリカに持ち帰り、バラして、研究して、新型車を開発した、なんて思ってしまうほど、新型CTSはゼロクラウン度が高い(実際、新車開発のスケジュール的にはそれがピタッと当てはまってしまうが)。つまりモーターデイズにとって新型CTSは、ゼロクラウン同様に絶賛すべきクルマである。先代のCTSは欲しいとまではいえなかったが、新型は買ってもいいと思わせる。内装の仕上げも超高級とまではいかないが、ひとまず高級車の類として問題はない。\n\n\n\nそんな高級車でありながら、超プレミアムではないというあたりもクラウン的だ。日本の「いつかはクラウン」は、アメリカでは「いつかはキャデラック」だろうから、その意味でも両車の社会的な位置は近い。そしてクラウン同様、キャデラックも若返りを図らないと生き残れない。ということで、同じようなキャラクターになったのだろう。CTSはそのやり方をトヨタに学んだという感じがする。\n\n\n\n「アメ車なんかいいわけがない」という固定観念が「クラウンなんかいいわけがない」という観念同様にいよいよ崩れ去った。GM車でもコルベットなんかはかなり良かったが、それでもアメ車的に良い部分をずいぶん持っていた。その点、CTSはもはやクルマ的にいい。アメ車としては、とか、キャデラックとしては、ではなく。先入観を持たずにクルマをみなければいけない、いよいよそういう時代になったわけだ。\n\n\n\n\n写真はバックフォグ(最下段)点灯時\n\n\n\n日本での価格もレクサスGSあたりとそう変わらないから、お金のある人は十分検討するに値する。レクサスと異なるのは通信ナビといった日本的なハイテク部分と、信頼性に対する不安といったあたりか。まあハイテクは使いこなせない人も多いだろうし、あとは信頼性だが、レクサス車でさえも永遠にトラブルがないわけではないから、あとはディーラーのホスピタリティの問題ともいえる。クルマというのは一律のサービス体制があるからといって必ずしも万全ではないことは、多くの人が理解している部分だろう。最終的にはディーラー担当者とのコミュニケーションの問題。気の合う担当者と巡り会えるよう祈るしかないわけだ。それはどんなクルマをどこで買っても、結局は同じ「確率」だと思う。ディーラー担当者が気に入ったなら、CTSはもう買ってもいいクルマになったと思う。\n\n" },{ title:"スマート フォーツー クーペ" ,link:"http://www.motordays.com/newcar/articles/fortwo_coupe_smart_imp_20080411/" ,body:"キャラクター&開発コンセプト\n\n2代目スマートは1リッターで登場\n\n\n新型スマート・フォーツー(クーペとカブリオ)は、2人乗りマイクロカー「スマート」の2代目。欧州では2007年春に発売され、日本では同年10月24日に発表された。\n\n\n\n新型はボディを大型化して室内空間や衝突安全性をアップ。エンジンは三菱製の1リッター直列3気筒NA(自然吸気)、変速機は先代より1段少ない5速セミATとなった。生産は引き続きフランスのハンバッハ(Hambach)で行われている。\n\n\n\n北米市場への本格展開も2代目の大きな目的であり、2008年1月から正規販売をスタート。USA公式サイトは「ニューヨーク近代美術館(通称MoMA=Museum of Modern Art)の永久展示車を除けば、これが米国への初上陸」とうたっている。ただし厳密に言えば初代スマートも様々な形で米国内に入っていたようだ。\n\n\n\n■smart USA  http://www.smartusa.com/(英語)\n\n\n初代スマートは累計77万台\n\n\n\n初代スマート(フォーツー)。2005年 東京モーターショーにて\n\n\n\nダイムラー・ベンツとスイスのSMH社(スウォッチグループ)のジョイントベンチャーから生まれた初代スマートは1998年に欧州で発売。「トリディオンセーフティセル」と呼ばれる卵形のモノコックボディに、メルセデス・ベンツ製の3気筒600ccターボエンジン(後に700ccに排気量拡大)を搭載。フランスに生産拠点を新設するなど、まさに国境を越えた壮大な企画だった。日本へも並行輸入で多数が上陸した。\n\n\n\n2000年末に日本でも正規発売。追ってオープンタイプの「カブリオ」、軽自動車規格の「スマートK」も追加された。2004年には4ドア車「スマート フォーフォー(forfour)」の導入に伴ない、「スマート フォーツー(fortwo)」へと名称変更した。1998年から2007年まで生産された初代スマートの累計販売台数は77万台とのことだ。\n\n\n\nなお、2007年のダイムラー・クライスラー合併解消後、スマートはAMGやマイバッハと共に、ダイムラー社(Daimler AG)の「メルセデス・ベンツ・カー ディビジョン(乗用車部門)」配下のブランドとなっている。\n\n\n\n■Daimler AG http://www.daimler.com/ (英語)\n\n\n価格帯&グレード展開\n\n標準車は176万円。パッケージオプションが10万5000円\n\n\n\n新型スマート フォーツー カブリオ (photo:メルセデス・ベンツ日本)\n\n\n\n全車右ハンドル・5速セミATで、価格は以下の通り。\n\n\n\n■ フォーツー クーペ  176万円 ※今週の試乗車\n■ フォーツー カブリオ 205万円 ※電動ソフトトップ、熱線入りガラス製リアウインドウを装備\n\n\n\nクーペには「パッケージオプション」(10万5000円)として、アルミホイール、本革巻ステアリング&シフトノブ、フロントフォグランプ、電動調節ヒーテッドドアミラー、ロック付グローブボックス、ラゲッジルームカバーがセットで用意される(カブリオでは標準装備)。また、さらに10万5000円出せば(つまりクーペでは計21万円高で)、レザーシート仕様(シートヒーター付)にも出来る。なお、カブリオの幌は、新型から走行中も操作可能なフル電動となっている。\n\n\n\nボディカラーは6色(白、黄、黒、赤メタリック、銀メタリック、青メタリック)から選択可能(メタリックは4万2000円高)。ソリッド色の白、黄、黒は着色樹脂で、傷も目立たず、交換時の塗装も必要ないという。先代同様「トリディオンセーフティセル」部分はシルバー塗装のみとなる。\n\n\nパッケージング&スタイル\n\n全長で約7%、全幅とWBで約3%サイズアップ\n\n\nボディサイズ(先代クーペ比)は全長2720mm(+180)、全幅1560mm(+45)、全高1540mm(-10)、ホイールベース1865mm(+55)と一回りサイズアップ。拡大率でみると、全長+7%、全幅+2.9%、全高-0.7%、ホイールベース+3%となり、つまり全長や前後オーバーハングの増加率がもっとも大きい。室内長も+100mm(965mm→1065mm)で、+10%も伸びている。一方、室内幅は+30mm(1240mm→1270mm)と気持ち程度(+2.4%)だ。\n\n\n今風に洗練された\n\n\nスタイリングは先代の正常進化というか、すいぶんクルマらしく「まともに」なった。よくもわるくも、玩具っぽさや主張は薄まったが、もちろん米国の衝突安全基準や歩行者保護対策をクリアするためでもある。\n\n\n\nなお、試乗車(外装ブラック)の黒い部分は、すべて柔軟性のあるポリカーボネイト製で、シルバーの枠の部分が高張力鋼版を多用したトリディオンセーフティセルとなる。\n\n\n曲線から直線に\n\n\n抑揚が減ったのはインテリアも同じ。質感の向上は目覚しいが、先代の「S」字型に湾曲したダッシュボードや、昆虫の触角か植物のように突き出していた空調の吹き出し口は消えて、あっさり直線基調の常識的な眺めとなった。これもアメリカの衝突安全基準をクリアするための措置で、膝(ひざ)のところにある棚状のでっぱりも下肢を保護するニーパッドの役目を果たすという。