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スバル、先進運転支援システム「アイサイト」の新型を発表

カテゴリ:新車 , クルマ関連ニュース / 2010年04月23日

 
 

富士重工業は2010年4月22日、“自動ブレーキによって車両を停止させる”新型アイサイトを発表した。5月中旬からレガシィ・シリーズに搭載される。

アクセルの踏み間違い事故も防止

「アイサイト(EyeSight)」は、フロントウインドウに設置した二つのカメラユニットから得た映像を解析して前方の物体を認識し、その情報を元に安全運転支援をしようというシステムだ。すでに2008年5月に先代レガシィに搭載されていたが、新型はその全体的な性能アップを図ると同時に、新機能を加えている。

その仕組みは、二つのカメラをフロントウインドウ上部に30センチほど離して配置し、それらが捉えた前方の物体の映像が、近いものほどずれ、遠いものほど重なることから距離を割り出し、さらに映った物体の画像を分析して認識するというもの。いわゆるステレオカメラによる画像認識技術を使ったものだ。

この情報を車載コンピューターに送り、警報を出したり、車両を制御したりする。例えばアクセルペダルの踏み間違い事故は、正面をモニターしているアイサイトでは起こりえない。前方に障害物があれば、アクセルペダルをフルに踏んでもスロットルが制御され、急発進しないのだ。

 

また高価なミリ波レーダーなどと異なり、10万円という低価格も実現。反面、天候や明るさに影響を受けやすいが、一般的な状況では問題は少ないという。今回クローズドコースで行われた試乗は土砂降りの雨だったが、ワイパーを動かしていれば特に問題なく動作した。夜間を含め、人の目と同じ程度の認識性能があると考えればいいだろう。

ついにクルマが自ら緊急停止する


自動ブレーキによって停止した状態

新型における新機能の最たるものが、プリクラッシュブレーキだ。全車速域で衝突回避と衝突被害軽減を図るものだが、何よりのトピックは30km/h以下であれば、自動ブレーキによってドライバーの操作なしに車両が自ら停止すること。これはボルボ XC60のシティセーフティが先鞭を切ったものだが、あちらは15km/h以下で、あくまで追突防止(車両後部のリフレクター等に反応)を対象としたもの。アイサイトでは歩行者や自転車も対象とする。

今回の試乗では、30km/hから停止する場合、ブレーキングの2秒前に警告音があり、1秒前にプリブレーキ、そしてフルブレーキングという感覚。現実的には警告音で気がついてブレーキを踏めば追突は防げるので、完全停止までの自動ブレーキは、あくまで最終安全装置としての機能と言える。

■Movie

■参考リンク
富士重工業>プレスリリース http://www.fhi.co.jp/news/10_04_06/10_04_22.html

デイズのコメント

10人に一人が、安全に気を使わずに運転している


新型アイサイトのステレオカメラ(下も)

新型アイサイトは、国産車で初めて「クルマが自ら緊急停止する」を実現したもの。技術的には従来でも可能だったが、今回はついに国土交通省の認可が降りた、ということでもある。安全面で人がクルマに依存するのはよくない、という国の姿勢が、やっと少し変わってきた。これも政権交代の恩恵かと勘ぐりたくなるが、いずれにしても、これによって今後クルマは「ぶつからないクルマ」にむけて大きく前進して行くはずだ。

当面、先進安全自動車を作っていく上での課題は、「クルマが自動的に止まってくれることによって、人はより散漫な運転をするようになる」というリスクと、「不注意で起きてしまう事故を自動停止によって防ぐ」というメリットのどちらを取るか、だろう。それについては、スバルが配布した資料の中にあった「交通事故および運転中のヒヤリハット体験に関する調査」を見ながら考えてみたい。20代から60代までの週一回以上運転をする男女830人にインターネットで聞いたものだ。

 

調査した人の47.7%が過去に自分が加害者となった事故を体験しており、その損害額は平均17万円。もっとも多いのは交差点での追突事故で、次が交差点以外での追突、その次が交差点で飛び出した人や自転車との衝突だ。

また90.8%の人が事故を起こしそうな体験(ヒヤリハット体験)をしており、うち57.7%は1年以内に経験している。その時の速度は30km/hまでが38.7%で、31~50km/hが42.4%。つまり8割が50km/h未満となる。

ヒヤリハットは交差点で飛び出した人や自転車との衝突がダントツで、次に車道走行中の自転車との接触、左折時の巻き込み、車間を縫うバイクとの接触、右折先の横断歩道の歩行者や自転車という順。その原因は、女性が「考え事」、男性は「脇見」が多く、全体には「考え事」がトップとなる。

またここでは購入検討中のクルマに対する評価ポイントも聞かれているが、男性26.7%、女性35.6%がまず安全性能をあげている。男性の場合、次に走行性能で22.4%、そして価格設定20.8%と続く。女性は安全性能に続き、価格設定が18.6%、走行性能15.7%だ。面白いのはエコ性能(燃費など)が共に11.8%しかなく、意外に評価されていないことだ。エコエコと言っているのはメーカーとマスコミだけで、ユーザーはあまり気にしていないことがわかる。

またこのアンケートで衝撃的なのは、「安全に気を使って運転しているか」という問いに「あまりそう思わない」と答えた人が7%も存在していることだ。これは驚くべき数字だと思う。10人に一人ほどのドライバーが、安全に気を使わずに運転しているのだ。

さらに資料は、交通事故データ分析を載せている。抜粋すると、追突と出合い頭衝突が全事故の58.6%。地域別では市街地の事故が74.5%。道路形状別では、市街地の交差点とその付近の事故が43.5%だ。

また法令違反別では、安全不確認が31.9%で、脇見が16.4%、速度超過は30km/h以下が76.1%。つまり多くの事故は、市街地のあまり速くない速度で、不注意の追突や出会い頭として起きていることになる。

すべてのクルマにアイサイトが載れば死者は2割削減


平成21年度(2009-2010)の自動車アセスメントでグランプリを受賞した現行レガシィ

これらのデータから富士重工業では、アイサイトの機能によって事故の被害を減らすことができるのではないか、と考えている。2008年のデータを元にした試算では、すべてのクルマにアイサイトを搭載することで、追突による年間死者を200人から40人に、ケガをした35万人を7万人に激減できるとしている。アイサイトの車線逸脱警報による正面衝突回避なども加えると、重大事故では死者を2割以上、ケガでは3割以上を軽減できると予測。アイサイトのようなシステムを現在のABSのように全メーカーが搭載するようになれば、事故が著しく少ないクルマ社会が実現する可能性があるわけだ。

 

スバル 360のクラッシュテスト

「クルマが自動で止まる」を最初に実現したのはボルボに搭載されたシティセーフティだが、新型アイサイトもこの5月からレガシィ・シリーズに搭載される。レガシィといえば4月21日、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)が2006年度から毎年行っている「自動車アセスメントグランプリ」(2009-10年)を受賞。衝突安全に関しては「日本で最も安全性に優れたクルマ」と評価された。これにアイサイトが搭載されることで、レガシィはその優れた走行性能と合わせて、世界でも最も進んだ先進安全自動車(ASV)となる。

■参考記事
・新車試乗記>スバル レガシィ アウトバック 3.6R (2009年9月)

・新車試乗記>スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i Sパッケージ (2009年6月)