\n\n\n上から空調操作系、オーディオ、足元にドリンクホルダー(別売)\n\n\n\n(photo:メルセデス・ベンツ日本)\n\n\n\n最上段には珍しく空調系コントロールを配置。そのすぐ下に、ほぼ2DINサイズに相当するオーディオスペースがある。標準装備のALPINE製オーディオ (右の広報写真に写っていないが、大型カレンダー付) が上の1DINスペースに、下にiPod専用ホルダー&コネクターが収まる。\n\n\n\n先代同様、ダッシュボード上に生えるエンジン回転計とアナログ時計はセットで3万3600円。ついでにカップホルダー(6300円)も装着したいところ。心おきなく物が置ける場所が意外に少ない。\n\n\nシートはちょっぴりポルシェ風\n\n\n先代のシートはスチール製モノコック構造の凝ったものだったが、新型のそれはパイプフレームとプレス材を組み合わせたオーソソクスなもの。ポルシェ911風のハイバックシート(ヘッドレスト一体型タイプ)で、座り心地もなんとなくポルシェ風だな、と思ったら、シート骨格のサプライヤーであるドイツの「CRH」社は、ポルシェ997/ボクスター/ケイマン系のシート骨格(シートではなく、あくまでシート骨格)も作っているようだ。ちなみに、スマートのブレーキペダルはオルガン式と、ここもポルシェチック。\n\n\n \n\n\n\nCRH ジャパンが展示していた2代目スマートのシート骨格\n\n\n\nなおエアバッグはフロントおよびサイドの計4つ。もちろんシートベルトはフォースリミッター付プリテンショナー式だ。米国の側面衝突基準を満たすため、ドア骨格構造はアルミ製からスチール製(高張力鋼板を含む)となっている。\n\n\n\n■http://www.crh-group.com/(英語/独語)\n\n\nグラスルーフはポリカーボネイト製\n\n\n大型グラスルーフはクーペ全車に標準装備。日差しが気になる時は、黒いネット状のシェイドでふさぐことも出来る。このあたりは先代のクーペと同じか……と思っていたら(先代の「K」は鉄板ルーフだったが)、なんと新型のものは市販車では最大というポリカーボネイト製。厚いものなら防弾性能もあるという「ポリカ」だが、このベバスト社(Webasto AG)製のポリカ製ルーフも人が上に乗って飛び跳ねるくらいでは割れないという。傷付き防止用のシリコンコーティングが施され、もちろん紫外線も100%カット。ガラスに比べると40%も軽量で、自動車の透明ルーフ用にはうってつけの素材だ。\n\n\n使い勝手はそのまま、荷室容量は1.5倍に\n\n\n上下2分割のリアゲートは死守され、荷室容量は先代の150Lから220L(ルーフまで積めば340L)へ1.5倍にアップ。助手席の背もたれも先代同様、水平に前に倒れるから、1人乗りならスポーツ自転車(もちろん前後のホイールは外して)だって積めそうだ。これは先代でも出来たらしいが。いずれにしても、容量こそ増えたが、おそらくここが先代と新型で一番変わっていない部分だろう。\n\n\n\n実演してもらわないと最初はやり方が分かりにくいが、床下のカーペットとヌメッとした遮音・制振材をパコッとめくり、手でネジを緩めてカバーを持ち上げれば、後方に45度傾けて搭載したエンジンにアクセスできる。エンジンオイルの油量チェックや交換はここから行うことになる。ちなみに、めくったマットを作業中に止めておくのには、市販の布団バサミが便利だそうだ。\n\n\n\nなお、フロントのボンネットは簡単なレバー操作で着脱可能。ここからはウォッシャー液やクーラント等の補充・点検が出来る。ちなみにボンネットはカウリングと呼びたくなるほど小さく軽いもので、もちろんポリカ製。\n\n\n基本性能&ドライブフィール\n\n三菱製 1リッター3気筒を搭載\n\n\n\n新型スマートの1リッター「3B21」型エンジン (photo:メルセデス・ベンツ日本)\n\n\n\n試乗したのはクーペの方。先代の598/698cc・直3ターボに代えて搭載されたのは、新開発の1リッター(999cc)直3・NAエンジン「3B21」(71ps、9.4kgm)。形式名から分かるように、これは三菱が「 i 」用に開発した659ccの直3「3B20」を排気量アップしたもの。同社の水島製作所 (岡山県倉敷市) が生産・供給しているようだ。ボア×ストロークは「3B20」の65.4×65.4mmから、「3B21」では72.0×81.8mmへロングストローク化されている。\n\n\n\nエンジンは従来同様、リア車軸上に横置きされて後輪を駆動。横置きなのでリアに突き出してはいないが、いわゆるRR(リアエンジン・リア駆動)だ。変速機は先代の6速から1速減って、新しくGetrag製の5速セミATとなっている。パドルシフトは、3本スポークのスポーツステアリングとセットでオプション(9万9750円、ソフトウェアの書き換えに別途29,400円必要)だ。\n\n\nまさに「リッターカー」の走り\n\n\nこれらパワートレインの刷新は、走り出した瞬間から体感できる。セミATには相変わらずクリープがないが、先代に比べて低い回転域から自然にトルクが出るため、ほとんど違和感がなくなった。音質は3気筒独特の(軽自動車で聞きなれた)もので、4気筒並みにスムーズとは言えないが、ノイズや振動はほとんど気にならない。アイドリング振動に関しては、ダイハツ製の1リッター3気筒(フロントに搭載される)より、はるかに小さいほどだ。車重は810kg(クーペ)と軽自動車並みだから動力性能は十分と言える。\n\n\n\n乗り心地は硬いが、細かい突き上げはなく不快ではない。ピッチングは相変わらずで、ホイールベースが短いからこれはしかたないか。トルキーなエンジンと5速セミATとの相性は良く、先代で気になった1速→2速シフトアップ時の失速感もほとんど気にならなくなった。シフトアップ時にアクセルを少し戻す、といったコツさえつかめば、問題なしとできるレベルだ。\n\n\n\nこういったわけで街中では、まさに「リッターカー」の走り。先代では6速セミATを矢継ぎ早にシフトアップしながら、ターボの力で一生懸命走っていたのが懐かしく思えるほど、よくもわるくも運転感覚は「普通」。 オートモードで十分走れる。とはいえ、それはフィアット500(同じく5速セミAT)ほどではなく、その意味では「スマートらしさは残されている」とも言える。\n\n\nその直進安定性、強風につき保留\n\n\n最高速はカタログによると145km/h(リミッター作動、先代は135km/h)だが、あいにく今回試乗した日は「春の嵐」というほど突風がビュービューと吹きすさぶ状況。100km/hまではとりあえず問題ないが、120km/hではステアリングが取られるほど直進性がおぼつかなくなり、自然とペダルを踏む足が戻ってしまう。これはRR(リアエンジン・リア駆動車)、もしくはショートホイールベース車に独特の緊張感で、それが大きな横面投影面積や空力バランス(横風対応も含む)、高い重心のせいで強調されてしまうような印象を受けた。なお、前後の重量配分は350kg+460kgと典型的なリアヘビー。タイヤは前輪が先代の145/65R15から155/60R15にワンサイズアップ、後輪は変わらず175/55R15のままとなっている。いずれにしても、もう一度風の無い日に乗ってみたいところ。\n\n\n\n燃費は今回は未計測。10・15モード燃費は先代の19.8km/Lに対して18.6km/Lとなっている。ただし、実燃費は先代のターボより、NAの方がやはり有利だろう。また、ATモードでの市街地の走行では5速にはほぼ入らないから、その意味ではマニュアルモードを積極的に使った方が燃費は良さそうだ。\n\n\nここがイイ\n\n不変のコンセプト、三菱製エンジン\n\n\nキープコンセプトだ。少し大きくなったものの、基本は死守したという感じ。北米市場へ打って出るために相当苦労した、という感じが伝わってくるが、スマートらしさは消えていない。それでいて全体にたいへん良くなっている。もういよいよ普通に乗り回せる。\n\n\n\n三菱製のエンジン。何となく安心感があるし、実際のところカム駆動がタイミングチェーンになったり、ターボじゃなくて自然吸気になったりと、メンテナンスに関しても不安材料は減っている。加速感もやはり先代より自然。三菱とのコラボの遺産が上手く機能している。\n\n\nここがダメ\n\nシート調整、ヒルホルダーの制御など\n\n\nシートそのものはなかなかいいのだが、高さと前後傾き調整が不可能で、さらに背もたれ角度がダイアルでなくノッチ式なので、思ったようなポジションにならない。ステアリングにはチルトもテレスコもなし。もう少しドラポジの調整幅があるとありがたい。また少々つまらなくなった、というのが率直な印象の内外装デザイン。特に内装。\n\n\n\nヒルホルダーの作動時間が約1秒(0.7秒とのこと)と短かすぎること。初心者がペダルを踏み変えている間に下がる可能性があるし、精神的にも好ましくない。フィアット500が坂道発進で楽だったのは3秒くらい保持してくれたことが大きい。また、バックする時にはヒルホルダーが作動しないのも残念。日本ではガレージに入れるときにバックするのが普通だし、坂になっていることも多いから、これもぜひ欲しいところ。\n\n\n\n「エコ」に加えて経済性も重視されるクルマだが、使用ガソリンは従来同様にハイオク仕様(圧縮比は11.4もある)。多少馬力が下がってもレギュラー仕様の方が嬉しかった。最新のキャデラックCTSですらがレギュラー仕様なのだから。\n\n\n総合評価\n\n買う機会を逸した初代\n\n\nまずは反省しなくてはならない。先代スマートに試乗してから10年近くがたとうとするが、デイズは実はまだ一度も所有していないのだ。ただ思うに、シティカーとしてこれほどいいものはないとこれまでさんざん誉めておいて、結局そうなったという事実は、このクルマの立ち位置の難しさを示しているようにも思う。「どうしても買うぞ」と踏ん切れなかったのだ。エアコンのパワー不足、故障の多さ(という評判)もそれを理由づけているのだ……。\n\n\n\n先代の場合、年を経る毎にだんだんと改良されて、いつ買うのが一番いいのか、どうにもタイミングを計りづらかったことも大きい。試乗する都度、乗り心地や質感が良くなっていくがゆえ、もうちょっと待った方が、あるいは最新モデルが中古車となったら、などと考えているうちに、ここまで来てしまったのだ。途中で軽登録車が登場したことも悩ましかった。軽は実に合理的だったが、その分、スタイリングのカッコ良さが削がれてしまったし、内外装共にチープな印象が否めなかった。その後に登場した最終モデルでは100ccの排気量アップさえしているのだから、やはり先代のスマートは留まることなく日々進化を続けたモデル。最新のスマートは最良のスマート。逆に言えばモデルサイクルを通じて、どこかに少し不満を残したままのクルマであったわけだ。\n\n\nデザインは大人しくなったが\n\n\n\n新型スマートの新型「トリディオンセーフティセル」 (photo:メルセデス・ベンツ日本)\n\n\n\nそうこうしているうちにいよいよ新型になってしまった。今までの不満点がついにことごとく解消されたことは間違いない。特に走り面でやはりエンジン、ミッションの変更が大きい。これでほぼ不満はなくなった。クルマとしての基本コンセプトに変更はないから、これでスマートは理想のタウンカーになったといえる。しかし今ひとつ、物欲が刺激されないのはなぜだろう。それはたぶん多くの人が感じていると思うが、先代よりなんとなくカッコよくないのだ。それはボディ全体にボリューム感が増した分、バンと張り出した前後フェンダー(特にリア)と、新型以上に極端な前後異サイズだったタイヤの存在感が薄れたことが大きい。特にリアから見たスタイルはメリハリが薄れ、なんだかおとなしくて凡庸なのだ。\n\n\n\n先代ではトリディオンセーフティセル部分がリアフェンダー上部からテールランプまで露出しており、これによってリアフェンダーがより強調されていたが、今回はここがボディ同色となっている(というか先代ではオーバーフェンダーのようにも見えた樹脂製リアフェンダーが、新型では上部ボディパネルと一体化している)。これもリアタイヤの存在感を薄くしている原因だ。この部分を変更するだけで印象は相当変わると思う。\n\n\n\n同様に個性的かつ魅力的だったインテリアもずいぶん凡庸なものとなってしまった。けして悪くはないのだが、魅力としては先代が上だろう。ただ、質感はずいぶん向上しているし、オーディオスペースにナビをセットすればかなり見やすい位置になるのもいい。しかし現状ではこの位置にiPod対応のオーディオが標準で鎮座しており、これを外さない限りナビを取り付けられないのは残念。こうなると現実的にはPND(簡易ナビ)をダッシュ上に貼り付けるということになりそうだ。\n\n\n初心を失わないスマートを支持する\n\n\n助手席に座ってシートをいっぱいに後方へ下げると、空間は本当に広い。そのワイドな視界はガラスルーフと相まって、素晴らしく開放的なものとなる。このサイズのクルマでこの開放感を味わえることこそ、先代から続くスマートの良さだ。つまり2シーターであることの絶対的な価値といえるだろう。\n\n\n\nそこでスマートといえばどうしても話題に出さなければならないのがトヨタの「 iQ」だ。こちらは4シーター(実質的には3シーター)。77万台も売れたスマートという市場に、マーケティングの上手いトヨタが乗り込んできたわけで、スマートコンセプトの4シーターというのが武器となる。小さくて、より便利、というわけだ。トヨタらしいというか、日本車らしいというか。\n\n\n\nそりゃ2座より3座が便利に決まっているわけで、商品性は高いだろう。しかしスマートは2座であること、その2座が広いことこそが最重要コンセプトとして登場しているわけで、そこが潔(いさぎよ)い部分。初代スマートには、便利だからとどんどん大きくなってしまったクルマというものを、いったんリセットして合理化する、という意味があったはず。ここで3座にしたら、それはまた肥大化へ逆戻りではないか。その意味では、コンセプトをキープした2代目スマートこそモーターデイズは強く支持したいところだ。クルマとして良くなった分、初代の潔さを若干失っている部分もあり、そこが成長の難しいところでもあるのだが。今後もスマートには初心貫徹でがんばってもらいたいとエールを送る。\n" },{ title:"フィアット 500 1.2 8V ラウンジ" ,link:"http://www.motordays.com/newcar/articles/500_12_8v_fiat_imp_20080405/" ,body:"キャラクター&開発コンセプト\n\n名車チンクエチェントの再来\n\n\n新型「フィアット500」は、往年の名車フィアット500(ゴヒャク、もしくはチンクエチェント=cinquecento、1957~1977年)の現代版。2004年のジュネーブモーターショーでコンセプトカー「3+1 (トレピューノ、Trepiuno )」として登場後、2007年7月4日にフィアットの本拠地であるイタリア・トリノで市販モデルがデビューした。\n\n\n\nスタイリングは先代500を彷彿とさせるが、RR(リアエンジン・後輪駆動)だった先代と異なり、新型は現行パンダ(2003年~)ベースのFF(フロントエンジン・前輪駆動)となっている。4人乗りコンパクトカーにして、偉大な先代のイメージを受け継ぐ点では、BMW・MINI(2001年~)に近いモデルとも言える。\n\n\n\nイタリア本国を中心に販売は好調で、2008年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞や、Euro NCAPで5つ星などハードウエアへの評価も高い。生産はポーランドのティヒ (Tychy) 工場で行なわれている。 日本では2008年2月22日に正式に発表、3月15日に発売された。初年度の国内販売目標は3000台ほどという。\n\n\n新型はいわば3代目\n\n\nフィアット500には第二次大戦前に生まれた初代、戦後の2代目があり、今回のモデルはいわば3代目にあたる。\n\n\n\n初代フィアット500(1936~55年)は2人乗りのFR大衆車で、その姿は映画「ローマの休日」(1953年)で見ることが出来る。一般的に「トポリーノ」(はつかねずみ)の愛称でも呼ばれる。\n\n\n\n\n2代目フィアット500\n (photo:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン)\n\n\n\n2代目500(1957~75年)は初代と区別されて、Nuova(=New) 500と呼ばれるが、「チンクエチェント」と言えば、たいていはこの2代目を指す。Dante Giacosa(プレスリリースではダンテ・ジャコーザ、一般的にはジアコーザもしくはジアコーサと表記)が設計・デザインを行った4人乗りコンパクトカーで、イタリア庶民の生活車として大ヒットした。空冷の直列2気筒エンジンをリアに積むRR車で、成り立ちとしては直4エンジンを搭載した上級車「600(セイチェント)」(1955~69年)の廉価・小型版として誕生した。\n\n\nルパン三世のクルマとして\n\n\n日本においてはクルマ好きにしか知られていなかった2代目500だが、TVアニメ「ルパン三世」初期シリーズ(1971年~)の中で、宮崎駿氏が監督を務めたシリーズ後半にルパンのクルマとして登場。映画アニメ「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)等でも活躍して知名度を上げた。\n\n\n\n当初、ルパン三世のクルマは戦前の超高級車メルセデス・ベンツSSKだったが、作画を担当していた大塚康生氏が後にエッセーの中で、それよりも形が単純でデッサンのしやすいフィアット500の方がいいと宮崎氏が判断した、と語っている(1992年2月号「NAVI」、二玄社)。当時、スタジオの駐車場には大塚氏が所有するフィアット500がいつもとまっていたため、細部もチェックしやすく、結果として作画や設定のリアリティも増すなど「いいことずくめだった」とある。\n\n\n価格帯&グレード展開\n\n(とりあえず)1.24リッター・5速セミATで225万円\n\n\n\nカラフルなキーカバー(9種類)はアクセサリーで装着できる\n\n\n\nひとまず日本に導入されたのは、1240cc・直列4気筒SOHC・2バルブ(69ps、10.4kgm)・5速セミAT「デュアロジック」・右ハンドル仕様の「1.2 8V ラウンジ (Fiat 500 1.2 8V Lounge) 」(225万円)。また日本導入記念車として、フォグランプ、クローム仕上げのドアミラー、ボディ同色サイドモール、フルオートエアコン、リアパーキングセンサーを追加装備した200台限定車「1.2 8V ラウンジSS 」(233万円)も用意された。「SS」と言えば、名門アバルトの高性能車のように“エッセ エッセ”と呼びたくなるが、これはあくまで「スペシャル シリーズ」の意だ。\n\n\n\nまた、DOHCの4バルブユニットを積んだ上級グレード「1.4 16V ポップ」(1368cc、100ps、13.4kgm、6速セミAT)も5月あたりに発売予定。さらに「1.4 16V ラウンジ」、「1.4 16V スポーツ」といった仕様が加わる予定のようだ。\n\n\n\n■ 1.2 8V Lounge(69ps・5速セミAT) 225万円 ※今週の試乗車\n■ 1.2 8V Lounge SS(69ps・5速セミAT) 233万円 ※200台限定\n□ 1.4 16V Pop(100ps・6速セミAT) - 万円 ※5月導入予定\n\n\n\nさらなる導入予定としては、廉価グレードの「1.2 ポップ」(09年)、1.4リッターターボ(135ps)の「アバルト」(早くても09年か)等があるようだ。5/6速MT仕様は……予定すらないようだが、期待したい。欧州には最新鋭スーパーチャージャー付コモンレール式ディーゼル仕様「1.3 Multijet 16V with DPF」(1248cc、75ps、14.8kgm、5MT)もあるが、正規導入の可能性はないと思っていいだろう。\n\n\nパッケージング&スタイル\n\nカクカクから大福もちへ\n\n\n全長3545mm×全幅1625mm×全高1515mmというサイズは、身もふたもない言い方をすれば、現行パンダ(3535mm×1590mm×1535mm)と大差ない。2300mmのホイールベースも共通だ。大福もちみたいな新型500と、積み木のようなパンダの外寸がほぼ同じという点に開発チームの苦労がうかがえる。いかに実用性や衝突安全性を損なわず、オリジナル500のデザインを再現したか、というあたりがパッケージング上の見どころだ。\n\n\n\n標準ボディカラーは写真の白「ボサノバホワイト」と紺「ジャイブ ブルー」の2色で、オプションカラー(5万円高)として赤「パソドブレ レッド」、空色「チャチャチャ アズール」、メタリック紺「モッドブルー」、メタリック黒「クロスオーバー ブラック」と、とりあえず6色用意された。ちなみに欧州仕様には12色あり、落とされたカラーには「パンクグレー」、「ファンクホワイト」等がある。音楽にちなんだ色の名前が楽しい。\n\n\n白と青なら内装パネルも同色に\n\n\nインテリアデザインも有り体に言って魅力的。シフトレバー周辺にベース車(ニューパンダ)の面影はあるが、それ以外は見事に「チンクエチェント」している。高級感こそないが、これを安っぽいというのは間違いだろう。ルームミラーは何と自動防幻機能付だ。\n\n\n\nインパネの樹脂パネルはボディカラーと同色になり、先代の鉄板むきだし風となる。これはフィアット・バルケッタやクーペ・フィアットと同じ手法で、とてもいい感じだ。\n\n\n見た目も座り心地も秀逸のシート、7エアバッグ標準\n\n\nシートがこれまた最高で、ザックリした風合いの生地、座り心地、適度なホールド感、見た目、調整関係(上下可能)、シートフレームの剛性感などなど、このクラスのものとしては(パンダと比べても)抜群といえる。真っ白の本革巻きステアリングは汚れが目立ちそうだが、これも「今を生きる」イタ車ならでは。なお、全部で4つある可愛い丸いヘッドレストは樹脂の一体成型モノ。生産性は良さそうだし、実際の感触も悪くない。\n\n\n\nステアリングにはチルト(高さ)調整はあるが、テレスコはなし。ゆえにペダルに足を合わせると、体型と好みによっては多少ステアリングが遠く感じる人がいるかもしれない。これもイタ車ならでは、であるが。\n\n\n\nエアバッグはこのクラスで初の7個(前面フロント×2、前席サイド×2、前席ウインド×2、運転席ニー×1)で、前席にはダブルプリテンショナー式3点シートベルトも装備。Euro NCAPでは最高ランクの5つ星を獲得している。\n\n\nメーターのデザインは最高、視認性は再考\n\n\n\n(photo:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン)\n\n\n\n大径1眼メーターのデザインは、レトロフューチャー風に凝りまくったもの。外縁に各種コーションランプ、その内側に速度計(220km/hまで)、そのまた内側に回転計(6000回転からレッドで、8000回転まで)、さらにその内側に燃料と水温をバーグラフで表示、そして中央にシフトポジションや時間、平均燃費などの情報を表示する。\n\n\n\nしかし、こうした説明からも何となく察しがつくように、実はこのメーター、視認性がすこぶる悪い。これについてはまた後で触れる。\n\n\nすこぶる居心地がいいリアシート\n\n\n先代500のイメージや、猫背型のリアクオーターなどから「後席は狭いだろう」と思いきや、実際には驚くほど居心地がいい。足もと、頭まわり、横方向の広さ、そしてシートのサイズ、クッション感、座面高、いずれも標準体型ならまったく問題なし。3ドアゆえの乗降性の問題さえ除けば、フル4シーターとしての使用が可能だ(定員4名)。\n\n\n\nさらに固定式の大型ガラスルーフからは空が見えるし、手動のシェイド(日よけ)を引き出してやんわりと車内を明るくすることもできる。もちろん、このガラスサンルーフは先代500に標準だったキャンバストップをモチーフにしたものだ。\n\n\n荷室容量はそこそこだが\n\n\n先代500でエンジンがあった車体後部は、容量185Lのトランクとなっている。リアゲートが傾斜しているため断面は「三角」だが、容量自体はBMW・MINIや軽自動車と同程度だ。\n\n\n\nパンダ同様、後席の背もたれは 5:5分割可倒のシングルフォールディング(つまり座面は固定したまま)で、最大容量は550L。スペース効率は良くないが、それゆえにリアシートのクッション形状がマトモなのだから、ここは文句を言うべきではないだろう。\n\n\n基本性能&ドライブフィール\n\n「1.4?」と思うほどよく走る\n\n\n今回の試乗は東京都心の明治記念館を出発点とした合同試乗会で行ったので、インプレッションは東京都内の一般道と首都高速(環状C1など)でのもの。\n\n\n\n試乗したのは今回導入された1240cc・直4・SOHC・2バルブ+5速セミAT車。このエンジンは現行パンダ用のエンジン(60ps/5000rpm、10.4kgm/2500rpm)をベースに、圧縮比を9.8から11.1に上げるなどして69ps/5500rpm、10.4kgm/3000rpmとしたもの。馬力は9ps増えて、やや高回転型となっている。5速セミATはパンダ等でおなじみの「デュアロジック」で、各ギア比や最終減速比もパンダとまったく同じだ。車重は標準のパンダ(940kg)より70kgほど重い1010kgとなる。\n\n\n\nと、なると動力性能は諦めモードに入りそうだが、これがなかなかどうして、予想に反してキビキビと元気に走り出す。5速セミAT「デュアロジック」のダイレクト感や低めのギアリングのおかげか、出足は十分。排気量がパンダと同じ1240ccとは思えないほどでよく走り、何も知らなければ1.4リッターかと思ってしまう(100psかと思ってしまう、という意味ではないが)。\n\n\nクリープこそないが、もう不満のないセミAT\n\n\nデュアロジックに関して言えば、なかなかシフトアップしない変速ロジックはそうとうなもの。マニュアルシフト (なぜかパンダとは逆の引いてアップ、押してダウン) に切り替えない限り、街中ではずっと2速か3速で走り続けるほど。とはいえ、回してもうるさくはないので、特に実害はない。\n\n\n\nなおアクセルを離すとゆっくり動き出すクリープ機能はないが、ヒルスタートアシスト機能によって3秒ほど長めにブレーキを保持してくれるし、アクセルを踏んだ時のツキがいいので、坂道発進も不安なく行える。半クラッチ制御も上手で、ギクシャクすることはまずなく、セミAT車にありがちな1速→2速シフトアップ時の失速感も今まで乗ったセミAT車の中で最小限と言える。これは、アルファロメオなどと比べて非力であることも一因だが。クリープがないことに慣れれば、初心者でもトルコンATが欲しいとは思わなくなるだろう(多分)。\n\n\n首都高速でも全方位で不満なく\n\n\n都心の一般道を走り回った後は、首都高・環状線から湾岸方面へ移動。この日の首都高は割と空いており、ストレスなしに快調に走行。メーカー発表値によれば「1.2」(おそらく5MT仕様)の最高速は160km/h、0-100km/hは12.9秒。ちなみに導入予定である「1.4」の最高速は182km/h、0-100km/hは10.5秒だが、率直に言って「1.2でも、まあ十分」だ。静粛性も意外なほど高い。\n\n\n\n直進安定性やコーナリング時の安定性はこのクラスのドイツ車並みで、まったく問題なし。何度も引き合いに出して申し訳ないが、ベースとなったパンダとは別物。乗り心地も不満なく、首都高名物である舗装の継ぎ目が繰り出すハーシュネス(突き上げ)も気にならない。エンジンを回して元気に走らせる感覚はイタ車そのものだが、新型500の走りっぷりはずいぶんしっかりしていて、これなら欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞もありか、と思える。ESPは標準装備だ。\n\n\n\n1時間ほどだが、リアシートにも座ってみた。多少固めながら、乗り心地は国産1.5リッタークラスと比べても遜色ないレベル。しかも荷室側からのノイズ侵入がほとんどまったく気にならないのは、このクラスのハッチバック車としてはたいしたもの。高速走行中もドライバーと自然に会話ができて、まったく不満を感じなかった。\n\n\nここがイイ\n\nカタチ、質感、驚くほどの完成度\n\n\n当然ながらカタチは素晴らしい。これぞイタ車の真骨頂。室内のデザイン、さらには質感までも素晴らしい。右ハンドルでも運転席の足下は狭くないし、ペダルも自然。後席の居住性までいい。ATモードのまま走ってもほぼ問題なし。地球に優しいコンパクトカーの選択肢が増えたのは喜ばしい。\n\n\n\nイタ車としては驚くほど、というか、「クルマ」としてたいへんよく出来ている。現行ランチア・イプシロン(残念ながら並行輸入扱いだが)にも匹敵する、たいへん魅力的で完成度の高いイタリア車だ。この形に惚れただけで買っても後悔しない。\n\n\nここがダメ\n\nメーターの視認性、MT車や廉価グレードの不備\n\n\nメーター視認性の悪さ。まず面食らうのが、日差しが強いとステアリングコラムカバーの白い部分が反射してほとんどメーターが読み取れないこと。また仮に反射がなくても、それぞれの指針が一体どこを指しているのか、とうてい一瞬では読み取れない。燃料計や水温も同じで、各種ウォーニングランプやモード表示にいたっては停車中によほど目をこらさないと見えないほどだ。だからと言って500の魅力が薄れることは決してないが、現実問題として不便を感じるのは間違いないところ。安全上も好ましくはない。\n\n\n\nいわゆるイタ車好きを満足させる、装備が簡素で値段が安く、そして当然左ハンドル・5MT仕様をぜひ導入すべき。いろいろ自分で手を加えたいから安いベース車が欲しいという人は多いはずだ。\n\n\n\n体型によってはイタ車らしいストレートアームなシートポジションが気になるので、シートの高さ、角度、ステアリングのテレスコなど、さらに調整範囲が大きいといい。また、フィアット系お得意のステアリングが軽くなるCITYモードは、実際にはほとんど不要に思えた。\n\n\n\n今や必需品のナビやETCは、かなり工夫して取り付けなくてはならない。オプションでPND(簡易ナビ)が用意されてはいるが、いわゆるインダッシュナビの取り付けは絶望的だ。\n\n\n総合評価\n\nマジで大衆車を目指した勝負車\n\n\n乗るまでは、以前試乗したニューパンダみたいな「軽自動車テイスト」の非実用車かと思っていたが、乗ってみるとこれがけっこうちゃんとできている。ごく普通に走るし、乗り心地もいい。もう必要十分。確かに「昔の名前で出ています」なのだが、単なるパイクカーではなく、マジで先代500のような大衆車を目指したのだろう。まあオリジナルの500もマジな大衆車だったがゆえにあれだけの名車となったわけで、このクルマはカタチだけでなくその路線も踏襲している。MINIやビートルとはそこがちょっと異なるところ。小さなクルマの国、イタリアならではでもあり、会社としてはそうとうに余裕のないフィアットゆえの帰結ともいえそうだ。MINIやビートルは大手メーカーの余興的なところがあるが、500は下手にコケたらフィアット自体が傾いてしまう。メーカーにとっては勝負車なのだ。\n\n\n\nそういう実用と商売に長けたクルマでありながら、このデザインの良さはどうだ。見事に昔の雰囲気を再現している。細かく見ていくと、ヘッドライトはもうちょっと何とか小さく低くできなかったのか、とか、ボンネットをもう少し膨らませられなかったか、とか、おしりのボリュームをもうちょっと出せなかったか、などと思うが、まあ全体の雰囲気は「よくやった」というところだろう。何せオリジナルとは基本的な大きさがまるで違うのだし、衝突安全性も十分確保されているのだから。バンパー下のグリルやナンバプレート上のスリットなどでグリルレスな雰囲気も見事に演出されている。最近の欧州車はグリルが顔になっているが、グリルレスもまた個性的だ。いっそパンダもプントも、フィアットの小型車はグリルレスにしてしまえば個性が主張できるのに、とさえ思う。\n\n\n名車復刻系は今しかない\n\n\n\n(photo:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン)\n\n\n\nビートルやMINI、そして911といった60年代(昭和30年代)名車復刻系のデザインはどれも素晴らしい。あとはシトロエンが2CVをいつ出すかだ(こればかりは難しいかも)。「三丁目の夕日」が流行っている昨今、年配の人に対しては昔憧れたクルマに乗りたいと思う気持ちをくすぐり、若い人に対してはノスタルジーをかきたてるこの手のクルマ。これをなぜ日本車はやらないのかということは、これまでイヤというほど書いてきた。しかしこれがやれるのも、あと数年かもしれない。クルマに興味がなくなった若者にとっては、もはや今のクルマなんてなんでも同じ。旧車にノスタルジーを抱く人がいる間だけが売り時だ。その間にカタチだけでいいからもう一度ヒット車を出し、クルマ人気を再生すべきだ。\n\n\n\nしかしオリジナルの「チンクエチェント」に乗ったことのある人なんて、いったいどれくらいいるのだろうか。ルパン三世でカタチと名前はよく知られていても、すでに30年以上前に生産が打ち切られたクルマだ。街で見かけることもほとんど無く、実はクルマ好きが思っているほど世の中に走ってはいないのではないか。その意味では、日本において新型500にはMINIやビートルよりもハンデがある。都内での注目度も意外に低いという印象だったし、販売店でもまずは中年男性中心に売れているという(それでも入荷した初期ロットはソールドアウトだが)。かつてのオペル・ヴィータのようにテレビドラマにでも登場しない限り、若い女の子に振り向かれるようなメジャーな存在にはならないだろう。オリジナルを知らない人の目にはマーチみたいなクルマにしか映らないのだから。\n\n\n旧車をリスペクトしてつなぐ段階\n\n\n新型500は最初のうちクルマ好きが騒いで買い、やがてそれを街で見かけた女の子が「カワイイ」だけで買ったとしても、後悔することがないクルマだ。そんな好循環をなんとか生み出して、日本でも初代パンダ以来のヒットイタ車になってもらいたいものだ。本国ではベストセラー間違いなしのはずなので、その勢いで今度は126「バンビーノ」(1972年~2000年)あたりも復活させてもらいたい。復刻するにふさわしいデザインのクルマは、まだ世界中にいっぱいある。そんな復刻車で街が埋め尽くされたら楽しいと思う。第二次大戦後に大衆車が登場してから60年もの歴史を持つクルマのデザイン。もはや、まったく新たな案を起こすばかりでなく、そろそろ旧車をリスペクトしてつないでいく、そういう段階に入っているのではないか。\n\n" },{ title:"トヨタ クラウン 3.5 アスリート“Gパッケージ”" ,link:"http://www.motordays.com/newcar/articles/crown_35_athlete_toyota_imp_20080328/" ,body:"キャラクター&開発コンセプト\n\nゼロクラウンを進化・熟成・電子化\n\n\n\n初代トヨタ・クラウン(1955-61年 ※写真は1960年式)\n\n\n\n2008年2月18日に発売された新型クラウン(ハイブリッドは5月6日に発売)は、1955年に誕生したトヨタ高級セダンの第13代目。内外装は一新されているが、基本的なメカ部分は革新的だった先代“ゼロクラウン”(03年12月発売)をベースに、改良・進化させたものと言っていいだろう。\n\n\n\nエンジニアリング的には、車載LANや個々のECU(Electronic Control Unit)の処理能力や通信容量を引き上げた「電子プラットフォーム」の採用が大きなテーマだったようだ。安全装備に関してもVDIMや10エアバッグの全車標準化など、大幅に充実している。また、レクサスGS450hのパワートレインを移植した「クラウン ハイブリッド」の追加も大きなニュースだ。\n\n\n「あ、うん」で早くも2万4000台\n\n\n生産はトヨタ本社の元町工場(愛知県豊田市)で、販売目標台数は月間5500台(うちハイブリッドが800台)。立ち上がり一ヶ月(2/18~3/17)の受注台数である約2万4000台という数字は、事前の予約注文を合わせてのものだろうが、それにしても好調な出足だ。\n\n\n\n広告コピーは「『あ、うん』のテクノロジー」。これは電子プラットフォームによる操縦安定性や安全性能の高さを表現するものだろう。\n\n\n\n■トヨタ>ニュースリリース>新型クラウン発売(2008年2月18日)\nhttp://www.toyota.co.jp/jp/news/08/Feb/nt08_016.html\n\n\n\n■トヨタ>ニュースリリース>新型クラウン受注状況(2008年3月19日)\nhttp://www.toyota.co.jp/jp/news/08/Mar/nt08_0309.html\n\n\n価格帯&グレード展開\n\n2.5なら400万円台、3.0/3.5なら500万円台、ハイブリッドなら600万円前後\n\n\nプライスレンジは大まかに言って2.5リッター車なら400万円台、3/3.5リッター車なら500万円台、ハイブリッドなら600万円前後といったところ。\n\n\n\n例のごとくまず「ロイヤルサルーン」と「アスリート」の2つがあり、ロイヤルサルーンは引き続き2.5リッターV6(215ps)と3リッターV6(256ps)を、アスリートは2.5リッターV6(215ps)と3.5リッターV6(315ps)を搭載する。これらの変速機はすべて6ATで(先代の2.5は5ATだった)、アスリートの3.5以外には4WDが用意される。\n\n\n\nハイブリッドの方は、GS450hと同じ3.5リッターV6(296ps)+モーター(200ps)<システム出力:345ps>+電気式無段変速となる。\n\n\n\n■ロイヤルサルーン 2.5L・V6(215ps) 368万~462万円\n■ロイヤルサルーン 3.0L・V6(256ps) 458万~564万8000円\n\n\n\n■アスリート 2.5L・V6(215ps) 374万~464万円\n■アスリート 3.5L・V6(315ps) 487万~567万円 ※今週の試乗車\n\n\n\n■ハイブリッド 3.5L・V6+モーター (345ps ※システム出力) 595万~619万円 ※08年5月発売\n\n\nパッケージング&スタイル\n\n「日本の細道」も大丈夫\n\n\nボディサイズ(ロイヤルサルーンとアスリート共通)は全長4870mm×全幅1795mm×全高1470mm(4WDは+10mm)。ホイールベースは先代と同じ2850mmで、全体のパッケージングも先代ゼロクラウンを踏襲。全幅は先代より15mmワイドながら、きっちり1.8メートル未満に収めている。最小回転半径もこのクラスでミニマムの5.2メートルだ。\n\n\n今風の、よりスポーティなデザインに発展\n\n\n今回試乗したのはアスリートだが、ロイヤルサルーンとの違いはフロントバンパー、グリルの意匠、スポイラーの有無、ホイールサイズ(ロイヤルは17インチ、アスリートは18インチ)くらい。外観は先代ゼロクラウンのシルエットを引き継ぎつつ、Aピラー基部が40mm前進、オーバーハングも25mm伸びて、よりスポーティな、ある意味レクサスISにも通じるものになった印象。多くの日本人にすんなり飲み込めるデザインだろう。\n\n\n\nなお従来トヨタ/レクサス車のスマートキーによるドアロック操作はボタン式だったが、今回の新型クラウンからタッチセンサー式になっている。こちらの方がデザイン的にすっきりしているのは明らかで、今後はレクサス車も順次これになるのではないだろうか。\n\n\nアスリートは黒ウッド調パネル\n\n\nアスリートのインテリアは精悍に黒の木目調パネル、ロイヤルサルーンではナチュラルな茶のウッド調パネル、ハイブリッドにはハイテク感のある全面TFT液晶メーターといった具合に、三者三様の特徴が与えられている。\n\n\n\n試乗した3.5アスリートの上級グレード「Gパッケージ」は本革内装で、そのレザーシートの色は黒っぽく見えるが、正確には「ダークブラウン」だ。ダッシュボードにダブルステッチで縫い合わされた表皮はもちろん人工皮革。もう少し触感がリアルなら「ひょっとして本革かも」と思えるのだが。\n\n\nオペレーターサービスを試してみた\n\n\nHDDナビゲーションシステム(G-BOOK mX Pro対応)には地図情報を最新に更新する機能「マップオンデマンド」が採用されている(新車から3年間無料)。走行中に時々地図更新の催促が入るのが、いかにも通信ナビらしく面白い。\n\n\n\n月額525円の有料サービスとなるが、レクサス同様にワンタッチでオペレーターに接続してくれるサービスも利用できるようになった。24時間、365日、いつでも最寄のナビ目的地の遠隔設定、駐車場や施設の案内(位置情報を車両に送信してもらえる)、交通情報、天気予報の案内、果てはホテルの予約までしてもらえるものだ。\n\n\n\n目的地設定などはオペレーターに頼むまでもないので、今回は試しに施設の案内をしてもらった。オペレーターは言うまでもなく生身の女性(男性もいるのかもしれない)で、感覚としてはハンズフリーで会社に電話をかけ、電話に出た人に調べものをしてもらう感覚に近い。つまりこちらが的確に用件を伝えることが出来て、さらに明快な答えが得やすいものならスムーズに答えが返ってくるし、逆に言えば曖昧な質問や複数の回答があり得るもの、あるいは情報を検索しにくい対象(例えば、ありふれた名前で正確な住所も分からないレストラン)だと、「お時間がかかります」となってしまう。\n\n\n\n感想としては、うまく使いこなせばとても便利かも、と思いつつ、やはりオペレーターがこちらの好みや事情を「あ、うん」の呼吸で汲んでくれるわけではないという点で、ある程度のもどかしさが付きまといそうだ。「○○ちゃん」と気安く呼べる「なじみのオペレーター」が出来ると楽しいかもしれない。\n\n\nマークレビンソンに迫る?18スピーカーシステム\n\n\nオーディオは標準で6スピーカー(CD・MD)、もしくは10スピーカー(CD・MD・DVD)対応だが、上級モデルでは18スピーカーの「トヨタ プレミアムサウンドシステム」(8万9250円高)が選択できる。その音自体はレクサス御用達オプションのマークレビンソンに迫る(匹敵する?)もののはずだが、価格自体はそれに比べて格段にリーズブルだ。天井に計2つ、前席には肩のあたりに計4つのスピーカーが備わるが、後席で聞く音の方がいいと思った。天井吊り下げ式の後席用モニターの設定はない。\n\n\n10エアバッグを全車に装備。サイドの日よけが欲しい\n\n\n電動リクライニング付リアシートを標準装備するのは上級グレードのみだが、それが無くても居住性はもちろん良く、「これで文句言ってもらっちゃ困りますよ、お客さん」というものだ。エアバッグは前席フロント×2、前席サイド×2、前席ニー(ひざ)×2に加えて、前後席カーテン×2、後席サイド×2 から成る「10エアバッグ」を全車に標準装備。鉄壁というか「エア壁」の守りとなっている。\n\n\nトランク容量は従来とほぼ同じ524L\n\n\nトランク容量は従来とほぼ同様の524Lで、横幅1600mm×奥行き1100mm×荷室高490mm。トランクスルー機構がないのは高級車として一般的だが、ヒンジがマークXのようなダブルリンク式であるのに注目。なおハイブリッドの荷室容量は約3分の2(376L)に減るが、ハイブリッドセダンとしては初めてゴルフバッグが4つ積めるという。\n\n\n基本性能&ドライブフィール\n\n当然パワフル、快適、乗りやすい\n\n\n試乗したのはロイヤルサルーン/アスリート系で最高額の「3.5 アスリート“Gパッケージ”」(567万円)をベースに、レーダークルーズおよび前方&後方プリクラッシュ一式(66万1500円)を付けたもので、価格は「素のGS350」を越える約650万円だ。\n\n\n\n3.5リッターV6「2GR-FSE」(315ps、38.4kgm)はレクサスIS/GSや先代アスリートの後期型も搭載していたエンジン。車重は素の3.5アスリートで1650kg、試乗車では1670kgで、素のGS350(1650kg)と大差ない。パワーウエイトレシオは約5.2~5.3kg/psなので、速いのは当たり前。ここ最近のGT-R、997ターボ、そしてIS F といった高性能車に麻痺した身にも、十分にパワフルだと感じられる。\n\n\n\n街乗りでの乗り心地はロイヤルシリーズより明確にコツコツ来るが、十分に快適なレベル。ロイヤルシリーズは良く言えばマイルド、悪く言えばボンヤリした操縦感覚なので、「こっちの方が好み」と思うオーナードライバーは多いだろう。いつものクラウン通り、運転はしやすいし、小回りが効くなど、ある意味ヴィッツのように気楽に乗りまわせる。\n\n\n【高速走行その1】ゼロクラウンの衝撃を発展延長\n\n\n今回は新型クラウンで名古屋-東京を往復してみたが、そこで走った中央高速はちょうど4年前、ゼロクラウンのあまりの高性能ぶりに驚愕したのと同じ場所。2008年現在でこそゼロクラウンの高速スタビリティを体験した人も多いだろうが、当時はまだまだ「まさか、あのクラウンが」という感じだった。\n\n\n\n今回はさらにパワフルな3.5リッターだが、なにぶんこの性能となると、いくら中央高速の上り坂でもパワー不足など微塵もない。というか使い切ることもほとんどない。その点ではゼロクラウンの発展延長であり、劇的に変質してはいないと言える。\n\n\n\nVDIMによって統合制御されるギア比可変ステアリング(VGRS)に、意図的なのか結果的になのか、何となく人工的な感覚はあるが、クルマ自体はひたすらスムーズに走り続ける。レーダークルーズコントロールは相変わらず115km/hまでの設定だが、車間がつまった時の自動ブレーキは4年前よりはるかに自信たっぷりに、グーーンとしっかり制動してくれる。\n\n\n【高速走行その2】ハイパワーFRらしいスポーティさと緊張感\n\n\n一方で、超高速域となるとやはり315psのFR車だけに、それなりに緊張感は高まる。シャシーが完全に勝った感じはなく、言葉で表現するならば運転者とシャシーの技量からあふれそうになる部分を、先読み制御のVDIM(全車標準)が黒子となって抑え込む、という感じか。飛ばす時にはつい減衰力可変ダンパーの「スポーツ」モード(走行中は手探りでのボタン操作になり、やりにくい)に手が伸びてしまうことでも、それが分かる。破綻することはない、という安心感はあるが、欧州車のごとき巌(いわお)のような重厚感はない。\n\n\n\nなお可変ダンパーは「NAVI・AI-AVS」の名の通り、学習機能を織り込んだナビ協調で減衰力を可変するというものだが、「NAVI・AI-SHIFT」ほど体感しやすいものではない。基本的には高速道路でのみ作動するようだ。\n\n\n870km走って実燃費は8.2km/L\n\n\n今回は燃費的には不利な中央高速の約600kmを含み、計870kmを試乗。プレミアムガソリンを約106リッター消費し、実燃費は満タン法もしくは車載燃費計のいずれでも約8.2km/Lとなった。内訳は名古屋→東京(中央高速)を流れにのって9.1km/L、東京→名古屋をハイペースで7.8km/L、その他に街乗り、撮影用の移動を含む。\n\n\n\nなお、3.5アスリートの10・15モード燃費は10.0km/Lだが、これは新型クラウンシリーズでは最も悪く、3.0ロイヤルなら11.8km/L、2.5ならロイヤルでもアスリートでも12.0km/Lと良好(いずれも2WD車の数値)。さらにハイブリッドでは15.8km/L(実燃費に近いJC08モード燃費は14.0km/L)となっている。\n\n\n\nちなみに昨年試乗したカローラ・ルミオン(1.8リッター・CVT)は、中央高速を似たようなペース(あくまでルミオンの性能なりに)で走って燃費は9.1~9.4km/Lだったから、高速燃費に限れば実質クラウンはルミオンと変わらない。燃料タンク容量もルミオンの50リッターに対して、71リッターと余裕がある。静粛性や疲労度の差は言うまでもないだろう。\n\n\nここがイイ\n\n伝統の「安心」、先進のハイテク安全装備\n\n\nクラウンの伝統という「安心」「信頼」という資質を確かに受け継いでいること。路地裏から高級ホテルの真正面まで、これほど日本の道で使いやすく、気を使わないで済むセダンはない。もちろんサイズも大きすぎず小さすぎず、日本でちょうどいい。\n\n\n\nぶつかる前の安全装備であるVDIM、ぶつかってからの安全装備である10個のエアバッグやアクティブヘッドレスト(前席)を全車に装備するなど「安全」への投資をケチっていないこと。実際に見ることは出来なかったが、急制動時にストップランプを点滅させる「緊急ブレーキシグナル」もいい。\n\n\n\n使い物になるかは別として、数々の最新ハイテクが実用化されていること。目の瞬きまで監視するドライバーモニター、ナビの位置情報とモニターカメラを使った一時停止情報提供、近赤外線を使ったナイトビューなど新しい装備がどんどん投入されている。\n\n\nここがダメ\n\nエンブレムの質感、一部ボタンの操作性など\n\n\n最も気になったのはセンターコンソールのカバー部分に付けられたシルバーメッキのエンブレムが妙に安っぽいこと。王冠をかたどった、けっこう大きな塊ゆえ、プラスチックにメッキをかけたおもちゃのように見える。ゴルフコンペで出される安っぽいトロフィーのエンブレムのようで、興ざめ。\n\n\n\n乗車した状態だと、目視できないくらい下の方にある給油リッドオープナーボタン。その上にETCユニットのカバーがあり、その開閉スイッチだと思って、つい走行中に押してしまう。こんな紛らわしいことになったのは、後からETCユニット(HDDナビ装着車に標準)が割り込んできたためか。\n\n\n\nボタン関係でもう一つ気になったのがトリップメーターの切替え。メーター付近の棒を押すタイプではなく、メーター左下のボタンなのだが、実はこれに透過照明が入っていないため、夜間は手探りになってしまうし、覚えていないと場所も分からない。他のスイッチには透過照明やらステアリング配置などで配慮されているのに、ここだけ忘れ去られた感じだ。このあたりのインターフェイスはライバル車に遅れを取りつつある。\n\n\n\n後席サイドウインドウの手動サンシェイド(日よけ)は、ロイヤルサルーンの上級グレードのみが装備。なぜかアスリートには設定すらない。ルーフが後ろまで伸びているので、リアウインドウの電動サンシェイドより、横の日よけが欲しい。\n\n\n\n重量配分(車検証数値で53:47)のせいか、空力の加減か、高速域ではどっしりとした安定感に欠けること。日産GT-Rのようなトランスアクスル4WDは極端にしても、4輪操舵やフルタイム4WDなどによってメカニカルに高速安定性を確保している他車(主に欧州市場向けの内外のモデル)と比べると、超高速域の操縦安定性には見切った感がある。\n\n\n\nエンジン始動時の起動音は3種類から選べるが、どれもちょっと違和感がある。携帯の着信音みたいに自由に選べたら面白い。音声データは通信カーナビでダウンロードすればよいわけだし。\n\n\n\n足踏み&手戻し式のパーキングブレーキ。日本が誇る高級セダンなら、もはや電子制御式にすべきだった。\n\n\n総合評価\n\n存在感も高性能感も、つつましく\n\n\nLSがレクサスブランドの旗艦なら、クラウンはトヨタブランドの旗艦だ。LSがいかにもお高くとまっているのに対して、クラウンは大衆ブランドであるトヨタの旗艦らしく、高級ながらも庶民性のあることが売りとなる。試乗車など600万円もするのに、ほとんどプレミアム感がない(ように見える)と言うと変だが、実際に走っていても街中での埋没加減、存在感の無さはたいしたもの。まあその分、気楽に乗れるということなのだが。この控えめな感じが大衆受けの秘訣なのだろう。\n\n\n\n先代の進化型らしく、ハードウェアの完成度は高い。それでも先代のような異様なまでのシャシーの強力さは今回感じなかった。ゼロクラウンはメーターを振り切ってもまるで止まっているかのごとくスピード感がなかったが、新型ではそうでもなく、超高速域ではそれなりに緊張感を伴う。今回のクルマが3.5アスリートだったということもあるが、これはある程度、意図的なものかもしれない。どんなにいい道路でも100km/h制限の日本において、過剰な性能は必要ないという判断か。あるいは必要以上に速度を出させないための安全策か。むろん何も困ることはないのだが、クルマ好きとしては、ここは先代の方がよかったと思うところだ。第二名神も一部開通したが、ゼロクラウンを開発中におそらくトヨタも考えていたはずの150km/hで走れる道にはならなかった。そうしたことが今回のクラウンに反映しているのかもしれない。\n\n\n\n電子プラットフォームの一新に関しては、わかりにくいが画期的なことだ。ごく簡単に言えば性能の成長に応じて、どんどん複雑になった配線をいったんリセットして引き直し、余裕のある配線としたということ。メインラインを1本から3本に増やし、CPUは数を減らしながら個々のパワーアップを行っているという。これによって今後さらに大量の制御情報が流れても回線はパンクしない。同時にこれは商品企画の段階から考えたことで、コスト削減にも貢献しているし、歩留まりも良くなっているとのこと。クルマのデジタル化にとって重要な刷新がまずクラウンで行われたあたりがトヨタらしい。そしていよいよGSと同じ本格的なハイブリッドも投入されて、現状ではレクサス車よりさらにハイテクなクルマといえる。\n\n\n敵は身内にあり\n\n\nそう、クラウンの投入で苦しいのは、ご賢察のとおりレクサスGSだ。聞くところによればハイブリッドの性能はGSのような動力性能より、より燃費改善サイドに振ったものらしい。車両重量50㎏の軽量化と併せ、燃費が11~13%向上しているという。後席のノイズを消すため反位相音を流すノイズリダクションシステムもクラウンからのもの。トランクも大きいし、もはや通信ナビのサービスもレクサス同様だ。ついに同士討ち。噂ではクラウン販売店用に、レクサスGS対策マニュアルなるものも作られているらしい。ただでさえ苦しいGSをさらに苦しめることをメーカー自らが行うというのは、巨大トヨタゆえの所行だろう。敵は身内にありか。こうなるとますますレクサス店を苦境に追い込み、直営を含めた再編を考えているのでは、と勘ぐりたくなる。販売好調とされる名古屋地区でも、開店3年を経てもまだ赤字の店舗があるくらいで、全国的にみればかなり厳しいのは間違いないのだから。\n\n\n\n販売台数の凄まじいまでの好調さを見る限り、大型セダンはクラウンでとどめを刺してしまった感が強い。元々このクラスのセダンに乗る人は比較的保守的ゆえ、できるだけ無難なモデルを買おうとする。日産のフーガやスカイライン、ホンダのレジェンドやインスパイアといったバタ臭いモデルしかライバルにならない現状は、今後もクラウンの天下が続くことを示唆している。まあそうして選んでも期待通りの速くて快適で、サイズ的にも装備的にも使い勝手のいいクルマなのだから、文句はないだろう。マイナス要素としては売れている数が多すぎて個性が無いことだが、それが嫌な人には他の選択肢として輸入車(レクサスを含む)があるから、個性の無さこそがクラウンの個性であり商品性といえる。\n\n\n\n最後に、アスリートならワインディングを走っても十分楽しかったことを書き加えておきたい。下取りの良さから来る月々の値